JP5073595B2 - 溶湯鍋用の付着地金除去装置 - Google Patents
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Description
溶鋼鍋が上記工程へ運ばれる際には、溶鋼鍋には保温蓋が上方より装着される。また、2次精錬工程においては、真空脱ガス装置やLF装置を用いた2次精錬処理が行われるが、これらの処理においては、溶鋼鍋の上部に閉塞蓋が装着される。かかる保温蓋や閉塞蓋(以降、併せて閉塞蓋と呼ぶ)を装着するために、溶鋼鍋の上部外側壁にはフランジ部が設けられており、このフランジ部の上面に閉塞蓋の端面が接触するものとなっている。
このような問題点を回避すべく開発された、溶鋼鍋に付着した地金を除去する付着地金除去設備が特許文献1に開示されている。
特許文献1の付着地金除去設備は、下方に突出する回転軸を有する駆動装置が昇降自在に支持され、この回転軸の下端部に水平方向に突出する旋回アームが付設されている。旋回アームの先端には、溶鋼鍋の上縁端(上部開口)に押当てられる螺旋状の歯を備える一方、この溶鋼鍋の上縁端から除去した地金を溶鋼鍋の外方に送り出す方向に回転されるスクリューカッタが水平軸心回りに回転するように設けられている。
しかしながら、この付着地金除去設備においては、スクリューカッタが、円筒状の溶鋼鍋の径内側及び径外側の両端を固定端として保持、つまり「両持ち支持」されている。そのため、スクリューカッタは、溶鋼鍋の上縁端のみに接触可能であって、溶鋼鍋の上部開口に付着した地金を除去することはできても、スクリューカッタの径内側の固定端が溶鋼鍋の側面と干渉して、フランジ部に付着した地金を除去することはできない。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、溶湯鍋の上部開口のみならずフランジ部に付着したスラグや地金を確実に取り除くことができる溶湯鍋用の付着地金除去装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る溶湯鍋用の付着地金除去装置は、下方に突出し回転自在となっている回転支持軸と、この回転支持軸の下端から径外方向に突出状に設けられた旋回アームと、この旋回アームに設けられて溶湯鍋に付着した地金を除去するスクリューカッタとを備えた溶湯鍋用の付着地金除去装置において、スクリューカッタが径内側自由端の片持ち状態で且つ溶湯鍋の外側に接触可能となるように、スクリューカッタは駆動モータの一方側から延出する駆動軸に取り付けられると共に、駆動モータは旋回アームの下側でスクリューカッタよりも径外側のスペースに配設されており、駆動モータの中央部が、旋回アームに対し径方向揺動自在に吊り下げられ、駆動モータの反駆動軸側が、旋回アームの先端側に伸縮シリンダを介して取り付けられていることを特徴とする。
さらに、このスクリューカッタを作動させる駆動モータの中央部が、旋回アームに対し径方向揺動自在に吊り下げられ、駆動モータの反駆動軸側が、旋回アームの先端側に伸縮シリンダを介して取り付けられているので、伸縮シリンダを作動させることにより駆動モータの中央部を中心としてスクリューカッタが揺動されて、スクリューカッタと溶湯鍋のフランジ部との距離を調整でき、スクリューカッタと地金との当接状態を変化させることが可能となり、スラグや地金を確実に取り除くことができる。
以上の結果、溶湯鍋の上部開口のみならずフランジ部に付着したスラグや地金を確実に取り除くことができる。
この剥ぎ取り手段を用いることで、スクリューカッタでは除去できなかった溶湯鍋の上部縁やフランジ部に付着した地金を確実に剥離することができる。
なお、剥ぎ取り手段は、旋回アームの突出方向に沿って進退可能に設けられた板状のスクレーパを有し、スクレーパの進出状態において、当該スクレーパの先端部がスクリューカッタより径内側に位置し、スクレーパの後退状態において、当該スクレーパの先端部がスクリューカッタより径外側に位置するよう構成されていることが好ましい。
さらに、スクレーパは、駆動モータの側方であってスクリューカッタの下方に位置するように配設されているとよい。
さらには、スクレーパは、スクリューカッタと共に旋回アームに沿って移動可能となっているとよい。
これにより、径が異なる溶湯鍋であっても、その上部縁やフランジ部に付着した地金を確実に剥離・除去することができる。
なお、本発明に係る溶湯鍋用の付着地金除去装置の最も好ましいものは、下方に突出し回転自在となっている回転支持軸と、この回転支持軸の下端から径外方向に突出状に設けられた旋回アームと、この旋回アームに設けられて溶湯鍋に付着した地金を除去するスクリューカッタとを備えた溶湯鍋用の付着地金除去装置において、前記スクリューカッタが径内側自由端の片持ち状態で且つ溶湯鍋の外側に接触可能となるように、前記スクリューカッタは駆動モータの一方側から延出する駆動軸に取り付けられ、前記駆動モータは旋回アームの下側でスクリューカッタよりも径外側のスペースに配設されており、前記駆動モータの中央部が、旋回アームに設けられた支点ボルトを中心として揺動自在に吊り下げられ、前記駆動モータの反駆動軸側が、旋回アームの先端側に伸縮シリンダを介して取り付けられていて、前記駆動モータの側方に、溶湯鍋に付着した地金を剥ぎ取る剥ぎ取り手段が設けられており、前記剥ぎ取り手段は、旋回アームの突出方向に沿って進退可能に設けられた板状のスクレーパを有し、前記スクレーパの進出状態において、当該スクレーパの先端部がスクリューカッタより径内側に位置し、スクレーパの後退状態において、当該スクレーパの先端部がスクリューカッタより径外側に位置するよう構成されていることを特徴とする。
[第1実施形態]
図1〜図4は、本発明に係る溶湯鍋用の付着地金除去装置の第1実施形態を示したものである。
この溶湯鍋用の付着地金除去装置1は、天板89に取り付けられていて、下方に突出し回転自在となっている回転支持機構20と、この回転支持機構20の回転支持軸21の下端から溶湯鍋50の径外方向に突出状に設けられた旋回アーム30と、この旋回アーム30に設けられて溶湯鍋50に付着した地金を除去するスクリューカッタ機構40とを備える。
スクリューカッタ機構40は、円筒コップ状の溶湯鍋50の径内側を自由端とした片持ち状態で、且つ溶湯鍋50の外側部、特にフランジ部51の上部に接触可能となるように配備されている。詳しくは、カッタヘッド41が駆動モータ42Aの一方側から延出する駆動軸42Eに取り付けられる。この駆動モータ42Aは、旋回アーム30の下側でカッタヘッド41よりも溶湯鍋50の径外側のスペースに配設されている。カッタヘッド41には、螺旋状に多数の歯が設けられている。
図1に示すように、溶湯鍋50は、後述する閉塞蓋53が載置されるフランジ部51を備える円筒形状である。このような溶湯鍋50において、フランジ部51に地金60が付着したり、上縁端52に地金60が付着したりする。
回転支持機構20は、その回転中心が溶湯鍋50の中心になるように、溶湯鍋50の載置位置に対する位置が決定されている。
さらに、回転支持機構20は、回転支持軸21を360°旋回可能なように、ギヤ24を備えた旋回モータ23を有するとともに、このギヤ24に対向する位置であって、回転支持軸21と一体的に回転するように設けられたギヤ25を備えている。
上述したように、下方に突出し回転自在となっている回転支持軸21と、この回転支持軸21の下端から溶湯鍋50の径外方向に突出状に旋回アーム30が設けられる。この旋回アーム30には、断熱材31及び断熱材32が設けられている。
図1,図2に示すように、旋回アーム30の溶湯鍋50の径外方向端部にはスクリューカッタ機構40が取り付けられる。このスクリューカッタ機構40は、モータ筺体42を挟み込むように設けられたブラケット44及び支点ボルト33により旋回アーム30に取り付けられている。さらに、モータ筺体42の最外側(溶湯鍋50の径外方向外側)には、径外方向に突出するステー43Cが設けられ、このステー43Cに支点ボルト43Bにより伸縮シリンダ43とが取り付けられている。この伸縮シリンダ43の旋回アーム側は、支点ボルト43Aにより旋回アーム30に取り付けられている。
上述した構成をもって、旋回アーム30にスクリューカッタ機構40が取り付けられているので、図3に示すように、伸縮シリンダ43が伸縮することにより支点ボルト33を中心として、カッタヘッド41を揺動できる。本実施形態の場合、上下揺動角度は約±5°である。
以上のような構造を備えた付着地金除去装置1の使用態様について説明する。
転炉から出鋼された溶鋼が装入された溶湯鍋50が、この付着地金除去装置1の所定の位置まで搬送される。所定の位置とは、付着地金除去装置1の下方であって、付着地金除去装置1の中心と回転支持軸21の中心軸とが一致する位置であって、さらに、溶湯鍋50の搬入時には、旋回アーム30及びスクリューカッタ機構40と、溶湯鍋50及び溶湯鍋50を搬入するための設備とが干渉しないように、上下動シリンダ22により、旋回アーム30及びスクリューカッタ機構40が上方に上昇されている。
次に、図4に示すように、上下動シリンダ22をさらに下降させてカッタヘッド41を、フランジ部51の上面に付着した地金60に当接させるとともに、伸縮シリンダ43を作動させてカッタヘッド41を下に揺動させ、カッタヘッド41により地金60を削り取る。この状態のまま、旋回モータ23を回転させて旋回アーム30を360°連続回転させることも可能であるし、カッタヘッド41に対応する部分の地金60を削り取り、その後、旋回アーム30を所定角度回転させ、新たな位置の地金60を削り取ってもよい。このように、旋回アーム30を連続的又は断続的に旋回させることで、溶湯鍋50のフランジ部51の全周に付着していた地金60が確実に剥ぎ取られる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る付着地金除去装置1は、第1実施形態に係る付着地金除去装置のスクリューカッタ機構40に加えて、剥ぎ取り手段すなわちスクレーパ機構70を備える。
第2実施形態に係る付着地金除去装置1は、スクリューカッタ機構40の側方に、例えば、溶湯鍋50に上縁端52に付着した地金61を剥ぎ取るスクレーパ機構70が設けられている。
スクレーパ機構70は、旋回アーム30の突出方向に沿って進退可能に設けられた鋼製の板状のスクレーパ71を有している。スクレーパ71は、図5(b)に示すように、先端にテーパが設けられている。
ステー75の径外側の端部においては、上方を向く板状の接合部材74が取り付けられている。この接合部材74の上部は、枠部材77内に配置された進退シリンダ72のロッド78の先端に水平方向を向くピン状の締結部材73により連結されている。この進退シリンダ72が最も伸びたときに、ステー75が径外方向へ移動してスクレーパ71が後退状態になり、進退シリンダ72が最も縮んだときに、ステー75が径内方向へ移動してスクレーパ71が進出状態になる。
スクレーパ機構70を備えた付着地金除去装置1の使用態様について説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同じ使用態様については繰り返さない。
その後、最も伸びた状態の進退シリンダ72を最も縮むように作動させ、スクレーパ71を作動状態、すなわち、スクレーパ71が最前進した状態とする。すると、図6に示す如く、溶鋼鍋50の上縁端52の上面に付着した地金61が、スクレーパ71により剥離されると共に、溶鋼鍋50内に落ち込むように移動する。このように、スクレーパ71の進行時において上縁端52に付着した地金61が剥ぎ取られる。
なお、図5及び図6に示した進出時のスクレーパ71の先端位置はさらに径内側の位置であっても構わない。さらに、スクレーパ71の幅方向いずれか一方又は両側にテーパを設ければ、スクレーパ71を進出状態として旋回アーム30を360°回転させて、上縁端52の全周に亘って上縁端52に付着した地金61を高効率で剥ぎ取ることも可能である。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る付着地金除去装置は、第1実施形態に係る付着地金除去装置のスクリューカッタ機構が旋回アームに沿って径内外方向へ移動可能なように(水平移動機能付きで)構成されている。
図7に示すように、旋回アーム90の径外方向端部には、本実施形態に係るスクリューカッタ機構80が径内外方向に移動可能に取り付けられている。すなわち、スクリューカッタ機構80が、旋回アーム90内に設けられた吊り下げ移動部材81に保持されている点が、第1実施形態のスクリューカッタ機構40と異なる。
さらに、モータ筺体42の径外方向のステー43Cに伸縮シリンダ43の先端が回動自在に取り付けられ、伸縮シリンダ43の基端が吊り下げ移動部材81に支点ボルト43Aにより回動自在に取り付けられている。吊り下げ移動部材81において、支点ボルト43Aは支点ボルト33より後方側に位置している。
旋回アーム90は、その内部に、径内外方向に伸びたレール86が設けられている。移動滑車83,85及びこの移動滑車83,85に保持される垂下状のステー82,84を介して、レール86に対して吊り下げ移動部材81が径方向に移動自在に設けられている。
吊り下げ移動部材81は、最も径方向内側に進行するとスクリューカッタ機構40のカッタヘッド41が溶湯鍋50の上縁端52より鍋内に移動し、最も径方向外側に退行するとカッタヘッド41が溶湯鍋50のフランジ部51よりもさらに径外側に位置する。そのため、径小の溶鋼鍋や径大な溶鋼鍋が用いられたとしても、それぞれの溶鋼鍋のフランジ部51や上縁端52に対応する位置にカッタヘッド41を移動させることができるようになる。そのため、様々な径を有する溶鋼鍋の地金60,61を確実に除去できるものとなっている。
なお、移動シリンダ87を作動させ、カッタヘッド41と溶湯鍋50のフランジ部51等を一致させた後の地金の除去方法に関しては、第1実施形態具又は第2実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
以上、本発明に係る溶湯鍋用の付着地金除去装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。
さらに、本発明に係る溶湯鍋用の付着地金除去装置は、第1実施形態〜第3実施形態を適宜組み合わせたものであっても構わない。
また、付着地金を剥ぎ取る際に、旋回アームを360°回転させることは必須ではない。
20 回転支持機構
30 旋回アーム
40 スクリューカッタ機構
50 溶湯鍋
70 スクレーパ機構
80 スクリューカッタ機構(第3実施形態)
90 旋回アーム(第3実施形態)
Claims (3)
- 下方に突出し回転自在となっている回転支持軸と、この回転支持軸の下端から径外方向に突出状に設けられた旋回アームと、この旋回アームに設けられて溶湯鍋に付着した地金を除去するスクリューカッタとを備えた溶湯鍋用の付着地金除去装置において、
前記スクリューカッタが径内側自由端の片持ち状態で且つ溶湯鍋の外側に接触可能となるように、前記スクリューカッタは駆動モータの一方側から延出する駆動軸に取り付けられ、前記駆動モータは旋回アームの下側でスクリューカッタよりも径外側のスペースに配設されており、
前記駆動モータの中央部が、旋回アームに設けられた支点ボルトを中心として揺動自在に吊り下げられ、前記駆動モータの反駆動軸側が、旋回アームの先端側に伸縮シリンダを介して取り付けられていて、
前記駆動モータの側方に、溶湯鍋に付着した地金を剥ぎ取る剥ぎ取り手段が設けられており、前記剥ぎ取り手段は、旋回アームの突出方向に沿って進退可能に設けられた板状のスクレーパを有し、前記スクレーパの進出状態において、当該スクレーパの先端部がスクリューカッタより径内側に位置し、スクレーパの後退状態において、当該スクレーパの先端部がスクリューカッタより径外側に位置するよう構成されていることを特徴とする溶湯鍋用の付着地金除去装置。 - 前記スクレーパは、駆動モータの側方であってスクリューカッタの下方に位置するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の溶湯鍋用の付着地金除去装置。
- 前記駆動モータは、突出状に設けられた旋回アームに沿って移動可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶湯鍋用の付着地金除去装置。
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