JP5072915B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルタ処理を利用した画像処理に関する。
従来、画像補正(例えば、画像からノイズを除去して平滑化する補正など)のために、フィルタ処理が行われている。フィルタ処理として、処理対象画素値及びその周辺画素値にフィルタ係数(重み)を乗じ、これらの総和を出力画素値とする畳み込み演算が知られている。画像補正を効果的に行うためには、各画素に対して適切なフィルタ情報(フィルタ係数、タップ長など)を選択することが望ましい。
特許文献1記載の画像処理装置は、ブロックにおいて画素勾配の大きさ及び方向に基づいて方向ヒストグラムを生成する。この画像処理装置は、方向ヒストグラムからエッジ方向を検出し、エッジ方向に応じてブロックに適用するフィルタ情報を選択している。
特開平11−191861号公報
特許文献1記載の画像処理装置は、ブロックに適用するフィルタ情報を選択するためにエッジ方向を考慮しているものの、エッジ形状(エッジの強度、大きさなど)を考慮していない。従って、エッジ方向に応じて選択されたフィルタ情報は、処理対象のブロックにとって必ずしも適切でなく、過平滑化などの画質劣化が生じるおそれがある。また、携帯電話機などの処理能力の限られた画像処理装置によって同様の画像処理を行う場合には、処理遅延、消費電力などの観点からフィルタ情報の選択処理を効率化することが望ましい。
従って、本発明は適切なフィルタ情報を効率的に選択可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る画像処理装置は、画像信号を複数の勾配算出ブロックに分割する分割部と、前記勾配算出ブロックを構成する画素から1つの勾配算出画素を決定する決定部と、前記勾配算出画素を含む領域に属する画素の勾配の強度及び勾配の角度を算出する第1の算出部と、前記勾配の強度及び勾配の角度に基づいてヒストグラムを算出する第2の算出部と、複数のヒストグラムテンプレート及び複数のフィルタ情報が対応付けて記憶されている記憶部から前記ヒストグラムに最も類似したヒストグラムテンプレートを探索する探索部と、探索されたヒストグラムテンプレートに対応するフィルタ情報を用いて前記勾配算出ブロックを構成する画素にフィルタ処理を行う処理部とを具備する。
本発明によれば、適切なフィルタ情報を効率的に選択可能な画像処理装置を提供できる。
第1の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図。 図1の画像処理装置が行う処理を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図。 図3の勾配算出画素決定部が行う処理を示すフローチャート。 図3の勾配算出画素決定部が決定する勾配算出画素の説明図。 第3の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図。 図6の勾配算出ブロック再分割部が行う処理を示すフローチャート。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置は、勾配算出ブロック分割部101、画像情報記憶部102、勾配算出画素決定部103、勾配算出部104、ヒストグラム算出部105、HOGテンプレート探索部106、フィルタ情報記憶部107及びフィルタ処理部108を有する。
勾配算出ブロック分割部101は、画像情報記憶部102に記憶されている所定単位の画像信号をブロック画像信号(以下、単に勾配算出ブロックと称する)に分割する。画像情報記憶部102には、例えば、図示しない画像符号化手段(例えば、MPEG−2、MPEG−4、H.264などをサポートする符号化器)によって符号化された画像信号を図示しない画像復号化手段によって復号化した復号画像信号が記憶される。勾配算出ブロックのサイズ及び形状は任意であるが、以降の説明では簡単化のためにN×N(Nは、任意の固定値である)の矩形を仮定する。勾配算出ブロック分割部101は、勾配算出ブロックを勾配算出画素決定部103に入力する。
勾配算出画素決定部103は、勾配算出ブロックの構成画素のうち1つを勾配算出画素として決定する。勾配算出画素決定部103が、いずれの画素を勾配算出画素として決定するかは任意である。例えば、勾配算出画素決定部103は、各勾配算出ブロックにおける特定の相対位置(例えば各勾配算出ブロックの中心位置)に対応する画素を勾配算出画素として決定する。勾配算出画素決定部103は、勾配算出画素を勾配算出部104に入力する。
勾配算出部104は、各勾配算出画素及びその周辺の画素(例えば隣接画素)の勾配(輝度勾配)の方向及び大きさ(角度及び強度)を算出する。勾配算出部104は、例えば数式(1)によって、座標(x,y)に対応する画素のx方向(水平方向または横方向ともいう)及びy方向(垂直方向または縦方向ともいう)の勾配の大きさ∂x(x,y)及び∂y(x,y)を算出する。
Figure 0005072915
数式(1)において、In(x,y)は座標(x,y)に対応する画素の輝度値を表す。iは勾配算出のためのパラメータ(前進量)であって典型的には「1」が使用される。尚、勾配算出部104は、数式(1)のような前進差分方式に代えてSobelオペレータなどを用いてもよい。
また、数式(1)に代えて数式(2)を利用して注目画素(座標(x、y)に対応する画素)を中心として勾配を算出してもよい。
Figure 0005072915
勾配算出部104は、座標(x,y)に対応する画素の勾配の強度d(x,y)及び角度θ(x,y)を例えば数式(3)によって算出する。
Figure 0005072915
勾配算出部104は、勾配算出画素及びその周辺の画素の勾配の強度d及び角度θをヒストグラム算出部105に入力する。
ヒストグラム算出部105は、勾配算出画素及びその周辺の画素の勾配の強度d及び角度θを用いてヒストグラムを算出する。具体的には、ヒストグラム算出部105は、勾配の角度θを複数の方向に標本化して、標本化された各方向に属する勾配の強度dを集計してヒストグラムHOG(Histograms of Oriented Gradients)を算出する。以下の例では、ヒストグラム算出部105は、勾配の角度θをK個の方向(Kは任意の自然数)に標本化(量子化)して、標本化された各方向に属する勾配の強度dを集計してヒストグラムh[k](k=0,1,・・・K−1)を算出する。まず、ヒストグラム算出部105は、数式(4)に示すように、各ヒストグラムh[k]を初期化(「0」を代入)する。
Figure 0005072915
次に、ヒストグラム算出部105は、数式(5)に示すように、勾配算出画素及びその周辺の画素の勾配の角度θをK方向に標本化する。
Figure 0005072915
数式(5)において、round()は四捨五入を行う丸め関数である。そして、ヒストグラム算出部105は、数式(6)に示すように、標本化された各方向φ(φ=0,1,・・・K−1)に属する勾配の強度dを集計してヒストグラムh[k]を算出する。
Figure 0005072915
数式(6)において、i及びjは、座標(x,y)に対応する勾配算出画素の周辺の画素を指定するためのx方向及びy方向のシフト量である。具体的には、座標(x,y)を中心とする一辺が2r+1の正方領域をヒストグラムの集計領域(即ち、勾配の算出領域)と仮定すれば、−r≦i,j≦rである。例えば、座標(x,y)を中心とする一辺が3の正方領域を仮定すれば、−1≦i,j≦1である。
ヒストグラム算出部105は、HOG(例えば、h[0],h[1],・・・,h[K−1])をHOGテンプレート探索部106に入力する。
フィルタ情報記憶部107には、複数のHOGテンプレートと、複数のフィルタ情報(特に、フィルタ係数)とが対応付けて記憶されている。望ましくは、各HOGテンプレートに関して、サンプル画像を利用した学習などによって導出された最適なフィルタ情報が対応付けられている。フィルタ情報の学習手法の具体的な説明は省略するが、任意の学習手法が適用されてよい。
HOGテンプレート探索部106は、フィルタ情報記憶部107に記憶されている複数のHOGテンプレートから、ヒストグラム算出部105が算出したHOGに最も類似するものを探索する。類似性は、例えば、SAD(Sum of Absolute Difference)、SSD(Sum of Square Difference)など任意の指標によって評価できる。HOGテンプレート探索部106は、探索したHOGテンプレートの識別子をフィルタ処理部108に入力する。
フィルタ処理部108は、HOGテンプレートの識別子を用いてフィルタ情報記憶部107から対応するフィルタ情報を読み出す。そして、フィルタ処理部108は、このフィルタ情報を用いて勾配算出ブロック内の各画素に対してフィルタ処理を行う。フィルタ処理は、例えば数式(7)によって表現される畳み込み演算である。
Figure 0005072915
数式(7)において、Out(x,y)は座標(x,y)に対応する画素のフィルタ処理後の画素値を表し、Rはフィルタのタップ長を制御するパラメータを表し、w(m,n)はフィルタ中心(0,0)を基準とする相対座標(m,n)に対応するフィルタ係数を表す。
フィルタ処理部108は、フィルタ処理後の画素を画像情報記憶部102に記憶させて補正画像信号を生成する。そして、フィルタ処理部108は、補正画像信号への参照アドレスを画像情報記憶部102から受け取り、図示しない出力装置(例えば、LCDディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置)に入力する。
尚、フィルタ処理部108は、εフィルタ処理を行ってもよい。εフィルタ処理において、フィルタ中心との輝度差が閾値THeps以上となるような隣接画素の輝度値を当該フィルタ中心の輝度値に置き換えたうえで、数式(7)のような畳み込み演算が適用される。εフィルタ処理を適用することにより、例えばエッジ画素と非エッジ画素とを区別して平滑化できるため、主観画質の劣化が抑えられる。
具体的には、εフィルタ処理は数式(8)によって表される。尚、数式(8)において、閾値THepsは予め設定された定数であり、実験的に決められる値である。
Figure 0005072915
以下、図2を用いて図1の画像処理装置の行う処理を説明する。
まず、勾配算出ブロック分割部101が画像情報記憶部102に記憶されている画像信号を勾配算出ブロックに分割し(ステップS201)、処理はステップS202に進む。
ステップS202において、勾配算出画素決定部102は処理対象の勾配算出ブロックにおける勾配算出画素を決定する(ステップS202)。全ての勾配算出ブロックに対してステップS202の処理が完了していれば処理はステップS204に進み、そうでなければ次の勾配算出ブロックを対象として処理はステップS202に戻る(ステップS203)。
ステップS204において、勾配算出部104は処理対象の勾配算出ブロックの勾配算出画素及びその周辺の画素の勾配の強度及び勾配の角度を算出する。次に、ヒストグラム算出部105は、ステップS204において算出された勾配の角度を標本化し、標本化された角度毎に勾配の強度を集計してHOGを算出する(ステップS205)。次に、HOGテンプレート探索部106は、ステップS205において算出されたHOGに最も類似する(誤差最小の)HOGテンプレートをフィルタ情報記憶部107から探索する(ステップS206)。次に、フィルタ処理部108がステップS207において探索されたHOGテンプレートに対応するフィルタ情報をフィルタ情報記憶部107から取得し(ステップS207)、処理はステップS208に進む。
ステップS208において、フィルタ処理部108はステップS207において取得したフィルタ情報を用いて勾配算出ブロック内の処理対象の画素に対してフィルタ処理(畳み込み演算)を行う。処理対象の勾配算出ブロック内の全ての画素に対してステップS208の処理が完了していれば処理はステップS210に進み、そうでなければ次の画素を対象として処理はステップS208に戻る(ステップS209)。
勾配算出画素におけるHOGに基づき探索されたフィルタ情報は、勾配算出ブロック内の勾配算出画素以外の画素に対しても流用される。一般的に、画像信号は非定常であるため、注目画素におけるHOGと、その近傍画素におけるHOGは類似している。本実施形態に係る画像処理装置は、勾配算出画素におけるHOGを近傍画素に対しても流用することで、HOG算出並びにフィルタ情報取得に要する演算を簡略化している。
全ての勾配算出ブロックに対してステップS204乃至ステップS209の処理が完了していれば処理は終了し、そうでなければ次の勾配算出ブロックを対象として処理はステップS204に戻る。
以上説明したように本実施形態に係る画像処理装置は、画像信号を勾配算出ブロックに分割し、各勾配算出ブロック内の1つの画素を代表画素(勾配算出画素)として決定し、この代表画素及びその周辺のHOGに基づいて各勾配算出ブロックの構成画素に適用するフィルタ情報を選択している。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、適切なフィルタ情報を勾配算出ブロック単位で効率的に選択できる。
(第2の実施形態)
図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置は、図1の画像処理装置において、符号化ブロック境界推定部300を更に設けると共に勾配算出画素決定部103を勾配算出画素決定部303に置き換えている。以下の説明では、図3において図1と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。
符号化ブロック境界推定部300は、画像情報記憶部102に記憶されている画像信号(復号画像信号)の符号化ブロック境界を推定する。例えば、符号化ブロック境界推定部300には図示しない画像復号化手段から画像情報記憶部102に記憶されている画像信号の符号化情報が入力される。符号化ブロック境界推定部300は、画像信号がH.264に従って符号化されていることを符号化情報に基づいて検出したならば、4×4の矩形ブロックを符号化ブロックとみなし、隣接する符号化ブロック間の境界を符号化ブロック境界と推定してよい。また、符号化ブロック境界推定部300は、画像信号がMPEG−2、MPEG−4、JPEGに従って符号化されていることを符号化情報に基づいて検出したならば、8×8の矩形ブロックを符号化ブロックとみなし、隣接する符号化ブロック間の境界を符号化ブロック境界と推定してもよい。符号化ブロック境界推定部300は、推定した符号化ブロック境界を勾配算出ブロック分割部101に通知する。
勾配算出ブロック分割部101は、前述した第1の実施形態と同様に、画像情報記憶部102に記憶されている画像信号を勾配算出ブロックに分割する。ここで、勾配算出ブロックは、前述した符号化ブロック以下の大きさであることが望ましい。以降の説明では、特に断らない限り、簡単化のため符号化ブロックをM×Mの矩形ブロックとし、勾配算出ブロックをN×N(N≦M)の矩形ブロックとする。
勾配算出画素決定部303は、勾配算出ブロックのサイズNが奇数であれば勾配算出ブロックの中心画素を勾配算出画素として決定する。尚、より正確には、勾配算出画素決定部303は、勾配算出ブロックが水平方向及び垂直方向に奇数個の画素を備える矩形ブロックであれば、同様の手法によって勾配算出画素を決定してよい。
勾配算出画素決定部303は、勾配算出ブロックのサイズNが偶数であれば勾配算出ブロックの中心座標に隣接する複数の画素を候補画素として抽出する。次に、勾配算出画素決定部303は、符号化ブロック境界推定部300が推定したブロック境界の交点のうち勾配算出ブロックに最も近い(例えば、ユークリッド距離の最も小さい)ものを探索する。そして、勾配算出画素決定部303は、探索したブロック境界の交点から最も遠い(例えば、ユークリッド距離の最も大きい)候補画素を勾配算出画素として決定する。尚、より正確には、勾配算出画素決定部303は、勾配算出ブロックが水平方向及び垂直方向の少なくとも一方に偶数個の画素を備える矩形ブロックであれば、同様の手法によって勾配算出画素を決定してよい。
以下、図5を用いて、ブロック境界を考慮して勾配算出画素を決定することの技術的意義を説明する。尚、図5において、N=M/2である。また、図5において符号化ブロック境界は破線、勾配算出ブロック境界は実線、画素は丸印で夫々示されている。
一般に、画像信号をブロック単位で符号化及び復号化するとブロック間の境界に歪(ブロック歪)が生じることが知られている。即ち、復号画像信号においてブロック境界を跨いで算出された勾配は、原画像信号における本来の勾配と乖離している可能性がある。故に、ブロック境界を跨いで勾配を算出することは、不適切なフィルタ情報の選択を招くおそれがあり、本実施形態に係る画像処理装置にとって好ましくない。故に、例えば図5に示すように、各勾配算出ブロック内において符号化ブロック境界の交点から比較的遠い画素(影付き画素)を勾配算出画素として決定し、勾配算出におけるブロック歪の混入を回避することが望ましい。
例えば、図5において勾配算出ブロックは4×4の矩形ブロックであるから、勾配算出画素決定部303は中心座標に隣接する4つの画素(各勾配算出ブロックにおいて「11」、「12」、「21」及び「22」の符号が付与された画素)を候補画素として抽出する。そして、勾配算出画素決定部303は、各勾配算出ブロックにおいて符号化ブロック境界の交点から最も離れた候補画素(影付き画素)を勾配算出画素として決定している。
尚、図5から明らかなように、符号化ブロックを等分割するように勾配算出ブロックを設定すると(本例であれば、Mの約数をNとして決定すると)、勾配算出画素として決定される候補画素を符号化ブロック内で勾配算出ブロックが占める相対位置に応じて規則的に決定できる。例えば、符号化ブロックの左上を占める勾配算出ブロックの勾配算出画素として、右下の候補画素を勾配算出画素として規則的に決定できる。従って、処理量削減の観点からすると、符号化ブロックを等分割するように勾配算出ブロックを設定することは好適である。
尚、図3の画像処理装置の行う処理は、図2におけるステップS202の処理を図4に示す処理に置き換えて構成される。以下、図4を用いて図3の勾配算出画素決定部303の行う処理を説明する。
まず、勾配算出画素決定部303は、勾配算出ブロックのサイズが奇数であるか否かを判定する(ステップS401)。勾配算出ブロックのサイズが奇数であれば処理はステップS402に進み、そうでなければ処理はステップS403に進む。
ステップS402において、勾配算出画素決定部303は勾配算出ブロックの中心画素を勾配算出画素として決定し、図4の処理は完了する。一方、ステップS403において、勾配算出画素決定部303は勾配算出ブロックの中心座標に隣接する複数の画素を候補画素として抽出する。次に、勾配算出画素決定部303は、勾配算出ブロックの中心座標から最も近い符号化ブロック境界の交点を探索する(ステップS404)。次に、勾配算出画素決定部303は、ステップS404において探索した符号化ブロック境界の交点から最も遠い候補画素を勾配算出画素として決定し、図4の処理は完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置は、勾配算出ブロックのうち中心画素または中心座標に隣接する画素のうちブロック境界から遠いものを勾配算出画素として決定している。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、勾配算出におけるブロック歪の混入を回避できるため、各勾配算出ブロックに対して適切なフィルタ情報を選択できる。
(第3の実施形態)
図6に示すように、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置は、図3の画像処理装置において、勾配算出ブロック再分割部500を更に設けると共に勾配算出画素決定部303を勾配算出画素決定部503に置き換えている。以下の説明では、図6において図3と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。
前述した第1の実施形態及び第2の実施形態に係る画像処理装置は、固定サイズの勾配算出ブロックから代表画素(勾配算出画素)を決定し、この代表画素及びその周辺のHOGに基づいて勾配算出ブロックの構成画素に適用するフィルタ情報を選択している。しかしながら、勾配算出ブロック及びその周辺にエッジ領域、テクスチャ領域などの輝度変化の激しい領域が含まれる場合には、より細かな単位(例えば画素単位)でフィルタ情報を選択することが望ましい。
勾配算出ブロック再分割部500は、勾配算出ブロック及びその周辺の輝度値の分布に基づいて、必要に応じて当該勾配算出ブロックを再分割する。具体的には、勾配算出ブロック再分割部500は、勾配算出ブロック及びその周辺の最大輝度値及び最小輝度値の輝度差分と閾値とを比較することにより、当該勾配算出ブロック及びその周辺がフラット領域(輝度分布の平坦な領域)であるか非フラット領域(輝度分布の平坦でない領域)であるかを判定する。そして、勾配算出ブロック再分割部500は、勾配算出ブロック及びその周辺が非フラット領域であれば、勾配算出ブロックを例えば1画素単位に再分割する。勾配算出画素決定部503は、入力される勾配算出ブロックのサイズ(または、再分割の有無)に応じて処理を切り替えて、勾配算出画素を決定する。
尚、図6の画像処理装置の行う処理は、図2におけるステップS202の処理を図4に示す処理に置き換え、図2におけるステップS201の処理の直後に図7に示す処理を挿入して構成される。以下、図7を用いて図6の勾配算出ブロック再分割部500の行う処理を説明する。
勾配算出ブロック再分割部500は、処理対象となる勾配算出ブロック及びその周辺を周辺ブロックとして設定する(ステップS601)。尚、周辺ブロックには、勾配算出ブロックの全ての構成画素に対するフィルタ処理において参照され得る全ての画素が含まれることが望ましい。即ち、フィルタのタップ長を2R+1、勾配算出ブロックのサイズをN×Nとすれば、周辺ブロックのサイズは(2R+N)×(2R+N)以上であることが望ましい。
次に、勾配算出ブロック再分割部500は、周辺ブロック内の最大輝度値及び最小輝度値を探索する(ステップS602)。勾配算出ブロック再分割部500は、ステップS602において探索した最大輝度値及び最小輝度値の間の輝度差分を算出し(ステップS603)、閾値と比較する(ステップS604)。輝度差分が閾値未満であれば処理はステップS605に進み、そうでなければ処理はステップS606に進む。換言すれば、周辺ブロックがフラット領域であれば処理はステップS605に進み、そうでなければ処理はステップS606に進む。
ステップS605において、勾配算出ブロック再分割部500は勾配算出ブロックの現在のサイズを維持し、図7の処理は完了する。ステップS606において、勾配算出ブロック再分割部500は勾配算出ブロックを1画素単位に再分割し、図7の処理は完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置は、画像信号を固定サイズの勾配算出ブロックに一律に分割するのでなく、周辺ブロック内の輝度分布次第で勾配算出ブロックをより細かく分割している。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、周辺ブロックが非フラット領域であれば、例えば画素単位で適切なフィルタ情報が選択されるため、エッジ領域、テクスチャ領域などに対する平滑化に起因する画質劣化を抑制できる。
尚、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記した各実施形態の処理を実現するプログラムを、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納して提供することも可能である。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなど、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。
また、上記した各実施形態の処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい
101・・・勾配算出ブロック分割部
102・・・画像情報記憶部
103・・・勾配算出画素決定部
104・・・勾配算出部
105・・・ヒストグラム生成部
106・・・HOGテンプレート探索部
107・・・フィルタ情報記憶部
108・・・フィルタ処理部
300・・・符号化ブロック境界推定部
303・・・勾配算出画素決定部
500・・・勾配算出ブロック再分割部
503・・・勾配算出画素決定部

Claims (5)

  1. 画像信号を複数の勾配算出ブロックに分割する分割部と、
    前記勾配算出ブロックを構成する画素から1つの勾配算出画素を決定する決定部と、
    前記勾配算出画素と前記勾配算出画素の少なくとも1つの周辺画素とを含む集計領域に属する各画素の勾配の強度及び勾配の角度を算出する第1の算出部と、
    前記勾配の角度を複数の方向に標本化して標本化された各方向に属する前記勾配の強度を集計することによって、ヒストグラムを算出する第2の算出部と、
    複数のヒストグラムテンプレート及び複数のフィルタ情報が対応付けて記憶されている記憶部から前記ヒストグラムに最も類似したヒストグラムテンプレートを探索する探索部と、
    探索されたヒストグラムテンプレートに対応するフィルタ情報を用いて前記勾配算出ブロックを構成する各画素にフィルタ処理を行う処理部と
    を具備する、画像処理装置。
  2. 前記画像信号の符号化ブロック境界を推定する推定部を更に具備し、
    前記勾配算出ブロックは水平方向及び垂直方向の少なくとも一方に偶数個の画素を備える矩形ブロックであって、
    前記決定部は、前記勾配算出ブロックから最も近い前記符号化ブロック境界の交点を探索し、前記勾配算出ブロックの中心座標に隣接する複数の画素のうち前記符号化ブロック境界の交点から最も遠い画素を前記勾配算出画素として決定する請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記勾配算出ブロックは水平方向及び垂直方向に奇数個の画素を夫々備える矩形ブロックであって、
    前記決定部は、前記勾配算出ブロックの中心画素を前記勾配算出画素として決定する請求項1記載の画像処理装置。
  4. 前記勾配算出ブロックを含む領域内の最大輝度値及び最小輝度値の間の輝度差分が閾値以上であれば、当該勾配算出ブロックをより細かく分割する再分割部を更に具備する請求項1記載の画像処理装置。
  5. 画像信号を複数の勾配算出ブロックに分割することと、
    前記勾配算出ブロックを構成する画素から1つの勾配算出画素を決定することと、
    前記勾配算出画素と前記勾配算出画素の少なくとも1つの周辺画素とを含む集計領域に属する各画素の勾配の強度及び勾配の角度を算出することと、
    前記勾配の角度を複数の方向に標本化して標本化された各方向に属する前記勾配の強度を集計することによって、ヒストグラムを算出することと、
    複数のヒストグラムテンプレート及び複数のフィルタ情報が対応付けて記憶されている記憶部から前記ヒストグラムに最も類似したヒストグラムテンプレートを探索することと、
    探索されたヒストグラムテンプレートに対応するフィルタ情報を用いて前記勾配算出ブロックを構成する各画素にフィルタ処理を行うことと
    を具備する、画像処理方法。
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