JP5071585B2 - 電気接続箱 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に搭載される電気接続箱に関し、特に、レバー式コネクタを装着する電気接続箱に関する。
例えば、自動車用電気接続箱に嵌合接続されるコネクタには、電源回路用のコネクタのように、内部に収容された端子サイズが大きいものがある。この種のコネクタは、コネクタの嵌合に際して強い挿入力を必要とするため作業者の負担が大きい点に課題があり、近年では、低い挿入力でも嵌合可能なレバー式コネクタが用いられることがある。
図16および図17に、この種のレバー式コネクタの一例を示す。コネクタ100は回動レバー式コネクタであり、コネクタハウジング101の周壁は四角枠状の内壁部102と外壁部103とからなる二重壁構造である。内壁部102と外壁部103の間の空間は、後述する電気接続箱1のケース2に突設したフード部3の嵌合用空間104とすると共に、一対の長辺側空間はレバー107の収容空間105としている。該レバー収容空間105には、前記外壁部103の内面から一対の軸部106を突設している。
前記レバー107は、一対の側板108の一端同士を操作板109で連結した略コ字形状とし、両側板108の先端側は外縁を円弧状に湾曲させている。図17(A)(B)に示すように、両側板108の略中心には前記軸部106に外嵌する軸穴110を設け、該両側板108を前記コネクタハウジング101の前記レバー収容空間105内に挿入してハウジング101の前記内壁部102を両側から挟むように配置し、前記軸穴110に前記軸部106を嵌合することによって、レバー107をハウジング101に回動可能に軸支させている。
前記レバー107の両側板108にはカム溝111を形成している。該カム溝111は、側板108の周縁に開口して入口111aを備えると共に、該入口111aから奥端111bに向かって前記軸穴110との距離が漸次近接するように湾曲して延在している。
同種のレバー式コネクタは、本出願人の先の出願に係る特開2007−18764号でも示されている。また、レバー式コネクタには、回動レバー式のほかスライドレバー式もある。
前記回動レバー式コネクタ100は、例えば、図16に示すように、電気接続箱1のケース2の上面に突設されたフード部3に嵌合収容され、該フード部3の対向する一対の周壁の外側にはカムピン4を一体に突設している。ケース2内には、図18に示すように、プリント基板やバスバー5等の積層品を内部回路として収容し、バスバー5を屈曲させて形成したタブを雄端子6としてフード部3内に突出させている。
前記フード部3に前記回動レバー式コネクタ100を嵌合装着する際は、まず、図17(A)に示すように該コネクタ100をフード部3に仮嵌合し、前記カムピン4に前記レバー107のカム溝111を係合させた後レバー107を回動させることにより、図17(B)に示すように、カムピン4がカム溝111に沿って奥端111bへと誘導され、同時にコネクタ100がフード部3に深く引き込まれて正規嵌合し、フード部3内の前記雄端子6とコネクタ100内の雌端子(図示せず)との接続が完了する。
このように、レバー式コネクタを用いると、嵌合力の大きいコネクタでも低い挿入力で容易に正規嵌合できる点にメリットがある。
しかしながら、その嵌合力の強さゆえに、レバー107を回動させると、図18に示すように、フード部3より突設したカムピン4に対して上方への強い引き上げ力が作用し、該カムピン4と一体のフード部3とケース2の上壁2aも一緒に持ち上げられるようになる。一方、コネクタ100の嵌合時には前記雄端子6に強い荷重がかかるため、バスバー5や絶縁板7等の積層品が押し下げられて雄端子6の沈み込みも発生する。このように、フード部3の引き上げや雄端子6の沈み込みが生じることにより、雄端子6のフード部3内の突出代が少なくなり、接続不良等の不具合が発生しやすい点に問題があった。
前記問題に対しては、特に端子の沈み込みを防止する策として、絶縁板を厚くして強化する、あるいは、ケースの周壁や底壁から突設したリブや筒部を前記積層品の下面に当接させて下支えする、あるいは、積層品をケースに螺子留めすること等が考えられるが、これらの方法では、コネクタの嵌合力によってケース自体が撓んだり変形することを防止できず、また、電気接続箱の大型化を招いたり、工数や部品数が増加してコスト高につながる点に課題がある。
特開2007−18764号公報
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、嵌合力の強いレバー式コネクタを装着する電気接続箱において、コネクタ嵌合によるケースの浮き上がりと端子の沈み込みを共に防止し、かつ、電気接続箱の大型化およびコスト高を抑制することを課題としている。
前記課題を解決するために、本発明は、
アッパケースとロアケースとからなるケース内部に導電材および絶縁板を収容し、
前記アッパケースの表面にレバー式コネクタ収容部のフード部を設け、該フード部にレバー式コネクタを挿入し、レバーの回動操作またはスライド操作で該レバー式コネクタ内の端子と前記フード部の内部に下方より突出させた前記導電材の端子とを嵌合接続する電気接続箱であって、
前記フード部の対向する側壁に設けた穴と、該穴に嵌め込む軸受材を備え、
前記軸受材は前記フード部と別体の部材とし、
前記軸受材から突設した軸を前記レバー式コネクタのレバーに設けた軸穴に嵌合させることを特徴とする電気接続箱を提供している。
具体的には、例えば、前記フード部の側壁の下端から切込穴を設けると共に、前記アッパケースの上壁に前記切込穴に連通する貫通穴を設け、これら貫通穴と切込穴にカムピンを備えた別体の軸受材を嵌め込み、該軸受材は、前記カムピンを突設した軸受部と、該軸受部を立設した支持部とからなり、該支持部を前記導電材よりも下方に配置し、軸受材から突設したカムピンを前記レバー式コネクタのレバーに設けたカム溝に嵌合させて前記回動操作またはスライド操作を行う構成としている。
前記構成の電気接続箱は、レバー式コネクタのレバーに設けたカム溝に嵌合するカムピンを、前記フード部に一体に設けず、カムピンを設けた別体の軸受材をフード部に嵌めこむようにしているため、レバー式コネクタの嵌合時にカムピンに強い引き上げ力が作用しても、その引き上げ力はフード部に直接的には作用せず、フード部の引き上げやアッパケースの浮き上がりを防止できることにより、フード部内への端子の突出代の減少を防ぐことができる。
また、前記カムピンを備えた前記軸受材の支持部を前記導電材よりも下方に配置すると、コネクタ嵌合時にカムピンが受ける強い引き上げ力が、一体連続の前記軸受部と支持部を介して前記導電材にも作用する。よって、コネクタの強い嵌合力によって導電材の端子に強い押し下げ力が加わっても、前記引き上げ力が同時に作用することにより、導電材、ひいては端子の沈み込みを有効に防止することができる。
このように、フード部の引き上げやアッパケースの浮き上がりと、端子の沈み込みの両方を同時に防ぐことができるため、フード部内への端子の突出代の減少を有効に防止でき、接続信頼性を高めることができる。また、従来のようにケースに突設したリブや筒部で絶縁板を支持したり、絶縁板をケースに螺子締めする構成ではないため、特別なスペースを必要とせず電気接続箱の大型化を防止できるうえ、コスト高も抑えることができる。
前記軸受材は、前記ロアケース、前記ケース内部に収容する絶縁板、または該ケース内に収容する専用支持材から突設している。
これにより、前記軸受材の配置スペースを小さくできるうえ、前記軸受材の紛失も防止できる。なお、前記専用支持材は、樹脂成形品でも金属加工品、金属を樹脂で被覆した部品でもよい。
前記軸受材の肉厚は、前記フード部の肉厚以上であることが好ましい。
これにより、コネクタ嵌合時に加わる強い引き上げ力に対する耐性および強度が高まり、軸受材の変形を防ぐことができる。
前記軸受材の外周面は前記フード部に設ける穴の内周面に隙間をあけて沿わせる形状としていることが好ましい。
前記隙間により、コネクタ嵌合時に軸受材が多少引き上げられたとしても、フード部まで引き上げられることを防止できる、あるいは、フード部も引き上げられたとしてもその引き上げ寸法を小さくすることができ、フード部内の端子の突出代の減少を抑えることができる。
なお、前記カムピンは、前記フード部の内外いずれに突出させてもよい。カムピンをフード部外に突出させる場合は、前記レバー式コネクタの嵌合時にレバーでフード部の外面を両側から挟むように嵌め込んで前記カムピンと係合させる。一方、カムピンをフード部内に突出させる場合は、コネクタ嵌合時にレバーをフード部内に挿し込んでカムピンと係合させる。また、前記レバー式コネクタが、レバーをスライド操作するスライドレバー式である場合、スライドレバーのスライダーとなる側板は2枚でも1枚でもよい。スライドレバーの側板が1枚の場合はカムピンをフード部内に1つ突出させる。
上述したように、本発明によれば、レバー式コネクタを嵌合する際に強い引き上げ力を受けるカムピンを、該コネクタを嵌合するフード部に一体に設けるのではなく、該フード部やアッパケースとは別体の軸受材に設け、このカムピンを備えた軸受材をフード部の穴に嵌めこんでフード部と合体させているため、レバー式コネクタの嵌合時にカムピンが強い引き上げ力を受けても、その引き上げ力がフード部やアッパケースに直接的に伝わることを防止できる。
また、前記軸受材の支持部を、フード部内に端子を突出させた導電材よりも下方に配置すると、レバー式コネクタの嵌合時に前記端子および導電材に強い押し下げ力が作用しても、前記軸受材が受ける前記引き上げ力の伝播により前記導電材には引き上げ力も作用し、該導電材および端子の沈み込みを防止できる。
このように、フード部およびアッパケースの引き上げと端子の沈み込みの両方を防止でき、フード部内の端子の突出代の減少を有効に防ぐことができるため、接続信頼性を高めることができる。また、端子の沈み込みを防止するために、従来のようなリブ等による絶縁板支持構造や螺子による絶縁板固定構造を用いないため、部品数および工数を削減できるうえ、電気接続箱の大型化も防止できる。
さらに、前記軸受材の支持部をロアケースまたは前記導電材を固定した絶縁板で構成することにより、軸受材用の設置スペースを極小化でき、電気接続箱の大型化を抑制できると共に、軸受材の紛失を防止でき、作業性もよい。
本発明の第一実施形態に係る電気接続箱の構成を示す説明断面図である。 アッパケースとロアケースの分解斜視図である。(内部回路体省く) アッパケースにロアケースを組み付けた状態を示す斜視図である。 図1の要部拡大図である。 図3のV−V線断面図である。 変形例1を示す斜視図である。 (A)(B)は、図6に示すコネクタの嵌合装着時のカム作用を説明する一部切欠側面図である。 本発明の第二実施形態に係る電気接続箱とコネクタを示す斜視図である。(電源線省く) 図8のIX−IX線断面図である。 (A)(B)は、図8に示すコネクタの嵌合装着時のカム作用を説明する側面図である。 本発明の第三実施形態に係る電気接続箱とコネクタを示す斜視図である。 図11のXII−XII線断面図である。 (A)(B)は、図12に示すコネクタの嵌合装着時のカム作用を説明する一部切欠側面図である。 本発明の第四実施形態に係る軸受部材の斜視図である。 図14に示す軸受材を収容した電気接続箱の内部構成を示す断面図である。 従来例を示す斜視図である。 (A)(B)は図16に示すコネクタの嵌合装着時のカム作用を説明する一部切欠側面図である。 従来例の問題点を説明する断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に、本発明の第一実施形態に係る電気接続箱10を示す。
電気接続箱10は、自動車に配索するワイヤハーネスに接続されるヒューズボックスであり、図1に示すように、アッパケース11にロアケース12を組み付けてなる。アッパケース11およびロアケース12はいずれも樹脂成形品からなる。
前記アッパケース11の上壁11aには、電源線Wの端末に接続したレバー式コネクタ100を嵌合する収容部13のフード部14を突設している。ロアケース12の底壁12aの上面には、バスバー16等の導電材を上面に固定した絶縁板18を複数積層してなる内部回路体15を固定している。該ロアケース12を前記アッパケース11に組み付け、ケース内部に前記内部回路体15を収容していると共に、バスバー16を屈曲させて形成した複数のタブ端子17をアッパケース11のフード部14内に上向きに突出させている。
前記回動レバー式コネクタ100は、図16および図17に示す回動レバー式コネクタ100と同一構成であるため、同一符合を付して説明を省略する。
アッパケース11のフード部14には、図2に示すように、長辺側の両側壁19の中央部に下端から切り込んだ一対の切込穴20を形成している。該切込穴20の側面視形状は、長方形状の下側部と台形状の上側部とを連続させた形状よりなる
アッパケース11の上壁11aには、図2に示すように、切込穴20と連続する貫通穴22を形成し、前記コネクタ収容部13の底壁21にも、図5に示すように前記切込穴20と連通する貫通穴23を形成し、前記切込穴20を下方へ開口している。
ロアケース12の底壁12aからは、図2および図3に示すように、アッパケース11の前記切込穴20に嵌めこまれる、対向した一対の軸受材31を上向きに一体に突設している。
前記軸受材31は、切込穴20の形状に対応して長方形状の板片の上側部を台形状とさせた平板よりなり、上側部の外面にカムピン32を一体に突設している。該軸受材31の肉厚T2は、前記フード部14の肉厚T1よりも大としている。
前記切込穴20の内周面20aは、図4に示すように、その全周にわたって前記軸受材31の外周面31aとの間に隙間Sがあくように形成している。
前記内部回路体15の絶縁板18には、図5に示すように、上下に連通する一対の貫通穴24を設け、該貫通穴24を前記軸受材31が貫通できるようにしている。
前記構成の電気接続箱10は、アッパケース11にロアケース12を組み付けることにより、図3および図5に示すように、各絶縁板18の貫通穴24を貫通して上向きに突出した軸受材31が、コネクタ収容部13の底壁21に設けた貫通穴23とアッパケース11の貫通穴22を連通してフード部14の切込穴20に嵌めこまれる。
電気接続箱10に回動レバー式コネクタ100を嵌合接続する際は、フード部14にコネクタ100を仮嵌合した後、軸受材31から突出した前記カムピン32に回動レバー式コネクタ100のカム溝111を係合してレバー107を回動させる。 これにより、コネクタ100を正規嵌合し、フード部14内の端子17とコネクタ100に装着された雌端子とを嵌合接続させる。
このとき、コネクタ100の強い嵌合力により、図5の矢印Aのように、端子17および該端子17を形成したバスバー16に強い押し下げ力が作用し、その強い押し下げ力はバスバー16よりも下層の絶縁板18、さらには、ロアケース12の底壁12aに伝わる。一方、前記カムピン32および該カムピン32と一体連続のロアケース12の底壁12aには、コネクタ100のレバー107の回動と同時に、図5の矢印Bに示すように上向きに引き上げる力が作用する。従って、ロアケース12の底壁12aには、矢印A方向の押し下げ力と矢印B方向の引き上げ力が同時に加わるため、両力は相殺され、引き上げも押し下げも生じず、よって、該ロアケース12の底壁12aに固定された内部回路体15のバスバー16および端子17の沈み込みを防止できる。
また、カムピン32を突設した軸受材31はロアケース12から一体に突設している。フード部14および該フード部14を設けたアッパケース11とは別体であるため、コネクタ100のレバー107の回動時にカムピン32に加わる強い引き上げ力がフード部14およびアッパケース11に直接的に作用することを防止できる。特に、図4に示すように、軸受材31の外周面31aとフード部14の切込穴20の内周面20aとの間に隙間Sを設けているため、軸受材31が多少引き上げられたとしても、フード部14およびアッパケース11の浮き上がりを防ぐ、あるいは浮き上がり量を抑えることができる。
このように、電気接続箱10は、回動レバー式コネクタ100の嵌合接続時に、フード部14およびアッパケース11の浮き上がりと、端子17の沈み込みを共に防ぐことができるため、端子17のフード部14内の突出代hの減少を有効に抑えることができ、接続安定性を高めることができる。
さらに、軸受材31の肉厚T2はフード部14の肉厚T1よりも大としているため、カムピン32にかかる大きな荷重に対する耐性および強度を備えることができ、変形や破損を防止できる。
図6および図7に、第1実施形態の変形例1を示す。
変形例1では、回動レバー式コネクタ100にかえてスライドレバー式コネクタ120を用いることができる。
スライドレバー式コネクタ120は、図6および図7(A)に示すように、雌端子(図示せず)を収容したコネクタハウジング121に、該コネクタ120の嵌合方向と略直交方向にスライド移動するスライドレバー122を備えている。コネクタハウジング121は、筒状の周壁部123の長辺側の両側壁の外面に一対のカバー部124を備え、カバー部124と周壁部123との間の空間をスライドレバー122の収容空間としている。前記周壁部123の長辺側両側壁には、図7(A)に示すように、アッパケース11のフード部14に嵌めこまれた軸受材31のカムピン32を貫通させる切込穴128を設けている。
スライドレバー122は、一対のスライダー125の一端同士を操作板126で連結したコ字形状よりなり、スライダー125には、該スライダー125の先端側から操作板126側に向かって延在するカム溝127を形成している。該カム溝127は、スライダー125の先端部でコネクタ嵌合方向の先端側に開口して入口127aを形成し、該入口127aから奥端127bに向かってコネクタ離脱方向へと湾曲している。
前記構成のスライドレバー式コネクタ120は、図7(A)(B)に示すように、スライドレバー122を引き出した状態で該コネクタ120をフード部14に仮嵌合し、カムピン32をカム溝127の入口127aに嵌めこんだ後、スライドレバー122を押し込むことによりフード部14に正規嵌合される。このスライドレバー122のスライド操作は、湾曲したカム溝127とカムピン32のカム作用によってコネクタ120をフード部14内に深く嵌合させる点で、前記回動レバー式コネクタ100のレバー107の回動操作と同じである。
図8乃至図10に、本発明の第二実施形態を示す。
第二実施形態では、図9に示すように、一対の軸受材31を、上面にバスバー16を固定した最下層の絶縁板18Aから上向きに一体に突出させている。また、各軸受材31には、カムピン32を内側に対向させて突設している。
前記軸受材31を嵌めこんだアッパケース11のフード部14には、回動レバー式コネクタ130を嵌合する。該回動レバー式コネクタ130は、図8に示すように、コネクタハウジング131の内部に複数の雌端子(図示せず)を装着していると共に、該コネクタハウジング131の四角筒状の周壁部132の長辺側両側壁の外側に、該両側壁を挟むように回動レバー134を取り付けている。コネクタハウジング131の前記両側壁の外面には一対の軸部133を突設している。
前記回動レバー134は、一対の側板135の一端側を操作板136で連結した略コ字形状よりなり、前記両側板135には軸穴137を設け、該軸穴137に前記軸部133を嵌合することによって、回動レバー134をハウジング131に回動可能に軸支している。
前記回動レバー134の両側板135にはカム溝138を形成している。該カム溝138は、側板135の周縁に開口して入口138aを備えると共に、該入口138aから奥端138bに向かって前記軸穴137との距離が漸次近接するように湾曲する円弧状に延在させている。
前記構成の回動レバー式コネクタ130は、図10(A)(B)に示すように、回動レバー134の操作板136を引き上げた状態でフード部14に仮嵌合する。カムピン32をカム溝138の入口138aに嵌めこんだ後、操作板136を押し下げてレバー134を回動させることにより、フード部14に正規嵌合される。この回動レバー134の回動操作は、湾曲したカム溝138とカムピン32のカム作用によってコネクタ130をフード部14内に深く嵌合させる点で、前記回動レバー式コネクタ100の回動操作やスライドレバー式コネクタ120のスライド操作と同じである。
その他の構成は前記第1実施形態と同一構成であるため、同一符合を付して説明を省略する。
本第二実施形態においても、回動レバー式コネクタ130のレバー134の回動操作によりカムピン32には強い引き上げ力が作用するが、該カムピン32を設けた軸受材31はフード部14およびアッパケース11とは別体であるため、カムピン32が受けた引き上げ力がフード部14およびアッパケース11に伝わって該フード部14およびアッパケース11が浮き上がることを防止できる。
また、前記軸受材31は、フード部14内に突出させた端子17を設けたバスバー16を上面に固定した最下層の絶縁板18Aから一体に突設しており、バスバー16よりも下方に積層された絶縁板18Aで軸受材31を支持しているため、コネクタ130の嵌合時に端子17およびバスバー16に強い押し下げ力が作用しても、該バスバー16よりも下層の前記絶縁板18Aには前記軸受材31が受ける引き上げ力も作用し、押し下げ力と引き上げ力とを相殺することができる。よって、内部回路体15全体の沈み込みを防止できることにより、端子17の沈み込みも有効に防ぐことができる。
なお、本実施形態では最下層の絶縁板18Aより軸受材31を突出させているが、最上層あるいは中間層の絶縁板18より軸受材31を突出させてもよい。具体的には、回転式レバーコネクタ130と嵌合されるタブ端子17が最上層の絶縁板18から突出し、中間層および最下層の絶縁板18上からはタブ端子17が突出していない場合は、最上層の絶縁板18より軸受材31を突出させてもよい。また、中間層の絶縁板18上から回転式レバーコネクタ130と嵌合されるタブ端子17が突出し、最下層の絶縁板18Aからタブ端子17が突出していない場合には、中間層の絶縁板18から前記軸受材31を突出させてもよい。即ち、タブ端子17が突出するそれぞれの絶縁板のうち、最も下方に位置する絶縁板より軸受材31を突出させることも許容される。
図11乃至図13に本発明の第三実施形態を示す。
第三実施形態では、図11に示すように、フード部14の長辺側一側面に1つの切込穴20を設け、該切込穴20に1本の軸受材31を嵌めこんでいる。該軸受材31は、図12に示すように、フード部14に端子17を突出させたバスバー16を上面に固定した最下層の絶縁板18Aから上向きに一体に突設されており、該軸受材31のカムピン32は、軸受材31がフード部14の前記切込穴20に嵌めこまれたときに該フード部14内の略中央部に先端部が達するように長く突出している。
前記フード部14には、スライドレバー式コネクタ140を嵌合する。該スライドレバー式コネクタ140は、コネクタハウジング141の内部に、複数の雌端子(図示せず)を装着していると共に、図13(A)に示すように、コネクタ140の嵌合方向と略直交方向にスライドするレバー145の収容空間142を備えている。
前記コネクタハウジング141の周壁のうち、前記レバー145を挿し抜きする側の周壁には、前記レバー収容空間142と連通するレバー引き出し開口部143を形成している。また、コネクタハウジング141の周壁のうち、フード部14への嵌合状態において前記カムピン32と対向する側の周壁にはカムピン挿通溝144を形成している。このカムピン挿通溝144は、コネクタ140の嵌合方向先端側に向かって開口していると共に、前記レバー収容空間142に連通している。
前記スライドレバー145は、操作板146の中央から一枚のスライダー147を突出させたT字形状よりなり、スライダー147の一面側にはカム溝148をスライダー147の先端側から操作板146側に向かって延在させて形成している。該カム溝148は、図13(A)(B)にも示すように、スライダー147の先端部でコネクタ140の嵌合方向先端側に開口して入口148aを形成し、該入口148aから奥端148bに向かってコネクタ離脱方向へと傾斜している。
前記フード部14の一周壁には、図11に示すように、前記スライドレバー式コネクタ140のスライドレバー145を挿し抜きができるように上端から下方に切り込んだ切欠溝25を形成している。
前記構成のスライドレバー式コネクタ140は、図13(A)(B)に示すように、スライドレバー145を引き出した状態でフード部14に仮嵌合し、前記カムピン挿通溝144から導入してハウジング141内に突出させたカムピン32をカム溝148の入口148aに嵌めこんだ後、スライドレバー145を押しこむことにより、フード部14に正規嵌合される。このスライドレバー145のスライド操作は、傾斜したカム溝148とカムピン32のカム作用によってコネクタ140をフード部14内に深く嵌合させる点で、前記回動レバー式コネクタ100、130の回動操作やスライドレバー式コネクタ120のスライド操作と同じである。
その他の構成は、前記第2実施形態と同じであるため、同一符合を付して説明を省略する。
本第三実施形態においても、フード部14およびアッパケース11の引き上げが抑制され、かつ、バスバー16を固定した最下層の絶縁板18Aに、端子17から伝播される押し下げ力と同時にカムピン32から伝播される引き上げ力が作用し、互いに相殺されることにより、絶縁板18A、ひいては端子17の沈み込みを防止することができる点は、前記第2実施形態と同じである。
図14および図15に、本発明の第四実施形態を示す。
第四実施形態では、金属加工品からなる専用の軸受部材30を用いている。
前記軸受部材30は、図14に示すように、一対の軸受材31を平板状の支持部33で連結したコ字形状としている。軸受材31の形状は前記第1実施形態と同一であり、カムピン32を外側に突出させている。
全絶縁板18には、図15に示すように一対の貫通穴24を設け、各貫通穴24を上下に連通させている。
最下層の絶縁板18Aの下面側から軸受材31を貫通穴24に挿し込んで貫通させ、該軸受材31を、コネクタ収容部13の底壁21に設けた貫通穴23とアッパケース11に設けた貫通穴22も貫通させて前記フード部14の前記切込穴20に嵌めこむ。このとき、軸受部材30の支持部33は、最下層の絶縁板18Aの下面側に当接する。
本実施形態においても、独立した専用の軸受部材30にカムピン32を形成しているため、コネクタ嵌合時におけるフード部14およびアッパケース11の引き上げが抑制される。また、バスバー16を固定した最下層の絶縁板18Aには、端子17から伝わる押し下げ力が作用すると同時に、カムピン32から伝わる引き上げ力が軸受部材30の前記支持部33を介して作用するため、押し下げ力が引き上げ力によって相殺され、絶縁板18、ひいては端子17の沈み込みを防止することができる。
また、軸受部材30の支持部33は、レバー式コネクタと嵌合するタブ端子17が最上層の絶縁板18のみから突出する場合には、該絶縁板18の下面に配置し、中間層の絶縁板18からタブ端子17が突出し、最下層の絶縁板からタブ端子が突出しない場合には中間層の絶縁板18の下面に配置してもよく、タブ端子17が突出するそれぞれの絶縁板のうち、最も下方に位置する絶縁板の下面に配置することも許容される。
なお、前記軸受部材30の形状は前記実施形態に限定されるものではない。フード部に嵌合するレバー式コネクタの構造に応じて、一対の軸受材の内側にカムピン32を突出させたものでも、あるいは、一枚の平板状の支持部の中央から一枚の軸受材を逆T字状に突設し該軸受材の片面からカムピンを突設してもよい。
前記軸受部材30は強度が保てるものであれば、樹脂成型品としてもよい。その場合は、レバー式コネクタの材質よりも硬度が高い樹脂を用いるのが好適である。
また、軸受部材30の一部を金属とし、該金属を樹脂でモールドしたものでも良い。その場合、金属を採用する箇所は軸受材31のみ、または支持部33のみ、あるいは軸受材31と支持部33の双方としても良く、適宜選択可能である。
このように、軸受部材30の材質は強度、寸法精度、絶縁性、コスト等を考慮して適宜に選択可能である。
10 電気接続箱
11 アッパケース
12 ロアケース
14 フード部
16 バスバー(導電材)
17 タブ端子
18、18A 絶縁板
20 切込穴
22、23、24 貫通穴
31 軸受材
32 カムピン
100、120、130、140 レバー式コネクタ
107、122、134、145 レバー
111、127、138、148 カム溝

Claims (4)

  1. アッパケースとロアケースとからなるケース内部に導電材および絶縁板を収容し、
    前記アッパケースの表面にレバー式コネクタ収容部のフード部を設け、該フード部にレバー式コネクタを挿入し、レバーの回動操作またはスライド操作で該レバー式コネクタ内の端子と前記フード部の内部に下方より突出させた前記導電材の端子とを嵌合接続する電気接続箱であって、
    前記フード部の対向する側壁に設けた穴と、該穴に嵌め込む軸受材を備え、
    前記軸受材は前記フード部と別体の部材とし、
    前記軸受材から突設した軸を前記レバー式コネクタのレバーに設けた軸穴に嵌合させることを特徴とする電気接続箱。
  2. 前記軸受材は、前記ロアケース、前記ケース内部に収容する絶縁板、または該ケース内に収容する専用支持材から突設している請求項1に記載の電気接続箱。
  3. 前記軸受材の肉厚は前記フード部の肉厚以上である請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
  4. 前記軸受材の外周面は前記フード部に設ける穴の内周面に隙間をあけて沿わせる形状としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電気接続箱。
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