以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した光ディスクドライブの主な構成例を示すブロック図である。
図1に示される光ディスクドライブ10は、所定の位置に装着された光ディスク21に対して、情報の読み出しや書き込みを行う装置である。光ディスクドライブ10は、システムコントローラ11、スピンドルモータ駆動回路12、スピンドルモータ13、サーボ制御部14、データプロセッサ15、および光学ヘッド部16を有している。
システムコントローラ11は、光ディスクドライブ10内の各部の動作を制御する制御部である。システムコントローラ11のCPU(Central Processing Unit)31は、ROM(Read Only Memory)32に記憶されているプログラム、またはRAM(Random Access Memory)33にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM33にはまた、CPU31が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
スピンドルモータ駆動回路12は、システムコントローラ11に制御されて、光ディスク21を回転させるためのスピンドルモータ13の回転駆動を制御する。サーボ制御部14は、システムコントローラ11に制御されて、光ピックアップ(光学ヘッド部16)の位置制御を行う。データプロセッサ15は、システムコントローラ11に制御されて、光ディスク21より読み出された情報や光ディスク21に書き込む情報を処理対象とする情報処理を行う。光学ヘッド部16は、システムコントローラ11に制御されて、光ディスク21に対してレーザ光を照射し、情報を読み出したり書き込んだりする。
例えば、光学ヘッド部16は、データプロセッサ15より取得した、デジタルデータを電気信号から光信号(レーザ光)に変換し、そのレーザ光の光出力レベルを、光ディスク表面を冷却するときの発光パワーであるクールパワー(クール光出力レベル)、光ディスクに記録されている情報を消去するときの発光パワーであるイレースパワー(イレース光出力レベル)、並びに、光ディスクに情報を書き込むときの発光パワーであるピークパワー(ピーク光出力レベル)のいずれかに切り替えながら光ディスク21に照射することにより、そのデジタルデータを光ディスク21に書き込む。また、光学ヘッド部16は、光ディスク21にレーザ光を、光ディスクに記録されている情報を読み出すときの発光パワーであるリードパワー(リード光出力レベル)で照射することにより、光ディスク21に記録されているデジタルデータを光信号として抽出し、それを電気信号に変換してデータプロセッサ15に供給する。
このような光ディスクドライブ10において、レーザ発光パワーの制御は、後述するように、光学ヘッド部16において行われる。そのレーザ発光パワーの制御の校正は、システムコントローラ11によって実行される。
図2は、図1の光学ヘッド部16の詳細な構成例を説明する図である。なお、図2においては、光学ヘッド部16の構成とともに、説明のために、システムコントローラ11およびデータプロセッサ15も併せて記載している。
図2において、光学ヘッド部16は、LD(Laser Diode)111、FPD(front photo detector)112、APC(Auto Power Control)113、LDD(Laser Diode Driver)114、およびライトストラテジ123を有している。
LD111は、図1の光ディスク21に、情報の読み出しや書き込みのためのレーザ光を照射するレーザダイオードである。LD111は、LDD114より供給される電流の電流値に応じたパワー(光出力レベル)のレーザ光を発光出力する。
FPD112は、LD111近傍に設けられ、LD111より出力されるレーザ光を検出する光検出器である。FPD112は、検出したレーザ光を光電変換し、そのレーザ光のパワー(光出力レベル)を電圧で示す電気信号をAPC113に供給する。
APC113は、FPD112より供給された電気信号に基づいて、LD111が発光出力するレーザ光のパワー(光出力レベル)の制御を行う。APC113は、LDD114に対して、LD111に供給する電流の電流値を指示する指示値(制御電圧)を供給することにより、LD111が発光出力するレーザ光のパワーを制御する。つまり、APC113は、FPD112より供給された電気信号の電圧から、LD111が発光出力するレーザ光のパワーを把握し、そのパワーに応じて、出力する指示値を補正する。例えば、APC113は、レーザ光のパワー(FPD112より供給される電気信号の電圧)が所望のパワー(目標値)より小さい場合、レーザ光のパワーを上げるように、出力する指示値を高くし、レーザ光のパワーが所望のパワーより大きい場合、レーザ光のパワーを下げるように、出力する指示値を低くする。
なお、APC113は、レーザ光のパワーを制御するチャンネルを複数有している。LD111は、レーザ光を常に一定のパワーで出力するのではなく、読み出しや書き込み等、状況に応じたパワーでレーザ光を発光する。APC113は、システムコントローラ11やライトストラテジ123の制御に基づいて、各チャンネルにおいて互いに異なる1つのパワーレベルでのパワー制御を行うことにより、それらの複数のパワーレベルでの制御を実現する。
図2の例においては、APC113は、光ディスクより情報を読み出すときの発光パワーであるリードパワー(リード光出力レベル)を制御する指示値を出力するリードチャンネル、クールパワーを制御する指示値を出力するクールチャンネル、イレースパワーを制御する指示値を出力するイレースチャンネル、並びに、ピークパワーを制御する指示値を出力するピークチャンネルを有している。
また、詳細については後述するが、APC113は、LDD114がLD111へ過剰な、若しくは、過小な電流を供給するのを抑制するために、各チャンネルの異常な指示値出力を検出する機能を有する。
LDD114は、APC113の各チャンネルより供給される指示値を、その指示値に対応する電流値の電流に変換し、それらのうち、ライトストラテジ123により選択された電流を互いに加算してLD111に供給する。
ライトストラテジ123は、システムコントローラ11の制御や、データプロセッサ15より供給される書き込み用のデータに基づいて、APC113およびLDD114を制御し、LD111より所望のパワーでレーザ光が発光出力されるようにする。例えば、ライトストラテジ123は、読み出し処理と書き込み処理を切り替える制御信号WGATEをAPC113およびLDD114に対して供給する。また、例えば、ライトストラテジ123は、LD111にピークパワーでレーザ光を発光出力させるように各部を制御する制御信号PEAKおよびLD111にイレースパワーでレーザ光を発光出力させるように各部を制御する制御信号ERASEをLDD114に対して供給する。さらに、ライトストラテジ123は、FPD112より供給される電気信号の電圧レベルをサンプル/ホールドするように指示する制御信号SGATEをAPC113に供給する。
次に、APC113の詳細について説明する。
APC113のサンプル/ホールド部(S/H)131は、ライトストラテジ123より供給される制御信号SGATEに従って、FPD112より供給される電気信号をサンプル(標本化)したのち、その値を一定にホールド(保持)する。ホールドした値はアンプ132において所定の増幅率で増幅され、比較器134および比較器152に供給される。
A1DAC133は、10ビットのD/A(Digital / Analog)コンバータであり、設定された入力(デジタルデータ)に応じた電圧を比較器134に供給する。A1DAC133の入力は、システムコントローラ11により、リードパワーを制御するリードチャンネルの制御電圧VRDC(すなわち、リードパワーの指示値)の目標値(目標値に相当するデジタル値)が設定される。比較器134は、入力されたアンプ132の出力およびA1DAC133の出力を比較し、その比較結果(差分値)を制御電圧調整部135に供給する。
制御電圧調整部135は、逐次比較型A/D(Analog / Digital)コンバータ136のD/Aコンバータ機能であるB1DAC142の出力と、比較器134の出力のうちいずれか一方を選択し、その選択した入力に基づいて、リードチャンネルの制御電圧VRDC(すなわち、リードパワーの指示値)を調整する。入力の選択はライトストラテジ123により制御される。例えば、制御電圧調整部135は、比較器134の出力を入力として選択すると、その差分値を出力(制御電圧VRDC)に反映させる。例えば、差分値が正の場合(すなわち、レーザ光のパワーが目標値より大きい場合)、制御電圧調整部135は、制御電圧VRDC(リードパワーの指示値)を小さくする。逆に、差分値が負の場合(すなわち、レーザ光のパワーが目標値より小さい場合)、制御電圧調整部135は、制御電圧VRDC(リードパワーの指示値)を大きくする。また、制御電圧調整部135は、入力としてB1DAC142の出力を選択する場合、そのB1DAC142の出力をそのまま制御電圧VRDC(リードパワーの指示値)として出力する。
逐次比較型A/Dコンバータ136は、入力されたアナログ信号の電圧と、デジタル値を変換した電圧との比較を、デジタル値を変えながら逐次的に行うことにより、入力されたアナログ信号の電圧に対応するデジタル値を求め、出力する電圧比較方式のA/D変換器である。逐次比較型A/Dコンバータ136の詳細については後述するが、逐次比較型A/Dコンバータ136は、A/Dコンバータとしての機能とD/Aコンバータとしての機能を有する。図2のAD141は、そのA/Dコンバータとしての機能を示し、B1DAC142は、D/Aコンバータとしての機能を示す。逐次比較型A/Dコンバータ136の分解能は10ビットであり、AD141およびB1DAC142の分解能も10ビットである。
AD141は、制御電圧調整部135の出力、すなわち、制御電圧VRDCの電圧値をデジタルデータに変換する。変換して得られたデジタルデータは、システムコントローラ11により読み出される。B1DAC142は、システムコントローラ11によってレジスタにセットされたデジタルデータに相当する電圧値のアナログ信号を出力する。B1DAC142は、後述するイレースパワーを制御するイレースチャンネルやピークパワーを制御するピークチャンネルの校正の際に、リードチャンネルやイレースチャンネルを通常の書き込み処理時と同様に動作させるために、制御電圧VRDCの初期値(基準値)となる定電圧を提供する。
制御電圧調整部135により値を調整された制御電圧VRDCは、リードチャンネルの出力としてLDD114に供給される。なお、この制御電圧VRDCは、端子201にも供給される。
さらに、制御電圧VRDCは、クールパワーを制御するクールチャンネルの減算器138および電子スイッチ(SW)139にも供給される。
B2DAC137は、システムコントローラ11によってレジスタにセットされた、リードパワーとクールパワーの差分値として設定された値(デジタルデータ)に相当する電圧値のアナログ信号を減算器138に出力する。B2DAC137は、後述する通常の書き込み処理時に制御電圧VRDCからクールチャンネルの制御電圧WDC5を生成するための定電圧を提供する。また、B2DAC137は、後述するイレースチャンネルやピークチャンネルの校正処理時にも、クールチャンネルを通常の書き込み処理時と同様に動作させるために定電圧を提供する。さらに、B2DAC137は、通常の読み出し処理時においても、書き込み処理のための準備としてクールチャンネルを通常の書き込み処理時と同様に動作させるために、定電圧を提供する。
減算器138は、制御電圧調整部135の出力(制御電圧VRDC)から、B2DAC137の出力を減算し、その値を電子スイッチ(SW)139に供給する。電子スイッチ(SW)139は、制御電圧VRDC若しくは減算器138の出力のいずれか一方を選択し、クールチャンネルから制御電圧WDC5として、LDD114に出力する。なお、この制御電圧WDC5は、端子202にも供給される。
A2DAC151は、10ビットのD/Aコンバータであり、設定された入力(デジタルデータ)に応じた電圧を比較器152に供給する。A2DAC151の入力は、システムコントローラ11により、ピークチャンネルの制御電圧WDC2(すなわち、ピークパワーの指示値)、および、イレースチャンネルの制御電圧WDC3(すなわち、イレースパワーの指示値)を設定するための制御電圧VWDCの目標値(目標値に相当するデジタル値)が設定される。比較器152は、入力されたアンプ132の出力およびA2DAC151の出力を比較し、その比較結果(差分値)を制御電圧調整部153に供給する。
制御電圧調整部153は、逐次比較型A/Dコンバータ154のD/Aコンバータ機能であるB3DAC162の出力と、比較器152の出力のうちいずれか一方を選択し、その選択した入力に基づいて、制御電圧VWDCを調整する。入力の選択はライトストラテジ123により制御される。例えば、制御電圧調整部153は、比較器152の出力を入力として選択すると、その差分値を出力(制御電圧VWDC)に反映させる。例えば、差分値が正の場合(すなわち、レーザ光のパワーが目標値より大きい場合)、制御電圧調整部153は、制御電圧VWDCを小さくすることによりピークパワーおよびイレースパワーを小さくする。逆に、差分値が負の場合(すなわち、レーザ光のパワーが目標値より小さい場合)、制御電圧調整部153は、制御電圧VWDCを大きくすることによりピークパワーおよびイレースパワーを大きくする。また、制御電圧調整部153は、入力としてB3DAC162の出力を選択する場合、そのB3DAC162の出力をそのまま制御電圧VWDCとして出力する。
逐次比較型A/Dコンバータ154は、逐次比較型A/Dコンバータ136と同様のA/D変換器である。図2のAD161は、逐次比較型A/Dコンバータ154のA/Dコンバータとしての機能を示し、B3DAC162は、D/Aコンバータとしての機能を示す。逐次比較型A/Dコンバータ154の分解能は10ビットであり、AD161およびB3DAC162の分解能も10ビットである。
AD161は、制御電圧調整部153の出力、すなわち、制御電圧VWDCの電圧値をデジタルデータに変換する。変換して得られたデジタルデータは、システムコントローラ11により読み出される。
B3DAC162は、分解能10ビットのD/Aコンバータであり、後述する通常の書き込み処理時において、イレースチャンネルおよびピークチャンネルのための制御電圧VWDCの初期値(基準値)となる定電圧を提供する。さらに、B3DAC162は、通常の読み出し処理時においても、書き込み処理のための準備としてイレースチャンネルおよびピークチャンネルを通常の書き込み処理時と同様に動作させるために、定電圧を提供する。B3DAC162は、システムコントローラ11によってレジスタにセットされたデジタルデータに相当する電圧値のアナログ信号を出力する。
制御電圧調整部153により値を調整された制御電圧VWDCは、さらに、入力電圧に所定の係数(RATIO)を乗算するRATIO用D/AコンバータであるC1DAC155およびC2DAC156に供給される。C1DAC155およびC2DAC156は、8ビットのD/Aコンバータであり、それぞれ、フルスケールに対する入力されたデジタル値の比に応じて制御電圧VWDCを減衰させる。
C1DAC155は、イレースチャンネルのD/Aコンバータであり、C1DAC155により値を調整された制御電圧WDC3は、イレースチャンネルの出力としてLDD114に供給される。なお、制御電圧WDC3は、端子204にも供給される。
また、C2DAC156は、ピークチャンネルのD/Aコンバータであり、C2DAC156により値を調整された制御電圧WDC2は、ピークチャンネルの出力としてLDD114に供給される。なお、制御電圧WDC2は、端子203にも供給される。
次に、LDD114の詳細について説明する。
LDD114において、APC113より供給される制御電圧VRDCは、アンプ(Ar)171において、その電圧値に応じた電流値の電流に変換され、電子スイッチ(SW)172に供給される。またAPC113より供給される制御電圧WDC5はアンプ(Ac)173において、その電圧値に応じた電流値の電流に変換され、電子スイッチ(SW)174に供給される。さらに、APC113より供給される制御電圧WDC2は、アンプ(Ap)175において、その電圧値に応じた電流値の電流に変換され、電子スイッチ(SW)176に供給される。また、APC113より供給される制御電圧WDC3は、アンプ(Ae)177において、その電圧値に応じた電流値の電流に変換され、電子スイッチ(SW)178に供給される。
電子スイッチ(SW)172には、その切り替え制御信号として、ライトストラテジ123よりNOT回路(論理否定回路)を介して制御信号WGATEが供給される。電子スイッチ(SW)172は、制御信号WGATEがオフのとき、アンプ(Ar)171の出力を加算器191に供給する。また、電子スイッチ(SW)174には、その切り替え制御信号として、ライトストラテジ123より制御信号WGATEが供給される。電子スイッチ(SW)174は、制御信号WGATEがオンのとき、アンプ(Ac)173の出力を加算器191に供給する。つまり、光ディスク21からの情報の読み出し(リード)が選択されている時は、電子スイッチ(SW)172がオン状態となり、電子スイッチ(SW)174がオフ状態となり、アンプ(Ar)171の出力(リードパワー)が加算器191に供給される。逆に、光ディスク21への情報の書き込み(ライト)が選択されている時は、電子スイッチ(SW)174がオン状態となり、電子スイッチ(SW)172がオフ状態となり、アンプ(Ac)173の出力(クールパワー)が加算器191に供給される。
電子スイッチ(SW)176には、その切り替え制御信号として、ライトストラテジ123より制御信号PEAKが供給される。電子スイッチ(SW)176は、制御信号PEAKがオンのとき、アンプ(Ap)175の出力を加算器191に供給する。電子スイッチ(SW)178には、その切り替え制御信号として、ライトストラテジ123より制御信号ERASEが供給される。電子スイッチ(SW)178は、制御信号ERASEがオンのとき、アンプ(Ae)177の出力を加算器191に供給する。
加算器191は、電子スイッチ(SW)172、電子スイッチ(SW)174、電子スイッチ(SW)176、および電子スイッチ(SW)178より供給される電流を互いに加算して統合し、その加算結果をLD111に供給する。LD111は、その供給された電流の電流値に応じたパワーでレーザ光を出力する。
図3は、逐次比較型A/Dコンバータ136の詳細な構成例を説明するブロック図である。図3に示されるように、逐次比較型A/Dコンバータ136は、コンパレータ211、制御部212、逐次比較型レジスタ213、およびDAC(Digital Analog Converter)214を有している。逐次比較型A/Dコンバータ136は、上述したように、A/Dコンバータ(AD141)としても、D/Aコンバータ(B1DAC142)としても機能する。
最初にA/Dコンバータとして機能する場合について説明する。制御部212は、入力電圧と比較するデジタル値を逐次比較型レジスタ213にセットする。DAC214は、逐次比較型レジスタ213にセットされたデジタル値に相当する電圧のアナログ信号を出力する。コンパレータ211は、入力電圧と、そのDAC214の出力電圧を比較し、比較結果として、それらの差分値を制御部212に通知する。制御部212は、その差分値に応じて逐次比較型レジスタ213にセットする値を更新する。これによりDAC214の出力電圧が変化する。以上のように比較を順次繰り返しながら、制御部212は、逐次比較型レジスタ213にセットするデジタル値を入力電圧に近づけていく。
例えば、制御部212は、MSB(Most Significant Bit)からLSB(Less Significant Bit)に向かう順に1ビットずつ、コンパレータ211の比較結果に従って、逐次比較型レジスタ213にセットするデジタル値を決定していく。つまり、制御部212は、最初、MSBの値を「1」にセットし、それ以外の値を「0」にセットし、入力電圧と比較させる。そして、コンパレータ211の比較結果において入力電圧の方が大きければ、次のビットを「1」にセットし、DAC214の出力電圧の方が大きければ、現在のビットを「0」に戻し、次のビットを「1」にセットし、再度比較させる。以上のような比較を繰り返しながら、逐次比較型レジスタ213の各ビットが入力電圧に近づくように決定される。
最終的に入力電圧に相当するデジタル値がセットされると、制御部212は、逐次比較型レジスタ213にセットされた値を、逐次比較型A/Dコンバータ136の外部に出力させる(デジタル出力)。
次にD/Aコンバータとして機能する場合について説明する。制御部212は、入力されたデジタル値(デジタル入力)を逐次比較型レジスタ213にセットする。DAC214は、逐次比較型レジスタ213にセットされたデジタル値に相当する電圧のアナログ信号を、逐次比較型A/Dコンバータ136の外部に出力する。
以上のように、逐次比較型A/Dコンバータ136は、AD141およびB1DAC142としての機能を実現する。
なお、逐次比較型A/Dコンバータ154は、逐次比較型A/Dコンバータ136と基本的に同様の構成を有する。従って、図3を参照して上述した逐次比較型A/Dコンバータ136の説明は、逐次比較型A/Dコンバータ154にも適用することができる。
なお、図2においては図示を省略していたが、APC113は、さらに、各チャンネルから出力する制御電圧(指示値)の異常値(過剰な値と過小な値の両方)を検出するAPC指示値エラー検出部を有しており、図4に示されるように、そのAPC指示値エラー検出部の入力端子は、それぞれ、端子201乃至端子204に接続される。
図4は、APC指示値エラー検出部の構成例を説明する図である。図4に示されるように、APC指示値エラー検出部250のアンプ(Kr)251には、リードチャンネルの端子201を介して制御電圧VRDCが入力される。また、APC指示値エラー検出部250のアンプ(Kc)252には、クールチャンネルの端子202を介して制御電圧WDC5が入力される。また、APC指示値エラー検出部250のアンプ(Kp)253には、ピークチャンネルの端子203を介して制御電圧WDC2が入力される。また、APC指示値エラー検出部250のアンプ(Ke)254には、リードチャンネルの端子204を介して制御電圧WDC3が入力される。
アンプ(Kr)251は、入力された制御電圧VRDCに係数Krを乗算し、その乗算結果を加算器255に供給する。係数Krは、レジスタKRSETにセットされた値、若しくはレジスタKRSETにセットされた値により一意に決定される値(増幅率)である。
アンプ(Kc)252は、入力された制御電圧WDC5に係数Kcを乗算し、その乗算結果を加算器255に供給する。係数Krは、レジスタKCSETにセットされた値、若しくはレジスタKCSETにセットされた値により一意に決定される値(増幅率)である。
アンプ(Kp)253は、入力された制御電圧WDC2に係数Kpを乗算し、その乗算結果を加算器255に供給する。係数Kpは、レジスタKPSETにセットされた値、若しくはレジスタKPSETにセットされた値により一意に決定される値(増幅率)である。
アンプ(Ke)254は、入力された制御電圧WDC3に係数Keを乗算し、その乗算結果を加算器255に供給する。係数Keは、レジスタKESETにセットされた値、若しくはレジスタKESETにセットされた値により一意に決定される値(増幅率)である。
加算器255は、アンプ(Kr)251、アンプ(Kc)252、アンプ(Kp)253、およびアンプ(Ke)254のそれぞれより供給される電圧を互いに加算して統合し、加算結果を比較器258および比較器259に供給する。
D1DAC256は、D/Aコンバータであり、レジスタEMCSET_Hにセットされた値をD/A変換し、上側スレッショルド電圧THHとして比較器258に供給する。D2DAC257は、D/Aコンバータであり、レジスタEMCSET_Lにセットされた値をD/A変換し、下側スレッショルド電圧THLとして比較器259に供給する。
比較器258は、加算器255の出力を、D1DAC256より供給された上側スレッショルド電圧THHと比較し、その比較結果をエラーフラグERR-Aとして出力する。つまり、比較器258は、加算器255の出力から上側スレッショルド電圧THHを減算し、減算結果が正の場合、APC113より出力される制御電圧が上側スレッショルド電圧THHを越えた(上側スレッショルド電圧THHより大きい)と判定し、値「1」を出力する(エラーフラグERR-Aを立てる)。逆に、減算結果が負の場合、APC113より出力される制御電圧が上側スレッショルド電圧THHを越えていない(上側スレッショルド電圧THHより小さい)と判定し、値「0」を出力する(エラーフラグERR-Aを解除する)。比較器258より出力されるエラーフラグERR-Aは、AND回路(論理積)260に供給される。
AND回路260は、エラーフラグERR-Aとストローブ信号ENA-Aとの論理積を出力する。つまり、AND回路260は、ストローブ信号ENA-Aにより定義される所定のタイミングでエラーフラグERR-Aの値を出力する。AND回路260の出力はOR回路(論理和)262に供給される。
比較器259は、加算器255の出力を、D2DAC257より供給された下側スレッショルド電圧THLと比較し、その比較結果をエラーフラグERR-Bとして出力する。つまり、比較器259は、下側スレッショルド電圧THLから加算器255の出力を減算し、減算結果が正の場合、APC113より出力される制御電圧が下側スレッショルド電圧THLを越えた(下側スレッショルド電圧THLより小さい)と判定し、値「1」を出力する(エラーフラグERR-Bを立てる)。逆に、減算結果が負の場合、APC113より出力される制御電圧が下側スレッショルド電圧THLを越えていない(下側スレッショルド電圧THLより大きい)と判定し、値「0」を出力する(エラーフラグERR-Bを解除する)。比較器259より出力されるエラーフラグERR-Bは、AND回路(論理積)261に供給される。
AND回路261は、エラーフラグERR-Bとストローブ信号ENA-Bとの論理積を出力する。つまり、AND回路261は、ストローブ信号ENA-Bにより定義される所定のタイミングでエラーフラグERR-Bの値を出力する。AND回路261の出力はOR回路(論理和)262に供給される。
OR回路262は、AND回路260の出力(つまり、エラーフラグERR-A)とAND回路261の出力(つまり、エラーフラグERR-B)との論理和をライトストラテジ123に供給する。つまり、OR回路262は、エラーフラグERR-AおよびエラーフラグERR-Bのうち、いずれか一方のフラグが立っていれば、APC113より出力される制御電圧(APC指示値)が上側スレッショルド電圧THHと下側スレッショルド電圧THLの間から外れたと判定し、ライトストラテジ123にAPC指示値が異常値であることを通知する(APCERR)。
ライトストラテジ123は、書き込み処理中に、APC指示値エラー検出部250(OR回路262)よりAPC指示値の異常(APCERR)を通知されると、制御信号WGATE(図2)をオフにし、書き込み動作を停止させる。
システムコントローラ11は、APC指示値エラー検出部250の各レジスタに値をセットすることができる。例えば、システムコントローラ11は、レジスタKRSETに値をセットすることにより係数Krの値を制御することができ、レジスタKCSETに値をセットすることにより係数Kcの値を制御することができ、レジスタKPSETに値をセットすることにより係数Kpの値を制御することができ、レジスタKESETに値をセットすることにより係数Keの値を制御することができる。
つまり、詳細については後述するが、システムコントローラ11は、これらのレジスタに値を設定(セット)することにより、APC113の各チャンネルより出力される指示値(制御電圧)のエラー検出に対する重みづけを行うことができる。
また、システムコントローラ11は、レジスタEMCSET_Hに値をセットすることにより上側スレッショルド電圧THHの値を制御することができ、レジスタEMCSET_Lに値をセットすることにより下側スレッショルド電圧THLの値を制御することができる。つまり、詳細については後述するが、システムコントローラ11は、これらのレジスタに値を設定(セット)することにより、正常とするAPC指示値のレベルと、そのマージンの大きさ(許容範囲の位置および広さ)を制御することができる。
さらに、システムコントローラ11は、ストローブ信号ENA-AおよびENA-Bを供給することにより、任意のタイミングでエラー検出を行うことができる。
次に、このようなAPCシステム(光ディスクドライブ10)の動作について説明する。最初に、通常時の読み出しや書き込みを行うときの動作について説明する。
光ディスク21に対して情報の読み出しや書き込みを行う場合、図2のLD111は、レーザ光を発光出力する。上述したように、LD111は、LDD114より供給される電流の電流値に応じたパワーでレーザ光を出力する。換言すれば、LDD114は、LD111に供給する電流の電流値によってLD111の発光出力のパワーを制御する。
LD111の出力パワーは、情報の読み出し、情報の消去、情報の書き込み、または光ディスク21の表面の冷却等、その処理内容に応じて互いに異なるパワーでレーザ光を発光出力する。上述したように、LDD114は、各チャンネルの電流を適宜積み上げ(加算し)、その組み合わせの選択により、LD111の各パワーによるレーザ光の発光出力実現する。
LDD114は、APC113よりチャンネル毎に供給される指示値(制御電圧)に応じた電流値の電流を、そのチャンネル毎に生成する。ライトストラテジ123は、WGATE、PEAK、ERASE等の制御信号により、積み上げる電流を選択する。
図5は、その電流の積み上げの様子を説明するための、レーザ光の波形の例を示す図である。図5において矢印301で示される区間が読み出し処理(Read)が行われる区間であり、矢印302で示される区間が書き込み処理(Write)が行われる区間である。
図5の例に示されるように、読み出し処理(Read)においては、リードチャンネルの制御電圧VRDCが変換された電流のみが選択され、LD111に供給される。従ってLD111は、リードパワーでレーザ光を発光出力する。このとき、矢印311に示されるように、APC113によってリードパワー(Read)、すなわち、リードパワーに対応する制御電圧VRDCでAPCがかかる。
また、書き込み処理(Write)における、光ディスク21表面の冷却時(クール)においては、クールチャンネルの制御電圧WDC5が変換された電流のみが選択され、LD111に供給される。この電流に基づいて発光出力されたレーザ光のパワー、すなわち、クールパワー(制御電圧WDC5に相当するパワー)は、図5の例において矢印312および矢印313に示されるように、制御電圧VRDCに相当するリードパワー(矢印312)から、B2DAC137の出力に相当するパワー(矢印313)が減算されて生成される。
矢印313により示されるB2DAC137の値は書き込み処理中固定されているので、APCは、矢印312により示されるパワーに相当する制御電圧VRDCによりかけられる。この制御電圧VRDCは、読み出し処理中に測定される(RP1CAR)。具体的にはAD141により制御電圧VRDCがA/D変換され、デジタル値RINTMON(リードパワーのAPC指示値)として取得される。このようにして取得された制御電圧VRDCを用いて、クールパワー(正確には矢印313により示されるリードパワーとクールパワーの差)を制御する制御電圧WDC5(クールパワーのAPC指示値)の校正が行われる。
書き込み処理における、光ディスク21に記録されている情報の消去(イレース)においては、クールチャンネルの制御電圧WDC5が変換された電流と、イレースチャンネルの制御電圧WDC3が変換された電流とが選択され、互いに加算されてLD111に供給される。この電流に基づいて発光出力されたレーザ光のパワー、すなわち、イレースパワーは、図5の例において矢印312乃至矢印314に示されるように、クールパワー(矢印312および矢印313)に、制御電圧WDC3に相当するパワー(矢印314)が加算されて生成される。つまり、制御電圧WDC3は、イレースパワーとクールパワーとの差分を制御する。
書き込み処理における、光ディスク21への情報の書き込み(ピーク)においては、クールチャンネルの制御電圧WDC5が変換された電流と、ピークチャンネルの制御電圧WDC2が変換された電流とが選択され、互いに加算されてLD111に供給される。この電流に基づいて発光出力されたレーザ光のパワー、すなわち、ピークパワーは、図5の例において矢印312、矢印313、および矢印315に示されるように、クールパワー(矢印312および矢印313)に、制御電圧WDC2に相当するパワー(矢印315)が加算されて生成される。つまり、制御電圧WDC2は、ピークパワーとクールパワーとの差分を制御する。
このように、LDD114は、APC113の複数のチャンネルより供給される制御電圧をそれぞれ変換した電流の組み合わせにより、LD111による各パワーによるレーザ光の発光出力を制御することができる。
次に、通常の読み出し処理の際の(リード動作時の)、光学ヘッド部16内の各部の動作について図6を参照して説明する。図6は、図2に示される構成例における動作を説明する図であり、アクティブな導線を実線の矢印で示し、アクティブでない導線を点線矢印で示している。
読み出し処理であるので、ライトストラテジ123は、制御信号WGATE、PEAK、およびERASEの値を全てオフにする。また、ライトストラテジ123は、制御信号SGATEを、読み出し時の電圧をサンプル/ホールドさせるように設定する。
LD111の光出力がFPD112より光電変換された電圧値は、サンプル/ホールド部(S/H)131により、ライトストラテジ123より供給された制御信号SGATEのタイミングに従ってサンプル/ホールドされ、その電圧値は、アンプ132において増幅され、比較器134、および比較器152に供給される。
A1DAC133のレジスタには、リードパワーの目標値として、所定の指示値RPWRがセットされる。比較器134は、A1DAC133が出力する、レジスタにセットされた指示値RPWRに相当する電圧を、アンプ132の出力から減算する。なお、逐次比較型A/Dコンバータ136のB1DAC142のレジスタには指示値がセットされないので、B1DAC142は、アナログ電圧を出力しない。従って、制御電圧調整部135は、比較器134の出力を選択し、比較器134が出力する差分値に基づいて制御電圧VRDCの電圧値を制御する。その制御電圧VRDCは、リードチャンネルの出力として、LDD114のアンプ(Ar)171において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)172に供給される。制御信号WGATEがオフなので、電子スイッチ(SW)172は、アンプ(Ar)171からの電流を加算器191に供給する。
なお、このとき、逐次比較型A/Dコンバータ136のAD141は、制御電圧VRDCの抽出(デジタル値化)を行わない。
また、制御電圧VRDCは減算器138にも供給される。B2DAC137のレジスタには、所定の指示値P1INISETがセットされる。減算器138は、B2DAC137が出力する、レジスタにセットされた指示値P1INISETに相当する電圧を、制御電圧VRDCから減算する。電子スイッチ(SW)139は、減算器138の出力を選択し、それをクールチャンネルの出力(制御電圧WDC5)として、LDD114のアンプ(Ac)173に供給する。制御電圧WDC5は、LDD114のアンプ(Ac)173において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)174に供給される。ただし、制御信号WGATEがオフなので、電子スイッチ(SW)174は、アンプ(Ac)173からの電流を加算器191に供給しない。
読み出し処理においては、A2DAC151のレジスタには指示値がセットされない。従って、比較器134は、比較結果を出力しない。ただし、逐次比較型A/Dコンバータ154のB3DAC162のレジスタにイレースパワーとピークパワーを制御する指示値P2INISETがセットされる。B3DAC162は、そのP2INISETに相当する電圧を制御電圧調整部153の入力に印加する。制御電圧調整部153は、そのB3DAC162の出力を選択し、制御電圧VWDCとしてC1DAC155およびC2DAC156に供給する。
なお、このとき、逐次比較型A/Dコンバータ154のAD161は、制御電圧VWDCの抽出(デジタル値化)は行わない。
C1DAC155は、レジスタにセットされた指示値ERATIOに相当する比率で制御電圧VRDCを減衰させ、イレースチャンネルの出力(制御電圧WDC3)として、LDD114のアンプ(Ae)177に供給する。制御電圧WDC3は、LDD114のアンプ(Ae)177において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)178に供給される。ただし、制御信号ERASEがオフなので、電子スイッチ(SW)178は、アンプ(Ae)177からの電流を加算器191に供給しない。
C2DAC156は、レジスタにセットされた指示値PRATIOに相当する比率で制御電圧VRDCを減衰させ、ピークチャンネルの出力(制御電圧WDC2)として、LDD114のアンプ(Ap)175に供給する。制御電圧WDC2は、LDD114のアンプ(Ap)175において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)176に供給される。ただし、制御信号PEAKがオフなので、電子スイッチ(SW)176は、アンプ(Ap)175からの電流を加算器191に供給しない。
以上のように、通常の読み出し処理においては、加算器191にリードチャンネルの電流のみが供給される。従って、加算器191は、その電流をそのままLD111に供給する。以上によりLD111は、制御電圧VRDCに相当するリードパワーでレーザ光を発光出力する。
なお、以上において、APC113は、読み出し処理の際も、クールチャンネルの制御電圧WDC5、ピークチャンネルの制御電圧WDC2、およびイレースチャンネルの制御電圧WDC3もLDD114に出力するように説明したが、これらの制御電圧は、読み出し処理時には利用されないのでAPC113は、これらを出力しないようにしてもよい。ただし、上述したように各制御電圧を出力させることにより、LDD114は、読み出し処理から書き込み処理に移行したときに、立ち上がり等のタイムラグを必要とせずに、直ぐに、各制御電圧に相当する電流をLD111に供給することができる。
また、制御電圧VRDCは端子201を介して、制御電圧WDC5は端子202を介して、制御電圧WDC2は端子203を介して、制御電圧WDC3は端子204を介して、それぞれ、APC指示値エラー検出部250(図4)に供給される。従って、上述したように、読み出し処理の際も各チャンネルから制御電圧を出力させることにより、APC指示値エラー検出部250は、読み出し処理中にリードパワーだけでなく、クールパワー、イレースパワー、およびピークパワーのそれぞれの指示値エラーを検出することができる。
次に、通常の読み出し処理中に行われる制御電圧VRDCの抽出処理時の、光学ヘッド部16内の各部の動作について図7を参照して説明する。図7は、図2に示される構成例における動作を説明する図であり、アクティブな導線を実線の矢印で示し、アクティブでない導線を点線矢印で示している。
制御電圧VRDCの抽出は、通常の読み出し処理中に行うので、各部の動作は基本的に図6を参照して説明した、通常の読み出し処理の場合と基本的に同様である。その上で、逐次比較型A/Dコンバータ136のAD141が、システムコントローラ11に制御され、制御電圧VRDCを取り込んでA/D変換し、デジタル値RINTMONとして出力する。
この時も、APC指示値エラー検出部250(図4)は、通常の読み出し処理中と同様に、リードパワーだけでなく、クールパワー、イレースパワー、およびピークパワーのそれぞれの指示値エラーを検出することができる。
次に、通常の書き込み処理の際の、光学ヘッド部16内の各部の動作について図8を参照して説明する。図8は、図6や図7と同様に、図2に示される構成例における動作を説明する図であり、アクティブな導線を実線の矢印で示し、アクティブでない導線を点線矢印で示している。
通常の書き込み処理であるので、ライトストラテジ123は、制御信号WGATE、PEAK、およびERASEの値を全てオンにする。厳密には、制御信号PEAKは、光ディスク21に書き込みを行うときのみオンにされ、制御信号ERASEは、光ディスク21に記録されている情報の消去を行うときのみオンにされる。すなわち、これらの制御信号は、書き込み処理中にオンオフの切り替えが行われる。
また、ライトストラテジ123は、制御信号SGATEを、イレース処理時の電圧をサンプル/ホールドさせるように設定する。
LD111の光出力がFPD112より光電変換された電圧値は、サンプル/ホールド部(S/H)131により、ライトストラテジ123より供給された制御信号SGATEのタイミングに従ってサンプル/ホールドされ、その電圧値は、アンプ132において増幅され、比較器134、および比較器152に供給される。
A1DAC133のレジスタには、イレースパワーの目標値として、所定の指示値EPWRがセットされる。比較器134は、A1DAC133が出力する、レジスタにセットされた指示値EPWRに相当する電圧を、アンプ132の出力から減算する。なお、逐次比較型A/Dコンバータ136のB1DAC142のレジスタには指示値がセットされないので、B1DAC142は、アナログ電圧を出力しない。従って、制御電圧調整部135は、比較器134の出力を選択し、比較器134が出力する差分値に基づいて制御電圧VRDCの電圧値を制御する。その制御電圧VRDCは、リードチャンネルの出力として、LDD114のアンプ(Ar)171において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)172に供給される。制御信号WGATEがオンなので、電子スイッチ(SW)172は、アンプ(Ar)171からの電流を加算器191に供給しない。
なお、このとき、逐次比較型A/Dコンバータ136のAD141は、制御電圧VRDCの抽出(デジタル値化)を行わない。
また、制御電圧VRDCは減算器138にも供給される。B2DAC137のレジスタには、所定の指示値P1INISETがセットされる。減算器138は、B2DAC137が出力する、レジスタにセットされた指示値P1INISETに相当する電圧を、制御電圧VRDCから減算する。電子スイッチ(SW)139は、減算器138の出力を選択し、それをクールチャンネルの出力(制御電圧WDC5)として、LDD114のアンプ(Ac)173に供給する。制御電圧WDC5は、LDD114のアンプ(Ac)173において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)174に供給される。制御信号WGATEがオンなので、電子スイッチ(SW)174は、アンプ(Ac)173からの電流を加算器191に供給する。
通常の書き込み処理においては、A2DAC151のレジスタには指示値がセットされない。従って、比較器134は、比較結果を出力しない。ただし、逐次比較型A/Dコンバータ154のB3DAC162のレジスタにイレースパワーとピークパワーを制御する指示値P2INISETがセットされる。B3DAC162は、そのP2INISETに相当する電圧を制御電圧調整部153の入力に印加する。制御電圧調整部153は、そのB3DAC162の出力を選択し、制御電圧VWDCとしてC1DAC155およびC2DAC156に供給する。
なお、このとき、逐次比較型A/Dコンバータ154のAD161は、制御電圧VWDCの抽出(デジタル値化)は行わない。
C1DAC155は、レジスタにセットされた指示値ERATIOに相当する比率で制御電圧VRDCを減衰させ、イレースチャンネルの出力(制御電圧WDC3)として、LDD114のアンプ(Ae)177に供給する。制御電圧WDC3は、LDD114のアンプ(Ae)177において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)178に供給される。制御信号ERASEがオンのとき、電子スイッチ(SW)178は、アンプ(Ae)177からの電流を加算器191に供給する。
C2DAC156は、レジスタにセットされた指示値PRATIOに相当する比率で制御電圧VRDCを減衰させ、ピークチャンネルの出力(制御電圧WDC2)として、LDD114のアンプ(Ap)175に供給する。制御電圧WDC2は、LDD114のアンプ(Ap)175において電流に変換される。変換された電流は電子スイッチ(SW)176に供給される。制御信号PEAKがオンのとき、電子スイッチ(SW)176は、アンプ(Ap)175からの電流を加算器191に供給する。
以上のように、通常の書き込み処理においては、加算器191には、クールチャンネルの電流が供給されるとともに、イレースチャンネルまたはピークチャンネルの電流が必要に応じて供給される。従って、加算器191は、それらの同時に供給される電流を加算し、LD111に供給する。以上によりLD111は、適宜、各パワーでレーザ光を発光出力する。
なお、以上において、APC113は、通常の書き込み処理の際も、リードチャンネルの制御電圧VRDCもLDD114に出力するように説明したが、制御電圧VRDCは、通常の書き込み処理時には利用されないのでAPC113は、この制御電圧VRDCを出力しないようにしてもよい。ただし、上述したように制御電圧VRDCを出力させることにより、LDD114は、書き込み処理から読み出し処理に移行したときに、立ち上がり等のタイムラグを必要とせずに、直ぐに、制御電圧VRDCに相当する電流をLD111に供給することができる。
また、これにより、APC指示値エラー検出部250は、書き込み処理中に、クールパワー、イレースパワー、およびピークパワーだけでなく、リードパワーの指示値エラーも検出することができる。
以上の様に、APC指示値エラー検出部250は、読み出し処理中であっても、書き込み処理中であっても、各チャンネルのAPC指示値のエラー(異常値)を検出することができる。これにより、ライトストラテジ123は、APC指示値エラー検出部250によりAPC指示値のエラーが確認され次第、任意のタイミングで制御信号WGATE、PEAK、およびERASEをオフにし、LD111によるレーザ光の出力を停止させることができ、APC指示値が以上であることによるLD111の破壊を抑制することができる。
また、APC指示値エラー検出部250は、APC指示値(制御電圧)を用いるので、LD111に流す電流を用いる場合よりも高速にエラー判定を行うことができる。従って、APC指示値エラー検出部250は、LD111の破壊をさらに抑制することができる。
さらに、APCの指示値と上側および下側のスレッショルド電圧の設定値との間に、安定した一定の対応関係が成立するように、レジスタEMCSET-H、EMCSET-LによりTHH、THLを設定するD1DAC256およびD2DAC257の基準電圧(フルスケール)は、APCの初期値設定用のB1DAC142およびB3DAC162の基準電圧(フルスケール)と同等に設定されている。
例えば、
Kr=0 ・・・(1)
Kc=Kp=Ke=0.5 ・・・(2)
制御電圧VRDCのAD値(RINTMON)=250 ・・・(3)
B1DAC142の入力デジタル値(RINISET)=150 ・・・(4)
とする。
このとき、制御電圧WDC5(クールチャンネルのAPC指示値)は、制御電圧VRDC(リードチャンネルのAPC指示値)と、B1DAC142の入力デジタル値(RINISET)を用いて以下の式(5)のように算出することができる。
制御電圧WDC5=制御電圧VRDC−RINISET=100 ・・・(5)
さらに、制御電圧WDC2(ピークチャンネルのAPC指示値)と、制御電圧WDC3(イレースチャンネルのAPC指示値)を、C2DAC156の入力デジタル値(PRATIO)とC1DAC155の入力デジタル値(ERATIO)を用いて、以下の式(6)および(7)のように設定する。
制御電圧WDC2=B3DAC162の入力デジタル値(P2INISET)×PRATIO=400 ・・・(6)
制御電圧WDC3=B3DAC162の入力デジタル値(P2INISET)×ERATIO=300 ・・・(7)
これらの動作点を上側または下側のスレッショルド電圧とする場合、システムコントローラ11は、レジスタEMCSET_HまたはEMCSET_Lを0.5×100+0.5×400+0.5×300=400に設定すればよい。
通常、ライトのパワー設定(クールパワー、イレースパワー、ピークパワー)を変えなければ、B1DAC142のP1INISET、B3DAC162のP2INISET、C2DAC156のPRATIO、およびC1DAC155のERATIOの各値も一定であり、周囲の状況により変化するのは制御電圧VRDCの値である。従って、例えば、現在の制御電圧VRDC(RINTMON)から、±20のレベルで上側スレッショルド電圧THH、および下側スレッショルド電圧THLを設定する場合、システムコントローラ11は、レジスタEMCSET_LおよびEMCSET_Hをそれぞれ以下の式(8)および式(9)のように設定すればよい。
EMCSET_L=0.5×(230−150)+0.5×400+0.5×300=390 ・・・(8)
EMCSET_H=0.5×(270−150)+0.5×400+0.5×300=410 ・・・(9)
このように、システムコントローラ11は、レジスタEMCSET_HおよびEMCSET_Lに任意の値をセットすることにより、上側および下側のスレッショルド電圧を任意に設定することができる。従って、システムコントローラ11は、例えば、APCシステムが正常に動作しているときの制御電圧を基準とし、所定の許容範囲(マージン)を確保するように、上側および下側のスレッショルド電圧の校正を行うこともできる。
図9のフローチャートを参照して、システムコントローラ11による閾値制御処理の流れの例を説明する。
閾値制御処理が開始されると、システムコントローラ11のCPU31は、ステップS1においてAPC113内のレジスタを参照し、D/Aコンバータ(DAC)やゲインの指示値を取得する。ステップS2において、CPU31は、AD141を制御し、制御電圧VRDCをデジタル値にA/D変換して抽出させる。ステップS3において、CPU31は、例えば、式(8)や式(9)のように、現在の制御電圧VRDCのレベルに応じた閾値を算出する。閾値を算出するとCPU31は、ステップS4において、算出した閾値をレジスタEMCSET_LやEMCSET_Hにセットし、閾値制御処理を終了する。
制御電圧VRDCの値は温度変化によるLD111のIthの変化やスロープ効率の変化等に追従してリアルタイムに変化してゆく値である。システムコントローラ11は、リード動作中やライト動作中に、AD141を制御して適当なタイミングでその制御電圧VRDCをA/D変換して取り込ませ、その値に基づいてレジスタEMCSET-LおよびEMCSET-Hを、エラーフラグERR-AおよびERR-Bが立たないように設定することができる。つまり、システムコントローラ11は、レジスタEMCSET-LおよびEMCSET-Hの設定を、正常動作時の制御電圧VRDCにリアルタイムに追従させることができる。このような追従制御を行うことにより、システムコントローラ11は、マージンの少ない状態(THHとTHLの幅を狭くした状態)で制御電圧をリアルタイムに監視することができ、LD111への過剰電流および過小電流の供給を未然に抑制することができる。
ここで、APC113の応答を監視するだけであれば、システムコントローラ11は、制御電圧VRDCのみの変化を監視すればよく、Kr=1、Kc=Kp=Ke=0に設定すればよい。
ただし、システムコントローラ11は、Kc≠0と設定することでB1DAC142の出力を、Kp≠0と設定することでP2INTMON(B3DAC162)×PRATIOの出力を、Ke≠0と設定することでP2INTMON(B2DAC)×ERATIOの出力を、それぞれ監視対象に加えることができる。これによりシステムコントローラ11は、より広範なエラー検出に対応することができる。APCに関わる故障に比べ、D/Aコンバータの出力異常(故障)は発生確率としては非常に小さいと考えられるが、D/Aコンバータの出力異常も監視対象に入れることで、システムコントローラは、エラー検出の信頼度を向上させることができる。
以上のように、APC113は、APC指示値エラー検出部250を有するので、過電流検出機能を有しない一般的なコンベンショナルLDD(APCからの指示値により決まる各チャンネルの電流の加算をライトストラテジからの各チャンネルのオン/オフ信号にしたがって行うことのみに対応したLDD)と組み合わせて、過電流検出を行うことができる。
また、APC指示値は、LD111に供給される電流と異なり、変化が遅い(時定数が大きい)信号であり、低ノイズである。そのため、システムコントローラ11は、通常動作時の値に対して小さいマージンで上側および下側のスレッショルド電圧(EMCSET-LおよびEMCSET-H)を設定することができ、LD111の破壊を未然に抑制するエラー検出/保護機能を実現することができる。
さらに、各チャンネルのAPC指示値(DAC設定値、AD測定値)とエラー検出のスレッショルド設定値との関係が明確になっており、システムコントローラ11は、高精度で上側および下側のスレッショルド電圧(EMCSET-LおよびEMCSET-H)を設定することができる。
また、APC113のチップ内にて、相対的な精度が出せる回路構成をとることはさほど困難ではなく、また、回路的な原因で仮にAPC指示値からスレッショルド設定値の関係式にオフセットが加算されるようなことがあっても、LDD114のチャンネルのオン/オフ制御信号が全チャンネルに対してオフの状態であれば、あるスレッショルド設定値に対して、自由にAPC指示値を振って、エラー検出するAPC指示値を求めるといった処理を行うことが可能であり、オフセット等の校正を行ってAPC指示値とスレッショルド設定値の関係式を明確にすることができる。
さらに、正常に動作している時のAPC指示値をリファレンスとして、その値に対して、比較的小さいマージンで過大/過小のスレッショルドを設定してエラー検出を行うため、APC指示値エラー検出部250は、APCループの破綻に加え、LD111からFPD112までのカップリングの変化、各D/Aコンバータの故障(D/AコンバータでAPC指示値を出しているチャンネル)といった広範囲の異常が検出できる。
また、APCのかかっているチャンネルのAPC指示値(制御電圧VRDC)をエラー検出の対象とすることで、LD111からFPD112までのカップリング変化が検出できるため、LDノイズ対策としてNDフィルタやカップリング切替液晶素子などでカップリングの切替を行っているOP(Optical Pickup)に関しては、その故障が検出できる場合がある。(実際の系では、ライト動作では変化が大きいため十分に検出できるが、リード動作ではスレッショルド設定が困難であり現実的ではない。しかしながら、ライト動作中のみであっても検出できることには大きな意味がある。)
なお、以上においては、上側および下側のスレッショルド(THHおよびTHL)の両方を設けるように説明したが、下側のスレッショルドは、省略することもできる。その場合、図4の、D2DAC257、比較器259、およびAND回路262は省略することができる。ただし、下側のスレッショルドを設けることにより、例えば、NDフィルタやカップリング切り替え液晶素子のライト中の不正な切り替わりが検出できる等のメリットがある。
以上においては、光ディスクドライブ装置に適用する場合について説明したが、本発明は、レーザ光の発光出力のパワーを制御する装置であればどのような装置であっても適用可能である。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図10に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
図10において、パーソナルコンピュータ400のCPU401は、ROM402に記憶されているプログラム、または記憶部413からRAM403にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM403にはまた、CPU401が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU401、ROM402、およびRAM403は、バス404を介して相互に接続されている。このバス404にはまた、入出力インタフェース410も接続されている。
入出力インタフェース410には、キーボード、マウスなどよりなる入力部411、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部412、ハードディスクなどより構成される記憶部413、モデムなどより構成される通信部414が接続されている。通信部414は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
入出力インタフェース410にはまた、必要に応じてドライブ415が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア421が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部413にインストールされる。
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、例えば、図10に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア421により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM402や、記憶部413に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表わすものである。
なお、以上において、1つの装置として説明した構成を分割し、複数の装置として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置として説明した構成をまとめて1つの装置として構成されるようにしてもよい。また、各装置の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置の構成の一部を他の装置の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
10 光ディスク, 11 システムコントローラ, 31 CPU, 111 LD, 113 APC, 114 LDD, 250 APC指示値エラー検出部, 251乃至254 アンプ, 255 加算器, 256 D1DAC, 257 D2DAC, 258および259 比較器, 260および261 AND回路, 262 OR回路