以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態では、画像形成装置と共に、画像形成方法についても説明する。なお、実質的に同様の機能・作用を有するものには、全図面通して同じ符号を付して説明し、場合によってはその説明を省略することがある。また、下記説明において「直交」「平行」などの方向を示す言葉は、厳密にその方向を示すわけではなく、作用・機構を実現できればずれていても構わない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略上面図である。図3は、第1実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略側面図である。
第1実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、丁合い装置20(積層手段)と、転写装置30(転写手段)と、から構成されている。
丁合い装置20は、図2及び図3に示すように、裏面転写フィルム41(転写体)を収納・排出する裏面転写フィルム収納部41Aと、表面転写フィルム42(転写体)を収納・排出する収納・排出する表面転写フィルム収納部42Aと、カードコア保持ホルダー43(基材)を収納・排出するカードコア保持ホルダー収納部43A、丁合い部50(位置決め手段)と、裏面転写フィルム収納部41Aから丁合い部50へ裏面転写フィルム41を供給するための搬送路41Bと、表面転写フィルム収納部42Aから丁合い部50へ表面転写フィルム42を供給するための搬送路42Bと、カードコア保持ホルダー収納部43Aから丁合い部50へカードコア保持ホルダー43を供給するための搬送路43Bと、から構成されている。
搬送路41B、42B、43Bとしては、板状部材と、被搬送部材(裏面転写フィルム41、表面転写フィルム42、カードコア保持ホルダー43)を搬送させるための搬送ローラとが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして、被搬送部材が各収納部から排出されるタイミングで搬送ローラやベルトが回転し、被搬送部材を丁合い部50に搬送する。
裏面転写フィルム収納部41Aには、少なくとも片面に所定の画像を電子写真方式のプリンタで印刷した裏面転写フィルム41が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられたピックアップローラや給紙ローラが備えられ、所定のタイミングで給紙ローラ等が回転し、丁合い部50に裏面転写フィルム41を排出する。
カードコア保持ホルダー収納部43Aには、窓穴44Aにカードコア44が挿入されたカードコア保持ホルダー43が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられたピックアップローラや給紙ローラが備えられ、丁合い部50に裏面転写フィルム41が排出された直後のタイミングで給紙ローラ等が回転し、丁合い部50へカードコア保持ホルダー43を排出する。
表面転写フィルム収納部42Aには、少なくとも片面に所定の画像を電子写真方式のプリンタで印刷した表面転写フィルム42が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられたピックアップローラや給紙ローラが備えられ、丁合い部50にカードコア保持ホルダー43が排出された直後のタイミングで給紙ローラ等が回転し、丁合い部50へ表面転写フィルム42を搬送する。
ここで、表面転写フィルム収納部42Aと、裏面転写フィルム収納部41Aと、カードコア保持ホルダー収納部43Aとは、重力方向上方側から下方側へこの順で配列されて配設されている。
丁合い部50は、図2及び図3に示すように、各収納部から排出された被搬送部材を搬送されるように、当該被搬送部材を搬送する各搬送路の出口と同じ位置、又は当該出口よりも重力方向下方に位置するように、不図示の駆動機構により昇降可能に配置されている。丁合い部50は、例えば、図中矢印で表される、転写フィルム及びカードコアの搬送方向に対して、4辺のうち2辺が直交する長方形の丁合い受け51と、搬送方向下流側の辺に沿って配置された基準壁52と、当該辺と直交する2辺のうちの一方の辺に沿って配置された基準壁53と、丁合い受け51表面を矢印A方向(搬送方向と平行な方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材54と、丁合い受け51表面を矢印B方向(矢印A方向と直交する方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材55と、両面テープ貼り器56(仮止め手段)と、積層・仮止め後の積層体を搬送するための搬送ローラ57と、を備えている。
両面テープ貼り器56は、丁合い受け51の搬送方向側に配設され、一番初めに丁合い受け51に搬送されてくる裏面転写フィルム41の所定の領域へ両面テープ60を貼り付け、2番目に丁合い受け51に搬送されてくるカードコア保持ホルダー43の所定の領域へ両面テープ60を貼り付ける位置に配設されている(詳細は後述する)。本実施形態では、両面テープ貼り器56を、搬送方向と直交方向に沿って4つ並列に配設している。
両面テープ貼り器56は、例えば、両面テープ60を保持するリール56A、両面テープ60を引き出す一対のローラ56B、カッター56C、両面テープ60を裏面転写フィルム41、または、カードコア保持ホルダー43に貼り付けるためのローラ56Dとで構成されている。
一方、転写装置30は、例えば、一対のベルト31から構成されるベルトニップ方式のラミネート装置が採用されている。一対のベルト31は、それぞれ加熱・加圧ローラ32と、張架ローラ33により張架されている。そして、一対のベルト31排出部には、排出受け34が設けられている。
転写装置30における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記積層体を熱ローラ対などによるニップ部に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法、ならびに熱プレス装置を用いて、圧着させることができる。
上記本実施形態に係る画像形成装置では、まず、丁合い装置20において、裏面転写フィルム収納部41Aから裏面転写フィルム41が搬送路41Bを経て丁合い受け51に搬送され、所定の位置に規制部材54、55で位置決めされる。この経路中、裏面転写フィルム41には所定の4ヶ所の位置に両面テープ貼り器56により両面テープ60が貼られる(図4(A)参照)。次いで、予めカードコア44をセットしたカードコア保持ホルダー43が、カードコア保持ホルダー収納部43Aから搬送路43Bを経て、丁合い受け51へと供給される。搬送路43Bの排出部を出たカードコア保持ホルダー43は、丁合い受け51の所定の位置へ規制部材54、55により位置決めされる。この経路中、カードコア保持ホルダー43には所定の4ヶ所の位置に両面テープ貼り器56により両面テープ60が貼られる(図4(B)参照)。このとき、裏面転写フィルム41の画像部61はカードコア保持ホルダー43の窓穴44A(カードコア44)と一致する位置となっている。次に、表面転写フィルム収納部42Aから表面転写フィルム42が搬送路42Bを経て丁合い受け51に搬送され、所定の位置に規制部材54、55で位置決めされる(図4(C)参照)。このとき、表面転写フィルム42の画像部61はカードコア保持ホルダー43の窓穴(カードコア44)と一致する位置となっている。
なお、裏面転写フィルム41、及び表面転写フィルム42は、その画像部61を有する面が、カードコア保持ホルダー43に配設されたカードコア44と対向するように積層される。また、各部材の搬送方向は、カードコア保持ホルダー43の短手方向が、搬送方向と平行になるようにしているが、これに限られるわけではない。
ここで、図4は、第1実施形態に係る丁合い装置の丁合い部における積層工程を示す工程図である。
ここで、位置決めは、各収納部から搬送路41B、42B、43Bを経て、裏面転写フィルム41とカードコア保持ホルダー43と表面転写フィルム42とがこの順で順次丁合い受け51に重ね合わされるように搬送され、積層された積層体P(図2中、点線で示される部材)に対して、規制部材54,55を押し当てて、基準壁52,53に突き当てることにより実施する。具体的には積層体Pの直交する2辺のうちの一辺(第1の辺)に対して、規制部材54を押し当て、この状態で規制部材54を搬送方向の下流側へ移動させて積層体Pの規制部材54に接する辺と対向する辺を基準壁52に突き当てると共に、第1の辺と直交する辺(第2の辺)に対して規制部材55を押し当て、この状態で規制部材55を基準壁53方向(搬送方向と直交方向)に移動させて積層体Pの規制部材55に接する辺と対向する辺を基準壁53に突き当てる。
このように2つの規制部材54、55及び2つの基準壁52、53を組み合わせて用いることにより、積層体PのサイズがA4やA3サイズ等、様々であっても精度よく位置決めされた丁合いがなされる。
なお、基準壁52は、搬送方向に直交する位置に設けられているため、位置決め(丁合い)が完了し、必要に応じて実施される仮止めが終了した後に、積層体Pの搬送を妨げないように移動可能なことが必要である。基準壁52にこの機能を付与するためには、例えば、基準壁52が移動可能であることが望ましい。具体的には、例えば、基準壁52は、上下に可動し、図中、点線で示される箇所に移動することで、積層体Pの搬送方向下流側への搬送が可能となる(図3参照)。無論、基準壁52が搬送路から退避されれば、これに限られるわけではない。
次に、裏面転写フィルム41と、カードコア保持ホルダー43と、表面転写フィルム42との積層体について説明する。ここで、図5は、第1実施形態に係る積層体を示す平面図である。図6は、図5のA−A断面図である。
図5乃至図6に示すように、カードコア保持ホルダー43は、例えばステンレス製の基材44Bと基材44Bの両面に形成された離型層44C(例えばテフロン(登録商標)シート)とで構成されている。基材44Bには、一つ以上の貫通した窓穴44Aがあり、この窓穴44Aにはカードコア44を挿入される。窓穴44Aの形状としては、カードコア44の形状に沿ったものであるが、カードコア44がカードコア保持ホルダー43から脱落しないように、窓穴44Aを構成する壁面をテーパ形状としてもよいし、窓穴44Aとカードコア44の寸法関係をしまりばめとしてもよい。本実施形態では、カードコア保持ホルダー43には、6つの窓穴44Aが、カードコア保持ホルダー43の長手方向がカードコア44の短手方向と平行になる、言い換えればカードコア保持ホルダー43の短手方向がカードコア44の長手方向と平行になるように、2個×3個で配列されている。但し、カードコア保持ホルダー43の長手方向に沿った方向に配列された窓穴44A同士は、仮止めする領域(両面テープ60が貼り付けられる領域)を確保して配列されている。
そして、仮止めする領域に、両面テープ60が貼り付けられ、これによって、位置決めがなされると共に、積層され、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43及び表面転写フィルム42が仮止める。
この仮止めする領域、即ち、両面テープ60の貼り付け領域は、カードコア保持ホルダー43に挿入されたカードコア44がカードコア保持ホルダー43から外れない領域であることがよいことから、例えば、カードコア保持ホルダー43の窓穴44Aを挟むように設けることがよい。また、両面テープ60を各部材の搬送中に貼り付けることが、生産性の観点からよいため、両面テープ60は、積層体Pの搬送方向に沿って設けることがよい。
本実施形態では、図5乃至図6に示すように、2個×3個で配列された窓穴44Aの長手方向に沿って、当該窓穴44Aを挟むように仮止めする領域が設けられる、即ち両面テープ60が貼り付けられている。但し、両面テープ60端辺から窓穴44Aの端辺までの最短距離R1が5mm以内でかつ窓穴44Aの端辺に沿う両面テープ60の長さR2が当該窓穴の端辺の半分以上の長さとなるように、両面テープ60を貼り付けることがよい。このように両面テープ60を貼り付けて仮止めを実施することで、製造中にカードコア保持ホルダー43の窓穴44Aからカードコアが外れることが抑制され、画像部の位置ズレを抑制しつつ各転写フィルムがカードコア表面へ被覆(ラミネート)される。
なお、両面テープ60とカードコア保持ホルダー43間の接着力は、両面テープ60と転写フィルム間の接着力よりも弱くなっていることが望ましい。このように構成することで、後述する転写フィルムを剥離除去する際に両面テープ60はカードコア保持ホルダー43から除去され易くなり、カードコア保持ホルダー43の繰り返し使用が容易となる。
次に、裏面転写フィルム41と、カードコア保持ホルダー43と、表面転写フィルム42との積層体Pは、積層・仮止めされた後、搬送ローラ57により転写装置30へ搬送される。
次に、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43、表面転写フィルム42が位置決め・仮止めされると基準壁52が図示しない機構により下側へと移動され、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43、表面転写フィルム42で構成される積層体Pは搬送ローラ57により次工程である転写装置30へと搬送される。ここで、搬送ローラ57は、両面テープ60の貼り付け領域のみに圧力を加えられるように、当該両面テープ60の貼り付け領域幅と同等の複数のローラが同軸に連結されたくし型のローラ構成としている。これにより、積層体Pが両面テープ60による仮止めを確実にしつつ搬送される。
次に、転写装置30においては、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43、表面転写フィルム42で構成される積層体Pを、一対のベルト31のニップ間に通過させて加熱・加圧処理を行う(転写工程)。
加熱・加圧処理された積層体Pは、排出受け34に排出される。そして、裏面転写フィルム41、及び表面転写フィルム42をカードコア保持ホルダー43から引き剥がすことで、カードコア44の両面に画像部が転写・形成される。このカードコア44をカードコア保持ホルダー43から取り外すことで、当該カードコア44表面に転写フィルムの画像部61が転写・形成された記録媒体が得られる。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置では、予め画像部61が形成された裏面転写フィルム41及び表面転写フィルムを、予めカードコア44が一つ以上設けられた窓穴44Aにそれぞれ挿入・保持したカードコア保持ホルダー43に対し、当該転写フィルムの画像部61が形成された面を対向させて積層した後、両面テープ60による仮止めを行うと共に位置決め(丁合い)を行い、この状態で転写装置30により加熱・加圧を施しカードコア44に転写フィルムから画像部61を転写する。これにより、一つのカードコア保持ホルダー43から複数のカードコア44表面に画像が形成され、しかも、加熱・加圧する前に仮止めを行うため、熱膨張によるカードコア44の脱落や積層体の歪みが抑制される。このため、量産性が高く、且つ簡易に低コストで精度良く、カードコア44の表面に画像が形成され、記録媒体が得られる。
特に、本実施形態では、両面テープ60により仮止めを行っているので、積層体の歪みや熱膨張等を生じさせることなく、仮止めを実施することができる。
また、転写フィルムには、電子写真方式により画像部61を形成するので、しかも、ラミネート後の転写フィルムを剥離しない場合、その画像部61をカードコア44に対向するようにラミネートされ当該転写フィルム自体が保護層の役割を担い、電子写真方式による高解像度、高耐光性の画像を高い生産性で印刷されることになる。
なお、本実施形態では、裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42の2つを用いて、カードコア44の両面に画像を形成した形態を説明したが、これに限られるわけではなく、一つの転写フィルムを用いてカードコア44の一方の表面に画像を形成する形態であってもよい。この形態では、例えば、図7に示すように、カードコア保持ホルダー43に設けられる窓穴44Aは非貫通であることがよく、非貫通であることから窓穴44Aからカード脱落の心配がないため窓穴44Aを構成する壁面をテーパ形状にする必要はなく、窓穴44Aとカードコア44の寸法関係もすきまばめで構わない。なお、図7は、第1実施形態に係る他の積層体を示す概略断面図である。図7は、図5のA−A断面図に相当する。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略上面図である。図9は、第2実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略側面図である。
第2実施形態に係る画像形成装置は、丁合い部50が異なる以外は、第1実施形態と同様な構成である。
第2実施形態に係る画像形成装置において、丁合い部50は、図8乃至図9に示すように、例えば、図中矢印で表される、転写フィルム及びカードコアの搬送方向に対して、4辺のうち2辺が直交する長方形の丁合い受け51と、搬送方向下流側の辺に沿って配置された基準壁52と、当該辺と直交する2辺のうちの一方の辺に沿って配置された基準壁53と、丁合い受け51表面を矢印A方向(搬送方向と平行な方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材54と、丁合い受け51表面を矢印B方向(矢印A方向と直交する方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材55と、不図示の駆動機構により重力方向上下に移動可能に配置された仮止め用加熱部材62と、積層・仮止め後の積層体を搬送するための搬送ローラ57と、を備えている。
仮止め用加熱部材62は、例えば、積層体Pを挟んで重力方向の上方及び下方にそれぞれ、転写フィルムの表面に接触させて加熱するための棒状のヒートロッド62Aが複数配列されて構成されている。このヒートロッド62Aは、仮止めする領域に対応するように配列されている。具体的には、例えば、ヒートロッド62Aは、仮止めする領域、即ち、加熱する領域が、積層体Pの搬送方向と直交方向に沿って、且つカードコア保持ホルダー43の窓穴44Aを挟んで設けるように複数配列されている。
なお、仮止め用加熱部材62は、上記構成に限られず、転写フィルムに貫通させて加熱するための針状の部材を複数配列した形態であってもよいし、転写フィルムに超音波を付与して、その振動により加熱するための超音波振動子を複数配列した形態であってもよい。
ここで、この仮止めする領域、即ち、加熱する領域は、カードコア保持ホルダー43に設置されたカードコア44がカードコア保持ホルダー43から外れない領域であることがよいことから、例えば、カードコア保持ホルダー43の窓穴44Aを挟むように設けている。
本実施形態では、図10乃至図11に示すように、2個×3個で配列された窓穴44Aの長手方向に沿って、当該窓穴44Aを挟むように仮止めする領域が設けられる、即ち当該領域を仮止め用加熱部材62により加熱する。この加熱する領域62Bは、当該加熱する領域62Bの端辺から窓穴44Aの端辺までの最短距離R3が5mm以内でかつ窓穴44Aの端辺に沿う加熱する領域62Bの長さR4が当該窓穴の端辺の半分以上の長さとなるようにすることがよい。この領域に加熱し、仮止めする領域を設けることで、製造中にカードコア保持ホルダー43の窓穴44Aからカードコアが外れることが抑制され、画像部の位置ズレを抑制しつつ各転写フィルムがカードコア表面へ被覆(ラミネート)される。なお、本実施形態では、第1実施形態と異なり、積層体の搬送方向が、積層体の長手方向い沿った方向としていることから、仮止めする領域は、積層体の搬送方向と直交方向に沿って設けられることになる。
一方、カードコア保持ホルダー43には、図10乃至図11に示すように、加熱によって転写フィルムとカードコア保持ホルダーを仮止めするための熱溶着層44D(例えば、カードとほぼ同じ熱特性を有するプラスチック材料の層等)が設けられている。この熱溶着層44Dは、仮止めする領域、即ち仮止め用加熱部材62により加熱する領域62Bに対応して配設されている。本実施形態では、熱溶着層44Dは、離型層44C上に設けられているが(図11参照)、これに限られず、図12に示すように、離型層44Cに開口を設けて基材44B表面に直接設けられてもよい。熱溶着層44Dは、繰り返しの仮止めにより、溶着性が劣化することがあるため、交換可能な構成(例えば、熱融着層44Dを両面テープでカードコア保持ホルダー43に設置する等)とすることで、カードコア保持ホルダー43を繰り返し使用し易くなる。
ここで、図10は、第2実施形態に係る積層体を示す平面図である。図11は、図10のB−B断面図である。図12は、第2実施形態に係る他の積層体を示す概略断面図である。図12は、図10のB−B断面図に相当する。
なお、丁合い受け51には、裏面転写フィルム41への加熱を実施するために、仮止め用加熱部材62(ヒートロッド62A)を通すための開口51Aが設けれている。当該開口51Aも、当然、仮止めする領域、即ち仮止め用加熱部材62により加熱する領域に対応して配設されている。
そして、裏面転写フィルム41とカードコア44と表面転写フィルム42とがこの順で順次丁合い受け51に重ね合わされるように搬送され、積層された積層体Pに対し、仮止め用加熱部材62を両転写フィルムに接触させて加熱し、カードコア保持ホルダー43の熱溶着層44Dを溶融させることで、裏面転写フィルム41及びカードコア保持ホルダー43と、表面転写フィルム42及びカードコア保持ホルダー43がそれぞれ溶着され、仮止めされる。
これら以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置では、予め画像部61が形成された裏面転写フィルム41及び表面転写フィルムを、予めカードコア44が一つ以上設けられた窓穴44Aにそれぞれ挿入・保持したカードコア保持ホルダー43に対し、当該転写フィルムの画像部61が形成された面を対向させて積層した後、位置決めを行うと共に加熱により仮止めを行い、この状態で転写装置30により加熱・加圧を施しカードコア44に転写フィルムから画像部61を転写する。これにより、一つのカードコア保持ホルダー43から複数のカードコア44表面に画像が形成され、しかも、加熱・加圧する前に仮止めを行うため、熱膨張によるカードコア44の脱落や積層体の歪みが抑制される。このため、量産性が高く、且つ簡易に低コストで精度良く、カードコア44の表面に画像が形成され、記録媒体が得られる。
特に、本実施形態では、加熱により仮止めを行っているので、簡易に且つ確実に仮止めを実施することができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42の2つを用いて、カードコア44の両面に画像を形成した形態を説明したが、これに限られるわけではなく、一つの転写フィルムを用いてカードコア44の一方の表面に画像を形成する形態であってもよい。
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略上面図である。図14は、第3実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略側面図である。
第3実施形態に係る画像形成装置は、丁合い部50が異なる以外は、第1実施形態と同様な構成である。
第3実施形態に係る画像形成装置において、丁合い部50は、図13乃至図14に示すように、例えば、図中矢印で表される、転写フィルム及びカードコアの搬送方向に対して、4辺のうち2辺が直交する長方形の丁合い受け51と、搬送方向下流側の辺に沿って配置された基準壁52と、当該辺と直交する2辺のうちの一方の辺に沿って配置された基準壁53と、丁合い受け51表面を矢印A方向(搬送方向と平行な方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材54と、丁合い受け51表面を矢印B方向(矢印A方向と直交する方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材55と、不図示の駆動機構により重力方向上下に移動可能に配置された仮止め用加圧ローラ63と、積層・仮止め後の積層体を搬送するための搬送ローラ57と、を備えている。
仮止め用加圧ローラ63は、例えば、積層体Pを挟んで上方及び下方にそれぞれ、駆動転写フィルムの表面に接触させて加圧するためのローラ63Aが複数配列されて構成されている。このローラ63Aは、仮止めする領域に対応するように複数配列されている。具体的には、例えば、ローラ63Aは、仮止めする領域、即ち、加圧する領域が、積層体Pの搬送方向に沿って、且つカードコア保持ホルダー43の窓穴44Aを挟んで設けるように複数配列されている。なお、仮止め用加圧ローラ63は、搬送方向と直交方向に沿って配列されたローラ63Aを同軸に連結し、これを搬送方向に配列して構成している。本実施形態では、仮止め用加圧ローラ63は、4つの仮止めする領域に対応して搬送方向と直交方向に沿って配列されるように4つのローラ63Aを同軸に連結したくし型ローラ構成とし、これを搬送方向に7つ配列した構成としている。
ここで、この仮止めする領域、即ち、加圧する領域は、カードコア保持ホルダー43に設置されたカードコア44がカードコア保持ホルダー43から外れない領域であることがよいことから、例えば、カードコア保持ホルダー43の窓穴44Aを挟むように設けている。
本実施形態では、図15及び図16に示すように、2個×3個で配列された窓穴44Aの長手方向に沿って、当該窓穴44Aを挟むように仮止めする領域が設けられる、即ち当該領域を仮止め用加圧ローラ63により加圧する。この加圧する領域63Bは、当該加圧する領域63Bの端辺から窓穴44Aの端辺までの最短距離R5が5mm以内でかつ窓穴44Aの端辺に沿う加圧する領域63Bの長さR6が当該窓穴の端辺の半分以上の長さとなるようにすることがよい。この領域を加圧し、仮止めする領域を設けることで、製造中にカードコア保持ホルダー43の窓穴44Aからカードコアが外れることが抑制され、画像部の位置ズレを抑制しつつ各転写フィルムがカードコア表面へ被覆(ラミネート)される。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、積層体の搬送方向が、積層体の短手方向い沿った方向としていることから、仮止めする領域は、積層体の搬送方向に沿って設けられることになる。
ここで、図15は、第3実施形態に係る積層体を示す平面図である。図16は、図15のC−C断面図である。
なお、丁合い受け51には、裏面転写フィルム41への加圧を実施するために、仮止め用加圧ローラ63を通すための開口51Aが設けれている。当該開口51Aも、当然、仮止めする領域、即ち仮止め用加圧ローラ63により加圧する領域に対応して配設されている。
そして、裏面転写フィルム41とカードコア44と表面転写フィルム42とがこの順で順次丁合い受け51に重ね合わされるように搬送され、積層された積層体Pに対し、仮止め用加圧ローラ63を重力方向に移動させ、これで積層体を挟み込み、両転写フィルムに接触させて加圧することで、その圧力により裏面転写フィルム41及びカードコア保持ホルダー43と、表面転写フィルム42及びカードコア保持ホルダー43が圧力により仮止めされつつ、丁合い受け51から搬送される。
なお、丁合い受け51の下流側に設けられた搬送ローラ57も、仮止め用加圧ローラ63と同様に、搬送方向と直交方向に沿って配列されたローラを同軸に連結したくし型ローラ構成とし、これを搬送方向に配列して構成している。本実施形態では、4つの仮止めする領域に対応して搬送方向と直交方向に沿って配列されるように4つのローラを同軸に連結し、これを搬送方向に3つ配列した構成としている。これにより、積層体Pが位置決めされた状態を維持しつつ、確実に転写装置30へ積層体Pが搬送され易くなる。
これら以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置では、予め画像部61が形成された裏面転写フィルム41及び表面転写フィルムを、予めカードコア44が一つ以上設けられた窓穴44Aにそれぞれ挿入・保持したカードコア保持ホルダー43に対し、当該転写フィルムの画像部61が形成された面を対向させて積層した後、位置決めを行うと共に加圧により仮止めを行い、この状態で転写装置30により加熱・加圧を施しカードコア44に転写フィルムから画像部61を転写する。これにより、一つのカードコア保持ホルダー43から複数のカードコア44表面に画像が形成され、しかも、加熱・加圧する前に仮止めを行うため、熱膨張によるカードコア44の脱落や積層体の歪みが抑制される。このため、量産性が高く、且つ簡易に低コストで精度良く、カードコア44の表面に画像が形成され、記録媒体(プラスチックカード)が得られる。
特に、本実施形態では、加圧により仮止めを行っているので、簡易に仮止めを実施することができる。また、仮止め用加圧ローラ63は、搬送しつつ加圧することができ、積層体のズレの発生を抑制して転写装置30へ搬送される。ここで、本実施形態では、仮止め用加圧ローラ63により積層体を加圧して仮止めを行う形態を説明するが、加圧方式はこれに限られず、積層後に一対の板バネにより積層体を挟み込んで加圧して仮止めを行う形態であってもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42の2つを用いて、カードコア44の両面に画像を形成した形態を説明したが、これに限られるわけではなく、一つの転写フィルムを用いてカードコア44の一方の表面に画像を形成する形態であってもよい。
(第4実施形態)
図17は、第4実施形態で用いる仮止め用治具を示す斜視図である。図18は、第4実施形態において、治具により仮止めされた積層体を示す平面図である。図19は、図18のD−D断面図である。
第4実施形態は、仮止め用治具70を用いて仮止めを行い、当該仮止め用治具70により仮止めした状態で転写装置30により、積層体をラミネートする、即ち、各転写フィルムをカードコア44に被覆する形態である。
仮止め用治具70は、図17に示すように、両端部がL字状に屈曲した棒状部材71が複数並列され、その屈曲部の端部が連結部材72により連結された、2つの枠部材73により構成されている。そして、図18乃至図19に示すように、棒状部材71の面で積層体Pの表面が加圧されるように、当該積層体Pを2つの枠部材73で挟み込んで仮止めを行う。
この仮止め用治具70において、各枠部材73の棒状部材71は、仮止めする領域、即ち、加圧する領域が、カードコア保持ホルダー43の窓穴44Aを挟んで設けるように複数配列されている。本実施形態では、各枠部材73の棒状部材71が、4つの仮止めする領域に対応して、カードコア保持ホルダー43の短手方向に沿うように4つ配設されている。
本実施形態では、図20乃至図21に示すように、2個×3個で配列された窓穴44Aの長手方向に沿って、当該窓穴44Aを挟むように仮止めする領域が設けられる、即ち当該領域を仮止め用治具70の棒状部材71により加圧する。この加圧する領域70Aは、当該加圧する領域70Aの端辺から窓穴44Aの端辺までの最短距離R7が5mm以内でかつ窓穴44Aの端辺に沿う加圧する領域70Aの長さR8が当該窓穴の端辺の半分以上の長さとなるようにすることがよい。この領域を加圧し、仮止めする領域を設けることで、製造中にカードコア保持ホルダー43の窓穴44Aからカードコアが外れることが抑制され、画像部の位置ズレを抑制しつつ各転写フィルムがカードコア表面へ被覆(ラミネート)される。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、仮止めする領域は、加熱・加圧処理時における積層体の搬送方向に沿って設けられることになる。
ここで、図20は、第4実施形態に係る積層体を示す平面図である。図21は、図20のE−E断面図である。
そして、裏面転写フィルム41とカードコア44と表面転写フィルム42とがこの順で順次積層し、丁合いした後、積層された積層体Pを仮止め用治具70により挟み込み、これにより仮止めを行う。そして、この仮止め用治具70により挟み込む、即ち仮止めされた状態で、積層体Pは、転写装置30に搬送される。
一方、転写装置30は、図22に示すように、積層体Pを仮止め用治具70に嵌め込んだ状態でラミネートできるように、一対のベルト31が4つ設けられており、これが所定間隙を持ってベルト軸方向に沿って配列されている。そして、4つ並列された一対のベルト31を張架する、加熱・加圧ローラ32と、張架ローラ33とは、それぞれ同軸に連結されて配設されている。図22は、第4実施形態に係る転写装置を示す概略構成図である。
この構成の転写装置30では、積層体Pを加熱・加圧処理する際、当該仮止め用治具70の棒状部材71がベルト軸方向に沿って配列された一対のベルト31同士の間隙を通過することで、積層体Pを仮止め用治具70に嵌め込んだ状態で転写が実施される。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置では、予め画像部61が形成された裏面転写フィルム41及び表面転写フィルムを、予めカードコア44が一つ以上設けられた窓穴44Aにそれぞれ挿入・保持したカードコア保持ホルダー43に対し、当該転写フィルムの画像部61が形成された面を対向させて積層して位置決めを行った後、仮止め用治具70により積層体を加圧しつつ仮止めをした状態で、転写装置30により加熱・加圧を施しカードコア44に転写フィルムから画像部61を転写する。これにより、一つのカードコア保持ホルダー43から複数のカードコア44表面に画像が形成され、しかも、加熱・加圧する前に仮止めを行うため、熱膨張によるカードコア44の脱落や積層体の歪みが抑制される。このため、量産性が高く、且つ簡易に低コストで精度良く、カードコア44の表面に画像が形成され、記録媒体が得られる。
特に、本実施形態では、仮止め用治具70による加圧により仮止めを行っているので、転写装置30のみの装置構成で、記録媒体が得られ、生産性は劣るものの高い低コスト化が実現される。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42の2つを用いて、カードコア44の両面に画像を形成した形態を説明したが、これに限られるわけではなく、一つの転写フィルムを用いてカードコア44の一方の表面に画像を形成する形態であってもよい。
以下、上記各実施形態において、用いられる転写フィルム(転写体)、カードコア(基材)について説明する。
−転写フィルム(転写体)−
画像形成対象であるカードコア(基材)は、厚みが厚いため、市販の一般的な厚み(80μm以上254μm以下程度)を有する用紙を利用して画像を形成するように設計された一般的な画像形成装置により画像を形成することができない。このため、カードコア以外の部材に画像を形成した後、これをカードコアに転写する目的で転写フィルムが用いられる。
転写フィルムは、基体とこの基体の少なくとも片面に設けられた画像保持層とを有するものであり、基体表面に、必要に応じて1層以上の中間層と画像保持層とをこの順に積層した構成であってもよい。また、画像は、画像保持層に形成される。この転写フィルムとしては、画像のみを転写するタイプと、転写フィルムを構成する部材の少なくとも一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルムとが挙げられる。
すなわち、画像のみを転写するタイプ転写フィルムは、画像保持層が少なくとも離型性材料を含有するものであり、この転写フィルムを用いた転写工程は、画像のみが転写フィルムからカードコアへと転写することにより行われる。
また、画像保持層に形成される画像は公知の記録方式により形成されたものであれば特に限定されないが、画像保持層表面の離型性に優れることから、画像保持層表面に固体状の画像形成材料を付与する方法により形成された画像であることが好ましく、特に電子写真法により形成された画像であることが好ましい。
これに対して、転写フィルムを構成する部材の少なくとも一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルムは、画像保持層又は画像保持層側に隣接する1以上の層と、基体又は基体側に隣接する1以上の層との界面が剥離可能な構成を有する。この転写フィルムを用いた転写工程は、画像保持層又は画像保持層側に隣接する1以上の層が転写フィルムから剥離して、画像と共にカードコアへと転写することにより行われる。
また、画像保持層に形成される画像は公知の記録方式により形成されたものであれば特に限定されない。例えば、画像保持層表面に固体状や液体状の画像形成材料を付与する方法により形成された画像であってもよく、この場合、代表的には、電子写真法やインクジェット記録法により形成された画像が挙げられる。さらに、画像保持層が、熱や光などの外部刺激の付与によって変色又は発色する機能を有する場合には、外部刺激の付与により画像保持層表面を変色又は発色させることにより形成された画像であってもよく、この場合、代表的には、感光記録法や感熱記録法、感光感熱記録法により形成された画像が挙げられる。
なお、上述した2つのタイプの転写フィルムとしては、電子写真法によりその表面に画像を形成した後、プラスチックのシートなどの他の部材に当該画像を転写するために用いるものが知られており、これら公知の転写フィルムを利用することができる。
また、転写フィルムのサイズは特に限定されるものではないが、電子写真法やインクジェット法など、公知の画像形成方法を利用した市販の画像形成装置での画像の形成に利用できるA4やA3などの定型サイズであることが好適である。
また、転写フィルム表面への画像の形成は、保持体に保持されたカードコア表面の画像を設けたい領域に対応するように実施される。この際、転写フィルムと保持体に保持されたカードコアとの位置合わせが容易にできるように、カードコアの輪郭線や、カードコアの輪郭より一回り外側を示す線、カードコアの輪郭より一回り外側の枠の4隅を示すマークなどが、カードコア表面に転写されることになる画像部分と共に転写フィルム表面に形成されていることが望ましい。
以下、上記2つのタイプに分けて、第1の実施形態に用いられる好適な転写フィルムについて、転写フィルム表面に設けられる画像が一例として電子写真法により形成されたものであることを前提としてより詳細に説明する。
−画像のみを転写するタイプの転写フィルム−
このタイプの転写フィルムは、画像保持層には離型性材料が含まれているため、トナーなどの画像形成材料をカードコアに良好に転写できる。
離型性材料は、転写フィルムにおいて画像形成材料を一旦定着し固定化すると共に、カードコアと加熱圧着されたときには上記画像形成材料を離型する画像保持層に用いられるものである。したがって、離型性材料としては、電子写真において画像形成材料として一般的に使用されるトナーに対して密着性と、離型性とを有することが望ましい。
上述の離型性材料としては、特に制限されないが、シリコーン系ハードコート材料が利用できる。このシリコーン系ハードコート材料には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、このシラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
画像保持層には、離型性材料の他に樹脂が含まれていてもよく、例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が含まれていてもよい。ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂はトナーの結着樹脂として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含ませることにより、転写フィルム表面への画像形成材料の定着性を適性に制御することができる。なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えば、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いても良い。
さらにまた、基体との接着性を改善したり、ブロッキング性などを改善するために、従来の公知の樹脂を必要に応じて混合して、画像保持層を構成する樹脂材料として用いることもできる。この樹脂材料としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。
電子写真装置内での転写フィルムの搬送をより良好なものとするために、画像保持層にはフィラーが含まれていてもよい。このフィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが好ましいが、画像保持層膜厚を考慮すると、画像保持層膜厚の1.2倍以上が好ましい。大き過ぎるとフィラーが画像保持層から脱離して、転写フィルム表面が摩耗損傷し易くなり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大する場合がある
フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。また、フィラーを構成する材料としては公知の樹脂材料や、無機材料が利用できる。
基体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムを代表的に用いることができる。この中でも、OHPフィルムとして使用できる光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを用いることが好適できる。また、紙(普通紙、コート紙等)、金属(アルミニウム等)、セラミックス(アルミナ等)も用いることができる。
また、画像保持層の厚みは0.1μm以上20μm以下程度であるため、転写フィルムの厚みは基体の厚みによって決定される。このため、基体の厚さは、50μm以上200μm以下の範囲が好ましく、75μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。厚さが50μmに満たないと、電子写真装置内で搬送不良を招く場合があり、200μmを超えると電子写真装置内にてトナー像を転写フィルム表面に移行することが困難になり、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
−転写フィルムを構成する部材の少なくとも一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルム−
このタイプの転写フィルムは、基体の同一面上に、画像保持層を含む少なくとも1層の層が設けられており、これら層の内の少なくとも1層が硬化性樹脂を含有する層であることが特に好ましい。この場合、この硬化性樹脂を含有する層は、基体、又は基体側に隣接する層から、剥離可能な層である。
このように硬化性樹脂を含有する層が、基体又は基体側で隣接する層から剥離することにより、電子写真法で形成された画像をカードコア上に転写させた場合に、基体又は基体側に隣接する層から、硬化性樹脂を含有する層が剥離し、カードコア上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。
この転写フィルムにおける硬化性樹脂を含有する層と、基体又は硬化性樹脂を含有する層が基体側に接する層との界面での剥離力は、0.098N/cm以上4.90N/cm以下(10gf/cm以上500gf/cm以下)であることが好ましく、0.196N/cm以上3.92N/cm以下(20gf/cm以上400gf/cm以下)であることがより好ましく、0.490N/cm以上2.41N/cm以下(50gf/cm以上250gf/cm以下)であることが更に好ましい。
剥離力が0.098N/cm(10gf/cm)未満であると、離型層と硬化性樹脂を含有する層とが剥がれやすくなり、画像定着時に、電子写真装置の定着器に硬化性樹脂を含有する層が転移してしまったり、あるいは記録媒体を作製するときに前記硬化性樹脂を含有する層と、基体又は基体側で隣接する層との界面ですべりを生じ、最終的に画像が乱れて転移されてしまうことがある。一方、剥離力が4.90N/cm(500gf/cm)を超えてしまうと、部分的に硬化性樹脂を含有する層が基体又は基体側で隣接する層の表面に残ることがあるため、これが記録媒体表面の欠陥の発生を招いてしまう場合がある。
ここで、剥離力とは、JIS規格Z0237の粘着力の測定における180度引き剥がし粘着力に準じた測定で行った時の測定値である。
また、画像のみを転写するタイプの転写フィルムにおける画像保持層表面などの電気的特性、基体、画像保持層に用いられるフィラーや各種添加剤については、転写フィルムを構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルムにおいても適用することができる。
−カードコア−
カードコアを構成する材料としては特に限定されないが、樹脂のほかに、紙、金属、セラミックなども利用できるが、樹脂が最も好適である。樹脂を用いることによりプラスチックシートをカードコアとして用いた記録媒体を得ることができる。
プラスチックとしては、具体的には、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル、アセテート、三酢酸セルローズ、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリイミド、セロハンなどがあり、中でもPETやポリエステルが好ましく用いられる。特に、PETのエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えた変性PET(PETG)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、プラスチックは、熱硬化性であってもよいが熱可塑性であることがより好適である。さらに、プラスチックは不透明であることが好ましく、白色に着色されていることがより好ましい。
カードコアを構成する材料が、樹脂や紙である場合には、これに顔料や染料などを添加して着色することもできる。また、本発明に用いられるカードコアはフィルム状であってもよいが板状であることがより好ましく、市販の電子写真用やインクジェット用の記録紙などと異なり、手で容易に折り曲げることができない程度の剛性を有することが好ましい。
なお、ICカードや磁気カードとして利用可能な記録媒体を作製するために、カードコアには、ICメモリ、アンテナ、外部端子等が予め埋め込まれてもよい。また、カードコアには磁気ストライプやホログラム等が別途印刷されていてもよい。
なお、上記各実施形態で得られる記録媒体は、キャッシュカード、社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明証等に利用され得る。