JP5070587B2 - 高安定調光装置 - Google Patents
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Description
該時分割制御回路が、
a) 前記交流電源の電圧がゼロになる時間であるゼロクロス点を検出し、該ゼロクロス点において値が変化するゼロクロス信号を生成するゼロクロス検出手段と、
b) 前記交流電源の周波数又は該周波数の整数倍の周波数を有する発振信号を生成する発振手段と、
c) 前記ゼロクロス信号が生成される毎に該ゼロクロス信号と前記発振信号の位相差を測定し、該位相差の測定値のデータに基づいて、前記スイッチング素子をオン又はオフにするタイミングを定めるための基準点を決定する基準点決定手段と、
d) 前記基準点及び前記照明負荷に供給すべき実効電圧に基づいて定まるタイミングで、前記スイッチング素子をオン又はオフにするオン/オフ信号を該スイッチング素子に送信する時分割制御信号生成手段と
を備えることを特徴とする。
前記照明負荷に供給すべき前記実効電圧を設定する操作を行うことにより該照明負荷の調光レベルを設定する調光レベル設定手段を有し、
該調光レベル設定手段において、
前記照明負荷が点灯を開始する最小の実効電圧を点灯開始実効電圧として設定し、前記調光レベル設定手段における前記操作の範囲内の所定の点灯開始位置に前記点灯開始実効電圧を対応付け、該点灯開始位置と該範囲における該照明負荷への最大供給実効電圧に対応する位置との間で、該点灯開始実効電圧と該最大供給実効電圧の間の実効電圧の値を割り当てる
ことが望ましい。これにより、照明負荷が点灯しない実効電圧の範囲(実際には点灯していても使用者が点灯を認識できない実効電圧の範囲を含む)を調光レベル設定手段の操作範囲に広く割り当てることがないため、使用者が自然な感覚で調光レベル設定手段を操作することができる。
本実施例の調光装置1は、図1に示す照明回路内において使用され、LED等の照明負荷3と共に交流電源2に直列に接続される。調光装置はスイッチング回路4と時分割制御回路5から成る。
次に、図3の説明図及び図4のフローチャートを用いて、本実施例の調光装置1の動作を説明する。調光装置1では、以下に述べるステップS1〜S6の操作を繰り返し実行することにより、電源電圧に重畳されるノイズ等の影響を排除する。まず、ゼロクロス検出部11は、電源電圧の絶対値が所定の閾値以下になったことを検出した時点がゼロクロス点23であることを示すゼロクロス信号25を生成する(ステップS1、図3(b))。本実施例では、上述のゼロクロス検出回路111を用いているため、ゼロクロス信号25は電源電圧が正の時には+VC、負の時には-VCの矩形波となる。その際、電源電圧にはノイズ21が重畳されたり(図3(a))、交流の波形に歪みが生じたり(図3(a'))することがある。このようなノイズの重畳や交流波形の歪みは特に、出力が小規模かつ不安定な自然エネルギーによる発電や自家発電による電力において発生するおそれがある。このようなノイズが存在する電源電圧の信号をゼロクロス検出部11に入力すると、(ノイズが存在しない場合に)本来ゼロクロス点であるべき時点付近にノイズ21が存在する場合には、本来ゼロクロス点ではない時点23において、ノイズ21が重畳した電源電圧が正から負、又は負から正に変化するため、ゼロクロス検出部11はその点をゼロクロス点23と誤認してゼロクロス信号25を生成する(図3(b))。同様に、電源電圧に波形歪が存在する場合には、ゼロクロス信号25は、波形歪が無い場合に本来生成されるべき時間(符号22A)からずれた時間(符号21A)に生成される。なお、以下ではノイズが重畳する場合を例に説明するが、波形歪が生じる場合にも同様の処理が可能である。
次に、図5〜図8を用いて、基準点決定部14においてなされる統計処理の例を説明する。ここでは、図3(d)に示した位相差の測定値δn(nは整数)が、時間経過(nの増加)により図5に示した変化を示す場合を例に説明する。なお、図6及び図8に示した位相差の測定値は図5に示したものと同じである。
第1の例は移動平均法によるものである。この方法は、各測定値δnが得られた時点で、その測定値δnを含む直近の所定個数の測定値を平均した値をとるものである。図5に、8個の測定値を平均した例を示す。測定値は±20°の範囲に分布している。それに対して、移動平均法により得られた値は±2.5°の範囲内に収まり、測定値と比較してδnの誤差を十分に小さくすることができる。
第2の例は、移動平均法において各測定値δnが得られた時点で、δnを含む直近の所定個数(4個以上)の測定値から最大値及び最小値を除いたうえで、残りの測定値の平均をとるものである。これら最大値及び最小値はノイズに起因したものである可能性が高いため、これらを除いて平均をとることにより、ノイズの除去効果がより高まる。図6に、10個の測定値から最大値及び最小値を除き、残り8個の測定値を平均した例を示す。図5の場合よりも平均値のばらつきが更に小さくなっていることがわかる。
第3の例は、代表的なデジタルフィルタであるFIRフィルタを用いたものである。図7に、本実施例で用いるFIRフィルタのブロック図を示す。このFIRフィルタでは、各時点における測定値はX(n)=X(0)として入力される。そして、既に得られている測定値は、新たな測定値が得られる毎にX(1), X(2),...と、nが1ずつ増加した値として取り扱われる。こうして得られた各時点における測定値X(n)=X(0), X(1), X(2),...に、nの値毎に定められた係数an=a0, a1, a2...を乗じ(但し、a0, a1, a2...の総和は1)、それらの和を取った値Y(n)=a0X(0)+a1X(1)+a2X(2)...+anX(n)を平均値として出力する。ここで係数anは、例えばX(n)の測定からの時間経過が短いほどanを大きくする等、nの値毎に重み付けを変えることができる。
第4の例は、FFTフィルタを用いたものである。図9に、FFTフィルタの動作の概念図を示す。基準点決定部14において求められるゼロクロス信号と発振信号の位相差の測定値δn(図3(d))の変化は、図9(a)に示すように時間を横軸とするグラフで表すことができる。このグラフにおいて、ゼロクロス信号にノイズが混入すると、本来の信号30に位相差の測定値が急変する誤差成分31A、31B、31C...が重畳した信号が観測される。第4の例では、このグラフのデータに対してフーリエ変換を行う。これにより、図9(b)に示すように、横軸を周波数とするグラフ上には、ゼロクロス信号の本来の周波数に対応したピーク32と、誤差に起因したピーク33A、33B、33C...が観測される。次に、このグラフのデータから、誤差に起因したピーク33A、33B、33C...を除去する(フィルタリング処理、図9(c))。そして、この除去操作後のデータに対してフーリエ逆変換を行う。これにより、時間を横軸とする、ノイズが除去された位相差δTのグラフ(図9(d))が得られる。
次に、図10〜12を用いて、本実施例で用いる調光レベル設定部18において使用者が操作する調光ダイヤルの回動の角度と、実際の調光レベルの関係を設定する方法について説明する。
まず、このような設定が必要となる理由を説明する。LEDでは、負荷に供給される実効電圧を0から増加させてゆくと、実効電圧がある閾値(以下、「点灯開始実効電圧」と呼ぶ)に達して初めて点灯する。そのため、調光ダイヤル52の可動範囲(操作範囲)に単純に実効電圧を最小値min.(実効電圧0)から最大値max.まで割り当てると、調光ダイヤルを高実効電圧側に回しても、上記閾値に対応する位置55まではLEDが点灯せず、無駄な操作になる(図10の左図)。また、点灯開始実効電圧は個々のLEDの素子によって異なる(図10の左図)ため、取り付けたLEDの素子によって調光ダイヤルの操作感が異なる。そこで、本実施例では、以下に述べるように、調光ダイヤルの可動範囲内の所定の位置が点灯開始実効電圧に対応するように設定することにより、この可動範囲内においてLEDが点灯しない範囲が過度に広くなることを防ぐと共に、LEDの素子の違いによる操作性のばらつきを防ぐ。
次に、図13を用いて、時分割制御回路5が有するゼロクロス検出部11、周波数測定部12、発振器13、基準点決定部14、オン/オフタイミング算出部15、CPU16、時分割制御信号生成部17及び調光レベル設定部18のうちの1つ又は複数を動作させるための直流電源の例を説明する。
スイッチング素子6のオン/オフのタイミングは、図3(h)に示したようにゼロクロス点をオフ(又はオン)のタイミングとする例の他に、図15に示すように、ゼロクロス点からπ/2だけ位相がずれた時点(即ち、電圧の絶対値が最大になるピーク位置)に関して電圧の波形が対称になるようにオフ(又はオン)の期間を定めてもよい。具体的には、ゼロクロス点から(π/2)-Δの時点をオンのタイミングとし、(π/2)+Δの時点をオフのタイミングとする。このようにオン/オフのタイミングを制御することにより、交流電圧と交流電流の位相のずれを小さくすることができ、調光時の力率低下を防ぐことができる。図15の例では、(a)〜(d)に向かうほどオン期間が短く(照明負荷への供給実効電圧が小さく)なっている。図15(e)は電圧の1周期の間に多数回オン/オフを繰り返したものである。なお、図15に示した例では、図14に示した例と同様の理由により短時間のオフ期間を設けているが、力率の改善という点ではこのオフ期間は必要ではない。
本発明は上記実施例のものに限られない。例えば以下のような変形が可能である。
上記実施例では、発振器13の発振周波数は周波数測定部12で測定されたゼロクロス信号の周波数に基づいて定めたが、交流電源2の周波数を測定して定めてもよい。また、使用者が発振器の周波数を手動で設定するようにしてもよい。さらには、調光装置で使用する交流電源が固定されている場合には、発振周波数がその固定値又はその固定値の整数倍に固定された発振器を用いてもよい。
上記実施例では、ゼロクロス検出部11は、交流電源2とスイッチング回路4の間に流れる交流の電圧に基づいてゼロクロス点の検出を行っている。それに加えて、図16に示すように、スイッチング回路4が無い側の交流電源2と照明負荷3の間に流れる交流の電圧も測定し、それら2つの電圧の差に基づいてゼロクロス点の検出を行ってもよい。これにより、照明回路を接地できない場合にも、安定したゼロクロス点の検出を行うことができる。
ゼロクロス信号は、上記実施例では電源電圧が正の時には+VC、負の時には-VCである矩形波としたが、ゼロクロス点においてパルス状の波形を有する信号を用いてもよい。
2…交流電源
3…照明負荷
4、4A、4B…スイッチング回路
5…時分割制御回路
6…スイッチング素子
11…ゼロクロス検出部
111…ゼロクロス検出回路
12…周波数測定部
13…発振器
14…基準点決定部
15…オン/オフタイミング算出部
16…CPU
17…時分割制御信号生成部
18…調光レベル設定部
21…ノイズ
21A…波形歪によりずれた、ゼロクロス点が生成される時間
22…基準点
22A…ゼロクロス点が本来生成されるべき時間
23…ゼロクロス点
24…発振信号の正負が反転する時点
25…ゼロクロス信号
26…発振信号
30…信号
31A、31B、31C…誤差成分
32…ピーク
33A、33B、33C…ノイズのピーク
40A、40B…直流電源
41…トランス
42A、42B…ブリッジ整流回路
42B…ブリッジ整流回路
43A…コンデンサ
43B、43C…第1コンデンサ
43D…第2コンデンサ
51…ON/OFFスイッチ
52…調光ダイヤル
53…表示灯
55…調光ダイヤルにおける調光レベルの設定前の点灯開始位置
56…調光ダイヤルにおける調光レベルの設定後の点灯開始位置
Claims (15)
- 交流電源に照明負荷と直列に接続された、スイッチング素子を有するスイッチング回路と、該スイッチング素子をオンにする期間を調整することにより該照明負荷に供給される実効電圧を制御する時分割制御回路を備える調光装置であって、
該時分割制御回路が、
a) 前記交流電源の電圧がゼロになる時間であるゼロクロス点を検出し、該ゼロクロス点において値が変化するゼロクロス信号を生成するゼロクロス検出手段と、
b) 前記交流電源の周波数又は該周波数の整数倍の周波数を有する発振信号を生成する発振手段と、
c) 前記ゼロクロス信号が生成される毎に該ゼロクロス信号と前記発振信号の位相差を測定し、該位相差の測定値のデータに基づいて、前記スイッチング素子をオン又はオフにするタイミングを定めるための基準点を決定する基準点決定手段と、
d) 前記基準点及び前記照明負荷に供給すべき実効電圧に基づいて定まるタイミングで、前記スイッチング素子をオン又はオフにするオン/オフ信号を該スイッチング素子に送信する時分割制御信号生成手段と
を備えることを特徴とする調光装置。 - 更に、前記交流電源の周波数又は前記ゼロクロス信号の周波数を測定し、その測定値に基づいて前記発振手段における発振信号の周波数を設定する周波数設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
- 前記基準点の決定を前記位相差の前記測定値の移動平均値に基づいて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
- 前記移動平均値を求める際に、4個以上の測定値から最大値及び最小値を除いた残りの測定値の平均をとることを特徴とする請求項3に記載の調光装置。
- 前記基準点の決定を前記位相差の前記測定値に対する有限インパルス応答をとることにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
- 前記基準点の決定を、前記位相差の時間変化に対するフーリエ変換をとり、ノイズに由来する周波数成分を除去したうえで逆フーリエ変換をとることにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
- 前記基準点決定手段が、前記基準点から位相がπ/2ずれた時点から所定時間だけ遡った時点を前記オンのタイミングと決定し、該基準点から位相がπ/2ずれた時点から前記所定時間と同じ時間だけ経過した時点を前記オフのタイミングと決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調光装置。
- 前記照明負荷に供給すべき前記実効電圧を設定する操作を行うための、下限と上限の間の操作範囲を有する調光レベル操作部と、該調光レベル操作部の該操作範囲内の位置に基づいて該照明負荷の調光レベルを設定する調光レベル設定手段を有し、該調光レベル設定手段が、
前記照明負荷が点灯を開始する最小の実効電圧を点灯開始実効電圧として設定し、前記調光レベル操作部における前記操作範囲内の所定の点灯開始位置に前記点灯開始実効電圧を対応付け、該点灯開始位置と該操作範囲における該照明負荷への最大供給実効電圧に対応する位置との間で、該点灯開始実効電圧と該最大供給実効電圧の間の実効電圧の値を割り当てる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の調光装置。 - 前記点灯開始位置が、前記操作範囲の前記下限よりも高電圧側の位置であることを特徴とする請求項8に記載の調光装置。
- 更に、前記ゼロクロス検出手段、前記発振手段、前記基準点決定手段及び前記時分割制御信号生成手段のうちの少なくとも1つを動作させるための電源であって、
前記交流電源に対して前記照明負荷と直列に1次側が接続されたトランスと、
入力側の2端子が前記トランスの2次側に接続され、出力側の2端子のうちの一方が接地されたブリッジ整流回路と、
一方の端子が接地され、他方の端子が前記ブリッジ整流回路の出力側の2端子のうちの非接地側の端子に接続されたコンデンサと
を有する直流電源を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の調光装置。 - 更に、前記ゼロクロス検出手段、前記発振手段、前記基準点決定手段及び前記時分割制御信号生成手段のうちの少なくとも1つを動作させるための電源であって、
入力側の2端子が前記スイッチング回路と並列に接続されたブリッジ整流回路と、
前記ブリッジ整流回路の前記並列接続の経路中に、前記ブリッジ整流回路を挟むように2個設けられた第1のコンデンサと、
一方の端子が接地され、他方の端子が前記ブリッジ整流回路の出力側の2端子のうちの非接地側の端子に接続された第2のコンデンサと
を有する直流電源を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の調光装置。 - 更に、前記ゼロクロス検出手段、前記発振手段、前記基準点決定手段及び前記時分割制御信号生成手段のうちの少なくとも1つを動作させるための第2の電源であって、
前記交流電源に対して前記照明負荷と直列に1次側が接続されたトランスと、
入力側の2端子が前記トランスの2次側に接続され、出力側の2端子のうちの一方が接地されたブリッジ整流回路と、
一方の端子が接地され、他方の端子が前記ブリッジ整流回路の出力側の2端子のうちの非接地側の端子に接続された第3のコンデンサと
を有する第2の直流電源を備えることを特徴とする請求項11に記載の調光装置。 - 前記時分割制御信号生成手段が、前記照明負荷に供給される実効電圧を最大にする場合において前記スイッチング素子をオフにする時間帯を設けるように前記オン/オフ信号を生成することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の調光装置。
- 前記ゼロクロス検出手段が、前記交流電源に対して2個のダイオードが互いに逆極性となるように並列に接続されたゼロクロス検出回路において該ダイオードの両端に加わる電圧に基づいてゼロクロス信号を得るものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の調光装置。
- 前記スイッチング素子を複数備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の調光装置。
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