JP5069266B2 - 可変焦点レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、可変焦点レンズに関し、より詳細には、電気光学効果を有する光学材料を用いて、焦点距離を変更可能とした可変焦点レンズに関する。
従来、光学レンズ、プリズムなどの光学部品は、カメラ、顕微鏡、望遠鏡などの光学機器、プリンタ、コピー機など電子写真方式の記録装置、DVDなどの光記録装置、通信用、工業用の光デバイス等に用いられている。通常の光学レンズは、焦点距離が固定されているが、上述の機器、装置の中には、状況に応じて焦点距離を調整することのできるレンズ、いわゆる可変焦点レンズを用いる場合がある。従来の可変焦点レンズは、複数のレンズを組み合わせて、機械的に焦点距離を調整する。しかしながら、このような機械式の可変焦点レンズは、応答速度・製造コスト・小型化・消費電力などの点から、適用範囲を広げることには限界があった。
そこで、光学レンズを構成する透明媒質に、屈折率を可変できる物質を適用した可変焦点レンズ、光学レンズの位置を動かすのではなく、機械的に光学レンズの形状を変形させる可変焦点レンズなどが考え出された。前者の可変焦点レンズとして、光学レンズとして液晶を利用した可変焦点レンズが提案されている。この可変焦点レンズは、2枚のガラス板で液晶を挟み込むなどして、透明物質でできた容器に液晶を封じ込めている。この容器の内側を球面上に加工して、液晶をレンズ形状に成形すると、可変焦点レンズを構成することができる。この容器の内側には透明電極が設けられ、液晶に電界をかけることによって屈折率を制御し、焦点距離を可変制御する(例えば、特許文献1参照)。
後者の可変焦点レンズとして、変形するレンズの材料は、液体が用いられることが多い。例えば、非特許文献1に記載された可変焦点レンズは、ガラス板に挟まれた空間に、シリコンオイルなどの液体を封入した構造を有している。ガラス板は、薄く加工されており、外部からチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)ピエゾアクチュエータによって、ガラス板に圧力をかけることにより、オイルとガラス板全体で構成されるレンズを変形させ、焦点位置を制御する。この可変焦点レンズの動作原理は、眼球の水晶体と同じである。
特開平11−64817号公報
金子卓他、「可変焦点レンズを用いた長焦点深度視覚機構」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.3, No.1, p.52−58, 1998
従来の可変焦点レンズは、機械的に焦点距離を調整する可変焦点レンズ、液晶に電界をかけて屈折率を制御する可変焦点レンズ、PZTピエゾアクチュエータによりレンズを変形させる可変焦点レンズのいずれも、焦点距離を変更するのに要する応答速度に限界があり、1ms以下の高速応答に適用することができないという問題があった。
本発明の目的は、焦点距離の変更を高速に行うことができる可変焦点レンズを提供することにある。
本発明は、反転対称性を有する単結晶からなる電気光学材料と、その電気光学材料の光の入射面と光の出射面とに形成された電極を備える。光を入射面の電極が形成されていない空隙から入射し、出射面の電極が形成されていない空隙から出射するように光軸を設定する。入射面の電極と出射面の電極を結ぶ電気力線の一部が空隙で屈曲することにより、光軸を中心に光が透過する部分の電界を変化させることが可能である。本発明は、入射面の電極と出射面の電極との間の印加電圧を変えることにより、電気光学材料を透過した光の焦点が可変である可変焦点レンズであって、さらに、電極への電圧の印加に起因して発生する電気光学材料の膨張を押さえ込む構造を有することを特徴とする可変焦点レンズである。
本発明の一実施形態は、さらに、入射面の空隙に光を入射し、出射面の空隙からの光を出射する貫通穴を有し、電気光学材料を光軸方向に沿って挟み込む2枚の板を備えることができる。
さらに、本発明の一実施形態では、板の一方にネジ穴を有し、板の他方にネジ溝を切ることにより、ネジを締結してこの2枚の板を固定することができる。
本発明の別の実施形態では、
(a)入射面の空隙に光を入射し、出射面の空隙からの光を出射する貫通穴を有し、電気光学材料を光軸方向に沿って挟み込む2枚の板と
(b)電気光学材料の厚さと厚さが等しく、光軸方向に垂直な面に電気光学材料を収納する貫通穴を有する、電気光学材料の周囲を取り囲むスペーサと
(c)電気光学材料・スペーサ・板の間に流し込まれて、これらを互いに接着する接着剤と
を備えることができる。
本発明の一実施形態では、電気光学材料は、ペロブスカイト型単結晶材料であってもよい。
本発明の一実施形態では、電気光学材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb)であってもよい。
本発明の一実施形態では、電気光学材料は、結晶の主成分が、周期律表Ia族とVa族から構成されており、Ia族はカリウムであり、Va族はニオブ、タンタルの少なくとも1つを含んでもよい。
本発明の一実施形態では、入射面の電極および出射面の電極の各々は、空隙を挟んで対向する辺が平行に配置されている。
本発明の一実施形態では、電気光学材料の膨張を押さえ込む構造のバネ係数kは、電気光学材料のバネ係数kよりも大きい。
本発明の一実施形態では、電気光学材料を挟む板の材料は、セラミック系材料であってもよい。
本発明によれば、入射面の電極と出射面の電極とを結ぶ電気力線の一部が、電極の形成されていない空隙で屈曲し、光軸を中心に光が透過する部分の電界が変化させられ、入射面の電極と出射面の電極との間の印加電圧を変えることにより、電気光学材料を透過した光の焦点を変化させることができる。電気光学効果は高速な応答が可能であるため、この可変焦点レンズでは、1μsをきる高速応答が可能になる。
本発明の一実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す図である。 本実施形態にかかる可変焦点レンズの原理を説明するための図である。 可変焦点レンズの基板内部における電界成分と屈折率の分布とを示す図である。 実施例2にかかる可変焦点レンズの光路長変調分布を示す図である。 実施例2にかかる可変焦点レンズにおいて光路長変調と理想的な二次曲線とのずれを示す図である。 本発明の実施形態にかかる可変焦点レンズの電界印加による基板の変形を説明するための図である。 本発明の実施形態にかかる可変焦点レンズの変形を押さえ込む構造を示す図である。 変形を押さえ込む構造が変形する様子を示す図である。 実施例1にかかる可変焦点レンズの基板部分の構成を示す図である。 変形を押さえ込む構造の有無による、本発明の実施形態にかかる可変焦点レンズの光路長変調分布の違いを説明する図である。 本発明の実施例2にかかる可変焦点レンズを説明する図である。 本発明の実施例2にかかる可変焦点レンズの変形を押さえ込む構造において、力の関係を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる可変焦点レンズの変形を押さえ込む構造を示す図である。
本発明は、反転対称性を有する単結晶からなる電気光学材料と、該電気光学材料の光の入射面と光の出射面とに形成された電極とを備え、前記光を前記入射面の電極が形成されていない空隙から入射し、前記出射面の電極が形成されていない空隙から出射するように光軸が設定され、前記入射面の電極と前記出射面の電極とを結ぶ電気力線の一部が前記空隙で屈曲することにより、前記光軸を中心に前記光が透過する部分の電界が変化させられ、前記入射面の電極と前記出射面の電極との間の印加電圧を変えることにより、前記電気光学材料を透過した光の焦点が可変であること、および電圧を印加したときに前記電気光学材料において自発的に発生する変形を押さえ込む構造を有することにより、変形の結果として生じる光弾性効果による屈折率の変調を抑えることを特徴とする。
前記電気光学材料は、ペロブスカイト型単結晶材料が好適であり、典型的にはタンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb)を用いることができる。また、前記電気光学材料は、結晶の主成分が、周期律表Ia族とVa族から構成されており、Ia族はカリウムであり、Va族はニオブ、タンタルの少なくとも1つを含むことができ、さらに、添加不純物としてカリウムを除く周期律表Ia族、例えばリチウム、またはIIa族の1または複数種を含むこともできる。
前記入射面の電極および前記出射面の電極の各々は、前記空隙を挟んで対向する辺が平行に配置されていることが好ましい。さらに、前記入射面の電極の前記対向する辺と、前記電気光学材料を挟んで対向する前記出射面の電極の前記対向する辺のそれぞれは、平行に配置されていることが好ましい。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の可変焦点レンズは、電気光学材料と、これに取付けた電極から構成される。電気光学効果を利用することにより、従来の可変焦点レンズと比較して、はるかに高速な応答速度を得ることができる。
図1に、本発明の一実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す。電気光学材料を板状に加工した基板1の上面(光の入射面)および下面(光の出射面)に、それぞれ1対の上部電極2a,2bおよび下部電極3a,3bが形成されている。上部電極2a,2bの各々は等しい電位とし、下部電極3a,3bの各々も等しい電位とする。光は、同電位の電極対の間の空隙を通過するように、y軸方向に光軸を設定する。上部電極2a,2bのそれぞれは、光が透過する空隙を挟んで対向する辺がz軸に平行となるように形成されており、この2つの辺の間隔をAとする。下部電極3a,3bも同じ構成であり、その対向する辺の位置は、x軸方向において上部電極2a,2bの対向する辺と一致、すなわち基板1を挟んで一致している。ここで、基板1の厚さをTとする。電圧を上部電極2から下部電極対3へ、またはその逆に印加することができる。
電気光学材料は、反転対称性を有する酸化物単結晶材料が好適である。反転対称性については、詳しくは後述する。電極についても詳しくは後述する。
図2を参照して、本実施形態にかかる可変焦点レンズの原理を説明する。図1に示した可変焦点レンズにおいて、上部電極2a,2bに正の電圧、下部電極3a,3bに負の電圧をかける。このとき、通常のコンデンサと同様、電界は上下に向かい合った電極同士の間を、上から下に向いた状態で発生する。また、電界は、上下の電極の間だけでなく、その周囲にも発生し、光が透過する部分にも発生する。このはみ出した電界により、電気光学材料である基板1には、電気光学効果が発生し、光が透過する部分の屈折率が変調される。
光が透過する部分の電界分布と屈折率変調について説明する。電気光学材料は、一般的に比誘電率が1より十分に大きい。このため、基板1の内部の電界の電気力線は、表面付近では、基板表面に対して平行に近くなる(符号4a,4b参照)。上部電極2aから右方向へ進む電気力線4aは、上部電極2aを出た後、そのまま基板1の上面にほぼ平行に進む。一方、上部電極2bから左方向へ進む電気力線4bも、上部電極2bを出た後、そのまま基板1の上面にほぼ平行に進む。2つの電気力線4a,4bは、上部電極2a,2bの中央でぶつかるので、そこから大きく向き変え、基板1の下方向へ進む。電気力線4a,4bは、その後下面に達し、大きく向きを変えて、互いに反対方向に進み、それぞれ下部電極3a,3bまで進む。このように、基板1の内部で、表面付近を進む電気力線は、同電位の電極対の間の空隙において急激に屈曲するので、この屈曲部分では電界が大きく変化する。すなわち、光軸を中心に、光が透過する部分で電界が変化して、屈折率が変調される。
図3に、基板内部における電界成分と屈折率の分布とを示す。図3(a)は、基板1の上面付近のx軸方向の、電界成分Eの分布を示す。横軸は、同電位の電極対の間にある光が透過する部分のx軸方向の位置を表している。中央部を境に、左と右とでは電気力線の向きが180度異なるため、このような分布となる。図3(b)は、同じくx軸方向の各々の位置におけるy軸方向の電界成分Eの分布を示す。電界成分Eは、符号は変わらないが、その絶対値は中央部で小さく、電極に近づくほど大きくなる。このような電界分布により、x軸方向の屈折率が変調される。
図3(c)に、電気光学材料としてタンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb、以下KTNという)を用いて、光電界の向きがz方向の光を入射したときの屈折率変調を示す。基板1の中央部付近、すなわち光軸付近は、中央部からx軸方向に離れて、電極対に近い部分よりも屈折率が低いため、光は高速で進行し、中心部から電極対に近い部分ほど、光の速度は遅くなる。このため、基板1を透過した光の波面は、中央部付近よりも電極対に近い部分で遅れた形となり、凹レンズとして機能する。光が透過する部分をレンズとして考えると、集光または発散の効果の強いレンズを実現することができる。図1および図2の構成では、x軸方向にのみ集光または発散が起こり、z方向での集散は起こらないので、一般的な球面レンズではなく、いわゆるシリンドリカルレンズとして機能する。
結晶内部の電界の大きさは、電極に印加する電圧に比例する。また、屈折率変調は電界の自乗に比例するため、結局、屈折率変調の大きさは電圧の自乗に比例する。これにより、凹レンズの焦点距離は電圧によって制御できる。また、ここでは凹レンズとして機能すると説明したが、電気光学係数の符号は材料や光偏光によって異なるので、凸レンズを実現することもできる。
図1および図2の構成の可変焦点レンズをもう一組用意し、光が透過する部分の光軸を一致させて配置する。2つの可変焦点レンズを、光軸を中心に互いに90度の角度で配置することにより、2方向で集光または発散を行うことにより、球面レンズと等価な機能を実現することができる。
(電気光学材料)
電気光学効果には、いくつかの次数の異なる電気光学効果が含まれるが、一般的には、1次の電気光学効果(以下、ポッケルス効果という)と2次の電気光学効果(以下、カー効果という)が利用されている。しかし、電気光学効果の中でも、電界の自乗に比例した屈折率変調が起こる、2次の電気光学効果(カー効果)を有する材料が好適である。カー効果の場合は、図3に示したように、屈折率分布Δnは電界成分Eの符号に依存しないので、レンズとして好適な左右対称形になるからである。一方、ポッケルス効果の場合は、屈折率変調は電界の1乗に比例し、電界成分Eによる屈折率変化は左右対称とならないため、レンズとしてうまく機能しない。
また、反転対称性を有する単結晶とは、原子の配列を、ある原点を中心としてx,y,z座標系で反転したとき、元の原子の配列と完全に同じ配列となる結晶をいう。なお、自発分極を有する材料を、座標軸上で反転すると、自発分極の向きが反転するので、このような結晶材料は反転対称性を有していない。一方、反転対称性を有する単結晶は、ポッケルス効果を有さず、カー効果が最低次の電気光学効果となる。従って、電気光学効果を有する結晶材料の中でも、反転対称性を有する単結晶が望ましい。
電気光学材料は、ペロブスカイト型の結晶構造を有する単結晶材料が好適である。ペロブスカイト型単結晶材料は、使用温度を適切に選択すれば、使用状態において反転対称性を有する立方晶相となり、この立方晶相にてポッケルス効果を有さないためである。例えば、最もよく知られたチタン酸バリウム(BaTiO、以下BTという)でも、120℃付近において正方晶相から立方晶相へ相転移する温度(以下、相転移温度という)を超えた温度であれば、立方晶相となり、カー効果を発現する。
さらに、KTNを主成分とする単結晶材料は、より好適な特徴を有する。BTは相転移温度が決まっているのに対し、KTNは、タンタルとニオブの組成比により、相転移温度を選択することができる。これにより、室温付近に相転移温度を設定することができる。KTNは、相転移温度よりも高い温度であれば立方晶相となり、反転対称性を有し、大きなカー効果を有する。同じ立方晶相にあっても、より相転移温度に近い方が、カー効果が圧倒的に大きくなる。このため、室温付近に相転移温度を設定することは、大きなカー効果を簡便に実現する上で、非常に重要である。
反転対称性を有する単結晶材料として、結晶の主成分が、周期律表Ia族とVa族から構成されており、Ia族はカリウムであり、Va族はニオブ、タンタルの少なくとも1つを含む材料を用いることができる。さらに、添加不純物としてカリウムを除く周期律表Ia族、例えばリチウム、またはIIa族の1または複数種を含むこともできる。例えば、大きなカー効果を有する立方晶相のKLTN(K1−yLiTa1−xNb3、0<x<1、0<y<1)結晶を用いることもできる。
KTNにおいて、使用温度を相転移温度に近づけると、誘電率が急激に高くなるため、
電気光学効果が大きくなる。また、誘電率が高いと、図2に示した電気力線の屈曲が、より急激になり、レンズ効果が大きくなる。大きな電気光学効果と大きな電気力線の屈曲とを合わせた相乗効果により、例えば、KTNの比誘電率が10,000を超え、KTN基板に印加する電圧が500Vを超えると、焦点距離が1m以下となり、実用上有効な特性が得られる。
なお、KTNは、他の電気光学結晶と同様に、印加電界の向きと光電界の向きとの関係により、屈折率変調が変わる。図2の構成において、偏光は、光電界の向きがx軸方向の場合と、z軸方向の場合の2種類がある。それぞれの場合に、光が感じる屈折率変調ΔnとΔnとは、
Figure 0005069266
となって異なる。ここで、nは変調前の屈折率である。
また、s11とs12は電気光学係数であるが、s11は正なのに対し、s12は負の値を持ち、絶対値はs11の方が大きい。この特徴のため、光電界の向きがx方向の場合は凸レンズ、z方向の場合は凹レンズと、入射光の偏光状態によって機能が全く変わる。
レンズの特性は、基板1を透過することによって光が受ける光路長変調によって表される。光路長変調Δsとは、電気光学材料を透過する間の経路にわたって、屈折率変調Δnを積分したものである。上述したように、屈折率変調はxとyとの関数であるため、これをΔn(x,y)とする。屈折率変調Δnはzには依存しない。本実施形態にかかる可変焦点レンズは、y軸方向に光が伝搬するので、光路長変調Δsは、
Figure 0005069266
となり、yには依存せずxのみの関数となる。すなわち、光を集散させるx軸方向でのみ変化し、z軸方向には変化しない。
図4に、実施例2にかかる可変焦点レンズの光路長変調分布を示す。図4(a)は、上部電極および下部電極の間隔A=2mmの場合の光路長変調分布を示し、図4(b)は、間隔A=1mmの場合の光路長変調分布を示す。基板1は、いずれの場合も厚さT=1mmの電気光学材料を使用している。横軸は、x軸方向の位置を表し、光が透過する部分の中央を原点としている。縦軸は、光路長変調Δsである。いずれも、光電界がx軸方向に向いている場合の光路長変調(Δs)は上に凸であり、凸レンズとして機能していることを表している。なお、光電界がz軸方向に向いている場合の光路長変調(Δs)は下に凸であり、凹レンズとして機能していることを表す。
図4の曲線は、二次曲線へのフィッティングの結果を示している。理想的には、この二次曲線に従うことが望ましいが、いずれの場合もわずかにずれが存在している。さらに、図4(a)は、図4(b)と較べて二次曲線からのずれが大きい。これは、各電極から光が透過する部分へ広がる電気力線は、基板1の厚さTによって決定される範囲内しか広がらないからである。すなわち、上部電極と下部電極との間に同じ電圧を印加したとき、上部電極および下部電極の間隔Aが広すぎる(図4(a)の場合)と、光が透過する部分の中央に電気力線が届かず、電気光学効果が小さくなり、屈折率変調も小さくなるからである。
図5に、可変焦点レンズにおいて光路長変調と理想的な二次曲線とのずれを示す。横軸は、電極対の間の空隙の間隔Aと基板1の厚さTとの比R(=A/T)を示す。縦軸は、実際の光路長変調Δsと理想的な二次曲線とのずれ量のピーク・ピーク値を示す。すなわち、間隔Aと厚さTとを決めて実際の光路長変調(図4(a),(b)のプロット○、□)を求めて、図4(a),(b)に示したフィッティングを行い、x座標が空隙の間隔Aの範囲にわたって、ずれ量の最小値と最大値を求め、そのふれ幅をピーク・ピーク値として示している。Rが大きい場合は、光が透過する部分の中央に電気力線が届かず、光路長変調Δsのずれ量が大きくなるので、Rをある程度小さく設定しておくことが望ましい。実用上、光路長変調Δsのずれ量の目安は、光波長程度(およそ1μm)であることから、Rを1.5以下にすることが望ましい。
(電界による歪の抑制)
以上、本発明の可変焦点レンズの実施形態を説明したが、電界の分布と電気光学効果のみを考慮して設計しても、設計どおりに機能しないことが多い。問題は、電界印加による基板1の変形にある。以下、この問題を詳述する。
電気光学材料は、ニオブ酸リチウム(LiNbO、以下LNという)や上述のBTを含め、電界を印加した時に歪を生じ、変形するものが多い。LNのようなポッケルス効果を有する単結晶電気光学材料は、自発分極を有するので、印加する電界に比例した歪を生ずる。これは圧電効果と呼ばれている。室温におけるBTも同様の効果を有する。一方、立方晶相のKTNは、自発分極を有せず、カー効果と同様に、印加する電界の自乗に比例した歪を生ずる。これは電歪効果と呼ばれている。相転移温度以上に加熱した立方晶相BTも同様の効果を有する。
立方晶相のKTNの電歪効果では、結晶の<001>、<010>、<100>軸方位にそれぞれx軸、y軸、z軸をとると、それぞれの軸方向の膨張率exx、eyy、ezzと、その他にeyz、ezx、exyを合わせ6つの歪量が発生する。電界のx軸方向成分をE、y軸方向成分をE、z軸方向成分をEと書いた時、この6つの歪量は、E、E、E、E、E、Eの6つの量の線形結合により、求められる。したがって、正確にはこれら全てのパラメータを考慮する必要があるが、単純化して、概ね、電界と平行な方向に結晶が伸張し、電界と垂直な方向には収縮する、と考えても良い。
図6に、図1の構造の可変焦点レンズに電圧を印加したときの、基板1の変形の様子を説明する図を示す。電極2aと2bを同電位、電極3aと3bとを同電位とし、これらの2つの電極対の間に電圧をかけたとする。電界が強いため基板が大きく歪む部分は、電極2aと3aとの間および電極2bと3bとの間であり、この部分にy軸方向の大きい応力が発生する。一方、光の透過する空隙の部分は、厚みを伸長させようとする応力は、小さい。このため、理解の便宜のために、変形を全体的に誇張して描くと、概ね図6のような形に変形する。しかし、この変形後の全体形状あるいは歪は、電歪効果のみで決まらずに、電歪効果による応力と、歪に対して反発して発生する電気光学材料の弾性応力との釣り合いで決まる。また、変形の結果として、光弾性効果による屈折率の変調が発生する。この屈折率変調が電気光学効果による屈折率変調に重畳されると、電界分布と電気光学効果のみを考慮して計算した屈折率変調からずれることになる。
そこで、本発明の可変焦点レンズでは、電歪効果による基板1の変形を押さえるため、基板1を高い剛性の材料で囲み、これにより電界分布と電気光学効果のみを考慮して計算した屈折率変調からのずれの問題を解決する。より具体的には、2枚の高剛性板により、電気光学材料を光軸方向に沿って挟み込むことで電歪効果による基板の変形を押さえる。
図7に、電歪効果による変形を押さえ込むことを可能にする、本発明の一実施形態を説明する図を示す。基板1をy軸方向に沿って、2枚の高剛性板5a、5bで挟む構造である。高剛性ネジ6a、6bのネジ頭に接していないほうの高剛性板5bにはネジが切られており、2枚の高剛性板5a、5bは、光透過のための穴7a、7bを有し高剛性ネジ6a、6bによって固定されている。この構造において、高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bの剛性が十分であれば、電界印加によって電歪応力が発生して電極間の厚さが伸長しようとしても、高剛性板5a、5bによって押さえ込まれているため、基板1は伸長することができず、したがって、図6のような変形が発生することもなく、光弾性効果による望ましくない屈折率変調が誘起されることもない。
本発明である、基板1を押さえ込む構造において重要な条件は、例えば図7のように高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bとの組み合わせによる構造を一種のバネと考え、他方、基板1も一種のバネと考えたとき、前者のバネのバネ係数kが、後者のバネのバネ係数kと比較して大きいことである。
以下、上述のバネについて説明する。高剛性板5a、5bも高剛性ネジ6a、6bも、バネの形状を呈してはいないものの、これらの部品の材料固有のヤング率・剛性率・ポアソン比で特徴付けられる弾性を有する。つまり、外部から力が加わると、微小量であるが変形し、力が取り払われると元の形状に戻る。
図8に、図7の構造において電歪効果によって基板1にy軸方向に伸張する力Fが発生した場合の、全体の変形の様子を誇張して描いたものを示す。このとき、高剛性ネジ6a、6bの長さが伸びるだけでなく、図8に示されるように、高剛性板5a、5bの中央部がy軸方向に沿って外側に向けてたわむ。基板1を置かない状態を想定し、2枚の高剛性板5a、5bの中央部に、この中央部の間隔dを増加させるよう、力Fを2枚の高剛性板5a、5bに加えた時、dの増加分ΔdはFに比例する。
Figure 0005069266
このときの比例定数をバネ係数kとおく。一方、基板1自体も単独で弾性体であるので、y軸方向に膨張させるようにかける力Fに対する膨張量Δdは、
Figure 0005069266
のようにFに比例する。このときの比例定数をバネ係数kとおく。これらの組み合わせである、基板1を高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bで押さえ込んだ状態では、電歪効果による力Fが発生した場合の高剛性板5a、5bの中央部の間隔dの増加分Δdは、やはり
Figure 0005069266
のようにFに比例するが、比例係数kは、kとkとを用いて、
Figure 0005069266
と表される。k<kの場合は、kはkに近くなるため、高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bとからなる押さえ込み構造は効率的に機能しない。押さえ込み構造は、k>kとなって初めて効率的に機能する。
以上説明したように、本発明のポイントは、押さえ込み構造のバネ係数kが基板1のバネ係数kよりも大きいことであり、高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bとからなる構造のみに限定されるものではない。
図7にて説明した構造で、本発明を実施した。また、図7において可変焦点レンズの主要部をなす電気光学材料の基板11について、より具体的な構造を図9に示す。電気光学材料を板状に加工した基板11の上面および下面に、それぞれ1対の上部電極12a、12bおよび下部電極13a、13bが形成されている。基板11は、KTN単結晶から、ブロックを切り出し、3mm×3mm×(厚さT=)1mmの形状に成形した。基板11の6面とも、結晶の(100)面に平行とし、光学研磨を行っている。このKTN単結晶は、相転移温度35℃であったので、これを少し上回る40℃で使用することとした。この温度での比誘電率は20,000である。
上部電極12a,12b、下部電極13a,13bのそれぞれは、0.6mm×2.6mmの方形で、白金(Pt)を蒸着して形成されている。そして、光が透過する空隙を挟んで対向する辺を平行に配置してあり、この2つの辺の間隔Aは1.4mmである。
高剛性板5a、5bの形状はそれぞれ、30mm×30mm×10mmである。図7に示すように、高剛性板5aの30mm×30mmの面20が基板11の入射面(あるいは出射面)と、高剛性板5bの30mm×30mmの面21が基板11の出射面(あるいは入射面)と対向する。高剛性板5a、5bの30mm×30mmの面の中央の光透過のための穴7a、7bは、直径1.5mmとした。材料は鋼鉄で、ヤング率は200GPaである。高剛性ネジ6a、6bも同じ材料とした。
図9に示すように、図7の構造の全体を40℃で温度制御した状態で、コリメートしたレーザ光を、上部電極12a、12bの間の空隙に入射する。光の偏光は直線で、振動電界の方向はx軸方向である。図10に、上下電極間に500Vの電圧を印加したとき、下部電極13a、13bの間から出射する光の波面を、光路長変調分布として示す。横軸は、x軸方向の位置を表し、光が透過する部分の中央を原点としている。縦軸は、光路長変調Δsである。○のプロットがシミュレーション結果で、上に凸の波面であることから、シリンドリカル凸レンズとして機能する設計であることを示している。これに対し、破線の曲線は本発明の押さえ込みを行わない状態で動作させたときの光路長変調分布の実験結果である。グラフの左右両端付近で、大きくマイナス方向に光路長が変調されているものの、その内側では波面は平坦で、さらに中央部でわずかに下に凸の形状を呈しており、シミュレーション結果と大きく異なる。この光路長変調分布において、上に凸の形状の極大付近における曲率半径がレンズの焦点となるため、押さえ込みを行わない場合は、ほとんどレンズとして機能しないことがわかる。
一方、実線の曲線は、本発明の高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bによって押さえ込んだ状態で測定した実験結果である。こちらは本発明の効果により、基板1が十分に押さえ込まれているため、シミュレーション結果と凡そ一致しており、凸レンズとして機能することがわかる。ここで、押さえ込みを行わない場合には、500V電圧印加時の、基板11の電極部分の厚み変化は、1μm程度であったのに対し、本実施例において、押さえ込みを行った場合は、半分の500nm以下となった。なお、高剛性板5a、5bの材料は、セラミック系材料(ALN−Bn系やAl系、ZrO系、MgO系等)であっても同様の効果を得ることができる。
図13に、図7の構造において更に、高剛性板5a、5bと基板1との間に、光を透過させてかつ剛性の強い板31、32を挟んだ本発明の一実施形態を説明する図を示す。高剛性板5a、5bの中央の光透過のための穴は、それが存在することによって高剛性板5a、5bの剛性が弱くなり、バネ係数が小さくなることもある。その場合は、剛性を高めるために、高剛性板5a、5bと基板1との間に、光を透過させてかつ剛性の強い板を挟んでもよい。ガラスの他、よりヤング率が高い、サファイア(コランダム)やジルコニアに代表される酸化物・窒化物の単結晶や、透明焼結体(セラミック)、ダイヤモンドなどを好適に用いることができる。
図11は、本発明の実施例2を説明する図である。実施例2では、可変焦点レンズの主要部をなす基板11の周囲を、スペーサ8で取り囲む構造をとる。図11に示されるように、スペーサ8は、基板11と厚さが等しい板状の構造物であり、中央に基板11を収納するための四角い穴を有する。この穴に基板11を挿入し、さらに、基板11とスペーサ8の上下に、スペーサ8の外形と同程度の板状構造物9a、9bを重ねる。このとき、基板11ならびにスペーサ8と、板状構造物9a、9bとの間に、樹脂などの接着剤を流し込み、基板11・スペーサ8・板状構造物9a、9bを接着する。
この構造において、電極12aなどを用いて基板11に電界を印加すると、やはり電歪効果により、基板11は厚み方向に膨張する力が働く。図12は、このときの力の作用の関係を説明する図である。基板11は、接している接着剤10を押し上げようとする。基板11に押し上げられた接着剤10は、さらに上の板状構造物9aを押し上げようとする。板状構造物9aは全体的に上昇しようとするので、スペーサ8の直上の部分では接着剤10を引っ張り上げようとする。その結果、スペーサ8も引っ張り上げられる。以上の一連の力の作用と同時に、反作用も起こる。また、同じことが下面の方でも対称的に起こる。このため、電歪効果により、スペーサ8は上下に膨張し、同様にスペーサ8の上下の接着剤10も上下に膨張する。板状構造物9a(9b)は、基板11の直上(直下)では持ち上げられ(押し下げられ)、スペーサ直上(直下)では引き下げられ(引き上げられ)るので、せん断歪が発生する。接着剤10は、基板11の上下では、スペーサ8の上下の部分とは逆に上下に圧縮される。
従って、基板11を押さえ込む構造全体のバネ係数kは、
(a)スペーサ8
(b)接着剤10のうちのスペーサの上下の部分
(c)板状構造物9a、9b
(d)接着剤10のうちの基板11の上下の部分
などによって決定される(接着剤10は、基板11とスペーサ8との間をも埋めており、バネ係数kにも多少は寄与するが、簡単のために影響は無視する)。
スペーサ8と板状構造物9a、9bについては、例えば金属・酸化物・窒化物の焼結体や単結晶など、基板11と同等以上の高い剛性の材料を用いることができる。さらにスペーサ8については、図11の上面図にも示されるように、基板11よりも十分に面積が広ければ十分に大きいばね係数を実現することができる。板状構造物9a、9bは、単純に厚さ方向に伸縮するバネとみなせるスペーサ8などとは異なって、図7における高剛性板5a、5bと同様に中央部が押されたときにたわむ種類のバネであり、厚くすれば、ばね係数を大きくすることができる。
残る接着剤10については、物性値として高いヤング率を実現することは容易ではなく、例えばエポキシ系やアクリル系の樹脂接着剤であれば、基板11を構成する電気光学材料の一般的なヤング率よりも、2桁程度小さいヤング率となる。しかし、基板11と比べて厚さを3桁以上薄くすることも可能であり、その場合、バネ係数は凡そヤング率×断面積/長さ(または厚さ)であることから、同じ断面積ならば基板11よりも高いバネ係数を実現することができる。もちろん、より高いヤング率を有する樹脂として、ナイロンやポリイミドなども好適に用いることができる。
本実施例では、基板11としてはKTN単結晶を7mm×7mm×厚さ4mmに加工したブロックを用いた。スペーサ8としては、同じくKTN単結晶を用いた。厚さは基板11と同じ4mmで、面積は基板11の8倍であった。また、板状構造物9a、9bにはそれぞれ1mm厚のサファイア(コランダム)単結晶を用いた。接着剤10の層の厚さを薄くするためには、基板11ならびにスペーサ8と、板状構造物9a、9bとの間の隙間を厳密に制御する必要がある。
このため、これらの表面の面精度が重要となる。これら4つの全てを光学研磨したが、特に基板11とスペーサ8とは、予め接着して一体化し、それを一体で光学研磨することにより、基板11とスペーサ8との段差をなくした。研磨で成形した後に、2枚の板状構造物9a、9bを、基板11とスペーサ8との上下面に接着剤によって接着した。接着剤層の厚さは2μmであった。接着剤はエポキシ系で、ヤング率は1GPa程度であったが、KTN単結晶からなる基板11の2000分の1の厚さであるため、基板11よりも一桁大きいバネ係数を実現することができた。
さらに、接着剤10によって基板11・スペーサ8・板状構造物9a、9bを一体化したものを、図7と同様に高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bとで押さえつけた。電歪効果による変形自体は、スペーサ8・板状構造物9a、9b・接着剤10で押さえ込んでいるので、高剛性板5a、5bと高剛性ネジ6a、6bは、電歪効果による変形で接着剤が剥離することを防ぐためだけに用いている。
以上のようにして作製した可変焦点レンズは、電圧を印加したときの基板11の変形を十分に押さえ込むことができ、その結果、光弾性効果による望ましくない屈折率変調も起こらなかった。このため、光路長変調分布は、図10のグラフの実線と同様に、中央部の凹みのないものとなり、凸レンズとして機能した。
1,11 基板
2,12 上部電極
3,13 下部電極
4 電気力線
5 高剛性板
6 高剛性ネジ
7 光透過のための穴
8 スペーサ
9 板状構造物
10 接着剤
20 高剛性板5aの面
21 高剛性板5bの面
31 高剛性板
32 高剛性板

Claims (10)

  1. 反転対称性を有する単結晶からなる電気光学材料と、該電気光学材料の光の入射面と光の出射面とに形成された電極とを備え、
    前記光を前記入射面の電極が形成されていない空隙から入射し、前記出射面の電極が形成されていない空隙から出射するように光軸が設定され、
    前記入射面の電極と前記出射面の電極とを結ぶ電気力線の一部が前記空隙で屈曲することにより、前記光軸を中心に前記光が透過する部分の電界が変化させられ、
    前記入射面の電極と前記出射面の電極との間の印加電圧を変えることにより、前記電気光学材料を透過した光の焦点が可変である可変焦点レンズにおいて、
    前記電極への電圧の印加に起因して発生する前記電気光学材料の膨張を押さえ込む構造を有することを特徴とする可変焦点レンズ。
  2. 前記入射面の空隙に光を入射し、または前記出射面の空隙からの光を出射する貫通穴を有し、前記電気光学材料を光軸方向に沿って挟み込む2枚の板を備えることを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
  3. 前記板の一方にネジ穴を有し、前記板の他方にネジ溝を切ることにより、ネジを締結して前記板を固定することを特徴とする請求項2に記載の可変焦点レンズ。
  4. 請求項2に記載の可変焦点レンズにおいて、
    前記電気光学材料の厚さと厚さが等しく、光軸方向に垂直な面に前記電気光学材料を収納する貫通穴を有する、前記電気光学材料の周囲を取り囲むスペーサと
    前記電気光学材料・前記スペーサ・前記板の間に流し込まれ、前記電気光学材料・前記スペーサ・前記板を互いに接着する接着剤と
    を備えることを特徴とする可変焦点レンズ。
  5. 前記電気光学材料は、ペロブスカイト型単結晶材料であることを特徴とする請求項1ないし4に記載の可変焦点レンズ。
  6. 前記電気光学材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb)であることを特徴とする請求項5に記載の可変焦点レンズ。
  7. 前記電気光学材料は、結晶の主成分は、周期律表Ia族とVa族から構成されており、Ia族はカリウムであり、Va族はニオブ、タンタルの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の可変焦点レンズ。
  8. 前記入射面の電極および前記出射面の電極の各々は、前記空隙を挟んで対向する辺が平行に配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の可変焦点レンズ。
  9. 請求項8に記載の可変焦点レンズにおいて、
    前記電気光学材料の膨張を押さえ込む構造のバネ係数kは、前記電気光学材料のバネ係数kよりも大きいことを特徴とする可変焦点レンズ。
  10. 請求項9に記載の可変焦点レンズにおいて、前記板材料は、セラミック系材料であることを特徴とする可変焦点レンズ。
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