JP5066501B2 - 紙葉媒体分離ローラ - Google Patents

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本発明は、航空機の搭乗券、列車の座席指定券、各種の予約券等の発行および情報の処理、さらに予約券等と金券等との交換や発行処理等を行う券類発行装置や紙幣の入出金処理機能を持つ現金処理装置といった紙葉媒体を扱う紙葉媒体分離部の部分摩擦方式の紙葉媒体分離ローラに関する。
一般的に、紙葉媒体分離部の分離ローラは、ローラの外周の一部にゴム等の摩擦係数の高い材料を使用し、残りの部分を摩擦係数の低い樹脂材料や金属材料とした2種類の材質の材料を組み合わせている部分ゴム構造の分離ローラを用いている。
従来の構造例を図7、図8、図9を用いて説明する。
シャフト11に複数のボス12が図示しないピンによって固定されている。
その各々のボス12にローラゴム13をはめ込んでフィードローラアッセンブリを構成している。このフィードローラアッセンブリは両端を図示しないフレームにベアリングを介して支持され、図示しない駆動伝達部から駆動を受けて回転する構造となっている。
シャフト11の両端には図示しないベアリングでフィードローラアッセンブリの軸方向の位置を決める段差11aおよび突起11bが設けられている。
図8にボス12の単体とローラゴム13のそれぞれの説明図を示す。
ボス12には、シャフト11を通す穴12a、ピンを打ち込むことによりシャフト11に固定する孔12bが設けてある。また、ローラゴム13をはめ込む突起12cがあり、ローラゴム13は係止孔13aをこの突起12cにはめ込むことで図7および図9に示す如く、ボス12に組み付けられ、ローラゴム13とボス12との接合部に境界14が形成される(例えば、特許文献1参照)。
特許第3928757号公報
しかしながら、上述した従来の技術においては、紙葉媒体を分離・搬送する際に、紙葉媒体の搬送方向に回転するローラの外周のゴムと樹脂や金属の部分の接合部の境界が、紙葉媒体の端面に当たると、紙葉媒体の端面が捲れ上がり、紙葉媒体を傷つけてしまうという不具合がある。特に、多湿環境下で紙葉媒体が湿気を含み、柔らかな状態になると一層ひどく発生しやすい。
旅客交通分野においては、媒体の裏面に磁気ストライプを設け、磁気化情報を付与した磁気化媒体から、情報を保持させたQRコードといった2次元バーコードを印字することで、磁気ストライプのない安価なチケットが普及してきている。このようなチケットは磁気ストライプを設ける必要がないことから、チケットの原紙も廉価のものを使用するユーザーが増えてきていることにより、紙葉媒体の質自体が強度の低い媒体となってきているためによる。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
そこで本発明は、ローラの外周の一部にゴム等の摩擦係数の高い材料を使用し、残りの部分を樹脂や金属等の摩擦係数の低い材料とした2種類の材質の部材を組み合わせた紙葉媒体分離ローラにおいて、ローラを構成する摩擦係数の低い円状部材の外周の一側に、溝とこの溝に並べた斜面を持つ凸部とを間隔をあけて2か所形成し、摩擦係数の高い円弧状部材の両端の中央に凸部を形成し、この凸部の頂部および凸部の両側の外周面に面取りによる斜面を形成し、前記円状部材の溝に円弧状部材の凸部を合わせるようにはめて一体に構成し、紙葉媒体の搬送方向に直交する方向の両部材同士の接合部の境界を前記溝と凸部とにより境界線を分割すると共に両部材の凸部の斜面を互いに入り込ませて両部材の外径方向の段差がなだらかにつながるようにしたことを特徴とする。
このようにした本発明は、繰り出される紙葉媒体に対して、摩擦の作用に係数の高い部材と摩擦係数の低い部材の接合部の境界が溝と凸部により段階的に形成され、かつ両部材の外径方向の段差がなだらかにつながるようにしたことにより、常温常湿環境下のみならず、多湿環境下においても、紙葉媒体の端面に両部材の接合部の境界が接触しても、端面を捲り上げることがなく、紙葉媒体を傷めない安定した分離ローラとすることができるという効果が得られる。
以下、図面を参照して本発明による実施例を説明する。
図1は実施例1を示す説明図である。
図において、1はシャフトであり、複数のボス2が図示しないピンによって固定されている。
その各々のボス2にローラゴム3をはめ込んでフィードローラアッセンブリを構成している。このフィードローラアッセンブリは両端を図示しないフレームにベアリングを介して支持され、図示しない駆動伝達部から駆動を受けて回転する構造となっている。
シャフト1の両端には図示しないベアリングでフィードローラアッセンブリの軸方向の位置を決める段差1aおよび突起1bが設けられている。
図2にボス2の単体とローラゴム3のそれぞれの説明図を示す。
円状形のボス2には、シャフト1を通す穴2aおよびピンを打ち込むことによりシャフト1に固定する孔2bが設けてある。また、ローラゴム3をはめ込む突起2cがある。
大略円弧状のローラゴム3は、係止孔3aをこの突起2cにはめ込むことでボス2に組み付けられる。
さらに、ボス2には孔2aを中心として、溝2dと斜面を持つ凸部2eを並べて形成し、この溝2dと斜面を持つ凸部2eは所定の角度離れた位置にも設けて2か所に形成してある。本実施例の場合は、溝2dと斜面を持つ凸部2eと他方の溝および斜面を持つ凸部は180度離れた位置となっている。したがって、これらの溝2dの両側の凸部2eの頂点は斜面により鋭角に尖ることなくなだらかにボス2の外形に結ばれる。
また、ローラゴム3は両端の中央に凸部3b、3cが形成してあり、この凸部3b、3cの頂部および凸部3b、3cの両側の外周面には大きな面取りによる斜面3d、3eが施されている。
このようにしたローラゴム3の係止孔3aを、ボス2の突起2cにはめ込むと、図1に示す如く、ローラゴム3の凸部3b、3cがボス2の溝2dと他方の溝のそれぞれにはまり込み、ローラゴム3の凸部3b、3cとボス2の斜面を持つ凸部2eはそれぞれの先部が互いに行き違うように入り込ませた状態に位置する入れ子構造となる。
この入れ子状態にローラゴム3とボス2を組み付けた状態をローラ外周正面から見た図を図3に示す。これにより、ローラゴム3とボス2の接合部の境界が分割されていることがわかる。本実施例では、両側の境界5aと境界5bは同じ長さであり、境界5aと5bの合計と境界5cとを同じ長さに設定した。これは、ローラゴム3の組み立て時に方向性を持たせずに組み付けることができて組み間違いを防止するためである。よって、境界は機能上は必ずしもこのようにしなくてもよく、両側の境界の長さは異なっていてもよく、両側の境界の和と中程の境界の長さとが等しくなくてもよい。
図4は本願の紙葉媒体分離ローラを適用した券類発行装置の概略説明図である。
単票状の紙葉媒体101、ロール状の媒体102をそれぞれ収納するスペースを設け、ロール状媒体102を所定の長さの紙葉媒体に切断するカッタ103、媒体の表面に印字する印字部104、磁気化情報を書き込みあるいは読み取る磁気部105、処理した媒体を集積し、1枚でも束でも排出することができる挿入兼排出部106が設けてある。
また、排出した紙葉媒体を操作者が取り忘れた際に、機器内に取り込む取り忘れ取込み部107がある。
挿入兼排出部106には、1枚ごとに挿入された媒体に対して、磁気の読み書き、追加印字といった処理を施すために図示しないシャッタや吸入検知機構が設けてある。
さらに、挿入された媒体に図示しない上位の指示に従って所定の処理をするため、追加印字部108、回収スタッカ部109、指示に従い挿入媒体の搬送先を切り替えるブレード110a、110bが設けてある。
紙葉媒体101の収納部は、上面の紙葉媒体をピッカーローラ112に押し当てる所定の位置に図示しない制御機構で制御するステージ111で構成されている。
紙葉媒体収納部の搬送方向には搬送ローラを構成するフィードローラアッセンブリ100、ゲートローラ113が配置されており、複数枚の紙葉媒体が搬送されることを防いでいる。
このような構成の券類発行装置によると、紙葉媒体101を積載したステージ111は図示しない駆動機構と位置制御により、ピッカーローラ112に紙葉媒体101を押し付ける。
そこで、ピッカーローラ112を搬送方向に回転させ、次の搬送ローラを構成するフィードローラアッセンブリ100、ゲートローラ113に搬送する。
本実施例では、ピッカーローラもフィードローラアッセンブリ100と同様に部分ゴム構造を用い、回転方向のピッカーローラの部分ゴム位置とフィードローラの部分ゴム位置を合わせて回動させている。これは、紙葉媒体に圧接させたピッカーローラ112を分離方向に回動し、ローラ外周の摩擦係数の高いゴム部分で送り、次のフィードローラアッセンブリ100に渡し、続いて紙葉媒体に圧接する摩擦係数の低い外周部では紙葉媒体を送らなくすることで、2枚目の紙葉媒体が1枚目と連続して繰り出されることなく、分離給紙するためである。
図3に示す如く、本実施例では繰り出される紙葉媒体にとって、摩擦係数の高いローラゴム3と摩擦係数の低い合成樹脂や金属製(本実施例では合成樹脂製。)によるボス2の接合部の境界が図9に示す従来技術に比較して50%ずつ順に接することになる。
上述した本実施例によると、繰り出される紙葉媒体に対して、摩擦の作用に係数の高いローラゴムと摩擦係数の低い材料のボスの境界が段階的に形成され、かつ両材料のローラの外径方向の段差がなだらかにつながるようにしたことにより、常温常湿環境下のみならず、多湿環境下においても、紙葉媒体の端面にローラゴムとボスの境界が接触しても、端面を捲り上げることがなく、紙葉媒体を傷めない安定した分離部とすることができる。
本実施例は、図5に示す如く、大略円弧状のローラゴム3にV字状で先端に向けて面取りの斜面を有する凸部3fを両端に形成した例である。
図示しないが、ボス2にはローラゴム3のV字状の凸部3fに対応するV字状の溝が斜面を持つ凸部2f、2gと共に形成され、シャフトを通すボスの穴を中心に180度離れた位置に設けてあり、上記実施例と同様にボスの溝の両側の頂点は鋭角にとがることなくなだらかに外形と結ばれている。また、ローラゴム3のV字状の凸部3fおよびこのV字状の凸部3fの根元に対応するボス2に設けた凸部2f、2gは、紙葉媒体の搬送方向に対して強度を保てる最小限の水平部を設けると共に面取りをして斜面が形成してあり、その両者の斜面が互いに行き違うように入り込ませた状態となって接合部の境界5はV字状となる。
したがって、図6に示す如く、ボス2の凸部2cにローラゴム3の係止孔3aをはめることにより、V字状の凸部3fはボス2のV字状の溝にはまって一体となり、ボスとローラゴム3の外径方向の高さは同一であり、それぞれの接合端には面取りの斜面により段差が生じないようになだらかにつながるようになっている。
以上説明した本実施例によると、ローラゴムのV字状の凸部がボスのV字状の溝にはまり、ローラゴムのV字状の凸部とボスのV字状の溝に沿った凸部とにより、ボスとローラゴムとの境界は滑らかに変化することになり、多湿環境下においも、紙葉媒体の端面にローラゴムとボスの境界が接触しても、端面を捲り上げることがなく、紙葉媒体を傷めない安定した分離部とすることができる。
以上本願発明の実施例を紙葉媒体を分離搬送する分離部のフィードローラを例として説明したが、本願発明は、フィードローラに限らず、ピッカーローラ等の2種類以上の材質を組み合わせて構成する搬送ローラすべてに適用することが可能である。
実施例1のフィードローラアッセンブリを示す説明図 ボスとローラゴムの説明図 ボスとローラゴムのはめ込み状態を示す平面説明図 紙葉媒体分離ローラを適用した券類発行装置の概略説明図 実施例2のローラゴムの説明図 ボスとローラゴムのはめ込み状態を示す平面説明図 従来技術のフィードローラアッセンブリを示す説明図 ボスとローラゴムの説明図 ボスとローラゴムのはめ込み状態を示す平面説明図
符号の説明
1 シャフト
1a 段差
1b 突起
2 ボス
2a 孔
2b 孔
2c 突起
2d 溝
2e 凸部
2f、2g 凸部
3 ローラゴム
3a 係止孔
3b、3c 凸部
3d 斜面
3e 斜面
3f 凸部
100 フィードローラアッセンブリ
101 紙葉媒体
102 ロール状媒体
103 カッタ
104 印字部
105 磁気部
106 挿入兼排出部
107 取り忘れ取込み部
108 追加印字部
109 回収スタッカ部
110a、110b ブレード
111 ステージ
112 ピッカーローラ
113 ゲートローラ

Claims (2)

  1. ローラの外周の一部にゴム等の摩擦係数の高い材料を使用し、残りの部分を樹脂や金属等の摩擦係数の低い材料とした2種類の材質の部材を組み合わせた紙葉媒体分離ローラにおいて、
    ローラを構成する摩擦係数の低い円状部材の外周の一側に、溝とこの溝に並べた斜面を持つ凸部とを間隔をあけて2か所設け、
    摩擦係数の高い円弧状部材の両端に凸部を形成し、この凸部の頂部および凸部の両側の外周面に面取りによる斜面を形成し、
    前記円状部材の溝に前記円弧状部材の凸部をはめて一体に構成し、紙葉媒体の搬送方向に直交する方向の両部材同士の接合部の境界を前記溝と凸部とにより境界線を分割すると共に両部材の凸部の斜面を互いに入り込ませて両部材の外径方向の段差がなだらかにつながるようにしたことを特徴とする紙葉媒体分離ローラ。
  2. 請求項1において、円状部材の溝をV字状にし、円弧状部材の凸部をV字状にして前記円状部材の溝に前記円弧状部材の凸部をはめて一体に構成したことを特徴とする紙葉媒体分離ローラ。
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