JP5066280B2 - 掘削機構 - Google Patents

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Description

本発明は、掘削機構に関するものである。
大断面一括でトンネル掘進する場合には、大断面であるがゆえに、掘削に伴う前面地山の弛みが大きくなることが予想され、地上の沈下が大きくなる可能性があった。このことから、従来、鉄道直下では、先行して上部を矩形ルーフ等で保護してトンネルを築造するR&C工法等が多く採用されてきた(例えば、特許文献1参照)。その他、上部を可動型のフード等で押さえながら掘進するルーフプロテクトシールド工法等が考えられてきた。
一般に、地下通を推進工法で施工する場合には、矩形ルーフを施工し、薬液による地盤改良を行った後、函体を直接牽引または推進させながら本断面部を掘削する方法があり、ESA工法、フロンテジャッキ工法ならびにそれらを併用する工法が実用化されてきた。
同様に、シールド工法では、ルーフ部を多数配置した小型のカッタで先行掘削するルーフシールド工法があった。
特開2001−73670号公報
しかしながら、矩形ルーフで保護する方法は、矩形ルーフ自体の施工長さに限界があり、長距離の施工は難しいとされている。また、工程が長期に亘る場合が多い。
シールド工法では、機構上、保護となるルーフの長さに限界があり、沈下影響範囲を超えるルーフがシールド機に設置できない場合がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、矩形ルーフの施工長さに限界がある場合にも、短い工期で経済的に地下空間を掘削できる掘削機構を提供することにある。
前述した目的を達成するための本発明は、本断面掘削機と、前記本断面掘削機の本体の後部の上面に配置された矩形ルーフ推進室と、前記本断面掘削機の後方に設けられた推進ジャッキと、前記矩形ルーフ推進室の前方に設けられ、前記本断面掘削機から独立して駆動する矩形ルーフ掘削機と、前記矩形ルーフ推進室の内部に設けられた矩形ルーフ用推進ジャッキと、を具備し、前記矩形ルーフ掘削機が、水平方向に揺動するカッタを備えることを特徴とする掘削機構である。
前記矩形ルーフ掘削機の上面と側面には、前記矩形ルーフ掘削機の掘進とともに移動するカバープレートが取り付けられることが望ましい。
また、前記本断面掘削機が、カッタを備えることが望ましい。
また、第1の発明の掘削機構は、前記矩形ルーフ掘削機の姿勢制御を行うための中折れ機構を有することが望ましい。
また、第1の発明の掘削機構は、前記矩形ルーフ用推進ジャッキを用いて、前記矩形ルーフ掘削機を掘進させ前記矩形ルーフ掘削機の後方に矩形ルーフを設置することが望ましい。
本発明によれば、矩形ルーフの施工長さに限界がある場合にも、短い工期で経済的に地下空間を掘削できる掘削機構を提供できる。
立坑1に設置された掘削機構2の側面図 立坑1から発進した掘削機構2の水平断面図 図4に示す矢印D−Dによる掘削機構2の断面図 矩形ルーフ27を規定長さ施工した状態での掘削機構2の垂直断面図 摺動部付近の拡大断面図 矩形ルーフ27の回収中の掘進機構2の垂直断面図 矩形ルーフ27を規定長さ施工した状態での掘削機構2aの垂直断面図
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は、立坑1に設置された掘削機構2の側面図、図2は、立坑1から発進した掘削機構2の水平断面図、図3は、図4に示す矢印D−Dによる掘削機構2の断面図である。図2は、掘削機構2を、矩形ルーフ掘削機13を含む水平面で切断した断面図を示す。
図1、図2に示すように、掘削機構2は、本断面掘削機15、本断面掘削機15の後方に設けられた推進ジャッキ33、矩形ルーフ掘削機13、矩形ルーフ掘削機13の後方に設けられた矩形ルーフ用推進ジャッキ21等からなる。
図1から図3に示すように、本断面掘削機15は、断面が矩形の2台の掘削機11を上下2段に配置したものである。掘削機11は、例えば、鼓動型掘削機とする。図1、図3に示すように、上段の掘削機11a、下段の掘削機11bは、それぞれ、本体31a、本体31bの前面にカッタ29a、カッタ29bを有する。掘削機11aでは、本体31aのスキンプレート51aの内部に、ルーフ組立機53、排土装置(図示せず)等が配置される。掘削機11bでは、本体31bのスキンプレート51bの内部に、排土装置(図示せず)等が配置される。
図1、図3に示すように、上段の掘削機11aでは、本体31aの後半部の上面に、断面が矩形で幅が本体31aと同等の凸部47が設けられる。凸部47のスキンプレート51dと本体31aのスキンプレート51aとは、一体に形成される。本体31aのスキンプレート51aの上面の後半部は、本体31aと凸部47との隔壁51cとして機能する。隔壁51cには開口部55が設けられ、凸部47の内空と掘削機11aの本体31aの内空とは、開口部55を介して繋がっている。凸部47の内空は、矩形ルーフ推進室57として用いられる。矩形ルーフ推進室57には、矩形ルーフ用推進ジャッキ21が配置される。
図1、図2に示すように、矩形ルーフ掘削機13は、本断面掘削機15の凸部47の前方に設けられる。矩形ルーフ掘削機13は、例えば、断面が扁平な矩形の鼓動型掘進機である。矩形ルーフ掘削機13は、本体19の前面にカッタ17を有する。矩形ルーフ掘削機13では、本体19のスキンプレート20の内部に、排土装置39、土砂圧送管41等が配置される。矩形ルーフ掘削機13は、中折れ機構14を有する。矩形ルーフ掘削機13は、中折れ機構14により上下左右方向の姿勢制御を行いつつ、本断面掘削機15から独立して駆動する。
図1から図3に示すように、矩形ルーフ掘削機13の後端23付近には、カバープレート25が取り付けられる。カバープレート25は、矩形ルーフ掘削機15の上面22(図1)および側面24(図2)の後端23付近に取り付けられる。
次に、上述した掘削機構2を用いて地盤3に複数の鋼殻37からなる地下構造物を構築する方法について説明する。掘削機構2を用いて地盤3に地下構造物を構築する場合、まず、第1の工程で、発進側の立坑1に掘削機構2を設置し、矩形ルーフ掘削機13の後端付近にカバープレート25を取り付ける。次に、第2の工程で、矩形ルーフ掘削機13を掘進させつつ、矩形ルーフ掘削機13の後方に矩形ルーフ27を設置する。そして、第3の工程で、本断面掘削機15を掘進させつつ、凸部47内に位置する矩形ルーフ27を回収撤去し、本断面掘削機15と推進ジャッキ33との間に鋼殻37を設置する。
第1の工程では、図1に示すように、まず、地盤3に発進側の立坑1を掘削し、坑口5の形成予定位置付近の地盤3aを薬液等で改良する。坑口5の形成予定位置の周囲には、坑口コンクリート6が設置され、坑口コンクリート6には、エントランスパッキン7が設けられる。
立坑1を掘削した後、立坑1内に推進機受台9、掘削機構2を設置する。そして、鏡切りを行って坑口6を形成する。掘削機構2を立坑1内に設置するには、推進機受台9上に本断面掘削機15を設置する。また、立坑1の掘進方向後方の壁面に推進ジャッキ33を固定し、推進ジャッキ33の前方に押し輪35を設置する。さらに、本断面掘削機15の凸部47の前方に矩形ルーフ掘削機13を設置し、凸部47の内部に矩形ルーフ推進用ジャッキ21を固定する。
立坑1から掘削機構2を発進させる際には、矩形ルーフ掘削機13と本断面掘削機15とを同時に掘進させる。矩形ルーフ掘削機13は、矩形ルーフ推進用ジャッキ21を押し出すことにより掘進し、本断面掘削機15は、推進ジャッキ33を押し出すことにより掘進する。
矩形ルーフ掘削機13は、カッタ17を図2の矢印Bに示すように運動させつつ地盤3(地盤3a)を掘削する。掘削土(図示せず)は、土圧を管理しながらスクリューコンベア等の排土装置39で取り込まれ、土砂圧送管41を用いて掘削方向後方へ運搬される。本断面掘削機15は、カッタ29で地盤3(地盤3a)を掘削する。掘削土は、図示しない排土装置等を用いて掘削方向後方へ運搬される。
図1に示すように、矩形ルーフ掘削機13および本断面掘削機15で地盤3aを掘削した後、本断面掘削機15の後方で鋼殻37を組立てる。また、矩形ルーフ掘削機13の上面22および側面24の後端23付近に、所定の長さのカバープレート25を溶接して取り付ける。
図4は、矩形ルーフ27を規定長さ施工した状態での掘削機構2の垂直断面図を示す。第2の工程では、図2、図4に示すように、矩形ルーフ掘削機13を本断面掘削機15に先行して掘進させ、矩形ルーフ掘削機13の後方に矩形ルーフ27を設置する。矩形ルーフ27は、必要に応じた剛性を有するボックス構造で、分割式とする。
第2の工程では、矩形ルーフ用推進ジャッキ21を伸長させて先行する矩形ルーフ27を1スパン押し出す作業と、矩形ルーフ用推進ジャッキ21を引き込む作業と、後行する矩形ルーフ27を先行する矩形ルーフ27と結合する作業とを繰り返すことにより、本断面掘削機15による掘削時に影響を受けない範囲まで矩形ルーフ27を設置する。
後行する矩形ルーフ27は、掘削機11aの本体31aと凸部47との隔壁51cに設けられた開口部55を介して矩形ルーフ推進室57に搬入され、先行する矩形ルーフ27と結合される。矩形ルーフ27同士は、ボルトおよびナット(図示せず)での締結方式により結合するのが望ましい。締結は、矩形ルーフ27の内部に作業員が入り込んで行う。または、矩形ルーフ27の外部の作業員が矩形ルーフ27にあらかじめ設けた開口部から締結を行い、締結完了後に開口部を閉じてもよい。
矩形ルーフ掘削機13は、第1の工程で取り付けられたカバープレート25を牽引しながら推進する。矩形ルーフ掘削機13の推進によって矩形ルーフ推進室57(凸部47)から押し出された矩形ルーフ27は、矩形ルーフ掘削機13に牽引されたカバープレート25内に配置される。
図5は、摺動部付近の拡大断面図を示す。図5は、図4の範囲Eに示す部分の拡大図である。矩形ルーフ27は矩形ルーフ推進室57(凸部47)から押し出されるため、矩形ルーフ掘削機13によって掘削された掘削坑の坑壁と矩形ルーフ27との間には、ボイド部63が形成される。矩形ルーフ掘削機13に牽引されたカバープレート25は、このボイド部63によって上方の地盤3が沈下するのを防止する。
第2の工程では、矩形ルーフ27を矩形ルーフ推進室57(凸部47)の内部から押し出す際、矩形ルーフ27とカバープレート25との間のボイド部63に、充填材である充填材65を注入する。また、矩形ルーフ推進室57(凸部47)から押し出された矩形ルーフ27とカバープレート25との間に、サポート45を設置する。サポート45は、矩形ルーフ27の内側から突出させて設置される。充填材65およびサポート45は、カバープレート25の撓みによる路上沈下を防止する。
なお、カバープレート25の長さは、図4に示すように、規定の長さの矩形ルーフ27を施工した時に、後端部43が本断面掘削機15の上段の本体31aのスキンプレート51aと重なるように設定される。カバープレート25は、矩形ルーフ掘進機13の掘進に伴って、所定の長さとなるまで立坑1内で継ぎ足される。
図6は、矩形ルーフ27の回収中の掘進機構2の垂直断面図である。第3の工程では、図6に示すように、本断面掘削機15を掘進させつつ、凸部47内に位置する矩形ルーフ27を回収撤去し、本断面掘削機15と推進ジャッキ33との間に鋼殻37を設置する。
第3の工程では、推進ジャッキ33を伸長させて先行する鋼殻37を1スパン押し出す作業と、推進ジャッキ33を引き込む作業と、後行する鋼殻37を先行する鋼殻37と結合する作業とを繰り返すことにより、地上への影響が懸念される距離まで本断面掘削機15を掘進させる。
図5に示すように、本断面掘削機15では、凸部47の入口付近の内周面に、例えば2段のシール59、シール67が設けられる。1段目のシール59は、凸部47の前端部に固定される。2段目のシール67は、シール59の掘削方向後方に固定される。シール59は、凸部47のスキンプレート51dの内面に設けられたシール59aと、隔壁51cの上面に設けられたシール59bとからなる。シール67は、凸部47のスキンプレート51dの内面に設けられたシール67aと、隔壁51cの上面に設けられたシール67bとからなる。
推進ジャッキ33で鋼殻37を押し出して本断面掘削機15を掘進させると、図6に示すように、矩形ルーフ27の後部が、矩形ルーフ推進室57(凸部47)内に引き込まれる。このとき、土砂が摺動部に噛み込み、引き込み不能となる恐れがあることから、図5に示すように、2段に設けられたシール59とシール67との間に、滑材69を注入する。
なお、矩形ルーフ27から突出したサポート45は、矩形ルーフ27が矩形ルーフ推進室57(凸部47)に引き込まれる際に矩形ルーフ27の内部に回収される。
矩形ルーフ27は、本断面掘削機15の掘進に伴い、1スパンごとに解体され、回収される。矩形ルーフ27を回収する際には、図6の矢印Fに示すように、最後部の矩形ルーフ27を切り離し、掘削機11aと凸部47との隔壁51cに設けられた開口部55を介して矩形ルーフ推進室57から撤去する。
掘削機構2を用いて地下構造物を構築する際には、第3の工程が終了した後、第2の工程および第3の工程を適宜繰り返す。そして、矩形ルーフ掘削機13と本断面掘削機15の双方が到達側の立坑(図示せず)に到達した後、到達側の鏡切りを行い、矩形ルーフ掘削機13および本断面掘削機15を到達側の立坑(図示せず)内に同時に押し出す。矩形ルーフ掘削機13に牽引されたカバープレート25は、切断されて地盤3に埋設される。その後、到達側の立坑(図示せず)内で矩形ルーフ掘削機13および本断面掘削機15の解体を行う。
次に、第2の実施の形態について説明する。図7は、矩形ルーフ27を規定長さ施工した状態での掘削機構2aの垂直断面図を示す。第2の実施の形態で用いる掘削機構2aは、第1の実施の形態で用いた掘削機構2とほぼ同様の構成であるが、図7に示すように、矩形ルーフ掘削機13の内部に、フリクションカット材71が内蔵される。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とほぼ同様の方法で地下構造物を構築するが、矩形ルーフ掘削機13の掘進時に、図7に示すように、カバープレート25と地盤3との間にフリクションカット材71を配置する。フリクションカット材71は、矩形ルーフ掘削機13の掘削長の全長にわたって配置される。フリクションカット材71は、地盤3の土被りが小さい場合に、矩形ルーフ掘削機13や本断面掘削機15、鋼殻37の前進に伴う上載地盤の共ずれを防止する。
第1、第2の実施の形態では、先行して矩形ルーフ27を形成する工程と、矩形ルーフ27を回収しつつ本断面を掘削する工程とを繰り返す。これにより、矩形ルーフ27の1回の施工距離が短くなり、矩形ルーフ27の施工長さに限界がある場合にも、短い工期で長距離の施工が可能となる。また、分割式の矩形ルーフ27をボルト締結により結合する合理的な覆工構造を用いることにより、大幅な経費節減が可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明にかかる掘削機構の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
2、2a………掘削機構
3………地盤
11、11a、11b………掘削機
13………矩形ルーフ掘削機
14………中折れ機構
15………本断面掘削機
17、29、29a、29b………カッタ
19、31、31a、31b………本体
21………矩形ルーフ用推進ジャッキ
22………上面
23………後端
24………側面
25………カバープレート
27………矩形ルーフ
33………推進ジャッキ
37………鋼殻
45………サポート
47………凸部
51、51a、51b、51d………スキンプレート
51c………隔壁
55………開口部
57………矩形ルーフ推進室
59、59a、59b、67、67a、67b………シール
63………ボイド部
65………充填材
69………滑材
71………フリクションカット材

Claims (5)

  1. 本断面掘削機と、
    前記本断面掘削機の本体の後部の上面に配置された矩形ルーフ推進室と、
    前記本断面掘削機の後方に設けられた推進ジャッキと、
    前記矩形ルーフ推進室の前方に設けられ、前記本断面掘削機から独立して駆動する矩形ルーフ掘削機と、
    前記矩形ルーフ推進室の内部に設けられた矩形ルーフ用推進ジャッキと、
    を具備し、
    前記矩形ルーフ掘削機が、水平方向に揺動するカッタを備えることを特徴とする掘削機構。
  2. 前記矩形ルーフ掘削機の上面と側面に、前記矩形ルーフ掘削機の掘進とともに移動するカバープレートが取り付けられることを特徴とする請求項1記載の掘削機構。
  3. 前記本断面掘削機が、カッタを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掘削機構。
  4. 前記矩形ルーフ掘削機の姿勢制御を行うための中折れ機構を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の掘削機構。
  5. 前記矩形ルーフ用推進ジャッキを用いて、前記矩形ルーフ掘削機を掘進させ前記矩形ルーフ掘削機の後方に矩形ルーフを設置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の掘削機構。
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