JP5064640B2 - 2量体又はオリゴマーフェロセンを含有する組成物 - Google Patents

2量体又はオリゴマーフェロセンを含有する組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料用の燃焼方式、特に高圧縮自然発火エンジンの、排出側に取り付けられた粒子フィルターシステム再生のために使用する組成物や、これに含有される化合物、また、これらを使用した再生方法や、使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機鉄化合物、特にフェロセン及びその誘導体が、エンジンにおける燃焼及び直火燃焼両方に関して、燃焼を促進させる効果を持つことが一般的に知られている。さらに、先行技術(例えば1999年1月20日−21日、Esslingen Technical Academyで行われたFuel1999、第二回国際学会)は、添加剤が誘導する燃焼生成物が、ディーゼル粒子フィルターにおいて、透過された煤煙粒子の発火温度を低減させ、かかる煤煙粒子を発火させ燃え尽きさせることから、ディーゼル燃料内の添加剤によりディーゼル粒子フィルターを再生できることを明らかにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フェロセン等の固体有機鉄化合物は燃料に投与する際に理想的ではないので、通常、固体化合物を溶解した溶液として使用される。特に燃焼システムが車両に搭載されている場合は、溶液を供給する容器の大きさをできる限り小さくするために、加えて、頻繁に補給する必要がないように、有機鉄化合物を含有する溶液が高濃縮溶液であることが好ましい。さらに、溶液は幅広い温度範囲、特に−40℃から+90℃の範囲における温度において安定している必要があり、正確な投与を可能にする良好な噴出性を確保するために低温での粘性があまり高くない方がよい。
【0004】
また、かかる固体有機鉄化合物を高濃度に溶解する溶媒としては、例えば、高芳香族溶媒PLUTOsolTM APF(オクテルドイチェランドGmbH社製)があるが、この溶媒中では、−40℃のときフェロセン自体は、0.72重量%の鉄含有量に相当する2.4重量%の飽和溶解度を有するが、2.0重量%、又はそれ以上の鉄を含有する有機鉄化合物溶媒が求められる。
【0005】
一方、特定の有機鉄化合物、例えばビスフェロセニルアルカンは、高濃度の有機鉄化合物、即ち、鉄を含む組成物を生成するために使用することができ、かかる組成物は、付随の排出システムに微粒子フィルターを備えた燃焼システム、好ましくは高圧縮自然発火エンジンの作動において使用される燃料用添加剤としての使用に適していることが知られている。かかる組成物が低温においても高濃度の有機鉄化合物、即ち、鉄を含有し得ることや、広範囲な温度に亘って安定性を有することも知られているが、広範囲な温度、例えば−25℃から+90℃の範囲、好ましくは−40℃から+90℃の範囲において、特に低温において、有機鉄化合物を含む組成物が、好ましくは有機溶媒に溶解した溶液が噴出可能であり、有機鉄化合物が沈殿又は相分離しない燃料添加剤はなかった。
【0006】
本発明の目的は燃料、特に液体炭化水素燃料、に対する添加剤としての使用に適した有機鉄化合物を含む組成物を提供することであり、即ち、特に低温のときに高レベルの有機鉄化合物、即ち、鉄を含み、広範囲な温度に亘って、例えば−25℃から+90℃の範囲、好ましくは−40℃から+90℃の範囲において、特に低温において安定性を有している組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様として、以下の組成物を示す。
組成物であって、
i)一般式(I)
X−Y (I)
(式中、Xは一般式(II)
【0008】
【化9】
【0009】
の基を表し、Yは一般式(III)
【0010】
【化10】
【0011】
の基を表し、各A及び各Bは、独立して、未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環を示し、Z又は各Zは独立して、未置換若しくは置換基を有する2価のヒドロカルビル基を示し、nは0又は1から10の整数である。)で表される1種又は2種以上の化合物であり、本発明の一態様として、一般式(I)で表される化合物(但し、一般式(IV)
【0012】
【化11】
【0013】
(式中、R5又はR6及びR7又はR8はエチルである。)を除く。)の1種又2種以上の化合物、及び
ii)希釈剤又はキャリア
を含み、かかる1種又は2種以上の一般式(I)で表される化合物が、組成物の重量に対して少なくとも1重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする組成物である。
【0014】
一般式(I)において、点線は未置換又は置換基を有する2価のヒドロカルビル基からのA又はBに対する結合をそれぞれ表し、結合がA又はBのいずれに対してでもよいことを示す。更に、未置換又は置換基を有する2価のヒドロカルビル基からのA又はBに対するそれぞれの結合は、未置換又は置換基を有する2価のヒドロカルビル基の同一の原子又は異なった原子のいずれかからでもよく、前者においてはジェミナル化合物を構成し、後者においてはノンジェミナル化合物を構成する。
【0015】
一般式(I)の化合物において、各A及び各Bは、例えば、独立して、環中に酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択された1以上のヘテロ原子を含有する、未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であってもよい。好ましくは、各A及び各Bが独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環であることであり、より好ましくは、各A及び各Bが未置換の芳香族炭素環であることである。
【0016】
一般式(I)の化合物において、各A及び各Bは、例えば、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する複素環であってよく、好ましくは環中に3から10の原子を含有する未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環であってよい。好ましくは、各A及び各Bは、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する複素環であり、好ましくは、環中に3つ、5つ、又は7つの原子を含有する未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環である。一般式(I)の化合物において、特定の鉄原子と結合するA及びBの選択は、18原子則に従ったものでなくてはならない。
【0017】
本発明の実施態様の一つとして、特定の鉄原子と結合したA又はBいずれかは未置換若しくは置換基を有する3員炭素芳香族環、又は未置換若しくは置換基を有する3員複素芳香族環であり、一方、同一の鉄原子と結合する他方のA又はBのいずれかは、未置換若しくは置換基を有する7員炭素芳香族環、又は未置換若しくは置換基を有する7員複素芳香族環を挙げることができる。好ましくは、本実施例の特定の鉄原子と結合するA又はBのいずれかは未置換若しくは置換基を有する3員炭素芳香族環であり、一方、同一の鉄原子と結合する他方のA又はBは未置換若しくは置換基を有する7員炭素芳香族環である。他の実施態様として、A及びBがそれぞれ未置換若しくは置換基を有する、例えば、未置換の芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する、例えば未置換の5員芳香族複素環を挙げることができる。好ましくは、A及びBそれぞれが環中に5原子を含有する未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環を挙げることができ、より好ましくは、A及びBがそれぞれ、例えば、シクロペンタジエニル環等の、環中に5つの原子を持つ未置換の芳香族炭素環を挙げることができる。
【0018】
一般式(I)で表される化合物において、1種又は2種以上のA及び/又は1種又は2種以上のBは、例えば、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルコキシ基、置換基を有するアルコキシ基、アリール基、置換基を有するアリール基、アラルキル基、置換基を有するアラルキル基から選択される1以上の置換基によって置換されていてもよく、好ましくはアルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、置換基を有するアリール基から選択される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。1又は2以上のA及び/又は1又は2以上のBが1以上の置換基で置換される場合は、より好ましくは、置換基はアルキル基である。A及び/又はBに適した他の置換基には、環式基、例えば、シクロアルキル基や、A及び/又はBの2つの異なる炭素原子がかかる環式基の環式環の一部を形成する縮合環基が含まれる。1又は2以上のA及び/又はBが置換されるときは、置換基は環により異なったものである。A及び/又はBに存在するいかなる置換基も一般式(I)で表される化合物の調製における反応条件下で不活性であるべきであり、燃料、又はかかる燃料中に用いられる他の添加剤と好ましくない相互作用をおこすものは除かれる。かかる条件に適合する置換基は当業者にとっては明確である。置換基を有するアルキル基及び置換基を有するアルコキシ基に対する適切な置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、環式基及びエステル基を挙げることができ、置換基を有するアリール基及び置換基を有するアラルキル基における適切な置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、環式基及びエステル基を例示することができる。置換基を有するアラルキル基の場合には、1又は1以上の置換基がかかるアリール基及び/又はアルキル基に存在してもよい。A及び/又はBにおける特に好適な置換基としては、例えば、エチル基等のC1〜C4のアルキル基を挙げることができる。
【0019】
本発明に用いられる一般式(I)で表される化合物において、A及びBは同一であることが好ましい。
【0020】
本発明において、使用するアルキル基、アルコキシ基又はアラルキル基における「アルキル」は、直鎖状又は分鎖状であってよい。本発明において、ここで使用する「未置換又は置換基を有する2価のヒドロカルビル基」という語は、少なくとも炭素及び水素を含有し、随意的に1又は2以上の適切な置換基を有していてもよい基を意味する。代表的な未置換又は置換基を有する2価のヒドロカルビル基は未置換又は置換基を有する2価の炭化水素基である。ここで「炭化水素」という語は、線状、分枝状又は環状であってよい、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又は2価のアリール基のいずれか1つを意味する。例えば、未置換又は置換基を有する2価の炭化水素基はアルキレン基、分枝状アルキレン基又はシクロアルキレン基であってよい。炭化水素という語は上記の基であって、置換基を有していない基をも含み、炭化水素が1又は2以上の置換基を有する分枝状構造である場合には、炭化水素の主鎖又は分枝のいずれかに置換基を有するものであってもよい。あるいは、炭化水素の基幹部及び分枝に置換が生じてもよい。好ましい未置換又は置換基を有する2価の炭化水素基は、アルキレン結合において、少なくとも1つの炭素原子を有する未置換又は置換基を有する2価のアルキレン基であり、より好ましくは、未置換又は置換基を有する2価の炭化水素基は1から10の炭素原子を持つ未置換又は置換基を有する2価のアルキレン基であり、例えば、少なくとも2つの炭素原子を有する、又は1つの炭素原子を有するアルキレン基である。2価のヒドロカルビル基が1又は2以上の炭素を有する場合、かかる炭素は必ずしもお互いに連結している必要はない。例えば、少なくとも2つの炭素が適切な元素又は基によって連結していてもよい。このように、2価のヒドロカルビル基はヘテロ原子を含有してよい。適切なヘテロ原子としては、硫黄原子、窒素原子、及び酸素原子を例示することができ、例えば酸素原子を具体的に挙げることができる。
【0021】
1又は2以上のヒドロカルビル基Z上に存在してよい適切な置換基としては、ハロゲン原子、未置換又は置換基を有するアルコキシ基、ニトロ基、未置換又は置換基を有するアルキル基、未置換又は置換基を有するアリール基、未置換又は置換基を有するアラルキル基、未置換又は置換基を有するアルカリール基(alkary)、未置換又は置換基を有する環式基、及び一般式(V)で表される基を挙げることができる。
【0022】
【化12】
【0023】
式中、各A及びBは上記で規定された通りである。各Pは、それが存在するときには、独立して未置換又は置換基を有する2価のヒドロカルビル基を示し、mは0又は1から10までの整数である。置換基が環式基である場合の他に、置換基が結合して環式基を形成してもよい。実施形態の一つにおいては、1又は2以上のヒドロカルビル基Zは、未置換又は1若しくは2以上の置換基を有するアリール基、未置換又は1若しくは2以上の置換基を有するアルカリール基(alkary)を置換基として含有してもよい。他の実施形態においては、1又は2以上のヒドロカルビル基Zは、置換基として、式中、A及びBがシクロペンタジエニル又はアルキルシクロペンタジエニル環である一般式(V)で表される1又は2以上の基を有していてもよい。Zにおけるいずれの置換基も、一般式(I)で表される化合物を調製する反応条件下において、不活性であり、燃料や燃料に用いられる他の添加剤と好ましくない相互作用を生じる置換基は除かれる。
【0024】
本発明の一つの実施態様においては、nが0のときはZが、nが1から10のときは1又は2以上のZが、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、置換基を有するアリール基、アルカリール基(alkaryl)、置換基を有するアルカリール基(alkaryl)及び上記一般式(V)で表される基から選択される1又は2以上の置換基によって置換され、好ましくはアルキル基、置換基を有するアルキル基及び上記一般式(V)で表される基から選択される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。例えば、nが1から10のとき、各Zはアルキル基、置換基を有するアルキル基及び上記一般式(V)で表される基から選択される1又は2以上の置換基で置換されてよい。
【0025】
Zにおける置換基のアルキル基及び置換基を有するアルコキシ基における好ましい置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、環式基及びエステル基を挙げることができる。また、Zにおける置換基のアリール基、置換基を有するアラルキル基及び置換基を有する環式基に対する適切な置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、環式基及びエステル基を挙げることができ、このうち好ましくはアルキル基を挙げることができる。置換基を有するアラルキル基の場合は、1又は1以上の置換基がかかる基のアリール基及び/又はアルキル基に存在してもよい。
【0026】
本発明の他の実施態様においては、nが0のときZとして、nが1から10のとき1以上のZとして、一般式(VI)で表される基であることが好ましい。
【0027】
【化13】
【0028】
式中、各R及び各Rは、独立して水素原子、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルコキシ基、置換基を有するアルコキシ基、アリール基、置換基を有するアリール基、アラルキル基、置換基を有するアラルキル基、環式基又は置換基を有する環式基を示し、xは、例えば1〜10の整数のように、少なくとも1の整数である。また、R及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、環式環を形成してよい。一の実施態様においては、xが少なくとも2であり、他の実施態様においては、xは1であってもよい。
【0029】
一般式(VI)で表される基において、各R及び各Rとしては、例えば、独立して水素原子、C1−C6のアルキル基、置換基を有するC1−C6のアルキル基、C1−C6のアルコキシ基、置換基を有するC1−C6のアルコキシ基、C6のアリール基、置換基を有するC6のアリール基、C1−C6のアラルキル基又は置換基を有するC1−C6のアラルキル基を挙げることができ、好ましくは、R及びRがメチル基を挙げることができる。
【0030】
一般式(VI)で表される基として、式中、xが1であり、R1及びR2がどちらもメチル基である基を挙げることができる。
【0031】
一般式(VI)で表される基におけるR及びRは、一般式(I)の化合物の調製の反応条件下で、不活性であるものであり、燃料や燃料用の他の添加剤と好ましくない相互作用をおこすものは除かれる。一般式(VI)で表される基における置換基を有するアルキル基及び置換基を有するアルコキシ基の置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、環式基及びエステル基を好ましく例示することができる。一般式(VI)で表される基における置換基を有するアリール基、置換基を有するアラルキル基及び置換基を有する環式基における置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、環式基及びエステル基を好ましく例示することができ、より好ましくはアルキル基を挙げることができる。置換基を有するアラルキル基の場合には、1又は2以上の置換基は、かかる基のアリール基及び/又はアルキル基に存在してもよい。
【0032】
本発明の一つの実施態様においては、nが1以上のとき、各Zが同一のものを挙げることができる。
【0033】
本発明の一つの実施態様においては、組成物として、異なる値の「n」を有する2種以上の一般式(I)で表される化合物を含むものを挙げることができる。かかる組成物では、一般式(I)で表される化合物に存在する1又は2以上のZは、例えば、異なる値の「m」を有する一般式(V)で表される基が、組成物中又は一般式(I)で表される1種又は2種以上の化合物中に存在する一般式(V)の1又は2以上の基によって置換されてもよい。
【0034】
本発明の組成物の好ましい実施態様においては、一般式(I)で表される化合物として、1又は2以上のジェミナル ビスフェロセニルアルカンを含み、2つのフェロセニル残基間のアルカン橋は飽和炭化水素、つまりアルカンで形成されるものを挙げることができる。アルカン橋は分枝状であり得るが、直鎖状が好ましく、C2−C4の橋が好ましく、プロパン橋が特に好ましい。式(VII)で表される2,2−ビスフェロセニルプロパンは、従って、非常に好ましい化合物である。
【0035】
【化14】
【0036】
式(VII)で表される化合物は、直鎖状アルカン架橋基を持つ化合物の例と考えられる。
【0037】
一般式(I)で表される化合物は、本発明の組成物中に、組成物の重量に対して、例えば、少なくとも2重量%、更に、少なくとも3重量%の鉄を供給できる十分な量で存在してもよい。
【0038】
本発明の一つの実施態様においては、一般式(I)で表される化合物は、本発明の組成物中に組成物の重量に対して、−30℃、好ましくは−40℃で、少なくとも1重量%の鉄を供給できる十分な量で存在してもよい。
【0039】
本発明の組成物は、一般式(VIII)で表される化合物を含まないこと、又は実質的に含まないことが好ましい。
【0040】
A−Fe−B (VIII)
式中、A及びBは上記で規定した通りである。
【0041】
本発明の組成物に含有される一般式(I)で表される化合物は、通常、キャリア又は希釈剤中に溶解又は分散され、好ましくは溶解される。本発明における組成物に含有されるキャリア又は希釈剤は、一般式(I)で表される化合物の溶媒となる有機化合物であって、本発明の組成物中、一般式(I)で表される化合物は、キャリア又は希釈剤に溶解されていることが好ましい。
【0042】
また、本発明は、燃料用燃焼システムの排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生方法であって、粒子フィルタートラップに存在する炭素系微粒子を、本発明の組成物の燃焼生成物と接触させることを含む燃料用燃焼システムの排気システム、例えば、高圧縮自然発火エンジン(ディーゼルエンジン等)の排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生方法に関する。代表的には、燃料は炭化水素燃料である。本発明の粒子フィルタートラップの再生方法においては、本発明の組成物は、例えば、燃焼システムにおいて燃料の燃焼に先立って燃料に導入するために、燃焼システムに連結した容器内に収納されていてもよい。
【0043】
ここでの「炭素系微粒子」という語には炭素系の微粒子、例えば、煤煙微粒子が含まれ、かかる煤煙微粒子は、燃焼システム内で燃料の不完全燃焼によって通常、形成されるが、潤滑油又は燃焼システム内で使用される他の有機系物質からも形成され得る。
【0044】
本発明において、微粒子フィルタートラップに存在する炭素系微粒子と、本発明の組成物の燃焼生成物、特に本発明の組成物の燃焼生成物中に存在する固体であり通常、微粒子である物質とがよく混合されることが重要である。
【0045】
本発明において、微粒子フィルタートラップに存在する炭素系微粒子と本発明の組成物の燃焼生成物が、熱及びオキシダントガス(oxidant gas)(例えばO2又はNO2)の両方、好ましくは燃焼システムの排気ガスから供給される熱及びオキシダントガスの両方に暴露されることも重要である。
【0046】
更に、本発明は、燃料用燃焼システム、例えば高圧縮自然発火エンジンの、排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生温度(例えば、捕集した炭化物質がガス状の生成物に酸化し得る温度)の降下に用いる、本発明の組成物の使用方法に関する。ここでも、燃料は通常、炭化水素燃料である。
【0047】
また、本発明は、例えば、高圧縮自然発火エンジンの排気システム等の、燃料用燃焼システムの排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生温度を降下させる、燃料、通常、炭化水素燃料の添加剤に用いる本発明の組成物の使用方法に関する。
【0048】
本発明の使用方法において、2つのフェロセニル残基を連結する、アルカン橋が飽和炭化水素、即ち、アルカンで形成されるジェミナル ビスフェロセニルアルカンが、特に好適である。かかるアルカン橋は直鎖、分枝又は環式、具体的に、直鎖又は分枝でもよいが、直鎖状が好ましい。C2〜C4のアルカン橋を有する化合物がより好ましく、特に、プロパン橋を有する化合物が好ましい。従って、2,2−ビスフェロセニルプロパンは、非常に好ましい化合物である。アルカン架橋フェロセン誘導体及びその生産方法は先行技術、例えばUS−A−3,673,232で開示されている。
【0049】
一般式(I)で表される化合物は、式中、一般式(III)のnがでありA及びBが未置換のシクロペンタジエニル環であるとき、例えば、2当量のフェロセンを、1当量のケトン又はアルデヒド等のカルボニル化合物、又は1当量のケタール又はアセタール等とそれぞれ縮合することにより調製することができる。US−A−3,673,232においては、カルボニル化合物又は相当物を、硫酸等の強酸のメタノール等のアルコール溶液と、フェロセンのトルエン等の有機溶媒溶液又はフェロセン飽和トルエン中のフェロセン上澄み液からなる二相システムに添加することにより、ビスフェロセニルアルカンを生成している。一般式(I)で表される化合物は、式中、一般式(III)におけるnがであり1以上のA及び/又はBが置換基を有るシクロペンタジエニル環、例えば、アルキル化フェロセンであるとき、この方法で調製することができる。出発原料として使用されたフェロセン又は置換基を有するフェロセンが、調製に用いられた反応温度において液体、例えば、溶融されているとき、2相システムはかかる液体、例えば、溶融されているとき、フェロセン化合物は有機溶媒に溶解されていなくてもよい。異なる置換基を有するフェロセン、又はフェロセン自身で置換したフェロセン基を含有した組成物は、出発原料を適切に混合したものを用いることにより調製することができる。
【0050】
カルボニル化合物又は同等物は、モル量を変更することによって、一般式(III)におけるnがではないときの一般式(I)で表される化合物を調製することができる。例えば、1モル当量のフェロセンと0.67当量のアセトンを反応させると、未反応のフェロセン、式中nが0である一般式(I)で表される化合物、式中nが1である一般式(I)で表される化合物及び場合によっては高級オリゴマーからなる混合物を含む生成物が生成される。最初に0.6当量のアセトン、次に反応が実質的に完了したときに0.3当量のアセトンを2段階で添加すると、0.67当量のアセトンを反応させたときの上記の方法と比べて、式中nが2である一般式(I)の合成物をいくらか高い割合で含有する混合物が生成される。存在するオリゴマー種の相対的割合は、フェロセン及びカルボニル化合物又は同等物両方の添加を変更することによっても調製することができる。このように、式中、nが1である一般式(I)で表される化合物が高い割合になるのは、2モル当量のフェロセンと1モル当量のアセトンとの反応後、さらに1当量のフェロセン及びアセトンをそれぞれ添加した結果である。異なった置換基を有する又はフェロセン自身で置換したフェロセンの混合物を含有する組成物は出発原料の適切な混合により調製することができる。
【0051】
US−A−3,673,232によると、カルボニル化合物又は同等物の添加率を変更することによって、一般式(III)におけるnが以外のときの一般式(I)で表される化合物が生成される。
【0052】
置換基を有する、異なる連結基Zを含有する分子又は組成物は、上術の概要に適切な修正を加えることによって調製することができる。
【0053】
ヒドロカルビル基Zにおいて、式中、mがのとき一般式(V)で表される置換基を含有する一般式(I)で表される化合物は、数多くの方法で調製されてよい。最も簡潔な方法の1つは、上記で説明した過程においてカルボニル化合物又は同等物として、ジアルデヒド又はジケトン等のジカルボニル種又は同等物を使用するものである。存在する各物質の当量モル数について適切な調整が必要である。他の方法として、式中nがであり、ヒドロカルビル基Zにおいて、式中mがのときの一般式(V)で表される置換基を含んでいる一般式(I)で表される化合物は上術したように塩素化アルデヒド又はケトンを用いて調製することができ、引き続いてリチウム化フェロセンと反応させることができる。
【0054】
式中mがでない場合の一般式(V)で表される置換基でZが置換されるとき、一般式(I)で表される化合物、又は一般式(I)で表される化合物を含む混合物は種々の方法で調製することができる。例えば、4当量のフェロセンと反応した1当量のジケトンの反応生成物は、さらに、フェロセン、及びアセトン等のカルボニル基含有化合物と1当量ずつ反応させることができる。他の方法としては、ジケトンを、フェロセン及び式中nが0である一般式(I)で表される化合物の混合物と反応させることができる。さらに別の可能性として、式中nが0である一般式(I)で表される化合物を、塩素化アルデヒド又はケトンを用いて調製し、その後さらに、非官能性アルデヒド又はケトン又は同等物から調製された式中、nが0のときの一般式(I)で表される化合物と反応させることができる。
【0055】
また、ノンジェミナルアルカン架橋フェロセンは、フェロセン、置換基を有するフェロセン、又はその混合物を使用し、いくつもの経路によって調製可能である。例えば、1,4−ジクロロブタン等のジハロゲン化合物をリチウム化フェロセン溶液と反応させることができる。他の方法としては、シクロペンタジエニルナトリウム溶液を、フェロセンの調製方法において多く用いられるように、まずジハロゲン化合物と反応させ、その結果として生じた架橋シクロペンタジエンを未架橋シクロペンタジエンと混合させ、慣習的な方法によりフェロセンを生成することができる。
【0056】
アルカン橋がヘテロ原子を含むアルカン架橋フェロセンは当業者に周知の方法により調製することができる。例えば、リチウム化フェロセンを2−クロロエチルエーテルと反応させる方法を挙げることができる。他の方法としては、アセチルフェロセンを、例えば、エチレンジアミンと縮合させ、結果として生じたジイミン生成物を適宜、例えば、NaBH4等を有するジアミンにより還元する方法を挙げることができる。さらに他の方法としては、少なくとも1つのカルボニル基又は同等な基及び1以上のヘテロ原子の両方を含む化合物、例えば、メトキシアセトアルデヒド(ジメチルアセタル)を出発原料として用いることができる。
【0057】
本発明の使用方法において使用される一般式(I)で表される化合物は、かかる一般式(I)で表される化合物の調製時に出発原料として用いられる未反応鉄含有物質を含まないこと、又は実質的に含まないことが好ましい。例えば、一般式(I)で表される化合物が本発明の組成物中に存在するキャリア又は希釈剤の鉄含有出発原料の溶解度又は分散性を減少させるとき、一般式(I)で表される化合物は鉄含有出発原料を含まないか、又は実質的に含まないことが好ましい。鉄含有出発原料を含まない、又は実質的に含まない一般式(I)で表される化合物は、例えば、かかる一般式(I)で表される化合物が高レベルの転換を生じるような反応条件を選択することによって及び/又は蒸留、昇華又は再結晶等の公知の技術を使用して鉄含有出発原料を除去することによって、得ることができる。
【0058】
本発明の組成物、例えば、有機溶媒中のジェミナル ビスフェロセニルアルカンが供給された燃料が燃焼システムに供給されるとき、一般式(I)で表される化合物、例えばジェミナル ビスフェロセニルアルカンは、燃焼システムに供給された、燃料と空気からなる燃焼混合物と燃焼システム中で反応し、鉄含有種、例えば酸化鉄を含む燃焼生成物を生成する。燃焼システム内での燃料、潤滑油又は他の有機炭素系物質の燃焼により、通常、炭素系微粒子を含有する燃焼生成物が生成される。本発明による組成物の燃焼から生じる、酸化鉄等の固形鉄含有種、及び炭素系微粒子を含有する燃焼生成物は、燃焼システムからの排出ガスに緊密に混合され、微粒子物質は粒子フィルタートラップにより濾過され除去される。理論上明らかにされてはいないが、本発明の組成物の燃焼中に存在する微粒子物質は、酸化鉄等の鉄含有種からなる微粒子物質であるが、炭素系微粒子の発火温度を下げ、故に粒子フィルタートラップの再生温度を下げる原因となっているか、少なくとも貢献している。従って、フィルター動作温度において、自然発火現象が起き、煤煙粒子等の炭素系微粒子が燃え尽き、気体生成物が生成される。また、粒子フィルター又は排気ガスの温度を上げ、それに伴い、本発明の組成物の燃焼により生成される生成物の存在下で、いわゆる「強制再生」が達成されるが、「強制再生」を達成するために必要な付加エネルギーを減少させることに役立つ手段を用いることもできる。結果として、システムの排気側に存在し永久的作動用に設計され、そのため再生の必要がある粒子フィルターを持つ燃焼システムにおいて、本発明の組成物を使用することにより、濾過された炭素系粒子を燃焼するためのバーナー、電気ヒーター又は付加的な触媒システム等の費用のかかる追加の手段又は設置を避けることができる。即ち、粒子フィルタートラップ、例えばディーゼル粒子フィルタートラップが、多額の追加費用をかけずに費用効率よく製造できる。他の方法としては、特に追加の燃料が排気ガス温度を上昇させるために燃焼される場合において、効率及び/又は費用効率が本発明の組成物の使用により促進される場合、又は一般式(I)で表される化合物の処理率(例えば、燃料の添加量)を低減される場合には、必要であれば、上記の1又は2以上の追加手段を使用してもよい。
【0059】
本発明の組成物の燃焼生成物中に存在する粒子物質と炭素系粒子とを緊密に混合させることによって下記の結果を生じると考えられている。
【0060】
(a)炭素系微粒子の表面の少なくとも1部分が本発明の組成物の固形燃焼生成物によって覆われる。
【0061】
(b)本発明による組成物の固形燃焼生成物の表面の少なくとも1部分が炭素系微粒子に覆われる、及び/又は
(c)本発明による組成物の固形燃焼生成物が緊密に炭素系微粒子の粒子と混合される。
【0062】
本発明の再生方法において、好ましくは、本発明の組成物が、例えば、供給容器等から燃料に計測して投入されることである。燃料へ計測して添加することは、例えば、車両搭載の内部燃焼エンジン等の燃焼システムに燃料を供給する直前に行うことができる。または、燃焼システムが車両搭載の内部燃焼エンジンの場合の車両燃料タンク等の燃焼システムに供給する燃料タンクに、燃料の注入時又は注入直後に燃料へ計測して添加することができる。
【0063】
高圧縮自然発火エンジンに使用してよい燃料はかかるエンジンに通常、慣習的に使用される燃料であり、特に、バイオディーゼル等のディーゼル燃料が好ましい。
【0064】
上術の高圧縮自然発火エンジンに加えて、本発明の組成物は、例えば、ガソリンを使用する火花発火エンジン、特に、ガソリン直接噴射エンジン等の微粒子除外が問題視さあれている他のタイプの燃焼システムにも適用することができる。
【0065】
燃焼システムが車両上の内部燃焼エンジンであり、本発明による組成物が車両上に位置する供給容器から燃料に供給されるとき、空間及び重量を節約できるので、供給容器ができるだけ小さいことが特に有利である。本発明による組成物用の供給用意をできるだけ小さく保つために、好ましくは本発明による組成物は式(I)の化合物を比較的高濃度で有するべきである。次に、本発明による組成物が燃料に計測して投入されるとき、燃料に恒久的及び恒常的に計測投入するための計測動作の正確さに対し過剰な要求がかかないように、組成物における式(I)の化合物の濃度があまり大きくならないようにすべきである。
【0066】
本発明の組成物において、最大30重量%以下の鉄濃度が好ましい。より好ましくは、鉄含有量が10重量%以下であり、更に好ましくは7重量%以下である。更に好ましくは、鉄含有量が2.0〜5重量%であり、更に好ましくは2.5〜5重量%である。
【0067】
本発明の組成物は、一般式(I)で表される化合物が、高度の溶解性又は分散性、好ましくは溶解性を組成物を構成する希釈剤又はキャリアに対して有することに加え、広範囲な温度において温度安定性を有する。特に、−25〜+90℃の範囲で、好ましくは−40〜+90℃の範囲で、安定性を有する。選択したキャリア又は希釈剤の蒸気圧が高温で過度でなければ、比較的高温でも一般的に問題はおきないが、低温での安定性が多くの炭素有機化合物にとって問題である。この観点から、2,2−ビスフェロセニルプロパン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンを含むビスフェロセニルアルカンは有機溶媒に溶解し、溶液の鉄含有量を10重量%にしても、−25℃において安定しており、部分的に−40℃及びそれ以下でも安定している。さらに、2.5重量%の鉄を含む2,2−ビスフェロセニルプロパン溶液は−40℃でも安定である。
【0068】
本発明の組成物に使用される希釈剤又はキャリアは、ジェミナルビスフェロセニルアルカン等の、一般式(I)で表される化合物を溶解し得る有機溶媒が好ましい。適切な有機溶媒には、ジェミナルビスフェロセニルアルカン等の一般式(I)で表される化合物が高濃度に溶解する高芳香族溶媒が含まれる。しかしながら、非溶解性芳香族又は低溶解性芳香族溶媒も使用してよい。非溶解性芳香族又は低溶解性芳香族溶媒の場合は、その中の一般式(I)で表される化合物の絶対溶解度は高芳香族溶媒よりも低くなるが、フェロセンに関する溶解度は一般的に依然として高い。C9−C16の芳香族物質、170℃から295℃までの沸騰範囲、及び98重量%以上の芳香族を含有する高芳香族溶媒が特に適切である。かかる溶媒の1つとしてPUTOLsolTM APF(商品名)を例示することができる。
【0069】
本発明において用いられる一般式(IV)で表されるジェミナルビスフェロセニルアルカン化合物の有利な点は、かかる化合物を含有する本発明の組成物の粘度が、低温範囲においてあまり増加しないということである。かかる有利点は他面からみると組成物の噴出性に逆効果を及ぼすことがあり、例えば、測定ポンプと連動することが困難となる結果を生じることもある。この点について、1種又は2種以上のジェミナルビスフェロセニルアルカン化合物を含み2.5重量%の鉄含有量を有する、本発明の組成物の粘度は−40℃のときに25mPas以下であるか又は約25mPasである。
【0070】
本発明の再生方法において、本発明の組成物は、例えば、計測ポンプ等の計測装置によって、燃料内の鉄含有量が添加後に0.1〜100ppmになるような量で、燃料に供給される。一方、燃料に添加される一般式(I)で表される化合物の量は、粒子フィルターからの炭素系微粒子を燃焼可能な量を確保するのに十分な量であることが必要であり、一方、費用の観点及び一般式(I)で表される化合物の過剰な添加により多量の燃焼灰によって生じる部分的又は完全な微粒子フィルタートラップの目詰りの点から、過剰に多量であることは回避されることが必要である。燃料の鉄含有量が1〜25ppmの範囲であることが好ましく、高圧縮自然発火エンジン等において、最適な鉄含有量の範囲は5〜15ppmである。
【0071】
式(I)の化合物が周辺温度において、好ましくは−25℃から+90℃において、より好ましくは−40℃から+90℃において液体であるとき、かかる化合物を本発明に従い、キャリア又は希釈剤なしで使用することが可能となりうる。
【0072】
本発明の更なる実施態様として、下記の具体例を挙げることができる。
【0073】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンを、下流に粒子フィルターシステムを持つ高圧縮自然発火エンジン(例えばディーゼルエンジン)作動用の液体燃料に対する添加剤として使用する使用方法を挙げることができる。
【0074】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンにおいて、2つのフェロセニル断片間のアルカン橋が分枝状又は直鎖状の飽和炭化水素(例えばアルカン)で形成されていること組成物を挙げることができる。
【0075】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンにおいて、2つのフェロセニル断片間のアルカン橋が1から8、好ましくは2から4、より好ましくは3の炭素原子を有するアルカンであり、1から8、好ましくは2から4、より好ましくは3の炭素原子を有する直鎖状アルキルである組成物を挙げることができる。
【0076】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンが、2,2−ビスフェロセニルプロパンである組成物を挙げることができる。
【0077】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンが、有機溶媒、好ましくは高芳香族溶媒に溶解している組成物を挙げることができる。
【0078】
溶媒中の2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカン濃度が、好ましくは溶液が0.1〜10重量%の鉄含有量を示す程度であることが好ましく、1〜7重量%、より好ましくは2.0〜5重量%、とりわけ好ましくは2.5〜5重量%の鉄含有量を示す組成物を挙げることができる。
【0079】
少なくとも−25℃まで、特に少なくとも−40℃のときに、低温安定性を示す組成物を挙げることができる。
【0080】
−40℃のときに2.5重量%の鉄含有量を有し、粘度が25mPas以下、例えば24mPasを示す組成物を挙げることができる。
【0081】
希釈剤又はキャリアとして、98重量%以上の芳香物質含有量を有する高芳香族溶媒を用いた組成物を挙げることができる。
【0082】
希釈剤又はキャリアとして、C9〜C16の範囲、170℃〜295℃までの沸騰範囲及び98重量%以上の芳香物質含有量を有する高芳香族溶媒を用いた組成物を挙げることができる。かかる溶媒の一例としてはPLUTOsolAPFを挙げることができる。
【0083】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカン溶液を、燃料がエンジンに供給される前に、燃料に投与する再生方法を挙げることができる。
【0084】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカン溶液を、燃料の鉄含有量が0.1から100ppm、より好ましくは1から25ppm、特に5から15ppmとなるように燃料に投与する再生方法を挙げることができる。
【0085】
2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンの4つのシクロペンタジエニル環の1以上が、それぞれ独立して置換され、例えば、C1〜C4の少なくとも1つのアルキル基を有し、置換基としてエチル基であることがより好ましく、例えば、4つのシクロペンタジエニル環全てが置換された組成物を挙げることができる。
【0086】
2つの架橋環のみがそれぞれ置換基を有し、かかる置換基が同一(例えばエチル基)である組成物を挙げることができる。
【0087】
粒子フィルターシステムが、2,2−ビスフェロセニルアルカン等のジェミナルビスフェロセニルアルカンを燃料に添加した結果として、濾過された煤煙粒子が燃焼するように設計されている再生方法を挙げることができる。
【0088】
液体燃料が、高圧縮自然発火エンジン用の慣習的な燃料、特にバイオディーゼルを含む、ディーゼル燃料である組成物の使用方法を挙げることができる。
【0089】
本発明の組成物は、例えば、一般式(I)で表される1種又は2種以上の化合物に加えて、通常、燃料の様々な特性を改善するために又は燃料システム能力の様々な態様を改善するために使用される1種又は2種以上の添加剤を含んでよい。適切な添加剤としては、界面活性剤、キャリアオイル、抗酸化剤、腐食阻害剤、色彩安定剤、金属非活性化剤、セタン価改良剤、他の燃焼改良剤、消泡剤、流動点降下剤、冷フィルター即ち降下剤 、ワックス抗沈殿添加剤、分散剤、付臭剤、色素、煙抑制剤、潤滑試薬、及び他の微粒子フィルター再生添加剤を挙げることができる。
【0090】
本発明の組成物は、燃料用燃焼システムの排出システムに設置される粒子フィルタートラップの再生行う他、燃焼中の燃料に存在し、燃料の燃焼改良をもたらし、従って排気ガス値によい影響を与えることができる。
【0091】
また、本発明は、本発明の化合物を精製する方法に関し、かかる方法は、二酸化炭素、通常、超臨界二酸化炭素を有する化合物を抽出することを含む方法である。
【0092】
【実施例】
本発明を具体的に説明するために下記の実施例を挙げる。本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:溶解度
高芳香族溶媒PLUTOsolTM APF中のフェロセン溶解度を測定した。溶液の鉄含有量に対して、−15℃のとき1.5重量%であり、−40℃のときは0.72重量%であった。この条件下で、2,2−ビスフェロセニルプロパンの鉄含有量が7.5重量%の溶液は何の問題もなく安定していることがわかった。
実施例2:粘度
2.2重量%の鉄を含有するPLUTOsolTM APF中の2,2−ビスフェロセニルプロパン溶液の粘度を測定した。−15℃において8.6mPAS、−40℃において21mPASであった。各温度における粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
実施例3:特性評価
2.5重量%の鉄含有量を有するPLUTOsolTM APF中の2,2−ビスフェロセニルプロパン溶液の、各温度における溶液の蒸気圧を測定した。結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
実施例4:燃料安定性の評価
燃料の安定性を、ASTM D2274により測定した。
【0097】
ディーゼル燃料(DF)に2,2−ビスフェロセニルプロパンを鉄含有20ppmとなるように添加し、95℃で16時間以上空気に晒した後濾過し、フィルターパッド(Whatman No.1;11μm)を色素番号により評価した。毎回2回の評価を行った。結果を表3に示す。
【0098】
コントロールとして、2,2−ビスフェロセニルプロパン無添加の場合について同様に評価した。結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
本実施例は燃料における2,2−ビスフェロセニルプロパンの存在が燃料の安定性に悪影響を与えないことを示している。
実施例5:燃料安定性
燃料安定性試験を2通りの方法で行なった。
試験方法1
下記表7に記載したように、−7℃から5℃までの窒素毛布(nitrogen blanket)下で貯蔵されていた基礎燃料の新鮮な試料を、2つの2.4cmグラスファイバーフィルター紙(Reeves Angel社製)を有するグーチるつぼフィルターNo.4を用いて濾過し、ASTM D1500により色を定めた。次に、燃料の試料100cm3を綿密に洗浄した6mmの通気孔を有するホウケイ酸ガラス製のねじ口ボトル(Corning 1372)に充填した。次に添加剤原液を燃料試料に適量添加し、燃料の色を再計測した。次に、試料を速やかに80℃±2℃に設定した防爆型オーブンに入れた。試料は7日間かかる温度で熟成させてから移動し、強い光にあてずに3時間から24時間の期間をかけて周辺温度21℃〜26℃まで冷却した。
【0101】
次に、全ての燃料試料をそれぞれ、フィルターホルダーアセンブリー(XX2004720:ミリポア社製)に設置した別々の4.25cmワットマンNo.1濾紙(以降「元の濾紙」と称す)を使い吸引濾過した。次に、濾紙を個別に真空フラスコに短時間保存し、その間濾過した燃料の色をASTM D1500により測定した。次に、ホウケイ酸試料瓶をイソオクタンの一定量で洗浄し、かかる洗液をそれぞれ元の濾紙を使って濾過した。最後に、濾紙そのものをイソオクタンで洗浄し、空気乾燥させた。
【0102】
観察者の測定傾向の可能性を排除し、相互動作の比較可能性を向上させるために、次に反射率測定器(光電反射計)を用いて、濾紙を評価するのが理想的である。しかしながら、かかる計測器が入手不能である場合は、濾紙の汚染度を基準となる一連の写真と比較することによって視覚的に評価することができる。かかる基準は1(白)から20(非常に濃い灰茶色)で評価する。本試験方法の結果を表5に示す。表4に計測器の示度に対する写真基準の関係を示す。
【0103】
【表4】
【0104】
試験方法2
燃料の熟成を試験方法1と同様にして行ない、異なる解析方法によって燃料安定性を評価した。付着性物質を、メタノール:アセトン:トルエン=1:1:1の3溶媒を用いて試料瓶壁から除去し、イソオクタンを用いて再沈殿させ、個別の濾紙上に採集し個別に評価した。さらに、濾過前と濾過後の乾燥させた濾紙の重量を測ることにより、濾過性及び付着性沈着物の重量を入手した。本試験方法による結果を表5に示す。
【0105】
【表5】
【0106】
結果(特に記載のない限り試験方法2の結果)
(1)オクタン酸:市販鉄複合体、鉄トリス(2−エチルヘキシル酸)。
*=濾過性及び付着性残留物合計の値。
【0107】
明らかに、本テストにおいて、市販鉄複合体を含む燃料の安定性は、フェロセン及び2,2−ビスフェロセニルプロパンを含む燃料よりも顕著に低いものであった。本発明の物質の安定性は、親化合物(フェロセン)から供給された安定性と同程度によいことがわかり、事実上未添加燃料の安定性と区別できないほどであった。
実施例6
1.実験方法
候補となる燃料添加剤及び異なるDPF(ディーゼル微粒子フィルター)技術の性能をスクリーニングするために適したエンジン試験手順を下記のように提示する。本試験の展開及び形態は、B Terry及びP Richardsにより"A Method for Assessing the Low Temparature Regeneration Performance of Diesel Particulate Filters and Fuel-borne Catalysts" アメリカ自動車技術者協会2000−01−1922においてより完全に提示されている。
【0108】
本実施例で使用された試験方法は上記アメリカ自動車技術者協会2000−01−1922に記載されている通りであり、下記の通りである。
【0109】
エンジン稼動よりはるかに大きいマトリックスから5つの試験点を、下記表6に提示したように選択した(*印)。
【0110】
【表6】
【0111】
各試験条件において、エンジンを14時間稼動させた。DPFを、過剰な煤煙燃焼から引き起こる熱損傷から保護するために、任意に背圧限界をそれぞれの動作条件ごとに設定した。かかる限界に達したときエンジンの負荷が増加し、捕集した煤煙が酸化する温度まで排気ガス温度が上がった(高負荷動作条件等)。しかしながら、煤煙が通常の安定状態動作において自発的に酸化した場合はさらなる処置は必要でなかった。任意な背圧限界は各動作条件に対し300mbarに設定した。従って試験手順は下記の構成で行なった。
▲1▼エンジンをスタートし、エンジンオイルが温まるまで1分待つ。
▲2▼安定状態稼動条件で合計70時間作動する。
▲3▼次の試験前に確実に煤煙を確実に燃焼させるために強制された再生を誘発するような高負荷稼動条件でエンジンを作動する。
【0112】
試験は5つの稼動条件で、3000/30、1550/10、1260/5、2710/30及び1550/20の順に行った。
【0113】
開始時及び終了時の背圧が等しくなるよう、従って暖気運転効果を排除できるよう、平均的な時間枠を定め、次にシステム性能を評価するための基準として背圧平均値を使用する。背圧平均値が低いほど、システム性能がよい。
2.試験エンジン、装置及び燃料
本実験は、適切な熱交換器、電気接続機器、及び計測器信号用接続器を装備した搭載台に取り付けられたプジョーXUD−94エンジンを使用して行った。かかる搭載台はエンジン試験台に接続された。エンジン動力計はCP Engineering Cadetシステムにより制御されるFroude AG150渦電流機械を用い、2次冷却システム供給に組み込まれた適切な制御装置によってエンジン動作温度を自動的に制御した。CP Engineering Cadetシステムを使用して試験台を制御しデータを記録した。
【0114】
試験エンジンは間接噴射(IDI)型であり、Ricardo Comet型予室燃焼設計を用いた。エンジンの設計は、気筒ごとに2つの弁を動作する1つの間接カム軸を有する直列型4気筒であった。エンジンの排気筒容積合計は1905cm3であった。エンジンは自然に23.5:1の圧縮比で吸引し、Roto-Diesel燃料ポンプ及びBoschピントル型燃料注入機を取り付けた。
【0115】
エンジン排気システムを改良し、選別したDPFを組み込みうる中心部分を容易に交換できるようにした。
【0116】
本研究で使用した燃料はEN590規格燃料であった。燃料解析は表7に表示する。
【0117】
【表7】
【0118】
3.添加剤比較
以上の条件でエンジンを作動させた場合に、異なる燃料間で差異が出るかどうかを測定するために、燃料添加剤としてフェロセン及び2,2−ジフェロセニルプロパンを使用して試験を行った。両方とも適切な処理率で使用し、燃料中の総金属が20ppmとなるようにした。添加剤は両方とも同じSiC DPF(シリコン炭化カルシウムディーゼル微粒子フィルター)で試験した。
4.結果
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
2つの添加剤を比べた表8及び9から、それぞれの試験において、明らかなように再生率が高い結果の組が、低い背圧である。
【0122】
【表10】
【0123】
フェロセンと2,2−ビスフェロセニルプロパンを比較した上記表10から、ディーゼルエンジン及び含蓄的に他の燃焼システムの微粒子フィルタートラップ再生において、2,2−ビスフェロセニルプロパンの方がフェロセンに比べて少なくとも同じくらい効果的であるか、おそらくは優れていることがわかる。
実施例7
芳香環上及び/又は架橋基上の置換基の有無、違いによって溶解度及び溶液粘性に影響が生じるかを調べるために、一連の架橋のフェロセン、つまり本発明の一般式(I)による化合物を調製した。かかる生成物を調製及び単離するために2通りの標準条件を用い、それぞれ未置換フェロセンとアルキル化フェロセンと共に使用した。特定の誘導体を最適に合成するため、特にフェロセン合成を最大化し、アルキル化フェロセン等の副生成物の形成を最小にし及び可溶性目的物の生成物を分離するための労力を最小化するため、公知の方法により行なうことができる。
架橋のフェロセンの調製
硫酸(98wt% H2SO4、196g、2.0mol)を三角フラスコ内のメタノール(214.4g、6.7mol)に慎重に添加した。溶液温度は冷却(氷水槽)及び添加率を変化することにより40℃以下に維持した。溶液を、オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計及び底部口を備えた、被覆し調節板を供えた1リットルの反応器に移した。次に、反応器にトルエン(130g)と共に洗浄した粉末フェロセン(130.2g、0.7mol)をさらに充填した。
【0124】
反応器の内容物を次に被覆を通して高温油の循環によって80±2℃まで暖め、メタノール相及びトルエン混濁液の乳化が起きるように速やかに攪拌した。カルボニル化合物0.35mol(1当量)を次に滴下漏斗に充填し、実質的に一定量を約15分間にわたり反応器に滴下して加えた。次に、反応器内収納物を強い攪拌により80℃±2℃で6時間維持し、その後一晩かけて周辺温度まで冷却した。
【0125】
冷却過程でフェロセンが結晶化した場合は濾過により除去した。次にトルエン(130g)をさらに液体相に加え、さらに15分間攪拌した後、相分離の補助に必要な場合は水(10cm3)を加え、攪拌を終了した。次にメタノール/硫酸相を分離し、有機相を塩基水溶液(2×200cm3 10%NaHCO3又はNaOH)、続いて水(2×200cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し乾燥試薬を除去するために濾過し分離した。様々な量の未反応フェロセンで汚染された未精製生成物混合物を、回転蒸発器でトルエンを除去することにより回収した。
架橋のフェロセンの単離
固体物質をヘプタンの存在下で乳棒(pestel)とすり鉢で挽いて細かくし固体を回収するため濾過した。かかる過程を、薄相クロマトグラフィー(Merck酸化アルミニウム150F254(T型)固定相/移動相=3−4部のEtOH/1H2Oにより、固体が実質的にフェロセンを含まないと示されるまで繰り返した。かかる物質を次に熱ヘプタン最低量で溶解し、熱濾過し、その後冷却し再結晶化により回収した。
【0126】
未精製生成物は固体を含まない油、あるいは実質的に固体を含まない油であった。かかる生成物は冷却するとヘプタンから相分離すること、従って溶液に残留する傾向があるフェロセンからも分離することがわかった。ここでも進行をtlcによって観測した。
【0127】
場合によって、未精製生成物は油及び固体の混合物であった。ここでは上記のどの技術がより適切であるかの判断をした(例えば、粘着性のある液体は乳棒及びすり鉢で挽いて細かくされ、混濁固体を含む油は熱ヘプタン最低量で溶解してから冷却した)。時間や、入手可能な物質量が限られているときは、試行分離を行った。ここでも、精製方法の選択及び/又は進行はtlcによって観測した。
【0128】
固体、油又は混合相からのフェロセン最終除去及び反応完了寸前の除去を、80℃で<0.6mBarの昇華により達成した。
架橋、アルキル化フェロセンの調製
アルキル化フェロセンは、常温では粘性油であり、温めると非常に流動的になる、カルボニル化合物を有する反応生成物を供給した。従って、メタノール化硫酸及びトルエン中のアルキル化フェロセン溶液を含む乳状液を、上記の通り80℃で0.5当量のカルボニル化合物で処理した。有機相を分離し、塩基で洗浄し乾燥した。トルエン溶媒及び非反応アルキル化フェロセンを蒸留して除去し、生成物を油とした。これ以上の単離は必要でなかった。
生成物特性の測定
試料の鉄含有量を炭素/水素/窒素解析(Leco CHNS 932)に基づき測定した。すべての単離生成物は未反応カルボニル化合物、又は酸素含有反応生成物を含まないか、又は実質的に含まないことが想定される。試料のフェロセン含有量を測定するために、Finnigan MAT GCQ(GC/MS)上のGC/MSにより、Supelco MDC−5S溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm i.d.0.25μフィルム厚)を用いた。開始温度40℃を2.1分維持し、10℃min.-1で200℃に上げて20分維持し、噴射温度を275℃、ヘリウム流量を40cms-1の一定速度で、純フェロセンに対しキャリブレーションした。
【0129】
適切な結晶化物質が入手できた場合は、さらなる特徴づけを行うために1H及び13CNMR(Brucker AC200)を用いた。シクロペンタジエニルプロトンの組み込み(C66においてTMS低磁場の転換範囲4〜4.5ppm)をカルボニル由来架橋ユニットのプロトンに対して、可能なときは行い、オリゴマー形成程度の質的情報を提供した。すべてのスペクトルはTMSに対してC66溶液中で測定した。可能な場合には、炭素原子はDEPT(Distortionless Enhancement by Polarisation Transfer)により、メチル、メチレン又はメチンと同定した。
【0130】
炭素/水素/窒素解析から推定した鉄含有量を使用して溶解性試験を行った。フェロセンの鉄含有量が30wt%であることがわかっているので、縮合物として存在する鉄含有量を差異から推定した。本手順により下記の生成物が実質的に炭素、水素及び鉄のみを含有するとみなされる。縮合物として、必要な鉄濃度を十分に供給できる生成物の質量をねじ口バイアルで計量しトルエンを加えて合計で10.00gとした。試料にふたをし、均一になるまで振盪又は攪拌しParafilmTMを用いて密封した。次にかかるバイアルを、エチレングリコール/水で満たし−30℃に保った槽に保存し固体出現又は液体相の分離を定期的に点検した。少なくとも1週間後に固体を急速濾過により分離し、吸引下で溶媒を除去して溶解性生成物を単離した。下記に挙げる固体、最大及び最小溶解度の解析は質量収支から推測されたものである。
【0131】
2.5重量%鉄溶液の粘度を、2Pa又は0.5Paのいずれかの剪断速度において4°40mmの円錐体と平板を用いてBohlin Instruments社製のCVOレオメーターを使用して測定した。
【0132】
【表11】
【0133】
上記表中のn=0及びn=1のときの計算値という語は、それぞれ、式中、一般式(III)のnが0又は1のときの一般式(I)の化合物を指す。番号1aは0.6当量のアセトンをフェロセンと縮合反応させて単離した低純度画分を指す。メチル基プロトンをシクロペンタジエニルプロトンに対して組み込んだ1HNMRスペクトルから、n=0及びn=1である種しか存在しないと仮定すると、約9mol%n=1の結果が示唆される。
注:
化合物1から15はフェロセンを用いて調製した。
1化合物は、一般式(II)及び一般式(III)のA及びBが両方ともメチルシクロペンタジエニル基であるようなジメチルフェロセンを用いて作成された。
2化合物は、一般式(II)及び一般式(III)のA又はBの1つがエチルシクロペンタジエニルであり、それぞれのもう一方がシクロペンタジエニルであるようなエチルフェロセンを用いて作成された。
【0134】
【表12】
【0135】
【表13】
【0136】
注釈については、表11の下を参照のこと。
【0137】
比較のため、トルエン中のフェロセンとしての鉄溶解度を約1重量%とした。化合物1の生成物としての5重量%の鉄試料を蒸留すると、かかる好ましい物質のトルエンにおける溶解限度が−30℃のとき3.2重量%よりわずかに少なくなった。
【0138】
【表14】
【0139】
【表15】
【0140】
【表16】
【0141】
データ解釈
上記化合物1及び1aはトルエンにおける好ましい化合物の溶解性に対する比較データを得るために調製した。かかる実験にはトルエンがPlutosol APFよりも好ましく、その理由は単にトルエンの揮発性が高いのでどんな生成物からでも簡単に除去可能であるからである。トルエンにおける好ましい生成物としての鉄の溶解度は約3.2重量%で、少なくとも−40℃のとき5.0重量%であると知られているPLUTOsolTMAPFにおける鉄の溶解度よりも劣っている(例えば、PLUTOsolTMAPF中で7.5重量%の鉄含有量をもつ2,2−ビスフェロセニルプロパン溶液が問題なく安定していることがわかった実施例1を参照のこと)。
【0142】
化合物2はアセタール等のアルデヒドの等価体がケトンの替わりに使用できることを示す。生成物であるジフェロセニルメタンが−30℃でトルエンにおいて他の誘導体よりも低い鉄溶解性を示すが、それでもジフェロセニルメタンの溶解性はフェロセン自身よりも高い。
【0143】
n−アルデヒドと1,1−ジスフェロセニルn−アルカンの非常に純粋な試料を調製するために使用してよいことを示す。化合物4、5及び6は分枝アルデヒドもまた1,1−ジフェロセニルアルカンの調製に用いられてよいことを表している。化合物4(特に)及び5に対するGC/MSデータもまたアルデヒド、及び推測によってケトンが、カルボニルのα位置で分枝するとき、アルケニル置換のフェロセンを形成する成功が存在することを示している。理論にとらわれずに、ジフェロセニルアルキルを産生するために更なるフェロセン分子と反応してよい、又はアルケンを産生するために乾燥してよい、中間体ヒドロキシアルキルフェロセンが形成されると思われる。かかる生成物の形成を最小限にするために試験条件を日常的な実験方法に変更されてもよい。化合物6はβ鎖のカルボニルが本副反応を起こす傾向が著しく低いことを示す。US−A−3,763,232には分枝状ケトンの使用が記載されている。
【0144】
化合物8は架橋基がアリール基によって置換されてよく、化合物9の置換基がアラルキル基であってよく及び化合物10はアルカリール基(alkaryl)であってよいことを示す。ここでも、化合物9はα置換のカルボニルが使用した標準条件下で副反応を起こしがちであることを示す。
【0145】
化合物11は架橋基が脂環式基の一部であってよいことを示す。
【0146】
化合物12から15まではジカルボニル化合物のものである。これらの化合物は、式中、一般式(III)におけるnがでありZが式中mがである一般式(V)の2つの基によって置換される一般式(I)の種を形成すると考えられている。かかる化合物が非常に高度な純度で形成されるか及び/又は容易に結晶化されない限り、かかる種が実際に形成されたかどうかを提示するのは困難である。例えば、化合物13における種の予測式量は808ダルトンである。かかる種がGCの過程を終了するだけの揮発性及び熱安定性をあわせて持っているとは考えにくく、使用した質量解析計の質量限度を超えている。4つのケースすべてにおいて、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基で置換したフェロセンを含む副産物及びいくらかのジフェロセン生成物がGC/MSの痕跡から推測できた。上記物質が合成中に生じたのか又はGC乾燥機で熱分解中に生じたのかは不明である。化合物13条で低温溶解性研究中に単離した結晶固形のH及び13Cスペクトルは、当量のメチル及びシクロペンタジエニル基を含む大量の高対称的物質が存在すること又は形成されたことを示し、及び暗にカルボニル基又はヒドロキシル基が存在しないこと又は形成されなかったことを示した。メチレンプロトンが存在しないか又は(より可能性が高いが)シクロペンタジエニルに偶発的に縮退したかは明らかでない。
【0147】
化合物16は反応条件がアルキル置換のフェロセンと共に使用してよいことを示す。生成物として粘稠性油が形成されることから、アルキル化又はアルキル基を有しないシクロペンタジエニル基間のカルボニル合成物に対する低選択性又はアルキル基に関連する移行性のいずれかあるいは両方が示された。
【0148】
化合物17から20までは、反応条件が炭化水素中のカルボニル基の場所に対して敏感ではないことを示す。1,1−、2,2−、3,3−、及び4,4−ジフェロセニルアルカンが従って提示された。
【0149】
化合物21は架橋基がヘテロ原子、この場合は酸素、を含む置換基を含むことが可能であることを示す。かかる特殊な生成物のヘプタンでの溶解性は、他の化合物と異なって、フェロセンの溶解性と非常に似ている。さらに、かかる生成物は80℃以上で溶解する固体であり昇華技術を用いてフェロセンとの混合物から分離することが困難である。従って、特徴づけはGC/MS技術に限られ、好ましい物質は、標準反応条件かにおいても、圧倒的な反応生成物であることがわかった。
【0150】
上記明細書で言及したすべての出版物は明細書中に参照を記載することで取り込む。記述した本発明の方法及びシステムの様々な変更及び変化は本発明の範囲と精神を逸脱することなく当業者には自明であろう。本発明は具体的な好ましい実施例に関連して記載しているが、本発明によるクレームはかかる具体的な実施例に過度に限定されるものではないことが理解される。実際に、化学又は関連分野の当業者に自明である、本発明の記載した実施例の方法の様々な変更は上記の請求の範囲に含まれる。

Claims (62)

  1. 燃料用燃焼システムの排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生方法であって、
    前記粒子フィルタートラップに存在する炭素系微粒子を、組成物の燃焼生成物と接触させることを含み、
    前記組成物が、
    i)一般式(I)
    X−Y (I)
    (式中、Xは一般式(II)
    の基を表し、Yは一般式(III)
    の基を表し、各A及び各Bは、独立して、未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環を示し、Z又は各Zは独立して、未置換若しくは置換基を有する2価のヒドロカルビル基を示し、nは0又は1から10までの整数である。)で表される化合物(但し、一般式(IV)
    (式中、R 又は 及び 又ははエチルを示す。)で表される化合物を除く。)の1種又は2種以上、及び
    ii)希釈剤又はキャリア
    を含み、前記1種又は2種以上の一般式(I)で表される化合物が、前記組成物の重量に対して少なくとも1重量%の鉄を供給できる十分な量で存在し、前記組成物が計測して燃料に添加されることを特徴とする方法
  2. 組成物の鉄含有量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 組成物が、燃焼システムにおける燃料の燃焼に先立って前記燃料に導入されるために、前記燃焼システムに連結した容器内に設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、未置換若しくは置換基を有する2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法
  5. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において少なくとも1の炭素原子を有する、未置換又は置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項記載の方法
  6. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において1から10の炭素原子を有する、未置換若しくは置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項記載の方法
  7. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において少なくとも2つの炭素原子を有する、未置換若しくは置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項又は6のいずれか一項に記載の方法
  8. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において1つの炭素原子を有する、未置換若しくは置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項記載の方法
  9. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキル基、置換基を有するアルキル基及び式(V)
    (式中、各A及び各Bは、独立して、未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環を示し、各Pは、存在する場合には、独立して、未置換若しくは置換基を有するヒドロカルビル基を示し、mは0又は1から10までの整数である。)で表される基から選択された1又は2以上の置換基で置換されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
  10. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、一般式(VI)
    (式中、各R及び各Rは、独立して、水素、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基、未置換若しくは置換基を有するアリール基、又は未置換若しくは置換基を有するアラルキル基を示し、xは少なくとも1の整数である。)で表されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
  11. 及びRが、それぞれ独立して水素、又は未置換若しくは置換基を有するC1−C6のアルキル基、未置換若しくは置換基を有するC6のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有するアリール(C1−C6)アルキル基であることを特徴とする請求項10記載の方法
  12. xが1から10までの整数であることを特徴とする請求項10又は11のいずれか一項に記載の方法
  13. xが少なくとも2の整数であることを特徴とする請求項1012のいずれか一項に記載の方法
  14. xが1であることを特徴とする請求項1012のいずれか一項に記載の方法
  15. 及びRがメチルであることを特徴とする請求項1014のいずれか一項に記載の方法
  16. 1若しくは2以上のA及び/又は1若しくは2以上のBが、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基から選択された1若しくは2以上の置換基で置換されたことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法
  17. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は複素環中に酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択された1若しくは2以上のヘテロ原子を含有する未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法
  18. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であり、環中に3から10の原子を含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法
  19. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であり、環中に3つ、5つ、又は7つの原子を含有することを特徴とする請求項18記載の方法
  20. 特定の鉄原子と結合するA又はBが、未置換若しくは置換基を有する3員芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する3員芳香族複素環であり、同じ鉄原子と結合する他方のA又はBが、未置換若しくは置換基を有する7員芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する7員芳香族複素環であることを特徴とする請求項19記載の方法
  21. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であり、環中に5つの原子を含有することを特徴とする請求項19記載の方法
  22. 各A及び各Bが、独立して未置換の芳香族炭素環、又は未置換の芳香族複素環であり、環中に5つの原子を含有することを特徴とする請求項21記載の方法
  23. 各A及び各Bが、独立して未置換又は置換基を有する芳香族炭素環であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法
  24. 各A及び各Bが、独立して未置換の芳香族炭素環であることを特徴とする請求項23記載の方法
  25. A及びBが同一であることを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法
  26. A及びBの両方がシクロペンタジエニルであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
  27. 一般式(I)で表される化合物が、式(VII)
    で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法
  28. 一般式(I)で表される化合物が、組成物の重量に対して少なくとも2重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法
  29. 一般式(I)で表される化合物が、組成物の重量に対して少なくとも3重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする請求項28記載の方法
  30. 一般式(I)で表される化合物が、−40℃において、組成物の重量に対して少なくとも1重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法
  31. 組成物が、一般式(VIII)
    A−Fe−B (VIII)
    (式中、A及びBは請求項1で定義されているとおり)で表される化合物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法
  32. 燃焼システムの排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生温度降下させるための燃料添加剤としての組成物の使用であって、
    前記組成物が、
    i)一般式(I)
    X−Y (I)
    (式中、Xは一般式(II)
    の基を表し、Yは一般式(III)
    の基を表し、各A及び各Bは、独立して、未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環を示し、Z又は各Zは独立して、未置換若しくは置換基を有する2価のヒドロカルビル基を示し、nは0又は1から10までの整数である。)で表される化合物(但し、一般式(IV)
    (式中、R 又はR 及びR 又はR はエチルを示す。)で表される化合物を除く。)の1種又は2種以上、及び
    ii)希釈剤又はキャリア
    を含み、前記1種又は2種以上の一般式(I)で表される化合物が、前記組成物の重量に対して少なくとも1重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする使用。
  33. 組成物の鉄含有量が10重量%以下であることを特徴とする請求項32記載の使用。
  34. 燃料用燃焼システムの排気システムに設置される粒子フィルタートラップの再生温度を降下させるための燃料添加剤としての組成物の請求項32又は33いずれか一項に記載の使用。
  35. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、未置換若しくは置換基を有する2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項32〜34のいずれか一項に記載の使用。
  36. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において少なくとも1つの炭素原子を有する、未置換又は置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項35記載の使用。
  37. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において1から10の炭素原子を有する、未置換若しくは置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項36記載の使用。
  38. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において少なくとも2つの炭素原子を有する、未置換若しくは置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項36又は37のいずれか一項に記載の使用。
  39. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキレン結合において1つの炭素原子を有する、未置換若しくは置換基を有する2価のアルキレン基であることを特徴とする請求項37記載の使用。
  40. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、アルキル基、置換基を有するアルキル基、及び式(V)
    (式中、各A及び各Bは、独立して、未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環を示し、各Pは、存在する場合には、独立して、未置換若しくは置換基を有するヒドロカルビル基を示し、mは0又は1から10までの整数である)で表される基から選択される1又は2以上の置換基で置換されることを特徴とする請求項32〜39のいずれか一項に記載の使用。
  41. nが0のときZが、又はnが1から10のとき1若しくは2以上のZが、一般式(VI)
    (式中、各R 及び各R は、独立して、水素、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル、未置換若しくは置換基を有するアリール、又は未置換若しくは置換基を有するアラルキルを示し、xは少なくとも1である整数である)で表されることを特徴とする請求項32〜39のいずれか一項に記載の使用。
  42. 及びR が、それぞれ独立して水素、又は未置換若しくは置換基を有する(C1−C6)アルキル、未置換若しくは置換基を有する(C6)アリール、又は未置換若しくは置換基を有するアリール(C1−C6)アルキルであることを特徴とする請求項41記載の使用。
  43. xが1から10までの整数であることを特徴とする請求項41又は42のいずれか一項に記載の使用。
  44. xが少なくとも2である整数であることを特徴とする請求項41〜43のいずれか一項に記載の使用。
  45. xが1であることを特徴とする請求項41〜43のいずれか一項に記載の使用。
  46. 及びR がメチルであることを特徴とする請求項41〜45のいずれか一項に記載の使用。
  47. 1若しくは2以上のA及び/又は1若しくは2以上のBが、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基から選択される1若しくは2以上の置換基で置換されることを特徴とする請求項32〜46のいずれか一項に記載の使用。
  48. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は複素環中に酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1若しくは2以上のヘテロ原子を含有する未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であることを特徴とする請求項32〜47のいずれか一項に記載の使用。
  49. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であり、環中に3から10の原子を含有することを特徴とする請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用。
  50. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であり、環中に3つ、5つ、又は7つの原子を含有することを特徴とする請求項49記載の使用。
  51. 特定の鉄原子と結合するA又はBが、未置換若しくは置換基を有する3員芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する3員芳香族複素環であり、同じ鉄原子と結合する他方のA又はBが、未置換若しくは置換基を有する7員芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する7員芳香族複素環であることを特徴とする請求項50記載の使用。
  52. 各A及び各Bが、独立して未置換若しくは置換基を有する芳香族炭素環、又は未置換若しくは置換基を有する芳香族複素環であり、環中に5つの原子を含有することを特徴とする請求項50記載の使用。
  53. 各A及び各Bが、独立して未置換の芳香族炭素環、又は未置換の芳香族複素環であり、環中に5つの原子を含有することを特徴とする請求項52記載の使用。
  54. 各A及び各Bが、独立して未置換又は置換基を有する芳香族炭素環であることを特徴とする請求項32〜52のいずれか一項に記載の使用。
  55. 各A及び各Bが、未置換の芳香族炭素環であることを特徴とする請求項54記載の使用。
  56. A及びBが同一であることを特徴とする請求項32〜55のいずれか一項に記載の使用。
  57. A及びBの両方がシクロペンタジエニルであることを特徴とする請求項32〜46のいずれか一項に記載の使用。
  58. 一般式(I)で表される化合物が、式(VII)
    を有することを特徴とする請求項32〜34のいずれか一項に記載の使用。
  59. 一般式(I)で表される化合物が、組成物の重量に対して少なくとも2重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする請求項32〜58のいずれか一項に記載の使用。
  60. 一般式(I)で表される化合物が、組成物の重量に対して少なくとも3重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする請求項59記載の使用。
  61. 一般式(I)で表される化合物が、−40℃において、組成物の重量に対して少なくとも1重量%の鉄を供給できる十分な量で存在することを特徴とする請求項32〜58のいずれか一項に記載の使用。
  62. 組成物が、一般式(VIII)
    A−Fe−B (VIII)
    (式中、A及びBは請求項1に定義されているとおり)で表される化合物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項32〜61のいずれか一項に記載の使用。
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