JP5064541B2 - 眼屈折力測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検眼の眼特性を取得する眼科光干渉断層計に関する。
光干渉断層イメージング技術を活用して眼の断層画像を得る光干渉断層計(Optical Coherence Tomography;OCT)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−38422号公報
従来、上記のような眼科装置においても、眼特性の取得時に光源からの光が見えてしまいわずらわしいといった問題があった。(例えば、OCTの場合、SLD光源から発せられた光が上下左右方向に高速に走査する構成を持つため、被検者には光の走査が見えてしまいわずらわしい。)
また、中心波長が940nmを超える波長では、水晶体や硝子体等での吸収が大きくなり、測定光の眼底への到達や眼底からの反射光が減少してしまい、測定に必要な光量を確保することが難しくなる。
本発明は、上記問題点を鑑み、被検眼への負担を軽減し、精度良く眼特性を得ることができる眼科光干渉断層計を提供することを技術課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために次のような構成を備えることを特徴とする。
(1)
測定光源から発せられた光を走査する光走査手段を有し、光干渉断層イメージング技術を用いて被検眼の断層画像を取得する眼科光干渉断層計において、前記測定光源は、中心波長が870〜900nmの光を発するスーパールミネッセントダイオードであり、前記測定光源から発せられた光の前記光走査手段による走査を被検眼が追ってしまうことを回避すると共に、被検眼の水晶体、硝子体での光の吸収を考慮して断層像を取得するのに必要な反射光量を確保することを特徴とする。
本発明によれば、被検眼への負担を軽減し、精度良く眼特性を得ることができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の眼屈折力測定装置の光学系及び制御系の概略構成図である。測定光学系10は、被検眼の瞳孔中心部から眼底にスポット状の光束を投影する投影光学系10aと、その反射光を瞳孔周辺部からリング状に取り出す受光光学系10bから構成される。投影光学系10aは、測定光軸L1上に配置された測定光源11、リレーレンズ12、ホールミラー13、駆動部23により光軸L1を中心に回転駆動されるプリズム15、測定用対物レンズ14からなり、この順に被検眼に向けて配置されている。
本実施形態にて用いる測定光源11は、赤外域の光を発するスーパールミネッセントダイオード(SLD)を用いる。SLDは、その中心波長が850nm以上940nm以下のものが好適に使用できる。さらに好ましくは870nm以上900nm以下のものである。中心波長が850未満の場合、測定中に目視ができてしまうため、測定中に被検眼に対して雲霧をかけにくく、測定精度に影響を及ぼす。また、中心波長が940nmを超える波長では、水晶体や硝子体等での吸収が大きくなり、測定光の眼底への到達や眼底からの反射光が減少してしまい、測定に必要な光量を確保することが難しくなる。なお、本実施形態においては、指向性が強い測定光源11としてSLDを用いたが、これに限るものではなく、例えば、レーザダイオード(LD)等が考えられる。
また、光源11は被検眼眼底と共役な関係となっており、ホールミラー13のホール部は瞳孔と共役な関係となっている。投影光学系10a及び受光光学系10bの共通光路に配置されたプリズム15は、被検眼Eの眼底と共役な位置から外れた位置に配置され、干渉性の高い光源を使用することにより発生するスペックルノイズを抑制するために、通過する光束を光軸L1に対して偏心回転させるものとしている。なお、眼底からの反射光束は、投影光学系10aと同じプリズム15を通過することによって、それ以降の光学系ではあたかも瞳上における投影光束・反射光束(受光光束)の偏心が無かったかのようになる。なお、プリズム15に代えて平行平面板を光軸L1上に斜めに配置する構成でも良い。測定用対物レンズ14と被検眼の間には、ビームスプリッタ29が配置されている。
受光光学系10bは、投影光学系10aの対物レンズ14、プリズム15及びホールミラー13を共用し、ホールミラー13の反射方向の光路に配置されたリレーレンズ16、ミラー17、ミラー17の反射方向の光路に配置された受光絞り18、コリメータレンズ19、被検眼瞳孔と共役な位置に配置されたリングレンズ20、エリアCCDなどの2次元撮像素子22を備える。受光絞り18及び2次元撮像素子22は、被検眼眼底と共役な関係となっている。2次元撮像素子22は、フレームメモリ71を介して制御部70に接続されている。
リングレンズ20は、図2(a)及び(b)に示すように、平板上に円筒レンズをリング状に形成したレンズ部20aと、このレンズ部20a以外に遮光のためのコーティングを施した遮光部20bより構成されている。これにより、その焦点位置に配置された2次元撮像素子22上には、リングパターン像が集光する。なお、、本実施形態においては、リングレンズ20により2次元撮像素子22にリングパターン像を受光させる構成としたが、受光光学系として、マイクロレンズが格子状に並べられた構成を持つハルトマンシャックプレートや6孔絞り及び偏向プリズムにより2次元撮像素子22に二次元パターン像を受光させるような光学系としてもよい。
ビームスプリッタ29により光軸L1と同軸にされる光軸L2上には、対物レンズ36、ハーフミラー35、ダイクロイックミラー34、投光レンズ33、固視標32、可視光源31が順次配置されており、光源31〜観察系対物レンズ36により固視標光学系30が構成される。固視標32は光軸L2方向に移動することにより被検眼の雲霧を行う。光源31は固視標32を照明し、固視標32からの光束は投光レンズ33、ダイクロイックミラー34、ハーフミラー35、対物レンズ36を経た後、ビームスプリッタ29で反射して被検眼に向かう。また、ダイクロイックミラー34の反射側には、アライメント光学系40が設けられ、赤外光を発するアライメント用光源41、投光レンズ42を備える。光源41からの光束は、投光レンズ42、ダイクロイックミラー34〜ビームスプリッタ29を介して、被検眼角膜上にアライメント指標を投影する。
ハーフミラー35の反射側には、撮影レンズ51、前眼部観察用のエリアセンサ52が配置され、観察光学系50を構成する。アライメント指標を含む前眼部からの反射光は、ビームスプリッタ29で反射した後、レンズ36、ハーフミラー35、撮影レンズ51を介してエリアセンサ52に受光される。エリアセンサ52の出力は、画像処理部77を介してモニタ7に接続され、観察画像が表示される。
以上のような構成を備える装置において、その動作を説明する。測定に際して、検者は、モニタ7に表示される前眼部像及びアライメント指標を元に、図示なきジョイスティックを操作して図1に示す被検眼Eに対して装置をアライメント調整する。そして、被検眼Eに対して固視標32を固視させ、アライメントが適正状態になったら、測定開始スイッチ73を押して測定を開始する。
制御部70は、スイッチ73からの測定開始信号により光源11を点灯すると共に、プリズム15を駆動部23により高速回転する。そして、被検眼に雲無をかけるための予備測定が行われ、そこで得られた屈折力に基づいて固視標32を一旦眼底と共役になる位置に置いた後、制御部70は、適当なディオプタ分だけ雲霧が掛かるように固視標32を移動させる。これにより、被検眼に対して雲霧を掛けた状態で本測定が実行される。
なお、雲無をかけた際に測定光源11の測定光が若干目視できるようであれば、測定光の色を固視標に同化させるように固視標32の配色を決めることもできる。例えば、固視標32を赤色ベースの固視標としておけばよい。
光源11から出射された赤外光は、リレーレンズ12、ホールミラー13、プリズム15、対物レンズ14、ビームスプリッタ29を経て、被検眼Eの眼底上にスポット状の点光源像を形成する。このとき、光軸周りに回転するプリズム15により、ホールミラー13のホール部の瞳投影像(瞳上での投影光束)は、高速に偏心回転される。
眼底に投影された点光源像は、反射・散乱されて被検眼Eを射出し、ビームスプリッタ29を透過して、対物レンズ14によって集光され、高速回転するプリズム15、ホールミラー13、リレーレンズ16、ミラー17を介して受光絞り18の位置に再び集光され、コリメータレンズ19とリングレンズ20とによって2次元撮像素子22にリング状に結像する。2次元撮像素子22からの出力信号は、フレームメモリ71により画像データとして記憶される。被検眼Eが正視眼の場合、眼底反射光はリングレンズ20に平行光束として入射するため、2次元撮像素子22上にはリングレンズ20と同じサイズのリング像が結像する。一方、被検眼Eに球面屈折成分の屈折異常がある場合、2次元撮像素子22上にできるリング像のリング直径は、その球面屈折誤差のずれ量に比例した大きさになる(近視眼であれば小さくなり、遠視眼であれば大きくなる)。乱視屈折誤差がある場合は、2次元撮像素子22上にできるリング像は、その乱視屈折誤差に応じて楕円形状となる。したがって、制御部70は、フレームメモリ71に記憶された画像データに基づいて各経線方向のリング像の位置を検出することにより、各経線方向の屈折誤差を求めることができ、これに所定の処理を施すことにより、S(球面度数)、C(乱視度数)、A(乱視軸角度)の屈折値を求めることができる。なお、リング像位置の検出は、リング像のエッジの中心位置、輝度レベルの重心位置あるいは光量レベルのピーク位置等から求めることができる。また、光源11と、受光絞り18、レンズ19、リングレンズ20、2次元撮像素子22を、光軸方向に一体的に移動可能な構成とし、光源11及び2次元撮像素子22が眼底共役となるまでの移動量とリング像の形状から屈折値を得るようにしてもよい。
また、プリズム15が無い構成で、SLDのように輝度が高く、干渉性も高い光源を用いる場合、2次元撮像素子22に受光されるリング像には、眼内における散乱によってスペックルノイズが発生し、リング像の光量分布が斑になるが、本実施例では、被検眼眼底に投影されるスポット状の光束(点光源像)を高速で偏心回転運動する構成(プリズム15の高速回転)を有するため、干渉性の高い光源(SLD)を用いた場合のスペックルノイズは2次元撮像素子22の撮像時間中に中和され、その影響が取り除くことが可能になる。
なお、SLDは、LED(発光ダイオード)に比べ、光源サイズが小さく、指向性が高いので、細い光束径の測定光束を実現できる。これにより、被検眼眼底には小さなスポット像が投影されるとともに、眼内の各部位での散乱が少なくなるので、その反射光を受光する2次元撮像素子22においてノイズが少なくシャープな細いリング幅のリングパターン像が撮像できる。眼底に投影されるスポット像は、SLDが直径約10μmに対し、LEDが直径約50μm以上となっており、測定光源としてLEDを用いた場合には、リング幅が太く、リング像周辺に多くのフレア成分が撮像される。すなわち、LEDを測定光源として用いた装置に比べ、本実施形態の装置では、ノイズの少ないシャープなリングパターン像に基づいて屈折力を求めることができ、測定誤差の少ない精度の良い測定結果を得ることが可能となる。
なお、SLDやLD等の光源サイズが小さく、指向性が高い光源を測定光源として使用する場合、中心波長が830nm程度であると、測定光束が容易に目視できてしまう。このため、より長波長側の光束を用いることが好ましいが、長波長側にシフトするほど撮像素子の波長感度が低下してしまうこととなる。したがって、さらに測定精度を高めるためには、測定光源11の波長領域と2次元撮像素子22の波長感度特性を考慮して、2次元撮像素子22の撮像ゲインを設定する必要が生じる。
以下に本実施形態の装置における2次元撮像素子の撮像ゲインの設定について説明する。
例えば、図3に示すような特性を持つ撮像素子を用いた場合、875nmの光においては830nmの光と比較して感度が約40%程度低下する。すなわち、875nmのSLDを測定光源11として用いる際には、2次元撮像素子22で検出される輝度信号は40%低下してしまう。その結果、リング像が全体的に暗くなってしまう。このため、感度の低下分だけ、2次元撮像素子22の撮像ゲインを増加させる方法が考えられる(例えば、光量レベルの40%の低下であれば、ゲインを1.7倍程度増加させればよい)。しかしながら、単純に光量の不足分だけ撮像ゲインを高くして眼を測定した場合、必要な光量は得られるものの、ノイズ光(眼内の水晶体や硝子体等での散乱光や反射光)の検出が増加することが分かった。より具体的には、リングパターン像の外側領域よりも内側領域におけるノイズ成分が増加する傾向にあり、このノイズ成分の影響により、得られる屈折値が本来の値からマイナス側(近視方向)にシフトしてしまう。
図4(a)は、ノイズ成分を多く含んだときのリング像における所定経線方向の輝度信号の波形の一部を示す図(X方向が位置、Y方向が輝度レベル)である。この場合、左右非対称な波形となっており、波形の傾きが緩やかとなっている(エッジがだれている)。このような波形からリング像位置の検出を行うと、ノイズの影響を受けて測定誤差が生じやすくなる。例えば、得られた波形を閾値Sにて切断し、この切断位置での波形の中間点を像位置として検出する場合、波形が左右非対称であれば、閾値Sの設定位置(S1、S2)によって像位置の検出位置(A1、A2)は変動することとなる。また、波形の傾きが小さくなり、閾値Sにおける輝度レベルの幅が大きくなることも測定誤差を増やす要因となる。
そこで、必要とされる受光信号の強度を得つつ,前記2次元撮像素子に受光される前記2次元パターン像に含まれるノイズ成分となる受光信号を抑制するために、測定光源の波長領域と2次元撮像素子22の波長感度特性に基づいて、2次元撮像素子22のゲインを調整(設定)する。例えば、リングパターン像の像位置を検出する時の輝度信号の波形が図4(b)に示すようなほぼ左右対称になっているかどうかに基づいてCCDカメラのゲインを調節する。この場合、2次元撮像素子22のゲインを変化させていく中で輝度信号の波形がその波形のピークを境に左右対称になる範囲を設定すればよい。波形の左右対称性を求める方法としては、例えば、波形に対して異なる2つの閾値S1,S2を設定し、この設定した閾値S1及びS2によって得られる波形の中間点を像位置とした位置A1及びA2のずれ量Δdが所定の許容値内に収まるか否かによって求める方法が考えられる。このように、所定の基準を満たす波形が得られるようにゲインを調整しておくことで、ノイズ光の影響を受けにくい輝度信号の波形から像位置を検出することにより、さらに測定精度を向上させることができる。なお、本実施形態のように2次元撮像素子22に受光される2次元パターン像がリングパターン像の場合には、前記2次元撮像素子の撮像ゲインの設定は、前記2次元パターン像の内側領域に生じるノイズ成分を抑制するように撮像ゲインを調整すればよい。
また、波形信号にノイズ成分が含まれると波形の傾きが緩やかになるため、ゲイン調整においては、輝度信号の波形の傾きを考慮するようにしてもよい。波形の傾きを求める方法としては、例えば、図5のように波形のピークと最小値との中間位置付近での波形の微分係数f´に基づいて選定する方法が考えられる。そのときの微分係数としては、少なくとも2以上となるように調整すると、エッジの立った波形(ノイズ成分が抑えられた波形)が得られ、さらに測定精度が向上する。なお、測定光の波長によって水晶体や硝子体等での反射特性が異なってノイズ光の検出が増加する可能性があるが、そのような場合のおいても、上記のようなゲイン調整は測定精度を上げる上で有効である。
なお、像位置の検出においては、ピーク位置から像位置を検出することも可能であるが、前述したように、ピーク値から所定の輝度レベルを引いた閾値Sにおける波形の中間点を像位置として検出することにより、安定した測定結果が得られやすい。また、閾値Sを設定する場合には、閾値Sがピークに近すぎてもばらつきが多く、閾値Sが低くしすぎてもノイズ光の影響を受けてばらつきが多くなる可能性が高くなるので、これらを回避した位置とすることが好ましい。
なお、中心波長850nm〜940nmのSLDは、低コヒーレント光を用いて被検眼の眼特性を取得する眼科装置、例えば、光干渉断層イメージング技術を活用した光干渉断層計(Optical Coherence Tomography;OCT)の光源としても適用可能である。従来、上記のような眼科装置においても、眼特性の取得時に光源からの光が見えてしまいわずらわしいといった問題があった。(例えば、OCTの場合、SLD光源から発せられた光が上下左右方向に高速に走査する構成を持つため、被検者には光の走査が見えてしまいわずらわしい。)このような問題に対し、中心波長850nm〜940nmのSLDを用いることにより、被検眼は光源からの光が気にならなくなり、被検者への負担を軽減し、精度よく眼特性を得ることができる。なお、光干渉断層計(OCT)に中心波長850nm〜940nmのSLDを用いる場合、中心波長が830nm付近のSLD等を用いた時と比較して、解像度の低下が考えられる。この場合、解像度の低下を補えるように半値幅の広いSLDを採用すればよい。
次に、本件発明の眼屈折力測定装置を用いた第2の実施形態を説明する。なお、光学系及び制御系は図1に示したものと同じであるため、その詳細は省略し、ここでは、複数回の撮像により得られた画像データ同士を加算処理して被検眼の屈折力を求める方法について説明する。なお、本実施形態においては、加算処理の回数を1〜2回とする。この場合、2次元撮像素子22にリング画像を連続して撮像させ、フレームメモリ71に加算処理を行うための画像データとして複数記憶させる。ここで、2次元撮像素子22の1回の撮像時間は、例えば1/30秒となっており、撮像が所定間隔(本実施形態では1/30秒間隔)で行われ、得られた画像データが順次フレームメモリ71に出力される。本実施形態では、このようにして撮像されたリング画像を、撮影順に、第1画像、第2画像、第3画像として説明する。なお、画像データは、2次元撮像素子22で撮像された各画素毎の輝度レベルを0〜255で表したデータとしてフレームメモリ71に記憶される。
まず、制御部70は、第1画像における画像データと第2画像における画像データに対して第1の加算処理を行う(図6(a)参照)。さらに、制御部70は、第1の加算処理を行った後の画像データと、第3画像における画像データに対して第2の加算処理を行う(図6(b)参照)。なお、本実施形態においては、加算処理後の画像データに基づく輝度信号レベル(測定信号レベル)が検出限界を飽和するか否かを判定し、判定結果に基づいて加算処理の回数を制御する(図7参照)。すなわち、第2の加算処理を行った後の画像データにおける輝度信号のピークが完全に飽和すると判定される場合、第1の加算処理を行った時点での画像データに基づいて屈折力の演算処理を行う。なお、加算処理とは、異なる画像データ同士の座標位置を一致させて、輝度レベルを足しあわせる処理のことをいう。
上記のように、加算処理を行った後の測定画像(リング画像)を元に屈折値の演算を行う場合、1回の撮影にて測定結果を得る必要がないため、第1の実施形態のように1回の撮像で測定画像を得る場合と比較して、測定光源の光量や撮像ゲインを低くさせておくことができる。測定光量や撮像ゲインを低く設定することにより、ノイズ光をさらに抑制することが可能である。なお、本実施形態においては、2次元受光素子22により複数取得された画像データをフレームメモリ71に複数記憶してから加算処理を行う構成としたが、既にフレームメモリ71に記憶された画像データと同じメモリ領域に、のちに取得された画像データを重ねる合わせることにより、加算処理を行うような構成としてもよい。
また、輝度信号が過度に飽和する直前の加算処理済みの画像データを屈折力を演算する際に用いる画像データとして適用する構成とすれば、リング像自体とノイズ成分とのコントラストがより明確となり、測定精度が高くなる。なお、複数回の加算処理により、輝度信号を飽和させすぎると、ノイズ成分を多く含んだ形で像位置を検出してしまい、測定精度に影響を及ぼす(図8参照)。ただし、図9のように輝度信号の波形が微飽和(ピーク位置は飽和しているが、飽和した領域はわずかなこと)する程度であれば、測定精度に影響を及ぼす程度のノイズ成分は含まれにくい。なお、微飽和か過剰な飽和かを判定するには、例えば、所定経線方向における輝度信号が飽和した位置に対応する画素数(図8,9においては幅領域W)が所定の許容範囲(許容数)を超えているかに基づいて判定すればよい。
なお、本実施形態においては加算処理の回数を1〜2回としたが、このような構成は、3回以上の加算処理を行うような場合においても適用可能である。
なお、眼底からの反射光の少ない等の被検者を測定する場合には、測定光源11の光量を増やすような構成としてもよい。この場合、第1画像における画像データの光量レベルの分布のピーク位置に基づいて光量を増加するようにすればよい。これにより、眼底反射光の少ない被検者であっても、屈折度の測定が可能となる。
また、第2の実施形態の変容例の1つとして、撮影により得られた複数の画像データを予め減算処理により、予めノイズ成分を除去しておき、ノイズ成分が除去された画像データを加算することもできる。図10(a)は、第1画像における画像データの輝度信号の波形を示す。ここで、制御部70は、この画像データの低レベル成分(ハッチング部分)を減算する処理を行う。これにより、リング像周辺の低ノイズ成分が除去することができる。図10(b)は、減算処理を行った後の波形を示す図である。これと同様に、第2画像や第3画像における画像データに対して予め減算処理を行っておき、その後、画像データ同士を加算処理することにより、ノイズ成分が除去された状態で加算処理が行うことができるため、ノイズ光による測定誤差の影響をさらに回避することができる。
なお、本実施例においては、加算処理を用いたが、受光信号の蓄積時間が可変であって、長時間の蓄積が可能な2次元撮像素子22を用い、1回の撮像における画像の蓄積時間を所定時間(例えば一度で100ms)に設定して、ノイズ光の発生の要因となる光源光量や2次元撮像素子の撮像ゲインを低くした状態でリング像を撮像するようにしてもよい。この場合、飽和直前の測定画像を得るには、制御部70は、例えば、リング画像を撮像したときの画像データにおける所定経線方向の輝度信号を解析し、そのピークが低ければ少しづつ蓄積時間を長くしながら撮像を繰り返し、所定の測定画像が得られたらこれに基づいて屈折値を求めるような構成とすればよい。また、リング画像が過度に飽和していれば、少しづつ蓄積時間を短くしながら撮像を繰り返し、所定の測定画像が得られたらこれに基づいて屈折値を求めるような構成とすればよい。
本実施形態の眼屈折力測定装置の光学系及び制御系の概略構成図である。 リングレンズの構成を説明する図である。 2次元撮像素子の波長感度特性について説明するための一例である。 所定経線方向の輝度信号の波形の一部を示す図である。 波形のピークと最小値との中間位置付近での波形の微分係数f´に基づいて選定する方法を説明するための図である。 加算処理について説明するための図である。 加算処理の回数の制御について説明するフローチャートである。 輝度信号を飽和させすぎたときの図である。 輝度信号の波形が微飽和のときを説明する図である。 減算処理について説明するための図である。
10 測定光学系
10a 投影光学系
10b 受光光学系
11 測定光源
20 リングレンズ
22 2次元撮像素子
30 固視標光学系
32 固視標
70 制御部
71 フレームメモリ

Claims (1)

  1. 測定光源から発せられた光を走査する光走査手段を有し、光干渉断層イメージング技術を用いて被検眼の断層画像を取得する眼科光干渉断層計において、前記測定光源は、中心波長が870〜900nmの光を発するスーパールミネッセントダイオードであり、前記測定光源から発せられた光の前記光走査手段による走査を被検眼が追ってしまうことを回避すると共に、被検眼の水晶体、硝子体での光の吸収を考慮して断層像を取得するのに必要な反射光量を確保することを特徴とする眼科光干渉断層計。
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