以下、本発明の第1の実施の形態の美容マッサージ機器の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
図1ないし図3に示すように、美容マッサージ機器11は、音波を利用した美容機器として用いられるもので、本実施の形態では、顔用の美容マッサージ機器(リンパドレナージュ)で、携帯可能なものである。そして、この美容マッサージ機器11は、上下方向に長手状のケース体12の内部に、所定の制御回路を備えた制御基板13と、アクチュエータとしてのスピーカ14とが収容されているとともに、ケース体12の上部に、超音波発生素子である圧電素子すなわちピエゾ素子15を有する接触部材であるキャップ16と、摺動部材であるスライダ17とが取り付けられている。
ケース体12は、前側の外郭をなすフロントケース21と、後側の外郭をなすリアケース22とが、ねじ23,23により制御基板13とともに固定されて中空な略円筒状に形成され、一端部である上端部に、第1開口部としての上部開口25が形成され、他端部である下端部に、第2開口部としての複数の下部開口26が形成されている。また、このケース体12の内部には、上側寄りの位置に、スピーカ14を取り付ける溝状の取付部28が、各ケース21,22の内周に連続して周方向に沿って形成され、この取付部28にスピーカ14を取り付けた状態で、このスピーカ14の上方が、上部開口25に連通する接触部材収容部であるキャップ収容部31を備えた第1キャビティとしての上部キャビティ32となり、スピーカ14の下方が、下部開口26に連通する第2キャビティとしての下部キャビティ33となっている。さらに、このケース体12の上部には、キャップ16を覆う有蓋円筒状の蓋体34が着脱可能に取り付けられている。
フロントケース21の前側には、上下方向の略中央域である下部キャビティ33の前方の位置に、ケース体12を把持する把持部を構成する円弧面状の凹部36が形成されている。この凹部36には、電源用及びモード設定用のスイッチ37,37と、これらスイッチ37,37のオンオフ状態を示すランプであるLED38,38とがそれぞれ配設されている。
リアケース22の後側には、上端近傍である上部キャビティ32の後方の位置に、スライダ17を摺動操作させる操作レバー41が周方向に回動可能に取り付けられているとともに、下端近傍である下部キャビティ33の後方の位置に、図示しない商用交流電源に所定のアダプタなどを介して接続される電源ジャック42が配設されている。この電源ジャック42は、電源用基板43に実装され、この電源用基板43は、制御基板13に電気的に接続されている。
上部開口25は、フロントケース21の上部に形成された丸孔状の開口44の中央部にキャップ16が嵌合することでこのキャップ16の周囲に沿って円環状に開口されており、上部キャビティ32をケース体12の外部と連通している。
下部開口26は、小径の丸孔状に多数形成され、下部キャビティ33をケース体12の外部と連通している。
取付部28は、シール部材であるOリング45を介してスピーカ14の周縁部を気密に保持する部分である。
キャップ収容部31は、フロントケース21の上部に一体に設けられた環状のプローブ部47により区画されている。
このプローブ部47は、蓋体34を受ける円筒状の蓋体受部51の上部に使用者の皮膚に接触する接触部としての円筒状のケース体接触部52が同軸状に形成されて段差状となっている。また、このプローブ部47の中心軸は、ケース体12の中心軸に対して前方に所定角度傾斜している。さらに、ケース体接触部52に上部開口25が形成されている。したがって、上部開口25は、前方に向けて下方に傾斜して美容マッサージ機器11の前方に臨むように傾斜して開口している。
上部キャビティ32は、キャップ16を使用者の皮膚などに押し付けた際にこの皮膚などに上部開口25の周縁部が密着することで密閉される空間部である。
下部キャビティ33は、制御基板13を収容する縦長の収容空間部となっている。
蓋体34は、ケース体12の蓋体受部51に取り付けた状態でキャップ16などの上方を覆うように構成されている。
制御基板13は、上下方向に長手状の板状に形成され、上側寄りの部分と下側寄りの部分とが、それぞれフロントケース21とリアケース22との間に挟持されて前後方向に面方向を有している。また、この制御基板13は、図示しない電子部品などが複数実装されてスピーカ14を駆動するための周波数制御回路などが形成されている。さらに、この制御基板13の前面側には、スイッチ37,37により押し操作されるタクトスイッチ56(一方のみ図示)が実装されている。そして、制御基板13には、図5に示す制御部62、スピーカ14用のドライバ63及びピエゾ素子15用のドライバ64などを備えた回路が形成されている。
制御部62は、例えばマイコンなどであり、電源用基板43を介して電源ジャック42と電気的に接続されており、商用交流電源を整流及び平滑してドライバ63,64などに給電する電源部を含むとともに、例えばPWM制御などにより、各ドライバ63,64への給電を制御し、スイッチ37,37の操作に応じてドライバ63,64の動作を切り換え可能である。
ドライバ63は、制御部62から出力された矩形波、あるいはサイン波などの周波数信号を増幅してスピーカ14に供給する増幅器であり、スピーカ14へ正弦波を出力するものである。ここで、この周波数信号は、被処理部に対応して予め設定された固定の共振周波数信号であり、本実施の形態では、例えば皮膚だけでなく筋肉をも共振させる固定周波数信号を用いる。皮膚だけでなく筋肉をも共振させる共振周波数は、使用者の皮膚の硬さの個人差などを考慮しても数Hz程度の幅であり、また、皮膚や筋肉などの共振点はQ値が高くも狭くもないので、所定の固定周波数信号で充分に対応可能である。なお、周波数信号としては、リラクゼーション効果を高めるために、美容マッサージ機器11の外部などから入力される音楽などの周波数信号を制御部62により発生させる周波数信号にミックスしたものを用いてもよい。
また、ドライバ64は、制御部62から出力された矩形波、あるいはサイン波などの周波数信号を増幅してピエゾ素子15に印加する増幅器である。
スピーカ14は、周縁部が取付部28に固定される支持フレーム14a内に図示しない磁石が配設され、この磁石の周縁部に、図示しないコイルを巻回した振動板14bが磁石に対して移動可能に取り付けられている。また、このスピーカ14は、本実施の形態では、振動板14bの正面側を下部キャビティ33側として配設されている。このため、スピーカ14は、制御部62からドライバ63を介してコイルに出力された周波数信号に対応する周波数、例えば30Hzの音波を下部キャビティ33側へと発生させるとともに、この下部キャビティ33側への音波と逆相の音波を上部キャビティ32側へと発生させるように構成されている。
ピエゾ素子15は、制御部62からドライバ64を介して印加された信号電圧に比例した振幅で、所定の周波数、例えば40kHz、あるいは1MHzにて超音波周波数で振動するもので、図示しないが、圧電体を一対の電極で挟持した構造を有し、全体として略円板状に形成されている。
キャップ16は、ピエゾ素子15の超音波振動を生体の皮膚などの被処理部に伝達するホーンとして作用するもので、例えばアルミニウムなどの金属を絞り加工して有蓋円筒状に形成され、保持部材66を介して上部キャビティ32のプローブ部47内に取り付けられている。この取り付け状態で、キャップ16の上部の外面には、上部開口25と略面一で使用者の皮膚に密着される接触面16aが形成されている。この接触面16aには、粘性を有し潤滑の役割を有する超音波伝達媒体としての図示しない流体であるゲルが塗布される。また、キャップ16の内部には、接触面16aの裏側にピエゾ素子15が取り付けられている。
ここで、保持部材66は、プローブ部47の蓋体受部51の下部に固定された環状の固定部66aの内周縁部から中心軸方向へと複数の突部66bが突出し、これら突部66bの先端側に、キャップ16の外周を保持する円筒状の保持部66cが、固定部66aと同軸状に設けられ、軸方向に沿って突出している。
また、ゲルは、例えばコラーゲン、セラミド、ビタミンC、ビタミンE、ヒアルロン酸、エラスチン、ビタミンB2など、美肌に必要とされている各種成分を有している。
スライダ17は、清掃手段であり、上部開口25からケース体12内に侵入したゲルを上部開口25の外部へと排出するもので、例えば合成樹脂などにより円筒状の構造体に形成され、図1及び図4に示すように、内周面がキャップ16の外周面に接触し、周面にガイド部としての複数、例えば3つのカム溝17aが穿設されているとともに、操作レバー41にリンク68を介して接続される接続部17bが軸方向に沿って突設されている。そして、このスライダ17は、上部開口25に軸方向に進退可能に配置され、かつ、上端部が上部開口25に嵌合する環状の清掃部17cとなっている。
カム溝17aは、スライダ17の周方向に沿って長孔状に設けられ、軸方向に傾斜し、プローブ部47のケース体接触部52の内部に位置している。さらに、これらカム溝17aには、ケース体接触部52の内周側に突設された図示しないリブが嵌合している。このため、スライダ17は、美容マッサージ機器11の通常の使用状態では、清掃部17cが上部開口25の開口面(キャップ16の接触面16a)よりも下側に位置して、上部開口25を閉塞しない状態となるとともに、操作レバー41の回動操作によりリンク68を介してスライダ17が周方向に回動されることで、カム溝17aとリブとの嵌合によって清掃部17cが接触面16aと略面一になるまで上昇可能となっている。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
まず、使用者は、ケース体12を把持して蓋体34を取り外し、一方のスイッチ37を操作して電源を投入するとともに、所望の動作モードを他方のスイッチ37で選択し、ゲルを塗布したキャップ16の接触面16aを、顔などの皮膚に押し当てる。
このとき、制御部62では、設定された動作モードに対応してドライバ63,64にて周波数信号を増幅し、スピーカ14、あるいはピエゾ素子15の一方、あるいは両方を動作させる。スピーカ14は、周波数信号に応じた振動板14bの動作で、下部キャビティ33側へと音波を発生する。このとき、上部キャビティ32側には、下部キャビティ33側と逆相の音波が発生し、この音波が上部開口25を介して出力される。また、ピエゾ素子15は、周波数信号に応じた動作により、キャップ16を直接超音波振動させる。
この結果、スピーカ14のみを使用する動作モードでは、スピーカ14の音波により上部キャビティ32の空気を振動させて上部開口25から使用者の皮膚などの被処理部にマッサージ効果を与える。
また、スピーカ14とピエゾ素子15とを同時に使用する動作モードでは、上記スピーカ14の音波による上部キャビティ32の空気の振動に加えて、超音波によりキャップ16を振動させ、使用者の皮膚などの被処理部を、より効果的にマッサージする。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、ケース体12の内部に取り付けたスピーカ14により区画した上部キャビティ32と下部キャビティ33とを、それぞれ上部開口25と下部開口26とでケース体12の外部に連通させることにより、入力された周波数信号に対応する音波を上部キャビティ32側にスピーカ14でそれぞれ発生することで、スピーカ14を効果的に振動させて充分な空気圧を得ることができ、上部開口25を対向させた皮膚などの被処理部を、空気によって効果的にマッサージできる。
すなわち、下部開口26を設けない場合には、上部開口25を使用者の皮膚などに押し当てた状態でキャビティ32,33の両方がいずれも密閉された空間となり、スピーカ14の振動板14bの振動が抑制されるから、スピーカ14に正対して下部開口26を設けたことにより、スピーカ14の振動板14bが振動しやすくなり、上部開口25から充分な空気圧を出力することが可能になる。
また、スピーカ14に入力する周波数信号を被処理部に対応して予め設定した固定の共振周波数信号、すなわち使用者の皮膚および筋肉を共振させる固定の共振周波数信号とすることで、美容マッサージ機器11の皮膚への押し付け度合いなどに拘らず的確に筋肉を共振運動させることができ、血流が活発になり脂肪の燃焼が期待できるとともに、表皮マッサージによってリンパの流れもよくすることが可能となるなど、被処理部を、より効果的にマッサージできる。
さらに、被処理部に接触する接触面16aを備えたキャップ16を介してピエゾ素子15の超音波周波数での振動を被処理部に伝達することで、スピーカ14からの音波とピエゾ素子15によるキャップ16の超音波振動とによって、被処理部を、より効果的にマッサージできる。
また、上部開口25に、スライダ17を進退するように摺動可能に設けることで、キャップ16の接触面16aなどに塗布した流体状のゲルなどが上部開口25からケース体12内に進入しても、操作レバー41を周方向に回動させてスライダ17を摺動させることにより、このゲルを上部開口25からケース体12の外部へと押し出すことができ、メンテナンス性を向上できる。
そして、スピーカ14により発生させたいわば低音波によるマッサージにより、上部開口25を対向させた皮膚や体内組織を刺激し、血液の流れ及びリンパ液の流れを促進させ、組織の新陳代謝を冗進させることができる。すなわち、使用者の運動不足を補い、筋肉を動かさないために起こる筋肉廃用性萎縮を防止したり、あるいは積極的に筋肉を増強したりできる。また、スピーカ14が発生させる音波の優しい刺激により、皮膚が本来持っている皮膚を守る能力や抵抗力を高めることができるとともに、毛細血管に流れる血液の循環を高めることができる。
したがって、スピーカ14による低音波マッサージにより、長期時には、体内の脂肪をよく燃焼する組織である筋肉の強化により余分の体脂肪の燃焼が可能となり、短期時には、細胞レベルで血中のリバーゼの増加が起こり、脂肪細胞内の異化作用が活発になると考えられ、脂肪細胞内の脂肪酸の遊離及び血液への放出を増加させることから、代謝が促進されて停滞している組織液の還流が促されることで、美容マッサージ機器11の上部開口25を対向させた部分において、一時的にサイズダウンを得ることができる。
しかも、スピーカ14として市販スピーカを用いることが可能であるため、美容マッサージ機器11を安価にできる。
さらに、スピーカ14により比較的低い周波数の音波域を発生させることにより、容易に心地よい感覚を実現でき、リラクゼーション効果の向上を期待できる。
一方、ピエゾ素子15で発生させた超音波は体内へと透過し、生体内の諸器官に直進し、臓器のインピーダンスによりさまざまな反射、吸収、拡散あるいは減衰の変化を見せて消失する。例えば、腹部へ超音波を照射した場合、脂肪層、筋肉層、脊髄骨、腹部内、血液、組織液などに浸透し、一部は反射して戻ってくる。この反射された超音波は、方向及びスピードが変化し、拡散、乱反射となり、最終的にはエネルギの減衰が生じて消失する。このとき、生体内には、温熱効果が起こる。この温熱の発生は、直ちに血行により運び去られるものの、美容マッサージ機器11の接触面16aの当接位置を移動させて使用することにより、超音波による効果が広範囲に亘る。そして、この温熱作用は体内組織の賦活性を高め、血液の流れ、リンパ液の流れの促進、組織細胞の代謝の冗進、代謝冗進によるエネルギ消費、むくみの解消、免疫機能の増進などを得ることができ、さらには、皮膚の張力を向上できる。
また、生体の深部への超音波透過は、骨格筋及び平滑筋にも達し、これら筋肉の新陳代謝が促進され、筋肉の緊張が強くなる。この結果、局所のリフトアップが現象として現れ、血行、リンパ液の流れの促進により組織液の還流が速められ、これら液の停滞を解消して局所的、一時的サイズダウンを得ることができる。したがって、この美容マッサージ機器11の超音波振動を定期的かつ継続的に用いることで、サイズダウン、リフトアップを期待できる。
さらに、上記超音波振動により、毛穴の奥の汚れまで取ることができるとともに、超音波による乳化作用によって、油溶性の汚れも水溶性の汚れも取ることができる洗滌効果を得ることもできる。
そして、上記超音波振動が皮膚組織、皮下組織、筋組織に達することで、ミクロ(細胞レベル)のマッサージが行われ、皮膚組織の代謝促進により美肌効果が得られ、皮下組織の脂肪細胞への代謝も促され、脂肪酸の分解、燃焼の速度も冗進する。また、筋肉組織においても、脂肪酸の取り込みと燃焼とが促進され、筋肉の代謝を促進させることができる。
また、皮膚の皺は皮膚に張りがなくなることから起こり、皮膚の張りは主として真皮内の膠原繊維、弾力繊維によるところが大きく、膠原繊維のコラーゲンたんぱく質が水分に対して不可溶性たんぱく質になると、水分含有量が減少して皺の原因となる。不可溶性となる原因の一つとして、コラーゲン繊維に橋架が起こり、結合しあって硬くなることが起こると考えられていることから、上記超音波によるミクロの振動によってその橋架を取り外して分子を少なくし、コラーゲン繊維を軟らかくして水分を含む可溶性コラーゲンとするので、皮膚に張りができ、皺の軽減に繋がる。
さらに、上記超音波によるミクロのマッサージ効果は、皮脂腺の代謝を冗進し皮脂の分泌と排泄を促し、その皮脂が皮脂膜となり、皮膚を滑らかにし、過度の水分の発散を防止するので、角質層の水分保持が維持され、より滑らかな皮膚を得ることができる。
そして、上記スピーカ14による空気の低音波振動とピエゾ素子15によるキャップ16の超音波振動との組み合わせで、表皮と内部とを同時に振動させ、血行を促進でき、皮膚をより効果的にマッサージ可能になるとともに、上記超音波による温熱効果と低音波との組み合わせにより、エネルギ消費が増加し、痩身効果が増強される。
また、美容機器としては、上記美肌成分を有するゲルを併用することにより、空気圧によるパッティング効果と超音波による刺激との併用によって、潤いのある皮膚を蘇らせる効果が期待される。
同時に、キャップ16を介して伝わる超音波の振動により、使用者の皮膚などを軽く叩くような表面マッサージ効果を実現できる。
さらに、上記美容マッサージ機器11は、上部キャビティ32の空気の振動を上部開口25から伝えるものであって、固体から全ての振動が伝わるものではないため、使用者の皮膚などの被処理部の表面の毛細血管に損傷を与えるおそれが小さく、効果的な振動を実現しつつ、安全性を向上して扱いを容易にできる。
そして、顔のみならず、頭皮、太腿、脹脛、二の腕、臀部など、血行を良くすることで効果が期待できる箇所についても、同様の効果が期待できる。
また、音波を用いる上記美容マッサージ機器11では、音波を出力するための開口部、本実施の形態では上部開口25をケース体12に設ける必要があり、この上部開口25から塵埃などが進入しやすくなるが、この上部開口25に、スライダ17を上部開口25に対して進退するように摺動可能に設けることで、塵埃や上部開口25の周囲などに塗布した流体状のゲルが上部開口25からケース体12内に進入しても、操作レバー41を操作してスライダ17を摺動させることにより、塵埃やゲルが上部開口25からケース体12の外部へと押し出されて排出されるので、メンテナンス性を向上できる。
さらに、ケース体12を略円筒状として上端側にケース体接触部52と上部開口25とを形成し、下端側に下部開口26を形成するとともに、このケース体14の上端側に配設したキャップ16とケース体12のケース体接触部52との間に上部開口25を円環状に開口させることで、上部開口25とキャップ16とを比較的小さいスペースに纏まって全体を小型化でき、かつ、取扱性を向上できる。
次に、第2の実施の形態を図6ないし図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態のキャップ16に代えて、接触部材であるキャップ71を備えるものである。
キャップ71は、例えば合成樹脂などにより、皮膚などの被処理部に接触する接触面71aを有する略有蓋円筒状に形成されており、この接触面71aの外周縁部に、開口44の内周縁部に亘るフランジ部71bが径方向に突出し、このフランジ部71bに、上部キャビティ32に連通する第1開口部としての微細な上部開口71cが開口形成されている。さらに、キャップ71の接触面71aの中央部には、丸孔状の孔部71dが穿設され、この孔部71dに、被処理部の状態をセンシングするセンサ72が取り付けられている。
このセンサ72は、例えば赤外線などの発光部と受光部とを有するセンサであり、皮膚などの被処理部に向けて赤外線などを発光し、この被処理部から反射された赤外線を受光することにより、皮膚などの状態を検知することが可能となっている。さらに、このセンサ72は、図9に示すように、制御部62に電気的に接続され、検知した皮膚などの状態を信号として制御部62へと出力し、この制御部62が、この出力された信号に対応してスピーカ14への周波数信号の周波数及び振幅を可変させるように構成されている。
また、スイッチ37は、例えば電源用のものが、フロントケース21の凹部36の下方に設けられている。
さらに、電源ジャック42は、リアケース22の下面にて、下部開口26の近傍に設けられている。
また、ケース体12のフロントケース21の下面には、各種音楽機器M(図9)が接続され外部から音楽などの周波数信号を入力するための入力部であるジャック75が設けられている。このジャック75は、例えば直径3.5mmのミニジャックなどであり、接続された音楽機器Mを制御部62と電気的に接続するものである。
そして、本実施の形態では、キャップ71の上部開口71cを介して、スピーカ14の低音波による上部キャビティ32の空気の振動を出力することで、上記第1の実施の形態のスピーカ14のみを駆動させる動作モード時と同様の作用効果を奏することが可能であるとともに、接触面71aに設けたセンサ72により皮膚の表面状態などをセンシングすることで、被処理部の表面状態を確実にセンシング可能となる。
また、キャップ71を合成樹脂により構成し、さらに、比較的高価なピエゾ素子などを用いる必要もないため、低コスト化を図ることができる。
さらに、美容マッサージ機器11の使用中には、スピーカ14から振動周波数(可聴周波数)だけが出力されるため、使用に慣れていないと、騒音と感じ耳障りになるおそれがあるものの、ケース体12に各種音楽機器Mが接続されるジャック75を設けることにより、このジャック75に接続した音楽機器Mからの音楽ソース(オーディオ信号)を取り込み、この音楽ソースと内部信号とをミックスして出力させることで、マスキング効果により出力が耳障りとなることを緩和するとともに、いわゆるボディソニックのように、音楽に含まれる低音域が使用者の肌に振動を与えるので、リラクゼーション効果の向上を期待できるとともに、使用者が退屈感を覚えることなくマッサージ作業を継続しやすくなる。
次に、第3の実施の形態を図10ないし図12を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態において、上部キャビティ32が、スピーカ14に気密に取り付けられた区画部材としての筒状体であるスピーカホルダ81の内部に区画され、このスピーカホルダ81の上端部に、センサ72を保持した接触部材であるセンサホルダ82が取り付けられているものである。
スピーカホルダ81は、例えば合成樹脂などの部材により気密に形成され、図10および図11に示すように、略円筒状のスピーカホルダ本体81aと、このスピーカホルダ本体81aの上端部の外周縁部に径方向に突出して形成された上部係合部81bと、スピーカホルダ本体81aの下端部の外周縁部に径方向に突出して形成された下部係合部81cと、スピーカホルダ本体81aの下端側の内周縁部に中心軸方向に突出して形成された嵌着部81dを有し、ケース体12の上部にて開口44に挿入された状態で保持されている。
スピーカホルダ本体81aは、上側がケース体12の上部の傾斜に対応して、すなわち前側が後側に対して下方に位置するように傾斜状に形成されている。また、このスピーカホルダ本体81aの上端部には、上部係合部81bの内周側に、この上部係合部81bに対して窪んだ円環状の座面81eが形成されている。さらに、スピーカホルダ本体81aの内周部の一側部には、上下方向(軸方向)に沿って、溝部81fが形成されている。
座面81eは、センサホルダ82の下側を受ける面部である。
溝部81fは、センサ72側へと制御基板13側から配線された図示しない配線を挿入するための切欠部である。
上部係合部81bは、座面81eとともにセンサホルダ82の下側を受ける円環状の座面部81gを上面に備えた略円環状に形成され、スピーカホルダ本体81aの上側の傾斜形状に対応して傾斜している。また、この上部係合部81bは、ケース体12の上端部に載置され、外周縁部がこのケース体12の上端部の外周縁部に対して中心軸側に位置している。このため、ケース体12の上端部には、上部係合部81bの外周側に蓋体受部51が形成されている。
座面部81gは、座面81eに対して上側に突出し、この座面81eの外周側に位置するとともに、この座面81eと略平行に形成されている。このため、上部係合部81bは、内周側がスピーカホルダ本体81aに対して段差状となっている。
下部係合部81cは、スピーカホルダ81をケース体12の内周側に取り付け固定するための部分であり、ケース体12の内周面にフロントケース21からリアケース22に亘って連続した円環状の凹溝部85に嵌合されている。
嵌着部81dには、下部係合部81cの内周側との間に、スピーカ14を上部キャビティ32に気密に接続するための気密部材すなわちシール部材であるOリング87が取り付けられる取付凹部81hが形成されている。
Oリング87は、可撓性を有するゴムなどの部材により形成され、スピーカ14の支持フレーム14aの上端側に嵌着されたスピーカリング88と取付凹部81hとの間で挟持されている。
スピーカリング88は、例えば合成樹脂などの部材により環状に形成され、スピーカ14の振動板14b側の外周縁部に沿って接着などにより気密に取り付けられて、嵌着部81dの内周側へと先端側が挿入されている。また、このスピーカリング88は、外周部に、Oリング87を保持する保持凹部88aが形成されている。この保持凹部88aは、スピーカリング88をスピーカホルダ81内に挿入した状態で取付凹部81hに対向し、この取付凹部81hとの間でOリング87を圧接している。
一方、センサホルダ82は、図10および図12に示すように、スピーカホルダ81の上端部に嵌着される接触部材被取付部としての環状のセンサホルダ外周部82aの内周側に、多孔体としてのパンチング板82bを介してセンサ72を取り付けたセンサ取付部82cが形成されている。
センサホルダ外周部82aは、例えば合成樹脂などの部材により形成され、上側に、使用者の皮膚などの被処理部に接触する接触面82dが形成されているとともに、下側に、スピーカホルダ81の座面81eおよび座面部81gの段差形状に嵌合する嵌合凹部82eが形成されている。さらに、このセンサホルダ外周部82aの内周側は、パンチング板82bの外周縁部が固定される穴部82fとなっている。そして、このセンサホルダ外周部82aの外周縁部は、スピーカホルダ81の上部係合部81bの外周縁部と略面一となっている。
接触面82dは、ケース体12の上端部の傾斜形状に対応して前側が下側となるように傾斜して形成されている。
嵌合凹部82eは、センサホルダ外周部82aの下側の外周縁部に全周に亘って凹状に切り欠き形成されている。
パンチング板82bは、例えば金属などの部材により円環状に形成されており、スピーカホルダ81の上端部を介して上部キャビティ32に連通する多数の第1開口部としての微細な丸孔状の上部開口82gが規則的に穿設されている。したがって、これら上部開口82gは、使用状態で使用者の皮膚などの被処理部に対向するように形成されている。さらに、パンチング板82bの中央部には、センサ取付部82cが挿入される丸孔状の嵌着穴82hが形成されている。
センサ取付部82cは、例えば合成樹脂などの部材により円環状に形成されており、センサ72を取り付ける丸孔状の孔部82iが中央部に穿設されている。さらに、このセンサ取付部82cの外周縁部には、センサホルダ外周部82aの内周縁部へと連続した支持腕部82jが、放射状に複数形成され、これら支持腕部82j上にパンチング板82bが載置されている。
そして、本実施の形態では、センサホルダ82の上部開口82gを介して、スピーカ14の低音波による上部キャビティ32の空気の振動を出力することで、上記第1の実施の形態のスピーカ14のみを駆動させる動作モード時と同様の作用効果を奏することが可能であるとともに、センサホルダ82に設けたセンサ72により皮膚の表面状態などをセンシングすることで、被処理部の表面状態を確実にセンシング可能となるなど、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
また、ケース体12と別体で形成したスピーカホルダ81をスピーカ14の振動板14b側に、Oリング87を介して気密に接続して上部キャビティ32をスピーカホルダ81内に区画することで、ケース体12の形状や成形精度に拘らず、例えばケース体内に直接スピーカを取り付ける場合などよりも上部キャビティ32の気密性を向上でき、スピーカ14からの出力を、上部開口82gを介して確実に被処理部へと伝えることができる。
さらに、スピーカ14に取り付けたスピーカリング88の保持凹部88aとスピーカホルダ81の取付凹部81hとを互いに上下に対向させて、これらの間にOリング87を圧接するように挟持することで、上部キャビティ32の気密性を、より向上できる。
なお、上記第2の実施の形態および第3の実施の形態において、キャップ71の周縁部に第1開口部を円環状に開口させ、上記スライダ17を取り付けても良い。
また、上記各実施の形態において、キャップ16,71などに代えて、スピーカ14の音波振動により動作する任意の機能部を設けてもよい。
さらに、キャップ16,71などを設けずに、スピーカ14の音波を被処理部に作用させるだけの構成とすることもできる。
そして、上記美容マッサージ機器11の各種構造及び部品の配置などは、上記に限定されるものではない。
また、アクチュエータとしては、スピーカ14以外の構成とすることが可能である。