JP5063217B2 - 水性ポリイソシアネート組成物及びそれを含む水性塗料組成物 - Google Patents

水性ポリイソシアネート組成物及びそれを含む水性塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、水性ポリイソシアネート組成物、及び該組成物を硬化剤とした水性塗料組成物に関する。
ポリイソシアネートを硬化剤とする2液ウレタン系塗料組成物はその塗膜の耐薬品性、可とう性などが優れている。特に、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートを使用した場合、更に耐候性に優れるため、その使用は常温硬化、熱硬化性のぞれぞれの形態で、自動車、建築、家電等の分野の塗料として広く用いられている。
一方、近年、地球環境、安全、衛生などの観点から水性塗料が注目されており、建築外装から産業製品、例えば、食缶用、コイルコーティング用等の工業塗料に該水性塗料が使用されるようになってきた。ポリイソシアネートを硬化剤とした提案も多く、例えば、特許文献1、2では、疎水性ポリイソシアネートを主剤である水系ポリオールの水性化能を利用して、水分散し、水性塗料を形成している。また、特許文献3、4では、ポリイソシアネートの水分散性を向上させるために、カルボキシル基(特許文献3)あるいは、ノニオン系親水性基であるポリエチレングリコール(特許文献4)をポリイソシアネートに組み込むことを提案している。これらに使用されている原料ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数は、溶剤系2液ウレタンと同様に約3であった。
ポリイソシアネートを硬化剤とした水性塗料は媒体中の水とイソシアネート基の反応が避けられない。従って、特許文献4の実施例ではポリイソシアネートのイソシアネート基と主剤ポリオールの水酸基との当量比を1.5:1とし、イソシアネート基を過剰にして、媒体である水との反応による消費を見込んで配合している。しかし、イソシアネート基を過剰に配合し、架橋に関与するイソシアネート基量を確保しても、イソシアネート基平均数の低下による物性低下が防げない場合があった。
更に、イソシアネート基平均数は、ポリイソシアネートの水分散性を向上させるために組み込まれたカルボキシル基やノニオン基等により消費される。このようなイソシアネート基平均数の低いポリイソシアネートから得られる塗膜物性は、従来の溶剤系2液ウレタン塗料から得られる塗膜と比較して、物性低下が防げない場合があった。
上記課題を解決するために、原料ポリイソシアネートとしてイソシアネート基平均数を高めた技術が特許文献5、6に開示されている。しかし、これらを硬化剤として使用した場合、親水基として導入したポリエチレングリコール成分の影響により、塗膜硬度が不足する場合があった。
塗膜硬度を高めるため、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネートとイソホロンジイソシアネートのポリイソシアネートの一部を親水化したものの混合物が特許文献7で提案されているが、イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基の反応性が低いため、架橋性が充分でない場合があった。
優れた架橋性と高い塗膜硬度を発現するため、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを共重合させ、かつイソシアネート基平均数が高い水性ポリイソシアネートが特許文献8で提案されている。これらを硬化剤として使用した場合、塗膜硬度低下を招くポリエチレングリコール成分を使用したにもかかわらず高い塗膜硬度を達成された。しかし、これらを硬化剤として使用した場合、塗料のポットライフが短くなる場合があった。
そのため、架橋性に優れ、高い塗膜硬度を発現し、さらに、これを使用した塗料のポットライフを確保できるポリイソシアネートが切望されていた。
特開昭62−041270号公報 特開平02−105879号公報 特開平04−211418号公報 特開平05−222150号公報 特開平10−060073号公報 特開平11−100426号公報 特表2005−535775号公報 特表2006−050039号公報
本発明は、水分散性に優れ、優れた架橋性と高い塗膜硬度を発現し、かつこれを使用した塗料のポットライフを確保できる水性ポリイソシアネート組成物、及び該組成物を硬化剤とした水性塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、驚くべきことに、特定のポリイソシアネート組成物を用いることにより、水分散性に優れ、かつ優れた架橋性と高い塗膜硬度を発現し、さらにこれを使用した塗料のポットライフが確保できるという知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
1.下記構造式(1)で示される水性ポリイソシアネート組成物であって、下記条件(1)〜(5)のすべて満たし、水に溶解又は分散し得ることを特徴とする水性ポリイソシ
アネート組成物。
Am −R−(NCO)n ・・・式(1)
(1)式中、Aは、エチレンオキサイド繰り返し単位を含有するノニオン性親水基であり、Rは、脂肪族ジイソシアネート群、脂環族ジイソシネート群のそれぞれの群から少なくとも1種選ばれた合計2種以上のジイソシアネートと1種以上の水酸基平均数が3〜4であるポリオールから誘導されたポリイソシアネートにおけるイソシアネート基を除く残基であり、ポリオール成分濃度が1〜30質量%、脂肪族ジイソシアネート成分/脂環族ジイソシアネート成分=90/10〜60/40(質量比)であり、かつ、ジイソシアネートとポリオールとがアロファネート結合及び/又はウレタン結合を介して結合されている残基である。
(2)イソシアネート基平均数nが2.3〜4.0である。
(3)親水基平均数mとイソシアネート基平均数nが、m/(m+n)の値が0.02〜0.30である。
(4)イソシアネート基濃度:2〜20質量%である。
(5)25℃における粘度が5〜200Pa・sである。
2.25℃における粘度が5〜100Pa・sであることを特徴とす上記1.に記載の水性ポリイソシアネート組成物。
3.R残基のポリオール成分濃度が1〜20質量%であることを特徴とする上記1.又は2.のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
4.R残基のポリオールが数平均分子量150〜500であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
5.R残基のポリオールがポリエステルポリオールであることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
6.R残基の脂肪族ジイソシアネート成分/脂環族ジイソシネート成分が、80/20〜60/40(質量比)であることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
7.上記1.〜4.のいずれか1項に記載の水性ポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、水分散性に優れ、優れた架橋性と高い塗膜硬度を発現し、さらにこれを使用した塗料は、ポットライフが確保できる塗料組成物となり得る、という効果を奏するものである。
以下に、本発明について詳しく説明する。
一般に、水性ポリイソシアネート組成物の親水基には、イオン性親水基とノニオン性親水基がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物の親水基としては、エチレンオキサイド繰り返し単位を含有するノニオン性親水基が挙げられ、エチレンオキサイドの繰り返し単位数としては、好ましくは、5〜50個であり、さらに好ましくは、5〜30個である。
エチレンオキサイドの繰り返し単位が5個未満の場合は、水への分散性が低下する恐れがあり、50個を越えると、親水性ポリイソシアネート組成物の結晶性が高くなり、固体となる場合があるため、好ましくない。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物の親水基は、水酸基の一つが(C1 −C20アルキル)エーテル化されたポリエチレングリコールモノ(C1 −C20アルキル)エーテルが好ましい。この場合のCnのnは、アルキル基の炭素数を示し、C1 −C20アルキルは、炭素数を1〜20個有するアルキル基を示す。また、この場合のアルキル基には、n−ブチル基のような直鎖型アルキル基もi−ブチル基のような分岐アルキル基も含まれる。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物の親水基には、エチレンオキサイド以外の繰り返し単位を含有しても構わない。
本発明水性ポリイソシアネート組成物に用いる脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが好ましく、例えば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と言う。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられ、なかでも、工業的入手のしやすさからHDIが好ましい。
本発明水性ポリイソシアネート組成物に用いる脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と言う。)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。なかでも、耐候性、工業的入手の容易さからIPDIが好ましい。
本発明水性ポリイソシアネート組成物に用いるポリオールとしては、分子量500未満の低分子ポリオールと分子量500以上の高分子ポリオールが挙げられる。低分子ポリオールとしては、ジオール類、トリオール類、テトラオール類などがあり、ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルなどが挙げられ、トリオール類としては、例えば、グルセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、テトラオール類としては、例えば、ペンタエリトリトールなどが挙げられる。
この中ではトリオール類が好ましく、その中でもトリメチロールプロパンがさらに好ましい。
高分子ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステルの群から選ばれた単独又は混合物とアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル、またはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステルの群から選ばれた単独又は混合物を用い、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独又は混合物の存在下、或いは非存在下において重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
その重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合などが挙げられる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独又は混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、及び例えばε−カプロラクトンを多価アルコールに開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類、及びこれらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が挙げられる。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、
(1)例えば、ジクリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど、
(2)例えば、エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物、
(3)例えば、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
(4)例えば、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオースなどの二糖類、
(5)例えば、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類、
(6)例えば、スタキオースなどの四糖類、
などが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
ポリオール1分子が持つ統計的水酸基数(以下「水酸基平均数」という。)は2〜8であり、2〜5であることが好ましく、3〜4であることがさらに好ましい。水酸基平均数が2未満であると、本発明の構成要件である(2)イソシアネート基平均数n=2.3〜4.0の範囲が得られない場合があり、硬化性が低下する。また、8を超えると、得られたポリイソシアネートの粘度が非常に高くなる場合がある。
ポリオールの数平均分子量は、100〜1000であることが好ましく、100〜800であることがより好ましく、150〜500であることがさらに好ましい。数平均分子量が100よりも小さい場合は、水酸基平均数が小さくなるため、本発明のnの範囲が得られにくく、及び/又は形成した塗膜の可とう性が不足する場合があり、ポリオールの数平均分子量が1000を超える場合、形成した塗膜の硬度の低下を招く場合がある。
好ましいポリオールの例としては、前記の低分子量ポリオール及びポリエステルポリオールであり、さらに好ましくは、ポリエステルポリオールであり、その中でも最も好ましくは、低分子量ポリオールにε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオールである。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート群、脂環族ジイソシアネート群のそれぞれの群から選ばれた合計2種以上のジイソシアネートと1種以上のポリオールから誘導される。
また、本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基からウレタン基を形成するウレタン化反応、及び場合によりウレタン基とイソシアネート基から形成されるアロファネート基を生成するアロファネート化反応、及びイソシアネート基3個から構成されるイソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応により得られる。本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、ウレタン基またはアロファネート基とイソシアヌレート基を共に有することが好ましく、アロファネート基とイソシヌレート基を共に有することがより好ましい。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート成分と脂環族ジイソシアネート成分を共に有し、脂肪族ジイソシアネート成分と脂環族ジイソシアネート成分の質量比率は90:10〜60:40であることが好ましく、より好ましくは80:20〜60:40の範囲である。脂肪族ジイソシアネート成分が90を越えると、これにより得られる塗膜の硬度が得られにくくなる場合があり、脂環族ジイソシアネート成分が40を越えると、ポリイソシアネート組成物の粘度が高くなる場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物のポリオール成分濃度は1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%の範囲である。1質量%未満であると、イソシアネート基平均数が低下しやすく、30質量%を超えると、イソシアネート基濃度が低下しやすい。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基平均数nは2.3〜4.0であり、下限について、好ましくは2.5、より好ましくは2.6、さらに好ましくは2.8であり、また、上限について好ましくは3.9、より好ましくは3.8である。2.3未満の場合は、これを用いて得られる水性ポリイソシアネート組成物の硬化性が低下する場合があり、4.0を超えると、これを使用した塗料のポットライフが短くなる場合がある。
イソシアネート基平均数は以下の式(2)により求められる。
Figure 0005063217
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、親水基平均数mと上記のイソシアネート基平均数nとの間の、m/(m+n)の値が0.02〜0.30であり、好ましくは0.03〜0.20であり、より好ましくは0.04〜0.20であり、最も好ましくは0.05〜0.10の範囲である。0.02未満の場合には、水分散性が不足する場合があり、0.30を超える場合には、塗膜硬度が低下する場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基濃度は2〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15質量%の範囲である。2質量%未満の場合には、形成された塗膜中のウレタン結合濃度が低下しやすく、可とう性が低下する場合があり、20質量%を越える場合には、イソシアネート基平均数の増加がし難く、硬化性が劣る場合がある。
本発明水性ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は5〜200Pa・sであり、好ましくは5〜100Pa・sであり、より好ましくは、5〜50Pa・sの範囲である。5Pa・s未満の場合には、イソシアネート基平均数が低下する場合があり、200Pa・sを超える場合には、得られる塗膜外観が低下する場合がある。
本発明水性ポリイソシアネート組成物の数平均分子量は700〜4000であり、好ましくは800〜3000、より好ましくは800〜2000の範囲である。700未満ではイソシアネート基平均数が低下しやすく、4000を超えるとイソシアネート基濃度が低下しやすい。
特定のイソシアネート基平均数を有し、かつ脂肪族ジイソシアネート骨格と脂環族ジイソシアネート骨格を特定割合で有するポリイソシアネートを使用した本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、驚くべきことに、水分散性に優れ、かつ優れた架橋性と高い塗膜硬度を発現し、さらに塗料として使用した場合に、充分なポットライフを有している。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物の製造工程は、前駆体製造工程と親水基導入工程からなる。
前駆体は、例えば、以下の工程により製造する。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物前駆体は、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートとポリオールを反応させ得られる。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物の前駆体は、ウレタン基またはアロファネート基とイソシアヌレート基を共に有することが好ましく、アロファネート基とイソシヌレート基を共に有することがより好ましい。製造方法としては、イソシアヌレート化反応後、前記ポリオールを添加し、ウレタン化反応を行うこともできるが、好ましくはウレタン化反応後、イソシアヌレート化反応を行うことが、イソシアネート基平均数を高めるために好ましい。イソシアヌレート化反応により、その前に形成されたウレタン基の一部またはすべてはアロファネート基となる。イソシアヌレート化反応を行わず、ウレタン化反応あるいはそれに続くアロファネート化反応を行った場合もある程度の性能を得ることができるものの、得られるポリイソシネート組成物のイソシアネート基平均数、これを硬化剤とした塗膜で高い塗膜硬度を得ることが難しい場合がある。
前記のジイソシアネートとポリオールを反応させる場合のジイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基の当量比は、イソシアネート基/水酸基=5〜50であり、より好ましくは5〜20である。5未満であると、得られる水性ポリイソシアネート組成物前駆体の粘度が高くなりやすく、50を超えると、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基平均数の増加が難しい場合がある。反応温度は、50〜200℃、より好ましくは50〜150℃の範囲である。50℃未満では、反応が進み難く、200℃を超えると製品の着色など好ましくない副反応が生じる場合がある。
ポリオールの水酸基の1部またはすべてが反応した後又は反応と同時に、イソシアヌレート化反応を行う。このイソシアヌレート化反応を行わない場合には、これにより得られたポリイソシアネートを使用して得られる塗膜の塗膜硬度が低下する場合がある。イソシアヌレート化反応の反応温度は、50〜200℃、より好ましくは50〜150℃の範囲である。50℃未満では、反応が進み難く、200℃を超えると製品の直色など好ましくない副反応が生じる場合がある。
この際に使用するイソシアヌレート化触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましく、(1)例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(2)例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば、錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩、(4)例えば、ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)例えばトリブチルホスフィン等の燐系化合物、などが挙げられる。
この中でも4級アンモニウムの有機弱酸塩が好ましく、さらにテトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩がさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応は、用いたイソシアヌレート化触媒を失活させるこにより、停止する。その失活方法としては、例えば、リン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質による中和、熱分解、化学分解等が挙げられる。
本発明水性ポリイソシアネート組成物前駆体の収率は10〜70質量%の範囲から選択され、好ましくは、15〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%の範囲である。高い収率で得られる該前駆体の粘度は高くなる。
前駆体の収率は、以下の式(3)により求められる。
Figure 0005063217
反応終了後、未反応ジイソシアネートは、薄蒸留缶、抽出などにより、除去される。該前駆体中のジイソシアネート濃度としては3質量%以下、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。未反応ジイソシアネートが3質量%を超えると、これを用いて得られる水性ポリイソシアネート組成物の硬化性が低下する場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物前駆体のイソシアネート基平均数nは2.5〜5.0であり、下限について、好ましくは2.8、より好ましくは、3.0、さらに好ましくは3.2であり、また、上限について、好ましくは4.8、更に好ましくは4.6である。前記値が2.5未満の場合には、これを用いて得られる水性ポリイソシアネート組成物の硬化性が低下する場合があり、5.0を超えると、これを使用した塗料のポットライフが短くなる場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物前駆体のイソシアネート基濃度は、3〜22質量%である。3質量%未満の場合には、形成された塗膜中のウレタン結合濃度が低下しやすく、可とう性が低下する場合があり、22質量%を超える場合には、イソシアネート基平均数が増加し難く、これを用いて得られる水性ポリイソシアネート組成物の硬化性が劣る場合がある。
また、本発明の水性ポリイソシアネート組成物前駆体の数平均分子量は600〜1200であり、好ましくは600〜1000の範囲である。600未満ではイソシアネート基平均数が低下しやすく、1200を超えると水性ポリイソシアネート組成物前駆体の粘度が高くなりすぎる場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物前駆体の25℃における粘度は5〜150Pa・sであり、10〜120であることが好ましく、10〜100Pa・sであることがより好ましい。5Pa・s未満の場合は、結果的にイソシアネート基平均数が低下しやすく、150Pa・sを超える場合は、作業性が低下する場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物前駆体のポリオール成分濃度は1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%であり、さらに好ましくは1〜20質量%の範囲である。1質量%未満であると、イソシアネート基平均数が低下しやすく、35質量%を超えると、イソシアネート基濃度が低下しやすい。
以下、親水基導入工程について説明する。
親水基をポリイソシアネートに導入するために、前記で例示したポリエチレンオキサイドモノ(C1 −C20アルキル)エーテルを用いることができる。
エチレンオキサイドの繰り返し単位としては、好ましくは、5〜50個であり、さらに好ましくは、5〜30個である。
エチレンオキサイドの繰り返し単位が5個未満の場合は、水への分散性が低下する場合があり、50個を越えると、親水性ポリイソシアネート組成物の結晶性が高くなり、固体となる場合があるため、好ましくない。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物の親水基には、エチレンオキサイド以外の繰り返し単位を含有していても構わない。
また、水性ポリイソシアネート組成物前駆体のイソシアネート基のモル数をX、ポリエチレンオキサイドモノ(C1 −C20アルキル)エーテルのモル数をYとした場合のY/Xの値は、0.02〜0.30であり、好ましくは0.03〜0.20であり、より好ましくは0.04〜0.20、最も好ましくは0.05〜0.10の範囲である。0.02未満の場合には、水分散性が不足する場合があり、0.30を超える場合には、塗膜硬度が低下する場合がある。
上記付加反応は、一般に−20〜150℃で行うことが出来るが、好ましくは30〜100℃である。150℃を越える温度では副反応を起こす可能性があり、−20℃未満になると反応速度が小さくなり不利である。
また、この反応には、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、及び、3級アミン系化合物、ナトリウムなどのアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
更に水分散性の向上などの目的に応じて、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤を添加することができる。具体的な前記界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル等のノニオン系、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系、アルキルアミン塩、アルキルベタイン等のカチオン系、カルボン酸アミン塩、スルホン酸アミン塩、硫酸エステル塩等の界面活性剤が挙げられる。
上記前駆体の製造前、製造中、製造後のいずれの段階においても上記に例示したポリエチレンオキサイドモノ(C1 −C20アルキル)エーテルを付加することにより、本発明の水性ポリイソシアネート組成物が得られるが、前駆体の製造後にポリエチレンオキサイドモノ(C1 −C20アルキル)エーテルを付加させることが好ましい。
得られた水性ポリイソシアネート組成物に親水基が付加されていないポリイソシアネートを混合することもできる。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物には、溶剤を含有させることができる。
上記の具体的な有機溶剤の例としては、例えば、1−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、iso−ヘキサン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ、ミネラルスピリットなどを挙げることができ、2種以上を併用できる。有機溶剤としては、水への溶解度が5質量%以上のものが好ましく、水への溶解度が5質量%未満の有機溶剤を用いると、水性ポリイソシアネート組成物の水分散性が低下する場合がある。また、沸点が100℃以上のものが好ましく、沸点が100℃未満の有機溶剤を用いると、塗膜形成時に有機溶剤の揮発が速くなり、塗膜表面外観に影響を及ぼす場合がある。溶剤の使用量は、水性ポリイソシアネート組成物の0〜20質量%であり、20質量%を超えると、塗料として使用する場合に、揮発する溶剤が多くなり、環境上好ましくない。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、ポリオールとともに水性塗料の主成分を構成する。水性ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基はこのポリオールの水酸基と反応して、架橋塗膜を形成することができる。
本発明の水性塗料組成物に使用するポリオールとしては、通常、水性塗料用に用いるものであれば特に制限なく使用可能である。具体例としては、前記の高分子ポリオール以外に、エポキシポリオール、フッ素ポリオールが挙げられる。
エポキシポリオールとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂をアミン変性、または、アミノアルコール変性したものが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、フッ素化エチレンと共重合可能なモノマーからなる樹脂が挙げられる。
好ましいポリオールは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールである。
前記のポリオールは、水に乳化、分散あるいは溶解することが必須となる。そのために、ポリオールに含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和することができる。
カルボキシル基、スルホン基などを中和するための化合物としては、有機アミン、無機塩基が挙げられる。有機アミンとしては、例えば、アンモニア、水溶性アミノ化合物であり、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。無機塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いることができる。好ましくは、第3級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどが好ましい。
前記ポリオールの樹脂分当たりの水酸基価は1〜300mgKOH/gが好ましく、下限についてより好ましくは10mgKOH/g、さらに好ましくは20mgKOH/gである。また、上限についてより好ましくは200mgKOH/g、さらに好ましくは150mgKOH/gである。酸価は1〜100mgKOH/gが好ましく、より好ましくは、2〜50mgKOH/g、さらに好ましくは3〜30mgKOH/gである。
ポリオールの水酸基価が1mgKOH/g未満の場合、イソシアネート基との反応による架橋性が劣る場合があり、水酸基価が300mgKOH/gを超えると、逆に架橋密度が増大し、塗膜の伸び等の物性が低下する場合がある。また、酸価が1mgKOH/g未満の場合、水分散性が低下する場合があり、100mgKOH/gを超える場合、得られた塗膜の耐水性等の物性が低下する場合がある。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物と上記ポリオールの配合比率は、水性ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基とポリオールの水酸基の当量比が0.1〜3.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜2.5、さらに好ましくは0.5〜2.0の範囲であり、必要に応じて選択される。
必要に応じて、本発明の塗料組成物にメラミン系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。
上記のメラミン系硬化剤としては、例えば、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、イミノ型メラミン樹脂、メチロール型メラミン樹脂などが挙げられる。完全アルキルエーテル化メラミン樹脂はメチロール基の全てがアルキルエーテル化されており、アルキル基の種類としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの基であり、2種以上を用いても良い。好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルなどの基である。イミノ型メラミン樹脂は、イミノ基を有するメラミン樹脂であり、アルキルエーテル基、メチロール基を有してもよい。また、メチロール型メラミン樹脂はメチロール基を有するメラミン樹脂であり、アルキルエーテル基、アミノ基を有していてもよい。
メラミン系硬化剤を用いる場合、本発明の水性ポリイソシアネート組成物Cとメラミン系硬化剤Dの混合質量比率「C/(C+D)」は、0.01〜0.99であり、好ましくは0.17〜0.83の範囲である。前記比率が0.01未満であると塗膜の可とう性が低下する場合があり、0.99を越えると、メラミン系硬化剤を添加する目的である例えば塗膜硬度向上、を達成することが難しい。
本発明は硬化促進剤として、酸性化合物、塩基性化合物を含有させることができる。特にメラミン系硬化剤を併用する場合は酸性化合物の添加が有効である。
前記酸性化合物の具体例としては、例えば、カルボン酸類として例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、デカンジカルボン酸などが挙げられ、スルホン酸類としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などが挙げられ、リン酸エステル類としては、例えば、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジラウリルホスフェート、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル、例えば、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジラウリルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノオクチルホスファイト、モノラウリルホスファイトなどが挙げられる。
これらの酸性化合物はアミン化合物と反応させ、貯蔵安定性を向上させることができる。そのアミン化合物としては、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、1−ブチルアミン、ジ−1−ブチルアミンなどのアルキルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが挙げられる。
塩基性化合物の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロオクタンなどのアミン化合物、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸亜鉛金属カルボン酸塩などが挙げられる。
硬化促進剤の添加量は、配合される塗料樹脂分に対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
また、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、例えば、アルミ等の金属粉顔料、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機顔料、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、溶剤等を添加してもよい。
通常は、水性ポリイソシアネート組成物、ポリオール、添加剤等を混合し、水を主成分とする媒体を添加し、塗装方法に応じた塗料粘度に調整することにより水性塗料組成物となる。
このように調製した水性塗料組成物の被塗装材質としては、金属、プラスチック、無機等が挙げられる。
また、用途としては、上中塗り、下塗り用として、建築外装塗料、バンパー等のプラスチック部品用塗料、自動車補修用塗料、プレコートメタル等の有機被覆用塗料等として有用である。
塗装方法としては、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装等が挙げられる。
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、塗料以外に、インキ、接着剤、繊維・フィルム・セラミック等の無機材料・紙・木材・樹脂等の改質剤または表面処理剤としても有用である。
以下に、実施例などに基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものでない。
(数平均分子量の測定)
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下「GPC」という。)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置 :東ソー(株)HLC−8120GPC
カラム :東ソー(株)TSKgel、superH1000×1本
TSKgel、superH2000×1本
TSKgel、superH3000×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法 :示差屈折計
(未反応ジシソシアネートモノマー濃度)
前記GPC測定で得られる未反応ジイソシアネート相当の分子量(例えば、HDIであれば168)のピーク面積%をその質量濃度として表した。
(ウレタン結合量、アロファネート結合量、イソシアヌレート結合量の測定)
ウレタン結合量、アロファネート結合量、イソシアヌレート結合量は、水性ポリイソシアネート組成物の 1H−NMR測定で求めた。
装置:日本電子社製;JNM−LA400
溶剤:重クロロホルム
(粘度の測定)
E型粘度計(東機産業株式会社製;RE−80U)を用いて、25℃で測定した。
(水性ポリイソシアネート組成物の水分散性)
水性ポリイソシアネート組成物と純水を質量比2:10で混合し、その後の状態を肉眼で観察した。乳化、分散あるいは溶解状態で沈降物のない状態を○とし、沈降物がある場合を×とした。結果を表2に示した。
(ゲル分率)
硬化塗膜を、アセトン中に20℃、24時間浸漬後、未溶解部質量の浸漬前質量に対する割合を計算し、60質量%未満の場合を×、60質量%以上の場合を〇で表した。結果を表3に示した。
(塗膜硬度)
ケーニッヒ硬度計(BYK Garder社のPendulum hardness tester(商品名))を用いて、測定温度20℃、塗膜膜厚40μmで測定した。塗膜硬度が40以上を○、40未満を×とした。結果を表3に示した。
(ポットライフ)
ジメチルエタノールアミンでカルボン酸/アミンのモル比1.0で中和された水溶性ポリエステルポリオール(ニュープレックス社の商品名「SETAL6306」、樹脂分濃度60質量%、水酸基価89mgKOH/樹脂g、酸価42mgKOH/樹脂g)と実施例1〜5、比較例1、2で得られた水性ポリイソシアネート組成物を用いて、イソシアネート基/水酸基の当量比1.0で混合した。更に蒸留水を添加し塗料粘度が、フォードカップNo.4で30秒になるように調整した。上記塗料組成物の粘度を23℃で放置した場合に、2hrの粘度が40秒以下のものを○とし、40秒を越えた場合に×とした。
(製造例1)
(水性ポリイソシアネート組成物前駆体の製造)
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI;700部、IPDI;300部、3価アルコールであるポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール「プラクセル303」(ダイセル化学社製の商品名、分子量300)32部を仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃、1時間保持しウレタン化を行った。その後反応器内温度を80℃に保持し、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が32%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDI、IPDIを薄膜蒸留装置により除去した。
得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は19Pa・s、イソシアネート基基含有量は19.0質量%、ジイソシアネートモノマー濃度は0.3質量%、数平均分子量は900、イソシアネート基平均数は4.1、HDI成分/IPDI成分の質量比は77/23、ポリオール成分濃度は9.7質量%であった。アロファネート基、イソシアヌレート基の存在を確認した。結果は表1に示した。
(製造例2〜3)
表1に示す以外は製造例1と同様に行った。得られた水性ポリイソシアネート組成物前駆体の物性を表1に示す。
(比較製造例1)
表1に示す以外は製造例1と同様に行った。得られた水性ポリイソシアネート組成物前駆体の物性を表1に示す。
(比較製造例2)
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI;600部を仕込み、60℃で2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、イソシアヌレート化反応を行い、6時間後、収率が40%になった時点で、リン酸を添加して反応を停止した。
その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去した。
得られた水性ポリイソシアネート組成物前駆体の物性を表1に示す。
[実施例1]
(水性ポリイソシアネート組成物の製造)
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られた水性ポリイソシアネート組成物前駆体を100部、分子量550のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂の商品名「ユニオックスM550」)25部(水性ポリイソシアネート組成物前駆体の全イソシアネート基の10モル%と反応する)を仕込み、80℃で6時間保持した。得られた水性ポリイソシアネート組成物の物性及び水分散性評価結果を表2に示す。
[実施例2〜5]
(水性ポリイソシアネート組成物の製造)
表2に示す以外は実施例1と同様に行った。得られた水性ポリイソシアネート組成物の物性を表2に示す。
[比較例1]
比較製造例1で得られた水性ポリイソシアネート組成物前駆体を用い、表2に示したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
比較製造例2で得られた水性ポリイソシアネート組成物前駆体を用い、表2に示したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
[実施例6〜10]
(水性塗料組成物の調整)
ジメチルエタノールアミンでカルボン酸/アミンのモル比1.0で中和された水分散性ポリエステルポリオール(ニュープレックス社の商品名「SETAL6306」、樹脂分濃度60質量%、水酸基価89mgKOH/樹脂g、酸価42mgKOH/樹脂g)と実施例1〜5で得られた水性ポリイソシアネート組成物を用いて、イソシアネート基/水酸基の当量比1.0で混合した。更に蒸留水を添加し塗料粘度が、フォードカップNo.4で30秒になるように調整した。この塗料をアプリケーター塗装し、80℃、30分で硬化させた。塗膜評価結果を表3に示す。
[比較例3、4]
比較例1、2で得られた水性ポリイソシアネート組成物を用いた以外は、実施例6と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 0005063217
Figure 0005063217
Figure 0005063217
本発明の水性ポリイソシアネート組成物は、水性塗料として、自動車、建築、家電等の分野の塗料として広く用いられる。

Claims (7)

  1. 下記構造式(1)で示される水性ポリイソシアネート組成物であって、下記条件(1)〜(5)のすべて満たし、水に溶解又は分散し得ることを特徴とする水性ポリイソシアネート組成物。
    Am −R−(NCO)n ・・・式(1)
    (1)式中、Aは、エチレンオキサイド繰り返し単位を含有するノニオン性親水基であり、Rは、脂肪族ジイソシアネート群、脂環族ジイソシネート群のそれぞれの群から少なくとも1種選ばれた合計2種以上のジイソシアネートと1種以上の水酸基平均数が3〜4であるポリオールから誘導されたポリイソシアネートにおけるイソシアネート基を除く残基であり、ポリオール成分濃度が1〜30質量%、脂肪族ジイソシアネート成分/脂環族ジイソシアネート成分=90/10〜60/40(質量比)であり、かつ、ジイソシアネートとポリオールとがアロファネート結合及び/又はウレタン結合を介して結合されている残基である。
    (2)イソシアネート基平均数nが2.3〜4.0である。
    (3)親水基平均数mとイソシアネート基平均数nが、m/(m+n)の値が0.02〜0.30である。
    (4)イソシアネート基濃度:2〜20質量%である。
    (5)25℃における粘度が5〜200Pa・sである。
  2. 25℃における粘度が5〜100Pa・sであることを特徴とする請求項1記載の水性ポリイソシアネート組成物。
  3. R残基のポリオール成分濃度が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. R残基のポリオールが数平均分子量150〜500であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
  5. R残基のポリオールがポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
  6. R残基の脂肪族ジイソシアネート成分/脂環族ジイソシネート成分が、80/20〜60/40(質量比)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性ポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。
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