JP5062749B2 - 破断開口容易な容器およびその製造方法 - Google Patents

破断開口容易な容器およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成された、所謂ツイストオフ容器またはスナップオフ容器と呼ばれる破断開口容易な容器に関し、特に、容器本体と封鎖体との境界にレーザーの照射により弱化部が形成されて、容器本体の底部に開口された充填口から内容物が充填されるようなポリエステル樹脂製の破断開口容易な容器、および、そのような容器の製造方法に関する。
内容物が充填・密封される合成樹脂製の容器について、容器の底部に開口された充填口から内容物を充填した後、該充填口を密封するということは従来から広く行なわれており、例えば、下記の特許文献1には、パリソンからブロー成形される合成樹脂製の容器について、また、下記の特許文献2には、ツイストオフ口部を備えた合成樹脂製の少容量容器(チューブ容器)について、それぞれ容器の底部に開口された充填口に関する技術が開示されている。
一方、所謂ツイストオフ(或いはスナップオフ)による破断開口容易な容器、即ち、容器本体と封鎖体とが破断容易な弱化部を介して一体的に形成されて、封鎖体を摘んで捻る(或いは封鎖体を押し倒す)ことで、弱化部を破断して容器本体から封鎖体を切り離すことにより、容器本体の開口部を開口させるような合成樹脂製の容器について、ポリエステル樹脂からなる容器の容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射することで破断容易な弱化部を形成する、ということが本出願人の出願に係る下記の特許文献3により従来公知となっている。
特公昭62−30019号公報 特開2002−321750号公報 特許第3929065号公報
ところで、破断開口容易な容器をポリエステル樹脂製にした場合、オレフィン樹脂の場合と比べて、耐内容性に優れているものの、樹脂にねばりがあって容易に引き裂き難く、封鎖体を摘んで弱化部を破断しようとしても、糸を引くように容易に破断できないことになるが、上記の特許文献3に開示されたものでは、容器本体と封鎖体との境界にレーザーの照射により弱化部を形成していることで、ポリエステル樹脂製であっても、弱化部(被破断部)での破断が容易なものとなって、容器の開封を容易に行なうことができる。
そのような特許文献3により従来公知の破断開口容易な容器では、容器内への内容物の充填・密封について、文献中には詳しく記載していないが、パリソンから容器を成形する際に、例えば、先ず、頸部の下部から下方の容器本体の部分を成形してから、頸部の上端開口部から内容物を充填した後で、頸部の上部から上方を封鎖体に成形することにより、内容物が充填された容器本体を封鎖体によって密封した状態としている。しかしながら、そのような方法では、容器本体と封鎖体とを別々に成形しなければならず、一方、容器の成形工程と内容物の充填・密封工程とが一体不可分となることで、容器の製造と内容物の充填・密封とを分けて行なうことができない。
この点について、ポリエステル樹脂製の破断開口容易な容器についても、上記の特許文献1,2に開示されているように、容器本体の底部に充填口を設けることにより、先ず、容器本体と封鎖体とを同時に成形した後で、容器本体の底部に開口させた充填口により内容物を充填・密封するということが考えられるが、上記の特許文献1に記載されたような技術は、ヒートシールし易いオレフィン樹脂からなるチューブ容器に関するもので、開口端同士を合掌させてヒートシールするものであるため、自立性を必要とする容器には転用することができない。
一方、上記の特許文献2に記載されたような技術については、自立性のある容器に関するものではあるが、容器の底部を自立性に適した構造とするために、先ず、充填口となる部分を予熱軟化して平坦化してから、錐状加熱針により充填口をラッパ状に押し広げて、充填ノズルにより充填口から内容物を充填した後で、加熱した成形型で充填口を先すぼみとし、この先すぼみの充填口を加熱しながら圧潰してシールしてから、最後に冷却型でさらに圧潰して急冷する、というように多くの加熱工程を必要とするため、処理時間がどうしても長くなると共に、ポリエステル樹脂製の容器に適用した場合には、多くの加熱工程によりポリエステル樹脂が白化を起こす虞が有って、白化した部分により異物が混入したものと勘違いされるような問題を生じることとなる。
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、レーザーの照射により弱化部が形成されるポリエステル樹脂製の破断開口容易な容器について、内容物を充填・密封するための充填口を、樹脂を白化させることなく、容器が安定して自立できるように、容器本体の底部に形成するということを課題とするものである。
本発明は、上記のような課題を解決するために、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の外面形状が凹設された金型を使用したブロー成形によりパリソンから同時に一体成形され、容器本体と封鎖体との境界に、破断容易な弱化部として、レーザーの照射により溝とその周辺で容器内面にまで達する非結晶化部が形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器において、周辺部分が接地面となる容器本体の底部で、内容物を充填するための充填口が、接地面よりも容器内方に凹んだ底部の中央部分に形成され、該充填口の先端面が、接地面と略平行な平面に形成され、該充填口の先端面にシート状の蓋板が貼着されて、容器を正立させた状態で、充填口の先端面に貼着された蓋板が接地しないようになっていることを特徴とするものである。
上記のような破断開口容易な容器を製造する場合に、円筒形パリソンの内部にエアー吹き込み用のブローピンを配置し、容器本体と封鎖体の外面形状が凹設された金型にパリソンとブローピンを挟んでブローピンからエアーを吹き込むことで、パリソンを容器の形状に成形して、容器本体の底部でブローピンの周りを剪断することにより、先端面が底部の接地面と略平行な平面となるように充填口を開口してから、金型から取り出した容器を封鎖体の側を下にした倒立状態でホルダー内に収容して、充填口から内容物を容器内に充填し、充填口の先端面にシート状の蓋板を貼着することで、容器の充填・密封を行なった後、ホルダーから取り出した容器を封鎖体の側を上にした正立状態として、容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射して弱化部を形成する、という方法が適用できる。
また、円筒形パリソンの内部にエアー吹き込み用のブローピンを配置し、容器本体と封鎖体の外面形状が凹設された金型にパリソンとブローピンを挟んでブローピンからエアーを吹き込むことで、パリソンを容器の形状に成形して、容器本体の底部でブローピンの周りを剪断することにより、先端面が底部の接地面と略平行な平面となるように充填口を開口してから、金型から取り出した容器を封鎖体の側を上にした正立状態として、容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射して弱化部を形成した後、封鎖体を覆うようなキャップを容器本体に冠着し、キャップが下となるように容器を倒立状態として、充填口から内容物を容器内に充填し、充填口の先端面にシート状の蓋板を貼着することで、容器の充填・密封を行なう、という方法も適用できる。
さらに、上記のような破断開口容易な容器の製造方法において、容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射して弱化部を形成する際には、レーザーの照射に対して相対的に容器を6回転以上回転させている間に、1.41〜2.02J/mmのエネルギー密度でレーザーを照射することにより、弱化部となる溝を形成し、且つ、この溝とその周辺の部分で、樹脂の密度を変化させることなく極限粘度を低下させると共に、当該部分での極限粘度の低下量の最大値と最小値の比が1.5以下となるようにするのが好ましい。
上記のような本発明の破断開口容易な容器によれば、ポリエステル樹脂製の容器で、容器本体と封鎖体との境界に形成される破断容易な弱化部として、レーザーの照射により溝とその周辺で容器内面にまで達する非結晶化部を形成していることで、容器を開封する際に弱化部を容易に破断することができる。また、シート状の蓋板の貼着により充填口を密封していることで、密封時に充填口を変形させるための多くの加熱工程によりポリエステル樹脂を白化させるようなことはない。さらに、容器を正立させた状態で、充填口の先端面に貼着された蓋板が接地しないことから、容器を安定的に自立させることができる。
レーザーの照射により弱化部が形成されるポリエステル樹脂製の破断開口容易な容器について、内容物を充填・密封するための充填口を、樹脂を白化させることなく、容器が安定して自立できるように、容器本体の底部に形成するという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の外面形状が凹設された金型を使用したブロー成形によりパリソンから同時に一体成形され、容器本体と封鎖体との境界に、破断容易な弱化部として、レーザーの照射により溝とその周辺で容器内面にまで達する非結晶化部が形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器において、周辺部分が接地面となる容器本体の底部で、内容物を充填するための充填口を、接地面よりも容器内方に凹んだ底部の中央部分に形成し、該充填口の先端面を、接地面と略平行な平面に形成し、該充填口の先端面にシート状の蓋板を貼着して、容器を正立させた状態で、充填口の先端面に貼着された蓋板が接地しないようにする、ということで実現した。
上記のようなポリエステル樹脂からなる本発明の破断開口容易な容器の実施例について以下に説明する。なお、以下の実施例に示す容器の材料となるポリエステル樹脂については、ポリエチレンテレフタレートにポリエチレンナフタレートを12.5重量%以上の割合で混合させた樹脂であって、果汁飲料などpH4.0の内容物の低温加熱殺菌(例えば85℃の温度に30分以上)にも対応できる耐熱性を有するものである。
図1(A),(B)は、本発明の破断開口容易な容器の一実施例を示すものである。本実施例(実施例1)の容器1では、容器本体2と封鎖体3とが一体的に形成されて、容器本体2と封鎖体3との境界に破断容易な弱化部4が形成されている。容器本体2と封鎖体3とは、両者の外面形状が凹設された金型を使用したブロー成形(ダイレクトブロー成形)によりパリソンから同時に一体成形されたものであり、また、弱化部4は、レーザー銃からのレーザー(炭酸ガスレーザー等)の照射により形成されたものである。
本実施例の容器1の容器本体2では、底部21から上方に楕円筒状の胴部22が形成され、胴部22の上方には緩やかな傾斜の肩部23が形成され、肩部23の中央から上方に突出するように円筒状の頸部24が形成され、頸部24から上方に段部を介して円錐台形の口部25が形成されている。
また、容器本体2の胴部22の上端(胴部22と肩部23の間)には、キャップを係合するための凹溝状の係合部26が全周にわたって環状に形成されており、この係合部26によって、図2に示すように、封鎖体3(および容器本体2の胴部22よりも上方)の部分を覆うようなキャップ5が、スナップ係合によって着脱自在な状態で、容器本体2に対して冠着されることとなる。
容器1の封鎖体3では、容器本体2の開口部を封鎖する中空の釣鐘形部31と、容器を開封する際の摘み部分となる平板部32とが、パリソンの直径とほぼ同じ幅の平板部32が釣鐘形部31を上方から跨ぐように一体的に形成されている。この釣鐘形部31の下端は、平板部32の下端よりも少し下方に位置している。
そのような容器本体2と封鎖体3とが一体的に形成された容器1に対して、容器本体2と封鎖体3との境界に、即ち、容器本体2の口部25の平坦な水平面に形成された上端部分で、封鎖体3の釣鐘形部31の下端と繋がる箇所に、破断容易な弱化部4が、上方から見て円環状となるように形成されている。この弱化部4は、レーザーの照射により溝とその周辺で容器内面にまで達する非結晶化部が形成されたものである。
上記のように容器本体2と封鎖体3とが弱化部4を介して一体的に形成されたポリエステル樹脂製容器1では、封鎖体3の平板部32を指先で摘んで捻ったり、封鎖体3の平板部32を押し倒したりすることで、容器本体2と封鎖体3とを連結する弱化部4が破断され、それによって、容器本体2から封鎖体3が切り離されることで、封鎖体3の釣鐘形部31によって閉鎖されていた容器本体2の口部25が開口されることとなる。
ところで、上記のような本実施例の破断開口容易な容器1では、容器内に内容物を充填・密封するための充填口6が、容器本体2の底部21に形成されている。すなわち、図3に示すように、容器本体2の底部21は、周辺部分が接地面21aとなるように、中央に向かって容器内方に傾斜する状態で凹んでいて、内容物を充填するための充填口6は、底部2で接地面21aよりも容器内方(上方)に凹んだ中央部分に形成されている。
この充填口6の先端面(下端面)は、底部2の接地面21aと略平行な平面に形成されており、容器内に内容物が充填された状態で、充填口6の先端面には、ヒートシール法などでの接着によりシート状の蓋板7が貼着されていて、このシート状の蓋板7により充填口6は密封されている。充填口6の先端面に貼着されたシート状の蓋板7は、容器1を正立させた状態で、接地しない(底部21の接地面21aよりも上方に位置する)ようになっており、それによって、容器1は、底部2の接地面21aで安定的に正立できるようになっている。
なお、シート状の蓋板7それ自体については、カップ容器の蓋体などで従来公知(例えば、特公昭61−12801号公報等参照)のものと同様のものであって、本実施例の容器1では、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリアミド樹脂の基材にアルミニウム箔,エチレンビニルアルコール共重合体樹脂,環状ポリオレフィン樹脂,液晶ポリマー樹脂,ポリグルタミン酸樹脂,MXD6ポリアミド樹脂,透明ポリアミド樹脂等から選択されたバリア層を積層し、該バリア層を熱可塑性シーラント樹脂で覆った三層構造のシート状の蓋板7を使用しており、熱可塑性シーラント樹脂層を接着面として、ヒートシールにより充填口6の先端面(下端面)に貼着している。
図4は、本発明の破断開口容易な容器の他の実施例を示すものである。なお、本実施例(実施例2)の容器1は、先の実施例(実施例1)と比べて、容器本体2の外観形状とキャップ5の冠着構造が異なるのみで、その他の点では特に相違するものではない。
すなわち、容器本体2の外観形状について、先の実施例(実施例1)では、底部21から上方に形成される胴部22が楕円筒状であり、胴部22の上方に形成される肩部23が緩やかな傾斜面であるのに対して、本実施例(実施例2)では、図4に示すように、底部21から上方に形成される胴部22が円筒状であり、胴部22の上方に形成される肩部23がドーム状の曲面となっている。
また、キャップ5の冠着構造について、先の本実施例(実施例1)では、容器本体2の胴部22の上端に形成された凹溝状の係合部26により、キャップ5はスナップ係合で容器本体2に冠着されるのに対して、本実施例(実施例2)では、容器本体2の頸部24の外周面に形成されたネジ部27により、キャップ5は螺合で容器本体2に冠着される。
上記の各実施例に示したような破断開口容易な容器の製造方法について以下に説明する。なお、図示したものは実施例2に示した容器についてのものであるが、実施例1に示した容器についても同様の方法で製造されるものである。
まず、製造方法の一例について説明すると、図示していないが、円筒形パリソンの内部にエアー吹き込み用のブローピンを配置し、容器本体と封鎖体の外面形状が凹設された金型にパリソンとブローピンを挟んでブローピンからエアーを吹き込むことで、パリソンを容器の形状に成形して、容器本体の底部でブローピンの周りを剪断(ピンチオフ)することにより、先端面が底部の接地面と略平行な平面となるように充填口を開口してから、容器を金型から取り出す。
そして、金型から取り出した容器を、図5(A)に示すように、封鎖体3の側を下にした倒立状態でホルダー8内に収容して、充填口6から内容物を容器内に充填してから、図5(B)に示すように、充填口6の先端面にシート状の蓋板7を貼着することで、容器の充填・密封を行なった後、図5(C)に示すように、ホルダー8から取り出した容器を封鎖体3の側を上にした正立状態として、容器本体2と封鎖体3との境界にレーザー銃9からレーザーを照射して弱化部4を形成してから、図5(D)に示すように、容器本体2に螺合によってキャップ5を着脱自在に冠着する。
さらに、製造方法の他の例について説明すると、上記の製造方法と同様にパリソンからブロー成形して金型から取り出した容器を、図6(A)に示すように、容器を封鎖体3の側を上にした正立状態として、容器本体2と封鎖体3との境界にレーザー銃9からレーザーを照射して弱化部4を形成してから、図6(B)に示すように、容器本体2に螺合によってキャップ5を着脱自在に冠着して、図6(C)に示すように、キャップ5の側を下にした倒立状態で、充填口6から内容物を容器内に充填してから、図6(D)に示すように、充填口6の先端面にシート状の蓋板7を貼着することで、容器の充填・密封を行なう。この方法では、上記の方法と比べて、容器を倒立状態で保持するためのホルダー8が不要となる。
なお、上記のような本実施例の容器のそれぞれの製造方法において、充填口6の先端面へのシート状の蓋板7の貼着については、図示していないが、本実施例では、シート状の蓋板7を、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリアミド樹脂からなる担体の表面に剥離可能に貼り付けて、充填口6の先端面に移載してから、ヒートシール条件が200℃のシーラーを0.4MPaの圧力で2,3秒押し付けるヒートシール法により、充填口6の先端面にシート状の蓋板7を接着させて、シート状の蓋板7を担体から剥がすような仮シール工程を経た後で、更に、念のためにシート状の蓋板7に対してシーラーを押し当てる本シール工程を実施している。
また、上記のような本実施例の容器の製造において、パリソンを金型で挟んで容器をブロー成形する際に、ブロー成形で使用する金型を使って、容器本体2(口部26)と封鎖体3(釣鐘形部31)との境界の部分に金型を食い込ませたり、或いは、金型の一部を上方に移動させて引き延ばしたりすることで、当該部分を通常のブロー成形で得られる壁厚よりも薄くなった薄壁部としており、この薄壁部に対してレーザーを照射することで、破断容易な弱化部4を効率的に形成することができるようにしている。
また、上記のような本実施例の容器の製造において、図5(C)および図6(A)に示すように、容器本体2と封鎖体3との境界にレーザーを照射して弱化部4を形成する際に、レーザーの照射に対して相対的に容器を6回転以上回転(レーザー照射を一定方向として容器を自転、又は、固定した容器の周りを公転するようにレーザー銃を移動)させている間に、1.41〜2.02J/mmのエネルギー密度でレーザーを照射することにより、弱化部となる溝を形成し、且つ、この溝とその周辺の部分で、樹脂の密度を変化させることなく極限粘度を低下させると共に、当該部分での極限粘度の低下量の最大値と最小値の比が1.5以下となるようにしている。
この点について、例えば、容器の中心軸を回転軸として、6回/sec 以上(好ましくは、6〜9回/sec )の回転速度で、容器を適宜の手段により回転(自転)させている間に、7〜10Wの出力で、レーザー周期が100μsec 以上で、レーザースポット径が200〜400μmであるレーザー(炭酸ガスレーザー)を、1秒間だけ照射することにより、レーザーが照射された部分での単位体積当たりのレーザー照射のエネルギー密度を1.41〜2.02J/mmとすることができる。
レーザー照射のエネルギー密度については、(レーザー出力×レーザー照射時間)÷(弱化部の周長×レーザースポット径×容器肉厚)で定義されるものであって、例えば、レーザー出力が7〜10Wで、レーザースポット径が300μmで、レーザー照射時間が1秒間で、容器肉厚が0.75mmで、弱化部の直径が7mm(周長は7mm×3.14)である場合、レーザー照射のエネルギー密度を算出すると、レーザー出力が7Wである場合のエネルギー密度は、1.41J/mmとなり、レーザー出力が10Wである場合のエネルギー密度は、2.02J/mmとなる。
上記のように容器を6回以上回転させる間に1.41〜2.02J/mmのエネルギー密度でレーザーを照射した場合の一具体例として、肉厚が0.75mmで弱化部の直径が7mmの容器1に対して、この容器を6回/sec の回転速度で回転(自転)させながら、レーザースポット径が300μmのレーザーを、8Wの出力で1秒間だけ照射したところ、弱化部では、約0.25mmの残厚を有する溝が形成されていた。
この溝が形成された円環状の弱化部の円周方向に沿って、溝とその周辺部分での樹脂の極限粘度を測定したところ、樹脂の極限粘度は、平均値で0.85dl/gとなり、元の極限粘度から15%低下していた。また、最も極限粘度が低下した箇所では、0.82dl/g(極限粘度の低下量は、0.18dl/g)であり、最も極限粘度が低下しなかった箇所では、0.88dl/g(極限粘度の低下量は、0.12dl/g)であって、極限粘度の低下量の最大値と最小値の比は、0.18/0.12=1.5となっていた。なお、樹脂の密度については、レーザー照射前の値から殆ど変化しておらず、1.38g/cm以下の非結晶化状態の値を呈していた。
上記のように溝とその周辺部分で樹脂の極限粘度を低下させると共に、樹脂の極限粘度の低下量の最大値と最小値の比が1.5以下となるように弱化部を形成した場合には、弱化部の部分で、溝が形成されて壁厚が薄くなっていると共に、樹脂の密度がそのままで、樹脂の極限粘度が減少していて、樹脂が脆くなっていることから、封鎖体を捩ったり押し倒したりするツイストオフまたはスナップオフの操作により弱化部を容易に破断できると共に、弱化部での樹脂の極限粘度の低下量の最大値と最小値の比が1.5以下であることから、弱化部の破断を全周でムラなく均一に行なうことができて、その結果、70〜80N・cmの小さな力で滑らかに弱化部を破断させて容器の開封を容易に行なうことができる。
以上に説明したような方法により製造される本実施例の破断開口容易な容器によれば、ポリエステル樹脂製の容器1で、容器本体2と封鎖体3との境界に形成される破断容易な弱化部4として、レーザーの照射により溝とその周辺で容器内面にまで達する非結晶化部を形成していることで、容器を開封する際に弱化部4を容易に破断することができる。また、シート状の蓋板7の貼着により充填口6を密封していることで、密封時に充填口6を変形させるための多くの加熱工程によりポリエステル樹脂を白化させるようなことはない。さらに、容器1を正立させた状態で、充填口6の先端面に貼着された蓋板7が接地しないことから、容器1を安定的に自立させることができる。
本発明の破断開口容易な容器の一実施例を示す(A)正面図、および(B)上面図。 図1に示した容器につて、キャップを冠着した状態でキャップの部分を断面で示す側面図。 図1に示した容器の底部を示す断面正面図。 本発明の破断開口容易な容器の他の実施例について、キャップを冠着した状態でキャップの部分を断面で示す正面図。 図4に示した容器の製造方法の一例を示す説明図。 図4に示した容器の製造方法の他の例を示す説明図。
符号の説明
1 破断開口容易な容器
2 容器本体
3 封鎖体
4 弱化部
5 キャップ
6 充填口
7 シート状の蓋板
8 ホルダー
9 レーザー銃
21 (容器本体の)底部
21a (底部)の接地面

Claims (4)

  1. 開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の外面形状が凹設された金型を使用したブロー成形によりパリソンから同時に一体成形され、容器本体と封鎖体との境界に、破断容易な弱化部として、レーザーの照射により溝とその周辺で容器内面にまで達する非結晶化部が形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器において、周辺部分が接地面となる容器本体の底部で、内容物を充填するための充填口が、接地面よりも容器内方に凹んだ底部の中央部分に形成され、該充填口の先端面が、接地面と略平行な平面に形成され、該充填口の先端面にシート状の蓋板が貼着されて、容器を正立させた状態で、充填口の先端面に貼着された蓋板が接地しないようになっていることを特徴とする破断開口容易な容器。
  2. 上記の請求項1に記載した破断開口容易な容器を製造するための方法として、円筒形パリソンの内部にエアー吹き込み用のブローピンを配置し、容器本体と封鎖体の外面形状が凹設された金型にパリソンとブローピンを挟んでブローピンからエアーを吹き込むことで、パリソンを容器の形状に成形して、容器本体の底部でブローピンの周りを剪断することにより、先端面が底部の接地面と略平行な平面となるように充填口を開口してから、金型から取り出した容器を封鎖体の側を下にした倒立状態でホルダー内に収容して、充填口から内容物を容器内に充填し、充填口の先端面にシート状の蓋板を貼着することで、容器の充填・密封を行なった後、ホルダーから取り出した容器を封鎖体の側を上にした正立状態として、容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射して弱化部を形成するようにしたことを特徴とする破断開口容易な容器の製造方法。
  3. 上記の請求項1に記載した破断開口容易な容器を製造するための方法として、円筒形パリソンの内部にエアー吹き込み用のブローピンを配置し、容器本体と封鎖体の外面形状が凹設された金型にパリソンとブローピンを挟んでブローピンからエアーを吹き込むことで、パリソンを容器の形状に成形して、容器本体の底部でブローピンの周りを剪断することにより、先端面が底部の接地面と略平行な平面となるように充填口を開口してから、金型から取り出した容器を封鎖体の側を上にした正立状態として、容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射して弱化部を形成した後、封鎖体を覆うようなキャップを容器本体に冠着し、キャップが下となるように容器を倒立状態として、充填口から内容物を容器内に充填し、充填口の先端面にシート状の蓋板を貼着することで、容器の充填・密封を行なうようにしたことを特徴とする破断開口容易な容器の製造方法。
  4. 容器本体と封鎖体との境界にレーザーを照射して弱化部を形成する際に、レーザーの照射に対して相対的に容器を6回転以上回転させている間に、1.41〜2.02J/mmのエネルギー密度でレーザーを照射することにより、弱化部となる溝を形成し、且つ、この溝とその周辺の部分で、樹脂の密度を変化させることなく極限粘度を低下させると共に、当該部分での極限粘度の低下量の最大値と最小値の比が1.5以下となるようにすることを特徴とする請求項2又は3に記載の破断開口容易な容器の製造方法。
JP2007315062A 2007-12-05 2007-12-05 破断開口容易な容器およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5062749B2 (ja)

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