以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、単なる説明例である。
<第1実施形態>
図1〜図28を参照して、一実施形態に係るテープ印字装置1およびテープカセット30について、以下に後述する。本実施形態の説明では、図1および図2の左下側をテープ印字装置1の前側とし、図1および図2の右上側をテープ印字装置1の後側とし、図1および図2の右下側をテープ印字装置1の右側とし、図1および図2の左上側をテープ印字装置1の左側とする。また、図3の右下側をテープカセット30の前側とし、図3の左上側をテープカセット30の後側とし、図3の右上側をテープカセット30の右側とし、図3の左下側をテープカセット30の左側とする。
なお、以下の説明で使用される図3等において、カセット装着部8の周囲を形成する壁が図示されている場合、これらの図はあくまでも模式図であるため、図中に示す壁は、実際よりも厚く描かれている。また、図3等のテープカセット30とカセット装着部8とを示す斜視図に図示されているギヤ91、93、94、97、98、101を含むギヤ群は、実際には、キャビティ811の底面により覆い隠されている。しかし、これらのギヤ群を説明する必要上、これらの図には、キャビティ811の底面は図示されていない。また、図4〜図7等において、カセット装着部8に装着された状態で図示されているテープカセット30は、上ケース311が取り外された状態のものである。
はじめに、テープ印字装置1の概略構成について説明する。テープ印字装置1は、サーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットが使用可能な汎用のテープ印字装置である。なお、サーマルタイプは、感熱紙テープのみが収納された種類のテープカセットである。レセプタタイプは、印字テープとインクリボンとが収納された種類のテープカセットである。ラミネートタイプは、両面粘着テープとフィルムテープとインクリボンとが収納された種類のテープカセットである。感熱ラミネートタイプは、両面粘着テープと感熱紙テープとが収納された種類のテープカセットである。
図1に示すように、テープ印字装置1は、略直方体形状の本体カバー2を備えている。本体カバー2上面の前側には、文字、記号及び数字等の文字キーや、種々の機能キー等を含むキーボード3が配設されている。キーボード3の後側には、入力した文字や記号を表示可能なディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(図3参照)の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられている。
カセットカバー6は、平面視略長方形状の蓋部である。カセットカバー6は、本体カバー2の背面上方の左右両端部において、図2に示す、本体カバー2の内部に形成されたカセット装着部8が露出する開放位置と、図1に示す、カセット装着部8を覆う閉鎖位置との間で回動可能に軸支されている。カセット装着部8は、テープカセット30を着脱自在な領域として形成されている。カセット装着部8には、テープカセット30からテープを引き出して搬送する搬送機構や、テープの表面に文字等を印字する印字機構等が設けられているが、詳細は後述する。
図2に示すように、カセットカバー6の前面略中央には、その下面から下方に突出する鉤状の係止ロック411が設けられている。本体カバー2には、係止ロック411に対応する位置にロック孔412が設けられており、図1に示すようにカセットカバー6が閉じられると、係止ロック411がロック孔412に嵌め込まれて係止されることで、カセットカバー6の自然開放が防止される。また、カセットカバー6の下面には、さらに、周縁押え部材911〜914とが設けられている。
周縁押え部材911〜914は、それぞれ、テープカセット30がカセット装着部8に装着され、カセットカバー6が閉じられた場合に、テープカセット30の周縁、より詳細には、第1〜第4角部321〜324(図3参照)の上面の4箇所に上方から当接し、押圧する部材である。
また、本体カバー2の左側面後方には、印字済みのテープを外部に排出するための排出スリット111が設けられており、カセットカバー6の左側面には、カセットカバー6を閉じた状態で排出スリット111を外部に露出させる排出窓112が形成されている。
次に、図3〜図10を参照して、カセットカバー6下の本体カバー2の内部構造について説明する。図3に示すように、カセット装着部8は、キャビティ811と、角支持部812とを有する。キャビティ811は、テープカセット30が装着された場合に後述するカセットケース31の底面302の形状と略対応するように凹設され、平面である底面を有する。角支持部812は、キャビティ811の外縁から水平に延びる平面部である。角支持部812は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、テープカセット30の周縁、より詳細には、第1〜第4角部321〜324(図3参照)下面に対向し、支持する部位である。
角支持部812の2箇所に、2つの位置決めピン102、103が設けられている。より具体的には、キャビティ811の左側に位置決めピン102が、キャビティ811の右側に位置決めピン103が、それぞれ設けられている。位置決めピン102および103は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合に、下ケース312に形成された2つの凹部であるピン孔62および63(図14参照)がそれぞれ対応する位置に設けられている。各位置決めピン102、103は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合にピン孔62、63に挿入され、テープカセット30の周縁部の左右位置でテープカセット30を前後・左右方向に位置決めする。
図3に示すように、カセット装着部8の前側には、発熱体(図示せず)を備えるサーマルヘッド10を搭載したヘッドホルダ74が固設されている。カセット装着部8の外側(図3では右上側)には、ステッピングモータであるテープ送りモータ23が配設されている。テープ送りモータ23の駆動軸の下端には駆動ギヤ91が固着されており、駆動ギヤ91は開口を介してギヤ93に噛合され、ギヤ93はギヤ94に噛合されている。
ギヤ94の上面には、後述するリボン巻取スプール44(図4参照)の回転駆動を行うリボン巻取軸95が立設されている。さらに、ギヤ94にはギヤ97が噛合され、ギヤ97にはギヤ98が噛合され、ギヤ98にはギヤ101が噛合されている。ギヤ101の上面には、後述するテープ駆動ローラ46の回転駆動を行うテープ駆動軸100が立設されている。
テープカセット30がカセット装着部8に装着された状態でテープ送りモータ23が反時計回り方向に回転駆動されると、駆動ギヤ91、ギヤ93、ギヤ94を介して、リボン巻取軸95が反時計回り方向に回転駆動される。リボン巻取軸95は、リボン巻取軸95が嵌挿されたリボン巻取スプール44を回転駆動させる。さらに、ギヤ94の回転は、ギヤ97、ギヤ98、ギヤ101を介してテープ駆動軸100に伝達されて、テープ駆動軸100が時計回り方向に回転駆動される。テープ駆動軸100は、テープ駆動軸100が嵌挿されたテープ駆動ローラ46を回転駆動させる。
図4〜図7に示すように、ヘッドホルダ74の前側には、アーム状のプラテンホルダ12が軸支部121を中心に揺動可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側には、サーマルヘッド10に相対して接離可能に設けられたプラテンローラ15と、テープ駆動軸100が嵌挿されるテープ駆動ローラ46に相対して接離可能に設けられた可動搬送ローラ14とが共に回転可能に軸支されている。
プラテンホルダ12には、カセットカバー6の開閉に連動して左右方向に移動する図示しないリリースレバーが連結されている。カセットカバー6が開放されると、リリースレバーが右方向に移動して、プラテンホルダ12が、図4に示す待機位置に向けて移動する。図4に示す待機位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8から離間する方向に移動するので、テープカセット30をカセット装着部8に着脱することができる。なお、プラテンホルダ12は、図示しない巻きバネにより常に待機位置に弾性付勢されている。
一方、カセットカバー6が閉鎖されると、リリースレバーが左方向に移動して、プラテンホルダ12が、図5〜図7に示す印字位置に向けて移動する。図5〜図7に示す印字位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8に近接する方向に移動する。図5に示すように、カセット装着部8にラミネートタイプのテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15がフィルムテープ59とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が両面粘着テープ58とフィルムテープ59とを介してテープ駆動ローラ46を押圧する。
図6に示すように、レセプタタイプのテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15が印字テープ57とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が印字テープ57を介してテープ駆動ローラ46を押圧する。図7に示すように、サーマルタイプのテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15が感熱紙テープ55を介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が感熱紙テープ55を介してテープ駆動ローラ46を押圧する。
これにより、図5〜図7に示す印字位置では、カセット装着部8に装着された各種テープカセット30を使用して印字を行うことが可能となる。なお、感熱紙テープ55、印字テープ57、両面粘着テープ58、フィルムテープ59およびインクリボン60の詳細は、後述する。
図4に示すように、テープカセット30のテープ排出部49からテープ印字装置1の排出スリット111(図2参照)までの間には、印字済テープ50が通過する経路が設けられている。この経路には、印字済テープ50を所定位置で切断するカット機構17が設けられている。カット機構17は、固定刃18と、固定刃18に対向して前後方向(図4〜図7に示す上下方向)に移動可能に支持された移動刃19と、で構成されている。なお、移動刃19は、カッターモータ(図示外)によって前後方向に移動される。
ここで、図4および図8〜図10を参照して、ヘッドホルダ74の詳細な構成について説明する。図8〜図10に示すように、ヘッドホルダ74は、1枚の板状部材から形成されており、キャビティ811の底面(図示せず)の下方に固定された台座部743と、台座部743から略垂直に屈曲され、上方へ延びるヘッド固着部744を備えている。ヘッド固着部744は、図4に示すように、テープ印字装置1の左右方向に沿って配置されている。カセット装着部8におけるヘッドホルダ74の配置位置は、テープカセット30が装着された場合に、後述するヘッド挿入部39に対応する位置である。ただし、ヘッドホルダ74の右端部は、ヘッド挿入部39の右端部よりも右側に延びている。サーマルヘッド10は、ヘッド固着部744の前面に固着されている(図4参照)。
ヘッド固着部744には、テープカセット30がテープ印字装置1に装着された場合にテープカセット30を下方から支持する第1支持部741および第2支持部742(以下、総称してカセット支持部741、742という)が設けられている。第1支持部741は、ヘッド固着部744の右端部を正面視でL字型に切り欠くことにより所定の高さ位置に形成された段差部である。第2支持部742は、第1支持部741と同一の上下方向位置(高さ位置)において、ヘッド固着部744の左端部からヘッド固着部744に対して略垂直に屈曲して延びる側面視長方形状の延設片である。
つまり、第1支持部741と第2支持部742とは、平面視で互いに略直交する方向に延びている。第1支持部741と第2支持部742は、それぞれ、サーマルヘッド10に対してテープ搬送方向上流側と下流側とで、同一の高さ位置でテープカセット30を支持する。第1支持部741および第2支持部742は、サーマルヘッド10の上下方向中心位置から上下方向に所定距離離れた位置に設定されている。よって、サーマルヘッド10の上下方向中心位置に対してテープカセット30を上下方向に位置決めする基準となる。なお、カセット支持部741、742によるテープカセット30の支持については、後で詳述する。
次に、図11を参照して、テープ印字装置1の電気的構成について説明する。図11に示すように、テープ印字装置1は、制御基板上に形成される制御回路部500を備えている。制御回路部500は、各機器を制御するCPU501、CPU501にデータバス510を介して接続されたROM502、CGROM503、RAM504、および入出力インターフェース511等から構成されている。
ROM502には、キーボード3から入力された文字や数字等のキャラクタのコードデータに対応させて液晶駆動回路(LCDC)505を制御する表示駆動制御プログラム、サーマルヘッド10やテープ送りモータ23を駆動する印字駆動制御プログラム、各印字ドットの形成エネルギー量に対応する印加パルス数を決定するパルス数決定プログラム、カッターモータ24を駆動して印字済テープ50を所定の切断位置で切断する切断駆動制御プログラム、その他のテープ印字装置1の制御上必要な各種のプログラム等が各々記憶されている。つまり、CPU501は、これら各種プログラムに基づいて各種演算を行う。
CGROM503には、アルファベット文字や記号等の多数のキャラクタの各々に関して、キャラクタを印字するための印字用ドットパターンデータが、書体(ゴシック系書体、明朝体書体等)毎に分類され、各書体毎に6種類(例えば、16、24、32、48、64、96のドットサイズ)の印字文字サイズ分、コードデータに対応させて記憶されている。
RAM504には、テキストメモリ、印字バッファ等、複数の記憶エリアが設けられている。テキストメモリには、キーボード3から入力された文書データが格納される。印字バッファには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンがドットパターンデータとして格納される。つまり、サーマルヘッド10はこの印字バッファに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。その他記憶エリアには、各種演算データ等が記憶される。
入出力インターフェース511には、キーボード3、液晶ディスプレイ(LCD)5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有する液晶駆動回路(LCDC)505、サーマルヘッド10を駆動するための駆動回路506、テープ送りモータ23を駆動するための駆動回路507、カッターモータ24を駆動するための駆動回路508等が各々接続されている。
次に、図3〜図7、図12〜図14を参照して、本実施形態に係るテープカセット30の構成について説明する。以下では、その内部に収納されるテープの種類、および、インクリボンの有無などを適宜変更することによって、前述のサーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ等、各種のテープを実装可能な汎用カセットとして構成されたテープカセット30を例示する。
まず、テープカセット30全体としての概略構成を説明する。図3に示すように、テープカセット30は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケース31を有している。カセットケース31は、カセットケース31の底面302を形成する底板306を含む下ケース312と、カセットケース31の上面301を形成する上板305を含み、下ケース312の上部に固定される上ケース311とで構成される。底面302から上面301までの距離を、テープカセット30またはカセットケース31の高さという。
本実施形態のカセットケース31は、上板305および底板306の周縁全体が側面を形成する周壁によって囲われているが、必ずしも全体が囲われている必要はなく、周壁の一部(例えば背面)にカセットケース31内を露出させるような開口部が設けられていたり、その開口部を臨む位置に上板305および底板306を接続するボスが設けられたりしてもよい。
カセットケース31は、テープカセット30の種類にかかわらず、同一の幅(上下方向の長さが同一)に形成された4つの角部を有する。以下では、左後方の角部を第1角部321、右後方の角部を第2角部322、右前方の角部を第3角部323、左前方の角部を第4角部324とする。第1〜第4角部321〜324は、平面視で直角をなすようにカセットケース31の側面から外側方向に突出している。ただし、左前方の第4角部324は、テープ排出部49が角に設けられているために、直角はなしていない。第1〜第4角部321〜324の下面は、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、前述した角支持部812に対向して支持される部位である。
図14に示すように、第2角部322および第4角部324の下面の2箇所に、前述したテープ印字装置1の位置決めピン102、103に対応するピン孔62、63が設けられている。より具体的には、第4角部324の下面に設けられた凹部が、位置決めピン102が挿入されるピン孔62である。第2角部322の下面に設けられた凹部が、位置決めピン103が挿入されるピン孔63である。
図3に示すように、カセットケース31には、支持孔65、66、67、68が設けられている。支持孔65、66、67、68は、それぞれ、後述する第1テープスプール40、第2テープスプール41、リボンスプール42およびリボン巻取スプール44(図4〜図7参照)を回転可能に支持する。なお、図3では、上ケース311の支持孔65、66、67、68のみが図示されているが、下ケース312にも、対応する支持孔65、66、67、68が設けられている。
図4〜図7に示すように、カセットケース31内には、印字媒体であるテープを収納可能な領域である第1テープ領域400および第2テープ領域410と、未使用のインクリボン60を収納する第1リボン領域420と、文字等の印字に使用された後のインクリボン60を収納する第2リボン領域440とが設けられている。
第1テープ領域400は、第1角部321に隣接しており、カセットケース31内の左半分をほぼ占める平面視略円形の領域である。第2テープ領域410は、第2角部322に隣接してカセットケース31内の右後方に位置する、平面視略円形の領域である。第1リボン領域420は、第3角部323および後述のヘッド挿入部39に隣接し、カセットケース31内の右前方に位置する平面視略円形の領域である。第2リボン領域440は、カセットケース31内で第1テープ領域400と第1リボン領域420との間に位置する平面視略円形の領域である。
図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30では、カセットケース31内に、一面に剥離紙が貼着された両面テープである両面粘着テープ58、印字媒体である透明なフィルムテープ59、およびインクリボン60の3種類のテープロールが収納される。剥離紙を外側に向けて第1テープスプール40に巻回された両面粘着テープ58は、第1テープ領域400に収納される。第2テープスプール41に巻回されたフィルムテープ59は、第2テープ領域410に収納される。
リボンスプール42に巻回された未使用のインクリボン60は、第1リボン領域420に収納される。使用済みのインクリボン60は、リボン巻取スプール44に巻き取られ、第2リボン領域440に収納される。リボン巻取スプール44の下部には、リボン巻取スプール44が逆転することで巻き取ったインクリボン60が緩んでしまうのを防止するためのクラッチバネ(図示せず)が取り付けられている。
図6に示すレセプタタイプのテープカセット30では、印字媒体である印字テープ57と、インクリボン60の2種類のテープロールが、カセットケース31内に収納される。第1テープスプール40に巻回された印字テープ57は、第1テープ領域400に収納される。リボンスプール42に巻回された未使用のインクリボン60は第1リボン領域420に収納され、使用済みのインクリボン60は、リボン巻取スプール44に巻き取られて第2リボン領域440に収納される。レセプタタイプのテープカセット30は、第2テープスプール41を備えていない。つまり、第2テープ領域410には何も収納されなくてよい。
図7に示すサーマルタイプのテープカセット30では、感熱紙テープ55の1種類のテープロールが、カセットケース31内に収納される。第1テープスプール40に巻回された感熱紙テープ55は、第1テープ領域400に収納される。サーマルタイプのテープカセット30は、第2テープスプール41およびリボンスプール42を備えていない。つまり、第2テープ領域410および第1、第2リボン領域420、440には、何も収納されなくてよい。以下では、印字媒体である感熱紙テープ55、印字テープ57、フィルムテープ59のいずれかを指す場合、単にテープという。
図3に示すように、カセットケース31の前面には、平面視で略半円状をなす溝部である半円溝340が、カセットケース31の高さ方向(つまり、上面301から底面302)に亘って設けられている。半円溝340は、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、プラテンホルダ12の回転中心である軸支部121がカセットケース31と干渉しないように設けられた逃がし部である。
カセットケース31の前面壁のうち、半円溝340から左に延びる部分を、アーム前面壁35という。アーム前面壁35と、アーム前面壁35から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面壁37とで規定される、テープカセット30右側から左方に延びる部位をアーム部34という。アーム前面壁35の左端部は、後方へ向かって屈曲しており、アーム前面壁35およびアーム背面壁37の左端の間に形成される上下方向に延びる隙間が、アーム部34からテープ(およびインクリボン60)を排出する排出口341である。
図4〜図7に示すように、アーム部34では、第1テープスプール40または第2テープスプール41から引き出されたテープが、アーム前面壁35と略平行に延びる搬送経路に沿って案内され、排出口341から排出される。また、リボンスプール42から引き出されたインクリボン60は、テープとは異なる搬送経路に沿ってアーム部34内を案内され、排出口341でテープと重なった状態とされて排出される。
アーム背面壁37と、アーム背面壁37から連続して設けられた周壁面とにより規定される、テープカセット30を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部39である。ヘッド挿入部39は、テープカセット30の前面に設けられた開口部77によって、テープカセット30の前面でも外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、テープ印字装置1のサーマルヘッド10を支持するヘッドホルダ74が挿入される。アーム部34の排出口341から排出されたテープには、開口部77(図4〜図7参照)において、インクリボン60を用いてサーマルヘッド10による印字が行われる。
図3に示すように、テープの搬送方向において、ヘッド挿入部39の下流側には、上下一対の規制部材361、362が設けられている。規制部材361、362は、排出口341から排出され、印字がなされた後のテープを、サーマルヘッド10の下流側でテープ排出部49に向かって案内する。詳細は後述するが、印字に使用されたインクリボン60は、規制部材361、362の上流側でテープとは分離され、別の搬送経路に沿って搬送され、リボン巻取スプール44に巻き取られる。
テープの搬送方向において、規制部材361、362の下流側には、支持孔64(図14参照)が設けられ、支持孔64の内側にテープ駆動ローラ46が回転可能に軸支されている。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30がカセット装着部8に装着されている場合は、テープ駆動ローラ46が、対向する可動搬送ローラ14との協働により、第2テープスプール41からフィルムテープ59を引き出すとともに、第1テープスプール40から両面粘着テープ58を引き出す。さらに、両面粘着テープ58をフィルムテープ59の印字面にガイドして接着させ、印字済テープ50としてテープ排出部49に向かって搬送する。
図6に示すレセプタタイプのテープカセット30がカセット装着部8に装着されている場合は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働により、第1テープスプール40から印字テープ57が引き出される。サーマルヘッド10の下流側では、印字後の印字テープ57、すなわち印字済テープ50が、規制部材361、362によって、テープ排出部49に向かって案内される。また、ヘッド挿入部39を経由して搬送された使用済みのインクリボン60は、規制部材361、362の上流で印字テープ57から分離され、リボン巻取スプール44に向かって搬送される。
図7に示すサーマルタイプのテープカセット30が装着されている場合は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働により、第1テープスプール40から感熱紙テープ55が引き出される。サーマルヘッド10の下流側では、印字後の感熱紙テープ55、すなわち印字済テープ50が、規制部材361、362によって、テープ排出部49に向かって案内される。
テープ排出部49は、カセットケース31の左側面の前端部から僅かに前方に離間して設けられた、上面301と底面302に亘る板状部材である。テープ排出部49は、規制部材361、362およびテープ駆動ローラ46を経て搬送されてきた印字済テープ50を、カセットケース31の左側面の前端部との間に形成される通路内に案内して、通路の終端にあるテープ排出口から排出する。
以下に、図12〜図24を参照して、カセットケース31の下ケース312および上ケース311の詳細な構成について、説明する。なお、図13では、説明の便宜上、ラミネートタイプのテープカセット30として使用された場合のフィルムテープ59、両面粘着テープ58、およびインクリボン60の配置と搬送経路とを点線で示している。
まず、図12〜図17を参照して、下ケース312の構成について、説明する。図12に示すように、下ケース312の外形は、底面302と、底面302を形成する底板306から所定の高さで上方へ延びる下周壁304とで形成されている。下周壁304のうち、アーム前面壁35の下部を構成する部分を下アーム前面壁352という。また、下アーム前面壁352から後方へ離間して底面302を形成する底板306から立設された、アーム背面壁37の下部を構成する壁を下アーム背面壁372という。下アーム背面壁372に連続してヘッド挿入部39の下部を規定する周壁を下ヘッド周壁373という。
ここで、図13、図14、図16、および図19を参照して、上ケース311および下ケース312に設けられた支持受け部について説明する。図14に示すように、上ケース311および下ケース312のヘッド挿入部39の外周上でヘッド挿入部39を臨む位置には、テープカセット30がテープ印字装置1に装着される際の上下方向の位置決めに使用される2つの支持受け部が設けられている。具体的には、サーマルヘッド10(図4〜図7参照)の挿入位置(より詳細には印字位置)を基準として、テープの搬送方向上流側および下流側の2箇所に、第1受け部391および第2受け部392(以下、総称して支持受け部391、392という)が設けられている。
第1受け部391は、アーム部34のテープ搬送方向上流側の端部、およびヘッド挿入部39の上流側端部に連接している。第2受け部392は、ヘッド挿入部39の下流側端部に連接している。
第1受け部391は、アーム前面壁35に沿った方向にヘッド挿入部39から凹んでいる。この凹んだ部分における上壁は、図14および図16に示すように、第1上側平面部396Aによって形成されている。また、凹んだ部分における側壁は、下ケース312の底板306の上面から上方に突出した壁である第1下側突出部395によって形成されている。第1上側平面部396Aは、上ケース311の上板305の下面から下方に突出した第1上側突出部396の下端に設けられた平面部である。第1上側平面部396Aおよび第1上側突出部396の詳細については後述する。また、第1下側突出部395の上端には、第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向下流側の端部以外の端部と接触する平面部である第1下側平面部395Bが設けられている。なお、第1受け部391は、第1下側突出部395と第1上側平面部396Aによって構成されるが、図13においては、説明の便宜上、下ケース312において第1受け部391が構成される位置を図示している。
第2受け部392は、底板306の底面302を上方に向かって凹ませた凹部である。また、第2受け部392は、アーム前面壁35とは直交する方向にヘッド挿入部39から凹んでいる。つまり、第1受け部391と第2受け部392とは、互いに直交する方向でヘッド挿入部39を臨んでいる。
図14に示すように、第2受け部392は、底面302より上方に位置する底面視略長方形状の平面部(凹部の底部分)の下側の面である第2下側平面部392Bを有する。テープカセット30の上下方向(高さ方向)における第1上側平面部396Aおよび第2下側平面部392Bの位置と、カセットケース31に収納されるテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置とは、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。よって、収納されるテープおよびインクリボン60の幅がより広いテープカセット30ほど、支持受け部391、392の深さは大きくなる。
また、本実施形態では、第1、第2下側平面部395B、392Bは、テープおよびインクリボン60の幅方向中心位置から上下方向に同一の距離だけ離れた位置にある。つまり、第1、第2下側平面部395B、392Bは、下ケース312において同一の高さ位置にある。なお、本実施形態では、テープおよびインクリボン60の幅方向中心位置と、カセットケース31の上下方向中心位置とは一致している。
第1、第2下側平面部395B、392Bは、下ケース312における基準面である。基準面とは、ある部位の寸法設定や寸法測定の際に基準として用いられる面である。本実施形態では、第1、第2下側平面部395B、392Bは、後述するテープおよびインクリボン60の幅方向への移動を規制する各種規制部に対する基準面として設けられている。また、第2下側平面部392Bは、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、ヘッドホルダ74に設けられた第2支持部742によって下方から支持される部位としても機能する。なお、第1上側平面部396A(図16および図19参照)は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、ヘッドホルダ74に設けられた第1支持部741によって下方から支持される部位としても機能する。第1上側平面部396Aについての詳細は後述する。
図13に示すように、第1下側突出部395の後側には、円筒状の第1円筒部材861が立設されている。つまり、第1円筒部材861は、第1下側平面部395Bの近傍に設けられている。また、第2受け部392の上側には、円筒状の第2円筒部材862が立設されている。つまり、第2円筒部材862は、第2下側平面部392Bの鉛直方向上方に設けられている。また、第2円筒部材862は、下ヘッド周壁373に接触している。第1円筒部材861と第2円筒部材862とは、同一の構成を有する。よって、以下では、図15を参照して、第1円筒部材861と第2円筒部材862とを代表して、第1円筒部材861の構成について説明する。
図15に示すように、第1円筒部材861は、円筒孔部891を有する。円筒孔部891は、テープカセット30の底面302に貫通しない凹状であり、平面視で円形に形成されている。なお、円筒孔部891は、テープカセット30の底面302に貫通する孔として形成してもよい。円筒孔部891の上部は、上端の開口径が最大となるように徐々に広くなっている。このため、第1円筒部材861の円筒孔部891には、後述する上ケース311の第1圧入ピン871(図19および図20参照)を容易に挿入することが可能である。
第1円筒部材861の円筒孔部891に第1圧入ピン871が挿入されることで、第1嵌合部881(図13および図24参照)が構成される。同様に、第2円筒部材862の円筒孔部891に後述する上ケース311の第2圧入ピン872(図19参照)が挿入されることで、第2嵌合部882(図13参照)が構成される。第1、第2嵌合部881、882の詳細については後述する。
図13に示すように、下ヘッド周壁373のうち、テープの搬送方向においてヘッド挿入部39の下流側端部を規定する左側壁を、リボン案内壁47という。リボン案内壁47は、規制部材362の上流側に隣接している。インクリボン60の搬送経路は、リボンスプール42が配置された第1リボン領域420からアーム部34、開口部77を経由して、リボン巻取スプール44が配置された第2リボン領域440に至る。リボン案内壁47は、開口部77で印字に使用されたインクリボン60を、搬送経路に沿って屈曲させ、第2リボン領域440に向かって案内する。ヘッド挿入部39の下流側端部に連接して設けられた第2受け部392は、リボン案内壁47から第2リボン領域440に至るインクリボン60の搬送経路よりも前方に位置する。
次に、下ケース312におけるアーム部34を構成する部分の詳細について、説明する。図12および図13に示すように、下ケース312のアーム部34構成部分は、前述の下アーム前面壁352および下アーム背面壁372と、その間に設けられた分離壁33とを含む。下アーム前面壁352において、左端部の屈曲部の右側には、金型逃がし孔850が設けられている。金型逃がし孔850は、下アーム前面壁352の上部から正面視縦長長方形状に切り欠かれた部位であり、下ケース312に上ケース311が接合されると、アーム前面壁35に貫通孔を形成する(図3参照)。
分離壁33は、アーム部34の3つの壁面のうちで最も高く形成されており、その高さは、カセットケース31に収納されるテープの幅より僅かに大きい。下アーム前面壁352のうち、金型逃がし孔850の左側部分は分離壁33の半分程度の高さを有し、金型逃がし孔850の右側部分は分離壁33の三分の二程度の高さを有する。下アーム背面壁372は、分離壁33より僅かに低く、インクリボン60の幅とほぼ同一の高さを有する。また、分離壁33の平面視円柱状の右端部は、アーム部34のほぼ中央に位置する。分離壁33の左端は、下ケース312の前後方向において、下アーム前面壁352に設けられた金型逃がし孔850に対向する位置にある。金型逃がし孔850は、下ケース312を成形する際に使用される金型の逃がし孔である。
図13に示すように、テープ(図13の例ではフィルムテープ59)の搬送経路は、下アーム前面壁352と分離壁33との間に形成されている。一方、インクリボン60の搬送経路は、分離壁33と下アーム背面壁372との間に形成されている。そこで、これらの搬送経路上には、テープやインクリボン60の幅方向(カセットケース31の上下方向)の移動を規制する規制片が設けられている。
まず、テープの搬送経路に関しては、分離壁33の左端部および右端部の下端部に、それぞれ、テープの下方向への移動を規制する第1テープ下規制部381B、382Bが設けられている。第1テープ下規制部381B、382Bは、それぞれ、底板306の上面から上方へ僅かに突出しており、前方に向かって下アーム前面壁352まで延びている。さらに、分離壁33の左端部の上端には、テープの上方向への移動を規制する分離壁規制部383が設けられている。分離壁規制部383は、分離壁33の上端から前方に向かって突出する突出片である。第1テープ下規制部381B、382Bと、分離壁規制部383との上下方向の距離は、テープの幅と同一である。
一方、インクリボン60の搬送経路に関しては、分離壁33の左端部および右端部の下端部に、それぞれ、インクリボン60の下方向への移動を規制する第1リボン下規制部386B、387Bが設けられている。第1リボン下規制部386B、387Bは、それぞれ、底板306の上面から上方へ僅かに突出している。第1リボン下規制部386Bは、分離壁33の左端部から左斜め後方に向かって下アーム背面壁372の左端部まで延びている。第1リボン下規制部387Bは、分離壁33の右端部から後方に向かって下アーム背面壁372まで延びている。
第1テープ下規制部381B、382B、分離壁規制部383、および第1リボン下規制部386B、387Bは、それぞれ、前述した第1、第2下側平面部395B、392Bを基準面として、下ケース312の上下方向における高さ位置が設定されている。
より詳細には、第1テープ下規制部381B、382Bの突出端(上端)と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離、および分離壁規制部383の下端と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。第1リボン下規制部386B、387Bの突出端と、第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離は、インクリボン60の幅に応じて設定されている。これらの規制部はすべてアーム部34内にあり、第1、第2下側平面部395B、392Bは、それぞれ、ヘッド挿入部39の上流側端部および下流側端部近傍にある。つまり、各規制部と、基準面である第1、第2下側平面部395B、392Bとは、互いに近接した位置にある。
規制部の寸法設定や、製造後の寸法測定を行う際に従来使用されていた基準位置(例えば、後述のピン孔62、63の底部)は、規制部とは離れた位置にあったため、両者を成形する金型の駒が異なる場合がある。このような場合、基準位置の駒が遠くなるほど、製造されたテープカセット30の規制部の寸法誤差が大きくなる。また、同一の駒で形成できたとしても、基準位置と規制部とが離れた位置にある場合には、測定誤差もあり、寸法精度が低くなる。一方、本実施形態のように、規制部と基準面の距離をより近くすれば、測定誤差が少なくなるとともに、両者を同じ駒で成形できる可能性が高くなる。
ここで、図17を参照して、規制部と基準面とが同一の金型の駒84によって成形される場合について説明する。なお、図17においては、説明に必要ない部分についての図示を省略している。図17に示すように、下ケース312を製造する場合において、第1下側平面部395Bと第1テープ下規制部381B、382Bとは、同一の金型の駒84が用いられて製造される。なお、第1リボン下規制部386B、387Bと第2下側平面部392Bとも、同様に同一の駒84が用いられて製造されるが、図示は省略している。駒84は、上入れ子型841及び下入れ子型842とから構成されている。下入れ子型842によって下ケース312の底面302と第2下側平面部392Bが成形される。また、上入れ子型841によって、第1下側平面部395Bと第1テープ下規制部381B、382Bと第1リボン下規制部386B、387Bとが成形される。
このように、上入れ子型841と下入れ子型842とで構成される同一の駒84が用いられて、第1、第2下側平面部395B、392Bと第1テープ下規制部381B、382Bと第1リボン下規制部386B、387Bとが成形される。このため、第1、第2下側平面部395B、392Bと第1テープ下規制部381B、382Bと第1リボン下規制部386B、387Bとが別々の駒で成形される場合と比較して、寸法精度を高めることができる。また、規制部と基準面とが近接しているため、測定誤差が少なくなり、寸法精度が高くなる。さらに、第1下側平面部395Bと第1テープ下規制部381B、382Bと第1リボン下規制部386B、387Bとは、同一の上入れ子型841を用いて成形される。これによって、下入れ子型842と上入れ子型841とに分かれて形成される場合に比べて、さらに寸法精度を高めることができる。
その結果、テープおよびインクリボン60の搬送精度が向上する。アーム部34は、サーマルヘッド10(図4参照)によって印字が行われる位置(開口部77)の上流側近傍にあるため、アーム部34内のテープおよびインクリボン60の搬送精度を向上することにより、印字精度も向上する。
加えて、製造後には、第1、第2下側平面部395B、392Bを基準として、各規制部の寸法管理を容易に行うことができる。例えば、テープカセット30の検品時には、基準面である第1、第2下側平面部395B、392Bを基準にして、各規制部の寸法測定が行われる。この際、各規制部と基準面との距離が従来よりも近いので、検査員は、正確に寸法を測定できる。例えば、図17に示す金型の駒84を用いて成形されたテープカセット30の場合では、成形された後の下ケース312における第1下側平面部395Bを基準にして、第1下側平面部395Bと第1テープ下規制部381B、382Bとの上下方向における距離D1が正確に測定される。
また、第1、第2下側平面部395B、392Bは、カセットケース31に収納されたテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置から上下方向に一定の距離をおいて設けられている。したがって、第1、第2下側平面部395B、392Bの上下方向位置に対するテープおよびインクリボン60の上下方向位置がより明確になり、テープおよびインクリボン60の搬送精度がさらに向上する。
さらに、本実施形態では、テープおよびインクリボン60の幅方向中心位置と第1、第2下側平面部395B、392Bとの距離は、テープおよびインクリボン60の幅によらず一定である。したがって、異なるテープ幅を有するテープおよびインクリボン60が収納された複数種類のテープカセット30について、第1、第2下側平面部395B、392Bの位置を統一的な基準とすることができ、カセットケース31の寸法測定や部品の管理が容易となる。
さらに、アーム部34内の各規制部は、下ケース312の左右方向において、第1、第2下側平面部395B、392Bの間にあり、いずれの基準面にも近接している。つまり、いずれかの基準面を用いて寸法設定や寸法測定を行うこともできるし、両方の基準面を用いて行うこともできる。両方の基準面を用いることにより、各規制部を製造する際の寸法精度をさらに高めることができ、テープおよびインクリボン60の搬送精度がさらに向上する。加えて、製造後には、寸法管理をさらに正確且つ容易に行うことができる。
図13に示すように、テープの搬送方向においてアーム部34よりもさらに上流側の第3角部323近傍には、第1テープ下規制部381B、382Bと同様にテープの下方向への移動を規制する規制部384Bを有するガイドピン327が設けられている。よって、規制部384Bについても、第1テープ下規制部381B、382Bと同様、第1下側平面部395Bを基準面として寸法設定や寸法管理を行ってもよい。
ヘッド挿入部39の下流側端部に隣接して下ケース312に設けられた規制部材362の基部には、テープの下方向への移動を規制する第2テープ下規制部363が設けられている。第2テープ下規制部363は、同じくヘッド挿入部39の下流側端部に隣接する第2受け部392の第2下側平面部392Bを基準面として、下ケース312の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第2テープ下規制部363の突出端(上端)と、第2下側平面部392Bとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。したがって、第2下側平面部392Bを基準面として、第2テープ下規制部363を製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第2テープ下規制部363の突出端と、第2下側平面部392Bとの距離は、第1テープ下規制部381B、382Bの突出端と、第1、第2下側平面部395B、392Bとの距離と同一である。つまり、規制部材362に設けられた第2テープ下規制部363の高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1テープ下規制部381B、382Bの高さ位置と同一である。したがって、各規制部においてテープの下方向への移動が規制され、上下方向に適正に位置決めされるので、アーム部34から規制部材362にわたって、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よくテープが搬送される。
次に、下ケース312における第1、第2角部321、322、ならびにテープおよびインクリボン60の収納領域を構成する部分の詳細について説明する。図13に示すように、下ケース312は、第1角部321の下面である第3下側平面部321B、および第2角部322の下面である第4下側平面部322Bを含む。第3下側平面部321Bおよび第4下側平面部322Bは、いずれも底面302よりも上方に位置する平面部である。
下ケース312の上下方向(高さ方向)における第3、第4下側平面部321B、322Bの位置と、テープおよびインクリボン60の幅方向中心位置とは、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。よって、収納されるテープおよびインクリボン60の幅がより広いテープカセット30ほど、底面302から第3、第4下側平面部321B、322Bまでの距離は大きくなる。
本実施形態では、前述の第1、第2下側平面部395B、392B、および第3、第4下側平面部321B、322Bは、テープおよびインクリボン60の幅方向中心位置(本実施形態では、カセットケース31の上下方向中心位置)から上下方向に同一の距離だけ離れた位置にある。つまり、第1、第2、第3、第4下側平面部395B、392B、321B、322Bは、下ケース312においてすべて同一の高さ位置にある。第3、第4下側平面部321B、322Bは、テープおよびインクリボン60の下方向への移動を規制する規制部に対する基準面として用いられる。
下ケース312は、第1テープ領域400を構成する部分である第1下テープ領域400B、第2テープ領域410を構成する部分である第2下テープ領域410B、第1リボン領域420を構成する部分である第1下リボン領域420B、および第2リボン領域440を構成する部分である第2下リボン領域440Bを含む。
第3下側平面部321Bの裏面、すなわち、下ケース312の内面側には、第3円筒部材863が立設されている。つまり、第3円筒部材863は、第3下側平面部321Bの鉛直方向上方に設けられている。第3円筒部材863は、第1下テープ領域400Bの左後側において、第1下テープ領域400Bに沿うように立設された壁である第1周辺壁70に接触している。第3円筒部材863の構成は、前述した第1円筒部材861(図15参照)の構成と同一である。第1周辺壁70は、第1下テープ領域400Bの後側よりやや左側から、第1下テープ領域400Bの左側よりやや後方にかけて円弧状に設けられている。第3円筒部材863は、第3圧入ピン873(図19参照)と嵌合し、第3嵌合部883を構成するが、詳細については後述する。
第4下側平面部322Bの裏面、すなわち、下ケース312の内面側には、第4円筒部材864が立設されている。つまり、第4円筒部材864は、第4下側平面部322Bの鉛直方向上方に設けられている。また、第4円筒部材864は、第2下テープ領域410Bの右後方に設けられ、第2周辺壁71に接触している。第4円筒部材864の構成は、前述した第1円筒部材861(図15参照)の構成と同一である。第2周辺壁71は、第2下テープ領域410Bの左側から、後側を経由して、右前側にかけて、第2下テープ領域410Bに沿うように円弧状に設けられている。また、第4円筒部材864は、第4圧入ピン874(図19参照、後述)と嵌合し、第4嵌合部884を構成するが、詳細については後述する。
第1下テープ領域400Bには、底板306の上面から僅かに上方に突出する突出部が設けられている。より詳細には、第1テープスプール40が配置される第1下テープ領域400Bの中心位置に環状の突出部が設けられ、そこから放射状に第1下テープ領域400Bの周縁まで3本の線状の突出部が延びている。これらの突出部を第3テープ下規制部40Bという。第3テープ下規制部40Bは、第1テープスプール40に巻回されて第1テープ領域400に配置される感熱紙テープ55、印字テープ57、または両面粘着テープ58(図4〜図7参照)の下方向への移動を規制する。
第3テープ下規制部40Bは、隣接する第1角部321の第3下側平面部321Bを基準面として、下ケース312の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第3テープ下規制部40Bの突出端(上端)と、第3下側平面部321Bとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。したがって、第3下側平面部321Bを基準面として、第3テープ下規制部40Bを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第3テープ下規制部40Bの突出端と、第3下側平面部321Bとの距離は、第1テープ下規制部381B、382Bの突出端と、第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離、および、第2テープ下規制部363の突出端と、第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離と同一である。つまり、第1下テープ領域400Bに設けられた第3テープ下規制部40Bの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1テープ下規制部381B、382B、および規制部材362に設けられた第2テープ下規制部363と同一である。
したがって、各規制部においてテープの下方向への移動が規制され、テープは、上下方向に適正に位置決めされつつ搬送される。図6および図7に示すレセプタタイプやサーマルタイプのテープカセット30の場合は、第1テープ領域400、アーム部34、規制部材362にわたって、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よく印字テープ57または感熱紙テープ55が搬送される。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30の場合は、アーム部34から規制部材362にわたって、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よくフィルムテープ59が搬送される。また、両面粘着テープ58とフィルムテープ59とは、上下方向位置が一致した状態で精度よく搬送される。
ヘッド挿入部39の下流側端部に位置するリボン案内壁47の後端部から第2下リボン領域440Bに至る使用済みのインクリボン60の搬送経路と、第1下テープ領域400Bとの間には、第1下テープ領域400Bの外周に沿って、分離壁48が設けられている。分離壁48は、使用済みのインクリボン60と、第1テープスプール40に巻回された両面粘着テープ58とが互いに接触するのを防止する。
リボン案内壁47の後端部には、インクリボン60の下方向への移動を規制する第2リボン下規制部388Bが設けられている。第2リボン下規制部388Bは、底板306の上面から上方へ僅かに突出しており、後方に向かって第1下テープ領域400Bの手前まで延びている。
第2リボン下規制部388Bは、ヘッド挿入部39の下流側端部に隣接する第2受け部392の第2下側平面部392Bを基準面として、下ケース312の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第2リボン下規制部388Bの突出端(上端)と、第2下側平面部392Bとの上下方向の距離は、インクリボン60の幅に応じて設定されている。したがって、第2下側平面部392Bを基準面として、第2リボン下規制部388Bを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第2リボン下規制部388Bの突出端と第2下側平面部392Bとの距離は、第1リボン下規制部386B、387Bの突出端と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離と同一である。つまり、リボン案内壁47の後端部に設けられた第2リボン下規制部388Bの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1リボン下規制部386B、387Bと同一である。したがって、各規制部においてインクリボン60の下方向への移動が規制されて上下方向に適正に位置決めされ、アーム部34からリボン案内壁47の後端部にわたって、インクリボン60の幅方向中心線に対して平行に精度よく搬送される。
第2下テープ領域410Bには、第1下テープ領域400Bと同様、底板306の上面から僅かに上方に突出する突出部が設けられている。より詳細には、第2テープスプール41が配置される第2下テープ領域410Bの中心位置に環状の突出部が設けられ、そこから放射状に第2下テープ領域410Bの周縁まで8本の線状の突出部が延びている。これらの突出部を第4テープ下規制部41Bという。第4テープ下規制部41Bは、ラミネートタイプのテープカセット30(図4および図5参照)において、第2テープスプール41に巻回されて第2テープ領域410に配置されるフィルムテープ59の下方向への移動を規制する。
第4テープ下規制部41Bは、隣接する第2角部322の第4下側平面部322Bを基準面として、下ケース312の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第4テープ下規制部41Bの突出端(上端)と、第4下側平面部322Bとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。したがって、第4下側平面部322Bを基準面として、第4テープ下規制部41Bを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第4テープ下規制部41Bの突出端と第4下側平面部322Bとの距離は、第1テープ下規制部381B、382Bの突出端と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離、第2テープ下規制部363の突出端と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離、および第3テープ下規制部40Bの突出端と第3下側平面部321Bとの上下方向の距離と同一である。つまり、第2下テープ領域410Bに設けられた第4テープ下規制部41Bの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1テープ下規制部381B、382B、規制部材362に設けられた第2テープ下規制部363、および第1下テープ領域400Bに設けられた第3テープ下規制部40Bと同一である。
したがって、各規制部においてテープの下方向への移動が規制され、テープは、上下方向に適正に位置決めされて搬送される。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30において、第2テープ領域410、アーム部34、規制部材362にわたって、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よくフィルムテープ59が搬送される。また、両面粘着テープ58とフィルムテープ59とは、上下方向位置が一致した状態で精度よく搬送される。
第1下リボン領域420Bには、底板306の上面から僅かに上方に突出する突出部が設けられている。より詳細には、第2テープスプール41が配置される第2下テープ領域410Bの中心位置に環状に設けられた突出部を、第3リボン下規制部42Bという。第3リボン下規制部42Bは、リボンスプール42に巻回されて第1リボン領域420に配置される未使用のインクリボン60(図4〜図6参照)の下方向への移動を規制する。
第3リボン下規制部42Bは、隣接する第1受け部391の第1下側平面部395Bを基準面として、下ケース312の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第3リボン下規制部42Bの突出端(上端)と、第1下側平面部395Bとの上下方向の距離は、インクリボン60の幅に応じて設定されている。したがって、第1下側平面部395Bを基準面として、第3リボン下規制部42Bを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第3リボン下規制部42Bの突出端と第1下側平面部395Bとの距離は、第1リボン下規制部386B、387Bの突出端と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離、および、第2リボン下規制部388Bの突出端と第1、第2下側平面部395B、392Bとの上下方向の距離と同一である。つまり、第1下リボン領域420Bに設けられた第3リボン下規制部42Bの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1リボン下規制部386B、387B、およびリボン案内壁47の後端部に設けられた第2リボン下規制部388Bと同一である。
したがって、各規制部においてインクリボン60の下方向への移動が規制され、上下方向に適正に位置決めされるので、インクリボン60は、第1リボン領域420、アーム部34、リボン案内壁47の後端部にわたって、インクリボン60の幅方向中心線に対して平行に精度よく搬送される。
次に、図12、図16、図18〜図21を参照して、上ケース311の構成について説明する。図12に示すように、上ケース311の外形は、上面301と、上面301を形成する上板305から所定の高さで下方へ延びる上周壁303とで形成されている。上周壁303のうち、アーム前面壁35の上部を構成する部分を上アーム前面壁351という。また、上アーム前面壁351から後方へ離間して上面301を形成する上板305から下方へ延びる、アーム背面壁37の上部を構成する壁を上アーム背面壁371という。上アーム背面壁371に連続してヘッド挿入部39の上部を規定する周壁を上ヘッド周壁374という。
上ケース311におけるヘッド挿入部39周辺の詳細な構成について、図16、図18、および図19を参照して説明する。図19に示すように、上ケース311のヘッド挿入部39のテープ搬送方向における上流側端部に連接して、第1上側平面部396Aを下端に備えた第1上側突出部396が設けられている。図16に示すように、第1上側突出部396は、上板305の下面から下方に突出している。第1上側平面部396Aは、上ケース311を下ケース312と接合した場合に、第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向下流側の端部以外の端部が、下ケース312の第1下側平面部395Bと接触する。これによって、第1受け部391が形成される。
上ケース311の上下方向(高さ方向)における第1上側平面部396Aの位置と、カセットケース31に収納されるテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置とは、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。よって、収納されるテープおよびインクリボン60の幅がより広いテープカセット30ほど、上面301から第1上側平面部396Aまでの長さは大きくなる。
第1上側平面部396Aは、上ケース311における基準面である。本実施形態では、第1上側平面部396Aは、後述するテープおよびインクリボン60の上方向への移動を規制する各種規制部に対する基準面として設けられている。また、第1上側平面部396Aは、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合に、ヘッドホルダ74に設けられた第1支持部741によって下方から支持される部位としても機能する。
図19に示すように、第1上側突出部396の後側には、下方へ突出する第1圧入ピン871が設けられている。つまり、第1圧入ピン871は、第1上側平面部396Aの近傍に設けられている。また、第1圧入ピン871は、第1上側平面部396Aにおいて、下ケース312に設けられた第1円筒部材861(図13参照)に対応する位置に設けられている。また、ヘッド挿入部39のテープ搬送方向下流側端部近傍には、下ケース312の第2下側平面部392Bに設けられた第2円筒部材862(図13参照)に対応する位置に、下方へ突出する第2圧入ピン872が設けられている。
第1圧入ピン871と第2圧入ピン872は、同一の構成を有する。よって、ここでは、図20を参照し、第1圧入ピン871と第2圧入ピン872を代表して、第1圧入ピン871の構成について説明する。なお、図20に示すように、上ケース311における第1圧入ピン871が設けられる位置には、円柱部が下方に突出するように形成されている。この円柱部は、第1円筒部材861の上端部と当接することによって、テープカセット30の高さを決定するために設けられている。しかしながら、第1圧入ピン871または他の第2〜第4圧入ピン872〜874(図19参照)が設けられる場所によっては、円柱部は不要である。また、円柱状とは別の形状に形成されていてもよい。
図20に示すように、第1圧入ピン871は、支柱部901と突起部材902とを有する。支柱部901は、第1上側突出部396の後側において下方に向かって延びている。支柱部901は、略円柱状であり、上下方向における中央よりやや下側から、徐々に径が小さくなるように形成されている。つまり、支柱部901の下部(以下、支柱先端部903という。)は、先端が細くなるように形成されている。支柱先端部903の底面の径は、第1円筒部材861に設けられた円筒孔部891(図15参照)の径より小さく形成されている。このため、円筒孔部891に支柱部901を容易に挿入することが可能である。
また、支柱部901の周囲には、複数の突起部材902が放射状に設けられている。突起部材902は、上下方向における支柱部901の略中央から上側に設けられており、その上端は、上ケース311に形成された円柱部と接続されている。また、突起部材902は、平面視で円弧状に支柱部901から突出している。突起部材902を含んだ第1圧入ピン871の径は、第1円筒部材861の円筒孔部891(図15参照)の径より大きく形成されている。
また、突起部材902の下部は、下端に向かうほど徐々に径が小さい円弧になるように形成されている。つまり、突起部材902の下部は、先端が細くなるように形成されている。これにより、第1圧入ピン871が第1円筒部材861の円筒孔部891に挿入される場合に、突起部材902の下部が第1円筒部材861の上面に引っかかることなく、スムーズに挿入される。第1圧入ピン871と第1円筒部材861との嵌合についての詳細は、後述する。
次に、上ケース311におけるアーム部34を構成する部分の詳細について、説明する。図12に示すように、上ケース311のアーム部34構成部分は、下ケース312の下アーム前面壁352および下アーム背面壁372にそれぞれ対応する上アーム前面壁351および上アーム背面壁371を含む。よって、上アーム前面壁351の方が、上アーム背面壁371よりも高さが大きい。上板305には、下ケース312のアーム部34内に設けられた分離壁33に対応する位置に、分離壁33の平面視形状と同一形状の嵌合孔331が設けられている。上ケース311と下ケース312とが接合されると、分離壁33は嵌合孔331に嵌合する。
上ケース311のアーム部34を構成する部分では、テープの搬送経路は、上アーム前面壁351と嵌合孔331との間にある。一方、インクリボン60の搬送経路は、嵌合孔331と上アーム背面壁371との間にある。そこで、これらの搬送経路上に、下ケース312と同様、テープやインクリボン60の上方向への移動を規制する規制片が設けられている。
まず、テープの搬送経路に関しては、嵌合孔331の左端部の右側に第1テープ上規制部381Aが設けられている。また、嵌合孔331の右端部に接して、第1テープ上規制部382Aが設けられている。第1テープ上規制部381A、382Aは、それぞれ、上板305の下面から下方へ僅かに突出している。第1テープ上規制部381Aは、上アーム前面壁351から後方に向かって嵌合孔331の手前まで延びており、第1テープ上規制部382Aは、上アーム前面壁351から後方に向かって嵌合孔331まで延びている。第1テープ上規制部381A、382Aは、それぞれ、テープの上方向への移動を規制する
一方、インクリボン60の搬送経路に関しては、嵌合孔331の左端部および右端部に接して、それぞれ、インクリボン60の上方向への移動を規制する第1リボン上規制部386A、387Aが設けられている。第1リボン上規制部386A、387Aは、それぞれ、上板305の下面から下方へ僅かに突出している。第1リボン上規制部386Aは、嵌合孔331の左端部から左斜め後方に向かって上アーム背面壁371の左端部まで延びている。第1リボン上規制部387Aは、嵌合孔331の右端部から後方に向かって上アーム背面壁371まで延びている。
第1テープ上規制部381A、382Aおよび第1リボン上規制部386A、387Aは、それぞれ、前述した第1上側突出部396の第1上側平面部396Aを基準面として、上ケース311の上下方向における高さ位置が設定されている。
より詳細には、第1テープ上規制部381A、382Aの突出端(下端)と、第1上側平面部396Aとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。第1リボン上規制部386A、387Aの突出端と、第1上側平面部396Aとの上下方向の距離は、インクリボン60の幅に応じて設定されている。これらの規制部はすべてアーム部34内にあり、第1上側平面部396Aは、ヘッド挿入部39の上流側端部近傍にある。つまり、各規制部と、基準面である第1上側平面部396Aとは、互いに近接した位置にある。このため、測定誤差が少なくなるとともに、規制部と基準面とを同じ金型の駒で成形できる可能性が高くなる。
ここで、図21を用いて、規制部と基準面とが同一の金型の駒92によって成形される場合について説明する。なお、図21においては、説明に必要ない部分についての図示を省略している。図21に示すように、上ケース311を製造する場合において、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aとは、同一の駒92が用いられて製造される。なお、第1リボン上規制部386A、387Aも、同様に同一の駒92が用いられて製造されるが、図示は省略している。駒92は、上入れ子型921及び下入れ子型922とから構成されている。上入れ子型921によって上ケース311の上面301が成形される。また、下入れ子型922によって、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aと第1リボン上規制部386A、387Aとが成形される。
このように、上入れ子型921と下入れ子型922とで構成される同一の金型の駒92が用いられて、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aと第1リボン上規制部386A、387Aとが成形される。このため、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aと第1リボン上規制部386A、387Aとが別々の金型の駒で成形される場合と比較して、寸法精度を高めることができる。また、規制部と基準面とが近接しているため、測定誤差が少なくなり、寸法精度が高くなる。さらに、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aと第1リボン上規制部386A、387Aとは、同一の下入れ子型922を用いて成形される。これによって、下入れ子型922と上入れ子型921とに分かれて形成される場合に比べて、さらに寸法精度を高めることができる。
したがって、第1上側平面部396Aを基準面として、各規制部の製造時の寸法精度を高めることができ、テープおよびインクリボン60の搬送精度が向上する。アーム部34は、サーマルヘッド10(図4参照)によって印字が行われる位置(開口部77)の上流側近傍にあるため、アーム部34内のテープおよびインクリボン60の搬送精度を向上することにより、印字精度も向上する。本実施形態では、下ケース312と上ケース311との両方に、このような規制部を設けたことにより、テープおよびインクリボン60は上下方向の移動が規制されるので、搬送精度、ひいては印字精度はさらに向上する。加えて、製造後には、第1上側平面部396Aを基準として、各規制部の寸法管理を容易に行うことができる。例えば、テープカセット30の検品時には、基準面である第1上側平面部396Aを基準にして、各規制部の寸法測定が行われる。この際、各規制部と基準面との距離が近いので、検査員は、正確に寸法を測定できる。例えば、図21に示す金型の駒92を用いて成形されたテープカセット30の場合では、成形された後の上ケース311における第1上側平面部396Aを基準にして、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aとの上下方向における距離D2が正確に測定される。
また、第1上側平面部396Aは、カセットケース31に収納されたテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置から上下方向に一定の距離をおいて設けられている。したがって、第1上側平面部396Aの上下方向位置に対するテープおよびインクリボン60の上下方向位置がより明確になり、テープおよびインクリボン60の搬送精度がさらに向上する。
次に、上ケース311における第1、第2角部321、322、ならびにテープおよびインクリボン60の収納領域を構成する部分の詳細について説明する。図19に示すように、上ケース311は、第1角部321の上面である第2上側平面部321A、および第2角部322の上面である第3上側平面部322Aを含む。第2上側平面部321Aおよび第3上側平面部322Aは、いずれも上面301よりも下方に位置する平面部である。第2上側平面部321Aおよび第3上側平面部322Aは、上ケース311と下ケース312とが接合された場合、下ケース312の第3下側平面部321Bおよび第4下側平面部322Bと上下に対向する位置にある。
第1角部321には、下方へ突出する第3圧入ピン873が設けられている。つまり、第3圧入ピン873は、第2上側平面部321Aの鉛直方向下方に設けられている。また、第3圧入ピン873は、第2上側平面部321Aにおいて、下ケース312の第3下側平面部321Bに設けられた第3円筒部材863(図13参照)に対応する位置に設けられている。第3圧入ピン873の構成は、前述した第1圧入ピン871(図20参照)と同一である。上述したように、第3円筒部材863と第3圧入ピン873とが嵌合されることで、第3嵌合部883が構成されるが、詳細については後述する。
第2角部322には、下方へ突出する第4圧入ピン874が設けられている。つまり、第4圧入ピン874は、第3上側平面部322Aの鉛直方向下方に設けられている。また、第4圧入ピン874は、第3上側平面部322Aにおいて、下ケース312の第4下側平面部322Bに設けられた第4円筒部材864(図13参照)に対応する位置に設けられている。第4圧入ピン874の構成も、前述した第1圧入ピン871(図20参照)と同一である。上述したように第4円筒部材864と第4圧入ピン874とが嵌合されることで、第4嵌合部884が構成されるが、詳細については後述する。
上ケース311の上下方向(高さ方向)における第2、第3上側平面部321A、322Aの位置と、テープおよびインクリボン60の幅方向中心位置とは、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。よって、収納されるテープおよびインクリボン60の幅がより広いテープカセット30ほど、上面301から第2、第3上側平面部321A、322Aまでの距離は大きくなる。第2、第3上側平面部321A、322Aは、テープおよびインクリボン60の上方向の移動を規制する規制部に対する基準面として用いられる。
上ケース311は、第1テープ領域400を構成する部分である第1上テープ領域400A、第2テープ領域410を構成する部分である第2上テープ領域410A、第1リボン領域420を構成する部分である第1上リボン領域420A、および第2リボン領域440を構成する部分である第2上リボン領域440Aを含む。
第1上テープ領域400Aには、上板305の下面から僅かに下方に突出する突出部が設けられている。より詳細には、第1テープスプール40が配置される第1上テープ領域400Aの中心位置に環状の突出部が設けられ、そこから放射状に第1上テープ領域400Aの周縁まで3本の線状の突出部が延びている。これらの突出部を第2テープ上規制部40Aという。第2テープ上規制部40Aは、第1テープスプール40に巻回されて第1テープ領域400に配置される感熱紙テープ55、印字テープ57、または両面粘着テープ58(図6および図7参照)の上方向への移動を規制する。
第2テープ上規制部40Aは、隣接する第1角部321の第2上側平面部321Aを基準面として、上ケース311の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第2テープ上規制部40Aの突出端と、第2上側平面部321Aとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。したがって、第2上側平面部321Aを基準面として、第2テープ上規制部40Aを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第1上テープ領域400Aに設けられた第2テープ上規制部40Aの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1テープ上規制部381A、382Aと同一である。
したがって、各規制部においてテープの上方向への移動が規制され、テープは、上下方向に適正に位置決めされつつ搬送される。図6および図7に示すレセプタタイプやサーマルタイプのテープカセット30の場合は、第1テープ領域400からアーム部34にわたって、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よく印字テープ57または感熱紙テープ55が搬送される。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30の場合は、アーム部34において、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よくフィルムテープ59が搬送される。また、両面粘着テープ58とフィルムテープ59とは、上下方向位置が一致した状態で精度よく搬送される。
第2上テープ領域410Aには、第1上テープ領域400Aと同様、上板305の下面から僅かに下方に突出する突出部が設けられている。より詳細には、第2テープスプール41が配置される第2上テープ領域410Aの中心位置に環状の突出部が設けられ、そこから放射状に第2上テープ領域410Aの周縁まで8本の線状の突出部が延びている。これらの突出部を第3テープ上規制部41Aという。第3テープ上規制部41Aは、第2テープスプール41に巻回されて第2テープ領域410に配置されるフィルムテープ59(図4および図5参照)の上方向への移動を規制する。
第3テープ上規制部41Aは、隣接する第2角部322の第3上側平面部322Aを基準面として、上ケース311の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第3テープ上規制部41Aの突出端と、第3上側平面部322Aとの上下方向の距離は、テープの幅に応じて設定されている。したがって、第3上側平面部322Aを基準面として、第3テープ上規制部41Aを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第2テープ上規制部40Aの突出端と第2上側平面部321Aとの距離は、第3テープ上規制部41Aの突出端と第3上側平面部322Aとの上下方向の距離と同一である。また、第2上テープ領域410Aに設けられた第3テープ上規制部41Aの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1テープ上規制部381A、382A、および第1上テープ領域400Aに設けられた第2テープ上規制部40Aと同一である。
したがって、各規制部においてテープの上方向への移動が規制され、テープは、上下方向に適正に位置決めされつつ搬送される。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30において、第2テープ領域410からアーム部34にわたって、テープの幅方向中心線に対して平行に精度よくフィルムテープ59が搬送される。また、両面粘着テープ58とフィルムテープ59とは、上下方向位置が一致した状態で精度よく搬送される。
第1上リボン領域420Aには、上板305の下面から僅かに下方に突出する突出部が設けられている。より詳細には、リボンスプール42が配置される第1上リボン領域420Aの中心位置に環状に設けられた突出部を、第2リボン上規制部42Aという。第2リボン上規制部42Aは、リボンスプール42に巻回されて第1リボン領域420に配置される未使用のインクリボン60(図4〜図6参照)の上方向への移動を規制する。
第2リボン上規制部42Aは、隣接する第1上側平面部396Aを基準面として、上ケース311の上下方向における高さ位置が設定されている。より詳細には、第2リボン上規制部42Aの突出端と、第1上側平面部396Aとの上下方向の距離は、インクリボン60の幅に応じて設定されている。したがって、第1上側平面部396Aを基準面として、第2リボン上規制部42Aを製造する際の寸法精度を高めることができ、製造後には、寸法管理を容易に行うことができる。
本実施形態では、第2リボン上規制部42Aの突出端と第1上側平面部396Aとの距離は、第1リボン上規制部386A、387Aの突出端と第1上側平面部396Aとの上下方向の距離と同一である。つまり、第1上リボン領域420Aに設けられた第2リボン上規制部42Aの高さ位置は、アーム部34内に設けられた第1リボン上規制部386A、387Aと同一である。
したがって、各規制部においてインクリボン60の上方向への移動が規制され、上下方向に適正に位置決めされるので、インクリボン60は、第1リボン領域420からアーム部34にわたって、インクリボン60の幅方向中心線に対して平行に精度よく搬送される。
以下に、図22〜図24を参照して、本実施形態のテープカセット30における上ケース311と下ケース312との接合方法について説明する。なお、図22〜図24は、第1円筒部材861と第1圧入ピン871との嵌合態様を例示しているが、第2〜第4円筒部材862〜864と、第2〜第4圧入ピン872〜874との嵌合態様も、これと同じである。
下ケース312と上ケース311とが接合される場合には、まず、図22に示すように、第1圧入ピン871の支柱先端部903が、第1円筒部材861の円筒孔部891に挿入される。前述したように、支柱先端部903の先端径は、円筒孔部891の径より小さく形成されている。また、円筒孔部891の上端は、開口部分が広く形成されている。このため、支柱先端部903が、スムーズに円筒孔部891内に案内される。そして、円筒孔部891に沿って、支柱部901が挿入される。
次に、第1圧入ピン871が第1円筒部材861の円筒孔部891にさらに挿入されると、図23に示すように、突起部材902が円筒孔部891に挿入され始める。前述したように、突起部材902は先端が細くなるように形成されている。また、円筒孔部891の上端は、開口部分が広く形成されている。このため、突起部材902の下部が第1円筒部材861の上面に引っかかることなく、スムーズに挿入される。
突起部材902を含んだ第1圧入ピン871の径は、円筒孔部891の径より大きく形成されている。このため、第1圧入ピン871は、突起部材902が第1円筒部材861に押圧されて潰されながら円筒孔部891に挿入される。第1圧入ピン871が円筒孔部891に挿入されるにつれて、第1円筒部材861が突起部材902に押圧されて外側に広げられる。
第1圧入ピン871が円筒孔部891にさらに挿入されると、図24に示すように、第1円筒部材861の上面と、支柱部901の基部が接続する上ケース311の円柱部とが接触する。これにより、第1圧入ピン871の円筒孔部891への挿入が終了する。このとき、突起部材902が第1円筒部材861に押圧されて潰され、第1円筒部材861が突起部材902に押圧されて外側に広げられている。このように、第1圧入ピン871が第1円筒部材861に加圧挿入されることで、第1円筒部材861と第1圧入ピン871とが強固に嵌合される。これにより、第1嵌合部881が構成される。
同様にして、第2〜第4圧入ピン872〜874も、それぞれ、第2〜第4円筒部材862〜864に挿入され、第2〜第4嵌合部882〜884(図13参照)が構成される。第1〜第4嵌合部881〜884により、下ケース312と上ケース311とが接合される。
第1嵌合部881は、基準面である第1下側平面部395Bおよび第1上側平面部396Aの近傍において、下ケース312と上ケース311との間に設けられている。そして、第1嵌合部881によって、上ケース311と下ケース312とが適切に接合される。このため、基準面である第1下側平面部395Bと第1上側平面部396Aとが適切に接触し、それぞれ上下方向において適切な位置に保持される。よって、第1下側平面部395Bと第1上側平面部396Aとの近傍に設けられた、第1テープ下規制部381B、382B、分離壁規制部383、第1リボン下規制部386B、387B、第3リボン下規制部42B、第1テープ上規制部381A、382A、及び第1リボン上規制部386A、387Aの各規制部の位置が適切に保持される。このため、テープ及びインクリボン60の搬送精度が向上する。よって、印字精度も向上する。
また、第2嵌合部882は、基準面である第2下側平面部392Bの鉛直方向上方に設けられている。そして、第2嵌合部882によって、上ケース311と下ケース312とが適切に接合される。よって、第2嵌合部882の近傍に設けられた、第2テープ下規制部363と第2リボン下規制部388Bとの位置が適切に保持される。また、左右方向における第1嵌合部881と第2嵌合部882との間に設けられた第1テープ下規制部381B、382B、分離壁規制部383、第1リボン下規制部386B、387B、第1テープ上規制部381A、382A、及び第1リボン上規制部386A、387Aの各規制部の位置が、さらに適切に保持される。このため、テープ及びインクリボン60の搬送精度が向上する。よって、印字精度も向上する。
また、第3嵌合部883は、第3下側平面部321Bの鉛直方向上方、且つ第2上側平面部321Aとの間に設けられている。そして、第3嵌合部883によって、上ケース311と下ケース312とが適切に接合される。このため、第3下側平面部321Bと第2上側平面部321Aとが適切な位置に保持される。よって、第3下側平面部321Bと第2上側平面部321Aとの近傍に設けられた第3テープ下規制部40Bと第2テープ上規制部40Aとの高さ位置が適切に保持される。このため、テープの搬送精度が向上する。よって、印字精度も向上する。
また、第4嵌合部884は、第4下側平面部322Bの鉛直方向上方、且つ第3上側平面部322Aとの間に設けられている。そして、第4嵌合部884によって、上ケース311と下ケース312とが適切に接合される。このため、第4下側平面部322Bと第3上側平面部322Aとが適切な位置に保持される。よって、第4下側平面部322Bと第3上側平面部322Aとの近傍に設けられた第4テープ下規制部41Bと第3テープ上規制部41Aとの高さ位置が適切に保持される。このため、テープの搬送精度が向上する。よって、印字精度も向上する。
以下に、本実施形態のテープカセット30がテープ印字装置1に装着された場合のテープカセット30とテープ印字装置1の作用について説明する。
まず、テープカセット30の装着態様について説明する。テープカセット30がカセット装着部8に装着される場合、テープカセット30は、キャビティ811の底面に対して、テープカセット30の底面302が対向するように上方から垂直に嵌め込まれる。キャビティ811の底面(図示せず)からは、図3に示すヘッドホルダ74、リボン巻取軸95およびテープ駆動軸100が突出している。よって、ユーザは、これらにヘッド挿入部39、リボン巻取スプール44、およびテープ駆動ローラ46の軸孔をそれぞれ挿入しながら、テープカセット30を嵌め込む。
前述したように、ヘッドホルダ74の右端部と左端部には、それぞれ第1支持部741と第2支持部742とが設けられている。また、テープカセット30のこれらに対応する位置、具体的には、ヘッド挿入部39のテープ搬送方向上流側および下流側のヘッド挿入部39の外周上には、第1受け部391と第2受け部392とが設けられている。
ユーザがテープカセット30を下方向に押し込むと、図25に示すように、第1受け部391を形成する第1上側平面部396Aが、ヘッドホルダ74のヘッド固着部744に設けられた第1支持部741に当接し、下方向へのそれ以上の移動が規制される。また、図26に示すように、第2受け部392の第2下側平面部392Bは、ヘッドホルダ74のヘッド固着部744に設けられた第2支持部742に当接し、下方向へのそれ以上の移動が規制される。つまり、テープカセット30は、サーマルヘッド10の上下方向中心位置の基準となるカセット支持部741、742によって、基準面である第1上側平面部396Aと第2下側平面部392Bとが下方から支持された状態で維持される。
このように、本実施形態のテープ印字装置1およびテープカセット30によれば、印字媒体であるテープ(感熱紙テープ55、印字テープ57、フィルムテープ59のいずれか)に印字を行うサーマルヘッド10に近接した位置で、上下方向の位置決めを正確に行うことができる。そして、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置を精度よく一致させることができる。よって、テープに対する印字品質が向上する。
特に、本実施形態のテープカセット30は、印字媒体であるフィルムテープ59の搬送方向において、サーマルヘッド10の挿入位置、より詳細には印字位置に対して上流側と下流側の両側で支持される。よって、テープおよびインクリボン60の搬送方向をサーマルヘッド10の配置方向(上下方向)に対して直角に精度よく維持することができる。その結果、テープおよびインクリボン60の走行が安定するとともに、上下方向の印字中心位置とテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置をさらに精度よく維持することができる。
また、テープカセット30は、カセット装着部8に装着されると、角支持部812によって、第1〜第4角部321〜324が下方から支持される。つまり、第1上側平面部396Aおよび第2下側平面部392Bに加え、同じく基準面である第3、第4下側平面部321B、322Bも支持される。したがって、例えば、カセットケース31にそり等の変形が発生した場合でも、複数位置にある基準面がそれぞれテープ印字装置1において下方から支持されることで、高さ位置が矯正される。したがって、テープやインクリボン60の走行性能および印字位置精度を良好に維持することができる。
さらに、周縁押え部材911、912が、第1、第2角部321、322の第2上側平面部321Aおよび第3上側平面部322Aに当接して上方から押圧する。また、周縁押え部材913、914が、第3、第4角部323、324に当接して上方から押圧する。これによって、テープカセット30は、より確実に固定される。したがって、例えば、カセットケース31にそり等の変形が発生した場合でも、各基準面の高さ位置が確実に矯正される。したがって、テープやインクリボン60の走行性能および印字位置精度を向上することができる。
また、本実施形態のテープカセット30の第1受け部391と第2受け部392とは、互いに直交する方向からヘッド挿入部39を臨んでいる。支持受け部391、392に、互いに直交する方向に延びるカセット支持部741、742が挿入されて支持されるので、テープカセット30は、上下方向のみならず、前後方向および左右方向の移動も規制される。これにより、サーマルヘッド10とヘッド挿入部39との適正な位置関係を保持することができる。
図25および図26に示すテープカセット30よりも高さが低いテープカセット30がカセット装着部8に装着された場合にも、図27および図28に示すように、カセット支持部741、742に第1上側平面部396Aと第2下側平面部392Bが当接し、支持される。
図27および図28に示すテープカセット30の方が、図25および図26に示すテープカセット30よりも、底面302から第1上側平面部396Aおよび第2下側平面部392Bまでの長さは小さく設定されており、テープカセット30の上下方向(高さ方向)における第1上側平面部396Aおよび第2下側平面部392Bとカセットケース31に収納されたテープの上下方向中心位置(カセットケース31の上下方向の中心線)Nとの距離H2は、テープカセット30の種類に関わらず一定である。また、第2上側平面部321Aと第3上側平面部322Aとのテープカセットの上下方向(高さ方向)におけるカセットケース31の上下方向の中心線Nとの距離もテープカセット30の種類に関わらず一定である。
これによって、同一のテープ印字装置1で高さの異なる複数種類のテープカセット30を使用することができる。幅が異なるテープであっても、テープ幅方向の中心が一致する位置で搬送することで、テープ幅方向で中心に一致していないときにテープ幅方向でのテープへの圧力差によって生じる蛇行を防止することができる。
以上に説明したように、テープカセット30が上下方向の適正な位置で位置決めされてカセット装着部8に装着されると、テープ駆動軸100がテープ駆動ローラ46に嵌挿され、リボン巻取軸95がリボン巻取スプール44に嵌挿される。そして、カセットカバー6が閉鎖されるとプラテンホルダ12が印字位置に移動して、プラテンローラ15がサーマルヘッド10に相対するとともに、可動搬送ローラ14がテープ駆動ローラ46を押圧する。これにより、テープ印字装置1は、印字媒体であるテープへの印字を実行することが可能な状態となる。
図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30が装着されている場合、テープ印字装置1における印字実行時には、テープ駆動軸100を介して回転駆動されるテープ駆動ローラ46が、可動搬送ローラ14との協働によって、第2テープスプール41からフィルムテープ59を引き出す。また、リボン巻取軸95を介して回転駆動されるリボン巻取スプール44が、印字スピードと同期してリボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出す。
第2テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59は、リボンスプール42の外側を通過しながらアーム部34内の搬送経路に沿って搬送される。さらに、フィルムテープ59はその表面にインクリボン60が重ねられた状態で排出口341からヘッド挿入部39(開口部77)に供給され、テープ印字装置1のサーマルヘッド10とプラテンローラ15との間に搬送される。この間も、支持受け部391、392の作用により、安定した装着状態が保たれる。
そして、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とフィルムテープ59のテープ幅方向中心位置が精度よく維持された状態で、サーマルヘッド10によって、フィルムテープ59の印字面に対して文字、図形、記号等が印字される。その後、使用済みのインクリボン60はリボン案内壁47にて印字済みのフィルムテープ59から剥がされ、リボン巻取スプール44に巻き取られる。一方、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって、第1テープスプール40から両面粘着テープ58が引き出される。
両面粘着テープ58は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との間にガイドされて巻き込まれながら、印字済みのフィルムテープ59の印字面に重ねられて貼着される。両面粘着テープ58が貼着された印字済みのフィルムテープ59(つまり、印字済テープ50)は、さらにテープ排出部49に向かって搬送され、カット機構17によって切断される。
図6に示すレセプタタイプのテープカセット30が装着されている場合、テープ駆動軸100を介して回転駆動されるテープ駆動ローラ46が、可動搬送ローラ14との協働によって第1テープスプール40から印字テープ57を引き出す。また、リボン巻取軸95を介して回転駆動されるリボン巻取スプール44が、印字スピードと同期してリボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出す。第1テープスプール40から引き出された印字テープ57は、平面視でカセットケース31の右下部で左方へ折り返され、アーム部34内の搬送経路に沿って搬送される。
さらに、印字テープ57はその表面にインクリボン60が重ねられた状態で排出口341からヘッド挿入部39に供給され、テープ印字装置1のサーマルヘッド10とプラテンローラ15との間に搬送される。そして、サーマルヘッド10によって印字テープ57の印字面に対して文字、図形、記号等が印字される。その後、使用済みのインクリボン60はリボン案内壁47にて印字済みの印字テープ57から剥がされ、リボン巻取スプール44に巻き取られる。一方、印字済みの印字テープ57(つまり、印字済テープ50)はさらにテープ排出部49に向かって搬送され、カット機構17によって切断される。
図7に示すサーマルタイプのテープカセット30が装着されている場合、印字が行われる場合には、テープ駆動軸100を介して回転駆動されるテープ駆動ローラ46が、可動搬送ローラ14との協働によって第1テープスプール40から感熱紙テープ55を引き出す。第1テープスプール40から引き出された感熱紙テープ55は、平面視でカセットケース31の右下部で左方へ折り返され、アーム部34内の搬送経路に沿って搬送される。
さらに、感熱紙テープ55はアーム部34の排出口341から開口部77に供給されて、サーマルヘッド10とプラテンローラ15との間に搬送される。そして、サーマルヘッド10によって感熱紙テープ55の印字面に対して文字、図形、記号等が印字される。その後、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって、印字済みの感熱紙テープ55(つまり、印字済テープ50)はさらにテープ排出部49に向かって搬送され、カット機構17によって切断される。
なお、サーマルタイプの印字実行時には、リボン巻取軸95を介してリボン巻取スプール44も回転駆動される。しかしながら、サーマルタイプのテープカセット30にはリボンスプールが収納されていない。そのため、リボン巻取スプール44による未使用のインクリボンの引き出しや使用済みのインクリボンの巻き取りは行われない。言い換えると、リボン巻取軸95を備えたテープ印字装置1にサーマルタイプのテープカセット30が使用された場合でも、リボン巻取軸95の回転駆動が感熱紙テープ55への印字動作に影響を与えることなく適正に印字を行うことができる。なお、上記のテープカセット30において、リボン巻取スプール44を設けることなく、支持孔68内でリボン巻取軸95を同様に空転させてもよい。
なお、本実施形態では、汎用カセットであるテープカセット30を、汎用機であるテープ印字装置1にて使用している。それにより、テープ印字装置1は1台で感熱タイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットに対応させることが可能であり、1台毎に異なるテープ印字装置を用いる必要がない。また、テープカセットの製造に際し、カセットケースは通常複数の金型を組み合わせた上で樹脂を流し込んで形成するが、一部の金型を除いて共通の金型を使用可能なため大変なコスト削減になる。
なお、本実施形態では、第1テープスプール40および第2テープスプール41のいずれかに巻回された、感熱紙テープ55、印字テープ57、およびフィルムテープ59が、本発明の「テープ」にそれぞれ相当する。テープ排出部49は、「排出案内部」に相当する。ヘッド挿入部39は、「開口部」に相当する。規制部材361、362は、「テープ案内部」に相当する。
下ケース312の第1下側突出部395は、「第1下側突出部」に相当し、第1下側平面部395Bは、「第1下側平面部」に相当する。第1テープ下規制部381B、382Bは、それぞれ「第1下側規制部」に相当する。第2受け部392は、「第2下側凹部」に相当し、第2下側平面部392Bは、「第2下側平面部」に相当する。第2テープ下規制部363は、「第2下側規制部」に相当する。
第1テープ領域400および第2テープ領域410を合わせた領域が、「テープ収納領域」に相当し、そのうち第1テープ領域400が「第1領域」、第2テープ領域410が「第2領域」に相当する。下ケース312において第1角部321を構成する部分が、「第1下側角部」に相当し、第3下側平面部321Bが「第3下側平面部」に相当する。第3テープ下規制部40Bが、「第3下側規制部」に相当する。下ケース312において第2角部322を構成する部分が、「第2下側角部」に相当し、第4下側平面部322Bが「第4下側平面部」に相当する。第4テープ下規制部41Bが、「第4下側規制部」に相当する。
第1リボン領域420は、「リボン収納領域」に相当し、第2リボン上規制部42Aは、「リボン上側規制部」に相当する。
また、上ケース311の第1上側突出部396は「第1上側突出部」に相当し、第1上側平面部396Aは「第1上側平面部」に相当する。第1テープ上規制部381A、382Aは、「第1上側規制部」に相当する。上ケース311において第1角部321を構成する部分が、「第1上側角部」に相当し、第2上側平面部321Aが「第2上側平面部」に相当する。第2テープ上規制部40Aが、「第2上側規制部」に相当する。上ケース311において第2角部322を構成する部分が、「第2上側角部」に相当し、第3上側平面部322Aが「第3上側平面部」に相当する。第3テープ上規制部41Aが、「第3上側規制部」に相当する。
<第2実施形態>
図29〜図32を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、上ケース311における基準面である第1上側平面部396Aと、下ケース312における基準面である第1下側平面部395Bとが接触していた。第2実施形態においては、上ケース311と下ケース312とが接触する位置を変更した場合について述べる。なお、第2実施形態と第1実施形態との相違点は、第1上側平面部396Aおよび第1下側平面部395Bの周辺のみである。以後の説明では、第1実施形態と相違する部分について詳述し、第1実施形態と共通な部分については、説明を省略する。
第2実施形態の上ケース311における第1上側平面部396Aの周辺の詳細な構成について説明する。図29および図30に示すように、上ケース311のヘッド挿入部39のテープ搬送方向における上流側端部に連接して、第1上側平面部396Aを下端に備えた第1上側突出部396が設けられている。そして、第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向下流側の端部以外の端部に連接し、上板305の下面から下方に突出した第2上側突出部399が設けられている。また、第2上側突出部399は、下端に平面部である上側接触平面部399Aを備えている。本実施形態では、上側接触平面部399Aの上下方向における位置は、第1上側平面部396Aより下側である。上ケース311を下ケース312と接合した場合、上側接触平面部399Aが、下ケース312の第1下側平面部395Bと接触する。この場合、図30に示すように、支持受け部391は、第1上側平面部396Aと、第1下側突出部395と、第2上側突出部399とによって構成される。
第1実施形態の場合と同様に、上ケース311の上下方向(高さ方向)における第1上側平面部396Aの位置と、カセットケース31に収納されるテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置とは、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。よって、収納されるテープおよびインクリボン60の幅がより広いテープカセット30ほど、上面301から第1上側平面部396Aまでの長さは大きくなる。
第1上側平面部396Aは、上ケース311における基準面である。本実施形態では、第1上側平面部396Aは、第1実施形態の場合と同様に、テープおよびインクリボン60の上方向への移動を規制する各種規制部に対する基準面として設けられている。また、第1上側平面部396Aは、上側接触平面部399Aに対する基準面としても機能する。また、第1上側平面部396Aは、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合に、ヘッドホルダ74に設けられた第1支持部741によって下方から支持される部位としても機能する。
このように、規制部と基準面と上側接触平面部399Aとの距離がそれぞれ近いので、図31に示すように、規制部と基準面と上側接触平面部399Aとを同じ金型の駒92で成形できる可能性が高くなる。図31については、上側接触平面部399Aも下入れ子型922によって成形される点以外は、第1実施形態の場合(図21参照)と同様である。
第1実施形態の場合と同様に、第1上側平面部396Aを基準面として、各規制部の製造時の寸法精度を高めることができるので、テープおよびインクリボン60の搬送精度が向上し、印字精度が向上する効果を得ることができる。また、製造後には、第1上側平面部396Aを基準として、各規制部と上側接触平面部399Aとの寸法管理を容易に行うことができる。例えば、テープカセットの検品時には、基準面である第1上側平面部396Aを基準にして、各規制部と上側接触平面部399Aとの寸法測定がおこなわれる。この際、基準面と各規制部と上側接触平面部399Aとの距離が近いので、検査員は、正確に寸法を測定できる。例えば、図31に示す駒92を用いて成形されたテープカセット30の場合では、成形された後の上ケース311における第1上側平面部396Aを基準にして、第1上側平面部396Aと第1テープ上規制部381A、382Aとの上下方向における距離D2が正確に測定される。また、第1上側平面部396Aを基準にして、第1上側平面部396Aと上側接触平面部399Aとの上下方向における距離D3が正確に測定される。
このように、第1上側平面部396Aを基準面として、上側接触平面部399Aの寸法精度を高めることができる。また、後述する第2実施形態における第1下側平面部395Bは、下ケース312における基準面である。したがって、寸法管理が行われた上側接触平面部399Aと第1下側平面部395Bとが接触することによって、第1上側平面部396Aと各規制部と第1下側規制部とが精度よく位置決めされ、テープ搬送精度が向上する。
次に、第2実施形態の下ケース312における第1下側平面部395Bの周辺の詳細な構成について説明する。
下ケース312において、ヘッド挿入部39のテープ搬送方向上流側端部は、上ケース311の上側接触平面部399Aに対応した形にヘッド挿入部39から凹んでいる。そして、この凹んだ部分を形成する壁は、下ケース312の底板306から上方に突出した第1下側突出部395によって形成されている。第1下側突出部395の上端には、第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向下流側の端部以外の端部と接触する平面部である第1下側平面部395Bが設けられている。上ケース311を下ケース312と接合した場合、上側接触平面部399Aが、下ケース312の第1下側平面部395Bと接触する。つまり、図30に示すように、第1実施形態の場合の第1下側突出部395(図16参照)と比較すると、第1下側突出部395の高さが変わり、第1下側平面部395Bの上下方向における位置が変わっている。このとき、第1実施形態と第2実施形態とのテープカセット30の上面301から底面302までの距離は、変わっていない。
第2実施形態の下ケース312においても、規制部と基準面との距離がそれぞれ近いので、規制部と基準面とを同じ駒で成形できる可能性が高くなる。第2実施形態の下ケース312が製造される際には、第1実施形態の場合(図17参照)と同様に、規制部と基準面とが同一の駒によって成形される。これによって、寸法精度を高めることができ、テープやインクリボン60の搬送精度が向上する。よって、印字精度も向上する。
なお、図30において、上側接触平面部399Aの上下方向における位置は、第1上側平面部396Aより下側に設けられていたがこれに限定されない。例えば、図32に示すように、上側接触平面部399Aを第1上側平面部396Aより上側に形成してもよい。この場合、上側接触平面部399Aの位置に対応して、第1下側突出部395の高さが大きくなる。
なお、本発明のテープカセット30およびテープ印字装置1は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、前述の実施形態では、下ケース312に、第1〜第4テープ下規制部381B、382B、363、40B、41Bが設けられ、上ケース311に、第1〜第3テープ上規制部381A、382A、40A、41Aが設けられたテープカセット30を例示した。しかし、テープカセット30は、上ケース311のアーム部34内に、1つの規制部を単独で有していてもよい。この場合、アーム部34内で規制部が配置される位置は、第1テープ上規制部381A、382Aの例に限られない。さらに、テープカセット30は、上ケース311において、アーム部34内の規制部に加え、第2〜第3テープ上規制部40A、41Aのうち少なくとも1つを有していてもよい。
また、テープカセット30は、上ケース311のアーム部34内の規制部に加え、下ケース312に、第1〜第4テープ下規制部381B、382B、363、40B、41Bのうち少なくとも1つを有していてもよい。この場合、下ケース312に設けられる規制部は、上ケース311に設けられる規制部と上下方向に対向する位置に配置されるのが好ましい。上下一対の規制部がテープの上下方向の移動を規制することができるからである。
また、前述の実施形態では、テープの上下方向の規制部に加え、インクリボン60の上下方向の規制部(第1〜第3リボン下規制部386B、387B、388B、42Bおよび第1、第2リボン上規制部386A、387A、42A)が設けられたテープカセット30を例示した。しかし、テープカセット30は、テープの上下方向の規制部のみを単独で有していてもよい。
テープカセット30がインクリボン60の上下方向の規制部を有する場合には、上ケース311のアーム部34内に、1つの規制部を単独で有していてもよい。この場合、アーム部34内で規制部が配置される位置は、第1リボン上規制部386A、387Aの例に限られない。さらに、テープカセット30は、上ケース311において、アーム部34内の規制部に加え、第2リボン上規制部42Aを有していてもよい。
また、テープカセット30は、上ケース311のアーム部34内の規制部に加え、下ケース312に、第1〜第3リボン下規制部386B、387B、388B、42Bのうち少なくとも1つを有していてもよい。この場合、下ケース312に設けられる規制部は、上ケース311に設けられる規制部と上下方向に対向する位置に配置されるのが好ましい。上下一対の規制部がインクリボン60の上下方向の移動を規制することができるからである。
例えば、アーム部34内のインクリボン60の搬送経路上の1箇所に上下一対の規制部が設けられてもよい。そして、この一対の規制部の位置は、開口34Aからある程度離間しているのが好ましい。開口34Aでインクリボン60に皺が発生しにくくなるからである。特に、アーム部34の左右方向の長さの二分の一以上離間していることが好ましい。
また、前述の実施形態では、上ケース312において、基準面である第2、第3上側平面部321A、322Aが、テープの幅方向中心位置から上下方向に同一距離にある。つまり、同一平面上にある。この場合、各規制部の寸法設定や寸法管理が容易であるという点で好ましい。しかしながら、テープの幅方向中心位置と、第2、第3上側平面部321A、322Aのそれぞれとの距離は、必ずしも同一である必要はない。同様に、第1実施形態における、下ケース312において、基準面である第1〜第4下側平面部395B、392B、321B、322B各々とテープの幅方向中心位置との距離は、必ずしもすべてが同一である必要はない。また、第2実施形態においては、基準面である第2〜第4下側平面部392B、321B、322B各々とテープの幅方向中心位置との距離が同一となるが、必ずしもすべてが同一である必要はない。
また、例えば、支持受け部391を構成する第1上側平面部396Aと第1下側突出部395との形状や位置は、前述の実施形態で例示した形状や位置に限られない。例えば、第1上側平面部396Aは底面視略長方形状であるが、三角形等、その他の形状でも構わない。
また、第1下側突出部395は、第1下側平面部395Bが、第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向下流側の端部以外の3つの端部と接触するようにU字型に構成されていたが、これに限定されない。例えば、第1下側平面部395Bが、第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向上流側の端部のみと接触するように構成してもよい。このように、第1下側突出部395は、第1下側平面部395Bが第1上側平面部396Aにおけるテープ搬送方向下流側の端部以外の端部のいずれかと接触するように構成されていてもよい。
また、支持受け部392の形状や位置も、前述の実施形態で例示した位置に限られない。例えば、支持受け部392は底面略長方形状であるが、三角形、その他の形状でも構わない。
上記実施形態においては、汎用のカセットが汎用のテープ印字装置にて使用される例を例示したが、何れも必ずしも汎用である必要はない。
また、テープ印字装置1は、必ずしも周辺押え部材911〜914を備えている必要はない。
また、第1実施形態において、説明したテープ印字装置1にテープカセット30を装着して使用する場合、テープ印字装置1の下方向がテープカセット30の下方向と同一となっていた。しかし、これに限定されない。例えば、図33および図34は、変形例に係るテープ印字装置1を示している。図33および図34に示すテープ印字装置1にテープカセット30を装着して使用する場合、テープ印字装置1の下方向が、テープカセット30の上方向と同一となる。つまり、図1のテープ印字装置1と図33のテープ印字装置1とでは、印字を行う際のテープカセット30の上下の位置が反対となる。
図33および図34を参照して、変形例に係るテープ印字装置1について、説明する。図33において、紙面の左下側がテープ印字装置1の前側、紙面の右上側がテープ印字装置1の後側であるとする。また、紙面の右下側がテープ印字装置1の右側、紙面の左上側がテープ印字装置1の左側であるとする。また、紙面の手前側がテープ印字装置1の上側、紙面の奥側がテープ印字装置1の下側であるとする。
変形例にかかるテープ印字装置1の概略構成について説明する。テープ印字装置1は、サーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットが使用可能な汎用のテープ印字装置である。
図33に示すように、テープ印字装置1は略直方体状に形成されている。その上面の後部(図33の紙面右上)には、印刷データや、設定画面等を表示するためのディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の前側(図33の紙面左下側)には、テープ印字装置1を操作するためのキーボード3が設けられている。キーボード3には、文字、記号及び数字等の文字キーや、種々の機能キーが含まれている。また、テープ印字装置1の後面には、印字済テープ50が排出される排出スリット111(図34参照)が設けられている。テープ印字装置1の後側面の右部には、印字済テープ50を幅方向に切断するためのカットボタン4が設けられている。
図33に示すテープ印字装置1の底面には下カバー106が備えられており、下カバー106を取り外すことによって、テープカセット30を脱着できる。つまり、図34に示すように、カセット装着部8は、テープ印字装置1の底面側からテープカセット30を脱着できるように設けられている。ユーザがテープ印字装置1を用いて印字を行う場合には、キーボード3等が備えられている上側の面(図33参照)を上にしてテープ印字装置1の操作が行われる。このため、テープカセット30の上方向が、テープ印字装置1における下方向になる。つまり、図1に示すテープ印字装置1を使用した場合と比較すると、印字を行う際のテープカセット30の上下の位置が反対となっている。
この場合においても、テープカセット30の上ケース311の各規制部が、第1上側平面部396A等を基準として、精度よく成形されているので、テープおよびインクリボン60は、精度よく搬送される。このため、印字品質が向上する。また、下ケース312にも、各規制部が設けられているため、テープおよびインクリボン60はさらに精度よく搬送される。このため、印字品質がさらに向上する。