JP5062212B2 - フランジ部を備える中空構造物の製造方法、フランジ部を備える中空構造物、及びタービン翼 - Google Patents

フランジ部を備える中空構造物の製造方法、フランジ部を備える中空構造物、及びタービン翼 Download PDF

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Description

本発明は、フランジ部を備える中空構造物の製造方法、フランジ部を備える中空構造物、及びタービン翼に関するものである。
従来から、フランジ部を備える中空構造物としては、バンド部が一体化されたタービンの静翼(タービン翼)が知られている。
このようなタービン翼は、従来、金属材料を鋳造することによって製造されていた。ところが、近年においては、タービン翼に対して耐熱性の向上及び軽量化が要求されており、このような要求を満足するために、繊維と該繊維に付着するマトリックスからなる複合材料によってタービン翼を形成することが提案されている。
そして、このような複合材料によってタービン翼を製造する場合には、繊維からなる織物を形成し、当該織物に対してマトリックスを付着形成することによってタービン翼を製造する。
一方で、タービン翼の特に静翼においては、タービン翼の過熱を防止するために、内部が中空とされ、当該中空領域に冷却ガスが供給される。このような冷却ガスは、タービンの作動流体の流路に漏れ出した場合には、作動流体の温度を低下させると共に作動流体の流を乱し、タービン性能を低下させる原因となる。したがって、翼体と該翼体を挟むバンド部とのシール性を高めることがタービン性能の向上につながる。
そして、例えば、フランジ部が一体化された中空構造物によってタービン翼を形成し、当該フランジ部をバンド部として用いることによって翼体とバンド部とのシール性を確保することができる。
さて、このようなフランジ部が一体化された中空構造物を上述の複合材料によって製造する場合には、織物に対して、マトリックスが付着形成されることによってフランジ部となる部分を形成する必要がある。
そして、特許文献1には、織物に対してフランジ部となる部分を形成するための具体的な手法が提案されている。
具体的には、特許文献1においては、筒形状の中空織物の端部に切込を形成し、中空織物の端部を切り開くことによってフランジ部となる部分を形成している。
特許第3978766号公報
しかしながら、特許文献1のように筒形状の中空織物の端部に切込を形成した場合には、元々繊維の同士の結合力が弱い端部近傍の繊維が、切込が形成されることによってさらに繊維同士の結合力が弱まることとなる。
このため、例えば中空織物の端部をフランジ部に合わせて折り曲げる際に、端部近傍の繊維が脱落したり、繊維密度の偏りが生じたりする場合がある。
複合材料の強度は、繊維の密度に依存する。このため、特許文献1の方法では、構造物の個体間で端部の強度バラツキが生じると共に、予め構造物の強度を推測することが困難となる。また、特許文献1の方法では、端部近傍の繊維が脱落したり、繊維密度の偏りが生じたりするため、織物の成形性が悪い。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、フランジ部を備える中空構造物における強度バラツキを抑止し、またこのようなフランジ部を備える中空構造物を容易に製造可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、フランジ部を備える中空構造物の製造方法であって、繊維から形成される筒形状の中空織物に対して、該中空織物の端部に到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込を周方向に複数形成し、上記切込が形成された上記中空織物を周面によって囲われる軸の延在方向に圧縮することによって上記周面から外側に突出する突出部を複数形成し、上記突出部が形成された中空織物を上記中空構造物の形状に矯正してマトリックスを付着形成することによって上記突出部を上記フランジ部とするという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、繊維から形成される板状の板状織物を上記突出部に突き合わせて上記マトリックスを付着形成することによって、上記板状織物を上記フランジ部の一部とするという構成を採用する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記板状織物と上記突出部とを縫い合わせた後に上記マトリックスを付着形成するという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記中空織物が上記軸の延在方向に延在する複数の中央糸と上記軸を中心とする螺旋状に巻回される組糸とを用いたブレーディング織りによって形成されている場合に、上記中央糸の離間間隔の2倍以上の離間間隔で上記切込を周方向に複数形成するという構成を採用する。
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記マトリックスを付着形成する前に、いずれかの上記突出部を切除するという構成を採用する。
第6の発明は、上記第1〜第5いずれかの発明において、上記周方向における上記切込の形成密度が、上記中空構造物の形状に矯正された場合における曲率が大きい領域で相対的に高く、上記中空構造物の形状に矯正された場合における曲率が小さい領域で相対的に低いという構成を採用する。
第7の発明は、上記第1〜第6いずれかの発明において、上記フランジ部を備える中空構造物が、上記フランジ部としてバンド部と一体化されたタービン翼であるという構成を採用する。
第8の発明は、フランジ部を備える中空構造物であって、繊維から形成される筒形状であると共に周方向に端部に到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込が複数形成された中空織物が、周面によって囲われる軸の延在方向に圧縮されることによって上記周面から外側に突出して形成される突出部に対してマトリックスを付着形成することによって少なくとも一部が形成される上記フランジ部を備えるという構成を採用する。
第9の発明は、上記第8の発明において、上記フランジ部が、上記マトリックスが付着形成された突出部と、繊維から形成される板状であると共に上記突出部に突き合わされて上記マトリックスが付着形成された板状織物とを含んで形成されているという構成を採用する。
第10の発明は、上記第9の発明において、上記突出部と上記板状織物とが縫い合わされているという構成を採用する。
第11の発明は、上記第8〜第10いずれかの発明において、上記中空織物が上記軸の延在方向に延在する複数の中央糸と上記軸を中心とする螺旋状に巻回される組糸とを用いたブレーディング織りによって形成されている場合に、上記中央糸の離間間隔の2倍以上の離間間隔で上記切込が周方向に複数形成されているという構成を採用する。
第12の発明は、上記第8〜第11いずれかの発明において、いずれかの上記突出部が切除されているという構成を採用する。
第13の発明は、上記第8〜第12いずれかの発明において、上記周方向における上記切込の形成密度が、曲率が大きい領域で相対的に高く、曲率が小さい領域で相対的に低いという構成を採用する。
第14の発明は、中空の翼体に対して一体形成されたバンド部を備えるタービン翼であって、上記第8〜第13いずれかの発明から形成され、上記バンド部が上記フランジ部によって形成されているという構成を採用する。
本発明においては、繊維から形成される筒形状であると共に端部に到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込が周方向に複数形成された中空織物が、周面によって囲われる軸の延在方向に圧縮されることによって周面から外側に突出する突出部が形成され、当該突出部にマトリックスを付着形成することによってフランジ部が形成される。
つまり、本発明においては、筒形状の中空織物の端部を切り開くことなく複合材料からなるフランジ部が形成される。したがって、中空織物の端部近傍における繊維の結合力を低下させることない。
このため、本発明によれば、中空織物の端部における繊維の脱落や繊維の偏りが生じることを抑制することができ、フランジ部を備える中空構造物における強度バラツキを抑止し、また成形性が向上することによってフランジ部を備える中空構造物を容易に製造することが可能となる。
本発明の一実施形態におけるタービン翼の概略構成を示した斜視図である。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法が有する翼体織物形成工程を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法が有する翼体織物形成工程を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法が有するバンド部織物形成工程を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法が有する組立て工程を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法が有する組立て工程の際の中空織物の斜視図である。 本発明の一実施形態におけるタービン翼の製造方法が有するステッチ工程を説明するための説明図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るフランジ部を備える中空構造物の製造方法、フランジ部を備える中空構造物、及びタービン翼の一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、フランジ部を備える中空構造物が、フランジ部としてバンド部を備えるタービン翼(静翼)である場合について説明する。
図1は、本実施形態のタービン翼1の概略構成を示す斜視図である。タービン翼1は、ジェットエンジン等に搭載されるタービンが静翼であり、翼体2と、翼体2を高さ方向において狭持する一対のバンド部3(3a,3b)とを備えている。
翼体2は、タービンの作動流体の流路途中に設置されるものであり、内部に冷却ガスを供給するための中空領域を備えている。また、バンド部3は、翼体2の端部に一体的に取り付けられており、上記作動流体の流路を形成する。つまり、作動流体は、バンド部3aとバンド部3bとの間において流れ翼体2に沿って流れる。
そして、翼体2とバンド部3と(すなわちタービン翼1)は、セラミックス(例えばSiC)繊維からなる織物に対してセラミックス(例えばSiC)マトリックスが付着形成されたセラミックス基複合材料によって形成されている。
図2は、図1に示す本実施形態のタービン翼1の製造方法を説明するためのフローチャートである。この図に示すように、本実施形態のタービン翼1は、翼体織物を形成する工程(ステップS1)と、バンド部織物を形成する工程(ステップS2)と、組立て工程(ステップS3)と、ステッチ工程(ステップS4)と、マトリックス形成工程(ステップS5)と、機械加工工程(ステップS6)と、コーティング工程(ステップS7)とを有している。
翼体織物を形成する工程(ステップS1)は、主として翼体2に含まれる織物を形成する工程である。
まず、図3に示すように、セラミックス繊維を用いたブレーディング織りによって得られる複数の円筒形状の中空織物10a,10bを半径方向に積層することによって、図4に示すような外周面の周長が翼体2の外周面の周長と一致し、内周面の周長が翼体2の内周面の周長と一致する中空織物10を形成する。なお、図4においては、視認性を向上させるために、中空織物10の表面を滑らかに図示している。
ここで、ブレーディング織りとは、円柱形状のマンドレル周りに、マンドレルの長手方向に延在する複数の中央糸(繊維)と、螺旋状に巻回される組糸(繊維)とを編み込むことによって、中空織物を形成する方法である。このブレーディング織りによって、周面によって囲われる軸L方向に延在する円筒形状の中空織物が形成される。
そして、半径の異なる複数の中空織物10a,10bを、軸Lを重ねて半径方向に連続して積層することによって、図4に示すように周面によって囲われる軸Lを有する円筒形状(筒形状)の中空織物10が形成される。
なお、本実施形態においては、2つの中空織物10a,10bを積層させて中空織物10を形成しているが、これに限られるものではなく、中空織物10は、単一あるいは3つ以上の中空織物によって形成することも可能である。
続いて、図4に示すように、中空織物10に対して、該中空織物10の端部10xに到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込20を周方向に複数形成する。なお、本実施形態においては、タービン翼1が上下に2つのバンド部3を備える構成を有しているため、中空織物10の上方領域と、下方領域との各々の領域に対して、切込20を周方向に複数形成する。このような切込20は、カッター等の切断装置を用いることによって容易に形成することができる。
なお、図4に示すように、中空織物10に形成される切込20は、中空織物10の中央寄りの水平な仮想ラインAから端部10x寄りの水平な仮想ラインBの範囲で軸Lに平行に形成されている。より詳細には、中空織物10の上方領域に形成される切込20は、中空織物10の中央寄りの仮想ラインA1から端部10x寄りの仮想ラインB1の範囲で形成される。また、中空織物10の下方領域に形成される切込20は、中空織物10の中央寄りの仮想ラインA2から端部10x寄りの仮想ラインB2の範囲で形成される。
ここで、周方向に配列される切込20の離間間隔は、一様である必要はないが、少なくとも中空織物10(すなわち中空織物10a,10b)に含まれる中央糸の離間間隔の2倍以上であることが好ましい。
これによって、切込20同士の間には少なくとも2本の中央糸が存在することとなり、これらの複数の中央糸によって切込20同士の間の組糸が保持される。このため、切込20同士の間において繊維同士の結合力が低下することを抑制し、組糸が脱落したり偏ったりすることを抑制することができる。
また、中空織物10は、後の工程において翼体2の形状に矯正されることとなる。そこで、周方向における切込20の形成密度は、中空織物10が翼体2の形状に矯正された場合における曲率が大きい領域で相対的に高く、曲率が小さい領域で相対的に低いことが好ましい。
これによって矯正された際の曲率が大きい領域では、切込20が密に形成されることとなり、中空織物10が柔軟に形状変化させることが可能となり、矯正された際の曲率が小さい領域では、切込20が粗に形成されることとなり、切込20同士の間に存在する中央糸の数が増えて組糸の保持力を増加させることが可能となる。
また、中空織物10を翼体2の形状に矯正した場合に最も大きく曲げられるリーディングエッジとトレーディングエッジに相当する箇所には、当該箇所に合わせ込んで切込20を形成することが好ましい。
そして、翼体織物を形成する工程(ステップS1)においては、以上のような切込20が形成された中空織物10が翼体2に含まれる織物として形成される。
このような翼体織物を形成する工程(ステップS1)が完了すると、続いてバンド部織物を形成する工程(ステップS2)が行われる。なお、バンド部織物を形成する工程(ステップS2)は、翼体織物を形成する工程(ステップS1)よりも前あるいは翼体織物を形成する工程(ステップS1)と並行して行っても良い。
バンド部織物を形成する工程(ステップS2)は、バンド部3に含まれる織物を形成する工程である。
具体的には、セラミックス繊維が編み込まれた板状織物を図5に示すように板状に成型し、さらに翼体2の形状の貫通孔40を形成する。これによって、貫通孔40が形成されると共にセラミックス繊維からなる板状の板状織物30が、バンド部3に含まれる織物として形成される。そして、本実施形態においては、4枚の板状織物30を形成する。
なお、貫通孔40は、カッター等の切断装置を用いた加工やパンチ加工によって容易に形成することができる。
このようなバンド部織物を形成する工程(ステップS2)が完了すると、続いて組立て工程(ステップS3)が行われる。
組立て工程(ステップS3)は、中空織物10と板状織物30とを組み立てる工程である。
まず、中空織物10を2枚の板状織物30の貫通孔40に通し、2枚の板状織物30を、中空織物10の仮想ラインAよりも中空織物10の中央寄りに配置する。なお、貫通孔40が翼体2の形状を有し、中空織物10が円筒形状を有しているが、中空織物10は、容易に変形可能であるため、容易に貫通孔40に通すことができる。そして、中空織物10は、貫通孔40に通されることによって、翼体2の形状に矯正される。
そして、中空織物10を軸Lの延在方向に圧縮することによって、図6に示すように、切込20同士の間の領域を外側に向けて折り曲げて、中空織物10の周面から外側に突出する突出部50を複数形成する。さらに、図6に示すように、予め中空織物10が通された板状織物30を、上方領域の突出部50と下方領域の突出部50との各々に付き合わせる。さらに、図6に示すように、残りの2枚の板状織物30を貫通孔40に中空織物10を挿通させて上方領域の突出部50と下方領域の突出部50との各々に付き合わせる。これによって、中空織物10と板状織物30とが組み立てられる。
図7は、組立て後の中空織物10の形状を示す斜視図である。なお、図7においては、視認性を向上させるために、中空織物10の表面を滑らかに図示している。
そして、本実施形態においては、周方向における切込20の形成密度が、中空織物10が翼体2の形状に矯正された場合における曲率が大きい領域で相対的に高く、曲率が小さい領域で相対的に低い。このため、リーディングエッジに相当する箇所10Aの近傍(曲率の大きい領域)において幅が狭い突出部50が形成され、背側中央及び腹側中央近傍(曲率の小さい領域)において幅が広い突出部50が形成される。
なお、例えば中空織物10の柔軟性を求めるために切込20同士の間隔を中央糸同士の間隔の2倍より小さくした場合には、単一層において中央糸を1本しか含まない突出部50が形成される場合がある。このため、単一層において中央糸を1本しか含まない突出部50が形成された場合には、当該突出部50を切除しても良い。これによって、比較的繊維の脱落や偏りが発生しやすい突出部50を除去できると共にタービン翼1の軽量化を図ることが可能となる。
さらに、本実施形態においては、中空織物10を翼体2の形状に矯正した場合に最も大きく曲げられるリーディングエッジに相当する箇所10Aとトレーディングエッジに相当する箇所10Bには、当該箇所10A,10Bに合わせ込んで切込20が形成されている。このため、リーディングエッジに相当する箇所10Aとトレーディングエッジに相当する箇所10Bには突出部50が形成されず、中空織物10を容易に翼体2の形状に矯正することができる。
なお、後の工程において、中空織物10の内部には、翼体2の中空領域形状のマンドレルを挿入するが、当該マンドレルを、組立て工程(ステップS3)において、あるいは組立て工程(ステップS3)より前に中空織物10に挿入しても良い。
これによって、組立て工程(ステップS3)においてより確実に中空織物10を翼体2の形状に矯正することができる。
このような組立て工程(ステップS3)が完了すると、続いてステッチ工程(ステップS4)が行われる。
ステッチ工程(ステップS4)は、中空織物10の突出部50と板状織物30とを、図8に示すようにセラミックス繊維60によって縫い合わせる工程である。
このようなステッチ工程(ステップS4)が完了すると、続いてマトリックス形成工程(ステップS5)が行われる。マトリックス形成工程(ステップS5)は、組み立てられた織物の繊維にセラミックスマトリックスを付着形成する工程である。より詳細には、中空織物10の内部に翼体2の中空領域形状のマンドレルを挿入した状態で、いわゆる気相含浸法、液相含浸法、固相含浸法によって繰り返し繊維にセラミックスマトリックスを付着形成し、最後にマンドレルを取り外す。
これによって、中空織物10の突出部50を除く部分にセラミックスマトリックスが付着形成されて翼体2が形成され、中空織物10の突出部50と板状織物30とにセラミックスマトリックスが付着形成されてバンド部3が形成される。
機械加工工程(ステップS5)は、マトリックス形成工程(ステップS5)後の構造物の余計な箇所を除去する工程である。より詳細には、例えばバンド部3から翼体2と反対方向に飛び出した箇所等をダイヤモンドカッター等によって切除する。
コーティング工程(ステップS6)は、機械加工工程(ステップS5)後の構造物の表面にコーティング層を形成することによって、構造物の表面を滑らかにする工程である。より詳細には、機械加工工程(ステップS5)後の構造物の表面に対して、気相含浸法等によってセラミックス層をコーティングする。
以上のような本実施形態のタービン翼の製造方法においては、セラミックス繊維から形成される筒形状であると共に端部10xに到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込20が周方向に複数形成された中空織物10が、周面によって囲われる軸Lの延在方向に圧縮されることによって周面から外側に突出する突出部50が形成され、この突出部50とに突き合わされた板状織物30とにセラミックスマトリックスを付着形成することによってバンド部3が形成される。
つまり、本実施形態のタービン翼の製造方法においては、筒形状の中空織物10の端部を切り開くことなくセラミックス基複合材料からなるバンド部3が形成される。したがって、中空織物10の端部近傍における繊維の結合力を低下させることない。
このため、本実施形態のタービン翼の製造方法によれば、中空織物10の端部における繊維の脱落や繊維の偏りが生じることを抑制することができ、タービン翼1における強度バラツキを抑止し、また成形性が向上することによってバンド部3が一体化されたタービン翼1を容易に製造することが可能となる。
また、このような本実施形態のタービン翼の製造方法によって製造される本実施形態のタービン翼1は、セラミックス繊維から形成される筒形状であると共に端部10xに到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込20が周方向に複数形成された中空織物10が、周面によって囲われる軸Lの延在方向に圧縮されることによって周面から外側に突出して形成される突出部50及び該突出部50に突き合わされる板状織物30に対してセラミックスマトリックスを付着形成することによって形成されるバンド部3を備えるものとなる。
そして、このような本実施形態のタービン翼1は、強度バラツキがなく、製造が容易なものとなる。
また、本実施形態のタービン翼の製造方法においては、板状織物30を突出部50に突き合わせてセラミックスマトリックスを付着形成することによって、板状織物30をバンド部3の一部とする。このため、表面が平らなバンド部3を形成することができる。
また、このような本実施形態のタービン翼の製造方法によって製造されたタービン翼1は、バンド部3が、セラミックスマトリックスが付着形成された突出部50と、突出部50に突き合わされてセラミックスマトリックスが付着形成された板状織物30とを含んで形成されるものとなる。そして、このタービン翼1によれば、タービンに取り付けた際に、作動流体の流路を容易に平らなものにすることができる。
また、本実施形態のタービン翼の製造方法においては、板状織物30と突出部50とを縫い合わせた後にセラミックスマトリックスを付着形成する。このため、内部に縫い合わせのセラミックス繊維60を含むバンド部3を形成することができ、バンド部3の強度を向上させることが可能となる。また、本実施形態のタービン翼の製造方法によれば、セラミックスマトリックスを付着形成する際に板状織物30と突出部50とがずれることを抑制し、容易にセラミックスマトリックスを付着形成することができる。
また、このような本実施形態のタービン翼の製造方法によって製造されたタービン翼1によれば、バンド部3に縫い合わせのセラミックス繊維60が含まれたものとなり、バンド部3の強度が向上されたものとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、本発明のフランジ部を備える中空構造物がタービン翼(静翼)である構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジ部を備える中空構造物が、タービン翼(動翼)、ロケットノズル、燃焼器あるいは配管等であっても良い。つまり、本発明は、タービン翼(動翼)の製造方法、ロケットノズルの製造方法、燃焼器の製造方法あるいは配管の製造方法等に適用することができる。
また、上記実施形態においては、繊維としてセラミックス繊維を用い、マトリックスとしてセラミックスマトリックスを用いた構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、繊維として炭素繊維等の他の繊維を用いたり、マトリックスとして炭素マトリックス等の他のマトリックスを用いたりすることも可能である。
また、上記実施形態においては、中空織物10をブレーディング織りによって形成する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、中空織物をフィラメントワインディング等の他の方法で形成しても良い。
また、上記実施形態においては、板状織物30の貫通孔40に中空織物10を挿入することによって板状織物30を突出部50に突き合わせる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、細かい板状織物を中空織物10の周りに複数配置することによって突出部50に板状織物を突き合わせても良い。
また、上記実施形態においては、突出部50の両側に対して板状織物30が突き合わされる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、突出部50のいずれか一方に板状織物30を突き合わせても良い。
また、突出部50に板状織物30を突き合せないことも可能である。この場合には、フランジ部(バンド部)は、マトリックスが付着形成された突出部50のみによって形成されることとなる。
また、突出部50は、見かけ上、2枚の板状織物が重なった形状を有している。そして、板状織物を、突出部50を構成する2枚の板状織物の間に配置させることもできる。
また、上記実施形態においては、切込20が軸Lに平行に延在された構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、切込を軸Lに対して斜めに延在するように形成しても良い。
また、切込を幅広に形成しても良く、さらには切込のエッジを「く」の字状に折り曲げても良い。このような構成を採用することによって突出部50の形状を変化させ、例えば、中空織物10を翼体2の形状に矯正した場合に、突出部50同士が重なることを抑制することも可能となる。
また、上記実施形態においては、周方向に配列される切込20が全ての同一の長さを有し、かつ図4における水平方向にから見て同じ高さに配置される構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、切込の長さが異なっても良く、また全ての切込が水平方向から見て同じ高さに配置される必要はない。
例えば、切込を水平方向から見て斜めに配置した場合には、突出部50が水平方向から見て斜めに配置されてバンド部3が傾斜されることとなり、傾斜した作動流体の流路を容易に形成することが可能となる。
また、上記実施形態のマトリックス形成工程(ステップS5)において、含浸処理の初期段階で突出部50を切除することも可能である。
また、上記実施形態の組立て工程(ステップS3)等において、中空織物10及び板状織物30に対して、液状の接着剤を噴き付けることによって、中空織物10及び板状織物30の形状を固定化するようにしても良い。これによって、繊維の脱落をより確実に防止することが可能となる。
1……タービン翼(フランジ部を備える中空構造物)、2……翼体、3(3a,3b)……バンド部(フランジ部)、10……中空織物、10x……端部、20……切込、30……板状織物、50……突出部、60……セラミックス繊維(繊維)、L……軸

Claims (14)

  1. フランジ部を備える中空構造物の製造方法であって、
    繊維から形成される筒形状の中空織物に対して、該中空織物の端部に到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込を周方向に複数形成し、
    前記切込が形成された前記中空織物を周面によって囲われる軸の延在方向に圧縮することによって前記周面から外側に突出する突出部を複数形成し、
    前記突出部が形成された中空織物を前記中空構造物の形状に矯正してマトリックスを付着形成することによって前記突出部を前記フランジ部とする
    ことを特徴とするフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  2. 繊維から形成される板状の板状織物を前記突出部に突き合わせて前記マトリックスを付着形成することによって、前記板状織物を前記フランジ部の一部とすることを特徴とする請求項1記載のフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  3. 前記板状織物と前記突出部とを縫い合わせた後に前記マトリックスを付着形成することを特徴とする請求項2記載のフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  4. 前記中空織物が前記軸の延在方向に延在する複数の中央糸と前記軸を中心とする螺旋状に巻回される組糸とを用いたブレーディング織りによって形成されている場合に、前記中央糸の離間間隔の2倍以上の離間間隔で前記切込を周方向に複数形成することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  5. 前記マトリックスを付着形成する前に、いずれかの前記突出部を切除することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  6. 前記周方向における前記切込の形成密度が、前記中空構造物の形状に矯正された場合における曲率が大きい領域で相対的に高く、前記中空構造物の形状に矯正された場合における曲率が小さい領域で相対的に低いことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  7. 前記フランジ部を備える中空構造物が、前記フランジ部としてバンド部と一体化されたタービン翼であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物の製造方法。
  8. フランジ部を備える中空構造物であって、
    繊維から形成される筒形状であると共に端部に到達せずかつ外周面から内周面に抜ける切込が周方向に複数形成された中空織物が、周面によって囲われる軸の延在方向に圧縮されることによって前記周面から外側に突出して形成される突出部に対してマトリックスを付着形成することによって少なくとも一部が形成される前記フランジ部を備えることを特徴とするフランジ部を備える中空構造物。
  9. 前記フランジ部は、前記マトリックスが付着形成された突出部と、繊維から形成される板状であると共に前記突出部に突き合わされて前記マトリックスが付着形成された板状織物とを含んで形成されていることを特徴とする請求項8記載のフランジ部を備える中空構造物。
  10. 前記突出部と前記板状織物とが縫い合わされていることを特徴とする請求項9記載のフランジ部を備える中空構造物。
  11. 前記中空織物が前記軸の延在方向に延在する複数の中央糸と前記軸を中心とする螺旋状に巻回される組糸とを用いたブレーディング織りによって形成されている場合に、前記中央糸の離間間隔の2倍以上の離間間隔で前記切込が周方向に複数形成されていることを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物。
  12. いずれかの前記突出部が切除されていることを特徴とする請求項8〜11いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物。
  13. 前記周方向における前記切込の形成密度が、曲率が大きい領域で相対的に高く、曲率が小さい領域で相対的に低いことを特徴とする請求項8〜12いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物。
  14. 中空の翼体に対して一体形成されたバンド部を備えるタービン翼であって、
    請求項8〜13いずれかに記載のフランジ部を備える中空構造物から形成され、前記バンド部が前記フランジ部によって形成されていることを特徴とするタービン翼。
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