JP5060113B2 - クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法 - Google Patents

クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖質等の物質の分離に好適な、クロマトグラフィー用展開溶媒、前記溶媒を利用したクロマトグラフィー法、及び前記クロマトグラフィー法により得られるクロマトグラム、並びに前記クロマトグラフィー法により分離された物質を検出する検出方法に関する。
生体内に存在する脂質やタンパク質のほとんどは、糖鎖を結合した糖脂質や糖タンパク質の状態で存在しており、これらの多くの糖鎖末端には、シアル酸と呼ばれる糖が結合していることが知られている。シアル酸は、ノイラミン酸のアシル誘導体の総称であり、主に糖脂質や糖タンパク質に結合した状態で生体内に広く分布するが、特に細胞表面に多く存在し、細胞の特異的認識機構に重要な役割を果たしているとされている。
例えば、ガングリオシドは、このシアル酸を含有するスフィンゴ糖脂質の総称であり、細胞表面に存在し、細胞の分化・増殖、種々の物質(細菌、ウイルス等)に対するレセプター機能、神経系の修復などに関わる様々な生理活性作用を有していることが知られている。ガングリオシドとしては、GM1、GD1a、GD1b、GT1b、GM2、GM3、GD3など様々な種類が知られており、その種類により機能は異なる。例えば、GM1、GD1aは主に神経細胞や脳の機能に作用し、GM3やGD3は主に細菌やウイルスの上皮細胞への結合阻害に作用することが知られている。これらのガングリオシドを有効利用するためには、精製された各種ガングリオシドを取得することが必要となるが、ガングリオシドを化学合成により得ることは困難であり、したがって、生体内から所望のガングリオシドを分離、分析する技術が必要とされている。
また、シアル酸含有オリゴ糖は、非還元末端にシアル酸を有するオリゴ糖の総称であり、例えば、シアリルラクトース(SL)、シアリルラクトサミン(SLN)など、種々のものが知られている。また、前記シアリルラクトースとしては、シアル酸とラクトース中のガラクトースとの結合様式の違いにより、更に2種類(3’−シアリルラクトース、6’−シアリルラクトース)が知られており、前記シアリルラクトサミンについても同様に2種類が知られている。これらに代表される各種シアル酸含有オリゴ糖は、乳中に比較的多く含まれ、例えば、感染防御機構などに関わる様々な生理活性作用を有していることが知られている。これらのシアル酸含有オリゴ糖についても、その有効利用のため、化学合成により生産することが試みられているが、大量に合成をすることはできない現状にあり、したがって、生体内から所望のシアル酸含有オリゴ糖を分離、分析する技術が必要とされている。
従来、試料中のガングリオシドやシアル酸含有オリゴ糖を分離、分析する技術としては、例えば、非特許文献1で、薄層クロマトグラフィーを利用したシアル酸含有オリゴ糖の分離、分析方法が報告されている。しかしながら、前記非特許文献1に記載された方法では、ガングリオシドとシアル酸含有オリゴ糖とを同時に分離、分析することは困難であるなどの問題があり、したがって、試料中のガングリオシドやシアル酸含有オリゴ糖を効率的に分離、分析できる技術は、未だ確立されていないのが現状である。
Veh RWら;New chromatographic system for the rapid analysis and preparation of colostrum sialyloligosaccharides.J Chromatogr.1981 Aug 7;212(3):313−22.
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、糖質等の物質、中でも特にシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを、明確かつ効率的に分離可能なクロマトグラフィー用展開溶媒、前記溶媒を利用したクロマトグラフィー法、及び前記クロマトグラフィー法により得られるクロマトグラム、並びに前記クロマトグラフィー法により分離された物質を検出する検出方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、クロマトグラフィー用の展開溶媒として、アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液の少なくともいずれかを含む溶媒を用いることにより、糖質等の物質、中でも特にシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを、明確かつ効率的に分離することができるという知見である。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液の少なくともいずれかを含むことを特徴とするクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<2> アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液をともに含む前記<1>に記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<3> アンモニア水を、28%濃度のアンモニア水として0.5体積%相当以下含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<4> アンモニウム塩が、酢酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<5> 更に、アセトニトリル、1−プロパノール、及び、テトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<6> 糖質の分離に用いられる前記<1>から<5>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<7> シアル酸を含有する糖質の分離に用いられる前記<1>から<6>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<8> シアル酸含有オリゴ糖とシアル酸含有糖鎖複合体との分離に用いられる前記<1>から<7>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<9> シアル酸含有糖鎖複合体がガングリオシドである前記<8>に記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<10> 薄層クロマトグラフィー用展開溶媒として使用される前記<1>から<9>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<11> 二次元薄層クロマトグラフィーにおける一次展開溶媒として使用される前記<1>から<10>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<12> ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒と組み合わせて使用される前記<1>から<11>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<13> ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒を二次展開溶媒として使用する際の、二次元薄層クロマトグラフィーにおける一次展開溶媒として使用される前記<1>から<12>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒である。
<14> 前記<1>から<13>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒を使用することを特徴とするクロマトグラフィー法である。
<15> 薄層クロマトグラフィー法である前記<14>に記載のクロマトグラフィー法である。
<16> 二次元薄層クロマトグラフィー法である前記<14>から<15>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法である。
<17> 前記<1>から<13>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒を一次展開溶媒として使用する二次元薄層クロマトグラフィー法である前記<14>から<16>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法である。
<18> 前記<1>から<13>のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒を一次展開溶媒として使用し、かつ、ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒を二次展開溶媒として使用する二次元薄層クロマトグラフィー法である前記<14>から<17>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法である。
<19> 前記<14>から<18>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により得られたことを特徴とするクロマトグラムである。
<20> 前記<14>から<18>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により分離された物質が転写されたことを特徴とする膜である。
<21> 前記<14>から<18>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により分離された物質を検出することを特徴とする検出方法である。
<22> 9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)による蛍光を検出する前記<21>に記載の検出方法である。
<23> 前記<14>から<18>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により分離された物質を試料として用いることを特徴とする質量分析方法である。
<24> 前記<14>から<18>のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により分離された物質の、他の物質に対する結合性を評価することを特徴とする評価方法である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、糖質等の物質、中でも特にシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを、明確かつ効率的に分離可能なクロマトグラフィー用展開溶媒、前記溶媒を利用したクロマトグラフィー法、及び前記クロマトグラフィー法により得られるクロマトグラム、並びに前記クロマトグラフィー法により分離された物質を検出する検出方法を提供することができる。
(クロマトグラフィー用展開溶媒)
本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(以下、単に「展開溶媒」と称することがある)は、アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じて適宜その他の成分を含んでなる。
前記展開溶媒は、例えば、アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液の少なくともいずれか、更に必要に応じて適宜その他の成分を混合することにより、調製することができる。
<アンモニア水、アンモニウム塩水溶液>
−アンモニア水−
前記展開溶媒の調製に用いられる前記アンモニア水の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20〜30%が好ましく、25〜30%がより好ましく、28%が特に好ましい。前記濃度が、20%未満であると、水の体積比が過剰になることがあり、30%を超えると、微量な体積比調整の誤差がクロマトの分離を悪くしたり、また、市販のアンモニア水の入手が困難であることがある。一方、前記濃度が、28%であると、分離に適した溶媒系の体積比調整が容易であり、市販品がそのまま利用できる点で、有利である。
前記展開溶媒の調製に用いられる前記アンモニア水の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記展開溶媒100体積%に対して、28%アンモニア水の量として、0.5体積%以下が好ましく、0.4体積%以下がより好ましく、0.3体積%以下が特に好ましい。前記28%アンモニア水の量として、0.5体積%を超えても、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離は可能であるが、シアル酸含有オリゴ糖間の分離が不明確となることがある。一方、前記28%アンモニア水の量として、0.3体積%以下であると、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離のみならず、シアル酸含有オリゴ糖間の分離もより明確となる点で、有利である。
なお、前記したように、用いるアンモニア水の濃度に特に制限はなく、前記28%アンモニア水以外の濃度のアンモニア水を用いる場合であっても、前記した28%アンモニア水の場合の好ましい使用量相当となるように、使用量を好ましい範囲に適宜調整することができる。
−アンモニウム塩水溶液−
前記アンモニウム塩水溶液におけるアンモニウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ギ酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離に優れるという点では、酢酸アンモニウムが好ましく、また、クロマトグラフィー後に残存した塩を効率的に除去することができ、そのため、分離された物質のTLCプレート上での検出に有利であるという点では、炭酸水素アンモニウムが好ましい。
なお、前記アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記展開溶媒の調製に用いられる前記アンモニウム塩水溶液の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜1.0Mが好ましく、0.4〜0.7Mがより好ましく、0.6Mが特に好ましい。前記濃度が、0.1M未満であると、溶媒系における水の体積比が過剰になることがあり、1.0Mを超えると、溶媒系における有機溶媒の割合が増え、アンモニウム塩が析出することがある。一方、前記濃度が、0.6Mであると、溶媒系におけるアンモニウム塩の濃度を分離に適した割合に調整し易い点で、有利である。
前記展開溶媒の調製に用いられる前記アンモニウム塩水溶液の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記展開溶媒100体積%に対して、0.6Mアンモニウム塩水溶液の量として、20〜45体積%が好ましく、30〜40体積%がより好ましく、35体積%が特に好ましい。前記0.6Mアンモニウム塩水溶液の量として、20体積%未満であると、シアル酸含有オリゴ糖成分の分布範囲が狭くなることがあり、45体積%を超えると、ガングリオシド類の分布範囲が狭くなることがある。一方、前記0.6Mアンモニウム塩水溶液の量として、35体積%であると、シアル酸含有オリゴ糖成分とガングリオシド類がそれぞれの領域で広い範囲で分布する点で、有利である。
なお、前記したように、用いるアンモニウム塩水溶液の濃度に特に制限はなく、前記0.6Mアンモニウム塩水溶液以外の濃度のアンモニウム塩水溶液を用いる場合であっても、前記した0.6Mアンモニウム塩水溶液の場合の好ましい使用量相当となるように、使用量を好ましい範囲に適宜調整することができる。
−使用量比−
前記アンモニア水及び前記アンモニウム塩水溶液は、いずれか一方のみを使用してもよいし、両者を併用してもよい。中でも、各成分のスポットのまとまりが良く、分離が明瞭に検出できる点で、両者を併用することが好ましい。
前記アンモニア水と前記アンモニウム塩水溶液とを併用する際の、前記アンモニア水と前記アンモニウム塩水溶液との使用量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アンモニア水として前記28%アンモニア水を使用し、前記アンモニウム塩水溶液として前記0.6Mアンモニウム塩水溶液を使用した場合、体積比で、28%アンモニア水:0.6Mアンモニウム塩水溶液=0:35〜1:35が好ましく、0.1:35〜0.5:35がより好ましく、0.2:35〜0.4:35が特に好ましい。前記使用量比が、前記好ましい範囲外であると、シアル酸含有オリゴ糖の分離が不十分であることがある。一方、前記使用量比が、前記特に好ましい範囲内であると、シアル酸オリゴ糖各成分が明瞭に分離される点で、有利である。
なお、前記したように、用いるアンモニア水、アンモニウム塩水溶液の濃度に特に制限はなく、前記28%アンモニア水以外の濃度のアンモニア水、前記0.6Mアンモニウム塩水溶液以外の濃度のアンモニウム塩水溶液を用いる場合であっても、前記した28%アンモニア水、0.6Mアンモニウム塩水溶液の場合の好ましい使用量比相当となるように、使用量比を好ましい範囲に適宜調整することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトニトリル、1−プロパノール、テトラヒドロフラン、水、エチレングリコール、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノール等、従来のクロマトグラフィー用展開溶媒に使用され得る各種成分などが挙げられる。なお、安全性の点では、クロロホルムは前記展開溶媒に含まれないことが好ましい。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<pH>
前記展開溶媒のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、弱塩基性(例えば、pH8.8〜9.2)であることが好ましい。前記pHは、例えば、公知のpH測定器を用いて測定することができる。
<調製>
前記展開溶媒の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記したように、前記各成分を適宜混合することにより調製することができる。
<具体例>
前記展開溶媒の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の組成の溶媒系1〜2などが特に好適に挙げられる。
[溶媒系1]
テトラヒドロフラン/アセトニトリル/1−プロパノール/0.6M 酢酸アンモニウム水溶液/28%アンモニア水(5:10:50:35:0.3(体積比))
[溶媒系2]
テトラヒドロフラン/アセトニトリル/1−プロパノール/0.6M 炭酸水素アンモニウム水溶液/28%アンモニア水(5:10:50:35:0.3(体積比))
<用途>
前記展開溶媒は、物質の分離、中でも、糖質の分離を目的としたクロマトグラフィー用展開溶媒として、好適に利用可能である。また、前記展開溶媒は、他の展開溶媒と組み合わせて使用されてもよい。
−糖質−
前記糖質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単糖、オリゴ糖、多糖、糖鎖複合体(例えば、糖脂質、糖タンパク質)などが挙げられる。中でも、前記展開溶媒は、シアル酸を含有する前記糖質の分離に好適に利用可能であり、特に、シアル酸含有オリゴ糖とシアル酸含有糖鎖複合体との分離に好適に利用可能である。ここで、前記シアル酸含有糖鎖複合体としては、シアル酸を含有する糖鎖を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガングリオシド等のシアル酸含有糖脂質、シアル酸含有糖タンパク質などが挙げられる。
−クロマトグラフィー−
前記クロマトグラフィーの種類としては、特に制限はなく、例えば、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィーなどが挙げられる。また、前記薄層クロマトグラフィーとしては、一次元薄層クロマトグラフィーであってもよいし、二次元薄層クロマトグラフィーであってもよい。中でも、前記二次元薄層クロマトグラフィーである場合には、前記展開溶媒は、前記二次元薄層クロマトグラフィーにおける一次展開溶媒として使用されることが好ましい。
−他の展開溶媒との組み合わせ−
前記展開溶媒は、他の展開溶媒と組み合わせて使用されてもよく、例えば、ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒と組み合わせて使用されることが好ましい。例えば、前記した本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒を一次展開溶媒として使用し、更に前記ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒を二次展開溶媒として使用して二次元薄層クロマトグラフィーを行うことにより、一次展開でシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを明確に分離することができ、更に二次展開で各種シアル酸含有オリゴ糖間及び各種ガングリオシド間をより明確に分離することができる。したがって、前記二次元薄層クロマトグラフィーを行うことにより、試料中に含まれるシアル酸含有オリゴ糖及びガングリオシドを、より詳細に分析することが可能となる。
前記ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の溶媒系3〜5などが挙げられる。これらの中でも、シアル酸含有オリゴ糖間の分離に優れる点で、溶媒系3〜4が好ましい。なお、溶媒系3〜4は、本発明者らにより開発された新規溶媒系である。
[溶媒系3]
アセトン/2−プロパノール/ピリジン/水/酢酸(60:60:10:30:3(体積比))
[溶媒系4]
テトラヒドロフラン/アセトン/1−ブタノール/2−プロパノール/ピリジン/水/酢酸(10:30:20:60:10:30:3(体積比))
[溶媒系5]
エタノール/1−ブタノール/ピリジン/水/酢酸(100:10:10:30:3(体積比))
(クロマトグラフィー法)
本発明のクロマトグラフィー法は、前記した本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒を使用して行うことを特徴とする。
前記クロマトグラフィーの種類としては、特に制限はなく、例えば、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィーなどが挙げられる。以下、前記薄層クロマトグラフィーの場合について詳述する。
<薄層クロマトグラフィー>
−移動相、固定相、支持体−
前記薄層クロマトグラフィーにおいては、前記した本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒を移動相として使用する。
前記薄層クロマトグラフィーに使用する固定相としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカゲル、アルミナ、セルロース、アガロース、各種化学修飾担体などが挙げられる。
前記薄層クロマトグラフィーに使用する支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス板、アルミシート、プラスチックシートなどが挙げられる。
−試料−
前記薄層クロマトグラフィーに使用する試料としては、特に制限はなく、各種物質を含む試料の中から目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、糖質を含む試料が好ましい。前記糖質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単糖、オリゴ糖、多糖、糖鎖複合体(例えば、糖脂質、糖タンパク質)などが挙げられる。中でも、前記試料としては、シアル酸を含有する糖質を含む試料であることが好ましく、シアル酸含有オリゴ糖とシアル酸含有糖鎖複合体とを含む試料であることがより好ましい。ここで、前記シアル酸含有糖鎖複合体としては、シアル酸を含有する糖鎖を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガングリオシド等のシアル酸含有糖脂質、シアル酸含有糖タンパク質などが挙げられる。
−展開方法−
前記薄層クロマトグラフィーは、例えば、公知の展開方法を利用して行うことができる。なお、前記薄層クロマトグラフィーは、一次元薄層クロマトグラフィーであってもよいし、二次元薄層クロマトグラフィーであってもよい。中でも、前記薄層クロマトグラフィーが二次元薄層クロマトグラフィーである場合、前記した本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒を一次展開溶媒として使用し、前記ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒を二次展開溶媒として使用することが好ましい。これにより、例えば、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを含む試料を前記試料として使用した場合に、一次展開で、前記シアル酸含有オリゴ糖と前記ガングリオシドとを明確に分離することができ、更に二次展開で、各種シアル酸含有オリゴ糖間及び各種ガングリオシド間をより明確に分離することができる。したがって、前記試料中に含まれるシアル酸含有オリゴ糖及びガングリオシドを、より詳細に分析することが可能となる。
(クロマトグラム)
本発明のクロマトグラムは、前記した本発明のクロマトグラフィー法により得られるクロマトグラムである。
前記クロマトグラムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記試料中の各物質が分離された状態で存在する、前記薄層クロマトグラフィー後のプレート(前記固定相及び前記支持体)などが挙げられる。また、前記クロマトグラムとしては、前記プレートの全体であってもよいし、一部であってもよい。また、前記クロマトグラムとしては、分離された物質の検出前のものであってもよいし、検出後のものであってもよい。
(検出方法)
本発明の検出方法は、前記した本発明のクロマトグラフィー法により分離された物質を検出することを特徴とする。
前記検出は、前記した本発明のクロマトグラフィー法により分離された物質を検出するものであれば特に制限はなく、例えば、前記薄層クロマトグラフィー後のプレート上での検出であってもよいし、後述するような、前記物質が転写された膜上での検出であってもよい。
前記クロマトグラフィー法により分離された物質の検出方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線照射により蛍光を検出する方法、検出用試薬により発色や蛍光を検出する方法などが挙げられる。前記検出用試薬としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レゾルシノール、9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)、オルシノール、α―ナフトール、2−アミノピリジン、ジフェニルアミン、インドール、プリムリン、クーマシーブリリアントブルーなどが挙げられる。これらの中でも、前記クロマトグラフィーの試料としてシアル酸を含有する糖質を使用した場合には、前記糖質を分解することなく検出を行うことができ、そのため、検出後に後述する質量分析や評価方法等への応用が可能である点で、前記ADAMが好ましい。また、前記ADAMは、前記シアル酸を含有する糖質において、前記シアル酸のカルボキシル基に結合するため、カルボキシル基の反応性を妨げることができ、そのため、例えば、後述する質量分析において安定した質量を検出できる点でも、有利である。
[効果・利用]
本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、糖質等の物質、中でも特にシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを明確かつ効率的に分離可能であるので、例えば、これらの物質の分離、精製、分析等に非常に有用である。具体的には、例えば、以下に示すような定量・定性分析、モニタリング、膜転写、質量分析方法、評価方法等に好適に利用可能である。
また、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒は、好ましくは、従来の展開溶媒に一般的に使用されるクロロホルムを含有しないため、安全性の高い点でも、有利である。
−定量・定性分析−
前記クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、例えば、前記クロマトグラフィー法により分離された物質、例えば、シアル酸含有オリゴ糖やガングリオシドの、定量・定性分析に好適に利用可能である。例えば、光学式デンシトメーター等を使用し、前記クロマトグラム上の各物質を分光光学的に測定することにより、前記クロマトグラフィーに供した前記試料中の各物質を定量的に分析することができる。また、例えば、ガングリオシドの酵素分解物を前記試料として用い、前記クロマトグラフィー法を行うことにより、前記ガングリオシドの糖鎖部の分析を行うことができる。
−モニタリング−
前記クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、例えば、前記薄層クロマトグラフィーに適用することにより、カラムクロマトグラフィーのモニタリングに好適に利用可能である。例えば、カラムクロマトグラフィーにより得られた各画分中の物質、例えば、シアル酸含有オリゴ糖やガングリオシドを前記薄層クロマトグラフィーにより確認した後、再度カラムクロマトグラフィーを行うことにより、シアル酸含有オリゴ糖やガングリオシドの精製の効率化を図ることが可能となる。
−膜転写−
前記クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、例えば、前記クロマトグラフィー法により分離された物質、例えば、シアル酸含有オリゴ糖やガングリオシドを、膜に転写することに好適に利用可能である。
前記膜の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PVDF膜、ポジティブチャージのナイロン膜、ニトロセルロース膜、セルロースアセテート膜、ポリビニルアルコール膜などが挙げられる。
前記クロマトグラフィー法により分離された物質の前記膜への転写方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記膜上の物質の検出方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記した本発明の検出方法の項目に記載した通りである。
前記クロマトグラフィー法により分離された物質が転写された膜は、例えば、後述する質量分析方法、評価方法などに好適に利用可能である。
−質量分析方法−
前記クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、例えば、前記クロマトグラフィー法により分離された物質を試料とした質量分析方法に好適に利用可能である。
前記質量分析用の試料としては、前記クロマトグラフィー法により分離された物質であれば特に制限はなく、前記クロマトグラム上の物質であってもよいし、前記膜に転写された膜上の物質であってもよい。また、前記質量分析用の試料には、前記クロマトグラフィー法により分離された物質の少なくとも一部が含まれていればよい。
前記質量分析方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飛行時間型(TOF)質量分析方法、FD−MS、FAB−MS、SI−MS、MALDI−TOFMSなどが挙げられる。
−評価方法−
前記クロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、例えば、前記クロマトグラフィー法により分離された物質の、他の物質に対する結合性を評価する方法に好適に利用可能である。
前記物質としては、前記した本発明のクロマトグラフィー法により分離された物質であれば特に制限はなく、前記クロマトグラム上の物質であってもよいし、前記膜に転写された膜上の物質であってもよい。
また、前記他の物質としては、前記物質との結合性を評価したい物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス、抗体、レクチン、生物の毒素、酵素などが挙げられる。
前記評価方法によれば、例えば、前記クロマトグラフィー法により分離された物質の中から、前記細菌、前記ウイルス等と結合可能な物質を効率的にスクリーニングすることができる。即ち、前記細菌、前記ウイルス等に対する薬剤となり得る物質を効率的にスクリーニングすることができる。
前記評価方法における前記物質と前記他の物質との結合は、前記クロマトグラム上で行われてもよいし、前記物質が転写された膜上で行われてもよい。前記結合の有無を検出する方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、本実施例中、「SL」はシアリルラクトースを、「SLN」はシアリルラクトサミンを表す。
(製造例1:各種展開溶媒の調製)
各種展開溶媒(溶媒系1〜5)を、以下に示す各成分を混合することにより調製した。なお、溶媒系1〜2は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒であり、溶媒系3〜5は、例えば二次元薄層クロマトグラフィーの際、前記溶媒系1〜2と組み合わせて使用されることが好適な展開溶媒である。(溶媒系3〜5中、溶媒系3〜4については、本発明者らにより新たに開発された新規溶媒系である。溶媒系5については、Veh RWら;J Chromatogr.1981 Aug 7;212(3):313−22を参照。)
−展開溶媒の組成−
[溶媒系1]
テトラヒドロフラン/アセトニトリル/1−プロパノール/0.6M 酢酸アンモニウム水溶液/28%アンモニア水(5:10:50:35:0.3(体積比))
[溶媒系2]
テトラヒドロフラン/アセトニトリル/1−プロパノール/0.6M 炭酸水素アンモニウム水溶液/28%アンモニア水(5:10:50:35:0.3(体積比))
[溶媒系3]
アセトン/2−プロパノール/ピリジン/水/酢酸(60:60:10:30:3(体積比))
[溶媒系4]
テトラヒドロフラン/アセトン/1−ブタノール/2−プロパノール/ピリジン/水/酢酸(10:30:20:60:10:30:3(体積比))
[溶媒系5]
エタノール/1−ブタノール/ピリジン/水/酢酸(100:10:10:30:3(体積比))
(実施例1:一次元薄層クロマトグラフィーによるシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離)
<方法>
各種ガングリオシド(約50nmol)に、0.4%TritonX−100を含む20mM酢酸緩衝液(pH5.0)を40μl加え、2分間ソニケーションを行い、完全に溶解した。その溶液に、同じ緩衝液で希釈したエンドグリコセラミダーゼ10μl(2mU)を加え、37℃で16時間反応させて、ガングリオシドをシアル酸含有オリゴ糖とセラミドとに分解した。
TLCプレート上に、シアル酸含有オリゴ糖を含む酵素処理後溶液各種(a)と、酵素処理前(未処理)の各種ガングリオシド(b)とを塗布し、溶媒系1で展開後、レゾルシノール試薬で発色した。
<結果>
結果を図1A及び図1Bに示す。
図1Aは、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を使用することにより、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを明確に分離できたことを示した図である。本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を使用することにより、原点(Origin)と溶媒先端(Front)の中間より下方にシアル酸含有オリゴ糖(SOSs)が分離され、上方にはガングリオシド(gangliosides)が分離されたことがわかる。シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの境界は明確である。なお、図1A中の各レーンは以下の通り。S:3’−SL、1:GM3、2:GM2、3:GM1、4:GD3、5:GD1a、6:GD1b、7:IVNeu5Acα,II(Galβ1−4GlcNAc)−nLcCer、A:ミンククジラ脳からのガングリオシド混合物、レーン1〜7のa:シアル酸含有オリゴ糖を含む酵素処理後溶液各種、レーン1〜7のb:酵素処理前(未処理)の各種ガングリオシド。
図1Bは、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)がシアル酸含有オリゴ糖間の分離にも使用可能であることを示した図である。なお、図1B中の各レーンは以下の通り。1:3’−SLN、2:3’−SL、3:6’−SLN、4:6’−SL、5:3’−SL。
(実施例2:カラムクロマトグラフィーのモニタリング)
<方法>
ウシ初乳から抽出されたオリゴ糖画分を、Bio−Gel P−2(バイオラッド社製)カラムで分画した。フラクションコレクターにて分取した溶出液を、各試験管ごとにTLCプレート上に塗布し、溶媒系1で展開後、レゾルシノール試薬で発色した。
<結果>
結果を図2に示す。図2は、カラムクロマトグラフィーにより分画された各画分中のシアル酸含有オリゴ糖等を、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を用いた薄層クロマトグラフィーにより分析した結果を示した図である。各画分(Fraction)中のシアル酸含有オリゴ糖等を、レゾルシノール(resorcinol)染色により直接測定した従来の方法(図2中、―△―)と比較して、本発明の溶媒系1を用いた薄層クロマトグラフィーでは、より正確に各画分中のシアル酸含有オリゴ糖(sialyloligosaccharides)等が分析できたことがわかる。
(実施例3:二次元薄層クロマトグラフィーによるシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離)
<方法>
前記実施例2で得られた、ガングリオシドとシアル酸含有オリゴ糖を含む画分を集め、凍結乾燥した。凍結乾燥物にメタノールを加え、ガングリオシドとシアル酸含有オリゴ糖を溶かし出し、タンパク質及びペプチド類を除去した。この画分を、乾燥した後に水に溶解し、限外ろ過膜(分画分子量5,000、アミコン社製)にてシアル酸含有オリゴ糖の約80%を除去し、ガングリオシドとシアル酸含有オリゴ糖の含有比率をほぼ1:1に調整した。なお、この操作で特定のシアル酸含有オリゴ糖だけが膜を通過して、シアル酸含有オリゴ糖の組成に大きな変動を与える事が無い事を確認した。限外ろ過膜未通過画分を、TLCプレート(10×10cm)の左から1cm、下端から1cmの位置に塗布(シアル酸量で約5μg)し、溶媒系1で、一次元方向に上端から5mm下方の位置まで展開した(1st)。次いで、TLCプレートを乾燥後、二次元方向(右90度方向)に、上端から5mm下方の位置にまで、溶媒系5で展開し(2nd)、乾燥した後にレゾルシノール試薬で発色した。
<結果>
結果を図3に示す。図3は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を一次元展開溶媒として使用し、更に溶媒系5を二次元展開溶媒として使用して二次元薄層クロマトグラフィーを行うことにより、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとをそれぞれ明確に分析できたことを示した図である。本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を一次元展開溶媒として使用することにより、中間より下方にシアル酸含有オリゴ糖(sialyloligosaccharides)が分離され、上方にはガングリオシド(gangliosides)が分離されたことがわかる。シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの境界は明確である。更に、溶媒系5を2次元展開溶媒として使用することにより、各種シアル酸オリゴ糖間、各種ガングリオシド間がそれぞれ明確に分離されたことがわかる。
(実施例4:アンモニア濃度の影響)
<方法>
HPTLCプレート原点に、3’−シアリルルクトサミン、3’−シアリルラクトース、及び3’−シアリルラクトースと6’−シアリルラクトサミンとの混合試料を塗布し、溶媒系1に添加すべき28%アンモニア水の量を、28%アンモニア水以外の残部100体積%に対し、0、0.1、0.3、0.5、1.0体積%に変化させた溶媒系で展開し、シアル酸含有オリゴ糖の分離に対する28%アンモニア水量の影響を調べた。発色はレゾルシノール法で行った。
<結果>
結果を図4に示す。図4は、溶媒系1のクロマトグラフィー用展開溶媒について、28%アンモニア水の量を変化させた際の、シアル酸含有オリゴ糖間の分離の様子を示した図である。左から、展開溶媒の28%アンモニア水以外の残部100ml中、28%アンモニア水を、それぞれ0、0.1、0.3、0.5、1.0ml添加した。28%アンモニア水を1.0ml添加した場合には、3’−シアリルラクトースと6’−シアリルラクトサミンとの分離がされていないのに対して、0.5ml添加した場合には、3’−シアリルラクトースと6’−シアリルラクトサミンとがやや分離されており、更に、0.3ml以下を添加した場合には、3’−シアリルラクトースと6’−シアリルラクトサミンとが明確に分離されていることがわかる。なお、図4中の各レーンは以下の通り。1:3’−シアリルラクトサミン、2:3’−シアリルラクトース、3:3’−シアリルラクトース+6’−シアリルラクトサミン(*:3’−シアリルラクトース、**:6’−シアリルラクトサミン)。
(実施例5:中性オリゴ糖の分離)
<方法>
シアル酸を含んでいないオリゴ糖であるラクトース及びN−アセチルラクトサミンと、3’−シアリルラクトースとを同時に溶媒系1で展開し、この溶媒系が中性のオリゴ糖も分離できる事を確認した。発色には、50%硫酸を用いた。
<結果>
結果を図5に示す。図5は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)が、シアル酸を含有しないオリゴ糖の分離にも使用可能であることを示した図である。なお、図5中の各レーンは以下の通り。1:ラクトース、2:N−アセチルラクトサミン、3:3’−シアリルラクトース。
(実施例6:各溶媒系の比較)
<方法>
二次元TLCの展開に用いる溶媒系の組み合わせを考慮し、溶媒系1、溶媒系4、及び溶媒系5の、ガングリオシドとシアル酸含有オリゴ糖との分離を比較した。クジラ脳のガングリオシド混合物、シアル酸含有オリゴ糖混合物、及び3’−シアリルラクトースを試料とし、各溶媒系で展開後、レゾルシノール試薬で発色した。
<結果>
結果を図6に示す。図6は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒である溶媒系1、本発明者らの開発した溶媒系4、及び、公知の溶媒系5の、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離を比較した図である。溶媒系1は、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとが明確に分離できていることがわかる。また、溶媒系4は、単独ではシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離はできていないが、シアル酸含有オリゴ糖間の分離には優れるため、溶媒系1と組み合わせての二次元展開に好適であることがわかる。また、溶媒系5は、単独ではシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離はできておらず、また、溶媒系4と比較すると、シアル酸含有オリゴ糖間の分離にも劣ることがわかる。なお、図6中、各レーンは以下の通り。SOSs:シアル酸含有オリゴ糖混合物、G:ガングリオシド混合物、3’−SL:3’−シアリルラクトース。
(実施例7:シアル酸含有オリゴ糖及び遊離シアル酸の分離)
<方法>
溶媒系1、2、4、及び5では、まとまりがやや悪く(テーリングのあるブロードなバンド)、シアル酸含有オリゴ糖と重なる傾向にあった遊離のシアル酸のバンドのまとまりを改善するため、溶媒系3を開発した。シアル酸含有オリゴ糖混合物、3’−シアリルラクトサミン、3’−シアリルラクトース、6’−シアリルラクトサミン、6’−シアリルラクトース、p−ニトロフェニル−N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルノイラミン酸モノマー、N−アセチルノイラミン酸ダイマーを、溶媒系3を用いて分離した。検出はレゾルシノール法で行った。
<結果>
結果を図7に示す。図7は、本発明者らの開発した溶媒系3を使用した際の、シアル酸含有オリゴ糖及び遊離シアル酸の分離の様子を示した図である。溶媒系3を使用することにより、各シアル酸含有オリゴ糖及び遊離シアル酸が明確に分離できたことがわかる。なお、図7中、各レーンは以下の通り。1:シアル酸含有オリゴ糖混合物、2:3’−シアリルラクトサミン、3:3’−シアリルラクトース、4:6’−シアリルラクトサミン、5:6’−シアリルラクトース、6:p−ニトロフェニル−N−アセチルノイラミン酸、7:N−アセチルノイラミン酸モノマー、8:N−アセチルノイラミン酸ダイマー。
(実施例8:ADAMによる検出)
<方法>
TLCプレートを2つ((a)と(b))に区分し、それぞれに試料として、S:シアル酸含有オリゴ糖(3’−SL)と、G:ガングリオシド(GD1a)とを塗布した。溶媒系1で展開後、(a)と(b)とを切り分け、(a)プレートはレゾルシノール試薬で検出し、(b)プレートは9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)試薬で検出した。なお、ADAM試薬による検出は以下のようにして行った。
展開、乾燥後のTLCプレート(b)をADAM/アセトン(0.05質量/容積%)に浸漬し、密閉、遮光の条件下で30分、反応させた。反応後は、アセトンに浸漬し、プレートを軽く揺すり、未反応のADAMを洗い出した後に、乾燥し、UVライト下で観察した。
<結果>
結果を図8に示す。図8は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を用いて分離したシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを、レゾルシノール試薬のみならず、ADAM試薬によっても明確に検出できたことを示した図である。(b)プレート上、水色(明部)の蛍光で検出されるバンドは、(a)プレート上のレゾルシノール陽性のGD1aのバンドに対応していることがわかる。また、(b)プレートには、中間から下方にかけて検出される濃い青色(濃部)として酢酸アンモニウム塩の帯が確認できる。シアル酸含有オリゴ糖(3’−SL)はこの帯の中に分布し、ガングリオシド(GD1a)はこの帯の上方に移動していることがわかる。なお、前記酢酸アンモニウム塩の帯は、PVDF膜に転写後は除去可能であった。
前記結果から、本発明の展開溶媒により分離されたシアル酸含有オリゴ糖やガングリオシドは、9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)を用いても検出可能であることが示された。前記ADAMは、前記シアル酸含有オリゴ糖やガングリオシドを分解することなく検出を行うことができ、そのため、検出後に、後述する質量分析や評価方法等への応用が可能である点で、有利であると考えられる。また、前記ADAMは、前記シアル酸含有オリゴ糖やガングリオシド等、シアル酸を含有する糖質において、シアル酸のカルボキシル基に結合するため、カルボキシル基の反応性を妨げることができ、そのため、例えば質量分析において安定した質量を検出できる点でも、有利であると考えられる。また、酢酸アンモニウム水溶液を含む溶媒系1の代わりに、炭酸水素アンモニウム水溶液を含む溶媒系2等を使用すれば、クロマトグラフィー後にTLCプレート上に残存した塩を効率的に除去することができ、そのため、分離された物質のTLCプレート上での検出に、より有利となると考えられる。
本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒、クロマトグラフィー法、及びクロマトグラム、並びに検出方法は、糖質等の物質の分離、精製、分析等に非常に有用である。
図1Aは、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を使用することにより、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを明確に分離できたことを示した図である。 図1Bは、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)が、シアル酸含有オリゴ糖間の分離にも使用可能であることを示した図である。 図2は、カラムクロマトグラフィーにより分画された各画分中のシアル酸含有オリゴ糖等を、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を用いた薄層クロマトグラフィーにより分析した結果を示した図である。 図3は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を一次元展開溶媒として使用し、更に溶媒系5を二次元展開溶媒として使用して二次元薄層クロマトグラフィーを行うことにより、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとをそれぞれ明確に分析できたことを示した図である。 図4は、溶媒系1のクロマトグラフィー用展開溶媒について、28%アンモニア水の量を変化させた際の、シアル酸含有オリゴ糖間の分離の様子を示した図である。 図5は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)が、シアル酸を含有しないオリゴ糖の分離にも使用可能であることを示した図である。 図6は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒である溶媒系1、本発明者らの開発した溶媒系4、及び、公知の溶媒系5の、シアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとの分離を比較した図である。 図7は、本発明者らの開発した溶媒系3を使用した際の、シアル酸含有オリゴ糖及び遊離シアル酸の分離の様子を示した図である。 図8は、本発明のクロマトグラフィー用展開溶媒(溶媒系1)を用いて分離したシアル酸含有オリゴ糖とガングリオシドとを、レゾルシノール試薬のみならず、ADAM試薬によっても明確に検出できたことを示した図である。

Claims (20)

  1. アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液の少なくともいずれかを含み、シアル酸を含有する糖質の分離に用いられることを特徴とするクロマトグラフィー用展開溶媒。
  2. アンモニア水及びアンモニウム塩水溶液をともに含む請求項1に記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  3. アンモニア水を、28%濃度のアンモニア水として0.5体積%相当以下含む請求項1から2のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  4. アンモニウム塩が、酢酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムの少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  5. 更に、アセトニトリル、1−プロパノール、及び、テトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1から4のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  6. シアル酸を含有する糖質が、シアル酸含有単糖、シアル酸含有オリゴ糖、シアル酸含有多糖、及びシアル酸含有糖鎖複合体から選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  7. シアル酸含有オリゴ糖とシアル酸含有糖鎖複合体との分離に用いられる請求項6に記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  8. シアル酸含有糖鎖複合体がガングリオシドである請求項6から7のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  9. 薄層クロマトグラフィー用展開溶媒として使用される請求項1から8のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  10. 二次元薄層クロマトグラフィーにおける一次展開溶媒として使用される請求項1から9のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  11. ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒と組み合わせて使用される請求項1から10のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  12. ピリジン及び酢酸を含む展開溶媒を二次展開溶媒として使用する際の、二次元薄層クロマトグラフィーにおける一次展開溶媒として使用される請求項1から11のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のクロマトグラフィー用展開溶媒を使用することを特徴とするクロマトグラフィー法。
  14. 薄層クロマトグラフィー法である請求項13に記載のクロマトグラフィー法。
  15. 二次元薄層クロマトグラフィー法である請求項13から14のいずれかに記載のクロマトグラフィー法。
  16. ロマトグラフィー用展開溶媒が、一次展開溶媒である請求項15に記載のクロマトグラフィー法。
  17. リジン及び酢酸を含む展開溶媒が、二次展開溶媒ある請求項15から16のいずれかに記載のクロマトグラフィー法。
  18. 請求項13から17のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により得られたことを特徴とするクロマトグラム。
  19. 請求項13から17のいずれかに記載のクロマトグラフィー法により分離された物質を検出することを特徴とする検出方法。
  20. 9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)による蛍光を検出する請求項19に記載の検出方法。
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