JP5060065B2 - バイオ燃料電池およびバイオ燃料電池用電極 - Google Patents

バイオ燃料電池およびバイオ燃料電池用電極 Download PDF

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Description

本発明は、発電性能が高い(大電力を発生できる)うえ、燃料電池としての安定性に優れ、かつ電子放出能の制御が可能で、小型化および長寿命化も可能なバイオ燃料電池およびバイオ燃料電池用電極に関する。
水素(H2)と酸素(O2)とを結合して水(H2O)を生成する化学反応プロセスにおいて電子(e-)を取り出す燃料電池は、反応によって生成するのは水だけなので現在の化石燃料に取って代わるクリーンなエネルギーとして注目されている。燃料電池には、水素を用いた水素燃料電池やバイオ燃料電池が知られている。
図4に、水素燃料電池の発電原理を示す。図4に示すように、基本となる発電原理はアノード極(燃料極)91に燃料である水素(H2)が注入されると、電極91に固定化された白金などの貴金属触媒が水素(H2)を電子(e-)とプロトン(H+)に分解し、この電子(e-)が電極91から負荷93を介して移動する。プロトン(H+)は固体高分子電解質94を透過して、カソード極92へと移動する。カソード極92では、このプロトン(H+)と、負荷93を介して移動してきた電子(e-)と、外部から導入された酸素(O2)とが反応し、水(H2O)が生成される。
実際に燃料は、天然ガス、メタノール、プロパンなどを改質し、これを水素源として用いるため、燃料である水素を効率よく運搬・分解する技術の開発が急務となっている。
一方、改質なしでメタノール燃料を直接利用する方法(DMFC:直接メタノール型燃料電池)も提案されている。しかし、メタノールは可燃性液体であり、人体や環境に有害であるうえ、電極反応を促すためには、やはり高価な貴金属触媒を用いる必要があった。
上述した水素燃料電池に対して、バイオ燃料電池は、微生物の生物学的能力を活用し、その光合成や代謝活動から電子を抽出しており、低製造コストで、人体や環境に影響の少ない生体触媒(例えば、酵素など)を用いるので、よりクリーンであるという点で優れている。
本発明者らは、酸素発生型光合成を細胞膜上で行い、その過程で伝達される電子を細胞膜の電子伝達担体上に保持するバクテリアに着目し、シアノバクテリアを燃料(電子供与体)とするバイオ燃料電池を開発してきた(特許文献1参照)。このバイオ燃料電池は、シアノバクテリアの光合成や代謝の過程で伝達される電子を、導電性高分子を用いて抽出し、発電させるものである。
特願2004−382170公報
しかし、燃料電池の性能決定因子のひとつであるシアノバクテリア自体の電子放出能力はそもそも低いので、発生する電力は数・W/cm2であり、従来のバイオ燃料電池に比して画期的な電気エネルギー収量ではあるものの、実用的には更なる発生電力が望まれる。また、シアノバクテリアの状態変化により電池性能が不安定となり易い。
本発明は、このような現状を鑑み、より高い発電性能(大電力発生能力)を有し、燃料電池としての安定性に優れ、かつ電子放出能の制御が可能で、小型化および長寿命化も可能なバイオ燃料電池およびバイオ燃料電池用電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々多様な微生物の中で、光合成や代謝活動から水素を生成する水素生成菌に着目した。
そして、本発明者らは、まず、この菌により生成される水素を、従来の燃料電池(図4参照)のようにそのまま燃料として利用するのではなく、むしろ、該菌の水素生成機能を抑制することで、細胞(菌体)内に通常よりも多くの電子(還元力)を蓄積させ、その増強した電気エネルギーを抽出できることの知見を得、さらに電極として炭素繊維を用い、この炭素繊維をポリアニリンで処理した低価格のものを使用するだけで、このポリアニリンによる触媒作用が加わって、上記菌が蓄積する電子の放出機能を高めることができるとの知見を得た。
次に、この知見の下で、水素生成菌の水素生成機能をコントロールすることの可能性について検討を重ねた結果、水素生成菌に遺伝子操作を行うことで、該菌の電子蓄積型や電子放出型の変異体が得られること(すなわち、遺伝子操作によって、水素生成菌の電子放出能の制御が可能になること)をも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のバイオ燃料電池は、アノードとカソードとの間に絶縁性イオン交換膜が介在されてなり、前記アノード側の培養槽に封入される菌として、水素生成機能がコントロールされた水素生成菌を用いることを特徴とする。
前記水素生成菌として、紅色光合成細菌を使用することができる。この紅色光合成細菌は、遺伝子操作を行った電子蓄積型の変異体とすることができる。
また、本発明のバイオ燃料電池用電極は、前記アノードおよび/または前記カソードが、ポリアニリンで処理された炭素繊維からなることを特徴とする。
本発明のバイオ燃料電池では、前述したように水素生成機能がコントロール(制御)された水素生成菌を用いることが重要であり、水素生成菌としては、光合成や代謝活動により水素を生成し、その光合成・代謝過程において伝達される電子を抽出することができる菌であれば、前述した紅色光合成細菌に特に限定されない。
図1に、通常型紅色光合成細菌の光合成および代謝過程における電子伝達・放出の模式図を示す。
紅色光合成細菌21は、従属栄養生物であり、グルコースなどの有機化合物22を吸収して、光エネルギー23を得て光合成を行い、また光合成を行わないときは代謝を行う。この光合成・代謝の過程から水素が生成される(図では、光合成過程をP1で、代謝過程をP2で示す)。
水素(H2)は、酵素nif(Nitrogen fixation)による下式(1)に示される窒素(N2)を細胞内でアンモニア(NH3)へと還元する反応に付随して必然的に生成される。この生成された水素(H2)の一部は、酵素hup(Hydrogen uptake)の下式(2)に示す反応によって細胞内に吸収・分解され、細胞内に還元力として電子(e-)が蓄積される。
2+8H++8e-+16ATP+16H2
→2NH3+H2+16ADP+16Pi (1)
2+NAD+⇔H++NADH (2)
NADP:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
NAD:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
したがって、水素生成機能がコントロールされた水素生成菌としては、例えば、遺伝子操作により水素を生成する酵素(nif)の合成が抑制されたもの(以下、「電子蓄積型の変異体」とも言う)、あるいは、電子を細胞内に回収する酵素(hup)の合成が抑制されたもの(以下、「電子放出型の変異体」とも言う)等を用いることができる。
図1において、電子蓄積型の変異体では、水素生成に関与する酵素nifが発現しないため、水素生成が起こらず、その分の電子が酵素hupにより細胞内に吸収され、通常型よりも多くの電子が細胞内にエネルギーとして存在することになる。一方、電子放出型の変異体では、電子回収に関与する酵素hupが発現しないため、電子を細胞内に吸収する回路が無くなり、水素生成に関与する酵素nifにのみ電子が伝達され、通常型よりも細胞内にエネルギーを蓄積することは出来ないが、多くの水素を生成(放出)することになる。
このような水素生成機能がコントロールされた水素生成菌を用いることで、より高い発電性能を有し、電子放出能の制御が可能なバイオ燃料電池を実現することができる。
遺伝子操作の方法としては、水素生成機能をコントロールすることができれば、特に限定されないが、紅色光合成細菌の場合では、例えば、ゲノム配列が判明している通常型において部位特異的遺伝子欠損を行うことで目的の酵素(nif)の発現を抑えることができる。
本発明のバイオ燃料電池は、10・W/cm2を超える高い発電性能を有し、燃料電池としての安定性に優れており、電子放出能の制御が可能である。
しかも、燃料である水素生成菌を収容する領域さえ確保できれば、小型化に有利であり、このため、腕時計,携帯型電話等の携帯電子機器に搭載する電源をはじめとして、心臓ペースメーカーなど人体埋め込み用電子機器に搭載する電源としても好適である。
さらに、電極として炭素繊維をポリアニリンで処理したものを使用することで、電子の放出機能を高めることができるとともに、低製造コスト化が可能となる。
図2は、本発明のバイオ燃料電池の一実施形態をモデルで示す説明図である。図2においてバイオ燃料電池100は、バイオ燃料電池用電極1と、培養槽21と、酸化還元反応槽22とを備えている。
バイオ燃料電池用電極1は、アノードA,カソードKとなる一対の導電性多孔質膜11,12間に、固体高分子からなる絶縁性イオン交換膜13が介在されて構成されている。
絶縁性イオン交換膜13を介在させることで、導電性多孔質膜11,12間(すなわち、アノードA,カソードK間)の絶縁を行うとともに、導電性多孔質膜11,12間に電気的な勾配を形成することができる。この構成により、プロトン(H+)は導電性多孔質膜11,12を透過し、電子(e-)は導電性多孔質膜11から導電性多孔質膜12に負荷5を介して移動することができる。
カーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素繊維は、電気抵抗値が低く、しかも、炭素繊維を編み込むことで作成されているため、絶縁性イオン交換膜13やポリアニリンと三次元的に接合できるうえ、水素生成菌32との接触面積も増加させることができる。
したがって、導電性多孔質膜11,12としては、水素生成菌32の細胞膜から直接電子を効率よく抽出するために、炭素繊維をポリアニリンで処理する。具体的には、カーボンペーパーおよび/またはカーボンクロス等をポリアニリンで塗布、あるいはポリアニリン溶液中にディッピングした後、急速乾燥するする。なお、水素生成菌32の細胞径よりも、孔が大きく、その孔率(導電性多孔質膜の体積に対する孔の体積)が高いもの(孔数が多いもの)ほど、得られる電力を高いものとすることができる。
炭素繊維の炭素繊維のポリアニリンで処理する、少なすぎると、均一に塗布等することが困難となり、多すぎると、炭素繊維材料上に厚く積層することになり反応に関与しない分が無駄であるため、0.010〜0.020g/cm2程度とすることが好ましく、0.015g/cm2程度がより好ましい。
これら炭素繊維材料には、上記したポリアニリンの他、ポリニュートラルレッド、ポリメチレンブルー等を塗布等することができる。
導電性多孔質膜11,12の厚みは、薄ければ薄いほど、炭素繊維と、ポリアニリン等と、水素生成菌との三者の接触が起こりやすく、電子およびプロトンの伝達が活発に行われ発生電力が増加していくため好ましい。逆に、導電性多孔質膜11,12の厚みが薄すぎると、機械的強度の面で操作が難しくなる等の不都合が生じる。このため、導電性多孔質膜11,12の厚みは、0.3〜0.15mm程度とすればよく、0.1mm程度が最適である。
このバイオ燃料電池用電極1には、一対の導電性多孔質膜11,12の少なくとも一方の、片面または両面に、イオンが通過する導電補助用の金属を形成させてもよい。
また、図2のように、導電性多孔質膜12には、酸化還元物質(図2ではFe(II),Fe(III)で示す)を埋め込んでもよい。
絶縁性イオン交換膜13としては、市販されている「ナフィオン(登録商標:米国Dupon社製)112や117」、「アシプレックス(Aciplex)膜(旭化成社製)」、「フレミオン(Flemion)膜(旭硝子社製)」などを用いることができ、過酸化水素水、硫酸、純水などによるトリートメント処理を行うことにより活性化を行った後に用いるのが良く、絶縁性イオン交換膜13と前記一対の導電性多孔質膜11,12とは、ホットプレスなどにより積層し、一体化させておくと良い。
培養槽21と酸化還元反応槽22とは、バイオ燃料電池用電極1により分離されている。
培養槽21には、水素生成機能がコントロールされた水素生成菌32を含む培養液31が封入されており、培養槽21では水素生成菌32による光合成および代謝(呼吸)が行われている。
なお、図2では説明の便宜上、水素生成菌32を拡大して示してある。
本実施形態では、水素生成機能がコントロールされた水素生成菌32として、紅色光合成細菌(Rhodopseudomonas palustris)の電子蓄積型の変異体(nifHD1d0941株)を用いる。
この紅色光合成細菌の電子蓄積型の変異体(nifHD1d0941株)は、例えば、以下のような方法で得ればよい。
まず、ゲノム配列が判明している紅色光合成細菌(Rhodopseudomonas palustris)の通常型(CGA009株)への部位特異的遺伝子欠損を一般的な方法により行う。
次に、電子蓄積型の変異体(所望の遺伝子欠損株)をスクリーニング(選別)する。目的遺伝子をPCRでクローニングし、制限酵素処理によって目的遺伝子の一部分を欠損させた配列を得て、これをkanamycin耐性遺伝子とsucrose感受性遺伝子(sacRB)を含むプラスミドに組み込み、電気穿孔法(electroporation)にて標的細菌に導入する。プラスミドには標的細菌で保持されないものを選び、kanamycinを含む培地で培養することによって、single crossing over株を得る。得られたsingle crossing over株を、sucroseを含む培地で培養することによって、double crossing over株を得る。理論的には、得られたdouble crossing over株の半数は野生型、半数は所望の遺伝子欠損株となるのでPCRで確認する。
このような遺伝子操作で得られた紅色光合成細菌の変異体(nifHD1d0941株)の培養には、PYS培地、SAY培地などが用いられる。
37℃以上の条件下では生育が難しいため、25〜37℃(好ましくは30℃程度)、24〜72時間(好ましくは48〜72時間)、一般的な白熱灯などの光照射下において培養すればよい。
培養槽21に水素生成菌32と共に封入される培養液31としては、上記のPYS培地、SAY培地などをそのまま用いることができる。
バイオ燃料電池への封入後は、水素生成菌32の光合成活動などを考慮したうえ、該菌の高活性状態を維持するために、培養槽21を室温以上、あるいは体温程度(たとえば、25〜37℃程度)に維持し、光照射下に置くことが好ましい。
酸化還元反応槽22には酸素等が溶けている水4が封入されており、酸化還元反応槽22側では、酸化還元により新たに水(H2O)が生成される。なお、図2には示していないが生成された水に見合うだけの量の水を、バルブ等を介して培養槽21に戻すように構成することもできる。
以下、図2のバイオ燃料電池100の動作を説明する。
なお、水素生成菌32は、光合成過程P1においても代謝過程P2においても、同様に機能する。
培養槽21に注入された水素生成菌32が、導電性多孔質膜11に塗布等されたポリアニリンに接触すると、水素生成菌(細胞)内の電子伝達系から電子(e-)が抽出される。この電子(e-)が外部回路5を通じて、カソード極Kへと移動することで、発電が起こる。
電子抽出と同時に放出されるプロトン(H+)は、濃度勾配により絶縁性イオン交換膜13を透過し、酸化還元反応槽22に移動する。
酸化還元反応槽22では、電子(e-)、プロトン(H+)、空気中の酸素(O2)が反応し、水(H2O)が生成される。この水は、浸透圧により培養槽21へ移動する際、絶縁性イオン交換膜13のプロトン透過性を維持するため、その保湿に利用される。
培養槽21内の有機化合物33としては、例えば、グルコースなどの炭水化物、コハク酸、フマル酸等を用いればよい。
水素生成菌32が、紅色光合成細菌のような従属栄養生物である場合、その代謝活動などに必要とされるエネルギー源として供されるものであり、水素生成菌32が、独立栄養生物である場合は、省略することができる。
また、本発明では、バイオ燃料電池100に酸化還元反応槽22を設けずに、導電性多孔質膜12を空気中に暴しておくこともできる。この場合には、酸化還元反応槽22にH2Oが供給されるように構成することができる。
バイオ燃料電池100に酸化還元反応槽22を設けた場合には、酸化還元物質は酸化還元反応槽22に溶解させておくこともできる。特に、生成されたH2Oを培養槽21に戻す場合には、酸化還元物質(フェロシアン化カリウムあるいはフェリシアン化カリウム)は導電性多孔質膜12に挿入して固定化しておくことが好ましい。
以上のように、導電性多孔質膜12側では、導電性多孔質膜11側から供給される電子を順次消費することで、安定した電気エネルギーを得ることができる。
以下、バイオ燃料電池100の具体的な構成を説明する。
図3(A)はバイオ燃料電池100の分解図であり、図3(B)はバイオ燃料電池100の組立図である。
図3(A),(B)において、バイオ燃料電池100は、バイオ燃料電池用電極1の両面に配置された一対の集電板61,62と、その外側に配置されたOリング71,72と、さらにその外側に配置されたカバー板81,82とを備えている。
バイオ燃料電池用電極1は、図2において説明したものと同じものであり、本例では平面視がほぼ正方形に形成されている。集電板61,62は、平面視外周輪郭がバイオ燃料電池用電極1とほぼ同様の正方形に形成され、大径の円形孔63が空けられ、一辺に端子片64が形成されている。Oリング71,72は、外径が集電板61,62の1辺よりも小さく、内径が集電板61,62に空けられた穴よりも大きく形成されている。アクリル板81,82は、平面視が集電板61,62と同じ正方形状に形成されている。
バイオ燃料電池用電極1は、前述したように絶縁性イオン交換膜13の両面に、導電性多孔質膜11,12(図2参照)を積層することで製造することができる。本例では、絶縁性イオン交換膜13として「ナフィオン(登録商標:米国Dupon社製)117」を使用した。本例ではバイオ燃料電池用電極1の平面視形状は、厚さ0.18mm、一辺40mmの正方形状とした。
「ナフィオン117」には以下の前処理を施し、絶縁性イオン交換膜13とした。この前処理により、「ナフィオン117」に付着した有機物や金属を除去でき、空孔にH+を注入することで「ナフィオン117」を活性化することができる。
・80℃、3%のH22で1時間煮沸
・純水で1時間煮沸
導電性多孔質膜11,12は、0.11mm厚のカーボンペーパーにポリアニリンをデイップ法により浸漬処理することにより、0.4mL(ミリリットル)の量、カーボンペーパーに吸収させた。絶縁性イオン交換膜13と導電性多孔質膜11,12とを、ホットプレス(本例では、150℃、50kg/cm2で3分間)により積層した。
集電板61,62は、厚さ0.3mmの銅板により、ワイヤー放電加工機を用いて作成した。空けられた穴63の径は18mmとしてあり、端子片64は幅3mmとし、正方形角部から長さ20mmの長さ突出させて形成した。
集電板61,62を用いずに導電性多孔質膜11,12から、電子を直接取り出すこともできるが、集電板61,62を用いることで、集電効率を向上させることができる。集電板61,62として、銅板に代えてアルミニウム等の他の導電材料を使用することもできるが、耐腐食性、電気導電率を考慮し銅板とすることが好ましい。
Oリング71,72は、外径26mm、内径18mm、厚さ1.5mmのゴム製とした。このOリング71,72により、バイオ燃料電池用電極1とカバー板81との間に密閉した培養槽21(図2参照)の空間が形成され、バイオ燃料電池用電極1とカバー板82との間に密閉した酸化還元反応槽22(図2参照)の空間が形成される。
水素生成菌を含む培養液の蒸発を防ぐためと、可能な限り密閉することが重要である。
カバー板81,82は、1辺40mm、厚さ2mmのアクリル板により形成した。封入される水素生成菌の光合成活動を考慮し、培養槽21の蓋材となるカバー板81のみを透明とすればよいが、本例ではカバー板81,82の双方を透明アクリル板により形成した。
また、カバー板81,82には、組み付け用の2.6mm径のボルト孔83が四隅(各辺から4mmの位置)に設けてあり、各カバー板81,82には、培養液や水を注入するための2.6mm径の注入孔84を隣接する2辺から15mmの位置に設けてある。
水素生成機能がコントロール(制御)された水素生成菌として、前述した紅色光合成細菌の電子蓄積型の変異体(nifHD1d0941株)を用いた。培養した細菌を培養液と共にシリンジで数mL採取し、カバー板81の注入孔84から注入した。
注入後、常温で負荷(100ル)に電流を流したところ、最大電力密度として、10.1・W/cm2(508mA)のエネルギーを得ることができた。
通常型紅色光合成細菌の光合成・代謝過程における電子伝達・放出の模式図である。 本発明のバイオ燃料電池の一実施形態をモデルで示す説明図である。 具体的なバイオ燃料電池を示す図であり、(A)はバイオ燃料電池の分解図、(B)はバイオ燃料電池の組立図である。 従来の燃料電池の発電原理を示す説明図である。
符号の説明
1 バイオ燃料電池用電極
4 水
5 負荷
11,12 導電性多孔質膜
13 絶縁性イオン交換膜
21 培養槽
22 酸化還元反応槽
31 培養液
32 水素生成菌
33 有機化合物
61,62 集電板
63 円形孔
64 端子片
71,72 Oリング
81,82 カバー板
83 ボルト孔
84 注入孔
100 バイオ燃料電池
A アノード
K カソード

Claims (4)

  1. アノードとカソードとの間に絶縁性イオン交換膜が介在されてなるバイオ燃料電池において、
    前記アノード側の培養槽に封入される菌として、水素生成機能がコントロールされた水素生成菌を用いることを特徴とするバイオ燃料電池。
  2. 前記水素生成菌が、紅色光合成細菌であることを特徴とする請求項1に記載のバイオ燃料電池。
  3. 前記紅色光合成細菌が、遺伝子操作を行った電子蓄積型の変異体であることを特徴とする請求項2に記載のバイオ燃料電池。
  4. 前記アノードおよび/または前記カソードが、ポリアニリンで処理された炭素繊維からなる電極を使用することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のバイオ燃料電池。
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