JP5059550B2 - 無端印字ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、連続気泡を有する多孔質熱可塑性樹脂材料を用い、該樹脂材料にインクを内臓させて回転印に使用する無端印字ベルトに関する。
この種の樹脂シートに台座及び印字部を形成して、インクを内臓させて回転印に使用する無端印字ベルトは公知である(例えば特許文献1,2)。
同様に樹脂シートに印字部を形成してインクを内臓させ、ベルトの側面を溶融固化してインクが滲み出さないようにして回転印に使用する無端印字ベルトも公知である(例えば特許文献3,4)。
特開平11−129595 特開平11−129596 特開2005−205798 特開2005−297461
上記特許文献1,2の先行例は、基材にホットメルトシートを使用し、裏面を平坦面とし、全面インク浸透可能としたものがある。また、この先行例では、基材に非多孔体シートを使用しているものもあるが、裏面は平坦面である。
また、上記特許文献3,4の先行例は、編織物や不織布等の基布を用いた基布付き多孔質印材を使用し、裏面を平坦面とし、全面インク浸透可能としたものであり、印材の側面は溶融固化させてある。
これら先行例は、裏面をインク浸透可能としたものでは、裏面からインクの滲み出しがあり、特に揮発性インクとした場合には、インク揮発損失があるという課題があるとともに、裏面が平坦面であるため、無端印字ベルトの送り移動の際にスリップ作用が生じ、確実な送り作用ができず、印字部の確実な位置決めが困難であるという課題がある。
本発明は、上記の課題に鑑み、裏面からのインクの滲み出しを少なくし、特に揮発性インクの場合、インクの揮発損失を少なくするとともに、印字ベルトの送り作用を円滑とし、印字の確実な位置決めを得ることができるようにし、かつ、ベルト強度を高め、ベルトの変形を抑えることができる新規な無端印字ベルトを提供するものである。
そのために、本発明無端印字ベルトは、連続気孔を有する熱可塑性樹脂を主体とする無端印字ベルトであって、該ベルトの表面は印字面用の表面であり、側面はインク浸透不能となっており、かつ、該ベルトの裏面はインク浸透不能部とインク浸透可能部とを有するものである。
本発明印字ベルトは、上記印字面用の表面にインク浸透可能の印字部を有するものである。
また、本発明印字ベルトは、上記印字面用の表面に印字部を有さないものである。
さらに、本発明無端印字ベルトは、ベルト裏面のインク浸透不能部がベルトの長さ方向とほぼ直角の線状又は面状の凹部を形成し、インク浸透不能部間にインク浸透可能部が凸部を形成し、ベルト裏面が凹凸形状であり、かつ、ベルト裏面の凹凸部がベルト送り時のスリップ防止機能を兼用するものである。
また、本発明無端印字ベルトは、ベルト裏面のインク浸透不能部の面積がベルト裏面全体の面積の30〜70%である。
さらに、本発明無端印字ベルトは、熱可塑性樹脂が軟化点100℃以下のポリオレフィン系高分子化合物を使用する。
本発明において、ベルト表面と裏面の間にシート状物を介在使用する場合には寸法安定性の良い織物や不織布を使用するが、好ましくは薄手の織物を使用する。
また、使用する繊維の種類には特に限定はなく、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、セルロース、ポリオレフィン等の繊維から選ばれたフィラメントやステープルの単独または混用体からなるシート状物が使用できる。
ベルト表面部と裏面部及び上記シート状物とを一体化する方法については特に限定はない。例えば、ベルト表面部を構成する樹脂体と裏面部を構成する樹脂体との間に上記シート状物を挟んで加熱プレスしても良いし、表面部樹脂体と裏面部樹脂体を押出し成形すると同時に上記シート状物を挟んで一体化してもよい。
本発明の無端印字ベルトは、連続気孔を有する熱可塑性樹脂を主体とする無端印字ベルトであって、該ベルトの表面は印字面用の表面であり、側面はインク浸透不能となっており、かつ、該ベルトの裏面はインク浸透不能部とインク浸透可能部とを有するものであるから、裏面からのインクの滲み出しを少なくでき、特に揮発性インクの場合、インクの揮発損失を少なくすることができる効果がある。
本発明の無端印字ベルトは、上記印字面用の表面にインク浸透可能の印字部を有するものであるから、無端印字ベルトの印字面用の表面に、既に印字部が設けられている無端印字ベルトを提供できる効果がある。
また、本発明の無端印字ベルトは、上記印字面用の表面に印字部を有さないものであるから、購買者が自分の望みの文字、模様等の印字部を購入店にて形成することができる効果がある。
本発明の無端印字ベルトは、ベルト裏面のインク浸透不能部がベルトの長さ方向とほぼ直角の線状又は面状の凹部を形成し、インク浸透不能部間にインク浸透可能部が凸部を形成し、ベルト裏面が凹凸形状であり、かつ、ベルト裏面の凹凸部がベルト送り時のスリップ防止機能を兼用するものであるから、裏面のインク浸透不能部がベルト強度を上げ、かつ、ベルトの応力伸び即ち変形を抑える効果があるとともに、ベルト裏面の凹凸形状がベルトの送りを円滑にするだけでなく、印字部の位置決めを確実にする効果がある。
さらに、本発明の無端印字ベルトは、熱可塑性樹脂が軟化点100℃以下のポリオレフィン系高分子化合物であるから、熱可塑性でかつ低融点であり、インク不能部の加工が容易であり、しかも加工精度をよくする効果がある。
本発明における無端印字ベルトの内部に織物等のシート状物を使用する効果としては、ベルト全体としての寸法安定性が向上することがあげられる。シート状物を使用しなくても本発明の場合には寸法安定性が優れているが、特に寸法安定性が要求される大型や長い無端印字ベルト等の場合には内部にシート状物を使用した方がより好ましい。
本発明無端印字ベルトの基礎となる連続気孔を有するシートの作成方法は、基本的に公知技術と同様であるが、本発明では、
主材料として、熱可塑性樹脂であり好ましくは軟化点100℃以下、更に好ましくは80℃以下のポリオレフィン系樹脂を用い、
副材料1として、水溶性化合物又は薬品処理によって水溶性になりうる化合物、例えば、各種水溶性無機塩類、酸処理によって水可溶性に変化する化合物(炭酸カルシウム等)PVA,アルギン酸、砂糖等の有機高分子化合物等を使用し、
副材料2として、主材料と副材料の混合融解を補助する化合物であり、液状又は低融点の水溶性化合物を使用する。例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、アルコール類等を使用し、
副材料3として、顔料、安定剤等を使用する。
また、印面作成の方法は、例えば赤外線、UV等を利用したネガ焼き付け法、凹凸を付与した熱盤の利用等があげられるが、その方法については特に限定しない。
さらに、側面のインク浸出防止法、裏面の凹凸状の作成方法、無端化法は、基本的に加熱体との直接接触法による樹脂自体の融着であるが、その方法については特に限定しない。
ベルト表面と裏面の間にシート状物を介在使用する場合には寸法安定性の良い織物や不織布を使用するが、好ましくは薄手の織物を使用する。
また、使用する繊維の種類には特に限定はなく、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、セルロース、ポリオレフィン等の繊維から選ばれたフィラメントやステープルの単独または混用体からなるシート状物が使用できる。
ベルト表面部と裏面部及び上記シート状物とを一体化する方法については特に限定はない。例えば、ベルト表面部を構成する樹脂体と裏面部を構成する樹脂体との間に上記シート状物を挟んで加熱プレスしても良いし、表面部樹脂体と裏面部樹脂体を押出し成形すると同時に上記シート状物を挟んで一体化してもよい。
図面に示した好ましい実施例により本発明を説明する。
図1,3,5に請求項2に示した本発明の無端印字ベルトを示してあり、図1に斜面図が示してあり、図3にベルトの長手方向に沿う一部の断面図が示してあり、図5に無端印字ベルトの長手方向に直交する断面図が示してある。また、図6にシート状物を挟んで一体化した請求項7に示した無端印字ベルトの一部の断面図が示してある。
図中1が連続気孔を有する熱可塑性樹脂を主体とする無端印字ベルトのベルト本体で、その表面に凸部2及び凹部3が連続して設けてあり、凸部2の表面を印字面用の表面4としてある。このベルト本体1の両側面8はインク浸透不能部である。図1,3,5に示した請求項2の無端印字ベルトでは、該印字用の表面4にインク浸透可能の文字部5を設けてある。
図2,4に請求項3に示した本発明無端印字ベルトを示してある。この発明では、凸部2の両側面8を含む周面と凹部3の底部と裏面の符号6部位をインク浸透不能部としてあるが、凸部2の印字面用の表面4と裏面の符号7部位をインク浸透可能部としてある。つまり、表面4を後加工によって部分的に印字パターンのインク浸透可能部とする。
また、図6に本発明の請求項7に示したシート状物9を挟んで一体化した無端印字ベルトの一部の断面図を示してある。
本発明無端印字ベルトは、その表面の凹凸部の表面にインク浸透可能の印字部5を除く全面をインク浸透不能部としてある。そのために表面を熱溶融固化させてある。
同じくベルトの両側面もインク浸透不能としてあり、同様に側面を熱溶融固化させてある。
次に、本発明無端印字ベルトの特徴となる裏面であるが、インク浸透不能部6とインク浸透可能部7とを交互に凹凸形状に形成してあり、インク浸透不能部6を熱溶融固化して形成してあり、ベルトの長さ方法とほぼ直角の線状または面状の凹部としてある。そしてこのインク浸透不能6,6間にインク浸透可能部7を凸部として形成してある。
インク浸透不能部6の面積の好適範囲は30〜70%であるが、30%未満の場合には揮発防止効果が低く、逆に70%を超えると表面(印字面)へのインク供給の面で問題がある。より好適な範囲は40〜60%である。
次の配合組成からなる混合物
エチレンとα―オレフィンとの共重合体(軟化温度60℃)
13.0重量部
微粉砕した塩化ナトリウム 62.8重量部
ポリプロピレングリコール(分子量600) 24.0重量部
微粒子カーボンブラック 0.2重量部
を攪拌翼付きの混合機に入れて、120℃で20分融解混合した。
ついで、融解混合物を成型機で厚さ3mmのシートに成型し、このシートを40℃の水中で20時間処理し、30℃で10時間乾燥した。
得られたシートは空隙率60%、ゴム硬度40、インク浸透時間20分の微小な連続気泡を有していた。このシートを、熱融断機を用いて幅9.5mm、長さ120mmに溶融切断した。切断部(シート側面)の多孔質部は溶融し、インク浸出しない構造になっていた。
このシートの片面(表面)にポジシートを重ねて赤外線ランプで照射処理し、フラッシュ法によって印字面を作製した。この印字面は赤外線の不透過部のみがインク浸出部となる構造である。
次にシートの裏面に、凹凸熱板を用いて、長さ方向とほぼ直角に、幅2mmごとの段状融着部を形成させた。段状融着部は凹状を呈し、インク浸透不能部を形成していた。このインク浸透不能部の面積は、裏面全体の60%を占めていた。
ついで、シートの長さ方向の両端部を互いに加熱融着させて無端印字ベルトを作製した。得られた無端印字ベルトの引っ張り強度は、印字面のみを有する無端印字ベルトが4.9Kgであり、本発明によるベルトは9.5Kgであった。
また、揮発性インクを装着させてスタンプを作製し、印字面のみにインク浸出不能部を有する通常スタンプと、インクの揮発性について比較検討したが、インク揮発性は通常スタンプに比べて大幅に低下し、インク可使期間が
約1.5倍になることが確認された。
また、非揮発性(不滅)油性インクについても同様に印字テスト及び長期使用テストを実施し、特に問題がないことを確認した。
なお、凹状のインク浸透不能部と凸状のインク浸透部とが、無端印字ベルト自体の送り及びストップ機構となり、送り時のスリップの発生もなかった。
これに対して、印字面のみにインク浸出不能部を形成させた無端印字ベルトは送り時にスリップが発生しやすく、スリップの発生を止めるためにベルトに張力をかけるとベルト自体がクリープを起こしてたるみ現象が発生した。
三層構造(第一層、第三層は熱可塑性多孔質、第二層が織物)である。
次の配合組成からなる混合物
エチレンとα―オレフィンとの共重合体(軟化温度70℃)
14.0重量部
微粉砕した無水硫酸ナトリウム 61.8重量部
ポリエチレングリコール(分子量1500) 24.0重量部
微粒子カーボンブラック 0.2重量部
を攪拌翼付きの混合機に入れて、125℃で20分融解混合した。
ついで、この融解混合物を押し出し成型機で厚さ2mmのシートに成型した。一方ポリエステル50%,ポリプロピレン繊維50%の平織物(目付50g/m2)を作成した。
該織物を中間層として、最下層及び最上層に前記シートを重ね、プレス成型機で厚さ5mmの三層シートに融着成型した。得られた三層シートは混合融解物が織物全体に浸透し、完全に一体化されていた。
このシートを40℃の水中で20時間処理し、30℃で10時間乾燥した。
得られた三層シートは空隙率57%、ゴム硬度42、インク浸透時間30分の性質を有する多孔質体であった。このシートを、熱融断機を用いて幅20mm、長さ120mmに溶融切断した。切断部(シート側面)の多孔質部は溶融し、インク浸出しない構造になっていた。
このシートの片面(表面)にポジシートを重ねて赤外線ランプで照射処理し、フラッシュ法によって印字面を作製した。この印字面は赤外線の不透過部のみがインク浸出部となる構造である。
次にシートの裏面に、平行突部のある加熱板を圧着して、長さ方向とほぼ直角に、幅3mm毎の段状融着部を形成させた。段状融着部は凹状を呈し、インク浸透不能部を形成していた。このインク浸透不能部の面積は、裏面全体の50%を占めていた。
ついで、シートの長さ方向の両端部を互いに加熱融着させて無端印字ベルトを作製した。
さらに、このシートを用いて揮発性インクを装着させてスタンプを作製し、印字面のみにインク伸縮不能部を有する通常スタンプと、インクの揮発性について比較検討したが、インク揮発性は通常スタンプに比べて大幅に低下し、インク使用期間が約1.4倍になることが確認された。
長期使用テストを実施したが、本発明品はたるみや形状変化もなく長期間安定して使用可能であった。
また、非揮発性(不滅)油性インクについても同様に印字テスト及び長期使用テストを実施し、特に問題がないことを確認した。
なお、凹状のインク浸透不能部と凸状のインク浸透部とが、無端印字ベルト自体の送り及びストップ機構となり、送り時のスリップの発生もなかった。
これに対して、印字面のみにインク浸出不能部を形成させた無端印字ベルトは送り時にスリップが発生しやすかった。
請求項2に記載の本発明無端印字ベルトの斜面図。 請求項3に記載の本発明無端印字ベルトの斜面図。 図1に示す無端印字ベルトの長手方向に沿う一部の断面図。 図2に示す無端印字ベルトの長手方向に沿う一部の断面図。 図1に示す無端印字ベルトの長手方向に直交する断面図。 請求項7に記載の本発明無端印字ベルトの長手方向に沿う一部の断面図。
符号の説明
1 ベルト本体
2 凸部
3 凹部
4 印字面用の表面
5 印字部
6 インク浸透不能部
7 インク浸透可能部
8 側面
9 シート状物

Claims (6)

  1. 連続気孔を有する熱可塑性樹脂を主体とする無端印字ベルトであって、該ベルトの表面は印字面用の表面であり、側面はインク浸透不能となっており、かつ、該ベルトの裏面はインク浸透不能部とインク浸透可能部とを有し、ベルト裏面のインク浸透不能部がベルトの長さ方向とほぼ直角の線状又は面状の凹部を形成し、インク浸透不能部間にインク浸透可能部が凸部を形成し、ベルト裏面が凹凸形状であり、かつ、ベルト裏面の凹凸部がベルト送り時のスリップ防止機能を兼用することを特徴とする無端印字ベルト。
  2. 上記印字面用の表面にインク浸透可能の印字部を有する上記請求項1に記載の無端印字ベルト。
  3. 上記印字面用の表面に印字部を有さない上記請求項1に記載の無端印字ベルト。
  4. ベルト裏面のインク浸透不能部の面積がベルト裏面全体の面積の30〜70%である上記請求項1乃至3の何れかに記載の無端印字ベルト。
  5. 熱可塑性樹脂が軟化点100℃以下のポリオレフィン系高分子化合物ある上記請求項1乃至4の何れかに記載の無端印字ベルト。
  6. 連続気孔を有する熱可塑性樹脂を主体とする無端印字ベルトであって、ベルト表面と裏面との間に編織物、不織布等のシート状物が存在し一体化してなる、上記請求項1乃至5の何れかに記載の無端印字ベルト。
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