図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係る物品情報読取装置10について説明する。
図1の平面図には、医療の学習を行う学習施設12が示されている。学習施設12は、周囲を外壁34で囲まれており、学習室14、廊下16、倉庫18によって構成されている。
学習室14の全周に渡って廊下16が配置され、学習室14と廊下16との間には間仕切り壁20が設けられている。また、倉庫18は、廊下16を挟んで学習室14の隣りに配置され、廊下16と倉庫18の間には間仕切り壁22が設けられている。
学習室14には、学習用テーブル26が3つ並んで配置され、略中央の学習用テーブル26付近には、後述する格納体としての移動棚28を搬出入するための出入口30A、30Bが設けられている。
学習室14の周囲には、後述する陳列庫32が、間仕切り壁20と交互に複数設置されている。そして、各陳列庫32には移動棚28がそれぞれ格納されている。
倉庫18の中には、学習室14の周囲に設置された陳列庫32と同じ構成の陳列庫36が、外壁34に沿って5つ設置され、各陳列庫36には移動棚28がそれぞれ格納されている。
また、学習室14の周囲に設置された陳列庫32と同じ構成の陳列庫38が、間仕切り壁22付近に1つ設置されている。この陳列庫38には移動棚28が格納されていない。
さらに、倉庫18の中には、陳列庫に格納されていない6つの移動棚28が保管されている。
間仕切り壁22にも移動棚28を搬出入するための出入口40が設けられている。
図2に示すように、格納体としての移動棚28では、4枚の棚板42A〜42D(上から下に順に42A、42B、42C、42D)が、これらの棚板42A〜42Dの四隅で4本の角柱状の支柱44によって略水平に支持されている。即ち、移動棚28は、板を平らにかけ渡して物品を載せる一般的な棚構造を備えるものである。
支柱44の下端部にはキャスター46が設けられ、これによって移動棚28は水平方向に自由に移動可能となっている。
棚板42A〜42Dの略中央には、板状の仕切部材48A〜48Cが棚板42B〜42Dの上面に対して略垂直にそれぞれ設けられている。仕切部材48A〜48Cの上端部は、これらの仕切部材48A〜48Cの上方に配置された棚板と接合され、仕切部材48A〜48Cの下端部は、これらの仕切部材48A〜48Cの下方に配置された棚板と接合されている。
棚板42A〜42D、支柱44、仕切部材48A〜48Cは、低発泡プラスチックによって形成されている。低発泡プラスチックは、電波に対する反射損失が大きな材料なので(周波数が953MHzの電波に対する反射損失は23dB程度になる)、後述する電波送受信手段としてのアンテナ50や無線タグとしてのRFIDタグ52から発信される電波を透過させることができる。
電波に対する反射損失とは、図3に示すように、ある対象物54に照射された電波56の電界強度に対する、この対象物54に反射した電波58Bの電界強度の減る度合いを示す値である。対象物54の内部で電波が吸収されなければ、電波に対する反射損失が大きいほど、電波に対する対象物の透過性が高く、電波に対する反射損失が小さいほど電波に対する対象物の透過性が低くなる。
図2に示すように、移動棚28の下部には収納スペースが形成されており、ここに実習台62及びキャビネット64が格納される。実習台62及びキャビネット64の底部にはキャスター66、68がそれぞれ設けられ、これによって実習台62及びキャビネット64は水平方向に自由に移動可能となっている。
実習台62及びキャビネット64は、移動棚28に格納した状態で移動棚28に固定できるようにしてもよい。このようにすれば、実習台62及びキャビネット64を移動棚28と一体に移動させることができる。
棚板42B〜42D及び実習台62の上には、医療を学習するための教材(全身模型、胸部模型、頭部模型など)、医療器具、操作マニュアル、及びパソコン等の物品60が置かれている。説明の都合上、図2に示された物品60は全て同じ形状になっているが、全ての物品60が同じ物でなくてもよいし、棚板42B〜42D及び実習台62の全てに物品60が置かれていなくてもよい。
棚板42B〜42D及び実習台62の上に置かれた物品60の側面には、無線タグとしてのRFIDタグ52が備え付けられている。
このRFIDタグ52は、無線交信機能を有するICメモリであり、物品60の物品番号、製造メーカー名、製品名、型番、製造番号、納品日等の情報が記憶されている。また、RFIDタグ52には、953MHzのUHF帯の電波を受信し、さらにはRFIDタグ52に記憶された情報を信号(953MHzのUHF帯の電波)として発信するためのアンテナを備えている。
図2に示すように、移動棚28に備えられた棚構造では、棚板42B、42Cを介して上下に物品60が収納され、また、仕切部材48A〜48Cを介して左右に物品60が収納されている。また、棚板42A〜42D、仕切部材48A〜48C、及び支柱44は、電波を透過する低発泡プラスチックによって形成されている。
即ち、移動棚28は、RFIDタグ52からの電波の発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えている。
実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫32に格納された状態が図4に示されている。図4の5−5断面図である図5、及び図5の6−6断面図である図6に示すように、陳列庫32は、移動棚28が格納される略直方体の物品格納空間1の上側及び左右両側を囲繞する、断面矩形状の管状体とされた門型の導波管70と、陳列庫32の後面側を閉塞する閉塞壁72とにより構成されている。陳列庫32の学習室14側は、開口されている。
図5に示すように、導波管70は、物品格納空間1の左右両側に立設された矩形筒状の左右一対の柱状部70Aと、左右一対の柱状部70Aの上端部を結合する矩形筒状の梁状部70Bとにより構成されており、物品格納空間1の左側から上方側を通されて右側へ延設されている。
梁状部70Bの左右方向中央上部には、四角錐台形状で上方へ突出した電波挿入部70Cが形成されている。この電波挿入部70Cの天面には、アンテナ50が配設されており、このアンテナ50の電波発信部50Aが、電波挿入部70Cの内側に下向きに配設されている。また、梁状部70Bの下面中央部には、アンテナ50の電波受信部50Bが、下向き(物品格納空間1向き)に配設されている。
また、柱状部70Aの物品格納空間1側の側壁70Dにおける上下方向中間部には、矩形状の電波放射口74が、物品格納空間1向きに形成されている。また、柱状部70A及び梁状部70Bは、木材等により形成された基体部Bと基体部Bの管内側全面に被覆された導電性被覆部Eとにより構成されており、内周面全体に導電性が付与されている。
なお、導電性被覆部Eを構成する材料として、953MHzのUHF帯の電波を反射及び遮蔽する機能を有する導電性材料を用いている。この導電性材料としては、合板等にアルミシートを貼り付けたり亜鉛メッキ銅板で構築したりするのが好適である。
図7に示すように、アンテナ50は、情報読取手段としてのリーダライタ装置76に接続され、このリーダライタ装置76は、パーソナルコンピューター78に接続されている。パーソナルコンピューター78は、必要に応じて、RFIDタグ発行器、サーバー、及び情報データベース等につなげてもよい。
図5に示すように、移動棚28が陳列庫32に格納された状態において、パーソナルコンピューター78からの命令によって、リーダライタ装置76を介してアンテナ50の電波発信部から電波が発信される。
そして、物品60に備え付けられたRFIDタグ52に備えられたアンテナがこの電波を受信する。ここで、RFIDタグ52が受けた電波のエネルギーを電力に変換し、この電力を使って、RFIDタグ52に記憶された情報をRFIDタグ52に備えられたアンテナから電波として発信する。
RFIDタグ52から発信された電波はアンテナ50の電波受信部50BによってRFIDタグ52と非接触で受信され、この電波はパーソナルコンピューター78からの命令により情報としてリーダライタ装置76に読み取られる。
なお、陳列庫32に格納された移動棚28には、例えば、その日の学習で使用されるような直ぐに使用される物品60が収納されている。また、陳列庫36に格納された移動棚28には、その週に使用されるような短い期間内に使用される物品60が収納されている。また、陳列庫に格納されずに倉庫18に保管されている移動棚28には、何ヶ月後かに使用されるような長期間使用されない物品60が収納されている。
次に、本実施形態における作用及び効果について説明する。
図1に示すように、学習室14の周囲に設置された陳列庫32の全てには、その日の学習で必要な物品60が収納された移動棚28が格納されている。
まず、学習を開始する前に、陳列庫32に格納された移動棚28の物品収納状態を確認する。
物品収納状態を確認する方法は、まず、パーソナルコンピューター78からの命令によって、リーダライタ装置76を介してアンテナ50の電波発信部50Aから電波を発信する。そして、物品60に備え付けられたRFIDタグ52がこの電波を受信し、この電波のエネルギーを使って、RFIDタグ52に記憶された情報をRFIDタグ52から電波として発信する。RFIDタグ52から発信された電波はアンテナ50の電波受信部50Bによって受信され、この電波はパーソナルコンピューター78からの命令により情報としてリーダライタ装置76に読み取られる。
ここで、図5及び図6に示すように、電波挿入部70Cがアンテナ50の電波発信部50Aから下方側へかけて左右方向外側へ傾斜した四角錐台形状に構成され、また、電波挿入部70Cの内壁に導電性被覆部Eが形成されていることにより、アンテナ50の電波発信部50Aから発信された電波は、左右へ伝播する。
また、梁状部70B及び柱状部70Aの内周面全体が導電性被覆部Eとされていることにより、電波挿入部70Cにより左右に伝播された電波は、梁状部70B内の導電性被覆部Eで反射されてさらに左右へ伝播され、梁状部70Bと柱状部70Aとのコーナー部において下方へ反射されて下方へ伝播される。そして、柱状部70Aで下方へ伝播された電波は、物品格納空間1に向けて開口した電波放射口74から物品格納空間1へ向けて放射される。
ここで、物品格納空間1の上側及び左右両側が門型の導電性管状体である導波管70により囲繞されていることにより、電波放射口74から放射された電波の物品格納空間1の外部への拡散が抑制され、当該物品格納空間1の周囲に配置された他の物品格納空間(以下、他の物品格納空間という)1への電波の飛散が減少される。また、当該物品格納空間1の周囲から当該物品格納空間1へ侵入しようとする電波(以下、外来電波という)が導波管70により遮蔽される。
即ち、門型の導電性管状体である導波管70により物品格納空間1の上側及び左右両側を囲繞したことにより、所謂電波ゾーニングされた物品格納空間1が形成されている。よって、外来電波との干渉を軽減できるため、特定の物品格納空間1に格納された物品60に備え付けられたRFIDタグ52の読取性能を高精度化でき、物品60の管理の確実性を向上できる。
また、電波放射口74から放射された電波を、導波管70により囲繞された物品格納空間1内で伝播させることができ、且つ、電波放射口74を複数形成したことにより、1台のアンテナ50を用いた場合でも、複数箇所から物品格納空間1へ電波を放射させて物品格納空間1の全体をセンシングすることが可能となっている。ここで、例えば、複数台のアンテナ50を設置した場合には、各アンテナ50を所定の遅延時間をもって動作させる必要があるため、設置台数に比例してセンシング時間が増加するが、一方、本実施形態では、アンテナ50の設置台数を削減できているため、センシング時間の短縮化が可能である。また、アンテナ50の設置台数の削減により、コストの低減が可能である。
また、図2に示すように、移動棚28を構成する部材(棚板42A〜42D、支柱44、及び仕切部材48A〜48C)を、電波を透過する低発泡プラスチックによって形成したことによって、RFIDタグ52が移動棚28の部材に覆われてしまうように物品60が移動棚28に収納されてしまった場合においても、このRFIDタグ52を覆っている移動棚28の部材は電波を透過するので、RFIDタグ52は、電波を受信することができ、さらには電波を発信することができる。
即ち、物品60に備え付けられたRFIDタグ52が仕切部材48A〜48C、支柱44、及び棚板42A〜42Dに接しないように物品60を棚板42B〜42D上に置かなくても、RFIDタグ52は、電波を受信することができ、さらには電波を発信することができる。
このように、移動棚28はRFIDタグ52からの信号発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えているので、移動棚28に物品60をまとめて収納しても、物品60に備え付けられたRFIDタグ52の情報をリーダライタ装置76で読み取ることが可能となる。これにより、グループ(移動棚28)単位で物品60を管理することができる。
次に、移動棚28の物品収納状態を確認した結果、学習に必要な物品60が不足していたり、間違った物品60が収納されていたり、又は間違った移動棚28が陳列庫32に格納されていた等の場合には、物品60を補充したり、物品60を個々に交換したり、又は移動棚28毎一括して交換したりする。
このとき、陳列庫32には電波放射口74が設けられているので、移動棚28が陳列庫32に格納された状態においても、移動棚28への物品60の出し入れを行うことができる。
また、物品60は、移動棚28に収納されているので、グループ(移動棚28)単位で一括して管理する物品60を移動させたり、交換したりすることができる。
移動棚28毎一括して交換する場合には、陳列庫32の電波放射口74から移動棚28を学習室14内に引き出した後、移動棚28を、学習室14の出入口30A、30B、廊下16、倉庫18の出入口40の順に移動させて倉庫18に運び込む。そして、ここで正規の移動棚28と交換し、倉庫18の出入り口40、廊下16、学習室14の出入口30A、30Bの順に移動させて元の陳列庫32に格納する。
物品60の補充や交換は、移動棚28毎一括して交換する場合と同様に移動棚28を倉庫18まで移動させて、この倉庫18内で行ってもよい。
次に、学習が開始される。学習中においても、陳列庫32に格納された移動棚28の物品収納状態を情報入手手段によって常に確認し続ける。
これによって、例えば、学習室14にモニターを設けておき、その学習に必要な物品60が移動棚28から取り出されていないときにはその物品60を表示して知らせたり、又は移動棚28から取り出された物品60に対応した学習映像を自動的にモニターに映し出したりすることができる。
また、物品60が移動棚28から取り出された回数を記録し、学習した回数を把握したり、物品60のメンテナンスのタイミングを決めたりすることができる。
さらには、その日に取り出された物品60から、学習の進捗度を把握し、この進捗度に応じて翌日用に設置する移動棚28に収納する物品60を入れ替えることができる。
そして、この他にも、目的に応じて物品情報読取装置10をさまざまな運用形態に適用することができる。
次に、学習が終了したときには、陳列庫32に格納された各移動棚28に所定の物品60が戻されているかを情報入手手段によって確認し、各移動棚28に所定の物品60が戻されていない場合には、例えば、モニターにこの状態を表示し、適切な移動棚28に物品60を戻す(例えば、どの移動棚28の物品60をどの移動棚28に移すといったような)作業手順が示される。また、物品60が消耗品である場合には、情報入手手段によってこの物品60が不足していることがわかるので、この物品60の補充が確実に行われる。
次に、学習が終了した後に、陳列庫32に格納されていた移動棚28を、翌日の学習に必要な移動棚28と交換する。移動棚28の交換方法は、先に説明した(学習に必要な物品60が不足していた等の場合に移動棚28毎一括して交換する)方法と同様である。
倉庫18の陳列庫36には、その週の学習に必要な物品60が収納された移動棚28が格納されているので、この移動棚28と交換するだけでよい。この交換前に、交換する移動棚28の物品収納状態を情報入手手段によって確認すれば、移動棚28の交換間違いを防ぐことができる。
また、倉庫18で、移動棚28に収納されている物品60を個々に交換したり、物品60を移動棚28に補充したりし、その場で翌日の学習内容に応じた物品60が収納された移動棚28を用意して、この移動棚28を移動させて学習室14の周囲に設置された陳列庫32に格納してもよい。
各陳列庫36にそれぞれ格納された移動棚28に収納されている物品60の収納状態は情報入手手段によって確認することができるので、学習内容に応じた物品60が収納された移動棚28を用意する場合において、「どの移動棚28にあるどの物品60をどの移動棚28にあるどの物品60と交換する。」、「どの移動棚28にあるどの物品60をどの移動棚28に移す。」、又は「どの移動棚28にどの物品60を補充する。」等といった物品60の交換、移動、又は補充作業を効率よく行うことができる。
陳列庫に格納されずに倉庫18に保管されている移動棚28には、何ヶ月後かに使用されるような長期間使用されない物品60が収納されている。このような移動棚28に収納されている物品60を予定外に直ぐに使用する必要が生じた際には、間仕切り壁22付近に設置されている陳列庫38にこの移動棚28を格納し、この移動棚28に収納されている物品60の収納状態を情報入手手段によって確認する。
このように、物品情報読取装置10においては、移動棚28と同数の陳列庫を用意しなくても、物品60の管理が必要なときに移動棚28を移動して陳列庫に格納すれば、移動棚28に収納された物品60の情報を把握することができる。即ち、物品情報読取装置10に用いる、電波送受信手段としてのアンテナ50や読取手段としてのリーダライタ装置の数を少なくすることができるので、低コスト化が図れる。
次に、翌日の学習に必要な移動棚28が設置された後も各移動棚28の物品収納状態を陳列庫32、36の情報入手手段によって終日確認し続ける。これにより、物品60の盗難を防止することができる。
なお、第1の実施形態では、移動棚28を低発泡プラスチックによって形成した例を示したが、電波を透過する材料や部材によって形成されていればよく、アクリル板、ペーパーハニカム板等によって移動棚28を形成してもよい。電波に対する反射損失が20dB以上の材料によって移動棚28を形成すれば、より優れた電波に対する透過性能を発揮できるので好ましい。
電波を透過する材料によって形成された移動棚28(特に、棚板42B〜42D)の表面を、フェルト、塩化ビニールシート、ポリ合金、メラミン樹脂等で覆って表面を保護するようにしてもよい。
また、移動棚28の収納構造は、RFIDタグ52からの信号(電波)の発信が可能となるように物品60を収納する収納構造であればよい。即ち、棚板及び仕切部材はどのような形状や配置であってもよいし、例えば、キャビネット等のような棚構造以外の収納構造であってもよい。
また、移動棚28を構成する部材(棚板42A〜42D、支柱44、及び仕切部材48A〜48C)の一部又は全部に複数の穴を設けたり、格子状や網状等の部材によって移動棚28の一部又は全部を形成して電波に対する透過性を向上させたりしてもよい。この場合、移動棚28の一部又は全部は、電波を透過する材料によって形成してもよいし、電波に対する十分な透過性が得られるのであれば電波を透過する材料でなくてもよい。
また、物品60の収納の仕方に応じて移動棚28の一部を電波を透過する材料で形成してもよい。例えば、RFIDタグ52が必ず物品60の側面にくるように物品60を棚板42B〜42D上に置くのであれば、仕切部材48A〜48Cと支柱44だけを電波を透過する材料で形成すればよい。また、図2に示すように、RFIDタグ52を物品60の側面に付加し、物品60を仕切部材48A〜48Cや支柱44に接しないように物品60を棚板42B〜42D上に置くのであれば、電波を透過する材料で移動棚28を形成しなくてもよく、電波の吸収性の低い材料によって形成すればよい。
また、移動棚28、実習台62、キャビネット64にRFIDタグ52を備え付けて、RFIDタグ52に記憶されたこれら(移動棚28、実習台62、キャビネット64)の情報を管理してもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図8(A)、(B)に示すように、本実施形態では、導波管70の柱状部70Aの側壁70Dに、左右一対の上下方向に延在するスリット状の電波放射口80が形成されており、上記電波放射口74と比して物品格納空間1の前後方向の幅を狭くされた電波放射口80から物品格納空間1へと電波が放射される。
これにより、物品格納空間1へ放射される電波の物品格納空間1の前後方向の指向性を向上でき、物品格納空間1の外部への電波の拡散をより一層抑制できる。従って、特定の物品格納空間1に格納された物品60に備え付けられたRFIDタグ52の読取性能をより一層高精度化でき、物品60の管理の確実性をより一層向上できる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1及び第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図9及び図10に示すように、本実施形態では、梁状部70Bの管内における左右方向中央部に、図9の正面視にて三角形状の誘導板82が設けられることにより電波分離部81が形成されている。誘導板82には、上側から下側へかけて左右方向外側へ傾斜した左右一対の傾斜面82Aが設けられている。この傾斜面82Aの表面は導電性被覆部Eにより被覆されている。
また、梁状部70Bの梁成(高さ(上下)方向の内径)H、及び、柱状部70Aの横幅(左右方向の内径)Lは、電波の波長と同等(例えば、波長λ=31.48cmに対して、梁成H=32cm、横幅L=32cm)とされている。
次に、本実施形態における作用及び効果について説明する。
電波挿入部70Cがアンテナ50の電波発信部50Aから下方側へかけて左右方向外側へ傾斜した四角錐台形状に構成され、また、上側から下側へかけて左右方向外側へ傾斜した傾斜面82Aが電波発信部50Aの下方に設けられ、さらに、電波挿入部70Cの内壁及び傾斜面82Aの表面が導電性被覆部Eにより被覆されていることにより、電波発信部50Aから発信された電波が、電波分離部81において左右へ分離される。
電波分離部81において左右に分離された電波は、第1及び第2実施形態と同様に、物品格納空間1の左右両側の電波放射口74へ伝播して、電波放射口74から物品格納空間1へ放射される。
ここで、アンテナ50の電波発信部50Aを物品格納空間1の上方中央部に配置し、当該電波発信部50Aから発信された電波が、物品格納空間1の左右両側に配置された電波放射口74から物品格納空間1へ放射されるように構成したことにより、電波発信部50Aから各電波放射口74までの導波路が左右対称となっている。これにより、各電波放射口74からの電波放射量のバラツキをより小さくできる。
また、電波分離部81においてアンテナ50から発信された電波を左右に分離させたことにより、梁状部70Bの左右方向中央部における電波の減衰を抑制できる。さらに、梁状部70Bの梁成H及び柱状部70Aの横幅Lが電波の波長と同等とされていることから、梁状部70B及び柱状部70Aで伝播する電波の減衰が抑制される。
以上のことから、物品格納空間1内全域において所望の電波強度を確保することが可能となり、もって、RFIDタグ52の読取性能を高精度化でき、物品60の管理の確実性をより一層向上できる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1〜第3実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態では、柱状部70Aの上端部と梁状部70Bの左右両端部との結合部(以下、コーナー部という)70Gの物品格納空間1側には、電波放射口84が形成されている。また、該コーナー部70Gには反射部材としての反射板86が内設されている。この反射板86は、コーナー部70G内の上側隅部に、反射面86Aと電波放射口84とが互いに正面視し合うように配設されている。
また、柱状部70A内における電波放射口84より下側には、反射板88が管内を閉塞するように配設されている。この反射板88の反射面88Aは側壁70D側且つ上方に向けられており、反射面88Aの法線上には、電波放射口74が配置されている。
次に、本実施形態における作用について説明する。
電波発信部50Aから発信されて電波分離部81において左右に分離された電波は、コーナー部70Gにおいて反射面86Aにより下方及び電波放射口84へ反射される。下方へ反射された電波の一部は直接、電波放射口74から物品格納空間1へ放射され、残りは、電波放射口74の下側において反射面88Aにより電波放射口74へ向けて反射され、電波放射口74から物品格納空間1へ放射される。
コーナー部70Gの電波放射口84から物品格納空間1へ放射された電波は、側方及び下方へ伝播され、下側の電波放射口74から放射された電波は、側方及び上下方向へ伝播される。これにより物品格納空間1の全体へ電波が伝播される。
また、コーナー部70Gにおいて、電波が反射面86Aにより下方へ反射されることにより、コーナー部70Gにおける電波量の減衰が抑制され、物品格納空間1への電波放射量の低下が抑制される。
また、コーナー部70Gにおいて、電波が反射面86Aにより電波放射口84へ反射されて電波放射口84から物品格納空間1へ放射されることにより、コーナー部70Gにおける電波減衰量が減少すると共に、物品格納空間1への電波放射量が増加するため、より一層、物品格納空間1への電波放射量の低下を抑制できる。
以上により、物品格納空間1内全域において所望の電波強度を確保することが可能となり、もって、RFIDタグ52の読取性能を高精度化でき、物品60の管理の確実性をより一層向上できる。
なお、図12に示すように、反射板86をR状に湾曲させることにより、コーナー部70Gにおける電波の回折減衰をより一層軽減でき、物品格納空間1への電波放射量の低下をより一層抑制できる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、第1〜第4実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態では、コーナー部70Gの電波放射口84に電波通過量低下部材としてのガラス92が配設されており、電波放射口84が、ガラス94により閉塞されている。
また、図14に示すように、側壁70Dにおける電波放射口84と電波放射口74との間には、左右一対の上下方向に延在するスリット状の電波放射口96が形成されており、電波放射口74、84と比して物品格納空間1の前後方向の幅を狭くされた部80から物品格納空間1へ電波が放射される。
次に、本実施形態における作用について説明する。
電波分離部81において左右に分離された電波は、コーナー部70Gにおいて反射面86Aにより電波放射口84及び下方へ反射される。ここで、電波放射口84がガラス94により閉塞されていることにより、電波放射口84から物品格納空間1への電波放射量が低下される。
一方、反射面86Aにより下方へ反射された電波の一部は、スリット状の電波放射口96から物品格納空間1へ放射され、残りの電波は、電波放射口74から物品格納空間1へ放射される。
コーナー部70Gの電波放射口84から物品格納空間1へ放射された電波は、側方及び下方へ伝播され、電波放射口96、74から放射された電波は、側方及び上下方向へ伝播される。これにより物品格納空間1の全体へ電波が伝播される。
ここで、上下に並べられた複数の電波放射口の中で最も上側に配置された電波放射口84からの電波放射量がガラス94により低下され、該電波放射口84と最も下側に配置された電波放射口74との間に配置された電波放射口96がスリット状に形成されることにより、電波放射量が減ぜられている。これにより、導波管70内において、最も下側に配置された電波放射口74まで十分量の電波を伝播させて当該電波放射口74から十分量の電波を物品格納空間1へ放射させることが可能である。よって、物品格納空間1内全体の電波強度を所望レベル以上まで高めることが可能である。
なお、本実施形態では、上下に並べられた複数の電波放射口の中で上側に位置する一の電波放射口を電波通過量低下部材で閉塞したが、上側に位置する複数の電波放射口を電波通過量低下部材で閉塞してもよい。また、上下に並べられた複数の電波放射口の中で上側に位置する一の電波放射口をスリット状に形成したが、上側に位置する複数の電波放射口をスリット状に形成してもよい。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第1〜第5実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図15(A)、(B)に示すように、本実施形態では、誘導板82が前後2分割されることにより誘導板82の前後方向中央部に平面視にて矩形状の空間82Bが形成されている。また、梁状部70Bの左右方向中央部には、平面視にて空間82Bと重合する矩形状の電波放射口98が形成されている。この電波放射口98はガラス102により閉塞されている。
次に、本実施形態における作用について説明する。
電波発信部50Aから発信された電波の一部は、誘導板82により左右両側に分離されてコーナー部70G(図13参照)へ伝播する。一方、残りの電波は、ガラス102を透過して電波放射口98から物品格納空間1へ放射され、物品格納空間1内で側方及び下方へ伝播する。これにより、物品格納空間1内の各部への電波放射量のバラツキをより小さくできる。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、第1〜第6実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図16及び図17に示すように、本実施形態では、電波挿入部70Cが、梁状部70Bの左右方向中央部の後方側に配設され、誘導板82が、電波挿入部70Cの前方側に電波発信部50Aに対向して配設されている。電波挿入部70Cは、電波受信部50Aの左右両側に配設された平面視にて三角形状の左右一対の誘導板71により構成されている。
ここで、電波受信部50A及び左右一対の誘導板71は、梁状部70Bの後側の立壁70Eに配設されており、電波挿入部70Cは、梁状部70Bの横幅(物品格納空間1の前後方向の幅)内に収められている。
次に、本実施形態における作用について説明する。
電波発信部50Aから発信された電波が、誘導板82により左右に分離されて導波管70内において左右両側の電波放射口74まで伝播され、左右両側の電波放射口74から物品格納空間1へ放射される。
ここで、物品格納空間1の奥行き(物品格納空間1の前後方向の幅)は、格納される棚28の奥行き(物品格納空間1の前後方向の幅)よりも広く取る必要があり、それに合わせて梁状部70Bの横幅(物品格納空間1の前後方向の幅)を広く設定する必要がある。一方、梁状部70Bの梁成(高さ)は、高さ方向のスペース制約上、電波の波長と同等程度にまで抑えている。
本実施形態では、電波挿入部70Cを横向きに倒して梁状部70Bの横幅内に収容し、電波挿入部70Cが梁状部70Bから上方へ突出しないように構成している。即ち、予め広く設定されている梁状部70Bの横幅方向のスペースを有効利用することにより、梁状部70Bが受ける高さ方向のスペース制約に対応している。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。なお、第1〜第7実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図18に示すように、本実施形態では、電波挿入部70Cに、電波発信部と電波受信部とが一体化された電波送受信手段としてのアンテナ51が配設されている。
次に、本実施形態における作用について説明する。
アンテナ51の電波発信部から発信された電波は、電波分離部81において左右に分離されて導波管70内で電波放射口74まで伝播され、電波放射口74から物品格納空間1へ放射された電波は、RFIDタグ52に受信され、この電波のエネルギーにより、RFIDタグ52から電波が発信される。RFIDタグ52から発信された電波は、物品格納空間1内で伝播し、電波放射口74を通過して導波管70内においてさらに伝播し、そして、アンテナ51の電波受信部に受信される。
ここで、アンテナ51の電波受信部を導波管70内に配設したことにより、電波発信部と電波受信部とが一体化されたアンテナ51の使用が可能となっており、アンテナの設置台数の削減が達成されている。
また、アンテナ51の電波受信部を導波管70内に配設したことにより、アンテナ51の受信可能範囲が狭くなることから、センシングエリアを限定することが可能となる。さらに、アンテナ51が導波管70の管外に露出しないため、アンテナ51への物の衝突を防止でき、アンテナ51の破損等を防止できる。
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、医療の学習を行う学習施設12における物品情報読取のために用いられる物品情報読取装置10を例に採って本発明を説明したが、本発明に係る物品情報読取装置は、工場や倉庫や店舗等における物品情報読取の用にも適用可能である。
また、上記実施形態では、導波管を、物品格納空間1の上方側及び側方両側を囲繞する門型の導波管70としたが、例えば、逆U字型(図19(A)参照)、O型(図19(B)参照)、逆V字型(図19(C)参照)、及びロの字型(図19(D)参照)等の他構成の導波管70も適用可能である。その中で、図19(D)に示すように、物品格納空間1の下方側に梁状部70Bを通すことで、物品格納空間1から下階フロアーへの電波の漏洩あるいは下階フロアーから物品格納空間1への外来電波の侵入を抑制するという効果を得ることができる。さらに、電波発信部は、物品格納空間1の上方側に設置するのみならず、図19(B)〜(D)に示すように、物品格納空間1の側方側等、RFIDタグ52の位置等の諸条件を考慮して適当な位置に設置すればよい。
また、上記実施形態では、物品60が物品格納空間1内に存するか否かのみを管理すればよかったことから、RFIDタグ52からの情報の読み取りのみを行い、RFIDタグ52への情報の書き込みについては行っていないが、これらの双方を行ってもよい。