JP5054898B2 - 塩化フタロイルの製造方法 - Google Patents

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    • C07C51/60Preparation of carboxylic acid halides by conversion of carboxylic acids or their anhydrides or esters, lactones, salts into halides with the same carboxylic acid part

Description

本発明は塩化フタロイル(ベンゼン−1,2−ジカルボニルクロライド)を無水フタル酸から製造する新規な方法に関する。
塩化フタロイルの製造は典型的に無水フタル酸をいろいろな塩素導入用作用剤(「塩素化剤」)と反応させることで行われる。
塩素原子を炭素原子上に少なくとも2個持つ物質と無水フタル酸を触媒、例えば塩化亜鉛、塩化アルミニウムまたは塩化鉄などの存在下で反応させることで塩化フタロイルが得られる(特許文献1)。トリクロロメタンまたはテトラクロロメタンを用いて操作を行うのが好適である。しかしながら、そのような反応は250から300℃の範囲の非常に高い温度を要する。加うるに、今日では、トリクロロメタンおよびテトラクロロメタンを産業用反応成分として用いるのは非常に問題である。
無水フタル酸と塩化チオニルまたはベンゾトリクロライドを無水塩化亜鉛の存在下で反応させることで塩化フタロイルを生じさせることが非特許文献1に記述されている。しかしながら、そのような反応もまた高温を必要とする。加うるに、そのような方法でもたらされる生成物の収率および品質は完全には満足されるものでない。特に、所望の塩化フタロイル生成物に特定量の無水フタル酸がまだ溶解している状態で入っている。
また、無水フタル酸を塩化燐(V)(五塩化燐)と反応させることでも塩化フタロイルを得ることができる(非特許文献2)が、同様に、所望生成物の収率は満足される収率ではなく、54%のみである。
無水フタル酸と二塩化トリクロロメチルイソシアニドを塩化鉄(III)の存在下で反応させることでも塩化フタロイルを得ることができる(特許文献2)。しかしながら、そのような反応では二塩化クロロカルボニルイソシアニドが副生成物として生じる。
N,N−ジアルキル置換ホルムアミドを有機化合物が有するヒドロキシル基を塩素または臭素と交換する時に促進剤として用いることとフェノール系化合物とホスゲンを反応させてアリールクロロ蟻酸エステルを生じさせる時に触媒として用いることが特許文献3に記述されている。
その上、分子内無水物とホスゲンを不活性な芳香族溶媒中で反応させることも特許文献4に記述されており、その反応で用いられた触媒は、式RCONR’[式中、Rは水素または炭素原子数が好適には1−4の低級アルキル基であり、そしてR’も同様に炭素原子数が好適には1−4の低級アルキル基である]で表されるカルボキサミドである。この場合、特に、置換されていない環状芳香族二酸の塩化物を対応する分子内無水物から生じさせようとする時に達成される転化率は完全ではない。無水フタル酸とホスゲンの反応をクロロベンゼン中でN,N−ジメチルホルムアミドを触媒として存在させて起こさせることが明白に記述されている。しかしながら、結果として得られる転化率は満足されるものではない。所望生成物である塩化フタロイルと出発材料である無水フタル酸の間の沸点の差があまりにも小さいことが理由で前記出発材料を前記生成物から蒸留で除去することができないことから、生成物の品質を良好にしようとする場合には転化率を非常に高くすることが必須である。
無水フタル酸とホスゲンを不活性溶媒中でN,N−ジアルキルホルムアミドの存在下で反応させることで塩化フタロイルを製造するさらなる方法が特許文献5に開示されている。そのような方法の特徴は、ホルムアミドおよび/またはホスゲンを連続的または半連続的に計量して入れることにある。特定されたホルムアミドの置換基は極めて一般的な直鎖もしくは分枝アルキル基である。特定された好適な基は直鎖もしくは分枝C−C10−アルキル、特にC−C−アルキルである。しかしながら、明白に記述されたN,N−ジアルキルホルムアミドは各場合とも同じ2個のC−C−アルキル置換基を窒素上に有するN,N−ジアルキルホルムアミドのみである。その実施例ではN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N−ジブチルホルムアミド(DBF)触媒が排他的に用いられたが、それらをその記述された方法で用いると望まれない二次的成分である塩化カルバモイルが生じてしまう。DMFを用いた時に生じるジメチルカルバモイルクロライドは発癌性物質であることが知られており、従って、産業的プラントおよび化学的配合で用いるのは非常に望ましくない。DBFを用いた時に生じるジブチルカルバモイルクロライドの毒性は低いが、生じさせるべき生成物である塩化フタロイルの沸点と同様な沸点を有し、従って、それを蒸留で分離するのは可能であるとしてもかなり困難である。加うるに、そのような経路で作られた生成物は望ましくない暗紫色を示す。
米国特許第2,051,096号 ドイツ特許出願公開第20 36 171号 ヨーロッパ特許出願公開第0 050 779号 米国特許第3,810,940号 WO−A−04/022520 J.Am.Chem.Soc.1937、59、206−208 Can.J.Chem.1970、48、3566−3571
従って、本発明の目的は、容易に入手可能な出発材料、例えば無水フタル酸などから塩化フタロイルを容易に入手可能な補助剤を用いてエネルギー強度が受け入れられるように、特に、望まれない副生成物が比較的多量に生じることがないように非常に良好な収率で得ることを可能にする改良を受けさせた方法を提供することにある。
驚くべきことに、塩素導入用作用剤としてホスゲンを用い、特定種のN,N−二置換ホルムアミドを存在させることで、無水フタル酸から出発して所望の塩化フタロイル生成物を高収率かつ非常に良好な純度で得ることが可能になりかつ特に発癌性の副生成物の生成を回避することができることを見いだした。
従って、本発明は、式(I)
Figure 0005054898
で表される塩化フタロイルの製造を式(II)
Figure 0005054898
で表される無水フタル酸とホスゲンを触媒の存在下で反応させることで行う方法を提供し、この方法は、使用する触媒が一般式(III)
Figure 0005054898
[式中、
およびRは、各々独立して、
− 直鎖もしくは分枝C−C22−アルキルまたは直鎖もしくは分枝C−C22−アルケニル、
− C−C−シクロアルキル、
− C−C10−アリール、または
− C−C12−アリールアルキル、
である]
で表されるN,N−二置換ホルムアミドであるが、各RおよびR基が独立して直鎖もしくは分枝C−C22−アルキルまたは直鎖もしくは分枝C−C22−アルケニルである場合には前記N,N−二置換ホルムアミドの総分子量が少なくとも269g/モルであるべきであることを特徴とする。
本発明に従う方法で出発材料として用いるべき前記式(II)で表される無水フタル酸は公知の商業的合成化学品である。
塩素導入用作用剤として用いるホスゲンも同様に公知であり、商業的品質で使用可能である。
本発明に従う方法で用いる一般式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドに関して挙げる置換基を下記の如く定義する。
直鎖もしくは分枝C−C22−アルキルは、炭素原子数が1から22の直鎖もしくは分枝アルキル基、例えばメチル、エチル、および直鎖もしくは分枝プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルまたはドコシル基などである。
直鎖もしくは分枝C−C22−アルケニルは、炭素原子数が2から22の直鎖もしくは分枝アルケニル基、例えばビニル(−CH=CH)、n−プロペ−1−エン−1−イル(−CH=CH−CH)、アリル−(−CH−CH=CH)、n−ブテ−1−エン−1−イル(−CH=CH−CH−CH)、n−ブテ−2−エン−1−イル(−CH−CH=CH−CH)、オレイル(−(CH−CH=CH−(CH−CH)またはリノレイル(−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CH−CH)などである。
およびRが各々直鎖もしくは分枝C−C22−アルキルまたは直鎖もしくは分枝C−C22−アルケニル基である時、結果として得られる式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドが有する総分子量は少なくとも269g/モルであるべきである。
好適な組み合わせでは、総分子量が少なくとも269g/モルであると言った前記条件を満たすと同時に、RおよびRが各々独立して直鎖もしくは分枝C−C22−アルキルまたはアルケニル基、より好適には直鎖もしくは分枝C−C20−アルキルまたはアルケニル基であり、特に好適にはRおよびR基の両方が各々同じ直鎖もしくは分枝C−C18−アルキルまたはアルケニル基である。
好適なさらなる組み合わせでは、総分子量が少なくとも269g/モルであると言った前記条件を満たすと同時に、Rが直鎖もしくは分枝C−C−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはt−ブチルなどでありそしてRが直鎖もしくは分枝C−C22−アルキルまたはアルケニル基、特に直鎖もしくは分枝C11−C20−アルキルまたはアルケニル基である。
一般式(III)中のC−C−シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好適である。
好適な組み合わせでは、RおよびRが各々独立してC−C−シクロアルキル基であり、好適にはRおよびR基の両方が各々同じC−C−シクロアルキル基であり、特にRおよびR基の両方が各々シクロペンチルまたはシクロヘキシル基である。
一般式(III)中のC−C10−アリールは炭素原子数が6から10の芳香基である。好適なアリール基はフェニルおよびナフチルである。
一般式(III)中のC−C12−アリールアルキルはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルまたはナフチルエチル基である。
一般式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの例には下記が含まれる:
− N,N−ジオクチルホルムアミド、
− N,N−ジノニルホルムアミド、
− N,N−ジデシルホルムアミド、
− N,N−ジウンデシルホルムアミド、
− N,N−ジドデシルホルムアミド、
− N,N−ジトリデシルホルムアミド、
− N,N−ジテトラデシルホルムアミド、
− N,N−ジペンタデシルホルムアミド、
− N,N−ジヘキサデシルホルムアミド、
− N,N−ジオクタデシルホルムアミド(=N,N−ジステアリルアミド)、
− N−メチル−N−ステアリルホルムアミド、
− N−エチル−N−ステアリルホルムアミド、
− N,N−ジシクロペンチルホルムアミド、
− N,N−ジシクロヘキシルホルムアミド、
− N,N−ジベンジルホルムアミド、
− N−メチル−N−ベンジルホルムアミド、
− N−メチル−N−ナフチルメチルホルムアミド。
そのようなN,N−二置換ホルムアミドは商業的に入手可能な公知の有機合成化学品または反応体である。また、特許文献3に記述されている方法の原理を用いて、それらの製造を式HNRで表される対応するアミンと蟻酸を高温で反応させることで行うことも可能である。この反応は無溶媒ばかりでなくまた不活性溶媒を用いることでも実施可能である。有用な不活性溶媒は、本発明の反応に関して以下に述べる溶媒と同じ溶媒である。前記式HNRで表されるアミンと蟻酸の反応で得た反応混合物からN,N−二置換ホルムアミドを前以て単離する必要なくそれを本発明の反応で直接用いることができる。
本発明に従う方法を典型的には20から150℃、好適には40から120℃、特に55から100℃の範囲内の温度で実施する。
本発明に従う方法を一般的には標準的圧力下で実施する。しかしながら、また、本発明に従う方法を加圧または減圧下、一般に0.1から50バールの範囲、好適には1から10バールの範囲の圧力下で実施することも可能である。
本発明に従う方法を実施する時、ホスゲンを前記式(II)で表される無水フタル酸1モル当たり一般に1.0モルから3.0モル、好適には1.4モルから2.2モル用いる。
その上、前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを前記式(II)で表される無水フタル酸1モルを基準にして0.01から0.20モル、好適には0.02から0.10モルの総量で用いる。
本発明に従う方法は実際上いろいろな様式で実施可能である。
従って、ホスゲンおよび触媒を計量添加する変法はいくつか存在し、1つの変法では、最初に無水フタル酸を反応槽に仕込んだ後、ホスゲンおよび触媒の各々を独立して連続的または「半連続的」に計量して入れる(metered in)。
本発明の文脈における連続的は、個々の反応成分(ホスゲンおよび/またはN,N−二置換ホルムアミド)を反応混合物に反応時間全体に渡って連続的かつ均一に計量して入れることを意味する。
本発明の文脈における「半連続的」は、個々の反応成分(ホスゲンおよび/またはN,N−二置換ホルムアミド)を分割して反応混合物に限定した時間的間隔で計量して入れることを意味する。個々の部分を好適には同じ大きさにしそして個々の時間的間隔を好適には同じ長さにする。
1つの変法では、ホスゲンと前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの両方を連続的に計量して入れる。
別の変法では、ホスゲンと前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの両方をいくつかの部分に分割して「半連続」的に計量して入れる。
さらなる変法では、ホスゲンを連続的に計量して入れながら前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドをいくつかの部分に分割して「半連続」的に計量して入れる。
さらなる変法では、前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを連続的に計量して入れながらホスゲンをいくつかの部分に分割して「半連続」的に計量して入れる。
最初に無水フタル酸を不活性な溶媒に溶解させて仕込むのが好適である。
有用な不活性溶媒は特に炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど、およびハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼンなどである。トルエンおよびクロロベンゼンが不活性溶媒として特に好適である。しかしながら、また、無水フタル酸を溶解させる目的で塩化フタロイルを溶媒として用いることも可能である。
典型的には、前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドも同様に不活性溶媒に溶解させて計量して入れるが、この場合に有用な溶媒はこの上に既に挙げた溶媒であり、前記無水フタル酸の場合の溶媒と同じ溶媒を選択するのが好適である。
しかしながら、また、前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを溶媒無しに計量して入れることも可能である。それが固体の場合、好適には、それを最初に溶融させた後に溶融物として計量して入れる。
本発明に従う方法のさらなる態様では、最初に前記無水フタル酸を前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの全量または一部と一緒に不活性溶媒に入れて仕込む。特にN,N−ジシクロヘキシルホルムアミドの場合、最初にその全体量を無水フタル酸と一緒に反応槽に仕込んだ後、その混合物を反応温度になるまで加熱しそして次にホスゲンを連続的または「半連続的」に計量して入れるのが有効であることを見いだした。しかしながら、また、最初に前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの一部(2モル%以下)を無水フタル酸と一緒に仕込んだ後にその混合物を反応温度になるまで加熱しそして次にホスゲンおよび残りの量の前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを計量して入れるのも有効であることを見いだしたが、各場合とも、それを連続的にか、反応時間全体に渡って分割してか、或は「半連続的」に計量して入れる。
さらなる態様では、最初に無水フタル酸を溶媒無しに溶融形態で仕込んだ後にホスゲンおよび前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを連続的または半連続的に計量して入れることも可能であり、後者も同様に溶媒無しに場合により溶融形態で計量して入れてもよい。
各場合とも、特に有利な反応時間は5から15時間であるが、これはバッチサイズ(batch size)に応じて対応して変わり得る。
前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの計量添加を15から90分毎に行ないかつホスゲンを連続的または「半連続的」に計量して入れるのが特に有利である。
ホスゲンおよび前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの添加が終了した後、その反応混合物を有利には指定した反応温度に更に1から3時間保持した後、減圧下の蒸留で処理する。この蒸留で塩化フタロイルを高収率および非常に良好な品質で得る。特に、この生成物に入っている未転化無水フタル酸の分率は非常に僅かであり、その分率は好適には3重量%未満である。従来技術の方法に比べて特に有利な点として、また、本発明に従って用いるN,N−二置換ホルムアミドおよびそれから生じる副生成物は沸点が実質的により高いことが理由で蒸留釜残の中に残存することを強張すべきであろう。加うるに、従来技術の方法で得られる生成物は紫色の生成物のみであり、複雑なさらなる処理無しでは使用不可能であるが、前記の結果として得た生成物は収率が非常に良好であるにも拘らずあらゆるケースで無色である。
(製造実施例)
無水フタル酸含有量が少なくとも99%の無水フタル酸をあらゆる実施例で用いた。
参考例:N−メチル−N−ステアリルホルムアミドを触媒として使用)
最初に、2203mlのトルエンに無水フタル酸を523.7g(3.5モル)および触媒としてN−メチル−N−ステアリルホルムアミドを5.5g(0.02モル)入れて仕込んだ後、この混合物を75℃に加熱する。この温度で586.1g(5.93モル)のホスゲンを1時間当たり97.7gのホスゲン導入速度で連続添加すると同時に59.97gのN−メチル−N−ステアリルホルムアミドを92.1mlのトルエンに溶解させて6時間かけて連続添加する(即ち、100%のN−メチル−N−ステアリルホルムアミドを1時間当たり10g添加する)。このホスゲンと触媒の計量添加が終了した後の混合物を75℃で更に1.5時間攪拌する。
余分なホスゲンを除去する目的で60ミリバール下55℃で留出物を2150.7g除去する。
粗生成物が暗色油として残存する。これは塩化フタロイルを86.6重量%と無水フタル酸を3.2重量%含有する。これは粗収率が理論値の95%であることに相当する。
精留を1.4から1.7ミリバール下110から120℃で行うことで生成物含有量が97.4重量%の無色留出液を主溜分として659.9g得る。
(比較実施例:N,N−ジブチルホルムアミドを触媒として使用)
最初に、2203.4mlのトルエンに無水フタル酸を523.7g(3.5モル)および触媒としてN,N−ジブチルホルムアミドを2.75g(0.02モル)入れて仕込んだ後、この混合物を70℃に加熱する。この温度で586.1g(5.93モル)のホスゲンを1時間当たり97.7gのホスゲン導入速度で連続添加すると同時に30.66gのN,N−ジブチルホルムアミドを218mlのトルエンに溶解させて6時間かけて連続添加する(N,N−ジブチルホルムアミドを1時間当たり5.1g添加する)。このホスゲンと触媒の計量添加が終了した後の混合物を70℃で更に1.5時間撹拌する。
余分なホスゲンを除去する目的で60ミリバール下55℃で留出物を2103.0g除去する。
粗生成物が暗色油として残存する。これは、HPLC分析に従い、塩化フタロイルを83.8重量%および無水フタル酸を2.4重量%含有し、そしてGC分析に従い、塩化N,N−ジブチルカルバモイルの面積%は0.9%である。この生成物を基にして、それは粗収率が理論値の97.8%であることに相当する。
精留を0.05から0.2ミリバール下85−113℃で行うことで生成物含有量が95.2重量%の紫色留出液を主溜分として666.9g得たが、それの塩化N,N−ジブチルカルバモイル含有量を示す面積%はそれでも0.9%である。これは収率が理論値の89.3%であることに相当する。
(発明:N,N−ジベンジルホルムアミドを触媒として使用)
触媒調製:
最初に、384.2mlのトルエンにジベンジルアミンを300.0g(1.48モル)と蟻酸を74.7g(1.62モル)入れて20℃で仕込んだ。この混合物を還流(95℃)下に1時間加熱する。その後、脱水を受けさせる目的で、その混合物に共沸蒸留を水がそれ以上分離しなくなるまで受けさせる(除去された水の総量:30.9g)。N,N−ジベンジルホルムアミド触媒が49.5%の含有量で入っているトルエン溶液を671.2g得る。これは収率が理論値の99.9%であることに相当する。このようにして得た触媒溶液(C1)を以下で用いる。
反応:
最初に、620.9mlのトルエンに無水フタル酸を149.6g(1.0モル)と前記触媒溶液(C1)を13.7g(0.03モル)入れて仕込んだ後、この混合物を75℃に加熱する。この温度で296.8g(3.0モル)のホスゲンを1時間当たり59.4gのホスゲン導入速度で連続添加すると同時に82.0gの前記C1溶液を5時間かけて連続添加する(100%のN,N−ジベンジルホルムアミドを1時間当たり8.1g添加する)。このホスゲンと触媒の計量添加が終了した後の混合物を75℃で更に1.75時間撹拌する。
余分なホスゲンを除去する目的で60ミリバール下55℃で留出物を253.6g除去する。
粗生成物が暗色油として残存する。これは塩化フタロイルを69.7重量%と無水フタル酸を5.5重量%含有する。これは粗収率が理論値の87%であることに相当する。
精留を0.3ミリバール下100から104℃で行うことで生成物含有量が85.7重量%の無色留出液を主溜分として160.3g得る。これは収率が理論値の67.6%であることに相当する。
(発明:N,N−ジシクロヘキシルホルムアミドを触媒として使用)
最初に、84.9mlのトルエンに無水フタル酸を22.4g(0.15モル)および触媒としてN,N−ジシクロヘキシルホルムアミドを0.16g(0.8ミリモル)入れて仕込んだ後、この混合物を75℃に加熱する。この温度で22.6g(0.23モル)のホスゲンを1時間当たり9.0gのホスゲン導入速度で均一に添加すると同時に1.73g(0.01モル)のN,N−ジシクロヘキシルホルムアミドを19mlのトルエンに溶解させて150分かけて均一に添加する(100%のN,N−ジシクロヘキシルホルムアミドを1時間当たり0.7g添加する)。このホスゲンと触媒の計量添加が終了した後の混合物を75℃で更に2.5時間撹拌する。
余分なホスゲンを除去する目的で28ミリバール下60℃で留出物を94g除去する。
粗生成物が暗色油として残存する。これは二塩化物を90.8重量%と無水物を0.4重量%含有する。これは粗収率が理論値の99.9%であることに相当する。
精留を0.1から1.2ミリバール下98から100℃で行うことで生成物含有量が95.2重量%の無色留出液を主溜分として28.3g得る。これは収率が理論値の88.5%であることに相当する。

Claims (10)

  1. 式(I)
    Figure 0005054898

    で表される塩化フタロイルの製造を式(II)
    Figure 0005054898

    で表される無水フタル酸とホスゲンを触媒の存在下で反応させることで行う方法であって、使用する触媒が一般式(III)
    Figure 0005054898

    [式中、
    1およびR2は、各々独立して、C3−C8−シクロアルキル、C6−C10−アリールまたはC7−C12−アリールアルキルである。]
    で表されるN,N−二置換ホルムアミドであることを特徴とする方法。
  2. 1およびR2が各々独立してC3−C8−シクロアルキル基である式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 式(I)
    Figure 0005054898

    で表される塩化フタロイルの製造を式(II)
    Figure 0005054898

    で表される無水フタル酸とホスゲンを触媒の存在下で反応させることで行う方法であって、使用する触媒が一般式(III)
    Figure 0005054898

    [式中、
    1およびR2は、各々独立して、ベンジル、フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、ナフチルメチルまたはナフチルエチルである。]
    で表されるN,N−二置換ホルムアミドであることを特徴とする方法。
  4. 用いる前記一般式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドが、N,N−ジシクロペンチルホルムアミド、N,N−ジシクロヘキシルホルムアミドまたはN,N−ジベンジルホルムアミドであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドが式HNR12[式中、R1およびR2は各々前記式(III)で定義した通りであり得る]で表される対応するアミンと蟻酸を反応させることで生じさせたものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. ホスゲンを前記式(II)で表される無水フタル酸1モル当たり1.0モルから3.0モル用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを前記式(II)で表される無水フタル酸1モルを基準にして0.01−0.20モルの総量で用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 最初に無水フタル酸を不活性な希釈剤に溶解させて仕込んだ後にホスゲンおよび前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの各々を独立して連続的に計量して入れるかまたは分割して限定した時間的間隔で計量して入れることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 計量して入れられる前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを、無水フタル酸の不活性溶媒および異なる不活性溶媒から選ばれる不活性溶媒に溶解する請求項記載の方法。
  10. 最初に前記無水フタル酸を前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドの全量または一部と一緒に不活性溶媒に入れて仕込んだ後、その混合物を反応温度になるまで加熱しそして前記ホスゲンおよび場合により残りの前記式(III)で表されるN,N−二置換ホルムアミドを連続的に計量して入れるかまたは分割して限定した時間的間隔で計量して入れることを特徴とする請求項1記載の方法。
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