JP5054746B2 - 風洞内相対距離計測システム及び風洞内相対距離計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、風洞測定部内に複数の試験体を設置して風洞試験を行う風洞試験装置において、複数の試験体の相対距離を測定するための風洞内相対距離計測システム及び風洞内相対距離計測方法に関する。
航空機等の飛翔体の空力特性を調べる試験等のために、飛翔体の模型等の試験体を風洞測定部内に設置して風洞実験を行う風洞試験装置が公知である。さらに、飛翔体(母機)から飛翔体に搭載される搭載物(投棄物、投下物等)が落下等により離間した際の搭載物にかかる力及びモーメントを計測し、その力及びモーメントから運動方程式を解き、短い時間経過後の位置を予測し、その位置へ搭載物を移動させ、再び搭載物にかかる力及びモーメントを計測するように、一連の計測、予測、移動を繰り返すことで、搭載物の挙動を解析するシステムとしてCTS(Captive Trajectory System)が知られている。
搭載物が母機から離間した後の搭載物の挙動を高精度に解析するためには、母機の影響を受けて気流が複雑に変化する母機近傍で搭載物にかかる力及びモーメントを計測する必要がある。しかしながら、試験体同士(母機と搭載物)が接触してしまうと、試験体が破損してしまう問題がある。搭載物を支持する支持部材は気流への影響を極力抑えるためには搭載物と比較して細くて長い方が好ましい。一方で、搭載物は母機に比べて小さいため搭載物の支持部材はより細くなり、通風により搭載物にかかる力で支持部材が撓み、支持部材の根元部分に位置センサを組み込んだ場合に、当該位置センサで計測される計測値には誤差が生じることがある。このような問題から試験体(特に搭載物)の位置を計測するには、風洞測定部の外側から非接触で計測することが望ましい。
このような風洞測定部内の試験体を位置計測するための技術として、下記特許文献1及び特許文献2に記載された装置が公知となっている。特許文献1の装置は、首振り機構によりレーザ変位計で母機模型及び搭載物模型のそれぞれの複数のマークまでの距離を順に計測し、首振り機構の首振り角度とレーザ変位計で計測された距離とから各マークの風洞測定部内における3次元座標を計測し、この3次元座標に基づいて搭載物模型を母機模型に接触させないように移動させるように構成されている。また、特許文献2の装置においては、母機模型の下流側の支持装置に小型カメラを設置し、カメラ画像のある領域に異物が侵入したときに母機模型と搭載物模型との衝突する可能性が高いと判断している。
特開平10−281927号公報 特開2004−20265号公報
しかしながら、特許文献1の装置においては、首振り機構でレーザ変位計の向きを変化させる必要があるため、首振り動作に時間がかかり、試験体の位置計測に長い時間がかかってしまう問題があり、リアルタイムでの挙動計測には適さない。上述のとおり、風洞試験を行いつつ試験体の位置制御を行う必要があるため、試験体の位置計測に長い時間がかかってしまうと、風洞試験時間自体が延びてしまう。さらに、特許文献1の装置においてはレーザ変位計で計測されるマークの位置が相対距離を計測する基準位置となっているため、マーク位置をレーザ変位計によって照射され易い位置に設ける必要がある。すなわち、試験体の接近等により、マークが試験体の影に隠れて見えない場所は特許文献1の装置においては計測できない。
また、特許文献2の装置においては、風洞測定部内に小型カメラを設置する必要があるため、小型カメラが風洞測定部内の気流に影響を及ぼし、風洞試験の試験精度を高くすることができない問題がある。さらに、小型カメラの設置位置は試験体の後方になるため、母機と搭載物とが前後方向に距離があってもカメラ画像で重なると試験体同士が衝突したと判定するため、試験体間の相対距離の定量的な検出を行うことができない問題もある。また、小型カメラから見て試験体の影に隠れて見えない部分の衝突は判定することができない。
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、風洞測定部内試験に用いられる複数の試験体の相対距離を非接触かつ短時間で計測しつつ、試験体同士の近接判定を高精度かつ定量的に行うことができる風洞内相対距離計測システム及び風洞内相対距離計測方法を提供することを目的とする。
本発明に係る風洞内相対距離計測システムは、風洞測定部内に設置された第1の試験体と、前記風洞測定部内の前記第1の試験体に対して相対移動可能に設置された第2の試験体と、前記第1の試験体の表面に3つ以上設けられ、一又は複数の特定の位置(以下、第1の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第1の座標変換用マークと、前記第2の試験体の表面に3つ以上設けられ、一又は複数の特定の位置(以下、第2の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第2の座標変換用マークと、前記風洞測定部の外部から前記第1及び第2の座標変換用マークを撮像する複数の光学系を有する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された前記複数の光学系毎の画像から得られた前記第1及び第2の座標変換用マークの視差に基づいて前記第1及び第2の座標変換用マークの3次元座標を演算する画像処理装置と、前記3つ以上の第1の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第1の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第1の試験体特定位置の3次元座標を演算し、前記3つ以上の第2の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第2の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第2の試験体特定位置の3次元座標を演算し、かつ前記第1の試験体特定位置の3次元座標と前記第2の試験体特定位置の3次元座標とから前記第1の試験体特定位置と前記第2の試験体特定位置との相対距離を演算し、その結果を出力する相対距離演算装置と、を備えている。
上記構成によれば、第1及び第2の座標変換用マークを複数の光学系を有する撮像装置で撮像することにより、三角測量の原理を用いて風洞測定部内の3次元座標系における第1及び第2の座標変換用マークの3次元座標を演算することができるため、第1の試験体と第2の試験体との相対距離を非接触かつ短時間で計測することができる。しかも、第1及び第2の試験体の表面にそれぞれ設けられる第1及び第2の座標変換用マークとは別に、第1の試験体と第2の試験体との相対距離を求める基準となる第1及び第2の試験体特定位置を設定することが可能なため、第1及び第2の座標変換用マークを撮像装置で撮像し易い箇所に設けつつ、2つの試験体が接触する可能性が高い位置を第1及び第2の試験体特定位置として設定し、これを基準として相対距離を算出することができるため、第1の試験体と第2の試験体との近接判定を高精度かつ定量的に行うことができる。
風洞内相対距離計測システムは、さらに、前記第2の試験体と一体的に固定され、前記第2の試験体を支持する支持部材と、前記支持部材の表面に設けられた3つ以上の座標変換用補助マークとを備え、前記画像処理装置は、前記第2の試験体の表面に設けられた前記座標変換用マークの何れかが前記撮像装置で撮像された画像上に写らない場合に、前記座標変換用マークの代わりに前記座標変換用補助マークを用いて演算するように構成されてもよい。
これにより、第2の試験体が第1の試験体の影に隠れた場合であっても、第2の試験体と一体的に相対移動する支持部材に設けられた座標変換用補助マークを用いて風洞測定部内の3次元座標系における第2の試験体の3次元座標を演算することができるため、より確実に第1の試験体と第2の試験体との相対距離を算出することができる。
前記3次元座標は、前記風洞測定部内に固設された前記第1の試験体の表面上において同一平面上にない6点以上の所定の点から予め定義されていてもよい。
これにより、風洞測定部内に固設された第1の試験体の表面上の6点以上の所定の点から3次元座標が設定されるため、3次元座標を設定するためのキャリブレーション治具を別途用意することなく、低コストかつ短時間で計測準備を行うことができる。
風洞内相対距離測定システムは、さらに、前記撮像装置の光学系にそれぞれ同軸に光を照射可能な照明装置を備え、前記第1及び第2の座標変換用マークは、再帰反射材を含んでもよい。
この場合、撮像装置の光学系と同軸の光が再帰反射材を含む第1及び第2の座標変換用マークに入射されることにより、再帰反射材で反射された光が入射光と同軸の撮像装置の光学系へまっすぐ帰ってくるため、撮像装置で撮像した際の画像において第1及び第2の座標変換用マークの輝度を高くすることができ、座標変換用マークの座標を高精度に検出、演算することができる。
前記第1及び第2の座標変換用マークは、前記第1の試験体及び第2の試験体の表面に対して輝度差の大きい部分を有していることが好ましい。
これにより、第1及び第2の座標変換用マークにおける第1の試験体及び第2の試験体の表面に対して輝度差の大きい部分が撮像装置によって鮮明に撮像されるため、第1及び第2の座標変換用マークの座標を高精度に検出、演算することができる。
前記第1及び第2の座標変換用マークは、互いに異なる形状を有していてもよい。
この場合、第1及び第2の座標変換用マークが設けられた位置に応じて異なる形状を有しているため、撮像装置によって撮像された画像上の第1及び第2の座標変換用マークがどの位置のものであるかを容易に認識することができる。
前記第2の試験体は、長手軸回り回転可能に構成されており、前記第2の試験体には、前記第2の座標変換用マークが前記長手軸に直交する面と交差する外周上に3つ以上且つ隣接する前記第2の座標変換用マーク間の中心角が180度未満となるように設けられた座標変換用マーク群が3つ以上設けられ、前記第2の試験体に設けられた複数の座標変換用マークは、前記長手軸に平行な直線上に並ばないように構成されてもよい。
これによれば、第2の試験体を長手軸回りに回転させた場合であっても、第2の試験体に設けられた第2の座標変換用マークを必ず3つ以上検出することができるため、第2の試験体を回転させながら風洞試験を行う場合においても、第2の座標変換用マークの座標を迅速かつ高精度に検出、演算することができる。
また、本発明に係る風洞内相対距離測定方法は、風洞測定部内に設置された第1の試験体と、前記風洞測定部内に前記第1の試験体に対して相対移動可能に設置された第2の試験体との相対距離を計測する風洞内相対距離計測方法であって、一又は複数の特定の位置(以下、第1の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第1の座標変換用マークを前記第1の試験体の表面に3つ以上設け、一又は複数の特定の位置(以下、第2の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第2の座標変換用マークを前記第2の試験体の表面に3つ以上設け、複数の光学系を有する撮像装置を用いて、前記風洞測定部の外部から前記第1及び第2の座標変換用マークを撮像し、前記撮像装置で撮像された前記複数の光学系毎の画像から得られた前記第1及び第2の座標変換用マークの視差に基づいて前記第1及び第2の座標変換用マークの3次元座標を演算し、前記3つ以上の第1の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第1の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第1の試験体特定位置の3次元座標を演算し、前記3つ以上の第2の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第2の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第2の試験体特定位置の3次元座標を演算し、前記第1の試験体特定位置と前記第2の試験体特定位置との相対距離を演算するものである。
上記方法によれば、第1及び第2の座標変換用マークを複数の光学系を有する撮像装置で撮像することにより、三角測量の原理を用いて風洞測定部内の3次元座標系における第1及び第2の座標変換用マークの3次元座標を演算することができるため、第1の試験体と第2の試験体との相対距離を非接触かつ短時間で計測することができる。しかも、第1及び第2の試験体の表面に設けられる第1及び第2の座標変換用マークとは別に、第1の試験体と第2の試験体との相対距離を求める基準となる第1及び第2の試験体特定位置を設定することが可能なため、第1及び第2の座標変換用マークを撮像装置で撮像し易い箇所に設けつつ、2つの試験体が接触する可能性が高い位置を第1及び第2の試験体特定位置に設定し、これを基準として相対距離を算出することができるため、第1の試験体と第2の試験体との近接判定を高精度かつ定量的に行うことができる。
本発明は以上に説明したように構成され、風洞測定部内試験に用いられる複数の試験体の相対距離を非接触かつ短時間で計測しつつ、試験体同士の近接判定を高精度かつ定量的に行うことができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る風洞内相対距離計測システムの概略構成を示す平面図である。 図1に示す風洞内相対距離計測システムに用いられる座標変換用マークを例示する図である。 図1に示す風洞内相対距離計測システムの第2の試験体に設けられる座標変換用マークの設置例を示す図である。 撮像装置における平面座標系と風洞測定部内に定義されたワーク座標系との関係を示す図である。 図1に示す風洞内相対距離計測システムにおいて第1の試験体と第2の試験体との相対距離を演算するための制御フローチャートである。 図1に示す風洞内相対距離計測システムにおける座標変換用マーク及び特定点の配置を示す斜視図である。 図1に示す風洞内相対距離計測システムにおいて試験体間の相対距離を求めるための他の方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る風洞内相対距離計測システムの概略構成を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の風洞内相対距離計測システムは、風洞測定部100内に、第1の試験体1と第2の試験体2とを設置した状態で第1の試験体1と第2の試験体2との間の相対距離を計測するように構成されている。図1において、第1の試験体1は、航空機の形状を模した母機模型であり、第2の試験体2は、航空機に搭載される投棄物や投下物等の搭載物模型である。第1の試験体1は、風洞測定部100内の所定位置に設置され、第2の試験体2は、風洞測定部100内において第1の試験体1に対して相対移動可能に構成される。具体的には、第2の試験体2は、支持機構3により第1の試験体1に対して相対移動可能に構成される。支持機構3は、風洞測定部100内において固定された固定部材31と、一端部が固定部材31に取り付けられ、固定部31に対して変位可能なアーム部材32と、一端部がアーム部材32の他端部に取り付けられ、他端部が第2の試験体2と一体的に固定された支持部材33とを有している。第2の試験体2は、支持機構3を介して長手軸S回りに回転可能に構成されてもよい。なお、第1の試験体1も風洞測定部100に対して(すなわち第2の試験体2に対して)相対移動可能な支持機構を介して支持されてもよい。
第1の試験体1及び第2の試験体2は、風洞測定部100の風上に向けて設置され、それぞれの支持機構は風下側に設置される。風洞測定部100の側面には、観測窓101が設けられ、風洞測定部100の外側から内側を視認可能に構成されている。
風洞測定部100の外側には、観測窓101を介して風洞測定部100内の第1の試験体1及び第2の試験体2を風洞測定部100の外部から撮像可能な位置に、複数の光学系を有する撮像装置が設置されている。本実施形態においては、それぞれ光学系を1つ有する2つの撮像装置4,5が設置されている。なお、撮像装置は、光学系を複数有する限りこれに限られず、例えば、1つの筐体に2つの光学系を有するステレオカメラを用いてもよいし、一般的なCCDカメラ等の撮像装置を2つ以上用いてもよい。
撮像装置4,5の前方には、撮像装置4,5の光学系にそれぞれ同軸に光を照射可能な照明装置6,7が設けられている。照明装置6,7は、例えばリング状のライトを有し、リングの内側に光学系の光軸が位置する状態で設置される。
撮像装置4,5で撮像された画像は、制御装置8に送られる。制御装置8は、撮像装置4,5で撮像された画像から第1の試験体1及び第2の試験体2の風洞測定部100内における3次元座標を算出する画像処理部81を有する画像処理装置として機能する。また、制御装置8は、画像処理部81で算出された3次元座標から第1の試験体1及び第2の試験体2の相対距離を演算する相対距離演算部82を有する相対距離演算装置として機能する。さらに、制御装置8は、第2の試験体2を移動制御する試験体制御部83を有する試験体制御装置としても機能する。制御装置8は、画像処理部81、相対距離演算部82及び試験体制御部83として機能するCPU80と、各種のデータ及び制御プログラムを記憶する記憶部84とを備えた一般的なコンピュータにより実現可能である。
第1の試験体1及び第2の試験体2は、何れも、表面上の相対座標(所定の座標系を基準として試験体表面の3次元座標)が既知となっている。そして、記憶部84には、第1の試験体1及び第2の試験体2のそれぞれについて、表面上の所定の点における相対座標データが記憶されている。より具体的には、相対座標データとして第1の試験体1及び第2の試験体2のそれぞれの設計図等の図面データ(3次元CADデータ等)又は当該図面データから算出された座標データが記憶部84に記憶されている。なお、第1の試験体1の表面上の相対座標は、後述する第1の座標変換用マークPiと第1の試験体特定位置Qiとの3次元相対位置が分かる限りどのようなデータであってもよい。また、第2の試験体2の表面上の相対座標は、後述する第2の座標変換用マークAiと第2の試験体特定位置Biとの3次元相対位置が分かる限りどのようなデータであってもよい。
また、制御装置8には、出力装置9が接続されており、制御装置8は、出力装置9に相対距離演算部82の演算結果に応じた出力を行わせる。
第1の試験体1及び第2の試験体2の表面には、それぞれ、第1の試験体1及び第2の試験体2における相対座標が既知である位置に、座標変換用マークが3つ以上設けられている。本実施形態においては、第1の試験体1の表面に3つの第1の座標変換用マークPi(i=1〜3)が設けられ、第2の試験体2の表面に3つの第2の座標変換用マークAi(i=1〜3)が設けられている。第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiは、第1の試験体1及び第2の試験体2の表面に塗布されることにより形成されてもよいし、シール状のものが貼着されることにより形成されてもよい。
第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiは、撮像装置4,5に撮像され易い位置(陰になり難い位置)に設けられる。例えば、図1に示すように、第1の試験体1においては、飛翔体の機首の観測窓101側側面にP1が設けられ、垂直尾翼の観測窓101側側面にP2が設けられ、水平尾翼の先端部の観測窓101側側面にP3が設けられている。また、第2の試験体2においては、前端部にA1が設けられ、中央部にA2が設けられ、後端部にA3が設けられている。
第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの位置は、第1の試験体1の相対座標系及び第2の試験体2の相対座標系の3次元座標データが記憶部84に記憶されている。
同様に、支持機構3の支持部材33の表面には、第2の試験体2における相対座標(第2の座標変換用マークAiとの相対位置)が既知である位置に、座標変換用補助マークが3つ以上設けられている。本実施形態においては、支持部材33の表面に3つの座標変換用補助マークAi(i=4〜6)が設けられている。
ここで、第1及び第2の座標変換用マークP1〜P3,A1〜A3及び座標変換用補助マークA4〜A6の態様について説明する。図2は図1に示す風洞内相対距離計測システムに用いられる座標変換用マークを例示する図である。図2(a)及び図2(d)のマークは外周円10内に円形の中心部11を有し、図2(b)及び図2(e)のマークは外周円10内に四角形の中心部12を有し、図2(c)及び図2(f)のマークは外周円10内に三角形の中心部13を有している。また、図2(a)〜図2(c)のマークは、中心部11,12,13が外周円10に対して高い輝度を有しており、図2(d)〜図2(f)のマークは、中心部11,12,13が外周円10に対して低い輝度を有している。輝度差は、使用する色や材料により変化させることができる。
そして、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiは、第1の試験体1及び第2の試験体2の表面に対して輝度差の大きい部分を有するように試験体1,2に設けられる。すなわち、試験体1,2の表面が金属沢等の比較的輝度の高い色又は材料で構成される場合には、図2(a)〜図2(c)のように、中心部に高い輝度を有するマークを設けることが好ましい。また、試験体1,2の表面が黒等の比較的輝度の低い色又は材料で構成される場合には、図2(d)〜図2(f)のように、中心部に低い輝度を有するマークを設けることが好ましい。
これにより、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiにおける第1の試験体1及び第2の試験体2の表面に対して輝度差の大きい部分が撮像装置4,5によって鮮明に撮像されるため、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの座標を高精度に検出、演算することができる。
また、第1の試験体1及び第2の試験体2に設けられた第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiは、図2に示すように互いに異なる形状を有していてもよい。この場合、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiが設けられた位置に応じて異なる形状を有しているため、撮像装置4,5によって撮像された画像上の第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiがどの位置のものであるかを容易に認識することができる。
さらに、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiは、再帰反射材を含んでもよい。特に、図2(a)〜図2(c)に示すような高い輝度を有する中心部11,12,13に再帰反射材を設けることが好ましい。再帰反射材は、光が入射された方向と同じ方向に反射される材料である。従って、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの中心部11,12,13に再帰反射材を設け、撮像装置4,5の光学系と同軸に配置された照明装置6,7から光を照射することにより、撮像装置4,5の光学系と同軸の光が再帰反射材を含む第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiに入射され、再帰反射材で反射された光が入射光と同軸の撮像装置4,5の光学系へまっすぐ帰ってくることとなる。これにより、撮像装置4,5で撮像した際の画像において第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの輝度を高くすることができ、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの座標を高精度に検出、演算することができる。なお、再帰反射材を用いない場合には、照明装置6,7は、第1の試験体1及び第2の試験体2に光が照射される限り、必ずしも撮像装置4,5の光学系と同軸に配置しなくてもよい。
また、図3は、図1に示す風洞内相対距離計測システムの第2の試験体に設けられる座標変換用マークの設置例を示す図である。第2の試験体2が長手軸S回りに回転可能に構成される場合には、第2の試験体2には、図3に示すように、第2の座標変換用マークAiが第2の試験体2の長手軸Sに直交する面と交差する外周上に3つ以上且つ隣接する第2の座標変換用マークAi間の中心角が180度未満となるように設けられた座標変換用マーク群Tiが3つ以上設けられ、第2の試験体2に設けられた複数の第2の座標変換用マークAiは、長手軸Sに平行な直線上に並ばないように構成されてもよい。より具体的には、図3に示すように、第2の試験体2には、3つの第2の座標変換用マークA11,A12,A13によって構成される座標変換用マーク群T1と、3つの第2の座標変換用マークA21,A22,A23によって構成される座標変換用マーク群T2と、3つの第2の座標変換用マークA31,A32,A33によって構成される座標変換用マーク群T3とが設けられている。座標変換用マーク群Ti(i=1〜3)をそれぞれ構成する第2の座標変換用マークAi1,Ai2,Ai3は、隣接するマークと長手軸Sとを結ぶ線分の内角が120度になっている。言い換えると、第2の座標変換用マークAi1、Ai2,Ai3がそれぞれ第2の試験体2の表面において周方向に均等に配置されている。しかも、座標変換用マーク群Ti間において、第2の座標変換用マークAij(i,j=1〜3)が長手軸Sと平行な直線上に並ばないように配置されている。この場合、後述する撮像装置4,5によって撮像された画像において、座標変換用マーク群T1の第2の座標変換用マークA1jのうちの少なくとも1つが撮像装置4,5の撮像範囲に入ることとなる。座標変換用マーク群T2,T3においても同様である。このとき、同じ群に含まれる第2の座標変換用マークAi1,Ai2,Ai3は、同一の第2の座標変換用マークAiとして検出される。
これにより、第2の試験体2を長手軸S回りに回転させた場合であっても、第2の試験体2に設けられた第2の座標変換用マークAiを必ず3つ以上検出することができるため、第2の試験体2を回転させながら風洞試験を行う場合においても、第2の座標変換用マークAiの座標を迅速かつ高精度に検出、演算することができる。なお、上記例においては、座標変換用マーク群Tiは3つの第2の座標変換用マークAijを有しているが、4つ以上有していてもよい。
なお、第2の試験体2を長手軸S回りに回転させる場合、支持部材33も長手軸S回りに回転するため、支持部材33に設けられる座標変換用補助マークA4〜A6についても上記と同様に座標変換用補助マーク群を設けることが好ましい。
次に、第1の試験体1及び第2の試験体2の相対距離の演算方法について説明する。まず、第1の試験体1及び第2の試験体2の設置前に、風洞測定部100内における3次元座標系(以下、ワーク座標系と称する)を定義する。このワーク座標系は、撮像装置4,5で撮像された画像より得られた第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの視差に基づいて第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの3次元座標を演算するための基準となるものである。言い換えると、ワーク座標系は、撮像装置4,5で撮像された画像より得られた第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの平面座標から三角測量の原理により得られる3次元座標の基準となるものである。図4は、撮像装置における平面座標系と風洞測定部内に定義されたワーク座標系との関係を示す図である。ワーク座標系の任意の点P(X,Y,Z)と、この点Pに対応する撮像装置4,5の撮像面と平行な平面座標系(カメラ座標系)における点P’(Xc1,Yc1)及びP’’(Xc2,Yc2)とは、次式で示される透視投影の関係にある。ここで、h1,h2は、光学系の倍率に相当する係数を表し、C1,C2は、3行4列の透視変換行列を表し、透視変換行列C1,C2のそれぞれ12個の行列要素をカメラパラメータと称する。tは転置行列を表す。
Figure 0005054746
透視変換行列C1,C2のカメラパラメータを求めるために、風洞測定部100内にキャリブレーション治具を設置した上で、3次元座標が既知の6点以上の点を実際に撮像装置4,5で撮像する。画像処理部81は、撮像装置4,5で撮像された6点以上の点について、平面座標系における座標を演算する。上記6点以上の点のそれぞれについて、演算された座標と既知の3次元座標とを式(1)及び式(2)に代入することにより得られた連立方程式を解くことにより、カメラパラメータを算出することができる。
キャリブレーション治具は、同一平面上にない6点以上の点の3次元座標が既知であるものである限り限定されないが、キャリブレーション治具として、例えば、8つの頂点を有し、その8つの頂点のうち、少なくとも6点に点光源又はマークが設けられた1辺の長さが既知の透明立方体を風洞測定部100内に設置してもよい。
また、風洞測定部100内で定義されたワーク座標系は、風洞測定部100内に固設された第1の試験体1の表面上において同一平面上にない6点以上の所定の点から予め設定されていてもよい。この場合、第1の試験体1の表面には、座標変換用マークが6つ以上設けられる。これにより、風洞測定部100内のワーク座標系を設定するためのキャリブレーション治具を別途用意することなく、低コストかつ短時間で計測準備を行うことができる。
上記のようにしてカメラパラメータを算出することにより、撮像装置4,5で撮像された第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの平面座標を透視変換行列C1,C2を用いてワーク座標系の3次元座標に変換することができる。
以下、本実施系形態における風洞内相対距離計測システムを用いて第1の試験体1と第2の試験体2との相対距離を算出する方法について説明する。図5は、図1に示す風洞内相対距離計測システムにおいて第1の試験体と第2の試験体との相対距離を演算するための制御フローチャートである。
まず、風洞測定部100内に第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiが設けられた第1の試験体1及び第2の試験体2を設置した状態で照明装置6,7を第1の試験体1及び第2の試験体2に向けて照射し、第1の試験体1及び第2の試験体2を撮像装置4,5で撮像することにより、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiで反射された光を制御装置8に取り込む(ステップS1)。画像処理部81は、撮像装置4,5それぞれで撮像された複数の画像から第1及び第2の座標変換用マークPi,Ai(i=1〜3)を検出し、第1及び第2の座標変換用マーク(座標変換用補助マーク)Pi,Aiの撮像装置4,5(複数の光学系)毎の平面座標(カメラ座標)P’,P’’を算出する(ステップS2)。より詳しくは、画像処理部81は、座標変換用マークPi,Aiの平面座標として、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの重心の座標を算出する。すなわち、例えば、図2(a)又は図2(d)のような円形の中心部11を有するマークにおいては円の中心座標を算出し、図2(b)又は図2(e)のような四角形の中心部12を有するマークにおいては対角線の交点の座標を算出する。画像処理部81は、第2の試験体2に設けられた第2の座標変換用マークA1〜A3をすべて検出できたか否かを判断する(ステップS3)。第2の試験体2に設けられた第2の座標変換用マークA1〜A3のいずれか1つでも検出できなかった場合(ステップS3でNo)、画像処理部81は、支持部材33に設けられた座標変換用マークA4〜A6を検出し、座標変換用補助マークA4〜A6の撮像装置4,5(複数の光学系)毎の平面座標を算出する(ステップS13)。
続いて、画像処理部81は、第1及び第2座標変換用マークPi,Aiごとに求められた撮像装置4,5毎の平面座標P’,P’’より、上記のカメラパラメータを用いて各座標変換用マークPi,Aiのワーク座標系における3次元座標Pを算出する(ステップS4)。なお、撮像装置4,5で撮像された各座標変換用マークPi,Aiの位置から第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの視差を直接的に演算することにより各座標変換用マークPi,Aiのワーク座標系における3次元座標Pを算出してもよい。
次に、相対距離演算部82は、検出した第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの相対座標を記憶部84から読み出し(ステップS5)、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiのワーク座標及び相対座標に基づいて任意の点Pを相対座標からワーク座標へ変換するためのアフィン変換行列を演算する(ステップS6)。任意の点Pの相対座標をP(Xp,Yp,Zp)とし、ワーク座標をP(Xp,Yp,Zp)とすると、相対座標Pからワーク座標Pへの座標変換は次式で示されるアフィン変換で表される。
Figure 0005054746
上記のようにアフィン変換行列Fは4行4列の行列で12個の係数を有している。従って、アフィン変換行列Fは、相対座標P及びワーク座標Pがそれぞれ既知である4点以上の点から求められる。本実施形態においては、第1の試験体1の第1の座標変換用マークP1〜P3の相対座標Pi(Xpi,Ypi,Zpi)及びワーク座標Pi(Xpi,Ypi,Zpi)(i=1〜3)と、第1の座標変換用マークP1〜P3の3点から所定の演算により求められる点P4の相対座標P4(Xp4,Yp4,Zp4)及びワーク座標P4(Xp4,Yp4,Zp4)とを用いてアフィン変換行列Fが求められる。点P4の座標は、例えば第1の座標変換用マークP1〜P3のそれぞれからの距離が等しく、かつ第1の座標変換用マークP1〜P3を含む平面からZ軸方向に所定の距離離れた位置にある点とし、その点P4について、相対座標系及びワーク座標系の座標をそれぞれ算出する。
このように得られた4点の各座標Pi,Pi(i=1〜4)を上記式(5)に代入することにより、第1の試験体1についてのアフィン変換行列Fpが求められる。すなわち、以下の式(7)を演算することにより求められる。
Figure 0005054746
同様に、第2の試験体2についてのアフィン変換行列Faも第2の座標変換用マークA1〜A3の相対座標Ai(Xai,Yai,Zai)及びワーク座標Ai(Xai,Yai,Zai)(i=1〜3)と、第2の座標変換用マークA1〜A3の3点から所定の演算により求められる点A7の相対座標A7(Xa7,Ya7,Za7)及びワーク座標A7(Xa7,Ya7,Za7)とを用いて以下の式(8)を演算することにより求められる。
Figure 0005054746
なお、ステップS3において第2の試験体2の第2の座標変換用マークA1〜A3のうち何れか1つでも検出できないと判断された場合には、第2の試験体2についてのアフィン変換行列Faは、支持部材33の座標変換用補助マークA4〜A6及び座標変換用補助マークA4〜A6から演算によって求められる点A8の各座標を用いて上記式(8)と同様にして求められる。また、第1の試験体1及び第2の試験体2における相対座標系が同一の座標系である場合には、Fp=Faとなるため、Faを求める必要はない。
これにより、第1の試験体1の表面及び第2の試験体2の表面の所定の点Pのワーク座標は、相対座標が分かる限り、アフィン変換を行うことによって求めることができる。
従って、相対距離演算部82は、第1の試験体1の表面に設けられ、第1の座標変換用マークP1〜P3に対する相対位置が既知である一又は複数の特定の位置(第1の試験体特定位置)の相対座標及び第2の試験体2の表面に設けられ、第2の座標変換用マークA1〜A3及び座標変換用補助マークA4〜A6に対する相対位置が既知である一又は複数の特定の位置(第2の試験体特定位置)の相対座標を記憶部84から読み出し(ステップS7)、第1及び第2の試験体特定位置の相対座標をワーク座標系の3次元座標に変換する(ステップS8)。
ここで、第1及び第2の試験体特定位置は、第1の試験体1及び第2の試験体2の表面において、試験体1,2同士が接触する可能性が高い点が予め設定され、その相対座標が記憶部84に記憶されている。なお、本実施形態において、第1及び第2の試験体特定位置は、点座標で示されるため、以下、第1及び第2の特定点と称する。図6は、図1に示す風洞内相対距離計測システムにおける座標変換用マーク及び特定点の配置を示す斜視図である。図6に示すように、第1の特定点Qm(m=1〜7)は、第1の試験体1の下方に突出した部分に設けられている。具体的には、第1の特定点Qmは、飛翔体の胴体下方の前部(Q1)、中央部(Q2)及び後部(Q3)並びに飛翔体の主翼下部に設けられた複数のエンジンのそれぞれの下端部(Q4〜Q7)に設定されている。また、第2の特定点Bn(n=1〜2)は、第2の試験体2の前端部(B1)及び後端部(B2)の上方に設けられている。このように、第1及び第2の特定点Qm,Bnは、風洞試験を行う際に接触する可能性の高い位置に設定されることが好ましい。
第1の特定点Qm(m=1〜7)の相対座標をQm(Xqm,Yqm,Zqm)とすると、第1の特定点Qmのワーク座標Qm(Xqm,Yqm,Zqm)は、以下の式で求められる。
Figure 0005054746
同様に、第2の特定点Bn(n=1〜2)の相対座標をBn(Xbn,Ybn,Zbn)とすると、第2の特定点Qnのワーク座標Qn(Xbn,Ybn,Zbn)は、以下の式で求められる。
Figure 0005054746
このように、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiと第1及び第2の試験体特定位置Qm,Bnとの相対位置から第1及び第2の特定点Qm,Bnのワーク座標系の3次元座標を求めた上で、相対距離演算部82は、第1の各特定点Qmと第2の各特定点Bnとの距離をそれぞれ算出する(ステップS9)。ある第1の特定点Qmとある第2の特定点Bnとの距離L(QmBn)は、以下の式で表される。
Figure 0005054746
相対距離演算部82は、第1の特定点Qmと第2の特定点Bnとの距離L(QmBn)のすべての組み合わせについて、同様に上記式(11)を用いて演算する。
本実施形態において、相対距離演算部82は、各特定点間距離L(QmBn)の何れかが予め設定された所定距離内となったか否かを判断し(ステップS10)、所定距離内となった特定点間距離L(QmBn)が存在する場合(ステップS10でYes)、出力装置9に対しその旨の出力を行い、出力装置9にアラームを報知させる(ステップS11)。出力装置9は、例えば警報ランプ又は警報ブザーでもよいし、第2の試験体2の操作パネルに設けられたモニタにおいて警報表示させることとしてもよい。
以上の制御は、第2の試験体2が移動する度に行われる(ステップS12)。
上記構成によれば、座標変換用マークPi,Aiを複数の光学系を有する撮像装置4,5で撮像することにより、三角測量の原理を用いて風洞測定部内の3次元座標系であるワーク座標系における第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiの3次元座標を演算することができるため、第1の試験体1と第2の試験体2との相対距離Lを非接触かつ短時間で計測することができる。しかも、第1の試験体1及び第2の試験体2の表面に設けられる第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiとは別に、第1の試験体1と第2の試験体2との相対距離を求める基準となる第1及び第2の特定点Qm,Bnを設定することが可能なため、第1及び第2の座標変換用マークPi,Aiを撮像装置4,5で撮像し易い箇所に設けつつ、2つの試験体1,2が接触する可能性が高い位置である第1及び第2の特定点Qm,Bnを基準として相対距離Lを算出することができるため、第1の試験体1と第2の試験体2との近接判定を高精度かつ定量的に行うことができる。
また、第2の試験体2が第1の試験体1の影に隠れた場合であっても、第2の試験体2と一体的に相対移動する支持部材33に設けられた座標変換用補助マークA4〜A6を用いて風洞測定部内の3次元座標系における第2の試験体2の3次元座標を演算することができるため、より確実に第1の試験体1と第2の試験体2との相対距離Lを算出することができる。
なお、本実施形態においては、相対距離演算部82で演算された相対距離Lを第1の試験体1と第2の試験体2との近接判定に用いているが、例えば相対距離Lを試験体制御部83が第2の試験体2を所定距離移動させる制御に用いることとしてもよい。
また、本実施形態においては、第1の特定点Qmと第2の特定点Bnとを結ぶ距離をすべて算出し、算出されたそれぞれの距離について所定距離以内か否かの判定を行っているが、特定点間の距離を算出する毎に所定距離以内か否かの判定を行って、所定距離以内である長さが存在した時点でアラームを報知することとしてもよい。この場合はさらに、衝突し易い特定点間の長さを優先的に算出することとしてもよい。
また、上記のような特定点間の距離を算出する代わりに、第1の特定点Qmから基準平面を演算し、基準平面と第2の特定点Bnとの距離を第1の試験体1と第2の試験体2との相対距離として算出してもよい。図7は、図1に示す風洞内相対距離計測システムにおいて試験体間の相対距離を求めるための他の方法を示す図である。
図7の例においては、相対距離演算部82は、第1の特定点Qmのうち第1の試験体1の胴体下方に設けられた第1の特定点Q1〜Q3を含み且つ水平面に平行な基準平面Aを算出する。さらに、相対距離演算部82は、算出された基準平面Aと第2の特定点B1,B2との距離L1,L2を相対距離としてそれぞれ求め、この距離L1,L2が所定距離以内か否かを判定し、所定距離以内である場合には出力装置9にアラームを報知させる。
なお、一直線上にない3点以上の第1の特定点Qmを用い、これらを含む平面を基準平面Aとして算出してもよいし、1点以上の第1の特定点Qmを用い、これを含み、水平面に平行な平面を基準平面Aとして算出してもよい。また、複数の第2の特定点Bnを結んだ線分を算出し、この線分と基準平面Aとの距離を算出することとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
本発明の風洞内相対距離計測システム及び風洞内相対距離計測方法は、風洞測定部内試験に用いられる複数の試験体の相対距離を非接触かつ短時間で計測しつつ、試験体同士の近接判定を高精度かつ定量的に行うために有用である。
100 風洞測定部
101 観測窓
1 第1の試験体
2 第2の試験体
3 支持機構
4,5 撮像装置
6,7 照明装置
8 制御装置
9 出力装置
10 外周円
11,12,13 マークの中心部
31 固定部材
32 アーム部材
33 支持部材
80 CPU
81 画像処理部(画像処理装置)
82 相対距離演算部(相対距離演算装置)
83 試験体制御部
84 記憶部
A1〜A3 第2の座標変換用マーク
A4〜A6 座標変換用補助マーク
A11〜A13,A21〜A23,A31〜A33 座標変換用マーク群の第2の座標変換用マーク
B1〜B2 第2の特定点(第2の試験体特定位置)
L 相対距離
P1〜P3 第1の座標変換用マーク
Q1〜Q7 第1の特定点(第1の試験体特定位置)
T1〜T3 座標変換用マーク群

Claims (8)

  1. 風洞測定部内に設置された第1の試験体と、
    前記風洞測定部内の前記第1の試験体に対して相対移動可能に設置された第2の試験体と、
    前記第1の試験体の表面に3つ以上設けられ、一又は複数の特定の位置(以下、第1の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第1の座標変換用マークと、
    前記第2の試験体の表面に3つ以上設けられ、一又は複数の特定の位置(以下、第2の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第2の座標変換用マークと、
    前記風洞測定部の外部から前記第1及び第2の座標変換用マークを撮像する複数の光学系を有する撮像装置と、
    前記撮像装置で撮像された前記複数の光学系毎の画像から得られた前記第1及び第2の座標変換用マークの視差に基づいて前記第1及び第2の座標変換用マークの3次元座標を演算する画像処理装置と、
    前記3つ以上の第1の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第1の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第1の試験体特定位置の3次元座標を演算し、前記3つ以上の第2の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第2の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第2の試験体特定位置の3次元座標を演算し、かつ前記第1の試験体特定位置の3次元座標と前記第2の試験体特定位置の3次元座標とから前記第1の試験体特定位置と前記第2の試験体特定位置との相対距離を演算し、その結果を出力する相対距離演算装置と、を備えた風洞内相対距離計測システム。
  2. 前記第2の試験体と一体的に固定され、前記第2の試験体を支持する支持部材と、
    前記支持部材の表面に設けられた3つ以上の座標変換用補助マークとを備え、
    前記画像処理装置は、前記第2の試験体の表面に設けられた前記座標変換用マークの何れかが前記撮像装置で撮像された画像上に写らない場合に、前記座標変換用マークの代わりに前記座標変換用補助マークを用いて演算する、請求項1に記載の風洞内相対距離計測システム。
  3. 前記3次元座標は、前記風洞測定部内に固設された前記第1の試験体の表面上において同一平面状にない6点以上の所定の点から予め定義されている、請求項1に記載の風洞内相対距離計測システム。
  4. 前記撮像装置の光学系にそれぞれ同軸に光を照射可能な照明装置を備え、
    前記第1及び第2の座標変換用マークは、再帰反射材を含む、請求項1に記載の風洞内相対距離計測システム。
  5. 前記第1及び第2の座標変換用マークは、前記第1の試験体及び第2の試験体の表面に対して輝度差の大きい部分を有する、請求項1に記載の風洞内相対距離計測システム。
  6. 前記第1及び第2の座標変換用マークは、互いに異なる形状を有している、請求項1に記載の風洞内相対距離計測システム。
  7. 前記第2の試験体は、長手軸回り回転可能に構成されており、
    前記第2の試験体には、前記第2の座標変換用マークが前記長手軸に直交する面と交差する外周上に3つ以上且つ隣接する前記第2の座標変換用マーク間の中心角が180度未満となるように設けられた座標変換用マーク群が3つ以上設けられ、
    前記第2の試験体に設けられた前記第2の座標変換用マークは、前記長手軸に平行な直線上に並ばない、請求項1に記載の風洞内相対距離計測システム。
  8. 風洞測定部内に設置された第1の試験体と、
    前記風洞測定部内に前記第1の試験体に対して相対移動可能に設置された第2の試験体との相対距離を計測する風洞内相対距離計測方法であって、
    一又は複数の特定の位置(以下、第1の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第1の座標変換用マークを前記第1の試験体の表面に3つ以上設け、
    一又は複数の特定の位置(以下、第2の試験体特定位置という)に対する相対位置が既知である第2の座標変換用マークを前記第2の試験体の表面に3つ以上設け、
    複数の光学系を有する撮像装置を用いて、前記風洞測定部の外部から前記第1及び第2の座標変換用マークを撮像し、
    前記撮像装置で撮像された前記複数の光学系毎の画像から得られた前記第1及び第2の座標変換用マークの視差に基づいて前記第1及び第2の座標変換用マークの3次元座標を演算し、
    前記3つ以上の第1の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第1の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第1の試験体特定位置の3次元座標を演算し、前記3つ以上の第2の座標変換用マークの3次元座標とそれぞれの前記第2の試験体特定位置に対する相対位置とを用いて前記第2の試験体特定位置の3次元座標を演算し、
    前記第1の試験体特定位置と前記第2の試験体特定位置との相対距離を演算する、風洞内相対距離計測方法。
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