JP5052484B2 - 内燃機関の燃料噴射量学習制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量学習制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関における燃料噴射量を適切に得るための学習制御を行う燃料噴射量学習制御装置に係る。特に、本発明は、微小燃料噴射量に対する学習制御を実行する際における学習期間の短縮化を図る対策に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されているように、自動車用ディーゼルエンジン等の内燃機関では、燃焼騒音の低減やNOx排出量の削減を目的として、メイン噴射に先立って極少量の燃料を気筒内に向けて噴射するパイロット噴射が行われている。
このようなパイロット噴射を行うエンジンにおいて、そのパイロット噴射量の最適値はそのときのエンジンの運転状態によって異なる。一般に、このパイロット噴射量は、エンジンのシリンダ容量にもよるが概ね数mm3程度であり、エンジン回転数等に基づいて求められる目標パイロット噴射量でパイロット噴射が実行されるようになっている。具体的には、燃料噴射圧に応じて燃料噴射弁(以下、インジェクタと呼ぶ場合もある)の開閉制御(開弁期間の制御)が行われるようになっている。
ここで問題となるのが燃料噴射システムの個体差による燃料噴射量のばらつき(個体ばらつき)である。すなわち、燃料噴射システムに使用されているインジェクタの個体差(噴射量のばらつき)や各センサの個体差(センサ出力のばらつき)は、マイクロコンピュータ等によって求められた目標パイロット噴射量(パイロット噴射量の指示値)と実際に噴射される実パイロット噴射量との間にずれ(インジェクタの噴射特性のずれ)を生じさせることになる。このようなずれが生じると、適正なパイロット噴射量が得られないことになる。そして、実パイロット噴射量が目標パイロット噴射量から大幅にずれてしまう状況では、燃焼騒音の増大、PM(Paticulate Matter:微粒子)排出量の増加、エンジンの失火等を招いてしまう可能性がある。そればかりでなく、この燃料噴射量のずれに伴って、ドライバビリティの悪化や、燃料消費率の悪化なども懸念される状況になる。
このため、従来より、例えば下記の特許文献2〜特許文献4に開示されているようなパイロット噴射等の微小燃料噴射に対する学習制御(一般に、微小噴射量制御と呼ばれる)が行われている。
上述した如く、パイロット噴射では、燃料噴射圧に応じてインジェクタの開弁期間を適宜設定して目標パイロット噴射量での燃料噴射が実行されるようにしている。そのため、エンジンの制御系に備えられたエンジンECUには、複数段階(例えば5段階)のコモンレール内圧(例えば40MPa、60MPa、80MPa、100MPa、120MPa)それぞれに対し、目標パイロット噴射量とインジェクタへの通電時間(開弁期間)との関係が気筒別(インジェクタ別)にそれぞれ記憶されたパイロット噴射量設定マップが格納されている。つまり、エンジン回転数等に応じて決定された目標パイロット噴射量が得られるように、コモンレール内圧に応じたインジェクタへの通電時間(上記微小噴射量制御により得られた学習値)がパイロット噴射量設定マップに記憶されている。
このような微小燃料噴射に対する学習制御は、上記パイロット噴射量設定マップ上の学習値を適切に設定しておくことにより、上記燃料噴射システムに個体ばらつきがあっても適正なパイロット噴射量でパイロット噴射が行えるようにするためのものである。
また、上記微小燃料噴射に対する学習制御により得られた学習値は、上記パイロット噴射に限らず、その他の微小燃料噴射である、プレ噴射、アフタ噴射、ポスト噴射での燃料噴射量の適正化にも役立てることができる。
このような微小燃料噴射に対する学習制御によって求められる学習値の初期値は、自動車の工場出荷の際に行われる微小燃料噴射に対する学習制御によって取得される。
以下、この自動車の工場出荷の際に行われる微小燃料噴射に対する学習制御の一般的な手法について説明する。
この学習制御は、エンジンの無負荷減速状態でパイロット噴射量と略同等の極少量の燃料を特定の気筒(ピストンが圧縮上死点付近にある気筒)に向けて噴射し(以下、この燃料噴射を「単発噴射」と呼ぶ)、この単発噴射に伴うエンジン回転数の変化量など(エンジン運転状態の変化量)を認識する。そして、正確に所定量の単発噴射が実行された場合のエンジン運転状態の変化量データと、実際に単発噴射を行った場合のエンジン運転状態の変化量とを比較し、そのずれ量に応じて上記パイロット噴射量設定マップの学習値を求める。このような動作を上記パイロット噴射量設定マップ上の各コモンレール内圧毎に且つ各気筒毎に実行していき、それぞれに対応した学習値を求めるようにしている。
図7は、この微小燃料噴射に対する学習制御の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャートである。
この図7に示すように、この学習制御では、エンジン回転数を間欠的に上昇させる所謂レーシングを行いながら、エンジンが無負荷減速状態であってトルク発生のための燃料噴射が要求されない期間(図7において学習期間として示したエンジン回転数が低下している期間:以下、この期間を「特定燃圧学習期間」と呼び、この期間での制御動作(学習値を求めるための動作)を「特定燃圧学習動作」と呼ぶ)に単発噴射を実行し、その際のエンジン運転状態の変化量に基づいて学習値を求めることになる。このレーシングは、上記学習制御の実行指令を発信する発信手段(ツール)をエンジンECUに接続することで実行される自動レーシングである。
例えば、図7において、第1回目の学習制御であるコモンレール内圧(学習対象コモンレール内圧)をP1(例えば40MPa)とした場合の学習制御では、先ず、コモンレール内圧を一時的に上昇(圧力P1よりも大幅に上昇)させて(図中の圧力P0:例えば140MPa)、レーシングを実行する(このレーシングにおけるエンジン回転数は図中のN1)。このコモンレール内圧を一時的に上昇させるのは、レーシングの実行に際してエンジン回転数を急速に高め、その後に行われる上記特定燃圧学習動作での特定燃圧学習期間を長く確保するためである。
そして、その後、燃料ポンプからコモンレール内への燃料供給量を制限(調整)しながらエンジン回転数としては上記高回転状態を保持し(図中の高回転保持期間T0を参照)、コモンレール内圧を学習対象コモンレール内圧(この場合はP1)まで低下させていく。そして、エンジンの高回転状態を所定期間(T0)だけ維持し、その期間中に、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に調整された後、エンジンを無負荷減速状態にする。つまり、それまでの気筒内への燃料噴射(比較的噴射量の多い燃料噴射:メイン噴射相当の噴射量)を停止する。これに伴いエンジン回転数が次第に低下していく。そして、この次第に低下していくエンジン回転数が所定回転数(エンジンストールに至ることのない許容下限回転数:図7における回転数N2)に低下するまでの期間(上記特定燃圧学習期間)中に複数回の単発噴射を実行し、その際のエンジン運転状態の変化量に基づいて学習値を求めていく。つまり、上述した如く、正確に所定量の単発噴射が実行された場合のエンジン運転状態の変化量データと、実際に単発噴射を行った場合のエンジン運転状態の変化量とを比較し、そのずれ量に応じて、現コモンレール内圧(P1:40MPa)における微小燃料噴射に対する学習値を求める。これにより、コモンレール内圧(学習対象コモンレール内圧)をP1とした場合の学習制御が終了する。
以後、同様にして、学習対象とするコモンレール内圧を、P2(例えば60MPa)、P3(例えば80MPa)、P4(例えば100MPa)、P5(例えば120MPa)に順に設定していきながら、各コモンレール内圧における微小燃料噴射に対する学習制御を行ってそれぞれの学習値を求めていく。
尚、この図7は、それぞれ1回の特定燃圧学習期間中に全気筒(例えば4気筒)に対して学習値が取得できた場合を示している。
特開2003−56389号公報 特開2007−327341号公報 特開2008−163913号公報 特開2005−36788号公報
ところで、上述したような微小燃料噴射に対する学習制御は、学習制御開始から学習制御終了までに比較的長い時間を要してしまうことが予てからの課題とされていた。
本発明の発明者は、この微小燃料噴射に対する学習制御に要する時間の短縮化について検討を行った。そして、この学習制御に要する時間が長くなる要因として、上記高回転保持期間(図7における期間T0)が必要以上に長くなっていることを見出した。
上記特許文献2〜特許文献4には、微小燃料噴射量に対する学習制御について開示されてはいるものの、その学習制御としてエンジンの高回転保持期間を設けていることや、この高回転保持期間が必要以上に長くなっているために学習制御に長い時間を要してしまっていたことの課題については何ら開示されていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の微小燃料噴射量に対する学習制御を実行する際における学習期間の短縮化を図ることができる燃料噴射量学習制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、内燃機関の微小燃料噴射量に対する学習制御を実行するに際し、燃料圧力(コモンレール内圧)が学習対象とする圧力まで低下したタイミングと略同時に内燃機関の高回転保持状態を解除し、これによって高回転保持期間を短くできるようにしている。つまり、従来、学習対象燃料圧力の大きさに関わらず高回転保持期間が一律であったものを、本発明では、燃料圧力が学習対象燃料圧力に達するのと略同時に高回転保持状態を解除することで、無駄な高回転保持期間を排除して学習制御に要する時間の短縮化が図れるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、燃料噴射弁に供給する燃料圧力を学習対象燃料圧力よりも高い所定の学習初期基準圧力まで高めると共に内燃機関の回転数を比較的高回転である学習初期基準回転数まで高めておき、この内燃機関の高回転状態を保持しながら燃料圧力を上記学習対象燃料圧力まで降下させた状態で内燃機関を無負荷減速状態にし、この無負荷減速状態において特定の気筒内に燃料噴射弁から微小量の燃料噴射を行い、その燃料噴射に伴う内燃機関の運転状態の変化から目標微小燃料噴射量に対する実微小燃料噴射量の偏差に基づく学習値を取得する燃料噴射量学習制御を実行する内燃機関の燃料噴射量学習制御装置を前提とする。この内燃機関の燃料噴射量学習制御装置に対し、上記学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差が小さいほど、内燃機関の高回転保持期間を短く設定する高回転保持期間変更手段を備えさせている。
ここで、上記学習対象燃料圧力とは、学習制御を実行する際に学習値の取得対象とする燃料圧力であって、実際の燃料噴射量学習制御では、複数種類の学習対象燃料圧力に対してそれぞれ学習制御が行われて、個々の学習対象燃料圧力における気筒別の学習値が求められていく。また、学習初期基準圧力とは、燃料圧力を上記学習対象燃料圧力に合わせ込む際に、この燃料圧力を一旦上昇させる基準圧力である。このように、燃料圧力を学習初期基準圧力まで一旦上昇させることで、高い学習初期基準回転数が容易に得られ、上記無負荷状態の期間(内燃機関の回転数が学習初期基準回転数から許容下限回転数に達するまでの期間)を長く得ることができる。
この特定事項により、ある学習対象燃料圧力に対しての学習制御を実行する場合には、先ず、燃料圧力を学習初期基準圧力まで高めておく。また、内燃機関の回転数を学習初期基準回転数まで高めておく。そして、この内燃機関の回転数を学習初期基準回転数に保持した状態で、燃料圧力を学習初期基準圧力から学習対象燃料圧力まで降下させる。この場合、上記学習対象燃料圧力が比較的低く、学習初期基準圧力との圧力差が大きい場合には、燃料圧力が学習対象燃料圧力に到達するまでには比較的長い時間を要するのに対し、上記学習対象燃料圧力が比較的高く、学習初期基準圧力との圧力差が小さい場合には、短時間のうちに燃料圧力は学習対象燃料圧力に到達することになる。このため、学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差が小さい場合には、早期に高回転保持状態を解除して、微小量の燃料噴射による学習制御に移行することを可能にしている。従来では、学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差に関わらず、高回転保持期間が一律であったため、燃料圧力が学習対象燃料圧力に到達しているにも拘わらず高回転保持状態を継続させており、その結果、無駄な時間が生じていた。本解決手段では、この無駄な時間を無くすべく、学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差が小さいほど、つまり、早期に学習対象燃料圧力に到達できる状況であるほど高回転保持期間を短く設定している。このため、上記無駄な時間が無くなる分だけ、学習制御に要する時間を短縮化することができる。
上記高回転保持期間変更手段の具体構成としては以下のものが挙げられる。つまり、 上記高回転保持期間変更手段が、内燃機関の高回転保持期間を、燃料圧力が学習初期基準圧力から学習対象燃料圧力に降下するまでの期間に一致する期間として予め設定しているものである。
この構成により、学習対象燃料圧力が決定されておれば、それに従って内燃機関の高回転保持期間も一義的に決定されることになる。例えば、学習対象燃料圧力と高回転保持期間との関係を実験的または経験的に予め求めておき、それをマップ化するなどしてECUに記憶させておくことで、学習対象燃料圧力から高回転保持期間が一義的に求められることになる。そして、このマップに従って高回転保持期間を設定することで、この高回転保持期間が終了したタイミングでは、燃料圧力は所定の学習対象燃料圧力に到達していることになる。このように、本解決手段にあっては、圧力検知動作等を必要とすることなしに、比較的簡素な制御手順で高回転保持期間を従来のものよりも短くすることができ、学習制御に要する時間を短縮化することができる。
上記高回転保持期間変更手段の他の具体構成としては以下のものが挙げられる。つまり、燃料噴射弁に供給する燃料圧力を検知可能な燃料圧力検知手段が配設されており、上記高回転保持期間変更手段が、上記燃料圧力検知手段からの出力を受け、燃料噴射弁に供給する燃料圧力が学習対象燃料圧力まで下降した時点で内燃機関の高回転保持期間を終了させる構成としたものである。
この構成では、燃料圧力を学習初期基準圧力から学習対象燃料圧力に向けて降下させていく際に燃料圧力検知手段によって燃料圧力を検知していく。そして、この検知された燃料圧力が学習対象燃料圧力まで降下した時点で高回転保持期間を終了させ、燃料噴射弁から微小量の燃料噴射を行う学習動作(上記特定燃圧学習動作)に移行させることになる。つまり、燃料圧力が学習対象燃料圧力に達するのと略同時に、学習値取得のための微小量の燃料噴射を開始させることが可能になる。このため、本解決手段によれば、高回転保持期間を必要最短期間に規定することができ学習制御に要する時間を最短にできる。
上記燃料噴射量学習制御装置が適用される内燃機関としてはコモンレール式のディーゼルエンジンが挙げられる。この場合、上記燃料噴射弁に供給する燃料圧力はコモンレール内圧であって、上記高回転保持期間変更手段は、このコモンレール内圧における上記学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差が小さいほど、内燃機関の高回転保持期間を短く設定する構成となっている。
本発明では、内燃機関の微小燃料噴射量に対する学習制御を実行するに際し、燃料圧力が学習対象とする圧力まで低下したタイミングと略同時に内燃機関の高回転保持状態を解除し、これによって高回転保持期間が短くなるようにしている。これにより、学習対象燃料圧力の大きさに関わらず高回転保持期間が一律であった従来の学習制御に比べて、学習制御に要する時間の短縮化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば4気筒)ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成説明−
先ず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略構成について説明する。図1は本実施形態に係るエンジン1およびその制御系統の概略構成図である。
このエンジン1におけるシリンダ1aとピストン1bとの間で形成される燃焼室3には、吸気系として、シリンダヘッド5に備えられた吸気バルブ4aを介して吸気通路4が接続されている。この吸気通路4には、上流側より、吸入空気を濾過するエアクリーナ6、吸入空気量を検出するための吸入空気量センサ8、吸入空気の温度を検出するための吸気温センサ10、燃焼室3内に導入される吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ14がそれぞれ設けられている。
スロットルバルブ14は駆動機構16によって開閉駆動される。この駆動機構16は、ステップモータ18および、このステップモータ18とスロットルバルブ14とを駆動連結するギア群を備えて構成されている。尚、ステップモータ18は、エンジン1の各種制御を行うための電子制御装置(以下「ECU」という)20によって駆動制御される。また駆動機構16には、スロットルバルブ14が全開位置となることでオン状態となる全開スイッチ22が設けられている。
一方、上記燃焼室3には、排気系として、シリンダヘッド5に備えられた排気バルブ24aを介して排気通路24が接続されている。この排気通路24からはEGR(排気再循環)通路26が分岐している。このEGR通路26は、吸気通路4におけるスロットルバルブ14の下流側に接続されている。EGR通路26には、ECU20によって制御されるアクチュエータ28により開閉駆動されるEGRバルブ30が設けられている。上記スロットルバルブ14によって吸入空気量を、また、このEGRバルブ30によってEGR量をそれぞれ調整することで、燃焼室3内に導入される吸入空気量とEGR量との割合を自在に設定することが可能となっている。このことによりエンジン1の全運転領域にわたって適切な吸入空気量およびEGR量の制御が行えるようになっている。
エンジン1には、複数の気筒(本実施形態のものは4気筒であるが、1気筒のみ図示している)♯1,♯2,♯3,♯4が設けられており、各気筒♯1〜♯4の燃焼室3に対してインジェクタ(燃料噴射弁)32がそれぞれ配設されている。インジェクタ32からエンジン1の各気筒♯1〜♯4への燃料噴射は、噴射制御用電磁弁32aのオン・オフにより制御される。
上記インジェクタ32は、各気筒共通の蓄圧容器としてのコモンレール34に接続されており、上記噴射制御用電磁弁32aが開いている間(インジェクタ開弁期間)、コモンレール34内の燃料がインジェクタ32より燃焼室3内へ噴射されるようになっている。上記コモンレール34には、燃料噴射圧に相当する比較的高い圧力が蓄積されている。この蓄圧を実現するために、コモンレール34は、供給配管35を介してサプライポンプ36の吐出ポート36aに接続されている。また、供給配管35の途中には、逆止弁37が設けられている。この逆止弁37の存在により、サプライポンプ36からコモンレール34への燃料の供給が許容され、且つ、コモンレール34からサプライポンプ36への燃料の逆流が規制されている。
上記サプライポンプ36は、吸入ポート36bを介して燃料タンク38に接続されており、その途中にはフィルタ39が設けられている。サプライポンプ36は、燃料タンク38からフィルタ39を介して燃料を吸入する。また、これとともに、サプライポンプ36は、エンジン1の出力軸であるクランク軸からの回転駆動力を受けてプランジャを往復運動させ、燃料圧力を要求される圧力にまで高め、高圧燃料をコモンレール34に供給している。
更に、サプライポンプ36の吐出ポート36a近傍には、圧力制御弁40が設けられている。この圧力制御弁40は、吐出ポート36aからコモンレール34へ吐出される燃料圧力(すなわち噴射圧力)を制御するためのものである。この圧力制御弁40が開かれることにより、吐出ポート36aから吐出されない分の余剰燃料が、サプライポンプ36に設けられたリターンポート36cからリターン配管(戻し流路)41を経て燃料タンク38へと戻されるようになっている。
以上の如く、燃料タンク38、サプライポンプ36、コモンレール34、インジェクタ32を主要構成部材としてエンジン1の燃料供給系が構成されている。
また、上記エンジン1の燃焼室3には、グロープラグ42が配設されている。このグロープラグ42は、エンジン1の始動直前にグローリレー42aに電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置である。
尚、エンジン1のクランク軸には、このクランク軸の回転に同期して回転するロータが設けられ、このロータの外周面に形成された凸部を検出してその回転速度に対応したパルス信号を出力する電磁ピックアップからなる回転数センサ44が設けられている。この回転数センサ44の出力は、エンジン1の回転数の算出に寄与する信号としてECU20に取り込まれる。
上記ECU(Electronic Control Unit)20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAM、タイマーやカウンタ等を備え、これらと、A/D(Analog/Digital)変換器を含む外部入力回路および外部出力回路とが双方向性バスにより接続されて構成される。
このように構成されたECU20は、各種センサの検出信号を、外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいてエンジン1の燃料噴射等についての基本制御等、エンジン1の運転状態に関する各種制御を実行する。具体的には、ECU20には、上述した吸入空気量センサ8によって検出される吸入空気量情報や吸気温センサ10によって検出される吸気温度情報をはじめ、アクセル開度センサ46によって検出されるアクセル開度情報(アクセルペダルの踏み込み量情報)やIG(イグニッション)スイッチ48のオン・オフ情報、スタータスイッチ50のオン・オフ情報、シリンダブロック2内のウォータジャケット2aに設けられた冷却水温センサ52によって検出される冷却水温度情報、トランスミッションに設けられたシフトポジションセンサ54によって検出されるシフトポジション情報および車速センサ56の信号により検出されている車速情報、インジェクタ32から延びるリターン配管41に設けられた燃温センサ58により検出される燃料温度情報、上記リターンポート36c付近に設けられた燃温センサ59により検出される燃料温度情報、コモンレール34に設けられた燃圧センサ60により検出される燃料の圧力(噴射圧力PC)情報等の情報も併せて取り込まれ、これら情報に基づいてエンジン1の運転状態に関する各種制御を実行するようになっている。
−微小燃料噴射量学習制御−
次に、本実施形態の特徴とする制御動作である微小燃料噴射量学習制御(微小噴射制御:微小Q制御)についての複数の実施形態を説明する。
微小燃料噴射量学習制御としては、自動車の走行中であってエンジン無負荷時に行われるものと、自動車の工場出荷の際に行われるものとがあるが、本実施形態が対象とする微小燃料噴射量学習制御は、自動車の工場出荷の際に行われるものである。この微小燃料噴射量学習制御は、燃料噴射システムの個体差、例えばインジェクタ32の個体差による噴射量(噴射特性)のばらつきに応じた学習値の初期値を取得するための制御である。つまり、目標とする微小燃料噴射量(微小燃料噴射量の指示値)と実際の微小燃料噴射量との間にずれを生じさせることのない学習値の初期値を取得するための制御である。
この微小燃料噴射量学習制御では、インジェクタ32への指令噴射量が零以下となる無噴射期間中に極少量の燃料を特定の気筒(ピストン1bが圧縮上死点付近にある気筒)に向けて噴射(単発噴射)し、この単発噴射に伴うエンジン運転状態の変化量を認識する。そして、正確に所定量の単発噴射が実行された場合のエンジン運転状態の変化量データと、実際に単発噴射を行った場合のエンジン運転状態の変化量とを比較し、そのずれ量に応じて学習値を取得して上記ECU20に記憶されている噴射量設定マップ(パイロット噴射量設定マップなど)のマップ値に学習値を反映させるようにしている。
ところが、従来の微小燃料噴射量学習制御にあっては、上記単発噴射が実行される前にエンジン回転数を高回転状態に保持する期間(高回転保持期間)が一律であったため、学習制御に要する時間が長くなるといった課題があった。
具体的に説明すると、この微小燃料噴射量学習制御では、図7を用いて既に説明したように、エンジン回転数を間欠的に上昇させる所謂レーシングを行いながら、トルク発生のための燃料噴射が要求されない期間(図7において学習期間として示した期間)に単発噴射を実行し、その際のエンジン運転状態の変化量に基づいて学習値を求めるようにしている。
つまり、学習対象コモンレール内圧(学習対象燃料圧力)が異なる各微小燃料噴射量学習制御では、先ず、コモンレール内圧を一時的に上昇させて(図7中の圧力P0(例えば140MPa):以下、この圧力を学習初期基準コモンレール内圧と呼ぶ)、レーシングを実行する(このレーシングにおけるエンジン回転数は図中のN1)。
そして、その後、サプライポンプ36からコモンレール34内への燃料供給量を制限(調整)しながらエンジン回転数としては高回転状態を保持し(図中の高回転保持期間T0を参照)、コモンレール内圧を学習対象レール内圧に向けて降下させていく。本実施形態に係るエンジン1では、コモンレール34に減圧弁が設けられていないため、各インジェクタ32からの燃料噴射に伴ってコモンレール内圧が学習対象レール内圧に向けて降下していくことになる。
そして、エンジン1の高回転状態を所定時間だけ維持することでコモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に調整された後、それまでの気筒内への燃料噴射(比較的噴射量の多い燃料噴射)を停止する(無負荷減速状態にする)。これに伴いエンジン回転数が次第に低下していく。そして、この次第に低下していくエンジン回転数が所定回転数(エンジンストールに至ることのない許容下限回転数:図7における回転数N2)に低下するまでの期間中に複数回の単発噴射を実行し、その際のエンジン運転状態の変化量に基づいて学習値を求めていく。つまり、上述した如く、正確に所定量の単発噴射が実行された場合のエンジン運転状態の変化量データと、実際に単発噴射を行った場合のエンジン運転状態の変化量とを比較し、そのずれ量に応じて、現コモンレール内圧における微小燃料噴射に対する学習値を求める。
このような動作において、従来では、上記単発噴射が実行される前にエンジン回転数を高回転状態に保持する期間(高回転保持期間)が一律(図7における時間T0)であったため、学習制御に要する期間が長くなっていた。
以下の各実施形態は、この点に鑑み、学習対象とするコモンレール内圧(以下、学習対象コモンレール内圧と呼ぶ)に応じて高回転保持期間を可変とするようにしている。具体的には、学習対象コモンレール内圧が高いほど、つまり、学習初期基準コモンレール内圧と学習対象コモンレール内圧との圧力差が小さいほど、高回転保持期間を短く設定するようにしている(高回転保持期間変更手段による高回転保持期間の設定変更動作)。
(第1実施形態)
本実施形態は、予めROMに記憶された「高回転保持期間マップ」に従って、学習対象コモンレール内圧に応じて高回転保持期間を設定するようにしている。図2は、この高回転保持期間マップの一例を示している。この高回転保持期間マップでは、学習対象コモンレール内圧(目標コモンレール内圧)として、「40MPa」、「60MPa」、「80MPa」、「100MPa」、「120MPa」が設定されており、それぞれに対して、高回転保持期間を、「1.2sec」、「1.0sec」、「0.8sec」、「0.7sec」、「0.6sec」に規定している。つまり、学習対象コモンレール内圧が高いほど高回転保持期間を短く設定するようにしている。これら値はこれに限定されるものではなく、エンジン1の排気量や気筒数などに応じて適宜設定される。
これら学習対象コモンレール内圧と高回転保持期間との関係は、予め実験的または経験的に求められ、そのデータがROMに記憶されている。また、この高回転保持期間マップを、自動車の工場出荷の際にしか使用しない場合には、ECU20に接続されて学習制御の実行指令を発信する発信手段(ツール)に高回転保持期間マップを記憶させておき、このツールからの指令信号に応じて高回転保持期間を変更するようにしてもよい。
このようにして、本実施形態に係る微小燃料噴射量学習制御にあっては、学習対象コモンレール内圧が更新される度に、それに応じて高回転保持期間も更新されていきながらそれぞれの学習対象コモンレール内圧に対しての微小燃料噴射量学習制御が行われていくようになっている。
図3は、本実施形態における微小燃料噴射量学習制御の手順を示すフローチャートである。また、図4は、この微小燃料噴射量学習制御の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャートである。以下、図3及び図4に従って微小燃料噴射量学習制御について具体的に説明する。
先ず、学習制御を実行させるための指令(学習指令信号)を発信するツールを上記ECU20に接続し、燃料噴射量学習モードに移行させる。
この燃料噴射量学習モードに移行すると、先ず、ステップST1でコモンレール内圧の上昇動作と、エンジン回転数の上昇動作とが実行される。コモンレール内圧の上昇動作は、上記圧力制御弁40を閉鎖するなどしてサプライポンプ36からコモンレール34への燃料供給量を増大させることにより実行される。一方、エンジン回転数の上昇動作は、例えばインジェクタ32から燃焼室3内へ噴射される燃料噴射量(メイン噴射での噴射量)を増量させることにより実行される。これら動作により、コモンレール内圧は上記学習初期基準圧力(図4における圧力P0:例えば140MPa)まで上昇し、エンジン回転数は上記学習初期基準回転数(図4におけるN1:例えば5000rpm)まで上昇する。図4では、タイミングt1でコモンレール内圧が学習初期基準圧力に達し、且つエンジン回転数が学習初期基準回転数に達している。
その後、今回実施する微小燃料噴射量学習制御での学習対象コモンレール内圧を取得する。ここでは、第1回目の微小燃料噴射量学習制御であるので、複数の学習対象コモンレール内圧のうち最も低い圧力(図4における圧力P1:例えば40MPa)とする。
ステップST3では、上記取得した学習対象コモンレール内圧を上記高回転保持期間マップに当て嵌めることで、その学習対象コモンレール内圧に対応する高回転保持期間を読み出す。図2に示す高回転保持期間マップの場合には、学習対象コモンレール内圧40MPaに対応する高回転保持期間として1.2secが読み出される。この高回転保持期間は、図4にあっては図中の期間T1に相当する。
ステップST4では、エンジン回転数が上記学習初期基準回転数まで上昇してからの経過時間が計測され、その経過時間が上記高回転保持期間(1.2sec=T1)に達したか否かが判定される。これは、上記経過時間が高回転保持期間に達したことで、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧まで降下したか否かを判定する動作に相当する。つまり、上記高回転保持期間マップから求められる高回転保持期間は、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に降下するまでの期間を規定しているものである。
そして、上記経過時間が高回転保持期間に達してステップST4でYES判定されると、ステップST5に移る。このステップST5では、それまでの気筒内への燃料噴射(上記学習初期基準回転数N1を維持するための比較的噴射量の多い燃料噴射)を停止し、単発噴射の実行による微小燃料噴射量学習を開始する(図4におけるタイミングt2)。つまり、それまでの気筒内への燃料噴射(比較的噴射量の多い燃料噴射)を停止することに伴いエンジン回転数が次第に低下していき、この次第に低下していくエンジン回転数が所定回転数(エンジンストールに至ることのない許容下限回転数:図4における回転数N2)に低下するまでの期間中(図4におけるP1を対象とする学習期間を参照)に複数回の単発噴射を実行し、その際のエンジン運転状態の変化量に基づいて学習値を求めていく。つまり、上述した如く、コモンレール内圧をP1(40MPa)に設定した場合に、正確に所定量の単発噴射が実行された場合のエンジン運転状態の変化量データと、実際に単発噴射を行った場合のエンジン運転状態の変化量とを比較し、そのずれ量に応じて、現コモンレール内圧P1における微小燃料噴射に対する学習値を求める。
このような学習制御を行いながら、ステップST6では、上記回転数センサ44によって検出されるエンジン回転数がアイドル回転数(N2:エンジンストールに至ることのない許容下限回転数)まで低下したか否かを判定し、アイドル回転数まで低下してステップST6でYES判定されると、ステップST7に移る(図4におけるタイミングt3)。
ステップST7では、全ての学習対象コモンレール内圧(40MPa、60MPa、80MPa、100MPa、120MPaの全ての学習対象コモンレール内圧)に対して学習が終了したか否かを判定する。ここでは、第1回目の学習制御、つまり、学習対象コモンレール内圧P1(40MPa)に対しての学習制御しか終了していないので、このステップST7ではNO判定され、ステップST8に移って学習対象コモンレール内圧を変更する。ここでは、学習対象コモンレール内圧をP2(60MPa)に変更し、ステップST1に戻る。
次に、学習対象コモンレール内圧をP2(60MPa)とした燃料噴射量学習制御に移る。上述した場合と同様に、コモンレール内圧の上昇動作と、エンジン回転数の上昇動作とが実行され(ステップST1)、今回実施する微小燃料噴射量学習制御での学習対象コモンレール内圧P2(60MPa)を取得し(ステップST2)、この取得した学習対象コモンレール内圧を上記高回転保持期間マップに当て嵌めて、その学習対象コモンレール内圧に対応する高回転保持期間を読み出す(ステップST3)。この場合、高回転保持期間としては、1.0secが読み出される。つまり、上述した学習対象コモンレール内圧をP1(40MPa)とした学習制御よりも高回転保持期間は短く設定される。
そして、エンジン回転数が上記学習初期基準回転数まで上昇してからの経過時間(図中のタイミングt4からの経過時間)が計測され、その経過時間が上記高回転保持期間(1.0sec=T2)に達したか否かが判定される(ステップST4)。上記経過時間が高回転保持期間に達すると(図中のタイミングt5)、それまでの気筒内への燃料噴射(比較的噴射量の多い燃料噴射)を停止し、単発噴射の実行による微小燃料噴射量学習を開始する(ステップST5)。そして、この微小燃料噴射量学習制御中にエンジン回転数がアイドル回転数(N2)まで低下(ステップST6でYES判定)すると(図中のタイミングt6)、ステップST7及びステップST8を経て、学習対象コモンレール内圧をP3(80MPa)に変更し、ステップST1に戻る。
このような動作を、学習対象コモンレール内圧が120MPaとされ、その学習制御が終了するまで繰り返す。
これにより、学習対象コモンレール内圧が高く設定されていくに従って高回転保持期間が短く設定されていきながら(学習対象コモンレール内圧がP3(80MPa)のときは高回転保持期間がT3(0.8sec)、学習対象コモンレール内圧がP4(100MPa)のときは高回転保持期間がT4(0.7sec)、学習対象コモンレール内圧がP5(120MPa)のときは高回転保持期間がT5(0.6sec))、各学習対象コモンレール内圧に対する学習制御が行われていく。
そして、学習対象コモンレール内圧を120MPaとした学習制御が終了すると、全ての学習対象コモンレール内圧に対して学習が終了したと判定され(ステップST7でYES判定され)、微小燃料噴射量学習制御を終了する。これにより、各学習対象コモンレール内圧それぞれに対し、目標微小燃料噴射量とインジェクタ32への通電時間(開弁時間)との関係が気筒別(インジェクタ別)にそれぞれ記憶されたパイロット噴射量設定マップが作成されることになる。
尚、上述の如く求められた学習値は、パイロット噴射だけでなく、プレ噴射、アフタ噴射、ポスト噴射等に対する学習値としても利用することが可能である。
ここで、パイロット噴射は、インジェクタ32からのメイン噴射(主噴射)に先立ち、予め少量の燃料を噴射する噴射動作であって、着火直前の燃料と空気との混合を促進させると共に、メイン噴射後の着火時期の遅れを短縮してNOxの発生を抑制するための燃料噴射である。プレ噴射は、メイン噴射後に安定した拡散燃焼に導くための噴射動作である。アフタ噴射は、排気ガス温度を上昇させるための噴射動作である。ポスト噴射は、排気系に燃料を直接的に導入して触媒の昇温を図るための噴射動作である。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、学習対象コモンレール内圧が高く、学習初期基準圧力との圧力差が小さい場合には、短時間のうちにコモンレール内圧は学習対象コモンレール内圧に到達することに鑑み、学習初期基準圧力と学習対象コモンレール内圧との圧力差が小さい場合には、早期に高回転保持状態を解除して、微小量の燃料噴射による学習制御に移行することを可能にしている。従来では、学習初期基準圧力と学習対象コモンレール内圧との圧力差に関わらず、高回転保持期間が一律であったため(図7における高回転保持期間T0を参照)、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に到達しているにも拘わらず高回転保持状態を継続させており無駄な時間を生じていた。本実施形態では、この無駄な時間を無くすべく、学習初期基準圧力と学習対象コモンレール内圧との圧力差が小さいほど、つまり、早期に学習対象コモンレール内圧に到達できる状況であるほど高回転保持期間を短く設定している。このため、上記無駄な時間が無くなる分だけ、学習制御に要する時間を短縮化することができる。
(変形例)
次に、上述した第1実施形態の変形例について説明する。上述した第1実施形態では、1回の学習期間中に全ての気筒(例えば4気筒)に対して学習値が取得できる場合について説明した。本変形例では、学習動作を2回繰り返すことで全ての気筒に対しての学習値が取得できる場合について説明する。
図5(a)は、本発明を適用した場合における、微小燃料噴射量学習制御の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャートである。
これに対し、図5(b)は、従来の微小燃料噴射量学習制御(高回転保持期間が一律である場合)の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャートである。
これらの図から明らかなように、本発明を適用したものでは、従来例のものに比べて学習制御に要する時間を大幅に短縮化することができる。
本変形例では、学習動作を2回繰り返すことで全ての気筒に対しての学習値が取得できる場合について、本発明を適用した場合と従来例のものとを比較したが、学習動作を3回以上繰り返すことで全ての気筒に対しての学習値が取得できる場合については、この両者が学習制御に要する時間の差は更に大きくなり、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、予め記憶された高回転保持期間マップに従って、学習対象コモンレール内圧に応じた高回転保持期間を設定していた。本実施形態では、コモンレール内圧をモニタしておき、このコモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に達した時点で高回転保持期間を終了させるようにしたものである。エンジン1の構成及び主たる制御動作は第1実施形態のものと同一であるので、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
上述の如く、本実施形態では、コモンレール内圧をモニタしておき、このコモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に達した時点で高回転保持期間を終了させるようにしている。具体的には、上記コモンレール34に設けられた燃圧センサ(燃料圧力検知手段)60によってコモンレール内圧を検出し、その検出されたコモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に達した時点で高回転保持期間を終了させるようにしている。
図6は、本実施形態における微小燃料噴射量学習制御の手順を示すフローチャートである。以下、この図6に従って微小燃料噴射量学習制御について具体的に説明する。
燃料噴射量学習制御が開始されると、先ず、ステップST1でコモンレール内圧の上昇動作と、エンジン回転数の上昇動作とが実行される。コモンレール内圧の上昇動作は、上記第1実施形態の場合と同様に、上記圧力制御弁40を閉鎖するなどしてサプライポンプ36からコモンレール34への燃料供給量を増大させることにより実行される。一方、エンジン回転数の上昇動作は、例えばインジェクタ32から燃焼室3内へ噴射される燃料噴射量を増量させることにより実行される。これら動作により、コモンレール内圧は上記学習初期基準圧力まで上昇し、エンジン回転数は上記学習初期基準回転数まで上昇する。
その後、ステップST9において、上記コモンレール34に設けられた燃圧センサ60によってコモンレール内圧を検出し、その検出されたコモンレール内圧が、今回の学習制御で対象とする学習対象コモンレール内圧まで降下したか否かを判定する。
そして、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧まで降下し、ステップST9でYES判定されると、ステップST5に移る。このステップST5では、それまでの気筒内への燃料噴射を停止し、単発噴射の実行による微小燃料噴射量学習を開始する。このようにして微小燃料噴射量学習が開始された後の動作(ステップST6〜ステップST8)は上述した第1実施形態の場合と同一であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態においても、学習対象コモンレール内圧が高く、学習初期基準圧力との圧力差が小さい場合には、短時間のうちにコモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に到達することになるため、学習初期基準圧力と学習対象コモンレール内圧との圧力差が小さい場合には、早期に高回転保持状態を解除して、微小量の燃料噴射による学習制御に移行することができる。従来では、学習初期基準圧力と学習対象コモンレール内圧との圧力差に関わらず、高回転保持期間が一律であったため(図7における高回転保持期間T0を参照)、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に到達しているにも拘わらず高回転保持状態を継続させており無駄な時間を生じていた。本実施形態では、この無駄な時間を無くすべく、コモンレール内圧が学習対象コモンレール内圧に到達した時点で高回転保持期間を終了させている。このため、高回転保持期間が短くなり、上記無駄な時間が無くなる分だけ、学習制御に要する時間を短縮化することができる。
−他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、コモンレール式筒内直噴型多気筒(4気筒)ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えば6気筒ディーゼルエンジンなど他の任意の気筒数のディーゼルエンジンに適用可能である。また、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジン等の他の内燃機関にも本発明は適用可能である。更には、本発明が適用可能なエンジンは、自動車用のエンジンに限るものでもない。
また、上述した各実施形態では、自動車の工場出荷の際に行われる微小燃料噴射に対する学習制御に本発明を適用した場合について説明した。つまり、燃料噴射システムが車両に搭載された状態での学習制御を対象とするものであった。本発明は、これに限らず、燃料噴射システムまたはインジェクタ32が車両に搭載されていない状態で上記学習値を取得するための学習制御に対しても適用が可能である。
実施形態に係るエンジンおよびその制御系統の概略構成図である。 第1実施形態における高回転保持期間マップの一例を示す図である。 第1実施形態に係る微小燃料噴射量学習制御の手順を示すフローチャート図である。 第1実施形態に係る微小燃料噴射量学習制御の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャート図である。 第1実施形態の変形例に係る微小燃料噴射量学習制御の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャート図である。 第2実施形態に係る微小燃料噴射量学習制御の手順を示すフローチャート図である。 従来例に係る微小燃料噴射量学習制御の実行中におけるエンジン回転数とコモンレール内圧との変化を示すタイミングチャート図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
20 ECU
32 インジェクタ(燃料噴射弁)
34 コモンレール

Claims (4)

  1. 燃料噴射弁に供給する燃料圧力を学習対象燃料圧力よりも高い所定の学習初期基準圧力まで高めると共に内燃機関の回転数を比較的高回転である学習初期基準回転数まで高めておき、この内燃機関の高回転状態を保持しながら燃料圧力を上記学習対象燃料圧力まで降下させた状態で内燃機関を無負荷減速状態にし、この無負荷減速状態において特定の気筒内に燃料噴射弁から微小量の燃料噴射を行い、その燃料噴射に伴う内燃機関の運転状態の変化から目標微小燃料噴射量に対する実微小燃料噴射量の偏差に基づく学習値を取得する燃料噴射量学習制御を実行する内燃機関の燃料噴射量学習制御装置において、
    上記学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差が小さいほど、内燃機関の高回転保持期間を短く設定する高回転保持期間変更手段を備えていることを特徴とする内燃機関の燃料噴射量学習制御装置。
  2. 上記請求項1記載の内燃機関の燃料噴射量学習制御装置において、
    上記高回転保持期間変更手段は、内燃機関の高回転保持期間を、燃料圧力が学習初期基準圧力から学習対象燃料圧力に降下するまでの期間に一致する期間として予め設定していることを特徴とする内燃機関の燃料噴射量学習制御装置。
  3. 上記請求項1または2記載の内燃機関の燃料噴射量学習制御装置において、
    燃料噴射弁に供給する燃料圧力を検知可能な燃料圧力検知手段が配設されており、
    上記高回転保持期間変更手段は、上記燃料圧力検知手段からの出力を受け、燃料噴射弁に供給する燃料圧力が学習対象燃料圧力まで下降した時点で内燃機関の高回転保持期間を終了させるよう構成されていることを特徴とする内燃機関の燃料噴射量学習制御装置。
  4. 上記請求項1、2または3記載の内燃機関の燃料噴射量学習制御装置において、
    内燃機関は、コモンレール式のディーゼルエンジンであり、上記燃料噴射弁に供給する燃料圧力はコモンレール内圧であって、上記高回転保持期間変更手段は、このコモンレール内圧における上記学習初期基準圧力と学習対象燃料圧力との圧力差が小さいほど、内燃機関の高回転保持期間を短く設定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の燃料噴射量学習制御装置。
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