JP5051700B2 - 注入工法 - Google Patents
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Description
そのため、溶液グラウトを地盤・岩盤に注入、浸透した場合において、地下水圧や、溶液グラウトを注入された岩盤が元に戻ろうとする力により、注入された溶液グラウトが押し戻されて、逆流してしまうことがある。そして、逆流した場合には、注入した溶液グラウトが無駄になってしまうと共に、注入孔から地上側へ押し戻されてしまう結果として、作業現場を汚染してしまう、という問題を有している。
しかし、現時点では、係る要請に応えることが出来る技術は提案されていない。
しかし、この様な従来技術(特許文献1)では、溶液グラウトを注入して改良を行う際に、溶液グラウトが注入領域から地上側へ押し戻されてしまうことを防止するものではない。そのため、上述した要請に応えることは出来ない。
そのため、注入された溶液グラウト(M1)に地下水圧や土圧が作用しても、注入孔がセメントグラウト(M2)で閉塞されているので、溶液グラウト(M1)が注入孔(H)を経由して逆流してしまうことはない。
そして、セメントグラウト(M2)は強度が高いので、土圧や地下水圧、岩盤の圧力に対しても、十分に耐えることが出来て、溶液グラウト(M1)の逆流を阻止することが出来る。
先ず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
第1実施形態は、いわゆる「1.5ショット」の薬液を混合した溶液グラウトを、改良するべき地盤中に対して注入しており、注入孔が水平方向よりも上方に傾斜している場合に行われる。
ここで、いわゆる「1.5ショット」は、ゲルタイムの長い2液(溶液A、溶液B)を、注入孔よりも地上側の領域で混合して、孔内の所定深度まで送り込む方式を意味している。
ここで、注入孔Hの削孔工程(図示せず)については、公知の態様で行われる。
二重管20は、注入外管1とリターン管(以下、注入内管と言う)6とで構成される。注入内管6は、注入外管1の内部への挿通と、注入外管1の内部からの引き抜きが可能である様に構成されている。
マニホールド31は、注入外管1と直交する方向に延在する幹部32と、枝部33とを有しており、枝部33は、幹部32の途中から幹部32に直交する方向に延在している。
幹部32の先端部には、開閉バルブ34を介して、チューブ4が接続されるように構成されている。枝部33の先端には、圧力ゲージ5が取付けられている。
枝部73の先端には圧力ゲージ10が取付けられている。
注入孔H内に注入された溶液グラウトM1は、注入孔Hから、改良するべき地盤G中に浸透する。
図1において、符号Eは、溶液グラウトM1が浸透した地盤中の領域を示している。
なお、溶液グラウトM1は、注入内管6から注入することも可能である。
セメントグラウトM2を注入すると、注入内管6と注入外管1との間に存在している溶液グラウトM11は、セメントグラウトM2により押圧されて、注入内管6を介して地上側に排出される。すなわち、注入内管6と注入外管1との間に存在している溶液グラウトM11は、セメントグラウトM2により置換される。
注入内管6に残存している溶液グラウトM12と、注入内管6と注入外管1との間に存在している溶液グラウトM11は、余剰な溶液グラウトである。そして、係る余剰な溶液グラウトは、セメントグラウトM2を注入することにより、地上側へ排出されるのである。
注入内管6を地上側へ引き抜く際に、プリベンタ3がセメントグラウトM2の漏出を防ぎ、注入孔H内の圧力は維持される。
ここで、セメントグラウトM2は、注入外管1の内側には注入可能であるが、地盤G中には浸透し難い。そのため、セメントグラウトM2は、注入孔H内に充填された状態を維持する。
注入された溶液グラウトM1に対して、地下水圧や土圧、岩盤の反復力が作用して、溶液グラウトM1が逆流しようとしても、注入孔H内部に充填されたセメントグラウトM2がプラグ(栓)として作用するので、溶液グラウトM1が逆流することが防止される(溶液グラウトM1は逆流できない)。
その結果、浸透性が良好な溶液グラウトM1を改良するべき地盤G中に注入した際に、地下水圧や土圧、岩盤の反復力が作用して、溶液グラウトM1が逆流することを確実に防止することが可能となる。
図6〜図11の第2実施形態は、いわゆる「2ショット」の薬液NA、NBを混合した溶液グラウトNを、改良するべき地盤G中に対して注入しており、注入孔Hが水平方向よりも上方に傾斜している場合に適用される。
ゲルタイムが長い2種類の薬液を用いる第1実施形態のように、ゲルタイムが短い2種類の薬液NA、NBを注入内管6や注入外管1で混合してしまうと、注入するべき地盤Gに到達する以前の段階で固化してしまう恐れが存在する。
そのため、図6で示す工程では、一方の薬液NAをチューブ9経由で、注入内管6から注入孔H内に供給し、他方の薬液NBをチューブ4経由で、注入外管1から注入孔H内に供給している。そして、注入孔H内で薬液NAと薬液NBとを混合している。図6において、薬液NAと薬液NBとを混合した溶液グラウトは、符号Nで示されている。
この時、プリベンタ3の開閉バルブ34を閉鎖されている。
セメントグラウトM2を注入孔Hの下方から上方へ充填する際に、注入孔Hの上方に位置した注入内管6先端から、余剰の溶液グラウトNが、注入内管6を介して排出される。
図9において、注入内管6からセメントグラウトM2の排出を確認したならば、注入内管閉塞用のバルブ8を閉じた状態で、注入内管6を注入外管1から徐々に引き抜く(図9における矢印YLの動作)。
この時、プリベンタ3がセメントグラウトM2の漏出を防ぎ、注入孔H内の圧力が維持される。
図10で示す状態でセメントグラウトM2が固化するまで待機し、セメントグラウトM2が固化したならば、図11で示す工程において、パッカ11を収縮して、注入孔Hから取り外す。
第3実施形態は、第1実施形態と同様に、いわゆる「1.5ショット」の溶液グラウトM1を、改良するべき地盤G中に対して注入する実施形態である。ただし、第1実施形態では、注入孔Hが水平方向よりも上方に傾斜しているが、第3実施形態では、注入孔Hが水平方向よりも下方に傾斜している。
注入内管6からセメントグラウトM2が注入される点で、第3実施形態は、第1実施形態(薬液MA、MB及びセメントグラウトM2が注入外管1から注入される:図1、図2参照)と異なっている。
なお、図12、図13の工程では、注入内管6の先端6tは注入孔Hの最深部Ht近傍まで挿入されている。
この段階で、余剰の溶液グラウトM1はセメントグラウトM2により、注入孔Hから完全に排出されている。
第4実施形態は、第2実施形態と同様に、いわゆる「2ショット」の溶液グラウトNを、改良するべき地盤G中に対して注入する実施形態である。
ただし、第2実施形態では、注入孔Hが水平方向よりも上方に傾斜しているが、第4実施形態では、注入孔Hが水平方向よりも下方に傾斜している。
これに対して第4実施形態では、図19で示す様に、セメントグラウトM2を注入して余剰の溶液グラウトNを排出する際に、セメントグラウトM2は注入内管6から注入され、溶液グラウトNが注入外管1から排出されている。
2・・・外管閉塞用バルブ
3・・・プリベンタ
4・・・チューブ
5・・・圧力ゲージ
6・・・注入内管/リターンチューブ
7・・・マニホールド
8・・・内管閉塞用バルブ
9・・・チューブ
10・・・圧力ゲージ
11・・・パッカ
20・・・二重管
31・・・マニホールド
M1・・・溶液グラウト
M2・・・セメントグラウト
N・・・溶液グラウト
Claims (4)
- 法面(F)から水平方向上方に傾斜している注入孔(H)を削孔し、注入外管(1)とその注入外管(1)の内部に挿通および引き抜き可能な注入内管(6)とで構成された二重管(20)をその注入孔(H)に挿入して溶液グラウト(M1)を注入する注入工法において、二重管(20)を注入孔(H)に挿入してから注入外管(1)の先端近傍に設けたパッカー(11)を膨張させ、第1の溶液(MA)と第2の溶液(MB)とを混合した溶液グラウト(M1)を注入外管(1)又は注入内管(6)を介して注入孔(H)に注入し、次いで注入外管(1)からセメントグラウト(M2)を注入して注入外管(1)と注入内管(6)との間に存在している溶液グラウトを注入内管(6)から地上側に排出し、注入内管(6)からセメントグラウト(M2)が排出されたらば注入内管(6)を引き抜き、セメントグラウト(M2)が固化した後、パッカー(11)を収縮し、注入外管(1)を注入孔(H)から引き抜くことを特徴とする注入工法。
- 法面(F)から水平方向上方に傾斜している注入孔(H)を削孔し、注入外管(1)とその注入外管(1)の内部に挿通および引き抜き可能な注入内管(6)とで構成された二重管(20)をその注入孔(H)に挿入して溶液グラウト(M1)を注入する注入工法において、二重管(20)を注入孔(H)に挿入してから注入外管(1)の先端近傍に設けたパッカー(11)を膨張させ、第1の薬液(NA)を注入内管(6)から注入孔(H)内に供給し、第2の薬液(NB)を注入外管(1)から供給して注入孔(H)内で第1の薬液(NA)と第2の薬液(NB)とを混合させて溶液グラウト(N)とし、注入内管(6)を注入孔(H)の最深部(Ht)に向けて挿入し、注入外管(1)を介してセメントグラウト(M2)を注入孔(H)に充填して余剰の溶液グラウト(N)を注入内管(6)を介して地上側に排出させ、注入内管(6)からセメントグラウト(M2)が排出されたならば、注入内管(6)を注入外管(1)から引き抜き、セメントグラウト(M2)が固化した後にパッカー(11)を収縮し、注入外管(1)を注入孔(H)から引き抜くことを特徴とする注入工法。
- 法面(F)から水平方向下方に傾斜している注入孔(H)を削孔し、注入外管(1)とその注入外管(1)の内部に挿通および引き抜き可能な注入内管(6)とで構成された二重管(20)をその注入孔(H)に挿入して溶液グラウト(M1)を注入する注入工法において、注入内管(6)を注入孔(H)の最深部(Ht)近傍まで挿入するようにして二重管(20)を注入孔(H)に挿入してから注入外管(1)の先端近傍に設けたパッカー(11)を膨張させ、第1の溶液(MA)と第2の溶液(MB)とを混合した溶液グラウト(M1)を注入外管(1)を介して注入孔(H)に注入し、次いで注入内管(6)からセメントグラウト(M2)を注入して注入外管(1)と注入内管(6)との間に存在している溶液グラウトを注入外管(1)から地上側に排出し、注入外管(1)からセメントグラウト(M2)が排出されたらば注入内管(6)を引き抜き、セメントグラウト(M2)が固化した後、パッカー(11)を収縮し、注入外管(1)を注入孔(H)から引き抜くことを特徴とする注入工法。
- 法面(F)から水平方向下方に傾斜している注入孔(H)を削孔し、注入外管(1)とその注入外管(1)の内部に挿通および引き抜き可能な注入内管(6)とで構成された二重管(20)をその注入孔(H)に挿入して溶液グラウト(M1)を注入する注入工法において、二重管(20)を注入孔(H)に挿入してから注入外管(1)の先端近傍に設けたパッカー(11)を膨張させ、第1の薬液(NA)を注入内管(6)から注入孔(H)内に供給し、第2の薬液(NB)を注入外管(1)から供給して注入孔(H)内で第1の薬液(NA)と第2の薬液(NB)とを混合せて溶液グラウト(N)とし、注入内管(6)を注入孔(H)の最深部(Ht)に向けて挿入し、注入内管(6)を介してセメントグラウト(M2)を注入孔(H)に充填して余剰の溶液グラウト(N)を注入外管(1)を介して地上側に排出させ、注入外管(1)からセメントグラウト(M2)が排出されたならば、注入内管(6)を注入外管(1)から引き抜き、セメントグラウト(M2)が固化した後にパッカー(11)を収縮し、注入外管(1)を注入孔(H)から引き抜くことを特徴とする注入工法。
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