JP5050305B2 - 調光装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射光の光量を調節して出射するための調光装置の製造方法及びこの製造方法に用いられる液晶光学素子用の空セル、並びにこの空セルを用いてなる調光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、液晶光学素子(液晶セル)を用いる調光装置には、偏光板が使用される。この液晶セルには、例えばTN(Twisted Nematic)型液晶セルやゲスト−ホスト(GH(Guest Host))型液晶セルが用いられる。
【0003】
図14は、従来の調光装置の動作原理を示す概略図である。この調光装置は、主に偏光板1とGHセル2とで構成され、GHセル2は、図示省略したが、2枚のガラス基板の間に封入され、また動作電極や液晶配向膜を有している(以下、同様)。GHセル2内には、液晶分子3と二色性染料分子4とが封入されている。
【0004】
二色性染料分子4は、光の吸収に異方性を有し、例えば分子長軸方向の光を吸収するポジ型(p型)色素分子である。また、液晶分子3は、誘電率異方性が正のポジ型(正型)である。
【0005】
図14(a)は、電圧を印加していない(電圧無印加)時のGHセル2の状態を示す。入射光5は、偏光板1を通過することによって直線偏光にされる。図14(a)では、この偏光方向と、二色性染料分子4の分子長軸方向とが一致するので、入射光5は二色性染料分子4に吸収され、GHセル2の透過率が低下する。
【0006】
そして、図14(b)で示すように、GHセル2に電圧印加を行なうと、液晶分子3が電界方向に向くに伴って二色性染料分子4の分子長軸方向は、直線偏光の偏光方向と直角になる。このため、入射光5はGHセル2によりほとんど吸収されずに透過する。
【0007】
なお、分子短軸方向の光を吸収するネガ型(n型)の二色性染料分子を用いる場合は、上記ポジ型の二色性染料分子4の場合と逆になり、電圧無印加時には光が吸収されず、電圧印加時に光が吸収される。
【0008】
図14に示された調光装置では、電圧印加時と電圧無印加時との吸収度の比、即ち、光学濃度の比が約10である。これは、偏光板1を使用せずにGHセル2のみで構成される調光装置に比べて約2倍の光学濃度比を有する。
【0009】
【発明に至る経過】
本出願人は、この光学濃度比のより一層の向上を図ることが可能な調光装置及び撮像装置を、特願平11−322186号において提起した。即ち、特願平11−322186号(以下、先願発明と称する。)によれば、液晶素子と、この液晶素子に入射する光の光路中に配される偏光板とで調光装置を構成し、更に、ネガ型液晶をホスト材料とするゲスト−ホスト型液晶を用いるので、電圧無印加時(透明時)と電圧印加時(遮光時)の吸光度の比(即ち光学濃度の比)が向上し、調光装置のコントラスト比が大きくなり、明るい場所から暗い場所までにおいて、調光動作を正常に行なうことを可能とする。
【0010】
図14に示されるゲスト−ホスト型液晶セル(GHセル)2は、ホスト材料3として誘電率異方性(Δε)が正のポジ型の液晶を用い、ゲスト材料4には二色性を有する光吸収異方性(ΔA)が正のポジ型染料4を用い、偏光板1がGHセル2の入射側に配されている。このGHセル2について、矩形波を駆動波形として動作電圧印加時の光透過率の変化を計測すると、図15に示すように、動作電圧の印加に伴って、可視光の平均光透過率(空気中。液晶セルに加えて偏光板を足したときの透過率を参照(=100%)とした:以下、同様)が増加するが、電圧を10Vにまで上昇させても最大透過率は60%程度となり、しかも光透過率の変化が比較的穏やかである。
【0011】
これは、ポジ型のホスト材料を用いる場合、電圧無印加時に液晶セルの液晶配向膜との界面での液晶分子の相互作用(interaction)が強いため、電圧を印加してもダイレクタの向きが変化しない(或いは、変化し難い)液晶分子が残ってしまうからであると考えられる。
【0012】
これに対し、先願発明では、図4に示すように、ゲスト−ホスト型液晶セル(GHセル)12において、ホスト材料13として、誘電率異方性(Δε)が負のネガ型の液晶であるMerck社製のMLC−6608を一例として用い、ゲスト材料4には二色性を有するポジ型染料であるBDH社製のD5を一例として用いることにより、偏光板11をGHセル12の入射側に配し、矩形波を駆動波形として動作電圧印加時の光透過率の変化を計測したところ、図5に示すように、動作電圧の印加に伴って、可視光の平均光透過率(空気中)が最大透過率約75%から10%以下にまで減少し、しかも光透過率の変化が比較的急峻となる。
【0013】
これは、ネガ型のホスト材料を用いる場合、電圧無印加時に液晶セルの液晶配向膜との界面での液晶分子の相互作用(interaction)が非常に弱いため、電圧無印加時に光が透過し易く、また電圧印加と共に液晶分子のダイレクタの向きが変化し易くなるからであると考えられる。
【0014】
このようにして、ネガ型のホスト材料を用いてGHセルを構成することにより、光透過率(特に透明時)が向上し、GHセルを撮像光学系中にそのまま位置固定して使用できるコンパクトな調光装置が実現可能となる。この場合、液晶素子への入射光の光路中に偏光板を配することにより、電圧無印加時と電圧印加時の吸光度の比(即ち、光学濃度の比)が一層向上し、調光装置のコントラスト比が更に大きくなり、明るい場所から暗い場所にまでにおいて、調光動作をより正常に行なうことができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、このようなGHセルを用いた調光装置の特性の更なる向上を鋭意検討したところ、図16に示すように、液晶素子の透明時と遮光時との光学濃度比は、GHセルを構成する2枚のガラス基板間の距離(セルギャップ)によっても大きく左右されることが判明した。
【0016】
即ち、セルギャップが大きい程、換言すれば、液晶層が厚い程、透明時と遮光時との光透過率の差が大きくなり、光学濃度比は大きく取れるものの、ホスト材料にネガ型液晶を使うことの利点である透明時の光透過率が低下してしまう。
【0017】
また、図17に示すように、セルギャップが変わると、GHセルによる調光装置としての応答速度も大きく変化し、セルギャップが大きくなって液晶層が厚くなると、応答速度は低下してしまうことも判明した。但し、駆動a、bは中間調駆動、駆動c、dは透明−遮光時の駆動を表わす。
【0018】
これらのことから、ゲスト−ホスト型液晶を用いて調光装置を作製する場合には、透明時の光透過率、遮光時の光透過率、液晶素子の応答時間といった、両立の難しい各々の特性を満足させるためのセルギャップの範囲が存在することを知見するに至ったのである。
【0019】
即ち、液晶素子を用いて実用的に有利な調光装置を実現するためには、応答速度を低下させずに充分な光学濃度比を確保する必要があり、GHセルにおいて液晶を封入するガラス基板間の間隙(セルギャップ)を2μm以上、4μm以下に制御するのが望ましいことが分かった。
【0020】
換言すれば、セルギャップが2μm未満であると、調光装置としての応答速度は大きくなり、また透明時の光透過率が向上するものの、遮光時の光透過率も上昇してしまい、結果として光学濃度比(コントラスト比)が確保し難くなる。逆に、セルギャップが4μmを超えると、光学濃度比は大きく確保できるものの、透明時の光透過率が低下し、また調光装置としての応答速度が悪化し易く、特に中間調において光透過率をわずかに変化させるような駆動を行なうと、遅くなってしまうのである。
【0021】
しかしながら、更に検討を進めていく中で、液晶封入前の空セルの状態如何によっては、図18(a)及び(b)に示すように、液晶封入前後でセルギャップが図18(b)に示すように、有効光路をなす中央部20が大きく変動し、同一セル内でのギャップ厚のばらつきが顕著に現れてしまうという不良が発生することが確認された。
【0022】
そして、不良サンプルと空セル構造との相関を調査した結果、液晶封入後のセルギャップのばらつきが特に大きく、図19(b)に示すように、斜光下の目視で複数のニュートンリングが観察できるような不良サンプルは、いずれも図18(a)及び図19(a)に示す空セルの状態で、セル中央部20のギャップ厚がセル周辺部24のギャップ厚に比べて小さく、液晶封入前の空セルが凹状に仕上がっていることが特徴的であることを突き止めた。
【0023】
この原因は、図18(a)のような空セルに液晶が注入される際に、ギャップの大きい周辺部へ容易に充填されながら中央部へも充填されることになり、ギャップの大きい周辺部へ充填された液晶の圧力により、中央部の小さいギャップを変化させるためと考えられる。
【0024】
こうした中で、上述したような液晶セルを用いた調光装置を搭載して、高機能な撮像装置を実現するためには、透明時と遮光時との光透過率の差で決まる光学濃度比(コントラスト比)を充分に大きく確保し、なおかつ高い応答速度と大きな光学濃度比を両立させ、両立の難しい高い過渡応答速度で駆動することが切望されている。
【0025】
そこで、本発明の目的は、上述した先願発明の特長を生かしつつ、液晶光学素子の光学濃度比(コントラスト比)を充分に確保しながら、液晶封入後も液晶封入前の基体間の間隙(セルギャップ)の変化を抑制する調光装置の製造方法及び液晶光学素子用の空セル、並びに調光装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、互いに対向した基体間に液晶を封入した液晶光学素子を有する調光装置を製造するに際し、前記対向基体間の間隙のうち、基体中央部での間隙を基体周辺部での間隙よりも大きく保持し、この状態で前記対向基体間に前記液晶を封入する、調光装置の製造方法(以下、本発明の製造方法と称する。)に係るものである。
【0027】
本発明の製造方法によれば、基体中央部での間隙を基体周辺部での間隙よりも大きく保持し、この状態でこの基体間に液晶を封入するので、液晶注入の際に容易に液晶を基体間の全域にほぼ均等に充填でき、その結果、液晶封入前後における基体間の間隙の変化(ばらつき)を抑制し、設定した条件の透過率及び応答速度を常に実現できる調光装置の製造方法を提供することができる。こうした効果が得られるのは、基体間の間隙の大きい中央部へ液晶が容易に充填されながら周辺部へも充填されることになり、基体間の間隙内の全域へほぼ均等な量及び圧力で液晶が注入されて基体間の間隙の変化が少なくなるからであると考えられる。
【0028】
また、本発明は、互いに対向した基体間に液晶を封入すべき液晶光学素子用の空セルであって、前記対向基体間の間隙のうち、基体中央部での間隙が基体周辺部での間隙よりも大きく保持されている、液晶光学素子用の空セル(以下、本発明の空セルと称する。)、並びに、この空セルの前記対向基体間に、前記液晶が封入されてなる液晶光学素子を有する調光装置(以下、本発明の調光装置と称する。)に係るものである。
【0029】
本発明の空セルによれば、本発明の製造方法に効果的に用い得る空セルを提供することができる。また、本発明の調光装置によれば、液晶が基体間の全域にほぼ均等に充填されて、液晶封入前後における基体間の間隙の変化(ばらつき)が抑制され、設定した条件の透過率及び応答速度を常に実現できる調光装置を提供することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下で説明する。
【0031】
上記した本発明の製造方法及び空セルにおいては、図1(a)に示すように、基体中央部20での間隙d1と、基体周辺部24での間隙d2との比を1<d1/d2≦1.1とすることが望ましい。
【0032】
このことを図3(ギャップ比と液晶封入後のギャップ差のばらつきの傾向を示すグラフ)により説明すると、上記したセルギャップ比(d1/d2)と、液晶封入後のギャップのばらつき(Δd1)には、太線で示す曲線A1のような傾向を有するが、この傾向線には斜線A2で示すような一定の変動幅が見られる。ここでは、平均的な傾向曲線A1に基づいて説明する。
【0033】
即ち、セルギャップ比(d1/d2)が1.0以下であると液晶封入後のギャップのばらつきΔd1が著しく増大し、ギャップ比が0.92でΔd1は0.5μmに達する。しかし、ギャップ比が1.0を超えると、ばらつきΔd1が小さくて著しく安定し、ギャップ比が1.01〜1.08(特に1.03又はその近傍)で、ばらつきΔd1は一層小さくなる。ギャップ比が1.1を超えると、ばらつきΔd1が再び上昇するが、ギャップ比が1.0を超え、特に1.1以下では、ばらつきΔd1が0.06以下で安定し、望ましい状態となる。このことから、空セル状態でのセルギャップ比(d1/d2)は1.0<(d1/d2)≦1.1が望ましく、更には1.01〜1.08の範囲がばらつきΔd1を安定して小さくする上で好ましい。
【0034】
これによって、図1(b)に示すように、液晶34を封入したGHセル12における基体中央部20−基体周辺部24間の間隙のばらつきを効果的に抑えることができる。即ち、後述することからも明らかなように、図1(a)の空セルの状態で、敢えてセル中央部のギャップd1をセル周辺部のギャップd2よりも幾分大きめにし、基体を予め凸状にして空セルを作製しておくことにより、液晶34がギャップ内に均等に注入されるのに非常に効果的である。
【0035】
こうしたギャップ比に設定し、液晶封入後のギャップのばらつきを抑えるには、前記対向基体間にスペーサーを配し、前記間隙を保持することが、液晶の注入時及び封入後も間隙を保持し易い点で望ましい。
【0036】
この場合、透明電極及び配向膜がそれぞれ形成された対向透明基板間に前記スペーサーを配し、周辺部をシール材で封止する際、前記シール材を前記スペーサーよりも小さく形成するか、或いはより硬質の材料を含有した混合物で形成するのが前記間隙の保持性を維持し易い点で望ましい。
【0037】
更に、前記硬質材料をボール状又はファイバー状としてこれらを含有するシール材で封止し、また、基体間に散布するスペーサーの分布密度を150〜500個/mm2となるように制御することが望ましい。
【0038】
このように、図6に示すGHセル12の周辺部のシール材35に含有させる例えばガラスファイバーの径よりも、セル全面に散布する例えばプラスチックボールからなるスペーサー36(図6b)の直径、または印刷形成する透明レジストからなるスペーサー37(図6c)の高さを大きくして、基板31A、31Bの貼り合わせを行うか、シール材35と同一サイズのスペーサーであれば、セル内での分布密度を150ケ/mm2以上にすることが液晶注入方法や注入条件に依存せずに有効である。
【0039】
しかし、スペーサーがあまり多過ぎると、一般的な製法である散布法(ドライやウェットでも)で散布する場合に粗密のむらを無くすのが困難となったり、細かく観察すると液晶分子による調光動作に違和感(白抜け)が出てくるようになる。従って、調光素子としての液晶セルを作製するためのスペーサー分布密度の上限としては、500ケ/mm2以下が妥当と考えられる。
【0040】
即ち、スペーサーが少ないために中央部20のギャップが周辺部24よりも小さい場合は、その形状を維持し難く液晶注入時に中央部が膨らみ、スペーサーがなければ更に膨らむため、スペーサーを効果的な分布密度で設けるのがよい。
【0041】
このように、セル内に効果的なサイズと効果的な密度でスペーサー(36又は37)を形成することにより、スペーサーがセルギャップを維持するための支持材的な働きと、膨張を防ぐためのバインダー的な働きで効果的に作用することによって、ギャップ厚を設計通りに保持すると共に、液晶注入によるセルの膨らみをも抑制することができる。
【0042】
そして、前記液晶の封入後において、液晶光学素子の有効光路における対向基体間の間隙を2μm以上、4μm以下に制御することが、上述したように、光透過時と遮光時の光学濃度比を高く保持し、応答速度を大きくできる点で望ましい。これは、図1(a)のように空セルを作製することにより確実に実現できる。
【0043】
また、前記液晶として、例えば誘電率異方性(Δε)が負のネガ型液晶をホスト材料とし、かつ2色性染料(ポジ型)をゲスト材料とするゲスト−ホスト型液晶を封入することにより、電圧印加時の光透過率が向上し、電圧無印加時と電圧印加時の光学濃度比が向上してコントラスト比を更に大きくできる点で望ましい。なお、誘電率異方性(Δε)が負のネガ型液晶としては、上記したMerck社製品以外に公知の材料を使用することができる。但し、本発明は、ネガ型液晶やポジ型の二色性染料に限られることはなく、ポジ型液晶やネガ型二色性染料を使用することも差支えない。
【0044】
図6には、図1(b)に示した液晶封入後のセルを各種示すものである。即ち、図6(a)はスペーサーが設けられていない例であるが、この場合にも本発明に基づいて基体間の間隙は中央部20の間隙d1が周辺部24の間隙d2よりもよりも大きく形成されることにより、上記したように、基体中央部へ液晶を容易に注入しながら基板全域に亘ってほぼ均等に注入することができ、液晶注入前後におけるセルギャップのばらつきを少なくすることができる。図6(b)は球状のスペーサー36を設けた例、図6(c)は柱状のスペーサー37を設けた例であるが、いずれも、上記した理由から望ましいものである。即ち、間隙(セルギャップ)にスペーサーを介在させることによってd1及びd2を確実に形成できることになり、液晶注入後のギャップを設計した値に常に確保できる。
【0045】
上述したGHセル12からなる調光装置23は、例えば図7に示すように、ズームレンズのように複数のレンズで構成されるレンズ前群15とレンズ後群16との間に配置される。レンズ前群15を透過した光は、偏光板11を介して直線偏光された後、GHセル12に入射する。GHセル12を透過した光は、レンズ後群16で集光され、撮像面17に映像として映し出される。
【0046】
この調光装置23を構成する偏光板11は、本出願人による上述した先願発明と同様に、GHセル12に入射する光の有効光路に対して出し入れ可能である。具体的には、偏光板11を仮想線で示す位置に移動させることにより、光の有効光路の外へ出すことができる。この偏光板11を出し入れする手段として、図8に示すような機械式アイリスが用いられてもよい。
【0047】
この機械式アイリスは、一般にデジタルスチルカメラやビデオカメラ等に用いられる機械式絞り装置であり、主として2枚のアイリス羽根18、19と、アイリス羽根18に貼付された偏光板11とからなる。アイリス羽根18、19は、上下方向に移動させることができる。矢印27で示される方向に、図示せぬ駆動モーターを用いてアイリス羽根18、19を相対的に移動させる。
【0048】
これにより、図8で示すように、アイリス羽根18、19は部分的に重ねられ、この重なりが大きくなると、アイリス羽根18、19の中央付近に位置する有効光路20上の開口部22が、偏光板11により覆われる。
【0049】
図9は、有効光路20付近の機械式アイリスの部分拡大図である。アイリス羽根18が下方に移動すると同時に、アイリス羽根19が上方に移動する。これに伴って、図9(a)に示すように、アイリス羽根18に貼付された偏光板11も有効光路20の外へと移動する。逆に、アイリス羽根18を上方に、またアイリス羽根19を下方に移動させることにより、互いのアイリス羽根18、19が重なる。これに従って、図9(b)に示すように、偏光板11は有効光路20上に移動し、開口部22を次第に覆う。アイリス羽根18、19の互いの重なりが大きくなると、図9(c)に示すように、偏光板11は開口部22を全て覆う。
【0050】
次に、この機械式アイリスを用いた調光装置23の調光動作について説明する。
【0051】
図示せぬ被写体が明るくなるにつれて、図9(a)で示したように、上下方向に開いていたアイリス羽根18、19は、図示せぬモーターにより駆動され、重なり始める。これによって、アイリス羽根18に貼付されている偏光板11は、有効光路20上に入り始め、開口部22の一部を覆う(図9(b))。
【0052】
この時、GHセル12は光を吸収しない状態にある(なお、熱的揺らぎ、又は表面反射等のため、GHセル12による若干の吸収はある。)。このため、偏光板11を通過した光と開口部22を通過した光は、ほぼ強度分布が同等となる。
【0053】
その後、偏光板11は、完全に開口部22を覆った状態になる(図9(c))。さらに、被写体の明るさが増す場合は、GHセル12への電圧を上昇し、GHセル12で光を吸収することにより調光を行なう。
【0054】
これとは逆に、被写体が暗くなる場合は、まず、GHセル12への電圧を減少又は無印加とすることにより、GHセル12による光の吸収効果を無くする。さらに被写体が暗くなった場合は、図示せぬモーターを駆動することにより、アイリス羽根18を下方へ、またアイリス羽根19を上方へ移動させる。こうして、偏光板11を有効光路20の外へ移動させる(図9(a))。
【0055】
また、図7〜図9に示したように、偏光板11(透過率例えば40%〜50%)を光の有効光路20から外に出すことができるので、偏光板11に光が吸収されない。従って、調光装置の最大透過率を例えば2倍以上に高めることができる。具体的には、この調光装置を、従来の固定されて設置される偏光板及びGHセルからなる調光装置と比較すると、最大透過率は例えば約2倍になる。なお、最低透過率は両者で等しい。
【0056】
また、デジタルスチルカメラ等に実用化されている機械式アイリスを用いて、偏光板11の出し入れが行なわれるので、調光装置は容易に実現可能となる。また、GHセル12を用いるので、偏光板11による調光に加えて、GHセル12自体が光を吸収することにより、調光を行なうことができる。
【0057】
このようにして、この調光装置は、明、暗のコントラスト比を高めると共に、光量分布をほぼ均一に保つことができるものとなる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面参照下に説明する。
【0059】
実施例1
まず、本実施のゲスト−ホスト型液晶(GH)セルを図1及び図2に示す。図1はその概略断面図であり、(a)は空セル状態、(b)は液晶封入後、そして図2は図1(a)及び(b)それぞれの概略平面図である。
【0060】
このGHセル12は透明電極32A、32Bと配向膜33A、33Bをそれぞれ形成した2枚のガラス基板31A、31Bが配向膜を内側に向けて対向配置され、セル周辺24がシール材35によって封止されて図1(a)のGHセル12の空セルが形成されるが、基板31Aと31B間のセルギャップは、図1(a)に示すように、有効光路となる中央部20のセルギャップd1の方が周辺部24のセルギャップd2より大きく形成されている。
【0061】
この状態の空セル12に液晶34を注入後、液晶注入口39をエンドシール材38で封入した状態が図1(b)及び図2(b)である。このように空セル状態において、図1(a)に示すように予め中央部20と周辺部24とでギャップ差を形成しておくことにより、中央部のd1が周辺部のd2より大きいため液晶34が中央部へ充填され易く、液晶34をギャップ全域に容易に充填させることができる。
【0062】
この結果、液晶34を封入後もGHセル12のギャップが液晶注入時の圧力等による変形が抑制され、図3に示したように、中央部のギャップd1と周辺部のギャップd2との比が(d1/d2)を1.0<(d1/d2)≦1.1に保つことにより、d1のばらつきΔd1を許容限度内に抑制することができる。
【0063】
本実施例によるGHセルを用いる調光装置の一例を図4に示す、この調光装置は、図4に示すように、GHセル12と偏光板11とからなる。そして、GHセル12は、上記のように形成した空セル12の中に液晶34としてネガ型の液晶分子(ホスト材料)13とポジ型の二色性染料分子(ゲスト材料)4との混合物が封入されている。
【0064】
液晶分子13には、誘電率異方性が負のネガ型液晶であるMerck社製のMLC−6608を一例として用い、また二色性染料分子4には、光の吸収に異方性を有し、分子長軸方向の光を吸収するポジ型染料であるBDH社製のD5を用いた。偏光板11の光吸収軸は、GHセル12に電圧を印加した時の光吸収軸と直交させた。
【0065】
このGHセル12からなる調光装置23は、例えば図7に示したように、ズームレンズのように複数のレンズで構成されるレンズ前群15とレンズ後群16との間に配置された。レンズ前群15を透過した光は、偏光板11を介して直線偏光された後、GHセル12に入射する。GHセル12を透過した光は、レンズ後群16で集光され、撮像面17に映像として映し出される。
【0066】
そして、この調光装置23を構成する偏光板11は、本出願人による上述した先願発明と同様に、GHセル12に入射する光の有効光路に対して出し入れ可能である。具体的には、偏光板11を仮想線で示す位置に移動させることにより、光の有効光路の外へ出すことができる。この偏光板11を出し入れする手段として、図8に示した機械式アイリスが用いられてもよい。
【0067】
ここで、GHセル12を製造する方法を述べると、前述した透明電極パターン32A、32Bと配向膜33A、33Bを予め形成したガラス基板31A、31Bのうち一方のガラス基板の周辺に、直径3μmのガラスファイバーを含有した、熱硬化性エポキシ樹脂からなる封止(シール)材35を圧縮空気の作用下でノズルにより所定の幅で塗布した(図10)後、他方の基板上に、3.2μm径のプラスチックボールからなるスペーサ36を均一に散布し、2枚のガラス基板を位置合わせして重ねてから、熱プレス板により適度な条件で(一例として150〜170℃、1〜2kg/cm2)、圧力を加えながら加熱処理することにより、周辺部のシール材が硬化し、基板の貼り合わせが完了した(図6(b))。
【0068】
このようにスペーサーの大きさ及び加圧・加熱条件によってギャップを制御する。また、スペーサーの配置はラビング処理後にシール印刷によって行うこともできる。後述する実施例2も同様。なお、図10では実際的に、シール材35の位置よりもガラス基板31A、31Bの周縁が外側に存在するように配置している(図6では簡略図示している)。
【0069】
そして、上記のスペーサー36は、一般的な手法(ウェット散布ないしドライ散布)を用いて、基板上方から散布し、概ね300〜350個/mm2の密度で、ガラス基板全面に、ほぼ均一に配置されていた(図11)。
【0070】
上記のように貼り合わせ基板は、3インチ(76.2mm)2のガラス基板上に透明電極、配向膜及びスペーサーを設けて対向配置された素子部がマトリックス状に30個形成されており、これをそれぞれ上下基板ごとにダイヤモンドカッター等を用いて切断し、個片化(スクライブ及びブレイク)して得られた空セルのセルギャップを、光の干渉を利用する測定機で計測したところ、セル中央部のギャップd1が約3.1μmに、セル周辺部のギャップd2が約2.9μmに仕上がっていた。
【0071】
このような空セルに液晶材料34を封入(注入+封孔)して出来上がったGHセル12は、図1に示すように、セル中央部20のギャップd1がセル周辺部24のギャップd2に比べて幾分大きく、液晶注入前の空セルのギャップ厚の面分布をほぼ反映した状態が維持できていることを確認できた。
【0072】
このようなセルに液晶材料34を封入して出来上がったGHセル12に、矩形波を駆動波形として入力し、動作電圧印加時の光透過率の変化を計測したところ(図4)、図5に示すように、動作電圧の印加に伴って、可視光の平均光透過率(空気中)が最大透過率約75%から数%にまで減少した。用いる液晶セル構造や構成材料によっても異なるが、GHセル12は、±5V(1kHz)以上のパルス電圧印加で、ほぼ最小透過率に達した。
【0073】
また、図5に示すように、駆動パルス電圧を変化させた時の光透過率の応答時間も30ms以下の高速動作が可能であった。
【0074】
その結果、本実施例においても、液晶セルの透明時と遮光時との光透過率の差(光学濃度比)を充分に確保しながら、より高速に過渡応答動作する調光装置を実現することができた。
【0075】
実施例2
本実施例は、液晶セルの作製において、シール材及び基板間に設けるプラスチックボールの径を変え、これに基板上への散布をスクリーン印刷により配置した例である。
【0076】
GHセル12の製造において、透明電極パターン32A、32Bと配向膜33A、33Bを予め形成した一対のガラス基板31A、31Bの一方のガラス基板の周辺部に、直径2.5μmのガラスファイバーを含有した熱硬化性エポキシ樹脂からなる封止(シール)材35を所定の幅で塗布し(図10)、他方の基板上に、2.7μm径のプラスチックボールからなるスペーサー36を均一に散布し、2枚のガラス基板を位置合わせして重ねてから、熱プレス板により適度な条件で圧力(一例として150〜170℃、1〜2kg/cm2)を加えながら加熱処理することにより、周辺部のシール材35を硬化させ、液晶セルを完成させた(図6(b))。
【0077】
ここで、上記のスペーサー36は、所定の開口部を形成したスクリーンマスクを通して、スキージで掻き出して基板上に散布(スクリーン印刷)したが、約300個/mm2の密度で、ガラス基板全面にほぼ均一に配置されていた。
【0078】
上記のように貼り合わせた基板を個片化して得られた空セルのセルギャップを、光の干渉を利用する測定機で計測したところ、セル中央部20のセルギャップが約2.6μmに、セル周辺部24のギャップが約2.5μmに仕上がっていた。また、上記したスクリーン印刷によるプラスチックボール36からなるスペーサーの均等な配設によって、セルギャップのばらつきは、実施例1よりも低減できていた。
【0079】
このような空セルに液晶材料34を封入(注入+封孔)して出来上がったGHセル12は、実施例1と同様に、図1に示す様に、セル中央部20のギャップd1がセル周辺部24のギャップd2に比べて幾分大きく、液晶注入前の空セルのギャップ厚の面分布をほぼ反映した状態が維持できていることを確認できた。
【0080】
このようなセルに、ネガ型の液晶分子(ホスト材料)13とポジ型の二色性染料分子(ゲスト材料)4とからなる液晶材料34を封入し、出来上がったGHセル12に矩形波を駆動波形として入力し、動作電圧印加時の光透過率の変化を計測したところ(図4)、実施例1と同様に、図5に示すように、動作電圧の印加に伴って、可視光の平均光透過率(空気中)が最大透過率約75%から数%にまで減少した。
【0081】
また、駆動パルス電圧を変化させた時の光透過率の応答時間は、15ms以下となり、実施例1以上の高速動作が可能であった。
【0082】
これらの結果、液晶セルの透明時と遮光時との光透過率の差(光学濃度比)を充分に確保しながら、高速に過渡応答動作する調光装置を実現することが出来た。
【0083】
実施例3
図12は、上記実施例による調光装置23をCCD(Charge coupled device)カメラに組み込んだ例を示すものである。
【0084】
即ち、CCDカメラ50において、一点鎖線で示す光軸に沿って、前記のレンズ前群15に相当する1群レンズ51及び2群レンズ(ズーム用)52、前記のレンズ後群16に相当する3群レンズ53及び4群レンズ(フォーカス用)54、CCDパッケージ55が適宜の間隔をおいてこの順に配設されており、CCDパッケージ55には赤外カットフィルタ55a、光学ローパスフィルタ系55b、CCD撮像素子55cが収納されている。
【0085】
2群レンズ52と3群レンズ53との間には、3群レンズ53寄りに、上述した本発明に基づくGHセル12と偏光板11からなる調光装置23が光量調節(光量絞り)のために同じ光路上に取付けられている。なお、フォーカス用の4群レンズ54は、リニアモータ57により光路に沿って3群レンズ53とCCDパッケージ55との間を移動可能に配設され、またズーム用の2群レンズ52は、光路に沿って1群レンズ51と調光装置23との間を移動可能に配設されている。
【0086】
図13には、このカメラシステムにおける調光装置23による光透過率制御のシーケンスのアルゴリズムを示す。
【0087】
この実施例によると、2群レンズ52と3群レンズ53の間に本発明に基づく調光装置23が設けられているので、上述したように電界の印加によって光量を調節でき、システムを小型化でき、実質的に光路の有効範囲の大きさまで小型化できる。したがって、CCDカメラの小型化を達成することが可能である。また、パターン化された電極への印加電圧の大きさによって光量を適切に制御できるので、従来のような回折現象を防止し、撮像素子へ十分な光量を入射させ、像のぼやけをなくせる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0089】
例えば、上述した液晶素子のセルギャップは少なくとも有効光路において2〜4μmの範囲で変化させてよく、特に2〜3.5μm、特に2〜3μm前後とするのがよい。また、セル周辺部のセルギャップも2〜4μmとしてよいが、中央部よりは小さく形成するのがよい。
【0090】
そして、セル中央部のギャップd1と周辺部のギャップd2との比(d1/d2)は実施の形態以外であってもよく、液晶注入前後のギャップのばらつき(Δd1)を一層抑制できるものであればよい。
【0091】
また、本実施例では、GHセル全体に散布するスペーサーの形状として、球状のものを使った例を示したが、例えば図6(c)に示すように、柱状のスペーサー37をスクリーン印刷法やリソグラフィー法等で供給・形成することも可能である。
【0092】
また、偏光板の構造や材質、その駆動機構などは種々に変更が可能である。また、駆動波形は矩形波、台形波、正弦波のいずれでも駆動可能であり、両電極間の電位差に応じて液晶分子の傾きが変化し、光透過率が制御される。従って、通常はこの波高値により透過率制御を行う。上述の実施例では、液晶セルの駆動法にパルス電圧変調(PHM)用いた例を示したが、パルス幅変調(PWM)で駆動する場合にも適用できる。
【0093】
また、GHセルとして、上述したもの以外に、2層構造等のGHセルも使用可能である。偏光板11のGHセル12に対する位置は、レンズ前群15とレンズ後群16との間としたが、この配置に限らず、撮像レンズの設定条件から最適となる位置に配置されればよい。即ち、位相差フィルム等の偏光状態が変化する光学素子を用いない限り、偏光板11は、例えば撮像面17とレンズ後群16との間等、被写体側又は撮像素子側の任意の位置に置くことができる。さらにまた、偏光板11は、レンズ前群15又はレンズ後群16に代わる単一のレンズ(単レンズ)の前又は後に配置されてもよい。
【0094】
また、アイリス羽根18、19は2枚に限られず、より多くの枚数を用いることにしてもよいし、逆に1枚でもよい。また、アイリス羽根18、19は、上下方向に移動することにより重ねられるが、他の方向に移動してもよく、周囲から中央に向けて絞り込むことにしてもよい。
【0095】
また、偏光板11は、アイリス羽根18に貼付されているが、アイリス羽根19の方に貼付されてもよい。
【0096】
また、被写体が明るくなるにつれて、先に偏光板11の出し入れによる調光を行なった後、GHセル12による光の吸収を行なったが、逆に、先にGHセル12の光吸収による調光を行なうことにしてもよい。この場合、GHセル12の透過率が所定の値まで低下した後に、偏光板11の出し入れによる調光を行なう。
【0097】
また、偏光板11を有効光路20から出し入れする手段として、機械式アイリスを用いたが、これに限られない。例えば、偏光板11が貼付されたフィルムを駆動モーターに直接設置することにより、偏光板11を出し入れしてもよい。
【0098】
また、上記の例では偏光板11を有効光路20に対し出し入れしたが、有効光路中に位置固定することも勿論可能である。
【0099】
また、本発明の調光装置は、公知の他のフィルター材(例えば、有機系のエレクトロクロミック材、液晶、エレクトロルミネッセンス材等)と組み合わせて用いることも可能である。
【0100】
更に、本発明の調光装置は、既述したCCDカメラ等の撮像装置の光学絞り以外にも、各種光学系、例えば、電子写真複写機や光通信機器、CMOSイメージセンサー等の光量調節用としても広く適用が可能である。更に、本発明の調光装置は、光学絞りやフィルター以外に、キャラクターやイメージを表示する各種の画像表示素子に適用することができる。
【0101】
【発明の作用効果】
本発明の調光装置の製造方法及び液晶光学素子用の空セル、並びに調光装置は、空セルの基体中央部での間隙を基体周辺部での間隙よりも大きく保持し、この状態でこの基体間に液晶を封入するので、液晶注入の際に容易に液晶を基体間の全域にほぼ均等に充填でき、その結果、液晶封入前後における基体間の間隙の変化(ばらつき)を抑制し、設定した条件の透過率及び応答速度を常に実現できる調光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による液晶セルの概略断面図を示し、(a)は空セル状態、(b)は液晶封入後の状態である。
【図2】同、実施例による液晶セルを示し、いずれも図1の概略平面図である。
【図3】同、実施例による液晶セルの中央部と周辺部のギャップ比(d1/d2)と、液晶封入後のギャップ差(Δd1)のばらつきの傾向を示すグラフである。
【図4】同、調光装置の動作原理を示す外略図である。
【図5】同、調光装置の光透過率と駆動印加電圧との関係を示すグラフである。
【図6】同、液晶光学素子のセルの各例の概略断面図である。
【図7】同、液晶光学素子を用いた調光装置の概略側面図である。
【図8】同、調光装置の機械式アイリスの正面図である。
【図9】同、調光装置の有効光路付近の機械式アイリスの動作を示す概略部分拡大図である。
【図10】同、セル作製におけるシール材の塗布工程を説明する図である。
【図11】同、セル作製におけるスペーサーの散布工程を説明する図である。
【図12】同、調光装置を組み込んだカメラシステムの概略断面図である。
【図13】同、カメラシステムにおける光透過率制御のアルゴリズムである。
【図14】従来の調光装置の動作原理を示す概略図である。
【図15】同、調光装置の光透過率と駆動印加電圧との関係を示すグラフである。
【図16】先願発明による調光装置(液晶光学素子)の光透過率と液晶セルギャップとの関係を示すグラフである。
【図17】同、調光装置の応答時間と液晶セルギャップとの関係を示すグラフである。
【図18】同、液晶セルの概略断面図を示し、(a)は空セル状態、(b)は液晶封入後の状態である。
【図19】同、液晶セルを示し、いずれも図18の概略平面図である。
【符号の説明】
1、11…偏光板、2、12…GHセル、3…ポジ型液晶、
4…ポジ型染料分子、5…入射光、13…ネガ型液晶、15、16…レンズ群、17…撮像面、18、19…アイリス羽根、
20…有効光路(セル中間部又は中央部)、22…開口部、23…調光装置、
24…セル周辺部、31A、31B…ガラス基板、
32A、32B…透明(動作)電極、33A、33B…配向膜、
34…液晶材料、35、38…封止(シール)材、36…球状スペーサー、
37…柱状スペーサー、39…液晶注入口、50…CCDカメラ、
51…1群レンズ、52…2群レンズ、53…3群レンズ、54…4群レンズ、55…CCDパッケージ、55b…光学ローパスフィルタ、
55c…CCD撮像素子、A1、A2…傾向曲線

Claims (3)

  1. 互いに対向した基体間に液晶を封入した液晶光学素子を有する調光装置を製造するに際し、前記液晶を封入する前の空セル状態で、前記対向基体間の間隙のうち、基体中央部での間隙 1 を基体周辺部での間隙 2 に対して1<d 1 /d 2 ≦1.1に保持するように前記対向基体を予め凸状に作製しておくと共に、前記間隙内にスペーサーを配さず、この状態で前記対向基体間に前記液晶を封入し、この封入後も、前記d 1 が前記d 2 よりも幾分大きくて液晶封入前の前記間隙のサイズの面分布を反映した状態を維持し、前記d 1 のばらつき|Δd 1 |を0.06μm以下とする、調光装置の製造方法。
  2. 前記液晶の封入後において、前記液晶光学素子の有効光路における前記対向基体間の間隙を2μm以上、4μm以下に制御する、請求項1に記載した調光装置の製造方法。
  3. 前記液晶として、ネガ型液晶をホスト材料とし、かつ2色性染料をゲスト材料とするゲスト−ホスト型液晶を封入する、請求項1に記載した調光装置の製造方法。
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