JP5049439B2 - ヘテロポリ酸に由来のモリブデン酸塩分散剤 - Google Patents

ヘテロポリ酸に由来のモリブデン酸塩分散剤 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の背景)
本発明は、潤滑添加剤として使用するのに適当なモリブデン酸塩分散剤、およびそれらの調製方法に関する。
【0002】
現代のエンジン潤滑技術には、過酷な要求が課せられているエンジンを十分に確実に潤滑するために、その潤滑剤の性能を絶えず改良することが求められている。モリブデン化合物が存在していると、多くの場合、耐摩耗性能(特に、摩擦の低下)が改善され、結果として、燃費が良くなる。しかしながら、多くのモリブデン化合物は、高価であるか、または適当な油溶性形状で供給するのが困難である。
【0003】
カナダ特許第623,155号(1961年7月4日)は、モリブデン化合物を含有する潤滑添加剤を開示している。リンモリブデン酸は、有機窒素ベースと反応され、そのMoの少なくとも一部が四価である形状にまで有機化合物で還元される。得られた生成物の溶解性は、改良される。適当な窒素ベースには、(この特許の請求の範囲において)、炭化水素アシルアミンが挙げられる。液状潤滑剤中で溶解性であるかそれと少なくとも相溶性である公知の有機窒素ベースの全ては、リンモリブデン酸を中和し還元する際に、また、リンモリブデン酸と非塩基性還元剤との酸性反応生成物の熱安定性を高めるのに適当であると言われている。その最終反応生成物は、潤滑添加剤として有用であると言われている。
【0004】
米国特許第5,319,119号(Kaneshimaら、1994年6月7日)は、脂肪族アミン基およびヘテロポリアニオン基を含有する親油性モリブデン化合物を開示している。この親油性モリブデン化合物は、触媒前駆体であり、これは、優れた触媒活性を有する触媒に変化できる。この触媒は、炭化水素油中にて脂肪族アミンとヘテロポリ酸とを反応させることにより、調製できる。潤滑油は、具体的な炭化水素油として、開示されている。
【0005】
本発明は、従って、簡便な経路で調製できる油溶性モリブデン組成物を提供することにより、経済的な様式で、特に、摩擦の低下の点から、潤滑性能を改良するという問題を解決する。
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、リン酸またはケイ酸とMoOとアミン含有分散剤とを反応させることにより調製されるモリブデン酸塩分散剤組成物を提供する。他に述べられていなければ、本発明は、次式により表わされるモリブデン酸塩分散剤組成物を提供する:
(R−NRm−n(MoHPA)m−
ここで、R−NRは、アミン含有分散剤を表わし、Rは、該分散剤組成物に分散特性を与える基であり、RおよびRの各々は、別個に、水素、ヒドロカルビル基または追加のR基であり、Xは、水素、一価金属イオン、多価金属イオンの単一原子価、アンモニウムイオンまたはアミンカチオンであり、mは、3または4であり、mが3のとき、nは、0〜約2.5であり、そしてmが4のとき、nは、0〜約3.5であり、そして(MoHPA)m−は、電荷mのモリブデンヘテロポリ酸アニオンである。
【0007】
本発明は、同様に、モリブデン酸塩組成物を調製する方法を提供し、該方法は、リン酸またはケイ酸とMoOおよびアミン(例えば、アミン含有分散剤)とを反応させる工程を包含する。
【0008】
本発明は、さらに、主要量の潤滑粘性のあるオイルおよびこのようなモリブデン酸塩分散剤を含有する潤滑組成物、またはそれらの濃縮物を提供する。
【0009】
(発明の詳細な説明)
種々の好ましい特徴および実施形態は、非限定的な説明によって、以下で記述されている。
【0010】
本発明は、モリブデン酸塩分散剤組成物を提供する。このモリブデン酸塩分散剤は、少なくとも部分的には、次式により合理的に表わすことができる組成または構造を有すると考えられている。
【0011】
(R−NRm−n(MoHPA)m−
この式では、R−NRは、アミン含有分散剤を表わし、ここで、Rは、該分散剤組成物に分散特性を与える基である。すなわち、R、またはRの一部は、上で述べたモリブデン含有組成物がオイルに容易に分散または溶解できるように、それに十分な溶解特性を与える基である。それゆえ、R−NR部分全体は、分散剤と考えることができ、それは、一般に、通常極性が高いNR部分と共に、比較的に極性が低いR部分を含み、両方の基は、共に、これらの分散特性を与えるのに役立つ。極性が高い部分(すなわち、ヘッド)は、極性物質(これは、通常、埃または汚染物質粒子である)と相互作用するのに役立つ;しかし、本発明の目的のために、それは、このモリブデンヘテロポリ酸と相互作用する。極性が低い部分は、その化合物または錯体がオイルに溶解または分散できるように、油溶性を与える。R基はまた、追加アミン基を含有することが可能であり、これは、この分散剤の極性「ヘッド」の一部と考えられ得るが、但し、R基の少なくとも一部は、適当には、非極性部分である。実際、R中に存在し得る追加アミン基の一部は、追加の塩構造を形成し得るか、そうでなければ、追加モリブデンヘテロポリ酸と相互作用して、以下のようなさらに複雑な構造を形成し得る:
【0012】
【化1】
Figure 0005049439
(例示の目的のために、この構造の化学量論を無視する)、ここで、Rは、連結基(例えば、直鎖または分枝鎖アルキレン基)であり、他の用語は、以下で説明するとおりである。
【0013】
式(R−NRm−n(MoHPA)m−では、RおよびRの各々は、別個に、水素、ヒドロカルビル基であるか、または上で定義したような追加R基である。すなわち、RまたはRはまた、この錯体に分散特性を与え得る。
【0014】
アミン含有分散剤には、一般に、アシル化アミン、アミン含有カルボン酸エステル、マンニッヒ反応生成物、ヒドロカルビル置換アミン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0015】
アシル化アミン分散剤には、1種またはそれ以上のカルボン酸アシル化剤および1種またはそれ以上のアミンの反応生成物が挙げられる。これらのカルボン酸アシル化剤には、C8〜30脂肪酸、C14〜20イソ脂肪族酸、およびヒドロカルビル置換カルボン酸アシル化剤が挙げられる。ダイマー酸は、米国特許第2,482,760号、第2,482,761号、第2,731,481号、第2,793,219号、第2,964,545号、第2,978,468号、第3,157,681号および第3,256,304号で記述されている。これらの追加カルボン酸アシル化剤は、不飽和脂肪酸と1種またはそれ以上の不飽和カルボン酸試薬との付加(4+2および2+2)生成物である。これらの酸は、米国特許第2,444,328号で教示されている。他の実施形態では、このカルボン酸アシル化剤は、ヒドロカルビル置換カルボン酸アシル化剤である。このヒドロカルビル置換カルボン酸アシル化剤は、典型的には、160℃または185℃から240℃または210℃までの温度で、1種またはそれ以上のオレフィンまたはポリアルケンと1種またはそれ以上の不飽和カルボン酸試薬(例えば、イタコン酸、シトラコン酸またはマレイン酸アシル化剤)とを反応させることにより、調製される。マレイン酸アシル化剤は、好ましい不飽和アシル化剤である。これらのアシル化剤を調製する方法は、当業者に周知であり、例えば、米国特許第3,412,111号;およびBenら、「The Ene Reaction of Maleic Anhydride With Alkenes」、J. C. S. Perkin II(1977),535〜537ページで記述されている。好ましいアシル化剤は、ヒドロカルビル置換無水コハク酸またはその反応性等価物(例えば、酸、酸ハロゲン化物、半エステル)である。そのヒドロカルビル置換基は、好ましい実施形態では、500〜5000(好ましくは、900〜3500)の数平均分子量を有するイソブチレンの重合体である。
【0016】
これらのアシル化剤と反応するアミンは、公知のアミンであり得、本発明の場合には、少なくとも1個のアミン官能基がアシル化されていない状態で本発明のモリブデン酸塩分散剤を形成するのに利用できるようにされるポリアミンである。ポリアミンには、脂肪族、環状脂肪族、複素環または芳香族のポリアミンおよびアルキレンポリアミン、縮合ポリアミン、ヒドロキシ含有ポリアミン、アリールポリアミンおよび複素環ポリアミンが挙げられる。
【0017】
アルキレンポリアミンは、次式により表わされる:
【0018】
【化2】
Figure 0005049439
ここで、nは、1または2から10まで、または7まで、または5までの平均値を有し、そして「アルキレン」基は、1個または2個から10個まで、または6個まで、または4個までの炭素原子を有する。各Rは、別個に、水素、または30個までの炭素原子を有する脂肪族基またはヒドロキシ置換脂肪族基である。アシル化アミン、それらの中間体およびそれらを調製する方法は、米国特許第3,219,666号;第4,234,435号;第4,952,328号;第4,938,881号;第4,957,649号;第4,904,401号;および第5,053,152号で記述されている。
【0019】
好ましい実施形態では、反応されるアミンおよびヒドロカルビル置換無水コハク酸のアミンの相対量は、得られるスクシンイミド分散剤中のカルボニル基:窒素原子のモル比が、約0.4:1〜1.5:1、好ましくは、0.7:1〜1.4:1となるようにされる。
【0020】
他の実施形態では、この分散剤は、カルボン酸エステルであり得るが、但し、それはまた、アミノ基も含有する。このカルボン酸エステルは、1種またはそれ以上のカルボン酸アシル化剤(好ましくは、ヒドロカルビル置換カルボン酸アシル化剤)と少なくとも1種の有機ヒドロキシ化合物と必要に応じてアミンとを反応させることにより、調製される。このヒドロキシ化合物は、アルコール(もし、アミノも使用されるなら)またはヒドロキシ含有アミンであり得る。
【0021】
これらのアルコールは、このエステルを形成するアルコールと酸(または他のアシル化剤)との反応を妨害しない種類の非炭化水素置換基を含有し得る。1実施形態では、これらのアルコールは、多価アルコール(例えば、アルキレンポリオール)であり得る。
【0022】
カルボン酸エステル分散剤は、いくつかの公知方法のいずれかにより、調製され得る。好ましい方法は、米国特許第3,522,179号および第4,234,435号で記述されているように、上記カルボン酸アシル化剤と1種またはそれ以上のアルコールまたはフェノールとのアシル化剤1当量あたり0.5当量〜4当量のヒドロキシ化合物の比での反応を包含する。これらのカルボン酸エステル分散剤は、必要なアミン官能性を与えるために、少なくとも1種のアミン(例えば、上記のもの)とさらに反応され得る。適当なアミンには、ポリエチレンポリアミン、縮合ポリアミン(すなわち、米国特許第5,053,152号で教示されているように、アミン反応物とヒドロキシアルキルまたはヒドロキシアリール反応物との酸触媒縮合生成物)、または複素環アミン(例えば、アミノプロピルモルホリン)が挙げられる。このアミンは、このモリブデンヘテロポリ酸と反応するアミン官能性を保持しつつ、任意の非エステル化カルボキシル基と反応するのに十分な量で、添加できる。1実施形態では、これらのカルボン酸エステル分散剤は、1〜2当量、または1.0〜1.8当量のヒドロキシ化合物と、アシル化剤1当量あたり、0.3当量まで、または0.02〜0.25当量のポリアミンとを反応させることにより、調製される。このカルボン酸アシル化剤は、このヒドロキシ化合物およびアミンの両方と同時に反応され得る。一般に、少なくとも0.01当量のアルコールおよび少なくとも0.01当量のアミンが存在しているものの、この組合せの全当量は、アシル化剤1当量あたり、少なくとも0.5当量であるべきである。これらのカルボン酸エステル分散剤組成物は、当該技術分野で公知であり、多数のそれらの誘導体の調製は、例えば、米国特許第3,957,854号および第4,234,435号で記述されている。
【0023】
他の実施形態では、この分散剤は、単に、ヒドロカルビル置換アミンであり得る。ヒドロカルビル置換アミンは、当業者に周知である。これらのアミンおよびそれらの調製方法は、米国特許第3,275,554号;第3,438,757号;第3,454,555号;第3,565,804号;第3,755,433号;および第3,822,289号で開示されている。典型的には、ヒドロカルビル置換アミンは、オレフィンおよびオレフィン重合体(これには、上記ポリアルケンおよびそれらの水素化誘導体が挙げられる)とアミン(モノアミンまたはポリアミン)とを反応させることにより、調製される。これらのアミンは、上記アミンのいずれか(好ましくは、アルキレンポリアミン)であり得る。ヒドロカルビル置換アミンの例には、エチレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン);ポリ(プロピレン)アミン;N,N−ジメチル−N−ポリ(エチレン/プロピレン)アミン(モノマーの50:50のモル比);N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−N−ポリブテンアミン;N−(2−ヒドロキシプロピル)−N−ポリブテンアミン;N−ポリブテン−アニリン;N−ポリブテンモルホリン;N−ポリ(ブテン)エチレンジアミン;N−ポリ(プロピレン)トリメチレンジアミン;N−ポリ(ブテン)ジエチレントリアミン;N’,N’−ポリ(ブテン)テトラエチレンペンタミン;およびN,N−ジメチル−N’−ポリ(プロピレン)−1,3−プロピレンジアミンが挙げられる。類似のモリブデン酸塩組成物は、リン酸またはケイ酸、MoO、およびアミン(たとえこのアミンが、具体的には、分散剤ではなくても)を反応させる(これは、以下でさらに詳細に記述する)ことにより、調製できる。
【0024】
他の実施形態では、この分散剤は、マンニッヒ分散剤であり得る。マンニッヒ分散剤は、一般に、少なくとも1種のアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒドおよびパラホルムアルデヒド)、少なくとも1種の上記アミン(好ましくは、ポリアミン、例えば、ポリアルキレンポリアミン)および少なくとも1種のアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物を反応させることにより、形成される。これらの試薬の量は、ヒドロキシ芳香族化合物:ホルムアルデヒド:アミンのモル比が(1:1:1)〜(1:3:3)の範囲であるようにされる。このヒドロキシ芳香族化合物は、一般に、アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物である。この用語は、上記フェノールを包含する。これらのヒドロキシ芳香族化合物には、6個〜400個の炭素原子、または30個〜300個の炭素原子、または50個〜200個の炭素原子を有する脂肪族基または脂環族基の少なくとも1個、好ましくは、2個以下で置換したものがある。これらの基は、上記オレフィンまたはポリアルケンの1種またはそれ以上から誘導され得る。1実施形態では、このヒドロキシ芳香族化合物は、420〜10,000のMnを有する脂肪族または脂環族炭化水素ベースの基で置換したフェノールである。マンニッヒ分散剤は、以下の特許で記述されている。米国特許第3,980,569号;第3,877,899号;および第4,454,059号。
【0025】
分散剤はまた、周知の変種を生成する種々の試薬で処理できるかまたはそれと反応できる。このような試薬には、硫化剤(例えば、元素イオウまたはCS2)およびジメルカプトチアジアゾールが挙げられる。分散剤とジメルカプトチアジアゾールとの反応は、例えば、米国特許第4,136,043号で教示されている。
【0026】
上で示した式では、ヘテロポリ酸アニオン(MoHPA)m−は、このアミン含有分散剤で必ずしも完全には中和されない。この事実は、上記式でのX(これは、水素、一価金属イオン、多価金属イオンの単一原子価、アンモニウムイオン、または分散剤以外の原料に由来のアミンカチオン、または上記のものの混合物であり得る)の存在が任意であることにより、説明される。所定の構造で存在しているXの量は、この分散剤に由来のイオンと一緒になって、このモリブデンヘテロポリ酸の原子価または電荷を満たすのに十分な量である。このヘテロポリ酸の原子価は、mで表わされるが、典型的には、3または4である:それは、リンベースの物質であるとき、3であり、シリカベースの物質であるとき、4である。Xの量は、nで表わされるが、典型的には、mが3のとき、0〜2.5であり、そしてmが4のとき、0〜3.5である。好ましくは、Xは、水素である。好ましい実施形態では、nは、0であり、すなわち、この組成物では、実質的に、Xは存在しない。
【0027】
モリブデン含有ヘテロポリ酸およびそれらの対応するアニオン(これは、(MoHPA)m−で表わされる)は、周知の物質である。ヘテロポリアニオンは、2種またはそれ以上の異なるオキソアニオンの縮合反応、例えば、
12MoO42 +HPO 2−+23H→(PMo12403−+12H
により形成される重合体オキソアニオンである。その対応するヘテロポリ酸の形成は、単に、以下の反応である:
12MoO+HPO→HPMo1240
類似の反応は、ケイ酸を使って記載することができ、ケイモリブデン酸が形成され、そのアニオンは、4−の電荷を有し得る:
12MoO+HSiO→HSiMo1240
これらの物質については、種々の構造が公知である。これらには、例えば、いわゆるケギン構造を含めることができ、ここで、12個のMoO八面体は、中心PO四面体(リンを使用する場合)を取り囲んでいる。他の構造および関連した式もまた公知であり、これには、PMo1240 6−、PMo1862 6−、PMo23 4−、PMo34 9−、PMo1862 6−、PMo1139 7−、PMo40 3−、GeMo1240 4−、SiMo40 5−およびTeMo24 6−が挙げられ、ここで、P、Ge、SiまたはTeとMoまたはWとは、代表的な元素として選択され、指示した構造は、適当な電荷を有するイオンである。このケギン構造の中心原子は、典型的には、ここで示するようにリンであるが、また、第IIIA族から第VIIA族(ACS番号表示)メタロイドまたは非遷移金属のいずれか(P、As、Si、Ge、B、Al、SbおよびTeを含めて)であり得る。上式のモリブデン(Mo)は、「ポリ原子」として公知の役割を果たし、これは、第VB族〜第VIB族の遷移金属(W、V、Cr、Nb、MoまたはTaを含めて)のいずれかであり得るが、本発明のためには、モリブデンが望ましい。それゆえ、適当な物質には、好ましくは、リンモリブデン酸塩およびケイモリブデン酸塩が挙げられる。上記元素から選択される他の組合せもまた可能であり、これには、アルセノモリブデン酸塩、テルロモリブデン酸塩、ならびにアルミノモリブデン酸塩およびリンバナジルモリブデン酸が挙げられ、後者は、PVMo1040 5−の式(そのアニオン部分に関して)を有する混合物質を表わす。好ましい物質は、リンモリブデン酸塩であり、この用語は、一般に、下記の酸および種々の塩の両方を包含する。(MoHPA)3−の好ましい種は、PMo1240 3−である。
【0028】
ヘテロポリ物質の構造に関するさらに詳細な情報については、Chemical Reviews,Jan./Feb.1998,Vol.98(No.1)およびMisonoのHeterogeneous Catalysis by Heteropoly Compounds of Molybdenum and Tungsten,「Catal.Rev.−Sci.Eng.,29(2&3),269〜321(1987)(特に、270−27ページおよび278〜280ページ)に注目せよ。本発明では、その水素イオンは、上記のように、部分的または完全に分散剤アニオン(R−NR)で置き換えられており、すなわち、この触媒は、ヘテロポリ酸の部分的または完全に中和された塩である。
【0029】
ヘテロポリ酸は、市販の物質である(例えば、Aldrich Chemical Company,#22,420−0および38,336−8)。それらの塩も同様に、市販されている。他方、それらは、適当な量の塩基で中和することにより、その酸物質から調製できる。ヘテロポリ酸は、一般に、水和した形状で入手される。それらは、この形状(か焼されていない)で使用できるか、または水和水の一部または全部を除去するために、すなわち、脱水または変性種を提供するために、処理(か焼)できる。
【0030】
本発明のモリブデン酸塩分散剤が存在している構造上の形状を正確に決定することは、困難または不可能である。本発明の組成物中のモリブデン原子は、大部分または完全に、+6の酸化状態を保持していると考えられる。これらのモリブデン酸塩分散剤の少なくとも一部(おそらく、相当な部分)は、上で示したヘテロポリ酸型構造を示すと考えられているものの、このことは、明白には確認されていない。本発明は、従って、形成され得る他の関連した構造を含むと解釈される。よって、このモリブデン酸塩分散剤はまた、それらの種々の調製方法により、記述される。
【0031】
本発明のモリブデン酸塩分散剤が調製できる1方法は、アミン含有分散剤とモリブデンヘテロポリ酸(またはその部分的に中和した塩)とを混合し、その中和反応を起こして所望の塩を形成することにより、調製できる。多くの分散剤は、40〜60%希釈油との溶液として市販されているので、この希釈油は、この反応が起こる好都合な媒体を提供できる。効率的な反応を起こすためには、このモリブデンヘテロポリ酸は、低級アルカノール(すなわち、これは、3個または4個の炭素原子を含有する;例えば、エタノールまたは好ましくは、メタノール)中のヘテロポリ酸の好ましくは10〜50重量%(さらに好ましくは、20〜30重量%)の溶液として、この反応混合物に供給するのが好ましい。このアルコールは、好ましくは、少量以下の水しか含有しない。
【0032】
(実施例A)
500mLの四ッ口丸底フラスコに、オーバーヘッド機械攪拌機、添加漏斗、温度制御装置および冷却器を備え付ける。このフラスコに、スクシンイミド分散剤(これは、分子量1000のポリイソブチレンから製造した)250gを充填する。この添加漏斗に、HPMo1240xHO(5g)のメタノール15g溶液を添加する。この添加漏斗の内容物を、20分間にわたって、この反応フラスコに添加する。この添加が終了すると、その温度を51℃まで上げる。この反応混合物を、2時間にわたって、約120℃までゆっくりと加熱して、このメタノールを除去する。この混合物を、さらに、真空下にてストリッピングして、残留している揮発性成分を除去する。得られた物質を希釈油100gで希釈し、そして濾過助剤パッドで濾過して、約285gの暗緑色の生成物(これは、分析により、約0.58%のMo、0.11%のSおよび1.51%のNを含有する)を得る。
【0033】
このモリブデンヘテロポリ酸付加物はまた、適当な反応物(例えば、上で概説した三酸化モリブデンおよびリン酸またはケイ酸)を混合することにより、その場で調製できる。この分散剤(または他のアミン)は、この混合物に含有でき、すなわち、3種の全ての成分は、これらの反応物を不活性媒体(例えば、希釈油)中で混合することにより、同時に反応できる。その中間体モリブデンヘテロポリ酸を単離する必要はない。水は、この反応の触媒であると思われるので、反応時点で、少なくとも触媒量の水が存在していることが好ましい。実際には、触媒量の水とは、好ましくは、分散剤+希釈油を基準にして、少なくとも1%、さらに好ましくは、2〜10%である。それより多量の水もまた存在できるが、好ましくは、あまり多量の水は必要ではなく除去(ストリッピング)時間がそれに対応して長くなるので、好ましくは、20%または15%以下である。この反応を触媒するのに有効な量の水を保持するために、この方法は、好ましくは、還流条件下にて、通常の水の沸点よりも低い温度(例えば、50℃または80℃から99℃または95℃まで)または水の沸点で行われる。典型的には、一定時間(例えば、0.5〜24時間、15時間、10時間または5時間)で、すなわち、この反応が実質的に完了したと思われるまで、98℃のような温度が維持される。その後、この温度は、この水および任意の他の揮発性物質を除去するために、水の沸点より高い温度(例えば、120〜180℃、典型的には、約150℃)まで上げることができる。この水のストリッピングをそれより早くまたはより低い温度で開始することもまた、可能である。得られる生成物は、もし望ましいなら、濾過により、精製できる;この生成物は、その濾液中にて、不溶のまま残る。
【0034】
このMoOおよびリン酸(またはケイ酸)の相対量は、通常、上記式で示したように、それらの化学量論量であるべきである。しかしながら、適度に過剰な一方の反応物または他方の反応物は、この生成物を実質的に傷つけない。同様に、この分散剤または他のアミンの量は、特に重要ではない。しかしながら、もし、複数の反応性アミノ基を有する反応物を使用するなら、高分子種が形成されないように、正確に化学量論的な当量を使用することを避けるのが望ましい。望ましくは、このアミン化合物の過剰な当量が使用される。例えば、さらに粘稠な分散剤の場合、4〜8倍過剰(すなわち、P原子1個あたり、12〜24個の塩基性窒素)が使用できる。
【0035】
(実施例B)
攪拌機、サーモウェルおよび還流冷却器を備えたフラスコに、アミン含有分散剤1613gを充填する。この分散剤は、ヒドロカルビルスクシンイミド分散剤であり、これは、6:5のカルボニル:窒素モル比を有する;そのヒドロカルビル基は、約2000の数平均分子量を有するポリイソブテン基である。この分散剤組成物は、約55重量%の希釈油を含有し、そして15の全塩基価を有する。また、このフラスコには、追加希釈油200gを添加する。この混合物を90℃まで加熱し、約1/2時間にわたって、85%リン酸3.23g、水55g(このリン酸中に存在しているものに加えて)およびMoO(48.6g)を添加する。この混合物を、攪拌しながら、98〜99℃で、約17時間保持し、その間、この混合物の外観は、霞んで濁った様子から暗青緑色で透明へと変わる。その温度は、150℃まで上がり、この温度に達すると、穏やかな表面下の窒素流れが開始する。これらの状態を5時間維持して、水を完全かつ確実に除去する。この温度を130℃まで下げ、その生成物を、濾過助剤を使用して濾過する。
【0036】
本発明のモリブデン酸塩分散剤は、特に、エンジン油中で、潤滑剤用の添加剤として有用である。本発明の分散剤を含有する最終調合物は、任意の所望の濃度範囲、典型的には、0.005または0.01〜0.5または0.1重量%、好ましくは、0.02〜0.08重量%(すなわち、200〜800ppm、または約500ppm)で、モリブデンを含有できる。この調合物の残りは、典型的には、潤滑粘性のあるオイルおよびエンジン油用の他の添加剤である。
【0037】
この潤滑粘性のあるオイルには、天然または合成の潤滑油およびそれらの混合物が挙げられる。天然油には、動物油、植物油、鉱物性潤滑油、溶媒処理されたまたは酸処理された鉱油、および石炭または頁岩から誘導したオイルが挙げられる。合成潤滑油には、炭化水素油、ハロ置換炭化水素油、アルキレンオキシド重合体(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合により製造されるものを含めて)、ジカルボン酸と種々のアルコール(ポリオールを含めて)とのエステル、モノカルボン酸とポリオールとのエステル、リン含有酸のエステル、重合体テトラヒドロフラン、およびシリコーンベース油(シロキサン油およびシリケート油を含めて)が挙げられる。未精製油、精製油および再精製油が含まれる。潤滑粘性のあるオイルの特定の例は、米国特許第4,326,972号で記述されている。
【0038】
本発明の潤滑油は、通常、この組成物の主要量を占める。それゆえ、それは、通常、この組成物の少なくとも50重量%、好ましくは、約83〜約98重量%、最も好ましくは、約88〜約90重量%を占める。しかしながら、代替実施形態として、本発明は、そのオイルの量を少なくした添加剤濃縮物を提供できる。典型的には、このオイルの量は、10〜80重量%、好ましくは、30〜60重量%であり得、このモリブデン酸塩分散剤の量は、それに対応して増える。モリブデン酸塩分散剤は、希釈油よりもむしろ揮発性媒体(例えば、トルエン)中で調製でき、それにより、比較的に多い量の活性成分(希釈剤を含有しない組成物を含めて)が調製できる。同様に、他の添加剤は、最終潤滑剤で通常使用される量よりも多い量で、存在し得る。濃縮物中では、分散剤の濃度は、例えば、完全に調合した流体中の濃度の5〜20倍、または約10倍であり得、その結果、Moの量は、上記のように、0.1〜1重量%などである。
【0039】
内燃機関用潤滑剤は、一般に、他の添加剤(例えば、清浄剤、粘度指数調整剤、流動点降下剤、酸化防止剤、錆止め剤、腐食防止剤および耐摩耗剤)を含有する。清浄剤は、油溶性酸性物質の中性金属塩、または多くの場合、塩基性金属塩である。オーバーベース化塩は、一般に、金属およびその金属と反応される特定の酸性有機化合物の化学量論に従って中和するために存在するであろう量よりも過剰の金属含量により特徴づけられる、単一相の均一なニュートン系である。オーバーベース化物質は、酸性物質(典型的には、無機酸または低級カルボン酸、好ましくは、二酸化炭素)と、酸性有機化合物、該酸性有機物質用の少なくとも1種の不活性有機溶媒(鉱油、ナフサ、トルエン、キシレンなど)、化学量論的に過剰な金属塩基および促進剤(例えば、フェノールまたはアルコール)を含有する混合物とを反応させることにより、調製される。この酸性有機物質は、通常、オイル中でのある程度の溶解性を与えるのに充分な数の炭素原子を有する。オーバーベース化物質は、当業者に周知である。スルホン酸、カルボン酸、フェノール、ホスホン酸、およびこれらの任意の2種またはそれ以上の混合物の塩基性塩を製造する方法を記述している特許には、米国特許第2,501,731b号;第2,616,905号;第2,616,911号;第2,616,925号;第2,777,874号;第3,256,186号;第3,384,585号;第3,365,396号;第3,320,162号;第3,318,809号;第3,488,284号;および第3,629,109号が挙げられる。
【0040】
粘度改良剤は、オイルの粘度指数を改良するのに使用される周知の高分子材料である。それらには、ポリイソブテン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ジエン重合体、ポリアルキルスチレン、アルケニルアリール共役ジエン共重合体、ポリオレフィンおよび多官能性粘度改良剤(例えば、分散剤−粘度改良剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
流動点降下剤は、ワックス含有オイルの流動点を低下するように働く多様な群の物質である。典型的な流動点降下剤には、アルキル化ワックスナフタレン、ポリメタクリレート、アルキル化ワックスフェノール、スチレンベースのポリエステル、および酢酸ビニル共重合体が挙げられる。例えば、C. V. SmalheerおよびR. Kennedy Smithによる「Lubricant Additives」(Lesius−Hiles Company Publishers,Cleveland,Ohio,1967)の8ページを参照せよ。
【0042】
酸化防止剤は、酸化によるオイルの劣化および増粘を遅らせるのに使用される。それらには、フェネートスルフィド、ホスホ硫化テルペン、芳香族アミン、硫化エステルおよびヒンダードフェノールが挙げられる。
【0043】
錆止め剤には、アルケニルコハク酸、置換イミダゾリン、アミンホスフェートおよびアルキル化フェノキシアルキレンオキシドが挙げられる。
【0044】
腐食防止剤には、非鉄金属成分と化学的に反応する添加剤が挙げられ、有機ホスファイト、ジオルガノジチオリン酸亜鉛、カルバミン酸金属、硫化テルペンおよびリン硫化テルペンが含まれる。
【0045】
耐摩耗剤には、硫化オレフィン、硫化エステル(例えば、硫化脂肪油)、ヒドロカルビルホスフェートまたはチオホスフェート、リン含有アミド、ジアルキルジチオリン酸亜鉛およびジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。
【0046】
これらの添加剤および他の添加剤は、米国特許第4,582,618号(14欄、52行から17欄、16行まで、これらの行を含めて)およびSmalheerの「Lubricant Additives」、Lezius−Hiles Co.,Cleveland,1967で記述されている。
【0047】
自動車のモーター油で使用することに加えて、本発明の分散剤はまた、他の種類の潤滑剤(これらには、一般に、ギアオイル潤滑剤、自動変速機油、手動変速機油、パワーステアリング油、油圧作動液および金属加工油が挙げられる)中で使用できる。
【0048】
本明細書中で使用する「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」との用語は、当業者に周知の通常の意味で用いられる。特定すると、この用語は、分子の残部に直接結合した炭素原子を有する基であって主として炭化水素的な性質を有する基を意味する。ヒドロカルビル基の例には、以下が包含される:
(1)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族置換基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環族置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、および芳香族置換された芳香族置換基、脂肪族置換された芳香族置換基および脂環族置換された芳香族置換基などだけでなく、環状置換基。ここで、この環は、分子の他の部分により、完成されている(すなわち、例えば、いずれか2個の置換基は、一緒になって、脂環族基を形成する);
(2)置換された炭化水素置換基、すなわち、非炭化水素基を含有する置換基。この非炭化水素基は、本発明の文脈では、主として、炭化水素置換基を変化させない(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソおよびスルホキシ);
(3)ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈内では、主として炭化水素的性質を有しながら、環または鎖の中に存在する炭素以外の原子を有するが、その他は炭素原子で構成されている基である。ヘテロ原子には、イオウ、酸素、窒素が挙げられ、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、このヒドロカルビル基では、各10個の炭素原子に対し、約2個以下の非炭化水素置換基、好ましくは、1個以下の非炭化水素置換基が存在する。典型的には、このヒドロカルビル基には、このような非炭化水素置換基は存在しない。
【0049】
上記物質の一部は、その最終調合物中で相互作用し得、その結果、この最終調合物の成分は、最初に添加したものとは異なり得ることが知られている。(例えば、清浄剤の)金属イオンは、例えば、他の分子の他の酸性部位に移動できる。それにより形成された生成物は、本発明の組成物をその意図した用途で使用する際に形成された生成物を含めて、簡単には記述し難い場合がある。それにもかかわらず、このような改良および反応生成物の全ては、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記成分を混合することにより調製した組成物を包含する。
【0050】
(実施例1〜3)
潤滑粘性のあるオイル中にて、3種類の潤滑剤サンプルを調製するが、これらは、0.05重量%のモリブデンを含有するように、約4重量%(希釈油を含めて)のレベルで、上記実施例Bの分散剤を含有する。これらの3種のサンプルは、それぞれ、0.6%、1.2%および1.8%(約5%の希釈油を含めて)の量で、アルケニルエステルスルフィド酸化防止剤/耐摩耗剤を含有する。
【0051】
これらの3種のサンプルの各々を、摩擦試験にかける。この試験は、少量(0.2mL)のオイルサンプルを平坦な鋼鉄試験クーポン上に設置する工程を包含する。この平坦なクーポンを試験装置に設置し、そして40℃まで加熱する。この試験装置には、同様に、円筒形試験片を取り付ける。この平坦試験片のオイル被覆表面に、シリンダーを載せる。この系を、約45分間にわたって、400Nの負荷、50Hzの振動数、1.0mmのストローク長で運転するように、設定する。この試験片およびオイルの温度は、この試験の持続時間にわたって、5分の段階で、40〜120℃の勾配を付ける。この試験の初めから終わりまで、その摩擦係数を記録する。100〜120℃および110℃での摩擦係数を平均して、このオイルの性能を決定する。質が悪いオイルは、高い摩擦係数を示す。
【0052】
この試験の結果、これらのサンプルについて、それぞれ、0.073、0.078および0.088の摩擦係数が得られる。
【0053】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、他に明らかに指示がなければ、物質の量を特定している本記述の全ての数値量、反応条件、分子量、炭素原子数などは、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に著しく影響を与えない物質が含まれていてもよい。

Claims (6)

  1. リン酸またはケイ酸と、MoOとアミン含有分散剤とを反応させることにより調製される、潤滑添加剤として使用するためのモリブデン酸塩分散剤組成物であって、ここで、該アミン含有分散剤は、ポリアミン部分およびヒドロカルビル部分を含み、該ヒドロカルビル部分は、500〜5000の分子量を有し、ここで、該アミン含有分散剤に由来の塩基性窒素原子の過剰当量は、該反応の混合物中で使用される、
    組成物。
  2. 前記モリブデン酸塩分散剤組成物が、式:
    (R−NRm−n(MoHPA)m−
    により表わされ、ここで、R−NRが、前記アミン含有分散剤を表わし、Rが、該分散剤組成物に分散特性を与える基であり、RおよびRの各々が、別個に、水素、ヒドロカルビル基または追加のR基であり、Xが、水素、一価金属イオン、多価金属イオンの単一原子価、アンモニウムイオンまたはアミンカチオンであり、mが、3または4であり、mが3のとき、nが、0〜2.5であり、そしてmが4のとき、nが、0〜3.5であり、そして(MoHPA)m−が、電荷mのモリブデンヘテロポリ酸アニオンである、請求項1に記載のモリブデン酸塩分散剤組成物であって、R基は、該モリブデン酸塩分散剤組成物がオイルに容易に分散または溶解できるように、該モリブデン酸塩分散剤組成物に十分な溶解性を与える基である、組成物。
  3. 前記分散剤が、ヒドロカルビル置換無水コハク酸またはその反応性等価物とポリエチレンポリアミンとの反応生成物であり、該反応性等価物が、該ヒドロカルビル置換無水コハク酸の酸、酸ハロゲン化物、または半エステルである、請求項に記載の組成物。
  4. 前記(MoHPA)m−が、mが4のケイモリブデン酸塩、またはmが3のリンモリブデン酸塩である、請求項2に記載の組成物。
  5. 主要量の潤滑粘性のあるオイルおよび請求項1に記載の前記モリブデン酸塩分散剤を含有する、潤滑組成物。
  6. 請求項1に記載の前記モリブデン酸塩分散剤および濃縮物形成量の潤滑粘性のあるオイルを含有する、濃縮物。
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