JP3201823B2 - 親油性モリブデン化合物及びその製造方法 - Google Patents

親油性モリブデン化合物及びその製造方法

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JP3201823B2 JP08824492A JP8824492A JP3201823B2 JP 3201823 B2 JP3201823 B2 JP 3201823B2 JP 08824492 A JP08824492 A JP 08824492A JP 8824492 A JP8824492 A JP 8824492A JP 3201823 B2 JP3201823 B2 JP 3201823B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な親油性モリブデン
化合物及びその製造方法に関するものである。さらに詳
しくいえば、本発明は、炭化水素原料をより低分子量の
製品に転化するための水素化分解反応において、その場
で変化して優れた触媒効果をもたらす前駆体として有用
な親油性モリブデン化合物、及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、炭化水素原料、特に重質原油、蒸
留残油、タールサンド油、シェール油、石炭などの重質
炭化水素原料を、より低分子量の軽質炭化水素に転化さ
せる水素化分解方法が広く行われている。この方法にお
いて用いられる触媒の役割としては、(1)水素化分解
反応での副反応により生じるコークスやアスファルテン
などの重縮合物の発生量を抑制して、収率を向上させる
とともに、該重縮合物の一部が装置内、特に反応帯域内
にとどまって起こすコーキング現象や閉塞現象を緩和さ
せる、(2)炭化水素原料中に含まれるヘテロ原子、す
なわち硫黄、窒素、酸素、さらにはバナジウム、ニッケ
ルなどの重金属、あるいは灰分などの含有量を減少させ
る、(3)炭化水素分子に水素を添加させて炭化水素の
性状を改質する、などが挙げられる。このような触媒の
役割を総称して、一般に触媒の水素化活性と呼んでい
る。
【0003】水素化分解の、反応形式としては、触媒の
使われ方によって、固定床方式、沸騰床方式、分散(懸
濁)方式が知られている。その中で、分散性金属化合物
を水素化触媒又はその前駆体として原料に添加して用い
る分散方式が、重質炭化水素を原料に使用して高分解を
目ざした場合に適していることから、これまでにも多く
の提案がなされている。これらの提案の中で、分散性金
属化合物に使われる金属元素としては、元素周期律表の
V族、VI族、VIII族の遷移元素の中から選ばれる
ことが多く、特に代表的なものとしては、反応の場で硫
化物様化合物で高い触媒活性が発揮できるモリブデン元
素が知られている。さらに、炭化水素原料に触媒前駆体
として添加する場合のモリブデンの化合物種についても
種々の提案がなされているが、それらの中に、モリブデ
ンをポリ原子とするヘテロポリ酸を使う例が知られてい
る。
【0004】例えば、他の金属化合物と同様にモリブデ
ンのヘテロポリ酸を使用しうることが知られており(米
国特許第4,134,825号明細書、同第4,43
1,520号明細書、同第4,606,809号明細
書)、また、モリブデンやタングステンのヘテロポリ酸
又はそれらとリン酸との混合物を用いる方法も知られて
いる(米国特許第4,196,072号明細書、同第
4,637,870号明細書、同第4,637,871
号明細書)。これらの例においては、ヘテロポリ酸は固
体状態のままか、水溶液状態で加えられている。
【0005】さらに、ヘテロポリ酸水溶液と炭素質物質
粉体とを混合することによって、炭素質物質粉体の担体
作用的な助けをかりて、ヘテロポリ酸の炭化水素油中で
の高分散性を可能にするための工夫をした添加剤も提案
されている(米国特許第4,770,764号明細
書)。
【0006】このモリブデンのヘテロポリ酸は、単一の
アニオン構造と結晶内配列とを有する特異なクラスター
化合物であることから、モリブデン触媒前駆体として好
適であると思われるが、親水性で疎油性であるため、水
やアルコールやエーテルなどの親水性媒体には溶解しや
すいが、石油類などの炭化水素油には不溶となる。した
がって、ヘテロポリ酸を固体のままか、親水性媒体に溶
解した溶液状態で、炭化水素原料に添加するのみでは高
分散状態が形成しにくいため、結果として、分散触媒法
での水素化触媒活性は不十分なものになる。
【0007】ところで、重質炭化水素原料をより付加価
値の高い軽質油に高率で転換する連続フロープロセス、
例えば沸点が538℃(1000°F)より高い減圧蒸
留残渣油を原料として用い、沸点が538℃より低い留
分に80重量%以上の高率で転換する安定的な連続フロ
ープロセスについては、技術的、実用的な面を満足させ
て実現するような決定的な水素化分解方法は未だ知られ
ていない。それは、高率で転換する場合に、副反応によ
り発生するコークスやアスファルテンなどの重縮合化物
質の量が増加し、これら発生した該重縮合化物質の一部
が装置内、特に反応帯域内に付着したり、沈着したりす
るコーキング現象が激しくなるという好ましくない現象
を生じるが、このような現象を十分に抑制しうる方法が
これまでに見出されていないからである。
【0008】このような問題を解決する鍵をにぎってい
るのは触媒であり、特に分散(懸濁)型のものが前記問
題解決のために適していると考えられる。この分散(懸
濁)型触媒の場合、使い捨て使用とならざるを得ないた
め、少量で十分に効果を発揮する高活性な触媒であると
ともに、一方で製造方法が複雑な触媒や、相対的に高価
すぎる触媒は避けなければならない。このような観点か
ら、これまで多くの研究がなされ、種々の触媒も提案さ
れているが、まだ十分に満足すべき触媒は見出されてい
ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
炭化水素原料の水素化分解反応に用いられる従来の触媒
が有する問題点を解決し、優れた水素化活性、すなわち
コークスやアスファルテンなどの重縮合化物質の発生を
抑制するとともに、過度のガス発生を抑えて軽質化油の
得率を上げ、かつ水素化分解生成油(軽質化油)への水
素添加や脱ヘテロ原子(脱硫黄、脱窒素など)を行うな
どの水素化活性を発揮する分散型触媒として機能する比
較的安価で、かつ容易に製造しうる新規な化合物を提供
することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、炭化水素原料の水素化分解反応にお
いて、優れた水素化活性を発揮しうる触媒の前駆体にな
るモリブデン化合物について鋭意研究を重ねた結果、特
定のヘテロポリ酸と特定の脂肪族アミノ化合物とから形
成された新規モリブデン化合物が、親油性であって炭化
水素油中に溶解又は高分散できること、及びこのものを
触媒前駆体として用いて、炭化水素原料の水素化分解反
応を行った場合に、優れた水素化活性が発揮されること
を見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
【0011】すなわち、本発明は、一般式 [(R1)(R2)(R3)NH]xHy[A] (I) (式中のR1は炭素数10〜46の脂肪族炭化水素基、
2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜46の脂
肪族炭化水素基、Aはヘテロ原子がリン、ヒ素、ケイ
素、ゲルマニウム、マンガン、コバルト、ニッケル又は
セリウムであり、ポリ原子としてモリブデン原子を、そ
の数の総ポリ原子数に対する割合が0.7以上である範
囲で含むヘテロポリアニオン基、xは3〜14の整数、
yは0又は1〜11の整数である)で表わされる親油性
モリブデン化合物を提供するものである。
【0012】本発明に従えば、前記親油性モリブデン化
合物は、一般式 (R)(R)(R)N (II) (式中のR、R及びRは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる脂肪族アミン又はその塩と、一般式 HxA (III) (式中のA及びxは前記と同じ意味をもつ)で表わされ
るヘテロポリ酸又はその金属塩とを炭化水素油中で反応
させることにより製造することができる。
【0013】前記一般式(I)中のAのヘテロポリアニ
オン基については、酸タイプや金属塩タイプなどの多く
の組成のものが知られているが、本発明においてはいず
れの組成のものであってもよい。
【0014】すなわち、このヘテロポリアニオン基は、
ポリ原子であるモリブデンの酸素酸が所定元素を中心原
子(ヘテロ原子)として取り込んで縮合したものであ
り、縮合比(ヘテロ原子数に対するポリ原子数の比率)
の異なる種々のもの(約2.5〜12の範囲)が存在
し、明確な単一のアニオン構造と結晶内配列を有し、ア
ニオンサイズ6〜25Å程度で、分子量103〜104
ーダーにも及ぶ特異なクラスターアニオンである。これ
らのヘテロポリモリブデンアニオン種については、“ヘ
テロポリ・アンド・イソポリ・オキソメタレーツ”、エ
ム・ティー・ポープ,スプリンジャー・ベルラグ(“H
eteropoly and Isopoly Oxo
metalates”, M.T.Pope, Spr
inger‐Verlag)(1983)に記載されて
いる。
【0015】このヘテロポリモリブデンアニオンの具体
例としては、リンモリブデンアニオン、ケイモリブデン
アニオン、ゲルマニウムモリブデンアニオン、セリウム
モリブデンアニオン、ヒ素モリブデンアニオン、コバル
トモリブデンアニオン、ニッケルモリブデンアニオン、
マンガンモリブデンアニオンなどが挙げられる。これら
のヘテロポリモリブデンアニオンを構成するポリ原子
は、すべてモリブデン原子であるが、ポリ原子の一部が
モリブデン原子以外の遷移金属原子に置き換えられたい
わゆる混合ヘテロポリモリブデンアニオンも、総ポリ原
子数に対するモリブデン原子数の割合が、0.7以上に
高いものは包含できる。この混合ヘテロポリモリブデン
アニオンの具体例としては、リンモリブドタングステン
アニオン、リンモリブドバナジンアニオン、リンモリブ
ドニオブアニオン、ケイモリブドタングステンアニオ
ン、ケイモリブドバナジンアニオン、ケイモリブドタン
グストバナジンアニオン、ゲルマニウムモリブドタング
ステンアニオン、ゲルマニウムモリブドバナジンアニオ
ン、ゲルマニウムモリブドタングストバナジンアニオン
などの中で、総ポリ原子数中のモリブデン原子数が0.
7以上のものが挙げられる。例えばヘテロ原子1個、ポ
リ原子12個を有するケギン(Keggin)型の混合
ヘテロモリブデンアニオンである[XMo12-m
m40](Xはヘテロ原子、MはW又はV若しくはその
両方)の場合、添字mが1〜3のものが該当する。
【0016】ヘテロポリモリブデンアニオン種の多くの
ものは、還元されやすい性質を有しており、例えば電解
還元法や種々の還元剤による化学還元法などによって、
2、4又は6電子還元体などに還元されるが、これらの
還元体アニオンも本発明に包含される。例えばヘテロ原
子がリンであるケギン(Keggin)型のリンモリブ
デンアニオン[PMo1240-3の場合、2電子還元体
は[PMo1240-5で、4電子還元体は[PMo12
40-7で、6電子還元体は[PMo1240-9で表わさ
れる。
【0017】一方、一般式(I)における[(R
(R)(R)NH]は、特定の脂肪族アミノカチオ
ン基を意味する。ここで、脂肪族とは、芳香族以外を意
味し、炭素原子骨格が直線状のものや分枝状のもの、ま
た、飽和炭化水素や不飽和炭化水素のもの、さらには、
脂環式炭化水素を含むものなどのすべてを意味する。該
は炭素数が10〜46、好ましくは10〜30、よ
り好ましくは12〜30の範囲にある脂肪族炭化水素基
の中から選ばれ、一方、R及びRはそれぞれ水素原
子及び炭素数1〜46、好ましくは1〜30の脂肪族炭
化水素基の中から選ばれる。
【0018】該Rの具体例としては、デシル、ウンデ
シル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシ
ル、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデ
シル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、オクタ
デカジエニル、エイコシル、ドコシル、ヘニコシル、ト
リコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシ
ル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリア
コンチルなどの各基が挙げられる。
【0019】一方、R及びRの具体例としては、こ
れらの炭素数10以上の脂肪族炭化水素基以外に、炭素
数1〜9の脂肪族炭化水素基、例えばメチル、エチル、
n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブ
チル、イソブチル、tert−ブチル、ブテニル、ペン
チル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチ
ル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノ
ニルなどの各基が挙げられる。
【0020】該アミノカチオン基の種類は、R、R
が水素元素であるか否かによって次のように分類でき
る。すなわち、第一級アミンに対応して[(R)NH
]、第二級アミンに対応して[(R)(R)NH
]、第三級アミンに対応して[(R)(R)(R
)NH]に分類できる。このうち、[(R
(R)NH]と[(R)(R)(R)NH]
については、脂肪族炭化水素基がすべて同じの、いわゆ
る対称アミノ基と、脂肪族炭化水素基が異なる、いわゆ
る非対称(混成)アミノ基とが存在する。
【0021】これら脂肪族アミノカチオン基を有するモ
リブデン化合物群は、炭化水素油への親油状態に関して
2種類に分類できる傾向にある。すなわち、一方は、炭
化水素油に溶解状態となる傾向にある群で、これは、
[(R1)(R2)NH2]xHy[A](式中のR,A
は先に定義したのと同一であり、Rは、炭素数10〜
46の脂肪族炭化水素基である)、及び[(R1
(R2)(R3)NH]xHy[A](式中のR
,Aは先に定義したのと同一であり、Rは炭素数
10〜46の脂肪族炭化水素基である)の群から選ぶこ
とができる。他方は、炭化水素油に懸濁状態(コロイド
状態)となる傾向にある群で、本発明に包含されるその
他の化合物群から選ぶことができる。炭化水素油への親
油性の差に帰因して、前者の方が後者の方よりも、製造
段階においても、使用段階においてもより好ましいこと
は当然である。
【0022】このような親油性モリブデン化合物は、本
発明方法に従えば、脂肪族アミノカチオン基を構成する
前記一般式(II)で表わされる脂肪族アミン又はその
塩と、アニオン基を構成する前記一般式(III)で表
わされるヘテロポリモリブデン酸又はその金属塩とを反
応させることによって製造することができる。この際、
通常炭化水素油が反応媒体として用いられ、生成した親
油性モリブデン化合物は炭化水素油中に溶解状態又は懸
濁状態として存在する。
【0023】前記一般式(III)で表わされるヘテロ
ポリモリブデン酸又はその金属塩は、固体(結晶)状態
で用いてもよいし、溶媒に溶解した溶液状態で用いても
よいが、溶液状態で作用させる方が有利である。固体
(結晶)状態では、通常、ヘテロポリアニオン単位当
り、10〜40分子数程度の配位水(結晶水)を有する
が使用に当って、この配位水量に制限はない。溶液状態
で使用する場合には、ヘテロポリ酸を溶解しうる媒体、
具体的には、水や酸素原子を含む親水性媒体である低級
のアルコール、エーテル、ケトン類などを用いればよ
い。
【0024】また、ヘテロポリモリブデンアニオンは、
ヘテロ原子を構成する無機酸素酸又はその塩と、ポリ原
子を構成する酸化モリブデンやモリブデン酸塩とを、水
媒体中で加熱縮合して製造する方法が知られているが
[例えば「Ind.Eng,Chem.」,Prod.
Res.Develop,第13巻,第4号,第267
〜274ページ,1974年]、その生成物溶液は、固
体(結晶)として分離する工程やイオン交換する工程を
施すことなくそのまま本発明の製造に供することができ
る。
【0025】炭化水素油としては、例えば有機溶剤とし
て知られているヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのパ
ラフィン系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ンなどのナフテン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、テトラリンなどのアロマ系溶剤が使用できるが、こ
れらの中では、アロマ系溶剤が溶解力が高いのでより好
ましい。また、石油留分であるナフサ、灯油、軽油、潤
滑油、重油なども使用でき、当然のことではあるが、水
素化分解に供する原料油自身も使用できる。
【0026】所望の親油性モリブデン化合物は、前記し
たように炭化水素油に溶解状態か懸濁状態のいずれかで
得ることができる。炭化水素油へ溶解状態で得られる場
合は考慮する必要がないが、炭化水素油に懸濁状態で得
られる場合には、分散性を高めた懸濁液を得るために、
製造段階で、一般に知られている高剪断力がかかる分散
機や湿式微粉砕機を使用して実施することが効果的であ
る。
【0027】このような分散状態にある親油性モリブデ
ン化合物の製造において、さらに、油中への分散作用を
促進する界面活性剤を補助的に使用することもできる。
【0028】このような界面活性剤としては、例えば石
油スルホン酸塩、脂肪酸アミド、ナフテン酸塩、アルキ
ルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリ
オキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸アミン塩型
高分子界面活性剤などが挙げられる。
【0029】モリブデン化合物と窒素化合物の使用割合
については特に制限はないが、親水性のヘテロポリモリ
ブデン酸又はその金属塩から親油性モリブデン化合物を
定量的に製造しようとする場合には、使用するヘテロポ
リ酸又はその金属塩をヘテロポリアニオンの価数に基づ
いた多塩基酸とし、一方、使用する脂肪族アミン又はそ
の塩を一酸塩基とし、これら両化合物による酸塩基反応
が化学量論的に進むとして、これら両化合物の使用割合
を設定するのが望ましい。
【0030】もちろん、化学量論量より過剰の窒素化合
物を使用してもなんら差し支えないが、脂肪族アミン
塩、例えば硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩などの場合は、過剰
に使用してもさらに反応は進まず、したがって、得られ
る親油性モリブデン化合物も変化しないため、過剰の使
用は意味をなさない。これに対して、脂肪族アミンであ
る第一級、第二級及び第三級アミンの場合は、過剰に使
用していくとさらに反応が進み、得られる親油性モリブ
デン化合物の組成や構造が変化していく。すなわち、酸
塩基反応の化学量論に見合う量比関係までは、原料に使
用したヘテロポリモリブデン酸又はその金属塩のアニオ
ン組成が保たれる傾向にあるが、化学量論以上の過剰量
の脂肪族アミンを作用させるに伴い、アニオンの還元が
進んだり、元のアニオン組成が壊れて縮合比の下がった
組成に変化して複数の組成のものが存在するようにな
る。これに伴って、親油性モリブデン化合物も複数の化
合物が存在することになる。第三級脂肪族アミンを使用
した場合、さらに過剰のアミンを作用させても、ある段
階で反応が停止する傾向にあるが、第一級、第二級脂肪
族アミンを使用した場合、作用させるアミン量を増加さ
せるに伴い、元のアニオン組成よりも縮合比の下がった
ヘテロポリモリブデンアニオン組成や、ヘテロ原子を排
除したモリブデン酸アニオン組成の存在比率が逐次増加
していく傾向にある。
【0031】これらにおいて、炭素数10〜14程度の
短い脂肪族アミンを使用した場合などで、化学量論的な
使用割合では、アロマ系溶剤に易溶解するものの、パラ
フィン系溶剤に溶解しにくかったものが、より過剰量の
脂肪族アミンを作用させることによって、パラフィン系
溶剤にも易溶解するようになるなど、得られるモリブデ
ン化合物の親油性向上が認められる場合があり、このよ
うな場合には、脂肪族アミン量の過剰量の使用は望まし
い性状変化をもたらす。このようなことから、使用する
アミン量に厳密な上限値は存在しない。しかしながら、
あまり大過剰に加えても、もはや得られる親油性モリブ
デン化合物に好ましい変化は起こらないし、実用的でも
なくなるので、ヘテロポリモリブデンアニオンを構成す
るモリブデン原子単位当り、1分子程度のアミン使用量
までにしておくのが適当である。
【0032】なお、脂肪族窒素化合物として、一般式 (R)(R)(R)(R)N+- (IV) (式中のRは炭素数10〜46の脂肪族炭化水素基、
、R及びRはそれぞれ炭素数1〜46の脂肪族
炭化水素基、Xはハロゲンアニオンや水酸基アニオンな
どのアニオンである)で表わされる第四級アンモニウム
化合物を用いて製造すれば、一般式 [(R)(R)(R)(R)N]x[A] (V) (式中のR、R、R、R、x及びAは前記と同
じ意味をもつ)で表わされるモリブデン化合物を得るこ
とができる。この場合、脂肪族アミン塩を用いた場合と
同様、第四級アンモニウム化合物とヘテロポリ酸とが化
学量論的に酸塩基反応が進むとみなした量論関係で反応
が起こり、第四級アンモニウム化合物を過剰に使用して
もさらに反応は進まないため過剰の使用は意味をなさな
い。得られる第四級アンモニウムカチオンを有するモリ
ブデン化合物群の場合、炭化水素油に懸濁状態となる。
さらに、これらのモリブデン化合物群から選ばれた化合
物を水素化分解用懸濁触媒として用いた場合、脂肪族ア
ミノカチオン基を有する本発明のモリブデン化合物群に
比較してその触媒作用が劣る。
【0033】炭化水素油中でモリブデン化合物と窒素化
合物との反応により得られた親油性モリブデン化合物の
炭化水素油中での濃度については特に制限はないが、炭
化水素油量を軽減すれば製造設備の規模を小さくしうる
ことから、高濃度にするのが有利である。一方、炭化水
素油の流動性を保持して取り扱いやすくするためには低
濃度にするのが望ましい。したがって実際には、この両
者のバランスを考慮して、モリブデン化合物と窒素化合
物の種類、それらの量比関係、さらには、炭化水素油の
種類などに応じて適当な濃度を選ぶことが望ましく、通
常、親油性モリブデン化合物の炭化水素油中の濃度は、
モリブデン換算約1〜20重量%程度の濃度範囲から選
ぶのが適当である。
【0034】なお、炭化水素油として、水素化分解用炭
化水素原料油を使用し、かつ水素化分解工程においてそ
の場で(in situ)製造するような場合には、水
素化分解用添加化合物として使用する適切な希薄濃度の
状態で使用すればよい。
【0035】この親油性モリブデン化合物の製造におけ
る操作温度としては、該親油性モリブデン化合物を速く
形成させるには、室温(20℃)以上、好ましくは40
℃以上の温度を採用するのが有利である。操作温度の上
限は、使用する炭化水素油種の沸点や流動点を考慮して
設定すればよく、特に制限はないが、親油性モリブデン
化合物の濃縮液を製造する場合には、通常150℃以下
の温度を採用するのが実用的である。モリブデン化合物
を親水性媒体を用いた溶液で使用する場合などに、採用
する操作温度によっては、親水性媒体の蒸発が起こる
が、本発明においては、この親水性媒体が存在したまま
の状態であってもよいし、蒸発により除去された状態で
あってもよい。ただし、炭化水素油と均一溶液にならな
い親水性媒体を製品中に残存させておくことは無意味で
あり、また、貯蔵、輸送などの取り扱いの観点からも望
ましくないので、該親水性媒体を実質上除去しておくこ
とは実用的である。親水性媒体を除去する方法として
は、例えば蒸発分離法や比重差液液分離法を採用するこ
とができる。特定の第二級又は第三級アミンを使用し
て、炭化水素油中に溶解状態の親油性モリブデン化合物
を得るような場合には、使用する炭化水素油種、親水性
媒体種、親油性モリブデン化合物濃度などによって、炭
化水素油層が上層になったり下層になったりするが、比
重差による液液分離により親水性媒体の除去が容易に実
施できる。
【0036】このようにして得られた炭化水素油に高分
散懸濁状態又は溶液状態の親油性モリブデン化合物は、
製造に使用した炭化水素油中に存在する状態のままで、
さらには組成が異なる化合物が複数存在する状態のまま
で所望の濃度調節を行って使用に供することができる。
親油性モリブデン化合物の溶液は、ニュートン流体とし
ての挙動を示すが、親油性モリブデン化合物の懸濁液
は、非ニュートン流体としての挙動を示し、剪断速度の
増加に応じて見かけ粘度が減少していく挙動を示す。一
方、炭化水素油を蒸発除去して親油性モリブデン化合物
を分離して使用に供することもできるが、この場合はハ
ンドリング面で不利である。
【0037】炭化水素油に溶解する親油性モリブデン化
合物は、一般の油溶性金属石けんに見られる粘稠ガム状
形態を示し、X線回折スペクトルを測定しても、親水性
のヘテロポリ酸やその無機塩とは異なり、明確な回折パ
ターンを示さない。一方、炭化水素油に懸濁する親油性
モリブデン化合物は、走査型電子顕微鏡で観察すると厚
みが1μm以下のりん片状固形物形態を示す。例えば
[C1021NH33[PMo1240]の場合、平均
0.8μmの厚みであり、[C1225NH[PM
1240]の場合、平均0.2μmの厚みであり、[C
1633NH[PMo1240]の場合、平均0.0
5μmの厚みで観察される。
【0038】親油性モリブデン化合物を水素化分解用の
添加化合物として使用した場合、この親油性モリブデン
化合物は、いわゆる触媒前駆物質であり、水素化分解反
応開始前の予熱帯域、あるいは水素化分解反応帯域にお
いて、水素化分解用原料油に含まれるイオウ化合物、あ
るいは必要に応じて助剤成分として新たに加えたイオウ
化合物、さらには、これから生成してくる硫化水素ガス
などにより、高分散状態の硫化モリブデン様化合物に変
化して、触媒作用を発揮するものと推定される。一方、
タングステンをポリ原子とする多くのヘテロポリ酸化合
物も知られており、これらのタングステン化合物を用い
ても、本発明の製造法によってモリブデンと同様の親油
性タングステン化合物を得ることができる。しかしなが
ら、このものを水素化分解用添加化合物として用いた場
合には、水素化分解反応帯域で硫化タングステン様化合
物に変化しにくいため、モリブデンに比べて触媒作用が
著しく劣り、水素化分解用には使用することができな
い。しかし、この親油性タングステン化合物は、その親
油性状とヘテロポリ酸のもつ酸化性状とを生かすような
別用途、例えば相間移動型酸化触媒として利用すること
は可能と思われ、本発明の親油性モリブデン化合物も、
このような用途に利用できるものと思われる。
【0039】本発明における親油性モリブデン化合物の
赤外吸収スペクトルは、ヘテロポリモリブデンアニオン
について従来より知られている特徴的な吸収バンドと同
様の吸収バンドを示す。これらヘテロポリモリブデンア
ニオンに関する特徴的な吸収バンドについては、例えば
「スペクトロヒミカ・アクタ(Spectrochim
ica Acta)」第32A巻、第587ページ(1
976年)、「インオルガニック・ケミストリー(In
organic Chemistry)」第7巻、第4
73ページ(1968年)、同誌第17巻、第1115
ページ(1978年)、同誌第22巻、第207ページ
(1983年)、「ジャーナル・オブ・ケミカル・リサ
ーチ(s)(J.Chem.Research(s)」
第46ページ(1977年)などに記載されている。こ
れらの文献で、特徴的な吸収バンドとして、3種類のM
o−O結合による伸縮振動νas(Mo−Od)、νa
s(Mo−Ob−Mo)、νas(Mo−Oc−Mo)
と1種類のνas(X−Oa)が挙げられている(ここ
でOa;ヘテロ原子Xに結合している酸素原子、Ob;
異なるMo13ユニット2個間に架橋を形成してい
る酸素原子、Oc;1個のMo13ユニット内で架
橋を形成している酸素原子、Od;Mo原子1個のみに
結合している酸素原子)。これら伸縮振動に帰属される
吸収バンドの数値を具体的に示すと表1のようになる。
【0040】
【表1】
【0041】なお、記載数値を範囲で示してあるのは、
文献による差異、測定法による差異、ヘテロポリアニオ
ン種による差異、カチオン種による差異、含有結晶水に
よる差異などによって値が異なるためである。
【0042】本発明による親油性モリブデン化合物にお
いてもこれらの特徴的な吸収バンドを測定することがで
きる。特に、単一の構造を有したヘテロポリ酸若しくは
その金属塩を原料にして、脂肪族アミノ化合物と化学量
論的に反応を行わせて得た親油性モリブデン化合物の場
合には、前記した4種類の吸収バンドを明確に測定でき
る。しかしながら、化学量論量よりも有意に過剰の脂肪
族アミンを使用して得た親油性モリブデン化合物の場
合、還元がより進んだ化合物や、縮合比がより下がった
化合物や、さらには、ヘテロ原子を排除したモリブデン
酸化合物などの混合物になるため、さらには、過剰量の
脂肪族アミンの存在などもあり、4種類の吸収バンドの
識別が明らかでなくなる傾向にある。特にνas(Mo
−Ob−Mo)の吸収バンドが弱くなり、νas(Mo
−Oc−Mo)の吸収バンドなどに隠される傾向にな
る。
【0043】このように本発明における親油性モリブデ
ン化合物は、Mo−O伸縮振動に帰属できる赤外吸収バ
ンドを975〜900cm−1、895〜830cm
−1、830〜710cm−1のそれぞれの範囲内に認
めることができる。それぞれの範囲内の吸収バンドは必
ずしも1本ではなく、2本にスプリットしている場合も
ある。さらにMo−O伸縮振動に加えて、個々の化合物
が有するヘテロ原子(X)に由来するX−O伸縮振動を
個有の吸収バンドとして認めることができる。
【0044】本発明における親油性モリブデン化合物の
うち炭化水素油に溶解状態となる化合物の紫外可視吸収
スペクトルは、ヘテロポリモリブデンアニオンについて
従来より知られている特徴的な吸収ピークを示す。この
特徴的な吸収ピークは、2種類知られており、1つは、
λmaxが300〜400nmの範囲内に観測されるヘ
テロポリアニオンの黄色に由来する吸収ピークであり、
もう1つは、λmaxが650〜900nmの範囲内に
観測される還元状態ヘテロポリアニオンのいわゆるモリ
ブデンブルーと呼ばれている青色に由来する吸収ピーク
である。これらの吸収ピークは、ヘテロ原子の定量分析
に利用できるため従来から分析化学の分野でよく知られ
ており、例えば「分析化学便覧」(改訂3版、198
1)」(日本化学会編)に記載されている。参考に言え
ば、パラモリブデンアニオンなどのイソポリ酸アニオン
については、300〜900nmの範囲内に吸収ピーク
をもたない。
【0045】本発明における親油性モリブデン化合物
は、紫外吸収スペクトルにおいて、ヘテロポリモリブデ
ンアニオン組成に由来する300〜400nmの範囲内
のλmax又は650〜900nmの範囲内のλmax
あるいはその両方の吸収ピークをもつことで特徴づけら
れる。
【0046】また、ヘテロポリモリブデンアニオンのヘ
テロ原子がリン原子である炭化水素油に溶解状態となる
モリブデン化合物については、リン核磁気共鳴(31
−NMR)スペクトルを測定することができる。本発明
の製造法において原料となりうるリンモリブデン酸の水
溶液中の31P−NMRについては、これまでに知られ
ており、例えば「日本化学会誌」第514ページ(19
86年)、同誌第641ページ(1986年)などに記
載されている。これらによると、リンモリブデン酸に由
来する31Pシグナルは、単純酸であるリン酸の31
シグナルよりも高磁場(負)側に現われることが知られ
ている。本発明の親油性リンモリブデン化合物の31
シグナルについても、脂肪族アミンを使って合成したリ
ン酸化合物の31Pシグナルよりも高磁場(負)側に現
われ、相対的な関係は類似している。
【0047】代表的な単一組成のリンポリモリブデン酸
を原料に使用して、化学量論量の脂肪族アミノ化合物を
作用させて得た親油性モリブデン化合物の31Pシグナ
ルのケミカルシフト位置は、85重量%リン酸水溶液を
外部基準として5〜10重量%のトルエン溶液で測定す
ると表2のようになる。
【0048】
【表2】
【0049】リンモリブデン酸原料として、非還元体と
還元体とを共存させて使用した場合などでは、得られる
親油性モリブデン化合物もこれらに対応して複数になる
ので、31Pシグナルのケミカルシフト位置は、交換反応
によって中間的な位置に観測される。単一組成のリンモ
リブデン酸を原料に使用した場合でも、化学量論量以上
の脂肪族アミンを作用させて得た親油性モリブデン化合
物の場合には、複数の化合物種が存在するため前記した
交換反応に基づくシグナルや、化合物種の違いによるシ
グナル、例えば、部分分解Keggin型や部分分解D
awson型などに由来すると思われるシグナルなども
含まれて、シグナルの数も複数観測される。特定の脂肪
族アミンを大過剰使用してヘテロポリアニオン組成を完
全に分解してしまった親油性モリブデン化合物において
は、31P−NMRスペクトルにおけるシグナルは、リン
酸アニオンに由来する+4.0〜+2.5ppmのケミ
カルシフト範囲にしかシグナルを観測することができな
い。
【0050】このように、リンモリブデン酸アニオン基
を包含する親油性モリブデン化合物のトルエン溶液中の
31P−NMRスペクトルにおいては、85重量%リン
酸水溶液を外部基準として、+1.0〜−8.0ppm
のケミカルシフト位置に、1本又は、数本のシグナルを
認めることができる。
【0051】本発明における親油性モリブデン化合物の
脂肪族アミノカチオン基についての特徴として、プロト
ン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルによるシグナ
ルを挙げることができる。すなわち、脂肪族アミノカチ
オン基において窒素原子に隣接したメチレン基(N−C
−)に帰属されるプロトンシグナルのケミカルシフ
ト値δppmが、概そ3.2〜3.8ppmの範囲内で
測定することができることである。親油性モリブデン化
合物の製造において、対応する原料となりうる脂肪族ア
ミンの該メチレンプロトンのδppmは、概そ2.2〜
2.7ppmの範囲内にあり、脂肪族アミンの無機塩の
該メチレンプロトンのδppmは、概そ2.8〜3.2
ppmに測定できる。これらは、例えば、「ザ・サドラ
ー・ハンドブック・オブ・プロトンNMR・スペクトラ
(The Sadtler Handbook of
Proton NMR Spectra)」(SADT
LER SANYO)などの標準データ集にも記載され
ている。
【0052】また、イソポリ酸であるパラモリブデン酸
の脂肪族アミン塩の該メチレンプロトンのδppmは、
脂肪族アミンの無機塩と同じ領域である概そ2.8〜
3.2ppmの範囲で測定できる。これらのことより、
概そ3.2〜3.8ppmの範囲内で測定できる本発明
における親油性モリブデン化合物の該メチレンプロトン
のケミカルシフト値δppmは、対応する脂肪族アミン
や脂肪族アミンの無機塩、あるいはパラモリブデン酸の
脂肪族アミン塩の該メチレンプロトンのケミカルシフト
値であるδppm2.2〜3.2ppmの範囲に比べて
より高い位置に観測される傾向にある。このことより、
本発明における親油性モリブデン化合物の脂肪族アミノ
カチオン基とヘテロポリモリブデンアニオン基とが比較
的強く相互作用していることが推察できる。
【0053】親油性モリブデン化合物における該メチレ
ンプロトンのケミカルシフト値δppmは、脂肪族アミ
ノカチオン種やヘテロポリモリブデンアニオン種により
微妙に変化するが、一般には、脂肪族アミノカチオン種
の当量数がヘテロポリモリブデンアニオン種の当量数に
比して多い化合物ほど、δppmの値は下がってくる傾
向にある。このことからして、化学量論量よりも有意に
過剰の第一級アミンや第二級アミンを作用させて得られ
た、親油性モリブデン化合物の混合物中にヘテロ原子を
排除したモリブデン化合物を含む場合、あるいは、有意
に過剰の第三級アミンや過剰のアミンの無機塩を作用さ
せて得られた、親油性モリブデン化合物中に未反応のア
ミンやアミンの無機塩を含む場合、室温での測定ではδ
ppmとして指定した概そ3.2〜3.8ppmの範囲
を逸脱してより低い値となることがある。これは、ヘテ
ロポリモリブデンアニオンを有する親油性モリブデン化
合物群とイソポリモリブデン酸化合物、あるいは未反応
アミンや未反応アミン塩との間で交換反応が生じるため
と推察される。このような場合、交換反応を抑えるため
に低温、例えば−60℃以下程度に下げて測定すれば、
δppmとして概そ3.2〜3.8ppmの範囲にある
ヘテロポリモリブデンアニオンを有する親油性モリブデ
ン化合物群の該メチレンプロトンシグナルとその他のメ
チレンプロトンシグナルとに分離して測定することがで
きる。
【0054】本発明の親油性モリブデン化合物を使用す
ることによって、炭化水素の水素化分解処理が効果的に
実施できるが、原料の種類や沸点留分範囲、さらには水
素化分解条件などにより、もしも副生するコークスやア
スファルテン様の重縮合物質の一部が装置内に付着した
り沈着したりするコーキング現象が激しくて、水素化分
解装置の安定運転が実施しにくいような場合には、この
コーキング現象を抑制するために、ファインセラミック
ス粉体やカーボンブラック粉体などの微粉体を別種添加
剤として併用すればよい(米国特許第4,770,764
号明細書参照)。
【0055】本発明の親油性モリブデン化合物を用い
て、炭化水素の水素化分解処理を行う場合、該炭化水素
の種類については特に制限はなく、例えば原油、タール
サンド油、シェール油、石炭液化油などいずれも用いる
ことができるし、これらの蒸留分離成分である常圧残渣
油、減圧軽油、減圧残渣油なども使用することができ
る。また、実用的な水素化分解処理が困難とされている
重質炭化水素油、例えば減圧蒸留残渣油などを原料とし
て使用した場合に、分散方式で使用する本発明のモリブ
デン化合物の効果がより発揮できる。また、石炭液化に
適用する場合には、原料として石炭粉砕物と油との混合
スラリーが用いられ、これに、本発明のモリブデン化合
物が添加される。
【0056】原料に加えられる該親油性モリブデン化合
物の使用量はモリブデン化合物種、原料炭化水素の性
状、水素化分解の程度(すなわち、生成油の軽質度合や
性状改質度合)、水素化分解反応装置の型式などによっ
て左右されるが、水素化分解反応で副生するコークスや
アスファルテンのような重縮合物質の発生量が多い減圧
蒸留残渣油を原料に用い、該重縮合物の発生量を抑制す
ることを主目的にする場合は、通常、原料中にモリブデ
ン換算量として10〜500ppm(重量)、好ましく
は、10〜200ppm(重量)の範囲にあるように選
定すれば十分である。もちろん、水素化分解生成油への
有効な水素添加や脱ヘテロ原子などの所望の機能をより
促進して、生成油の性状をさらに改質するために、前記
の使用量よりもさらに増量して用いることは全く問題な
い。
【0057】モリブデン化合物を加えて混合した原料
は、水素若しくは水素含有気体と混合され、高温、高圧
下で水素化分解処理が施される。水素化分解処理条件
は、実用上反応装置をコンパクトにして単位処理量を大
きくするために、相対的に高温、短時間反応により高分
解する条件が採用できる。すなわち、反応温度は、45
0〜500℃の範囲で選ばれ、反応時間は、原料容量基
準で10分ないし5時間の範囲で選ばれる。水素化分解
処理は、水素若しくは水素含有気体中で実施されるが、
反応水素分圧として100〜250kg/cmの範囲
になるように昇圧するのが望ましい。また、水素若しく
は水素含有気体の供給量としては、使用する反応装置に
応じて気液混合が十分に行われるように配慮して供給す
るのが有利であるが、原料に対する水素量が200〜2
000Nm/kl程度になるように供給し、一般的に
は、消費した水素量(化学的水素消費量及び油中溶存水
素消費量)に見合う分だけ補給して循環使用する方法が
用いられる。ただし、これらの処理条件は、厳密なもの
ではなく、また、それぞれ単独に適正値をとるのではな
くて相互に関連することから、好適な条件の範囲は個々
の条件の組合せによって左右される。
【0058】水素化分解反応器の型式については懸濁触
媒反応を実施しうる型式のものであればよく、特に制限
はされず、例えば管型、塔型、槽型などを採用すること
ができ、通常、予熱領域と反応領域とから構成される。
水素化分解反応システムとしては、分解残渣油を全量系
外に排出するワンスルー反応システムや分解残渣油の少
なくとも一部を反応器にもどして循環作用するリサイク
ル反応システムが採用できる。
【0059】次に、本発明の親油性モリブデン化合物を
用いて、炭化水素原料の水素化分解反応を、流通装置系
により実施する好適な1例を添付図面に従って説明する
と、図1は該水素化分解反応を連続的に実施するための
流通装置系の1例の該略を示すフローシートであって、
反応装置系の主要構成域は、親油性モリブデン化合物と
原料重質炭化水素とを混合する原料調製域3、水素化分
解を実施する反応域(水素化分解域)6、反応生成物を
気相と液相とに分離する気液分離域8、分離された反応
生成油を沸点留分毎に分離する蒸留域12から成ってい
る。
【0060】まず、本発明の親油性モリブデン化合物を
管路1より、原料炭化水素を管路2よりそれぞれ導入
し、原料調製域3にて十分に混合する。得られた原料は
ポンプ昇圧されたのち、管路4にて、管路5から導入さ
れる圧縮機で昇圧された水素又は水素含有気体と混合さ
れる。それから、水素化分解域6に供給される。水素化
分解域6は、通常予熱領域と反応領域とから構成され
る。工業的スケールでの反応器型式としては、反応器内
流速が速くとれ、気/液/固の混合が十分に行われやす
い気泡流などのフローパターンが効率的に作れる管型反
応器型式が有利である。水素化分解域6からの流出流
は、管路7より取り出して、気液分離域8に通し、ここ
で、生成物を気相部と液相部とに分離する。分離した気
相部は、管路9により取り出し、必要に応じて軽質油や
望ましくないガス成分を分離したのち、水素含有ガスを
管路10を通して循環使用することができる。分離した
液相部は、管路11により取り出し、高圧を解除したの
ち、蒸留域12に通し、沸点範囲の差異により必要留分
毎に分離する。蒸留域12では、慣用的には、常圧蒸留
塔と減圧蒸留塔とを直列に並べた蒸留型式が採用でき、
例えば、軽質油留分(ナフサ、灯油など)、中間油留分
(軽油、減圧軽油など)、触媒や重縮合物質の固体を含
む残渣油とに分離することができる。
【0061】分離された軽質油留分や中間油留分の留出
油は、それぞれ管路13、14を通して軽質生成油とし
て取り出す。これら反応装置系から取り出された軽質生
成油は、そのまま、あるいは、必要ならば公知の水素化
精製装置によって精製され、石油中間製品や石油化学用
の原料などの用途に供することができる。一方、分離さ
れた残渣油は、管路15を通して取り出し、ボイラー燃
料油などに利用することができる。ワンスルー反応シス
テムではなく、リサイクル反応システムを採用する場合
は、残渣油の少なくとも一部を管路16を通して循環使
用する。
【0062】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではなく、また、各実施例において記載する組成
式はそれぞれの製造法において得られる代表的な化合物
を意味し、したがって該記載化合物以外の化合物種が存
在することもある。
【0063】なお、以下の実施例及び比較例中で使用さ
れるヘテロポリ酸及びその塩は、公知の方法によって合
成及び精製を行い、発光分析法による金属量測定、X線
回折法や核磁気共鳴法や赤外スペクトル法による構造解
析、熱分析法による分解パターン解析と結晶水量測定、
ポーラログラフ法による酸化還元電位測定などにより、
同定を行ったのち、使用に供した。脂肪族アミン及び脂
肪族アンモニウム化合物は、試薬又は工業製品を入手し
て使用に供した。
【0064】また、各分析は次のようにして行った。 (1)赤外吸収スペクトル Nicolet 60SX FT−IR分光光度計を用
いて測定した。有機溶剤に溶解状態にあるモリブデン化
合物については、モリブデン換算濃度として約3重量%
に調整した溶液をKBr板へ滴下し、風乾により薄膜と
した試料を、透過法で測定した。有機溶剤に懸濁状態に
あるモリブデン化合物については、有機溶剤を蒸発除去
した固体を、モリブデン換算濃度として約1重量%にな
るようにKBr粉体で希釈混合し、ペレットとした試料
を、拡散反射法で測定した。透過法の場合は、積算32
回、拡散反射法の場合は、積算100回を行い、120
0cm−1〜600cm−1の波数範囲で測定を行っ
た。
【0065】(2)紫外吸収スペクトル 島津製作所MPS−2000分光光度計を用いて、20
0〜800nmの波長範囲を測定した。トルエンに溶解
状態にあるモリブデン化合物については、さらにトルエ
ンで希釈して、モリブデン換算濃度約60ppmになる
ように調整した試料を測定した。トルエン以外の有機溶
剤に溶解状態にあるモリブデン化合物については、有機
溶剤を蒸発除去したのち、トルエンにモリブデン換算濃
度約60ppmになるように調整した溶液を試料にして
測定した。
【0066】(3)31P核磁気共鳴スペクトル JEOL FX−200多核核磁気共鳴装置を用いて測
定した。トルエンに溶解状態にあるモリブデン化合物に
ついては、さらにトルエンで希釈して、モリブデン換算
濃度として約5重量%に調整した。一方、トルエン以外
の有機溶剤に溶解状態にあるモリブデン化合物について
は、有機溶剤を蒸発除去した固体をトルエンに溶解し
て、モリブデン換算濃度として約5重量%に調整した。
このようにして得られた試料を外径10mmの試料管に
入れ、外部基準となる85重量%リン酸水溶液を封入し
たガラス細管を試料管の中央に設置して、積算1000
回を行って測定した。
【0067】(4)H核磁気共鳴スペクトル JEOL JNM−PMX60プロトン核磁気共鳴装置
を用いて測定した。有機溶剤に溶解状態にあるモリブデ
ン化合物から有機溶剤を蒸発除去し、得られた固体を重
クロロホルムにモリブデン化合物濃度10重量%になる
ように調整した。このようにして得られた試料を、TM
S(テトラメチルシラン)を内部基準物質として用いて
測定した。
【0068】実施例1 ヘテロポリ酸としてH[PMo1240292O 30
gを脱イオン水120gに加えて溶解させることにより
20wt%水溶液を作成した。別途、炭化水素油として
トルエン200gを80℃に加熱し、ステアリルアミン
1837NH10gを加えて分散液を得た。この分散
液に、前記水溶液全量を加えて高速かくはん機[タービ
ン(径28mm)とステーターの間のクリアランス
(0.4mm)を流体が通過するとき、高剪断力をかけ
ることができる分散機]により、回転数10000rp
m、周速16m/s、タービン吐出量33l/minの
条件で15分かきまぜて混合した。なお、この実施例に
おいてヘテロポリ酸に対するアミンのモル比は約3であ
る。懸濁液は、重油で希釈して蛍光X線法によるモリブ
デン測定を行った結果、4.1wt%のモリブデン濃度
であった。また、懸濁液0.5gをヘキサン50g(上
相)、水50g(下相)混合液に分散したところ、全量
ヘキサン層に分散し、水層には、モリブデンが検出され
なかった。このことから生成したモリブデン化合物は親
油性であることが分かる。
【0069】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物のIRスペクトルを測定したところ、ヘテロポリ
モリブデンアニオンに由来する特徴的な吸収バンドとし
て1055cm-1(m)[νas(X−Oa)、95
9cm-1(s)[νas(Mo−Od)、848cm
-1(m)[νas(Mo−Ob−Mo)、784cm-1
(s)[νas(Mo−Oc−Mo)の4本のピークが
認められた。
【0070】この親油性モリブデン化合物の代表的なも
のの組成式は[C1837NH[PMo
1240]である。
【0071】なお、以下の実施例において記載してある
IRスペクトルの吸収バンドの波数は、実施例1と同様
に、ヘテロポリモリブデンアニオンに特徴的な吸収バン
ドであるMo−O結合による伸縮振動及びX(ヘテロ原
子)−O結合による伸縮振動に帰属される波数を示す。
【0072】実施例2〜6 ヘテロポリ酸の溶液とアミンとを表3に示すものを使用
した以外は、実施例1と同様に実施して、懸濁液を得
た。なお、これら懸濁液中のモリブデン濃度についての
測定結果及び生成物の組成とIRスペクトルの特性吸収
を表3に示した。
【0073】
【表3】
【0074】実施例7 ヘテロポリ酸としてH[CeMo1242]・18
O100gを脱イオン水100gに加えて溶解させ
ることにより、50wt%水溶液を作製した。別途、炭
化水素油として、中東産カフジの減圧残渣油[沸点52
0℃以上の留分95.0wt%、密度1.044(15
℃)、動粘度100st(100℃)、硫黄分5.03
wt%、窒素分0.30wt%]600gを80℃に加
熱し保温した。この残渣油に第一級アミンとしてトリア
コンチルアミンC3061NH190gを加えて分散液
を得た。この分散液に、前記水溶液全量を加えて、実施
例1に記載したのと同じ高速かくはん機と操作条件で1
時間かきまぜて混合した。かきまぜて混合操作中、かく
はん熱と加熱とにより水分蒸発を行い、操作終了後の液
温を150℃に到達させた。なお、この実施例において
ヘテロポリ酸に対するアミンのモル比は約10である。
得られた懸濁液を重油で希釈して蛍光X線法によるモリ
ブデン測定を行った結果、5.7wt%であった。ま
た、カールフィシャー法により水分含有量を測定したと
ころ、0.1wt%未満であった。
【0075】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物の代表的なものの組成式は[C3061
[CeMo1242]である。
【0076】実施例8〜10 表4に示すヘテロポリ酸の溶液とアミンを使用した以外
は、実施例7と同様に実施して、懸濁液を得た。これら
懸濁液中のモリブデン濃度についての測定結果及び各実
施例で得られたそれぞれの親油性モリブデン化合物の代
表的なものの組成式を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】実施例11 脱イオン水500gとイソプロピルアルコール300g
とから成る液に、三酸化モリブデン粉体MoO180
gとリン酸水溶液(75wt%濃度)18gとを加え
て、80℃、6時間の反応条件で、H[PMo12
40]で示されるモリブデン化合物の水溶液を調製した
のち、蒸留操作によりイソプロピルアルコール、水の混
合液を除去し、モリブデン溶液の濃縮を行った。得られ
た溶液から0.5g程度の微量の不溶物を取り除くため
濾紙JIS5−Cを用いて濾過し、濾液を得た。発光光
度分析法による濾液中のモリブデン濃度は17.0wt
%であった。別途、炭化水素油としてトルエン200g
を80℃に加熱し、これに第一級アミンとして、エイコ
シルアミンC2041NH18gを加えて分散液を
得た。この分散液に、前記濾液100gを流し込んで、
実施例1に記載したのと同じ高速かくはん機と操作条件
により混合した。なお、この実施例においてヘテロポリ
酸に対するアミンのモル比は約4である。懸濁液は、重
油で希釈して蛍光X線法によるモリブデン測定を行った
結果、5.3wt%のモリブデン濃度であった。
【0079】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物のIRスペクトルでの値は、1055(m)、9
51(s)、860(m)、789(s)cm−1であ
り、その代表的なものの組成式は[C2041
[PMo1240],[C2041
[PMo1862]である。
【0080】実施例12 ヘテロポリ酸としてH[PMo1240]29H
O50gを脱イオン水150gに加えて溶解させること
により25wt%水溶液を作製した。別途、炭化水素油
としてトルエン300gを80℃に加熱し、これに第二
級アミンとしてジデシルアミン(C1021NH
38gを加えて分散液を得た。この分散液に、前記水溶
液全量を流し込んで、翼径45mmの三枚翼を有する定
速かくはん機により、回転数800rpmで、1時間か
きまぜた。かきまぜ操作中、液温80℃にて温調し、凝
縮器で液蒸発飛散を防いだ。なお、この反応においてヘ
テロポリ酸に対するアミンのモル比は約6である。かき
まぜ終了後、得られた液は2時間静置して、上層にトル
エン溶液、下層に水溶液の2層の液に分離した。上層の
トルエン溶液を分取することにより、モリブデン化合物
溶液を得た。蛍光X線法によるトルエン溶液中のモリブ
デン濃度は、6.5wt%であり、一方、発光分析法に
よる水溶液中のモリブデン濃度は60ppmであった。
このことから、モリブデンは水溶液中からトルエン溶液
中に定量的に移行していることが確認できた。
【0081】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物のIR、UV、H−NMR、31P−NMRの
分析値は次のようであった。 IR;1055(m),954(s),784(s)c
−1 UV;310(s),700(m)nm, H−NMR;3.4ppm31 P−NMR;+0.2(m),−1.2(s),−
3.5(s)ppm なお、H−NMRの値はアミンの窒素に隣接するメチ
レン水素(N−CH−)のケミカルシフト値δppm
のみを示す。
【0082】以下の実施例において記載するH−NM
Rのスペクトルの値もN−CH−に由来するδppm
を示す。
【0083】また、トルエン溶媒除去後のモリブデン化
合物のX線回折測定を行った結果を図2(イ)に示す。
図2(イ)により明らかなように明確なX線回折パター
ンは確認できなかった。比較のために、リンモリブデン
酸アンモニウム(NH[PMo1240]のX
線回折パターンを図2(ロ)に示す。
【0084】この実施例で得られた親油性モリブデン化
合物の代表的なものの組成は [(C1021NH[PMo
1240],[(C1021NH[PM
1240],[(C1021NH[P
Mo31(OH],[(C1021
[PMo1862]である。
【0085】実施例13〜23 ヘテロポリ酸としてH[PMo1240]・29H
Oの25wt%水溶液を用い、これを表5に示すアミ
ンと表5に示す炭化水素溶剤中で、実施例12と同様に
して反応させ、モリブデン溶液を得た。この際の反応温
度は、トルエンを用いた場合は80℃、シクロヘキサン
を用いた場合は70℃、ヘキサンを用いた場合は60℃
であった。
【0086】なお、実施例15及び19の場合は上層が
水溶液、下層が有機層となったが、それ以外の実施例で
は実施例12と同様、上層が有機層、下層が水溶液層に
分かれた。このようにして、得られた炭化水素溶液中の
モリブデン濃度を表5に示す。
【0087】
【表5】
【0088】また、このようにして得たモリブデン化合
物の組成式及び同定データを表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】さらに、実施例15の生成物のIRスペク
トルを図3、UVスペクトルを図4、H−NMRスペ
クトルを図5、31P−NMRスペクトルを図6に、実
施例17の生成物のIRスペクトルを図7、UVスペク
トルを図8、H−NMRスペクトルを図9、31P−
NMRスペクトルを図10に、実施例20の生成物の常
温におけるH−NMRスペクトルを図11に、N−C
−由来のプロトンの温度変化NMRスペクトルを図
12にそれぞれ示す。
【0091】なお、実施例15〜18のモリブデン化合
物について、過マンガン酸カリウム法による酸化還元滴
定を行ったところ、原料ヘテロポリ酸1モル当り実施例
15では0.1電子、実施例16では1.0電子、実施
例17では1.8電子、実施例18では0.6電子それ
ぞれ還元された状態にあることが分かった。
【0092】実施例24〜35 表7に示すヘテロポリ酸、アミン及び炭化水素溶剤を、
表7に示す量で使用し、実施例12と同様に操作して、
炭化水素溶剤溶液としてモリブデン化合物を得た。この
際の反応温度としては、溶剤がトルエンの場合は80
℃、シクロヘキサンの場合は70℃、ヘキサンの場合は
60℃を用いた。いずれの実施例においても上層に有機
層、下層に水溶液層が分離した。このようにして得られ
た炭化水素溶液中のモリブデン濃度を表7に示す。
【0093】
【表7】
【0094】また、このようにして得たモリブデン化合
物の組成式及び同定データを表8に示す。
【0095】
【表8】
【0096】さらに、実施例26の生成物のUVスペク
トルを図13、31P−NMRスペクトルを図14に、
実施例30の生成物のIRスペクトルを図17、UVス
ペクトルを図18、H−NMRスペクトルを図19
に、実施例31の生成物のIRスペクトルを図20、U
Vスペクトルを図21にそれぞれ示す。
【0097】実施例36 炭化水素油として、トルエン300gを80℃に加熱
し、これに、第二級アミンとしてジオレイルアミン(C
1835NH33gを加えて分散液を得た。この
分散液にヘテロポリ酸としてH[PMo1240
29HO50gを添加し、実施例12に記載したのと
同じ定速かくはん機と操作条件によりかきまぜ操作を行
った。かきまぜ操作終了後、2時間の静置により、溶液
はトルエン相と原料中にあったヘテロポリ酸の結晶水に
由来する水の相の2相に分離した。蛍光X線法によるト
ルエン溶液中のモリブデン濃度は6.6wt%であっ
た。このようにして得られた親油性モリブデン化合物の
IR、UV、H−NMR、31P−NMRの分析値は
次のようであった。 IR;1055(m),959(s),848(m),
784(s)cm-1 UV;310(s),700(w)nm, H−NMR;3.5ppm31 P−NMR;−1.5(s)ppm
【0098】また、この親油性モリブデン化合物の代表
的なものの組成は[(C1835NH[PMo
1240]である。
【0099】実施例37 脱イオン水500gとイソプロピルアルコール300g
とから成る液に、三酸化モリブデン粉体MoO180
gとリン酸水溶液(75wt%濃度)18gとを加え
て、80℃、6時間の反応条件で、モリブデン化合物の
水溶液を調製したのち、蒸留操作によりイソプロピルア
ルコール、水の混合液を除去し、モリブデン溶液の濃縮
を行った。得られた溶液から0.5g程度の微量の不溶
物を取り除くためフィルター濾過操作を行って、濾液を
得た。発光光度分析法による濾液中のモリブデン濃度は
17.0wt%であった。別途、炭化水素油としてトル
エン300gを80℃に加熱し、これに第二級アミンと
して、ジドコセニルアミン(C2243NH56
gを加えて分散液を得た。この分散液に、前記濾液15
0gを流し込んで、実施例12に記載したのと同じ定速
かくはん機と操作条件によりかきまぜ操作を行った。か
きまぜ操作終了後、2時間の静置により、溶液はトルエ
ン相と水溶液相の2相に分離した。蛍光X線法によるト
ルエン溶液中のモリブデン濃度は6.4wt%であり、
一方、発光分析法による水溶液中のモリブデン濃度は、
80ppmであった。また、ガスクロマトグラフ法によ
りトルエン溶液中のイソプロピルアルコール濃度を測定
したところ、1.0wt%であり、カールフィシャー法
によりトルエン溶液中の水分濃度を測定したところ、
0.8wt%であった。
【0100】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物についてのIR、UV、H−NMR、31P−
NMRの分析値は次のようであった。 IR;1055(m),951(s),860(m),
789(s)cm-1 UV;310(s)nm H−NMR;3.3ppm31 P−NMR;−1.5(s)ppm
【0101】この親油性モリブデン化合物の代表的なも
のの組成は[(C2243NH[PMo
1240],[(C2243NH6[P
Mo1862]である。
【0102】実施例38 アミンについて、トリオレイルアミン(C1835
N68gを使用して実施例37と同様に実施して、ト
ルエンに溶解状態のモリブデン溶液を得た。蛍光X線法
によるトルエン溶液中のモリブデン濃度は6.2wt%
であった。
【0103】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物のIR、UV、H−NMR、31P−NMRの
分析値は次のようであった。 IR;1055(m),951(s),860(m),
789(s)cm-1 UV;310(s)nm H−NMR;3.3ppm31 P−NMR;−1.6(s)ppm
【0104】この親油性モリブデン化合物の代表的なも
のの組成は[(C1835NH][PMo12
40],[(C1835NH][PMo18
62]であった。
【0105】実施例39 脱イオン水120gと硝酸(60〜62wt%濃度)8
8gとから成る液にモリブデン酸ナトリウムNaMo
・2HO75gとリン酸水溶液(85wt%濃
度)3gとを加えて水溶液を作製した。別途、炭化水素
油としてトルエン300gを80℃に加熱し、これに、
第二級アミンとしてジオレイルアミン(C1835
NH53gを加えて分散液を得た。この分散液に前記
水溶液全量を流し込んで実施例12に記載したのと同じ
定速かくはん機と操作条件によりかきまぜ操作を行っ
た。かきまぜ操作終了後、2時間の静置により、溶液は
トルエン相と水溶液相の2相に分離した。蛍光X線法に
よるトルエン溶液中のモリブデン濃度は7.4wt%で
あり、一方、発光分析法による水溶液中のモリブデン濃
度は、60ppmであった。
【0106】このようにして得られた親油性モリブデン
化合物についてのIR、UV、H−NMR、31P−
NMRの分析値は次のようであった。 IR;1055(m),959(s),848(m),
784(s)cm-1 UV;310(s)nm H−NMR;3.4ppm31 P−NMR;−2.6(s)ppm
【0107】この親油性モリブデン化合物の代表的なも
のの組成は[(C1835NH[PMo
1240],[(C1835NH][P
1862]である。
【0108】比較例1〜10 比較例1〜8は、ヘテロポリ酸の水溶液とアミンとを表
9に示すものを使用して実施例7と同様に実施し、懸濁
状態の添加剤を得た。
【0109】比較例9、10は、ヘテロポリ酸の水溶液
とアミンとを表9に示すものを使用して実施例12と同
様に実施し、溶液状態の添加剤を得た。
【0110】なお、これらの比較添加剤中のモリブデン
又はタングステン濃度についての測定結果も表9に記載
する。
【0111】
【表9】
【0112】応用例1 反応装置として、外部加熱コイルヒーターを有する内容
積1リットルのSUS316ステンレス鋼製電磁かくは
ん式オートクレーブを用い、原料油として、実施例7に
記載したのと同じ中東産カフジ原油の減圧残渣油を用
い、これに実施例1〜10で得た生成物を添加して、回
分実験を行った。オートクレーブ中に原料油と添加剤を
合わせて200g仕込んだ。添加剤の仕込み量が、原料
油中で、モリブデン換算濃度として150ppmWにな
るように分取して仕込んだ。オートクレーブ内を水素で
加圧して室温で140kg/cm2にし、密閉したの
ち、気液接触と流体混合のために、回転数1000rp
mでかきあげ式プロペラ羽根を有するかくはん機により
かきまぜながら、内温460℃で60分間反応を行っ
た。反応時間60分間は、反応温度460℃に到達して
から、その温度に保持した時間とし、昇温(昇温速度約
6℃/min)及び降温(降温速度15℃/min)に
要した時間の補償は加味しなかった。反応後の生成物
は、気体及び懸濁液とも全量回収して分析に供した。ガ
ス成分はガスクロマトグラフィー分析により、生成油は
ASTM D−1160に準拠して蒸留装置での蒸留分
析により、重縮合物質は溶剤抽出分析により、それぞれ
行った。
【0113】なお、水素化分解率、すなわち原料油が軽
質化した程度は式
【数1】 に従って求めた。
【0114】また、アスファルテンは、ヘキサン抽出に
不溶でテトラヒドロフラン抽出に溶解する重縮合物質と
して定義し、コークは、テトラヒドロフラン抽出に不溶
の重縮合物質として定義した。オートクレーブ内壁コー
キング有無は、生成物取り出し後、容器内壁やかくはん
機や内温測定用熱電対保護管に、機械的力によって削り
取らないととれない程度に強く固着している固形物の存
在有無を確認することによって判断した。
【0115】
【表10】
【0116】応用例2 実施例11〜20で得た生成物を添加剤として用い、応
用例1と同様にして、中東産カフジ原油の減圧残渣油の
水素化分解を行った。得られた結果を表11に示す。
【0117】
【表11】
【0118】応用例3 実施例21〜32で得た生成物を添加剤として用い、応
用例1と同様にして中東産カフジ原油の減圧残渣油の水
素化分解を行った。得られた結果を表12に示す。
【0119】
【表12】
【0120】応用例4 実施例33〜39で得た生成物を添加剤として用い、応
用例1と同様にして中東産カフジ原油の減圧残渣油の水
素化分解を行った。得られた結果を表13に示す。
【0121】
【表13】
【0122】応用例5 反応装置として、内径3mm、長さ5mのスパイラル状
パイプから成る予熱器と、内径21mm、高さ2.5m
の気液上昇流空塔反応器を有する高圧反応装置一式と、
窒素ガス吹き込みにより留分分離できる内径36mm、
高さ3mのフラッシャーを有する蒸留装置一式とから成
る316ステンレス鋼製流通装置を用いて、連続実験を
行った。
【0123】原料油としては、オートクレーブ実験に用
いたのと同じ中東産カフジ原油の減圧残渣油を使用し
た。
【0124】これに、乾式製造法シリカ微粉末(電子顕
微鏡による平均一次粒子径16nm、BET法による比
表面積200m/g)を0.8wt%になるように加
えて浸せきさせ、さらに、実施例15及び16で得られ
た生成物を添加剤として、それぞれモリブデン換算量1
50ppmWになるように加えた。
【0125】この混合油をプロペラ型3枚羽根かくはん
機を用いて500rpmの回転数で十分に混合し、水素
化分解に供した。
【0126】いずれの応用例も、反応条件としては、温
度485℃、混合油容積供給量ベースでの滞留時間30
分、圧力200kg/cm、水素/混合油容積比10
00Nリットル/リットルを採用して、ワンスルー反応
により200時間の連続運転を行った。滞留時間(t)
は t=V/V×60で定義する。ここでVは反
応器の容積(l)、Vは混合油の通油量(l/hr)
である。運転中、反応器をはじめ流通装置のいかなる場
所においても閉塞現象を起こすことなく安定的に運転を
実施することができた。得られた生成物の分析による水
素化分解処理結果を表14に示す。
【0127】
【表14】
【0128】応用例6 反応装置として、応用例5に記した流通装置において、
フラッシャー塔底油の一部が原料混合油と混和されて反
応器に供給できる循環工程を設けた装置を用いて、連続
実験を実施した。
【0129】原料油としては、前記した中東産カフジ原
油の減圧残渣油を使用した。これに、オイルファーネス
製造法カーボンブラック微粉末(電子顕微鏡による平均
一次粒子径20nm、BET法による比表面積130m
/g)を0.3wt%になるように加えて浸せきさ
せ、十分混合した。さらに、実施例26及び31で得ら
れた生成物を添加剤として、それぞれモリブデン換算量
40ppmWになるように加えて水素化分解反応に供し
た。
【0130】いずれの水素化分解反応条件も、温度47
8℃、混合油容積供給量ベースでの滞留時間30分、圧
力200kg/cm2、水素/混合油容積比1000N
リットル/リットル、リサイクル比(循環油/原料混合
油 重量比)0.4を、さらに、フラッシャーでの留分
カット温度条件としては520℃を、それぞれ採用し
て、リサイクル反応により200時間の連続運転を行っ
た。運転中、反応器をはじめ流通装置のいかなる場所に
おいても閉塞現象を起こすことなく安定的に運転を実施
することができた。結果を表15に示す。
【0131】
【表15】
【0132】比較応用例 比較例1〜10で得た生成物を添加剤として用い、応用
例1と同様にして中東産カフジ原油の減圧残渣油の水素
化分解を行った。得られた結果を表16に示す。
【0133】
【表16】
【0134】
【発明の効果】本発明は、新規な親油性モリブデン化合
物であって、従来のモリブデン化合物は疎油性のため炭
化水素の水素化分解触媒として用いる際、原料油に均質
に混合させることが困難であったのに対し、容易に原料
油と混合することができ、しかも水素化分解反応に際
し、その場で優れた触媒効果を奏する物質に変化すると
いう利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の親油性モリブデン化合物を用いて、
炭化水素原料の水素化分解反応を連続的に実施するため
の流通装置系の1例の概略を示すフローシート。
【図2】 X線回折スペクトル図で、(イ)は実施例1
2で得られた親油性モリブデン化合物のX線回折スペク
トル図、(ロ)は比較例としてのリンモリブデン酸アン
モニウム(NH[PMo1240]のスペクト
ル図。
【図3】 実施例15で得られた親油性モリブデン化合
物のIRスペクトル図。
【図4】 実施例15で得られた親油性モリブデン化合
物のUVスペクトル図。
【図5】 実施例15で得られた親油性モリブデン化合
物のH−NMRスペクトル図。
【図6】 実施例15で得られた親油性モリブデン化合
物の31P−NMRスペクトル図。
【図7】 実施例17で得られた親油性モリブデン化合
物のIRスペクトル図。
【図8】 実施例17で得られた親油性モリブデン化合
物のUVスペクトル図。
【図9】 実施例17で得られた親油性モリブデン化合
物のH−NMRスペクトル図。
【図10】 実施例17で得られた親油性モリブデン化
合物の31P−NMRスペクトル図。
【図11】 実施例20で得られた親油性モリブデン化
合物のH−NMRスペクトル図。
【図12】 実施例20で得られた親油性モリブデン化
合物のN−CH−プロトンの温度変化H−NMRス
ペクトル図。
【図13】 実施例26で得られた親油性モリブデン化
合物のUVスペクトル図。
【図14】 実施例26で得られた親油性モリブデン化
合物の31P−NMRスペクトル図。
【図15】 実施例28で得られた親油性モリブデン化
合物のUVスペクトル図。
【図16】 実施例28で得られた親油性モリブデン化
合物の31P−NMRスペクトル図。
【図17】 実施例30で得られた親油性モリブデン化
合物のIRスペクトル図。
【図18】 実施例30で得られた親油性モリブデン化
合物のUVスペクトル図。
【図19】 実施例30で得られた親油性モリブデン化
合物のH−NMRスペクトル図。
【図20】 実施例31で得られた親油性モリブデン化
合物のIRスペクトル図。
【図21】 実施例31で得られた親油性モリブデン化
合物のUVスペクトル図。
【符号の説明】
1 管路 2 管路 3 原料調製域 4 管路 5 管路 6 水素化分解域 7 管路 8 気液分離域 9 管路 10 管路 11 管路 12 蒸留域 13 管路 14 管路 15 管路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−51243(JP,A) 特開 昭56−10592(JP,A) 特表 昭56−500740(JP,A) 特表 昭61−501632(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 11/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 [(R1)(R2)(R3)NH]xHy[A] (式中のR1は炭素数10〜46の脂肪族炭化水素基、
    2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜46の脂
    肪族炭化水素基、Aはヘテロ原子がリン、ヒ素、ケイ
    素、ゲルマニウム、マンガン、コバルト、ニッケル又は
    セリウムであり、ポリ原子としてモリブデン原子を、そ
    の数の総ポリ原子数に対する割合が0.7以上である範
    囲で含むヘテロポリアニオン基、xは3〜14の整数、
    yは0又は1〜11の整数である)で表わされる親油性
    モリブデン化合物。
  2. 【請求項2】 一般式 (R1)(R2)(R3)N (式中のR1は炭素数10〜46の脂肪族炭化水素基、
    2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜46の脂
    肪族炭化水素基である)で表わされる脂肪族アミン又は
    その塩と、一般式 HxA (式中のAはヘテロ原子がリン、ヒ素、ケイ素、ゲルマ
    ニウム、マンガン、コバルト、ニッケル又はセリウムで
    あり、ポリ原子としてモリブデン原子を、その数の総ポ
    リ原子数に対する割合が0.7以上である範囲で含むヘ
    テロポリアニオン基、xは3〜14の整数である)で表
    わされるヘテロポリ酸又はその金属塩とを炭化水素油中
    で反応させることを特徴とする請求項1記載の親油性モ
    リブデン化合物の製造方法。
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