JP5048035B2 - 防錆油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は防錆油組成物に関する。
ぶりき原板等のめっき処理前の鋼板を用いてめっき鋼板を製造する分野などで使用される防錆油には、防錆性、脱脂性などの特性に優れること、環境に対する負荷が低いことが求められる。
より具体的には、例えば鋼板は、極少量の防錆油が塗布された後、積み重ねて保管又は搬送されることがあるため、使用される防錆油には、積み重ね時の重なり合う部分において優れた防錆性を示すことが求められる。
また、例えば錫めっき、クロムめっき、亜鉛めっきなどのめっき処理を行う場合には、めっき処理に供される鋼板は完全に脱脂されていることが重要である。したがって、防錆油には、脱脂する際に使用されるアルカリ性水溶液などの脱脂液に対して、高い脱脂性を有することが求められる。
さらに、近年の排水規制の強化に伴い、脱脂後の脱脂液には、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、有機窒素化合物含有量などを遵守するよう排水処理することが必要となっている。したがって、防錆油には、脱脂後の脱脂液が容易に排水規制をクリアできるようなものであることが望まれる。
そこで、上記の要求特性を具備する防錆油を実現すべく様々な検討がなされており、ジオクチルセバケート等のエステル油を主体とする防錆油、2−エチルヘキサン酸と低分子量アミン(n−ブチルアミン等)との塩を含む防錆油などの使用が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開昭62−1891号公報 特開昭63−137185号公報
しかし、上記従来の防錆油であっても、防錆性の点で必ずしも十分とはいえず、また、
防錆性以外の特性の点で一長一短があるため、全ての特性をバランスよく達成するために
は未だ改善の余地がある。例えば、ジオクチルセバケート等のエステル油を主体とする防
錆油の場合、鋼板の積み重ね時の防錆性などが不十分となりやすい。また、2−エチルヘ
キサン酸と低分子量アミンとの塩を含む防錆油の場合には、脱脂後の排水処理性などが不
十分となりやすく、また、その製造コストが高いという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、防錆性に優れ、積み重ねた鋼
板などの錆の発生を十分に防止することができると共に、脱脂性、脱脂後の排水処理性、
にも優れる防錆油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の防錆油組成物は、組成物全量基準で、総不飽和度
が0.3以下である植物油20〜70質量%と、脂肪酸とアミンとの塩であって脂肪酸の炭素数とアミンとの炭素数の合計が16〜40である脂肪酸アミン塩0.5〜40質量%と、下記一般式(1)で表される化合物0.5〜6質量%と、を含有することを特徴とする。
(R−N−[(RO)−H] (1)
[式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基
を表し、a及びcはそれぞれ1又は2であって、a+c=3で表される条件を満たし、b
は1〜6の整数を表す。]
一般式(1)中、Rがシクロアルキル基であり、Rがエチレン基であり、aが1であり、bが1であり、cが2であることが好ましい。
このように、植物油と上記特定の脂肪酸アミン塩とを組み合わせて用い、また、それぞれの含有量を特定範囲内とすることで、防錆性、脱脂性及び脱脂後の排水処理性の全てを高水準でバランスよく達成することができるようになる。したがって、本発明により、積み重ねた鋼板などにおける錆の発生を十分に防止することができ、脱脂処理後には油分を十分に除去することができ、更には脱脂後の排水処理性を向上させて環境負荷を十分に低減することができる防錆油組成物が実現可能となる。
また、本発明の防錆油組成物は、高い安全性を有し、人体又は生態系に及ぼす影響が小さいものであるため、食品用缶詰の材料として用いられる鋼板などの防錆剤として非常に有用である。
また、本発明の防錆油組成物は、めっき処理前の鋼板の防錆処理に好適に用いられる。
本発明の防錆油組成物によれば、防錆性に優れ、積み重ねた鋼板などの錆の発生を十分に防止することができると共に、脱脂性、脱脂後の排水処理性、にも優れる防錆油組成物が提供可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の防錆油組成物は、組成物全量基準で、(A)植物油20〜70質量%と、(B)脂肪酸とアミンとの塩であって脂肪酸の炭素数とアミンとの炭素数の合計が16〜40である脂肪酸アミン塩(以下、場合により単に「脂肪酸アミン塩」という)0.5〜40質量%と、を含有する。
(A)植物油としては任意のものが使用可能であるが、具体的には、パーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、サンフラワー油、トウモロコシ油、並びに品種改良や遺伝子組換操作などにより植物油のグリセリドを構成する脂肪酸におけるオレイン酸の含有量が高められたハイオレイック菜種油、ハイオレイックサンフラワー油、ハイオレイック大豆油などが挙げられる。
これらの中でも、低温貯蔵安定性の点から、(A)植物油中のグリセリドを構成する脂肪酸(以下、「構成脂肪酸」という)中のオレイン酸含有量が高められた植物油が好ましく、構成脂肪酸中のオレイン酸含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、構成脂肪酸中のオレイン酸含有量は、酸化安定性の点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明に係る植物油の構成脂肪酸中のオレイン酸の割合や、後述するリノール酸等の割合は、日本油化学会制定の基準油脂分析法2.4.2項「脂肪酸組成」に準拠して測定されるものである。
また、構成脂肪酸のうち、オレイン酸以外の脂肪酸としては、低温貯蔵安定性及び酸化安定性を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは炭素数6〜24の脂肪酸である。炭素数6〜24の脂肪酸としては、飽和脂肪酸でもよく、不飽和結合を1〜5個有する不飽和脂肪酸でもよい。また、当該脂肪酸は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。さらに、分子内にカルボキシル基(−COOH)以外に水酸基(−OH)を1〜3個有していてもよい。このような脂肪酸としては、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、エルシン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキドン酸、クルバドン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、低温貯蔵安定性と酸化安定性との両立の点で、リノール酸が好ましく、トリエステルを構成する脂肪酸の1〜60質量%(より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%)がリノール酸であることがより好ましい。
更に、(A)植物油においては、防錆性と酸化安定性との両立の点で、構成脂肪酸中の0.1〜20質量%(より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%)が炭素数6〜16の脂肪酸であることが好ましい。炭素数6〜16の脂肪酸の割合が0.1質量%未満であると防錆性が低下する傾向にあり、他方、30質量%を超えると酸化安定性が低下する傾向にある。
また、(A)植物油の総不飽和度は0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。植物油の総不飽和度が0.3より大きくなると、本発明の防錆油の酸化安定性が悪くなる傾向にある。なお、本発明でいう総不飽和度とは、ポリウレタン用ポリエーテルの代わりにトリエステルを用いる以外はJISK1557−1970「ポリウレタン用ポリエーテル試験方法」に準じて、同様の装置・操作法により測定される総不飽和度をいう。
(A)植物油の含有量は、防錆性及び脱脂性の点から、組成物全量基準で、前述の通り20質量%以上であり、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。また、(A)植物油の含有量は、酸化安定性及び低温貯蔵安定性の点から、前述の通り70質量%以下であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
また、(B)脂肪酸アミン塩は、前述の通り、脂肪酸とアミンとの塩であって炭素数の合計が16〜40のものである。
(B)脂肪酸アミン塩を構成する脂肪酸としては、通常、炭素数2〜24のものが用いられる。このような脂肪酸としては、直鎖のものでも分岐のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。
かかる脂肪酸としては、具体的には、酢酸、プロピオン酸、直鎖状又は分岐状のブタン酸、直鎖状又は分岐状のペンタン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン酸、直鎖状又は分岐状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のイコサン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、直鎖状又は分岐状のブテン酸、直鎖状又は分岐状のペンテン酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの中でも、鋼腐食及び非鉄金属腐食の点から炭素数3〜20の飽和脂肪酸、炭素数3〜22の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましく、炭素数6〜18の飽和脂肪酸、炭素数6〜18の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物がより好ましく、炭素数8〜18の不飽和脂肪酸がさらに好ましい。
また、(B)脂肪酸アミン塩を構成するアミンとしては、通常、炭素数が1〜24のものが用いられる。このようなアミンの種類は特に制限されず、例えばモノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
上記モノアミンとしては、具体的には例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルアミン(全ての異性体を含む)、トリプロピルアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルアミン(全ての異性体を含む)、トリブチルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンチルアミン(全ての異性体を含む)、ジペンチルアミン(全ての異性体を含む)、トリペンチルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクチルアミン(全ての異性体を含む)、ジオクチルアミン(全ての異性体を含む)、モノノニルアミン(全ての異性体を含む)、モノデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデシル(全ての異性体を含む)、モノドデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノテトラデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノノナデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノイコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘンイコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノドコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリコシルアミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(エチル)アミン、ジメチル(プロピル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ブチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(デシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ウンデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ドデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(テトラデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンタデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキサデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプタデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクタデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノナデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(イコシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘンイコシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリコシル)アミン(全ての異性体を含む)等のアルキルアミン;モノビニルアミン、ジビニルアミン、トリビニルアミン、モノプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、ジプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、トリプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、モノブテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジブテニルアミン(全ての異性体を含む)、トリブテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、トリペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキセニルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジオクテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノノネニルアミン(全ての異性体を含む)、モノデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデセニル(全ての異性体を含む)、モノドデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノテトラデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプタデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノノナデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノイコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘンイコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノドコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリコセニルアミン(全ての異性体を含む)等のアルケニルアミン;ジメチル(ビニル)アミン、ジメチル(プロペニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ブテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノネニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(デセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ウンデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ドデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(テトラデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンタデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキサデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプタデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクタデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノナデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(イコセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘンイコセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリコセニル)アミン(全ての異性体を含む)等のアルキル基およびアルケニル基を有するモノアミン;モノベンジルアミン、(1−フェニルチル)アミン、(2−フェニルエチル)アミン(別名:モノフェネチルアミン)、ジベンジルアミン、ビス(1−フェニエチル)アミン、ビス(2−フェニルエチレン)アミン(別名:ジフェネチルアミン)等の芳香族置換アルキルアミン;モノシクロペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノシクロヘプチルアミン、ジシクロヘプチルアミン等の炭素数5〜16のシクロアルキルアミン;ジメチル(シクロペンチル)アミン、ジメチル(シクロヘキシル)アミン、ジメチル(シクロヘプチル)アミン等のアルキル基およびシクロアルキル基を有するモノアミン;(メチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘプチルアミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)等のアルキルシクロアルキルアミン;等が挙げられる。また、このモノアミンには牛脂アミン等に代表されるような、油脂から誘導されるモノアミンも含まれる。
上記ポリアミンとしては、具体的には例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン、ブチレンジアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタブチレンヘキサミン等のアルキレンポリアミン;N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ブチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−デシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ウンデシル(全ての異性体を含む)、N−ドデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−テトラデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンタデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキサデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプタデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクタデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノナデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−イコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘンイコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ドコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)等のN−アルキルエチレンジアミン;N−ビニルエチレンジアミン、N−プロペニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ブテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノネニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−デセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ウンデセニル(全ての異性体を含む)、N−ドデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−テトラデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンタデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキサデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプタデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクタデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノナデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−イコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘンイコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ドコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)等のN−アルケニルエチレンジアミン;N−アルキルジエチレントリアミン、N−アルケニルジエチレントリアミン、N−アルキルトリエチレンテトラミン、N−アルケニルトリエチレンテトラミン、N−アルキルテトラエチレンペンタミン、N−アルケニルテトラエチレンペンタミン、N−アルキルペンタエチレンヘキサミン、N−アルケニルペンタエチレンヘキサミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルケニルプロピレンジアミン、N−アルキルジプロピレントリアミン、N−アルケニルジプロピレントリアミン、N−アルキルトリプロピレンテトラミン、N−アルケニルトリプロピレンテトラミン、N−アルキルテトラプロピレンペンタミン、N−アルケニルテトラプロピレンペンタミン、N−アルキルペンタプロピレンヘキサミン、N−アルケニルペンタプロピレンヘキサミン、N−アルキルブチレンジアミン、N−アルケニルブチレンジアミン、N−アルキルジブチレントリアミン、N−アルケニルジブチレントリアミン、N−アルキルトリブチレンテトラミン、N−アルケニルトリブチレンテトラミン、N−アルキルテトラブチレンペンタミン、N−アルケニルテトラブチレンペンタミン、N−アルキルペンタブチレンヘキサミン、N−アルケニルペンタブチレンヘキサミン等のN−アルキルまたはN−アルケニルアルキレンポリアミン;等が挙げられる。また、このポリアミンには牛脂ポリアミン等に代表されるような、油脂から誘導されるポリアミンも含まれる。
上記アルカノールアミンとしては、具体的には例えば、モノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ(n−プロパノール)アミン、ジ(n−プロパノール)アミン、トリ(n−プロパノール)アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、トリブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、トリペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサノールアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキサノールアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノノナノールアミン(全ての異性体を含む)、モノデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノドデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノトリデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノテトラデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサデカノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノエタノールアミン、ジエチルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノエタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノエタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジエタノールアミン、モノエチルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジペンタノールアミン(全ての異性体を含む)等を挙げることができる。
これらの中でも、防錆性により優れる点から、モノアミンが好ましい。モノアミンとしては、窒素原子に一つの炭化水素基が結合した1級アミン、二つの炭化水素基が結合した2級アミン、三つの炭化水素基が結合した3級アミンの何れであってもよいが、オイルステイン防止性及び防錆性の点からは、1級アミン、2級アミンが好ましく、1級アミンであることがより好ましい。
また、モノアミンとしては、アルキルアミン、アルケニルアミン、アルキル基及びアルケニル基を有するモノアミン、芳香族置換アルキルアミン、シクロアルキルアミン、アルキル基及びシクロアルキル基を有するモノアミン、アルキルシクロアルキルアミンの何れもが使用可能であるが、防錆性の点から、アルキル基及びシクロアルキル基を有するモノアミンであることが好ましく、アルキル基を有するモノアミンであることがより好ましい。
(B)脂肪酸アミン塩を構成するアミンの炭素数は、前述の通り、通常1〜24である。油溶性と水溶性との両立の観点からは、当該アミンの炭素数は、6〜22が好ましく、6〜20がより好ましく、8〜18が更に好ましい。
また、(B)脂肪酸アミン塩の炭素数、すなわち脂肪酸の炭素数とアミンの炭素数との合計は、前述の通り16以上であり、好ましくは20以上、より好ましくは24以上、更に好ましくは26以上である。(B)脂肪酸アミン塩の炭素数が16未満であると、オイルステイン防止性が不十分となり、更には水溶性が過剰に高くなって排水処理性が不十分となる。また、(B)脂肪酸アミン塩の炭素数は、前述の通り40以下であり、好ましくは36以下、より好ましくは32以下である。(B)脂肪酸アミン塩の炭素数が40を超えると、油溶性が低下して貯蔵安定性が不十分となり、更には防錆性及び脱脂性が不十分となる。
本発明の防錆油組成物においては、(B)脂肪酸アミン塩の1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせてもよいが、(B−1)炭素数16〜29の脂肪酸アミン塩と、(B−2)炭素数30〜40の脂肪酸アミン塩とを組み合わせて用いることが好ましい。この場合、(B−1)成分と(B−2)成分との合計量に対する(B−1)成分の比率[(B−1)/{(B−1)+(B−2)}]×100(%)は、質量割合で、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜70%であることが更に好ましい。
(B)脂肪酸アミン塩の含有量は、組成物全量基準で、前述の通り0.5質量%以上であり、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上である。(B)脂肪酸アミン塩の含有量が0.5質量%未満であると、防錆性が不十分となる。また、(B)脂肪酸アミン塩の含有量は、組成物全量基準で、前述の通り40質量%以下であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。(B)脂肪族アミン塩の含有量が40質量%を超えても、含有量に見合う防錆性の向上効果が得られず、却って脱脂性の低下、非鉄金属に対する腐食防止性の低下、コストの増大などを招くおそれがある。
本発明の防錆油組成物は、上記の(A)植物油と(B)脂肪酸アミン塩とからなるものであってもよいが、後述する基油及び/又は添加剤を更に含有せしめることで、特定の用途又は使用形態によって求められる様々な特性を付与することができる。
例えば、鋼板はコイル状に巻き取って保管又は梱包されることがある。この場合、防錆油には、コイル状に巻き取ったときの気層部分及びコイルエッジ等の防錆油の塗布が行き渡りにくい部分において防錆性を発揮する特性(気化性防錆性)が求められる。
また、圧延後の高温(例えば50℃以上)の鋼板に防錆油を塗布するとオイルステインが発生しやすくなるため、防錆油の塗布は鋼板を十分に冷却した後で行わなければならず、このことが作業効率の低下の原因となっている。そのため、圧延後の高温時に直ちに防錆油の塗布を行ってもオイルステインの発生が少なく、冷却工程の省略が可能な防錆油が求められている。
また、ぶりき原板の製造工程では、防錆油が前段又は後段の工程で使用される油剤と混合し得るため、防錆油にはそれらの油剤に対する混合安定性に優れることが求められる。
その他、防錆油には、酸化安定性、静電塗布性、塗布後の油の広がり性、非鉄金属腐食性、長期及び/又は低温での貯蔵安定性などが求められることがある。
本発明においては、後述する(C)〜(J)成分の使用により、防錆油組成物における上記の特性を向上させることができる。以下、各成分について詳述する。
本発明の防錆油組成物は、極低塗油膜による防錆処理における静電塗布性及び塗布後の油の広がり性を向上させる点から、(C)鉱油及び/又は合成油を基油として更に含有することが好ましい。
本発明で使用される鉱油としては、例えば原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油又はナフテン系鉱油が挙げられる。
また、本発明で使用される合成油としては、具体的には、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレンとプロピレンとのコオリゴマー、エチレンと1−オクテンとのコオリゴマー、エチレンと1−デセンとのコオリゴマー等のポリα−オレフィン又はそれらの水素化物;イソパラフィン;モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、ポリアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン;モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン;ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジトリデシルグルタレート等の二塩基酸エステル;トリメリット酸等の三塩基酸エステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールジエーテル、ポリプロピレングリコールジエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールジエーテル等のポリグリコール;モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、モノアルキルトリフェニルエーテル、ジアルキルトリフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル等のフェニルエーテル;シリコーン油;パーフルオロエーテル等のフルオロエーテル、等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、(C)成分としては、静電塗布性及び塗布後の油の広がり性により優れることから、(C−1)40℃における動粘度が1mm/s以上、4mm/s未満の鉱油と、(C−2)40℃における動粘度が4mm/s以上、20mm/s未満の鉱油とを併用することが好ましい。
(C−1)成分の40℃における動粘度は、前述の通り好ましくは1mm/s以上4mm/s未満であり、1.2〜3.5mm/sであることがより好ましく、1.3〜3mm/sであることが更に好ましく、1.5〜2.5mm/sであることが一層好ましく、1.6〜2mm/sであることが特に好ましい。当該動粘度が1mm/s未満であると引火性が高くなる傾向にあり、また、4mm/s以上であると静電塗布性及び塗布後の油の広がり性が不十分となる傾向にある。
(C−1)成分中の芳香族分、パラフィン分及びナフテン分には特に制限はないが、安全性の点から、芳香族分は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらにより好ましく、4質量%以下であることがさらにより一層好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。また、安全性の点から、パラフィン分は、25容量%以上であることが好ましく、30容量%以上であることがより好ましく、35容量%以上であることが最も好ましい。さらに、添加剤の基油への溶解性の点から、ナフテン分は、25容量%以上75容量%以下のものが好ましく、60〜70%がより好ましい。
なお、ここでいう芳香族分とは、ASTM D5186−03「Standard Test Method For Determination of Aromatic Content and Polynuclear Aromatic Content of Diesel Fuels and Aviation Turbine Fuels by Supercritical Fluid Chromatography」により測定された値を意味する。
また、本発明でいうパラフィン分及びナフテン分とは、それぞれFI法質量分析のタイプ分析法により測定された値を意味する(以下、同様である)。FI法質量分析のタイプ分析法とは、より具体的には、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、パラフィン分及びナフテン分を決定するものである。以下にその具体的手順を示す。
(i)径18mm,長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
(ii)n−ペンタン75mlを注入してシリカゲルを予め湿す。
(iii)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(iv)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(v)(iv)で回収された溶出液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(vi)(v)で得られた飽和炭化水素成分について質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が適用され、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用することができる。本工程における測定条件を以下に示す。
加速電圧 :3.0kV
カソード電圧 :−5〜−6kV
分解能 :約500
エミッター :カーボン
エミッター電流:5mA
測定範囲 :質量数35〜700
Sub Oven温度 :300℃
セパレータ温度:300℃
Main Oven 温度:350℃
試料注入量 :1μl。
(vii)(vi)の質量分析法によって得られた分子イオンについて、同位体補正を行った後、その質量数からパラフィン類(C2n+2)とナフテン類(C2n、C2n−2、C2n−4・・・)との2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、(v)で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3 データ処理」の項に記載されている。
(C−2)成分の40℃における動粘度は、前述の通り好ましくは4〜20mm/sであり、4.5〜15mm/sであることがより好ましく、5〜10mm/sであることが更に好ましく、5.5〜8mm/sであることが一層好ましい。当該動粘度が4mm/s未満であると(C)成分が(C−1)成分のみで構成されることとなり、静電塗布性及び塗布後の油の広がり性が低下する傾向にある。また、当該動粘度が20mm/sを超えると、組成物の粘性が過剰に高くなり、静電塗布性及び塗布後の油の広がり性が不十分となる傾向にある。
(C−2)成分中の芳香族分、ナフテン分、パラフィン分には特に制限はないが、安全性の点から、芳香族分は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましい。また、安全性の点から、パラフィン分は、80容量%以上であることが好ましく、90容量%以上であることがより好ましく、95容量%以上であることが最も好ましい。さらに、添加剤の基油への溶解性の点から、ナフテン分は、5容量%以上20容量%以下のものが好ましく、10〜15%がより好ましい。
なお、ここでいう芳香族分とは、JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィー法による組成分析法」により測定された値を意味する。
(C−2)成分としては、鉱油を硫酸処理又は水素化処理等で高度精製して得られるホワイトオイル(又は流動パラフィンとも呼ばれる)を用いることが好ましい。より具体的には、JIS K 2231「流動パラフィン」の規定に合致するもの、すなわち、腐食試験(100℃、3時間)の評点が1以下であり、色(セーボルト)が+30以上であり、硫酸呈色試験において標準色溶液と同等の色又はこれよりも淡色を示し、ニトロナフタリン試験において黄色結晶(ニトロナフタリン)が残存しないものがホワイトオイルである。
(C−1)成分と(C−2)成分とを併用する場合において、(C−1)成分の含有量は、組成物の仕上がり粘度を静電塗布性及び塗布後の油の広がり性の良好な範囲内とする点から、組成物全量基準で、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。また、(C−1)成分の含有量は、引火性を考慮した安全性の点から、組成物全量基準で、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
一方、(C−2)成分の含有量は、静電塗布性、塗布後の油の広がり性及び酸化安定性の点から、組成物全量基準で、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。また、(C−2)成分の含有量は、脱脂性の点から、組成物全量を基準として、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
また、本発明の防錆油組成物は、貯蔵安定性およびスタック防錆性により優れることから、(D)下記一般式で表される化合物を更に含有することが好ましい。
下記一般式(1):
(R−N−[(RO)−H] (1)
[式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、a及びcはそれぞれ1又は2であって、a+c=3で表される条件を満たし、bは1〜6の整数を表す。]
上記一般式(1)中、Rで表される炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられるが、中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基がより好ましい。Rで表される炭化水素基の炭素数は、前述の通り1〜24であり、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜8である。
また、Rで表されるアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基等が挙げられるが、中でもエチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
また、a及びcは、1又は2の整数であってa+c=3で表される条件を満たすものであるが、aが1であり且つcが2であることが好ましい。また、bは、前述の通り1〜6の整数であり、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
式(1)中のR、R、a〜cの好ましい組み合わせを表1に示す。
Figure 0005048035
上記(D)成分の含有量は、貯蔵安定性及びスタック防錆性の点から、組成物全量基準で、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上である。また、(D)成分の含有量は、暴露防錆性(屋外に暴露したときの防錆性)の点から、組成物全量基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
また、本発明の防錆油組成物は、梱包時のコイルエッジ部分の防錆性により優れることから、(E)気相防錆剤を更に含有することが好ましい。
(E)気相防錆剤としては、従来、気相防錆剤として使用されているものの何れもが使用可能である。具体的には、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、ニトロナフタリンアンモニウムナイトライト、亜硝酸ソーダ、各種アミン類のモノまたはジニトロ安息香酸塩、安息香酸塩アンモニウム、低級脂肪酸、低級脂肪酸のアミン塩及びこれらの混合物およびアミンなどが挙げられる。これらの中でも、気化性防錆効果の点から、アミン及び低級脂肪酸のアミン塩が好ましい。
ここで、アミンの炭素数、並びに低級脂肪酸のアミン塩を構成するアミンの炭素数は、6〜14であることが好ましい。アミンの炭素数が6未満の場合、揮発性が強すぎて臭気が強く、環境を害することになり、更には水溶性が過剰に高くなり排水処理性が低下する傾向にある。一方、アミンの炭素数が14を超えると、気化性防錆能が不十分となる傾向にある。
また、(E)成分としての低級脂肪酸のアミン塩を構成する脂肪酸の炭素数は、3〜10であることが好ましい。脂肪酸の炭素数が3未満の場合、揮発性が強すぎて臭気が強く、作業環境を害することになり、更には水に対する溶解性が過剰に高くなり排水処理性が低下する傾向にある。一方、脂肪酸の炭素数が10を超えると、気化性防錆性が不十分となる傾向にある。
さらに、(E)成分としての低級脂肪酸のアミン塩の場合、脂肪酸の炭素数とアミンの炭素数との合計は、6〜24であることが好ましく、6〜22であることがより好ましく、6〜20であることが更に好ましい。炭素数の合計が6未満の場合、揮発性が強すぎ臭気が強く、環境を害することになり、更には水溶性が過剰に高くなり排水処理性が低下する傾向にある。一方、炭素数の合計が24を超える場合には、気化性防錆能が不十分となる傾向にある。
(E)気相防錆剤の含有量は、気相防錆性の点から、組成物全量基準で、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上である。また、(E)気相防錆剤の含有量は、臭気防止性及び貯蔵安定性の点から、組成物全量基準で、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
また、本発明の防錆油組成物は、防錆性により優れる点から、(F)ワックス類を更に含有することが好ましい。
(F)ワックス類としては、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、スラックワックスなどの石油系ワックス、ポリオレフィンワックスなどの合成系ワックスなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ワックス類の含有量は任意であるが、組成物全量基準で好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜8質量%、更に好ましくは2〜5質量%である。当該含有量が1質量%未満であると添加による防錆性の向上効果が得られず、他方、10質量%を超えると低温流動性が低下し、取扱い性が悪くなる。
また、本発明の防錆油組成物は、酸化安定性がより優れる点から、(G)フェノール系又はアミン系の酸化防止剤を更に含有することが好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、具体的には例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)等が挙げられる。また、アミン系酸化防止剤としては、ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミン(アルキル基の炭素数は1〜18)、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン(アルキル基の炭素数は1〜18)、フェノチアジン、N−アルキルフェノチアジン(アルキル基の炭素数は1〜18)等が挙げられる。
また、本発明の防錆油組成物は、防錆性により優れる点から、(H)多価アルコールの部分エステルを更に含有することが好ましい。多価アルコールの部分エステルを構成する多価アルコールとしては、任意のものが使用可能であるが、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等が好ましい。
また、部分エステルを構成するカルボン酸としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分枝状脂肪酸でも良い。また、炭素数についても特に制限はないが、炭素数12〜20のものが好ましい。
なおここでいう部分エステルとは多価アルコール中の水酸基の少なくとも1個以上がエステル化されない水酸基の形のままで残っているエステルを意味する。この中でも、より洗浄性を高めることができることから、複数の水酸基のうち1つのみがエステル化されたモノエステルが好ましい。
(H)成分としては、具体的には、グリセリンモノドデカノエート(グリセリンモノラウレート)、グリセリンモノイソラウレート、グリセリンモノテトラデカノエート(グリセリンモノミリステート)、グリセリンモノイソミリステート、グリセリンモノヘキサデカノエート(グリセリンモノパルミテート)、グリセリンモノイソパルミテート、グリセリンモノオクタデカノエート(グリセリンモノステアレート)、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオクタデセノエート(グリセリンモノオレエート)、グリセリンモノイソオレエート等のグリセリンモノエステル;
トリメチロールプロパンモノドデカノエート(トリメチロールプロパンモノラウレート)、トリメチロールプロパンモノイソラウレート、トリメチロールプロパンモノテトラデカノエート(トリメチロールプロパンモノミリステート)、トリメチロールプロパンモノイソミリステート、トリメチロールプロパンモノヘキサデカノエート(トリメチロールプロパンモノパルミテート)、トリメチロールプロパンモノイソパルミテート、トリメチロールプロパンモノオクタデカノエート(トリメチロールプロパンモノステアレート)、トリメチロールプロパンモノイソステアレート、トリメチロールプロパンモノオクタデセノエート(トリメチロールプロパンモノオレエート)、トリメチロールプロパンモノイソオレエート等のトリメチロールプロパンモノエステル;
ペンタエリスリトールモノドデカノエート(ペンタエリスリトールモノラウレート)、ペンタエリスリトールモノイソラウレート、ペンタエリスリトールモノテトラデカノエート(ペンタエリスリトールモノミリステート)、ペンタエリスリトールモノイソミリステート、ペンタエリスリトールモノヘキサデカノエート(ペンタエリスリトールモノパルミテート)、ペンタエリスリトールモノイソパルミテート、ペンタエリスリトールモノオクタデカノエート(ペンタエリスリトールモノステアレート)、ペンタエリスリトールモノイソステアレート、ペンタエリスリトールモノオクタデセノエート(ペンタエリスリトールモノオレエート)、ペンタエリスリトールモノイソオレエート等のペンタエリスリトールモノエステル;
ソルビタンモノドデカノエート(ソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノイソラウレート、ソルビタンモノテトラデカノエート(ソルビタンモノミリステート)、ソルビタンモノイソミリステート、ソルビタンモノヘキサデカノエート(ソルビタンモノパルミテート)、ソルビタンモノイソパルミテート、ソルビタンモノオクタデカノエート(ソルビタンモノステアレート)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオクタデセノエート(ソルビタンモノオレエート)、ソルビタンモノイソオレエート等のソルビタンモノエステル;
及びこれらの混合物等が好ましく用いられる。
また、本発明の防錆油組成物は、(I)ベンゾトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物の中から選ばれる少なくとも1種を更に含有することが好ましい。
(I)成分のうち、ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(2)で表される(アルキル)ベンゾトリアゾール化合物等が挙げられる。
Figure 0005048035

[式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)を表し、dは0〜3の整数(好ましくは0〜2の整数)を表す。]
また、下記一般式(3)で表される(アルキル)アミノアルキルベンゾトリアゾール化合物を用いることもできる。
Figure 0005048035

[式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)を表し、Rはメチレン基又はエチレン基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)を表し、eは0〜3の整数(好ましくは0又は1)を表す。]
また、(I)成分のうち、チアジアゾール系化合物としては、具体的には例えば、下記一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005048035

[式中、Rは炭素数1〜30(好ましくは6〜24)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(好ましくは水素原子又は炭素数1〜24の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)を表し、f及びgは同一でも異なっていてもよく、それぞれ1〜3の整数(好ましくは1又は2)を表す。]
また、(I)成分のうち、ベンゾチアゾール系化合物としては、下記の一般式(5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005048035

[式中、R10は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)を表し、R11は炭素数1〜30(好ましくは6〜24)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、hは0〜3の整数(好ましくは0又は1)を表し、iは1〜3の整数(好ましくは1又は2)を表す。]
本発明の防錆油組成物において、(I)成分は金属不活性化剤として用いられる。
また、本発明の防錆油組成物は、防錆性により優れる点から、(J)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体を更に含有することが好ましい。(J)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体としては、アルキル又はアルケニルコハク酸とアルコールとのエステル、アルキル又はアルケニルコハク酸とアミノアルカノールとの反応生成物、アルキル又はアルケニルコハク酸無水物とザルコシンとの反応生成物、アルキル又はアルケニルコハク酸無水物とダイマー酸との反応生成物等が挙げられる。
これらの中でも、(J)成分としては、アルケニルコハク酸とアルコールとの部分エステル(モノエステル)が好ましく用いられる。ここでいう、アルケニル基の炭素数については任意であるが、通常炭素数8〜18のものが使用される。
また、部分エステルを構成するアルコールとしては、1価のアルコールであっても、2価以上の多価アルコールであっても良いが、1価アルコール及び2価アルコールが好ましい。1価アルコールとしては、通常炭素数8〜18の脂肪族アルコールが用いられる。また、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、飽和のものであっても不飽和のものであっても良い。また、2価アルコールとしては、通常アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールが用いられる。アルキレングリコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、ヘプチレングリコール、オクチレングリコール、ノニレングリコール、デシレングリコール等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレングリコールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを単独重合あるいは共重合したものが用いられる。なお、ポリオキシアルキレングリコールにおいて、構造の異なったアルキレンオキシドが共重合している場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても良い。重合度については特に制限はないが、2〜10のものが好ましく、2〜8のものがより好ましく、2〜6のものがさらにより好ましく用いられる。
本発明の防錆油組成物は、上記の(A)、(B)成分、並びに必要に応じて(C)〜(J)成分を含んで構成されるが、その一方で、当該組成物中のバリウム、亜鉛、塩素及び鉛の含有量(元素換算値)はそれぞれ組成物全量基準で1000質量ppm以下であることが好ましい。これらの元素のうちの1種でもその含有量が1000ppmを超えると、人体あるいは生態系等の環境に対する安全性が不十分となるおそれがある。そして、同様の理由から、上記元素の各含有量は、組成物全量基準で500質量ppm以下であることがより好ましく、100質量ppm以下であることが更に好ましく、50質量ppm以下であることが一層好ましく、10質量ppm以下であることがより一層好ましく、5質量ppm以下であることが特に好ましい。
なお、本発明でいうバリウム、亜鉛、塩素及び鉛の含有量は、それぞれ以下の方法により測定される値をいう。すなわち、バリウム、亜鉛及び鉛の含有量とは、ASTM D 5185-95 "Standard Test Method for Determination ofAdditive Elements, Wear Metals, and Contaminants in Used Lubricating Oils andDetermination of Selected Elements in Base Oils by Inductively Coupled PlasmaAtomic Emission Spectrometry(ICP-AES)";塩素の含有量とは、"IP PRPOSED METHODAK/81 Determination of chlorine - Microcoulometery oxidative method"、にそれぞれ準拠して測定される組成物全量を基準とした含有量[質量ppm]を意味する。上記の測定方法における各元素の検出限界は通常1質量ppmである。
更に、本発明の防錆剤組成物においては、下記一般式(6)で表される基を有する化合物の含有量が、組成物全量基準で、1000質量ppm以下であることが好ましい。一般式(6)で表される基を有する化合物の含有量が1000質量ppmを超えると、人体や生態系等の環境に対する安全性が不十分となるおそれがある。そして、同様の理由から、一般式(6)で表される基を有する化合物の含有量は、組成物全量基準で、500質量ppm以下であることがより好ましく、100質量ppm以下であることが更に好ましく、50質量ppm以下であることが一層好ましく、10質量%以下であることがより一層好ましく、5質量ppm以下であることが特に好ましい。
Figure 0005048035

[式中、R12は炭素数1〜24のアルキル基を表し、R13は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは1〜5の整数を表し、nは1〜6の整数を表す]
上記一般式(6)で表される基を有する化合物としては、下記一般式(7)〜(9)で表される化合物が挙げられる。
A−H (7)
A−R14 (8)
Figure 0005048035

[式(7)〜(9)中、Aは一般式(6)で表される基を表し、R14は炭素数1〜24の炭化水素基又は炭素数1〜24のアシル基を表す]
なお、バリウム、亜鉛、塩素といった元素、並びに上記一般式(6)で表される基を有する化合物が、本発明の防錆油組成物の構成材料に含まれる場合、あるいは防錆油組成物の製造工程で混入してしまう場合には、構成材料又は洗浄剤組成物を常法により精製することによって上記の元素や化合物を除去することができる。また、本発明において使用される基油や添加剤の製造工程において、製造設備をその他の基油や添加剤の製造工程と共用しないこと、共用する場合には十分な洗浄を行うことなどの点に留意することによって、これらの元素や化合物の防錆油組成物への混入を防止することができる。
本発明の防錆油組成物の動粘度は特に制限されないが、引火性を考慮した安全性、静電塗布性、及び防錆油膜の保持性の点から、40℃における動粘度は、好ましくは6mm/s以上、より好ましくは8mm/s以上、更に好ましくは10mm/s以上である。また、静電塗布性及び脱脂性の点から、40℃における動粘度は、好ましくは30mm/s以下、より好ましくは25mm/s以下、更に好ましくは20mm/s以下である。
上記構成を有する本発明の防錆油組成物によれば、高水準の防錆性を達成することができ、鋼板の積み重ね時又は巻き取り後においても錆の発生を十分に防止することが可能となる。また、本発明の防錆油組成物によれば、上述の防錆性に加えて、オイルステイン防止性、脱脂性、脱脂後の排水処理性、他の工程で使用される油剤に対する混合安定性、安全性、及び低コスト性の全てを高水準でバランスよく達成することが可能となる。したがって本発明の防錆油組成物は、様々な分野での防錆剤として非常に有用である。
例えば、本発明の防錆油組成物を鋼板の防錆剤として鋼板の表面に塗布することで、鋼板を長期に保管し又は長時間運搬する際の錆の発生を確実に防止することができるようになる。なお、ここでいう保管には、鋼板製造工場内での保管及び鋼板出荷からその使用時までの保管の双方が包含される。
ここで、本発明の防錆油組成物が適用される鋼板の種類は特に制限されず、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼の何れにも使用可能であるが、低炭素鋼に使用した場合に特に優れた効果が発揮される。なお、ここでいう低炭素鋼とは、炭素含有量0.0〜0.1質量%の鋼板を意味する。また、低炭素鋼としては、通常、マンガン含有量が0.0〜1.0質量%のものが用いられる。
また、鋼板の板厚についても、特に制限は無いが、板厚0.14〜0.60mmの鋼板に使用した場合に、特に優れた効果を発揮する。
これらの中でも、めっき処理前の鋼板(めっき原板)、あるいはめっき処理されためっき鋼板の防錆剤として用いた場合に、特に優れた効果を発揮し、めっき処理前の鋼板(めっき原板)に使用した場合に最も大きな効果が発揮される。なお、ここでいうめっきとは、すずめっき、クロムめっき、亜鉛めっき等をいう。
また、使用される鋼板の表面仕上げ区分については、特に制限はないが、例えば、めっき処理前の鋼板(めっき原板)の場合、ブライト仕上げ、粗面仕上げ、マット仕上げの何れにも使用可能である。これらの中でも、JIS G 3303−2002「ぶりき及びぶりき原板」で規定されるぶりき原板、具体的には、板厚0.15mmから0.60mmであり表面仕上げ区分SPB−B,SPB−R,SPB−Mの何れかである低炭素鋼一回圧延のぶりき原板、並びに板厚0.14mmから0.36mmであり表面仕上げ区分SPB−Rである低炭素鋼二回圧延のぶりき原板、に使用した場合に、より優れた効果を示す。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜6、参考例1〜4、比較例1〜7]
下記の各成分を用いて、表2〜3に示す組成を有する防錆油組成物を調製した。
(A)成分:
A1:植物油(ハイオレイック菜種油、カーギル社製;脂肪酸組成、総不飽和度、40℃における動粘度、粘度指数、流動点、引火点及び酸価は下記表4に示す通り。)
(B)成分:
B1:牛脂脂肪酸のオレイルアミン塩
B2:オレイン酸の2−エチルヘキシルアミン塩
(C)成分:
C1:精製鉱油(新日石化学(株)社製テクリーンN22、40℃における動粘度:1.8mm/s、芳香族分:1質量%以下、ナフテン分:60容量%、パラフィン分:40容量%)
C2:精製鉱油(ホワイトオイル、流動パラフィン FDA合格品、40℃における動粘度:6.5mm/s、芳香族分:1質量%以下、パラフィン分:98容量%以上)
(D)成分:
D1:式(1)で表される化合物(式中のRがシクロアルキル基、Rがエチレン基、aが1、bが1、cが2である化合物)
(E)成分:
E1:ジシクロヘキシルアミン
その他の成分:
G1:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
K1:2−エチルヘキサン酸のn−ブチルアミン塩
K2:ジオクチルセバケート。
次に、得られた各防錆油組成物について、以下の評価試験を行った。
(防錆性)
(i)暴露防錆性試験(湿潤試験,HCT)
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜7の各防錆油組成物について、JISK 2246−1994 5.34湿潤試験方法に準じて湿潤試験を行い、暴露防錆性を評価した。得られた結果を表2〜3に示す。なお、表中、Aは錆発生度0%(A級)、Bは錆発生度1〜10%(B級)(いずれもJISK 2246−1994 5.34湿潤試験方法による)をそれぞれ意味する。
(ii)スタック防錆性試験
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜7の各防錆油組成物について、以下のようにしてスタック防錆性試験を実施した。
板厚0.15mmの低炭素鋼を1回圧延したぶりき原板(表面仕上げSPB−B)を試験片とし、これに防錆油組成物を100mg/mを塗布し、100×100mm角に切断し、試験片とした。得られた試験片を積み重ねた状態で、所定の温度及び湿度に設定された恒温槽内に保存し、240時間経過時の錆及びオイルステインの有無を調べた。温度条件は50℃又は70℃の2条件とし、湿度は各温度条件ともに95%RHとした。
本試験における評価は以下のようにして行った。すなわち、錆については、試験片に発生した点錆の数を数えた。また、オイルステインについては、試験片全面を測定面とし、その測定面に、100mm×100mmの無色透明の平板に幅約0.5mmの刻み線で1辺10mmの正方形の碁盤目を刻んだ測定板を重ね合わせ、オイルステインが発生している碁盤目の数を数え、その割合(ステイン発生率(%))を求めた。なお、刻み線やその交差点に発生したオイルステインが隣接する碁盤目にはみ出している場合は、はみ出している碁盤目にもオイルステインが発生したものとした。また、刻み線や交差点からはみ出していない場合には、隣接する碁盤目にオイルステインの発生がないものがあればそのうちの1つをオイルステインが発生したものとした。そして、錆及びオイルステインの防止性を以下の評価基準に基づいて評価した。得られた結果を表2〜3に示す。
A:点錆及びオイルステインが発生しなかったもの
B:点錆の個数が1〜5個のもの又は一部に極薄いオイルステインが発生したもの
C:点錆の個数が6〜20個のもの又はステイン発生率が1〜5%のもの
D:点錆の個数が21個以上のもの又はステイン発生率が6〜20%のもの
E:点錆の個数が21個以上であり且つステイン発生率が21%以上のもの。
(iii)気化性防錆性試験
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物について、板厚0.15mmの低炭素鋼を1回圧延したぶりき原板(表面仕上げSPB−B品)を用い、JISK 2246−1994 5.39 気化性さび止め性試験方法により気化性防錆性を評価した。得られた結果を表2に示す。表中、Aは錆発生度0%(A級)、Bは錆発生度1〜10%(B級)(いずれもJISK 2246−1994 5.34湿潤試験方法による)をそれぞれ意味する。
(iv)オイルステイン性試験
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物95mlに純水5mlを加えて十分に混合し乳化させて試料液を調製した。一方、板厚0.15mmの低炭素鋼を1回圧延したぶりき原板(表面仕上げSPB−B)を100×100mm角に切断した試験片を、各防錆油組成物につき2枚ずつ用意した。次に、一方の試験片の中央に上記試料液を0.2ml滴下し、直ちにその面上に他方の試験片を重ね合わせて水平に保持し、100gの重りを載せて70℃の恒温槽中で48時間保持した。その後、重ね合わせた面におけるオイルステインの発生の有無を調べた。
本試験においては、試験片全面を測定面とし、その測定面に、100mm×100mmの無色透明の平板に幅約0.5mmの刻み線で1辺10mmの正方形の碁盤目を刻んだ測定板を重ね合わせ、オイルステインが発生している碁盤目の数を数え、その割合(ステイン発生率(%))を求めた。なお、刻み線やその交差点に発生したオイルステインが隣接する碁盤目にはみ出している場合は、はみ出している碁盤目にもオイルステインが発生したものとした。また、刻み線や交差点からはみ出していない場合には、隣接する碁盤目にオイルステインの発生がないものがあればそのうちの1つをオイルステインが発生したものとした。そして、オイルステインの防止性を以下の評価基準に基づいて評価した。得られた結果を表2〜3に示す。
A:オイルステインが発生しなかったもの
B:一部に極薄いオイルステインが発生したもの
C:ステイン発生率が1〜5%のもの
D:ステイン発生率が6〜20%のもの
E:ステイン発生率が21%以上のもの。
(アルカリ脱脂性)
(i)初期脱脂性試験
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜7の各防錆油組成物の所定量(100mg/m)を、板厚0.15mmの低炭素鋼を1回圧延したぶりき原板(表面仕上げSPB−B品)に塗布し、24時間経過した後、5%のNaOH水溶液中で電解脱脂し、水洗後の鋼板の水濡れ性を評価した。脱脂条件は直流電流5A/100cm、脱脂時間5秒とした。得られた結果を表2〜3に示す。なお、表中の脱脂性の欄中の数値は水濡れ面積率(%)であり、数値が大きいほど脱脂性が良好であることを意味する。
(ii)経時脱脂性
実施例1〜6及び参考例1〜4の各防錆油組成物について、上記スタック防錆性試験における50℃又は70℃での試験に供した試験片を用いたこと以外は(i)初期脱脂性試験と同様にして、電界脱脂を行い、水洗後の水濡れ性を評価した。得られた結果を表2に示す。
(排水処理性)
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜7の各防錆油組成物を、それぞれ純水1Lに対して1,000質量ppm添加して試料液を調製した。得られた試料液について、硫酸バンド法による排水処理を施し、JIS K0102−1998によりCOD、BOD及び水溶性窒素化合物の濃度を測定した。得られた結果を表2〜3に示す。
(酸化安定性)
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物について、JIS K 2514−1996「潤滑油−酸化安定度試験方法」により、回転ボンベ式酸化安定度試験を行い、試験開始から終点までの時間(分)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(静電塗布性)
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物の所定量(50mg/m)を静電オイラーにより鋼板に塗布し、斑のない均一な油膜を形成できるか否かを評価した。得られた結果を表2に示す。なお、表中、○は形成された油膜に斑がなく均一であったこと、×は油膜に斑が生じて不均一であったことをそれぞれ意味する。
(金属腐食性)
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物について、JIS K 2246−1994 5.28腐食試験方法により、鋼及び非鉄金属に対する腐食性を評価した。得られた結果を表2に示す。なお、表中、○は以下に示す基準の全てを満たしたもの、×は以下に示す基準のうち1つ以上を満たさなかったものをそれぞれ意味する。
鋼:質量変化が±0.2mg/cm以内であること
黄銅:質量変化が±1.0mg/cm以内であること
亜鉛:質量変化が±7.5mg/cm以内であること
アルミニウム:質量変化が±0.2mg/cm以内であること
マグネシウム:質量変化が±0.5mg/cm以内であること
カドミウム:質量変化が±5.0mg/cm以内であること
クロム:光沢を失わないこと。
(貯蔵安定性(保湿性))
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物30gをそれぞれスクリュー缶に採取し、スクリュー缶口をアルミ箔で覆い、50℃、90%RHの条件下で72時間保存し、防錆油組成物中の濁り又は沈殿の有無を観察した。得られた結果を表2に示す。なお、表中、○は濁りや沈殿がないこと、×は濁り又は沈殿があることをそれぞれ意味する。
(低温貯蔵安定性)
実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油訴生物30gをそれぞれスクリュー缶に採取し、5℃で72h保存し、防錆油中の濁り又は沈殿の有無を観察した。得られた結果を表2に示す。なお、表中、○は濁りや沈殿がないこと、×は濁り又は沈殿があることをそれぞれ意味する。
(安全性(引火性))
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜7の各防錆油組成物について、JIS K 2265−1996 「原油及び石油製品−引火点試験方法」により引火性を評価した。得られた結果を表2〜3に示す。なお、評価基準は、○:100℃以上、×:99℃以下とした。
表2に示すように、実施例1〜6、参考例1〜4の各防錆油組成物は、防錆性、脱脂性、排水処理性及び安全性に優れる。一方、比較例1〜7の各防錆油組成物は、防錆性、脱脂性、排水処理性のいずれかが劣る。
また、(C)鉱油及び/又は合成油を基油として含有する実施例1〜3、参考例2、実施例5、参考例4の各防錆油組成物は、スタック防錆性により優れる。
また、(E)気相防錆剤を含有する実施例1〜3、参考例3、参考例4、実施例6の各防錆油組成物は、気化性防錆性により優れる。
Figure 0005048035

Figure 0005048035
Figure 0005048035

Claims (3)

  1. 組成物全量基準で、総不飽和度が0.3以下である植物油20〜70質量%と、脂肪酸とアミンとの塩であって脂肪酸の炭素数とアミンとの炭素数の合計が16〜40である脂肪酸アミン塩0.5〜40質量%と、下記一般式(1)で表される化合物0.5〜6質量%と、を含有することを特徴とする防錆油組成物。
    (R−N−[(RO)−H] (1)
    [式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、a及びcはそれぞれ1又は2であって、a+c=3で表される条件を満たし、bは1〜6の整数を表す。]
  2. 前記一般式(1)中のRがシクロアルキル基であり、Rがエチレン基であり、aが1であり、bが1であり、cが2であることを特徴とする、請求項1に記載の防錆油組成物。
  3. めっき処理前の鋼板の防錆処理に用いられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防錆油組成物。
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