JP3808676B2 - ステンレス用冷間圧延油 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス用冷間圧延油に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレスの冷間圧延においては、他の金属の圧延同様に、生産性の向上と圧延後の板表面の高品質が要求される。
【0003】
生産性をあげる最も簡単な方法の一つが圧下率を上げることである。これは一回あたりの加工量を増せば、それだけ早く目標とする厚さまで圧延できるという考え方である。
【0004】
ところが圧延油の持っている性能以上に圧下率を上げようとすると、油膜の破断がおきヒートスクラッチと呼ばれる焼き付き傷が板表面に生じてしまう。このヒートスクラッチは目視にて確認出来ないほど軽微なものでも板表面の光沢を低下させ板表面品質を悪化させる。
【0005】
このようなヒートスクラッチを防止する方法としては、高粘度基油を用い圧延油の粘度を高くするか、良好な潤滑性を付与するような添加剤を加える等の方策が考えられる。ところが、必要以上に圧延油の粘度を高くすると圧延後の板の光沢値が低くなり表面品質がかえって悪くなるという問題があるので、主には添加剤により潤滑性を付与する解決策が従来よりとられてきた。
【0006】
潤滑性を付与する目的でステンレス用圧延油に添加される油性剤としては脂肪酸エステル、脂肪酸、高級アルコール等の油性剤、リン酸エステルなどの極圧剤が提案されている。特に脂肪酸エステルが効果的とされ一般的に用いられている。具体的には例えば、基油に、脂肪酸のオクチルアルコールエステルを添加した圧延油が、多く用いられている。しかしながら、高い圧下率におけるヒートスクラッチの発生を、より効果的に防止できる圧延油が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な潤滑性を有し、高い圧下率で圧延してもヒートスクラッチを発生させないステンレス用冷間圧延油を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、a)下記式(I)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中R1及びR2は同一又は異なる基であって炭素数3〜5の炭化水素基を示す。)で表わされるジエステル;及び
b)炭素数12〜18の1価アルコール
を含むステンレス用冷間圧延油が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のステンレス用冷間圧延油は、前記式(I)で表わされるジエステルを含む。
【0012】
前記式(I)において、R1、R2は同一又は異なる基であって、炭素数3〜5の炭化水素基である。R1、R2が炭素数が3〜5のものを採用することにより、ヒートスクラッチ発生限界が高いステンレス用冷間圧延油を与えることができる。
【0013】
本発明のステンレス用冷間圧延油中の前記ジエステルのR1及びR2としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基等が使用可能であるが、この中でもアルキル基が好ましい。アルキル基としては、直鎖のもの又は分岐のものを用いることができ、直鎖のものと分岐のものが混在したものを用いることもできる。
【0014】
本発明のステンレス用冷間圧延油中の前記ジエステルの含有割合は、特に制限はないが、より良好な潤滑性を有し、高い圧下率におけるヒートスクラッチの発生を効果的に防止するという点から、通常1質量%以上99質量%以下、好ましくは2質量%から75質量%、より好ましくは3質量%から60質量%とすることができる。
【0015】
前記式(I)で表わされるジエステルは、アジピン酸又はその誘導体と炭素数3〜5のアルコールとをエステル化させる等の任意の方法で得ることができる。
【0016】
本発明のステンレス用冷間圧延油は、炭素数12〜18の1価アルコールを含む。アルコールの炭素数が18を超えると冬季において流動性を失い扱いが困難になり、また圧延油への溶解性が低下して析出の問題がある。12未満の場合耐ヒートスクラッチ性能が悪化し、また臭気が強くなり作業環境の悪化をもたらす。
【0017】
前記1価アルコールとしては、直鎖アルコール、分岐アルコール又はこれらの混合物を用いることができる。直鎖アルコールと分岐アルコールとの混合物において直鎖のものが占める割合は特に制限されないが、冬期における流動性、臭気による作業環境への影響の点からその上限は炭素数12〜18のアルコール全量を基準として通常90質量%、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%である。また耐ヒートスクラッチ性能の点から、その下限は炭素数12〜18のアルコール全量を基準として通常35質量%、好ましくは40質量%、より好ましくは50質量%である。
【0018】
前記1価アルコールとしては、具体的には例えば、直鎖又は分岐状のドデカノール、直鎖又は分岐状のトリデカノール、直鎖又は分岐状のテトラデカノール、直鎖又は分岐状のペンタデカノール、直鎖又は分岐状のヘキサデカノール、直鎖又は分岐状のへプタデカノール、直鎖又は分岐状のオクタデカノール、直鎖状又は分岐状のデセノール、直鎖状又は分岐状のウンデセノール、直鎖状又は分岐状のドデセノール、直鎖状又は分岐状のトリデセノール、直鎖状又は分岐状のテトラデセノール、直鎖状又は分岐状のペンタデセノール、直鎖状又は分岐状のヘキサデセノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデセノール、 若しくは直鎖状又は分岐状のオクタデセノール等の各種の飽和又は不飽和の1価アルコール、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0019】
本発明のステンレス用冷間圧延油中の前記アルコールの含有割合は特に制限されないが、耐ヒートスクラッチ性能および圧延後の板表面の光沢値の点から、通常0.1質量%から20質量%、好ましくは0.1質量%から17質量%、より好ましくは0.1質量%から15質量%とすることができる。
【0020】
本発明のステンレス用冷間圧延油は、前記特定のジエステル及びアルコールに加えて、基油を含むことができる。
【0021】
前記基油の粘度は、特に限定されないが、一般的には、40℃における動粘度が1〜20mm2/sの範囲にあるものが好ましく、2〜15mm2/sの範囲にあるものがより好ましい。
【0022】
前記基油のパラフィン分は、特に限定されないが、20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であることが望ましい。
【0023】
前記基油のナフテン分は、特に限定されないが、10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上であることが望ましい。また、80%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下であることが望ましい。
【0024】
本発明においてナフテン分、パラフィン分とは、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定するものである。以下にその測定法を具体的に示す。
▲1▼ 径18mm,長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
▲2▼ n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
▲3▼ 試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
▲4▼ 試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
▲5▼ ▲4▼の溶出液をロータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
▲6▼ ▲5▼で得られた飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
【0025】
測定条件を以下に示す。
【0026】
加速電圧 :3.0kV
カソード電圧 :−5〜−6kV
分解能 :約500
エミッター :カーボン
エミッター電流:5mA
測定範囲 :質量数35〜700
Sub Oven温度 :300℃
セパレータ温度:300℃
Main Oven 温度:350℃
試料注入量 :1μl
▲7▼ ▲6▼の質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(CnH2n+2)とナフテン類(CnH2n、CnH2n-2、CnH2n-4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、▲5▼で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
【0027】
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3 データ処理」の項に記載されている。
【0028】
前記基油の芳香族分は、特に限定されないが、25容量%以下、好ましくは20容量%以下、より好ましくは15容量%以下であることが望ましい。ここでいう芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法を準用して測定された値を表すものを意味している。
【0029】
前記基油としては、鉱油、油脂、合成油、又はこれらの2種以上の混合物を用いることができる。
【0030】
前記鉱油としては、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系またはナフテン系の鉱油を挙げることができる。
【0031】
前記油脂としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0032】
また、前記合成油としては、例えば、ポリα-オレフィン(エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン、1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、およびこれらの水素化物など)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセパケートなど)、ポリエステル(トリメリット酸エステルなど)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートなど)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルフォスフェートなど)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィンなど)、シリコーン油などを挙げることができる。
【0033】
本発明のステンレス用冷間圧延油は、前記特定のジエステル、アルコール及び基油に加えて、その優れた効果をさらに向上させるため、他の添加剤を含むことができる。
【0034】
前記他の添加剤としては、極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤、ミスト防止剤、脂肪酸、粘度指数向上剤等を含むことができる。また、前記特定のジエステル及びアルコール以外の他のエステルやアルコールをさらに含んでもよい。
【0035】
前記極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のりん系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0036】
前記極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のりん系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0037】
前記酸化防止剤としては、2,6-ジターシャリーブチル-P-クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル-α-ナフチルアミンなどの芳香族アミン、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が例示できる。
【0038】
前記さび止め剤としては、オレイン酸などの脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネートなどのスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエートなどの多価アルコールの部分エステル、アミンおよびその誘導体、 リン酸エステルおよびその誘導体などが例示できる。
【0039】
前記腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0040】
前記消泡剤としては、シリコン系のものなどが挙げられる。
【0041】
前記ミスト防止剤としてはエチレンとプロピレンのコポリマーなどか挙げられる。
【0042】
前記脂肪酸としては一塩基酸と多塩基酸が挙げられる。
【0043】
前記一塩基酸としては、通常炭素数6〜24の脂肪酸を用いることができ、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、直鎖状または分岐状のヘキサン酸、直鎖状または分岐状のオクタン酸、直鎖状または分岐状のノナン酸、直鎖状または分岐状のデカン酸、直鎖状または分岐状のウンデカン酸、直鎖状または分岐状のドデカン酸、直鎖状または分岐状のトリデカン酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状または分岐状のオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のノナデカン酸、直鎖状または分岐状のエイコサン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコサン酸、直鎖状または分岐状のドコサン酸、直鎖状または分岐状のトリコサン酸、直鎖状または分岐状のテトラコサン酸などの飽和脂肪酸、直鎖状または分岐状のヘキセン酸、直鎖状または分岐状のヘプテン酸、直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状または分岐状のノネン酸、直鎖状または分岐状のデセン酸、直鎖状または分岐状のウンデセン酸、直鎖状または分岐状のドデセン酸、直鎖状または分岐状のトリデセン酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン酸、直鎖状または分岐状のペンタデセン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状または分岐状のオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のノナデセン酸、直鎖状または分岐状のエイコセン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコセン酸、直鎖状または分岐状のドコセン酸、直鎖状または分岐状のトリコセン酸、直鎖状または分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、または炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物が好ましい。
【0044】
前記多塩基酸としては炭素数2〜16の二塩基酸およびトリメリト酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸は、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状または分岐状のブタン二酸、直鎖状または分岐状のペンタン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサン二酸、 直鎖状または分岐状のオクタン二酸、直鎖状または分岐状のノナン二酸、直鎖状または分岐状のデカン二酸、直鎖状または分岐状のウンデカン二酸、直鎖状または分岐状のドデカン二酸、直鎖状または分岐状のトリデカン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状または分岐状のへキサデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘキセン二酸、直鎖状または分岐状のオクテン二酸、直鎖状または分岐状のノネン二酸、直鎖状または分岐状のデセン二酸、直鎖状または分岐状のウンデセン二酸、直鎖状または分岐状のドデセン二酸、直鎖状または分岐状のトリデセン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン二酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
前記粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート、ポリイソブテン、エチレンプロピレンコポリマー等が挙げられる。
【0046】
前記他のエステルとしては、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリテシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセパケートなど)、ポリエステル(トリメリット酸エステルなど)等が挙げられる。
【0047】
前記他の添加剤の含有量は、合計量として、圧延油全量中、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下であることが望ましい。
【0048】
本発明のステンレス用冷間圧延油の物性は、特に限定されないが、40℃における動粘度が2〜15mm2/sの範囲にあるものが好ましく、3〜12mm2/sの範囲にあるものがより好ましい。このような所望の粘度は、基油の種類、配合割合等を適宜調整することによって容易に得ることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のステンレス用冷間圧延油は、特定のジエステル及びアルコールを含むので、良好な潤滑性を有し、高い圧下率で圧延してもヒートスクラッチを発生させず、生産性の向上と圧延物の高品質とを両立することができる。
【0050】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0051】
【実施例1〜12及び比較例1〜10】
下記圧延材料及び試料油を用い、径51mmのワークロールを用い、圧延速度100m/minで圧延を行い、圧下率を10%から徐々に上げてヒートスクラッチが発生し始める圧下率を調べた。
【0052】
ヒートスクラッチの確認は、目視で判定できないものは光学顕微鏡(400倍)を用いて、板表面を観察して行った。
【0053】
圧延材料は、JIS SUS304材(厚さ0.25mm、幅50mm)又はJIS SUS430材(厚さ0.25mm、幅50mm)を用いた。
【0054】
試料油は、以下の組成のものを用いた。組成の%はいずれも質量%である。
1:アジピン酸ジイソブチル15%、nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
2:アジピン酸ジイソペンチル15%、nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
3:アジピン酸ジイソブチル15%、nヘキサデシルアルコール6%、2メチル1テトラデシルアルコール4% 残 鉱油
4:アジピン酸ジイソブチル30%、nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
5:アジピン酸ジイソブチル50%、nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
6:アジピン酸ジイソブチル15%、nドデシルアルコール2%、2メチル1ウンデシルアルコール2% 残 鉱油
7:アジピン酸ジイソブチル15%、残 鉱油
8:アジピン酸ジイソブチル50%、残 鉱油
9:nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
10:アジピン酸ジイソオクチル15%、nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
11:セバシン酸ジイソデシル15%、nドデシルアルコール6%、2メチル1ウンデシルアルコール4% 残 鉱油
前記鉱油としては、40℃における動粘度が32mm2/secの鉱油である基油A(%CP:64、%CN:29、%CA:7)および40℃における動粘度が2.8mm2/secの鉱油である基油B(%CP:65、%CN:28、%CA:7)を、それぞれ下記表1に示す配合割合で用い、いずれの試料油も動粘度を7.0mm2/sec(40℃)に調整した。なお、%CP,%CN及び%CAは、それぞれパラフィン分質量%、ナフテン分質量%及び芳香族分容量%を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
使用した圧延材料及び試料油、並びに試験結果を表2及び3に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
*「3」はSUS304、「4」はSUS430をそれぞれ示す。
**:ヒートスクラッチが発生した圧下率 %
以上の通り、本発明のステンレス用冷間圧延油(実施例1〜12)においては、ヒートスクラッチ発生試験で良好な結果を示し、高いヒートスクラッチ限界を示した。これに対し、ジエステルおよびアルコールの一方しか含有しない場合(比較例1〜6)、さらに他の、酸部分又はアルコール部分の炭素鎖が本発明の規定の範囲外であるジエステルを採用した場合についての試験結果(比較例7〜10)では、ヒートスクラッチ発生限界が、実施例に比べ著しく劣っていた。
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