JP5047026B2 - ターボ型真空ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ターボ型真空ポンプに係り、特に大気圧から高真空まで排気可能でオイルフリーのターボ型真空ポンプに関する。
従来から半導体製造装置等において、チャンバ内の気体を排気して清浄な高真空(又は超高真空)を得るのにターボ型真空ポンプが用いられている。このターボ型真空ポンプには、吸気口と排気口とを有するポンプハウジング内にターボ分子ポンプ段、ネジ溝ポンプ段および渦流ポンプ段を順次配設し、これらポンプ段の回転翼を固定した回転軸を静圧気体軸受で支持するタイプの真空ポンプや、吸気口と排気口とを有するポンプハウジング内に多段の遠心圧縮ポンプ段を配設し、ポンプ段の回転翼を固定した回転軸をラジアル気体軸受及びスラスト気体軸受により支持するタイプの真空ポンプ等がある。このように、転がり軸受を用いることなく、気体軸受を用いて回転軸を支持することにより、ガス流路のみならず、軸受部等も含めたポンプ全体に油を用いる必要がないオイルフリーのターボ型真空ポンプを構成するようにしている。
特開2002−285987号公報 実開平1−142594号公報
上述したターボ分子ポンプ段、ネジ溝ポンプ段、渦流ポンプ段と、静圧気体軸受とを組合せたターボ型真空ポンプは、例えば特開2002−285987号公報(特許文献1)に記載されており、この真空ポンプは気体を超高真空から大気圧まで圧縮可能である。渦流ポンプ段の渦流翼(円周流翼)は、翼クリアランスが広くても、気体を大気圧まで圧縮可能な翼要素であり、回転円板の周辺部に放射状に形成された回転翼部と、回転翼の形成された回転円板を覆う環状の凹部(通風路)と、上下に隣り合う通風路を連通する連通路から構成されている。渦流翼は、回転円板を上下に覆う通風路が必要なため、翼要素の容積が大きいという欠点がある。また、通風路に1ヶ所設けられた連通路(吸入口)より気体を吸い込み、円周方向に圧縮し、隣り合う通風路に連通する連通路(排出口)より排出する構造のため、排気速度(排気容量)が小さいという欠点がある。さらに、放射状に多数形成された回転翼部を有する回転円板を、大気圧領域にて回転させるため、運転動力が大きいという欠点がある。しかも、通風路、連通口を形成した固定側の構造が複雑であるという構造上の問題点もある。
上述した遠心圧縮ポンプ段と気体軸受とを組合せたターボ型真空ポンプは、例えば、実開平1−142594号公報(特許文献2)に記載されており、この真空ポンプは気体を低真空域から大気圧近傍まで圧縮可能である。この真空ポンプにおいては、スラスト気体軸受は排気口側に設置されており、スラスト気体軸受の回転側スラストディスクは、固定側の上部と下部のディスクにより軸方向に挟んで構成されている。この真空ポンプは、遠心圧縮ポンプ段と気体軸受が別構造体であるため、部品点数が多いという欠点がある。そして、遠心圧縮ポンプ段と気体軸受が別構造体であるため、遠心圧縮ポンプ段の翼クリアランスの微小化が難しいという問題点がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、気体を高真空から大気圧まで圧縮できる翼要素で、構造がシンプル且つ、高効率(運転動力の小さい)の翼要素を有するターボ型真空ポンプを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の一態様は、ポンプの略全長に亘って延びる回転軸と、ケーシング内に回転翼と固定翼とを交互に配置することによって形成された排気部と、前記回転軸に回転駆動力を与えるモータと前記回転軸を回転自在に支承する軸受とを有した軸受モータ部を備えたターボ型真空ポンプにおいて、前記回転軸をスラスト方向に支承する軸受に気体軸受を用い、該気体軸受の固定側部位の両面にスパイラル溝を形成し、前記回転軸に固定された上側回転側部位と下側回転側部位とにより、前記スパイラル溝の形成された固定側部位を挟み込むようにし、前記上側回転側部位に、前記スパイラル溝と対向する面と逆の面に、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、回転軸と回転軸に固定された回転翼を含む回転体をスラスト方向に支承する軸受に気体軸受を採用したことにより、回転体を軸方向に数ミクロン(μm)から数十ミクロン(μm)の精度で回転保持することが可能となる。この気体軸受を構成している回転体側の部位、すなわち、上側回転側部位に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素を一体に形成する。気体軸受と遠心翼の微小クリアランスの方向は同じスラスト方向であるので、遠心翼要素の翼クリアランスを、気体軸受のクリアランスとほぼ同等に(または気体軸受のクリアランスより若干大きく)設定可能である。すなわち、上側回転側部位に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素を形成しているので、上側回転側部位は、遠心翼を構成するとともに軸方向の位置決めをする気体軸受の一部を構成することになる。このように、軸方向の位置決めをする上側回転側部位に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素を形成しているので、遠心翼要素の翼クリアランスを精度よく制御することができる。
本発明の好ましい態様は、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素を軸方向に多段に配置し、前記遠心翼要素の翼クリアランスを排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定したことを特徴とする。
気体を超高真空から大気圧まで圧縮するためには、翼の多段化が必要になる。ここで、回転翼と固定翼の温度を比較すると、当然、回転翼側の方が温度は高くなる。そのため、多段化した場合に各段のクリアランスを同じにすると、この温度差のために回転翼と固定翼の熱膨張差が生じ、上流側のクリアランスが徐々に狭くなり、接触が生ずる恐れがある。このため、各段の翼クリアランスを、この温度差を考慮して調整しなければならない。しかし、各段の翼クリアランスは非常に微小であるため、すべての段のクリアランスを計測・調整することは非常に手間を要し、組立時間の延長を招くものである。そこで、本発明のように、翼クリアランスが、排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定しておくことが好適である。
本発明の好ましい態様は、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素を軸方向に多段に配置し、前記遠心翼要素を有した前記回転翼の軸方向厚さに対して前記固定翼の軸方向厚さを、軸方向に形成される翼クリアランスの約10〜50%厚く形成したことを特徴とする。
本発明によれば、固定翼側の軸方向厚さを、回転翼側よりも予め厚めに設定しておくことにより、段数を積み上げる毎に、翼クリアランスは自ずと拡大していく。例えば、固定翼側の軸方向厚さを、回転翼側の軸方向厚さよりも予めtμm厚めに設定しておき、気体軸受に最も近い遠心翼段の翼クリアランスをCLμmと仮定すれば、次の段の翼クリアランスはCLμm+tμmとなり、その次の段の翼クリアランスはCLμm+2×tμmとなり、段数を積み上げる毎に、翼クリアランスは自ずと拡大していく。この寸法差は、回転翼側と固定翼側の温度差を考慮して決定すれば良い。また回転翼と固定翼の材質が違うのであれば、それらの線膨張係数の差も考慮すれば良い。
本発明の好ましい態様は、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素の遠心翼溝を、回転翼側の軸方向の微小クリアランスを形成する面とその反対側の面の両方に形成したことを特徴とする。
微小クリアランスの翼を多段化するためには、各部品の精度ができるだけ高いに越したことはない。気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼溝からなる遠心翼要素は、気体を内周側から外周側に排気する面に形成されている。すなわち、遠心翼要素は、遠心力の作用する方向に形成されている。しかしながら、この遠心翼要素が片面にのみ形成されている場合には、遠心翼面の撓み・変形が発生し易く、面の修正が必要となる。
本発明によれば、回転翼側において、遠心翼溝の形成されている逆側の面にも同様の遠心翼溝を形成することにより、面の撓み・変形は低減する。
本発明の好ましい態様は、多段に配置された遠心翼要素を軸方向に締結する部品の少なくとも一部に弾性変形構造部を設けたことを特徴とする。
本発明のターボ型真空ポンプでは、非常に微小な翼クリアランスを形成するため、各部品の材料としては、セラミックスが適している。回転翼側には、高強度を有する窒化珪素セラミックスなどが好適であり、固定翼側には、熱伝導率の高い炭化珪素セラミックスなどが好適である。固定翼側としては、その他にアルミナセラミックスも使用できる。回転翼にセラミックスといった線膨張係数の小さい材料(約3×10−6/℃)を用い、回転軸にステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼)を用いた場合、ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼)の線膨張係数が約10×10−6/℃であるため、線膨張係数の差により、回転体の回転による昇温中に締結の緩みが発生する恐れがある。
本発明によれば、多段に配置された遠心翼要素を軸方向に締結するための部品の少なくとも一部に弾性変形構造部を設け、回転翼の軸方向締結時に、弾性変形構造部に、予め軸方向の変形を発生させておくことにより、熱変形による緩み防止を図ることができる。弾性変形構造部の材質としては、アルミ合金が好適である。
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏する。
(1)回転軸と回転軸に固定された回転翼を含む回転体をスラスト方向に支承する軸受に気体軸受を採用し、気体軸受を構成している回転体側の部位、すなわち、上側回転側部位に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素を一体に形成することにより、気体軸受と遠心翼の微小クリアランスの方向は同じスラスト方向であるので、遠心翼要素の翼クリアランスを、気体軸受のクリアランスとほぼ同等に設定可能である。したがって、遠心翼要素の翼クリアランスを精度よく制御することができる。
(2)軸方向に多段に配置された遠心翼要素の翼クリアランスを排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定したため、温度差のために回転翼と固定翼の熱膨張差が生じ、上流側のクリアランスが徐々に狭くなる現象が生じても、回転翼と固定翼が接触する恐れはなく、また各段の翼クリアランスを、この温度差を考慮して計測・調整する必要がなく、組立時間の短縮をはかることができる。
(3)固定翼側の軸方向厚さを、回転翼側の軸方向厚さよりも予め厚めに設定しておくことにより、段数を積み上げる毎に、翼クリアランスを自ずと拡大させていくことができ、翼クリアランスの調整が不要となる。
(4)気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素の遠心翼溝を、回転翼側の軸方向の微小クリアランスを形成する面とその反対側の面の両方に形成したため、面の撓み・変形を低減することができ、面の修正が不要となる。
(5)多段に配置された遠心翼要素を軸方向に締結するための部品の少なくとも一部に弾性変形構造部を設け、回転翼の軸方向締結時に、弾性変形構造部に、予め軸方向の変形を発生させておくことにより、熱変形による緩み防止を図ることができる。
以下、本発明に係るターボ型真空ポンプの実施形態について図1乃至図12を参照して説明する。なお、図1乃至図12において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係るターボ型真空ポンプの一実施形態を示す縦断面図である。図1に示すように、ターボ型真空ポンプは、ポンプの略全長に亘って延びる回転軸1と、ケーシング2内に回転翼と固定翼とを交互に配置することによって形成された排気部10と、回転軸1に回転駆動力を与えるモータと回転軸を回転自在に支承する軸受とを有した軸受モータ部50を備えている。前記ケーシング2は、排気部10を収容する上ケーシング3と、軸受モータ部50を収容する下ケーシング4とから構成されており、上ケーシング3の上端部に吸気口5が形成され、下ケーシング4の下部に排気口6が形成されている。
前記排気部10は、上ケーシング3の吸気口側から下方に向かって、タービン翼排気部11、第1遠心翼排気部21、第2遠心翼排気部31を順次配置して構成されている。タービン翼排気部11は、多段の回転翼としてのタービン翼12と、タービン翼12の直後流側に配置された多段の固定翼17とを備えている。多段のタービン翼12は、概略円柱状のタービン翼部13に一体に形成されており、タービン翼部13のボス部14には中空部15が形成されている。中空部15の底部15aには貫通孔15hが形成されており、貫通孔15hにボルト16が挿通されるようになっている。すなわち、ボルト16を貫通孔15hに挿通し、回転軸1の上部のねじ孔1sに螺合することにより、タービン翼部13は回転軸1に固定されている。
一方、多段の固定翼17は、上ケーシング3内に積層されたスペーサ18によって挟持されることにより上ケーシング3内に固定されている。これにより、タービン翼排気部11において、回転翼としてのタービン翼12と、固定翼17とが交互に配置される構成になっている。
前記第1遠心翼排気部21は、多段の回転翼としての遠心翼22と、遠心翼22の直後
流側に配置された多段の固定翼23とを備えている。遠心翼22は、多段に積層されるとともに回転軸1の外周に嵌合されており、キー等の固定手段によって回転軸1に固定されている。また固定翼23も上ケーシング3内に多段に積層されている。これにより、第1遠心翼排気部21において、回転翼としての遠心翼22と、固定翼23とが交互に配置される構成になっている。各遠心翼22は、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼溝からなる遠心翼要素22aを有している。
前記第2遠心翼排気部31は、多段の回転翼としての遠心翼32と、遠心翼32の直後流側に配置された多段の固定翼33とを備えている。遠心翼32は、多段に積層されるとともに回転軸1の外周に嵌合されており、キー等の固定手段によって回転軸1に固定されている。また固定翼33も上ケーシング3内に多段に積層されている。これにより、第2遠心翼排気部31において、回転翼としての遠心翼32と、固定翼33とが交互に配置される構成になっている。各遠心翼32は、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼溝からなる遠心翼要素32aを有している。そして、第2遠心翼排気部31の直後流側には、回転軸1と回転軸1に固定された回転翼12,22,32を含む回転体をスラスト方向に支承する気体軸受40が設けられている。
図2は、気体軸受40およびその周辺部を示す要部拡大図である。図2に示すように、気体軸受40は、上ケーシング3に固定された固定側部材(固定側部位)41と、固定側部材(固定側部位)41を挟むように上下に配置された上側回転側部材(上側回転側部位)42と下側回転側部材(下側回転側部位)43とから構成されている。上側回転側部材(上側回転側部位)42と下側回転側部材(下側回転側部位)43は、回転軸1に固定されている。固定側部材(固定側部位)41の両面にはスパイラル溝45,45が形成されている。回転側の上下に分割された部材(部位)、すなわち、上側回転側部材(上側回転側部位)42と下側回転側部材(下側回転側部位)43とにより、スパイラル溝45,45の形成された固定側部材(固定側部位)41を挟み込む構造としている。そして、上側回転側部材(上側回転側部位)42には、固定側部材(固定側部位)41のスパイラル溝45との対向面と逆の面に、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素42aを形成している。遠心翼要素42aは、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼溝からなっている。
図3は、図2のIII矢視図である。図3に示すように、固定側部材(固定側部位)41の表面には、略全面に亘って多数のスパイラル溝45が形成されている(図3においては、一部のスパイラル溝のみ示す)。
図2に示すように、回転軸1と回転軸1に固定された回転翼を含む回転体をスラスト方向に支承する軸受に気体軸受40を採用したことにより、回転体を軸方向に数ミクロン(μm)から数十ミクロン(μm)の精度で回転保持することが可能となる。この気体軸受40を構成している回転体側の部位、すなわち、上側回転側部材(上側回転側部位)42に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素42aを一体に形成する。気体軸受40と遠心翼の微小クリアランスの方向は同じスラスト方向であるので、遠心翼要素42aの翼クリアランスも、気体軸受40のクリアランスとほぼ同等に(または気体軸受のクリアランスより若干大きく)設定可能である。すなわち、上側回転側部材(上側回転側部位)42に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素42aを形成しているので、上側回転側部材(上側回転側部位)42は、遠心翼を構成するとともに軸方向の位置決めをする気体軸受40の一部を構成することになる。このように、軸方向の位置決めをする上側回転側部材(上側回転側部位)42に、気体を半径方向に圧縮する遠心翼要素42aを形成しているので、遠心翼要素42aの翼クリアランスを精度よく制御することができる。
回転軸1と回転軸1に固定された回転翼を含む回転体が気体軸受40の軸方向中心で浮上しているときの気体軸受40のクリアランスをδdとし、そのときの翼クリアランスをδeとすると、δeとδdの差(δe−δd)は、気体軸受40のトータルクリアランス2δd(すなわちδdu+δdl)の10〜30%程度に設定するのが、翼部の接触に対する信頼性、翼の排気性能の面で適当である。すなわち、δe−δd=(0.1〜0.3)×(2δd)に設定することが好ましい。
なお、図2においては、回転体が気体軸受40の軸方向中心で浮上しているときの状態を図示しているため、δdu(=δd)、δdl(=δd)としている。
大気圧領域にて、ターボ型翼要素の性能が悪い理由は、翼クリアランスが大きく、大気圧領域では逆流が多くなるためである。本発明の構造により、翼クリアランスの微小化を図ることができ、大気圧領域での大幅な圧縮性能の向上を図ることができる。
また、本実施形態のターボ型真空ポンプにおいては、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素42a,32a,22aが軸方向に多段に配置され、前記遠心翼要素32a,22aの翼クリアランスは、排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定されている。気体を超高真空から大気圧まで圧縮するためには、翼の多段化が必要になる。ここで、回転翼と固定翼の温度を比較すると、当然、回転翼側の方が温度は高くなる。そのため、多段化した場合に各段のクリアランスを同じにすると、この温度差のために回転翼と固定翼の熱膨張差が生じ、上流側のクリアランスが徐々に狭くなり、接触が生ずる恐れがある。このため、各段の翼クリアランスを、この温度差を考慮して調整しなければならない。しかし、各段の翼クリアランスは非常に微小であるため、すべての段のクリアランスを計測・調整することは非常に手間を要し、組立時間の延長を招くものである。そこで、翼クリアランスが、排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定しておくことが好適である。
図4は、翼クリアランスが排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定された排気部を示す要部拡大図である。図4を参照して遠心翼段数を仮に5段とした場合の翼クリアランスの関係を説明する。遠心翼の段数を表す記号をnとおき、気体軸受40に最も近い遠心翼段をn=1、その翼クリアランスをδe1とする。翼クリアランスは、δe1〜δe5となり、その関係をδe1≦δe2≦δe3≦δe4≦δe5に設定する。(ただし、全ての翼クリアランスが等しい関係、δe1=δe2=δe3=δe4=δe5は除く)
また図4は、遠心翼要素の回転翼の軸方向厚さに対する固定翼の軸方向厚さの関係を示している。図4に示すように、本実施形態のターボ型真空ポンプにおいては、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素が軸方向に多段に配置され、遠心翼要素の回転翼の軸方向厚さに対し固定翼の軸方向厚さの方が、軸方向に形成される翼クリアランスの約10〜50%厚く形成されている。すなわち、排気部10における遠心翼要素を有した回転翼(上側回転側部材42,遠心翼32,遠心翼22)の軸方向の厚さをHrとし、固定翼23,33の軸方向の厚さをHsとすると、Hs−Hrは、動圧軸受40のトータルクリアランスである2δd(すなわちδdu+δdl)の10〜50%程度に設定されている。そして、遠心翼の段数を表す記号をnとおき、気体軸受40に最も近い遠心翼段をn=1とすると、気体軸受40からn段目の遠心翼段の翼クリアランスδenと(n+1)段目の遠心翼段の翼クリアランスδen+1との関係は次式で表される。
δen+1=δen+(Hs−Hr)
気体を超高真空から大気圧まで圧縮するためには、翼の多段化が必要になる。ここで、回転翼と固定翼の温度を比較すると、当然、回転翼側の方が温度は高くなる。そのため、多段化した場合に各段のクリアランスを同じにすると、この温度差のために回転翼と固定翼の熱膨張差が生じ、上流側のクリアランスが徐々に狭くなり、回転翼と固定翼が接触する恐れがある。このため、各段の翼クリアランスを、この温度差を考慮して調整しなければならない。しかし、各段の翼クリアランスは非常に微小であるため、すべての段のクリアランスを計測・調整することは非常に手間を要し、組立時間の延長を招くものである。
そこで、固定翼側の軸方向厚さを、回転翼側の軸方向厚さよりも予め厚めに設定しておく。そうすると、段数を積み上げる毎に、翼クリアランスは自ずと拡大していく。例えば、固定翼側の軸方向厚さを、回転翼側の軸方向厚さよりも予めtμm厚めに設定しておき、気体軸受40に最も近い遠心翼段の翼クリアランスをCLμmと仮定すれば、次の段の翼クリアランスはCLμm+tμmとなり、その次の段の翼クリアランスはCLμm+tμm+tμmとなり、段数を積み上げる毎に、翼クリアランスは自ずと拡大していく。この寸法差は、回転翼側と固定翼側の温度差を考慮して決定すれば良い。また回転翼と固定翼の材質が違うのであれば、それらの線膨張係数の差も考慮すれば良い。この寸法差が大きくなればなるほど、上流側のクリアランスは大きくなってしまい、性能低下への影響も大きくなってしまう。この寸法差は、組立性、接触に対する信頼性、性能の面から決定され、概略、最下段(大気圧側)翼のクリアランスの10〜50%程度に設定することが適当である。
図5は、遠心翼要素が回転翼側の軸方向微小クリアランスを形成する面とその反対側の面の両方に形成されている排気部を示す要部拡大図である。図5に示すように、本実施形態のターボ型真空ポンプにおいては、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼溝からなる遠心翼要素32a,42aが、回転翼側の軸方向微小クリアランスを形成する面とその反対側の面の両方に形成されている。微小クリアランスの翼を多段化するためには、各部品の精度ができるだけ高いに越したことはない。気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼溝からなる遠心翼要素32a,42aは、気体を内周側から外周側に排気する面に形成されている。すなわち、遠心翼要素32a,42aは、遠心力の作用する方向に形成されている。しかしながら、この遠心翼要素が片面にのみ形成されている場合には、遠心翼面の撓み・変形が発生し易く、面の修正が必要となる。ここで、回転翼側において、遠心翼溝の形成されている逆側の面にも同様の遠心翼溝を形成することにより、面の撓み・変形は低減する。すなわち、上側回転側部材(上側回転側部位)42、遠心翼22,32の両面に遠心翼要素42a,22a,32aの遠心翼溝を形成する。また、気体を内周側から外周側に排気する面の逆面に形成する遠心翼溝は、気体を外周側から内周側へ導く方向の角度で形成されており、気体を圧縮する効果もある。ただし、正規の面に形成された遠心翼溝の圧縮作用に比べると、遠心力に逆らう方向への圧縮のため、その圧縮効果は小さい。
図6は、多段に配置された遠心翼要素を軸方向に締結するための構成を示す要部拡大図である。図6に示すように、本実施形態のターボ型真空ポンプにおいては、多段に配置された遠心翼要素32a,42aを軸方向に締結する部品の一部に弾性変形構造部48を設けている。弾性変形構造部48は円環状のスペーサからなり、弾性変形構造部48には、上下部分48a,48bが変形しやすいように中央部にスリット48sが形成されている。
本実施形態のターボ型真空ポンプでは、非常に微小な翼クリアランスを形成するため、各部品の材料としては、セラミックスが適している。回転翼側には、高強度を有する窒化珪素セラミックスなどが好適であり、固定翼側には、熱伝導率の高い炭化珪素セラミックスなどが好適である。固定翼側としては、その他にアルミナセラミックスも使用できる。回転翼にセラミックスといった線膨張係数の小さい材料(約3×10−6/℃)を用い、回転軸にステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼)を用いた場合、ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼)の線膨張係数が約10×10−6/℃であるため、線膨張係数の差により、回転体の回転による昇温中に締結の緩みが発生する恐れがある。そこで、図6に示すように、多段に配置された遠心翼要素32a,42aを軸方向に締結するための部品の少なくとも一部に弾性変形構造部48を設け、回転翼の軸方向締結時に、弾性変形構造部48に、図6の破線で示すように、予め軸方向の変形を発生させておけば、熱変形による緩み防止を図ることが出来る。弾性変形構造部48の材質としては、アルミ合金が好適である。アルミ合金は線膨張係数が大きく(23×10−6/℃)、延性材料である。
次に、排気部10の翼要素の構成について説明する。
図7(a)、(b)は、タービン翼排気部11のタービン翼部13を示す図である。図7(a)は、タービン翼部13を吸気口側から見た平面図であり、ケーシング2の吸気口5に最も近い最上段のタービン翼12のみを示した図であり、図7(b)は、タービン翼12を放射状に中心に向かって見た図を平面上に部分的に展開した図である。図7(a)および図7(b)に示すように、タービン翼部13は、ボス部14と、タービン翼12とを有している。タービン翼12はボス部14の外周部に放射状に取り付けられた板状の複数の羽根12aを備えている。ボス部14には、中空部15及び貫通孔15hが形成されている。羽根12aは、回転軸1の中心軸線からβ1(例えば、10〜40度)だけねじれた捩れ角をもって取り付けられている。その他のタービン翼12の構成は、最上段のタービン翼12の構成と同じであるが、羽根の枚数、羽根の取付角度β1、ボス部14の羽根を取り付けた部分の外径、羽根の長さなどは、適宜変えてもよい。
図8(a)、(b)、(c)は、タービン翼排気部の固定翼17を示す図である。図8(a)は、ケーシング2の吸気口5に最も近い最上段の固定翼17を吸気口側から見た平面図であり、図8(b)は、固定翼17を放射状に中心に向かって見た図を平面上に部分的に展開した図であり、図8(c)は、図8(a)のVIII−VIII線断面図である。固定翼17は、円環状の円環部18と、円環部18の外周部に放射状に取り付けられた板状の羽根17aとを備えている。円環部18の内周部は軸孔19を形成し、軸孔19を回転軸1(図1参照)が貫通している。羽根17aは、回転軸1の中心軸線からβ2(例えば、10〜40度)だけねじれた捩れ角をもって取り付けられている。その他の固定翼17の構成は、最上段の固定翼17の構成と同じであるが、羽根の枚数、羽根の取付角度β2、円環部の外径、羽根の長さなどは、適宜変えてもよい。
図9(a)、(b)は、第1遠心翼排気部21の遠心翼22を示す図である。図9(a)は、ケーシング2の吸気口5に最も近い最上段の遠心翼22を吸気口側から見た平面図であり、図9(b)は、遠心翼22の正面断面図である。高真空側の遠心翼である遠心翼22は、ボス部24を有する略円板状の基部25と、基部25の一方の表面上に形成される遠心翼要素22aとを備える。ボス部24には、回転軸1が挿通される貫通孔24hが形成されている。遠心翼22の回転方向は、図9(a)において時計方向である。
遠心翼要素22aは、図9(a)に示すような渦巻き状の遠心溝からなる。遠心翼要素22aを構成する渦巻状の遠心溝は、回転方向に対して後ろ向き(回転方向とは反対向き)にガス流れ方向に延びる構造であり、ボス部24の外周面から基部25の外周縁まで達している。その他の遠心翼22の構成は、最上段の遠心翼22の構成と同じであるが、遠心溝の個数や形状、ボス部の外径、遠心溝により形成される流路の長さなどは、適宜変えてもよい。
図10(a)、(b)は、第2遠心翼排気部31の遠心翼32を示す図である。図10(a)は、ケーシング2の吸気口5に最も近い最上段の遠心翼32を吸気口側から見た平面図であり、図10(b)は、遠心翼32の正面断面図である。大気圧側の遠心翼である遠心翼32は、略円板状の基部35と、基部35の一方の表面上に形成される遠心翼要素32aとを備える。基部35には、回転軸1が挿通される貫通孔35hが形成されている。遠心翼32の回転方向は、図10(a)において時計方向である。
遠心翼要素32aは、図10(a)に示すような渦巻き状の遠心溝からなる。遠心翼要素32aを構成する渦巻状の遠心溝は、回転方向に対して後ろ向き(回転方向とは反対向き)にガス流れ方向に延びる構造であり、略円板状の基部35の内周部から外周縁まで達している。その他の遠心翼32の構成は、最上段の遠心翼32の構成と同じであるが、遠心溝の個数や形状、遠心溝により形成される流路の長さなどは、適宜変えてもよい。
図9および図10に示すように、大気圧側の遠心翼32と高真空側の遠心翼22とを比較すると、大気圧側の遠心翼32における遠心翼要素32aの溝部深さは浅く(もしくは凸部高さは低く)、高真空側の遠心翼22における遠心翼要素22aの溝部深さは深く(もしくは凸部高さは高く)設定されている。すなわち、高真空に向かうに従い遠心翼要素の遠心溝の溝部深さは深く(もしくは凸部高さは高く)なっていく。要するに、高真空側に向かうに従い、排気速度が大きくなっていく。
次に、軸受モータ部50について説明する。図1に示すように、軸受モータ部50は、回転軸1に回転駆動力を与えるモータ51と、回転軸1をラジアル方向に支承する上ラジアル磁気軸受53,下ラジアル磁気軸受54と、回転体を軸方向に吸引する上スラスト磁気軸受56を備えている。モータ51は高周波モータから構成されている。上ラジアル磁気軸受53,下ラジアル磁気軸受54,上スラスト磁気軸受56は、いずれも能動型磁気軸受である。磁気軸受53,54,56のいずれかに異常が発生したときに、回転翼と固定翼とが接触することを防止するために、回転軸1を半径方向および軸方向に支承する上保護ベアリング81と下保護ベアリング82とが設けられている。上スラスト磁気軸受56は、電磁石によりターゲットディスク58を吸引するように構成されている。
次に、図1乃至図10に示すように構成されたターボ型真空ポンプの作用を説明する。
タービン翼排気部11におけるタービン翼12が回転することによって、ポンプの吸気口5から軸方向にガスが導入される。タービン翼12を使用することにより排気速度を大きくすることができ、比較的多量の気体を排気することができる。吸気口5から導入されたガスは、最上段のタービン翼12を通過して固定翼17により減速され圧力が上昇する。同様に下流側のタービン翼12及び固定翼17により軸方向に排気され、圧力が上昇する。
タービン翼排気部11から第1遠心翼排気部21に流入したガスは、最上段の遠心翼22に導入され、最上段の遠心翼22と最上段の固定翼23との相互作用、すなわち当該ガスの粘性によるドラッグ作用、さらに遠心翼要素22aの回転による遠心作用により、遠心翼22の基部25の表面に沿って外周側へ向かわせるガスの圧縮、排気が行われる。すなわち、最上段の遠心翼22に導入されたガスは、当該遠心翼22に対して図9(b)中、略軸方向27に導入され、渦巻状の遠心溝を通って外周側に向かう遠心方向28に流れ、圧縮され、排気される。
最上段の遠心翼22によって外周側へ向かって圧縮されたガスは、次に最上段の固定翼23に流れ込み、固定翼23の鉛直方向に延びる内周面によって、略軸方向に方向を変え、固定翼23の表面側にある渦巻状ガイド(図示せず)が設けられた空間へ流れ込む。そして、最上段の遠心翼22が回転することによって、固定翼23の渦巻状ガイドと、最上段の遠心翼22の基部25の裏面とのガスの粘性によるドラッグ作用によって、最上段の固定翼23の表面に沿って内周側へ向かわせるガスの圧縮、排気が行われる。最上段の固定翼23の内周側に達したガスは、最上段の遠心翼22のボス部24の外周面によって、略軸方向に方向が変わり、下流側の遠心翼22に導入される。下流側の遠心翼22及び固定翼23により、同様のガスの圧縮、排気が行われる。
第1遠心翼排気部21から第2遠心翼排気部31に流入したガスは、最上段の遠心翼32に導入され、最上段の遠心翼32と最上段の固定翼33との相互作用、すなわち当該ガスの粘性によるドラッグ作用、さらに遠心翼要素32aの回転による遠心作用により、最上段の遠心翼32の基部35の表面に沿って外周側へ向かわせるガスの圧縮、排気が行われる。次に、最上段の固定翼33に流れ込み、固定翼33の鉛直方向に延びる内周面によって、略軸方向に方向を変え、固定翼33の表面側にある渦巻状ガイド(図示せず)が設けられた空間へ流れ込む。そして、最上段の遠心翼32が回転することによって、固定翼33の渦巻状ガイド(図示せず)と、最上段の遠心翼32の基部35の裏面とのガスの粘性によるドラッグ作用によって、最上段の固定翼33の表面に沿って内周側へ向かわせるガスの圧縮、排気が行われる。最上段の固定翼33の内周側に達したガスは、略軸方向に方向が変わり、下流側の遠心翼32に導入される。下流側の遠心翼32及び固定翼33により、同様のガスの圧縮、排気が行われる。そして、第2遠心翼排気部31から排出されたガスは、排気口6から真空ポンプの外部に排出される。
図11は、ターボ型真空ポンプにおける翼クリアランスによる性能比較を示すグラフであり、排気圧が760Torrで、遠心翼1段で取得できる差圧と回転速度の関係を示す図である。図11において、横軸は、真空ポンプの回転速度(min−1)を表し、縦軸は、差圧(Torr)を表す。翼クリアランスが25μmの場合と40μmの場合とを比較して示す。図11に示すように、翼クリアランスが25μmの場合、遠心翼1段で、10万回転/分(min−1)の回転速度にて、約300Torrの差圧を取得することができる。これに対して、翼クリアランスが40μmの場合、遠心翼1段で、10万回転/分(min−1)の回転速度にて、約250Torrの差圧を取得することができる。すなわち、翼クリアランスが25μmから40μmまで15μm変化すると、性能は、グラフに示すように低下する。このことからも、翼クリアランスを微小に設定できる本発明の効果が分かる。
図12は、本発明に係るターボ型真空ポンプの他の実施形態を示す縦断面図である。図12に示すように、ターボ型真空ポンプは、排気部10の排気作用による排気側と吸気側の差圧により生ずるスラスト力を打ち消す方向に作用するスラスト磁気軸受55を備えている。スラスト磁気軸受55は、電磁石を有した上スラスト磁気軸受56と、電磁石を有した下スラスト磁気軸受57と、回転軸1の下部に固定されたターゲットディスク58とから構成されている。スラスト磁気軸受55においては、上下スラスト磁気軸受56,57によりターゲットディスク58を挟み込むようにし、上下スラスト磁気軸受56,57の電磁石によりターゲットディスク58を吸引し、排気部10の排気作用による排気側と吸気側の差圧により生ずるスラスト力を打ち消すようにしている。図12に示すターボ型真空ポンプのその他の構成は、図1に示すターボ型真空ポンプと同様である。
本発明においては、ラジアル方向の軸受には、磁気軸受を用いた例を示したが、これが気体軸受であっても当然構わない。また、本発明は、大気圧領域で効果を得るためのものである。この大気圧領域の翼要素の上流側に、概略10Torr以下の真空にて、従来、ターボ分子ポンプで採用されている、円筒ネジ溝ロータ、遠心翼、タービン翼の少なくとも一つが用いられても、当然構わない。この領域で使用する遠心翼は、本発明の微小クリアランス遠心翼と排気原理は同じであるが、大気圧領域に比べて真空度が高く、逆流も少なくなるので、大気圧領域の遠心翼のように微小に設定されたものではなく、汎用ターボ分子ポンプの翼クリアランス(0.1〜1mm程度)であっても構わない。この遠心翼をアルミ合金で製作した場合、図5に示した弾性変形構造部を備えても勿論構わない。
気体軸受は、動圧型、静圧型どちらであっても、本発明の効果に影響はない。静圧型の場合は、外部気体供給手段が必要となる。
図1は、本発明に係るターボ型真空ポンプの一実施形態を示す縦断面図である。 図2は、気体軸受およびその周辺部を示す要部拡大図である。 図3は、図2のIII矢視図である。 図4は、翼クリアランスが排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定された排気部を示す要部拡大図である。 図5は、遠心翼要素が回転翼側の軸方向微小クリアランスを形成する面とその反対側の面の両方に形成されている排気部を示す要部拡大図である。 図6は、多段に配置された遠心翼要素を軸方向に締結するための構成を示す要部拡大図である。 図7(a)、(b)は、タービン翼排気部のタービン翼部を示す図であり、図7(a)は、タービン翼部を吸気口側から見た平面図であってケーシングの吸気口に最も近い最上段のタービン翼のみを示した図であり、図7(b)は、タービン翼を放射状に中心に向かって見た図を平面上に部分的に展開した図である。 図8(a)、(b)、(c)は、タービン翼排気部の固定翼を示す図であり、図8(a)は、ケーシングの吸気口に最も近い最上段の固定翼を吸気口側から見た平面図であり、図8(b)は、固定翼を放射状に中心に向かって見た図を平面上に部分的に展開した図であり、図8(c)は、図8(a)のVIII−VIII線断面図である。 図9(a)、(b)は、第1遠心翼排気部の遠心翼を示す図であり、図9(a)は、ケーシングの吸気口に最も近い最上段の遠心翼を吸気口側から見た平面図であり、図9(b)は、遠心翼の正面断面図である。 図10(a)、(b)は、第2遠心翼排気部の遠心翼を示す図であり、図10(a)は、ケーシングの吸気口に最も近い最上段の遠心翼を吸気口側から見た平面図であり、図10(b)は、遠心翼の正面断面図である。 図11は、ターボ型真空ポンプにおける翼クリアランスによる性能比較を示すグラフであり、排気圧が760Torrで、遠心翼1段で取得できる差圧と回転速度の関係を示す図である。 図12は、本発明に係るターボ型真空ポンプの他の実施形態を示す縦断面図である。
符号の説明
1 回転軸
2 ケーシング
3 上ケーシング
4 下ケーシング
5 吸気口
6 排気口
10 排気部
11 タービン翼排気部
12 タービン翼
13 タービン翼部
14 ボス部
15 中空部
15h 貫通孔
16 ボルト
17 固定翼
18 スペーサ
21 第1遠心翼排気部
22 遠心翼
22a,32a,42a 遠心翼要素
23 固定翼
24 ボス部
24h 貫通孔
25 基部
31 第2遠心翼排気部
32 遠心翼
33 固定翼
35 基部
35h 貫通孔
40 気体軸受
41 固定側部材(固定側部位)
42 上側回転側部材(上側回転側部位)
43 下側回転側部材(下側回転側部位)
45 スパイラル溝
48 弾性変形構造部
48s スリット
50 軸受モータ部
51 モータ
53 上ラジアル磁気軸受
54 下ラジアル磁気軸受
55 スラスト磁気軸受
56 上スラスト磁気軸受
57 下スラスト磁気軸受
58 ターゲットディスク
81 上保護ベアリング
82 下保護ベアリング

Claims (5)

  1. ポンプの略全長に亘って延びる回転軸と、ケーシング内に回転翼と固定翼とを交互に配置することによって形成された排気部と、前記回転軸に回転駆動力を与えるモータと前記回転軸を回転自在に支承する軸受とを有した軸受モータ部を備えたターボ型真空ポンプにおいて、
    前記回転軸をスラスト方向に支承する軸受に気体軸受を用い、該気体軸受の固定側部位の両面にスパイラル溝を形成し、前記回転軸に固定された上側回転側部位と下側回転側部位とにより、前記スパイラル溝の形成された固定側部位を挟み込むようにし、
    前記上側回転側部位に、前記スパイラル溝と対向する面と逆の面に、気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素を形成したことを特徴とするターボ型真空ポンプ。
  2. 気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素を軸方向に多段に配置し、前記遠心翼要素の翼クリアランスを排気側から吸気側に向かって徐々に大きくなるように設定したことを特徴とする請求項1記載のターボ型真空ポンプ。
  3. 気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素を軸方向に多段に配置し、前記遠心翼要素を有した前記回転翼の軸方向厚さに対して前記固定翼の軸方向厚さを、軸方向に形成される翼クリアランスの約10〜50%厚く形成したことを特徴とする請求項1記載のターボ型真空ポンプ。
  4. 気体を半径方向に圧縮排気する遠心翼要素の遠心翼溝を、回転翼側の軸方向の微小クリアランスを形成する面とその反対側の面の両方に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のターボ型真空ポンプ。
  5. 多段に配置された遠心翼要素を軸方向に締結する部品の少なくとも一部に弾性変形構造部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のターボ型真空ポンプ。
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