JP5046244B2 - サンドイッチ成形品及びチェーン - Google Patents
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さらに、機能の異なる複数の添加剤を配合する場合、添加剤同士の相性を考慮しないと、成形性が悪化したり、成形品ウエルド部での著しい強度低下を引き起こしたりすることがあるため、機能添加剤の組み合わせ及び配合量が制限されるという問題があった。
サンドイッチ成形とは、スキン層(外層)を形成する合成樹脂材料を金型のキャビティ内に注入し、次いでこの合成樹脂材料層の内部にコア層(内層)を形成する合成樹脂材料を注入し、これらの合成樹脂材料を冷却固化することでスキン層の内部にコア層が形成された3層構造の樹脂成形体を形成する成形をいう。
本発明においては、スキン層の合成樹脂に、結晶化度、ガラス転移温度、極性及び機能添加剤との相性等が好転する滲出助長剤を配合しているので、機能添加剤がコア層からスキン層表面に良好に滲出される。このとき、機能添加剤は、スキン層の非晶部に存在する滲出助長剤の非晶部を通って、スキン層表面に滲出するものと考えられる。
スキン層には成形性に悪影響を及ぼす機能添加剤を含有せず、機能添加剤を含有する場合には成形性に影響を及ぼさない機能添加剤を含有するので、強度が低下することなく、良好に成形することができ、外観品位が良好なサンドイッチ成形品が得られる。
そして、機能添加剤は、コア層に高濃度に含有させることができるので、性能向上効果を長期に維持することができる。
POMとしては、ホルムアルデヒド若しくはトリオキサンをモノマーとして重合反応により得られる、オキシメチレン基を主成分とするホモポリマー、又は環状エーテル化合物とのコポリマー等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、アルキルエステル、エチレングリコールジステアレート等の一塩基性脂肪酸と2価アルコールとのエステル、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアロアマイド(EBS)、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。ポリオレフィンワックスとしては、Mn/Mw=2000/12000以下であり、ベース樹脂がPOMである場合、POMとの極性面を考慮して、わずかに極性を有する酸化型PEワックスが好ましい。
主機能添加剤は、スキン層の非晶部を構成する滲出助長剤を通って、スキン層表面に滲出するので、分子量が大きすぎないものを選択する。
良好な性能の発揮及び維持という観点から、主機能添加剤は、コア層の合成樹脂材料中に3質量%以上20質量%以下含有させるのが好ましい。
良好な性能の発揮及び維持、並びに良好な成形性の保有という観点から、副機能添加剤は、スキン層の合成樹脂材料中に1質量%以上10質量%以下含有させるのが好ましい。
滲出助長剤がPEである場合、分子量が数万以下であるLDPE(低密度PE)及びHDPE(高密度PE)、分子量が400万程度である超高分子量PEのいずれのPEを用いてもスキン層表面に主機能添加剤が滲出するのが確認されている。高分子量PEの場合、主機能添加剤の滲出に時間を要するが、サンドイッチ成形品の性能の向上という観点からPEの種類を選択する。
サンドイッチ成形品の強度が良好に保持されるように、スキン層合成樹脂材料の滲出助長剤の含有量の上限は10質量%とするのが好ましい。
例えば、スキン層に副機能添加剤として、上述のPTFE、カーボン、二硫化モリブテン、シリコーンポリマー等の固体潤滑剤を配合し、コア層に主機能添加剤としてオレフィン系ワックス及び脂肪酸エステル等の半固体潤滑剤又は液体潤滑剤を配合し、「低面圧・高速」及び「高面圧・低速」のいずれの条件でも高摺動特性を長時間維持できるように組み合わせることができる。
そして、スキン層に導電ポリマーを配合し、コア層に半固体潤滑剤又は液体潤滑剤を配合し、摺動特性と帯電防止性とを併せ持つように組み合わせることができる。
そして、加熱処理をサンドイッチ成形後の後処理工程として実施せずに、サンドイッチ成形品の使用に際して発生する熱を利用することにしてもよい。サンドイッチ成形品が、例えば搬送分野の合成樹脂製チェーン及びチェーンガイド等の摺動部品として用いられる場合、使用時の摺動熱により主機能添加剤の拡散が進行する。また、サンドイッチ成形品が車両エンジン分野のタイミングシステムにおけるテンショナレバー等の灼熱雰囲気下で使用する部品として用いられる場合、使用時の灼熱により拡散が進行するので、使用前の加熱処理を省略することができる。
図1は本発明の実施の形態に係るコンベヤチェーン1を示す正面図、図2はコンベヤチェーン1を示す平面図、図3はコンベヤチェーン1を示す裏面図である。
コンベヤチェーン1は、サンドイッチ成形品のリンク2を合成樹脂製又は金属製の連結ピン8により無端状に連結してなる。リンク2は、平面視が矩形状であるリンク本体3の上側に、物品を載置するトッププレート7を一体成形してなる。
例えば、リンク2のコア層に潤滑剤等の主機能添加剤を含有させ、スキン層表面に滲出させることで、リンク2の摺動特性が向上する。従って、物品の搬送時及びスリップ時に物品の転倒を防止することができ、物品の搬送中にストップバーで物品の流れを止める場合に、物品をチェーン上で良好にスリップさせて待機させること等ができる。
また、コア層及びスキン層に、潤滑剤及び帯電防止剤を分離して含有させることで、物品の搬送中にコンベヤチェーン1及び物品が帯電するのを防止することができる。
[実施例1]
コア層のベース樹脂として「ジュラコンM90−44」(コポリマーのPOM:ポリプラスチックス株式会社製)を用い、該ベース樹脂に主機能添加剤の脂肪酸エステルとしての「エマノーン 3201MH−V」(エチレングリコールジステアレート:花王株式会社製)を配合して、コア層の合成樹脂材料を調整した。合成樹脂材料中の「エマノーン 3201MH−V」の含有量は5質量%である。
そして、スキン層の合成樹脂材料として、ベース樹脂としてのコポリマーのPOMにPEが配合されている「ジュラコンNW−02」(ポリプラスチックス株式会社製)を用いた。本実施例においては、PEが滲出助長剤として機能する。「ジュラコンNW−02」は、本来、本実施例のように、主機能添加剤の滲出助長を目的としてPOMにPEを配合しているのではない。
サンドイッチ成形品10は、上述したように、POM13にエチレングリコールジステアレート14を配合したコア層11の外側に、POM13にPE15を配合したスキン層12を形成してなる。
エチレングリコールジステアレート14のスキン層12中の拡散は非常に遅い。
図4の拡大部分に示すように、スキン層12に点在するPE15内においては、PE15の非晶部のブラウン運動によりエチレングリコールジステアレート14の拡散は速く、短時間で濃度が均一になる。図4の白矢印で示すように、PE15の粒子が近接してスキン層12の内外方向に並んでいる場合、PE15を通路として、コア層11からのエチレングリコールジステアレート14の拡散が加速度的に進行し、エチレングリコールジステアレート14はスキン層12の表面まで良好に拡散する。
コア層のベース樹脂として「デルリン100P」(ホモポリマーのPOM:デュポン株式会社製)を用い、該ベース樹脂に主機能添加剤としての前記「エマノーン 3201MH−V」を配合して、コア層の合成樹脂材料を調整した。合成樹脂材料中の「エマノーン 3201MH−V」の含有量は5質量%である。
そして、スキン層の合成樹脂材料として、ベース樹脂としてのホモポリマーのPOMにPURが配合されている「デルリン100ST」(デュポン株式会社製)を用いた。本実施例においては、PURが滲出助長剤として機能する。「デルリン100ST」は、本来、本実施例のように、主機能添加剤の滲出助長を目的としてPOMにPURを配合しているのではない。
前記コア層の合成樹脂材料及びスキン層の合成樹脂材料を用いて、実施例1と同様にして実施例2のサンドイッチ成形品を作製した。
実施例1のサンドイッチ成形品につき、加熱処理を施し、その前後の表面をFT−IR(フーリエ変換型赤外分光)分析し、スキン層12の合成樹脂材料のみを成形したものにつき、前記加熱処理を施した後の表面をFT−IR分析して、それぞれ主機能添加剤の滲出の有無を確認した。また、実施例2のサンドイッチ成形品につき、前記加熱処理を施した後の表面、及びスキン層の合成樹脂材料のみを成形したものにつき、前記加熱処理を施した後の表面それぞれをFT−IR分析して、主機能添加剤の滲出の有無を確認した。その結果を図5及び図6に示す。
図6(a)は実施例2のスキン層の合成樹脂材料のみを成形したものにつき、加熱処理を施した後のIRチャートを示すグラフ、図6(b)はサンドイッチ成形品の加熱処理後のIRチャートを示すグラフである。
主機能添加剤に起因するエステル特有の1735〜1740cm-1(図5及び図6中、破線の楕円で示す範囲)のピークの有無の判断により、主機能添加剤の滲出の有無を判断した。
また、図6より、サンドイッチ成形品を加熱処理することにより、コア層から成形品表面に主機能添加剤が滲出することが確認された。
2 リンク
3 リンク本体
4、5、6 ヒンジ部
4a、5a、6a ピン穴
7 トッププレート
8 連結ピン
10 サンドイッチ成形品
11 コア層
12 スキン層
13 POM
14 エチレングリコールジステアレート
15 PE
Claims (3)
- ポリアセタール及び該ポリアセタールに対して3質量%以上20質量%以下の機能添加剤を含むコア層と、ポリアセタールを含むスキン層とを備えるサンドイッチ成形品であって、
前記スキン層は、前記機能添加剤が該スキン層の表面に滲出するのを助長する滲出助長剤としてのポリエチレン又はポリウレタンを含むことを特徴とするサンドイッチ成形品。 - 前記スキン層は、第2の機能添加剤を該スキン層のポリアセタールに対して1質量%以上10質量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のサンドイッチ成形品。
- リンクを連結ピンで複数連結してなるチェーンにおいて、
前記リンクは、請求項1又は2に記載のサンドイッチ成形品であることを特徴とするチェーン。
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