JP5043643B2 - ダウンロード・リンクのタイプに基づくメディア・ファイルの異なるバージョンのダウンロード - Google Patents

Description

本発明は、無線インタフェース・リンクおよび有線インターネット・リンクのようなネットワーク・リンク上でのメディア・ファイルのダウンロードに関し、第１のダウンロードは、１つのファイル・タイプまたはバージョンのものでありかつ同じ実体ファイルの異なるファイル・タイプまたはバージョンを後にダウンロードする権限をユーザに与える。また、本発明は、１つのネットワーク上での単一トランザクション内の１つのデジタル・メディア・ファイルの２つ以上のコピーの権利の保全にも関し、メディア・ファイルの様々なコピーは、ネットワーク上での２つ以上のトランザクション上で提供される。

音楽を様々なデジタル音声ファイル型式で保存および配布することが知られている。小売顧客は、適正にダウンロードされた音楽のコピーを収容する光ＣＤまたは他のコンピュータ記憶媒体のような、デジタル音楽ファイルの合法的に購入された物理的具体物を所有することができるが、著作権法は、ファイルの追加のコピーを作成および配布する権利を著作権保有者に留保している。音楽著作権の保有者は、無許可の複製およびネットワーク上での配布についての問題を最近になってやっと沈静化させており、現在では彼らの著作権保護された曲のデジタル・バージョンを複製およびインターネット上で配布することをコンテンツ・プロバイダに許諾している。

単なる音声コンテンツとは対照的に、ビデオ・コンテンツを運ぶデジタル・メディア・ファイルのサイズはずっと大きいため、ビデオ・ファイルを通常速度で実行または「再生」するためにかかる時間よりも短時間でビデオを電子的に送るために必要な圧縮および帯域幅拡張の組み合わせが最近になってやっと達成された。そのような技術的障壁が克服されたことに伴い、音楽産業の先例に映画産業が最終的に追従すると予測するビジネス・アナリストもいる。簡略にするため、上記の音声およびビデオ・ファイルはメディア・ファイルと呼ばれ、音楽、映画、映画予告編および同様の短い広告のようなビデオ・クリップ等を含む。（記憶媒体の移動を全く伴わない）ネットワークからのダウンロードにより得られたそのようなメディア・ファイルのコピーは、メディア・ファイルの仮想コピーと呼ばれる。以下の議論は主に音楽ファイルに関するものであるが、原理はどのようなメディア・ファイルにも当てはまる。

仮想音楽は一般に、インターネット上でパーソナル・コンピュータにダウンロードされる。小売顧客は、自分のＰＣに保存された音楽ファイルを、ｉＰｏｄ（登録商標）のような携帯型デジタル音楽デバイスにアップロードすることがよくある。携帯型デジタル音楽デバイスは比較的新しい消費者向け製品であり、消費者は一般に、利用可能なメモリ容量（現在のところ一般に１０〜４０ギガバイト）で満足する。音楽ダウンロードがより普及するにつれて、多くのＰＣユーザは、ダイヤルアップ・モデムおよび標準電話線を介してインターネットまたはローカル・ネットワークに接続された。ネットワーク上での転送が帯域幅を過度に占めることがないよう、音楽ファイルを圧縮することがまもなく必要になった。これは、携帯型音楽プレーヤがより多くの音楽を格納することを可能にし、携帯型音楽プレーヤを市場が迅速に採用することに大いに寄与した。

デジタル音楽ファイルは、コーデック（コード／デコード）と呼ばれるアルゴリズム（またはルックアップ・テーブル）を用いて符号化および圧縮される。圧縮デジタル音楽の商業的転送が広く普及しつつあるので、それらを圧縮するために使用されるコーデックの価値が高まっている。その価値のいくらかを獲得するため、いくつかの異なる会社が各社独自のコーデックを導入しており、これは、コーデックをライセンス供与することにより直接的に、またはユーザによりハードウェア選択の推進に関してそのコーデックを必要とする重要な多数のファイルを提供することによって間接的に達成できる。例えば、ＭＰ３、ＡＡＣ（Ａｄｖａｎｃｅｄ Ａｕｄｉｏ Ｃｏｄｉｎｇ、ＭＰＥＧ−４オーディオと呼ばれることがある）およびＡＡＣ＋は各々、一般公衆の間で現在使用されている周知のコーデックである。Ｍｉｃｒｏｓｏｆｔ（登録商標）は、何人かのユーザが報告している同等以上の音質のためのストレージ容量を用いることによりＭＰ３に対抗するＷＭＡコーデックを近年導入した。ＭＰ３およびＡＡＣが６４ｋｂｐｓ以上の圧縮レートでの再生に最適化される場合、ＡＡＣ＋は、６４ｋｂｐｓ以下の圧縮レートでの再生に最適化されたコーデックである。結果として、ＭＰ３およびＡＡＣがより大きい音楽ファイルを生じるのに対して、ＡＡＣ＋はより小さい音楽ファイルを生じ、すべての他のファクタは等しい。ＡＡＣ＋は、より低い圧縮レートに最適化されるが、より大きいファイルを生成するコーデックには（再生品質において）劣る。

図１は、種々のコーデックについての様々な圧縮レート（縦軸）での再生についての相対的な音質または忠実度（横軸）を示す図である。各コーデックを表している網掛け領域の下部は、最悪の場合の性能を示し、ＡＡＣ ＬＣおよびＡＡＣ ＬＴＰについてのその部分はずっと古いＭＰ３型式の範囲にある。ＭＰ３、ＡＡＣ ＬＣおよびＡＡＣ ＬＴＰコーデックは各々、向上した圧縮レートと共に向上した忠実度を提供するのに対して、ＡＡＣ＋ファイルについての最大忠実度は、約６４ｋｂｐｓ圧縮において達成される。

多くの携帯型デジタル音楽プレーヤには、２つ以上のコーデックを用いてファイルを再生する能力があるが、上記の私的所有のコーデックの所有権的性質および価値を保護するために機能するデジタル著作権管理（ＤＲＭ）ソフトウェアによって、そのような再生はできないようになっていることが報告されている。簡潔には、ファイルがダウンロードされた型式により必要とされる。ＭＰ３拡張子を持つファイルは、携帯型デジタル音楽プレーヤによりＭＰ３コーデックを用いてのみ再生される。音楽プレーヤは、再圧縮または別の方法で、ＭＰ３と、例えば、ＡＡＣ＋との間で変換する能力を有するかもしれないが、（デジタル・ミレニアム著作権法によって禁止されることがある）ＤＲＭを回避する何らかの手段がない場合にはそうする権限がない。しかしながら、本発明者は、現行のＤＲＭ制限がえてしてそうする傾向があるように、携帯型デジタル音楽が専用デバイスに限定される必要があるとは認識していない。

移動局向けの、デジタル呼出し音のような特定の短縮音楽ファイルをネットワークからダウンロードすることが知られている。移動局が移動体電話無線インタフェースを介してインターネットにアクセスするブラウザを備えている場合に、特定の個人がこれらの呼出し音を自分の移動局に直接ダウンロードすると想定される。その無線インタフェースの限定された帯域幅は、移動局の限定されたストレージ容量および電源と相俟って、ケーブル・モデムおよびＤＳＬのデータ・レート用に設計されたコーデックを用いて移動体電話無線インタフェース上でより大きな音楽ファイル（例えば、２ないし３分間の曲全体）のダウンロードを提供することを実際上不可能にしている。移動局の環境（より少ないストレージ、無線インタフェース上でのより低いデータ・スループット）に合うように調整されたコーデックを単に用いることは、以下の理由により大多数の消費者のニーズを満たすとは予想されない。少なくとも特定の技術的障害が克服されるまで、移動局で再生される曲が、専用携帯型デジタル音楽プレーヤ（例えば、ｉＰｏｄ（登録商標））と比較して低い忠実度しか提供できないことがあることを消費者が受け入れることが予想される。しかしながら、それらの同じ消費者は、携帯型ＭＰ３プレーヤのような、より高い忠実度を現在提供しているデバイスにおいて同じ曲が再生される場合に、その低い忠実度を受け入れることにはおそらく不本意である。

この技術分野において必要とされるものは、音楽が再生され得る種々のハードウェア・プラットフォーム用に最適化されたデジタル音楽ファイルをユーザが所有できるようにする方法である。

本発明は１つの態様において、インターネットのようなネットワーク上でビジネスを行う方法を提供する。この方法は、ウェブサイト訪問により各々定義される２つのトランザクションに分けられる。第１のトランザクションにおいて、この方法は、デジタル・メディア・ファイルの第１のバージョンを顧客に提供するステップを含む。この第１のバージョンは、第１のコーデックで圧縮される。第２のトランザクションにおいて、この方法は、デジタル・メディア・ファイルの第２のバージョンを顧客に提供するステップを含む。第１のバージョンが第１のコーデックで圧縮されるのに対して、第２のバージョンは、第２のコーデックで圧縮されるので、この第２のバージョンは第１のバージョンから特定可能である。しかしながら、第１および第２のバージョンは、同じデジタル化された曲のような、同じ基本メディア・ファイルを保持している。小売ユーザにより認識されるように、第１および第２のバージョンは質の差を示すことがあるが、それらの実質の少なくとも一部は同一である。さらに、この方法のこの態様によれば、第１のトランザクションの間に、デジタル・メディア・ファイルの第２のバージョンについての権利認証（Authorization）が顧客に与えられる。この権利認証は、デジタル・チケット等の形であってもよく、第２のバージョンは、第１のバージョンと比較して同じまたは異なるプロバイダにより提供され得る。最も有利には、顧客は、第１および第２のバージョン双方のコピーの権利を得るために、第１のトランザクションの間に、支払いを１回送金しさえすればよい。第１および第２のトランザクションそれぞれの間に顧客により使用されるネットワーク・リンク（従ってそのリンクを使用するハードウェア・プラットフォーム）のタイプに第１および第２のバージョンが最適化されている場合、顧客は好ましくは、同じ基本メディア・ファイルの２つの異なるバージョンで終了し、各バージョンは、顧客がメディア・ファイルを再生するハードウェア・プラットフォームに最適化されている。

本発明の別の態様は、ウェブサイトを操作する方法を含む。この方法は、１人の顧客から１つのネットワーク上で、（クレジット・カードに課金する認可のような）支払い認可およびその顧客により使用されたネットワーク・リンクのタイプを受け取るステップを含む。ネットワーク・リンクのタイプは、顧客により手動で提出されてもよく、または顧客により使用されているハードウェアを特定する埋め込みデジタル信号（または、そのような埋め込み信号の欠如）に基づいてウェブサイトのオペレータにより推定されてもよい。この方法は、第１のコーデックで圧縮されたメディア・ファイルを顧客に転送するステップが続く。顧客が特定の基本メディア・ファイルを選択できるのに対して、第１のコーデックは、ネットワーク・リンクのタイプに基づいて選択される。顧客は、第２のコーデックで圧縮され得るメディア・ファイルをダウンロードするためのダウンロード認可も提供される。この方法の特定の変型において、顧客は、メディア・ファイルの別のコピーを得るために、同じまたは別個のウェブサイトにおいてその認可を用いることができる。メディア・ファイルの他のコピーを得るために使用されるリンクが、前に説明されたリンクから大きく異なる（そのようなリンクによりサポートされるデータ・レートに特に大きな差がある）場合、第２のコーデックは第１のコーデックと異なるので、顧客は同じ基本メディア・ファイルの２つの異なるバージョンで終了する。

本発明のさらに別の態様は、顧客に音楽ファイルをネットワーク上で配信するシステムである。このシステムは、第１のネットワーク・リンク上での選択された音楽ファイルの顧客による提出および支払い認可に応答する第１のサーバを含む。例えば、顧客は、サーバによりホストされるウェブサイトから曲ファイルおよびリンク・タイプを選択し、「送信（ｓｅｎｄ）」ボタンで自分の選択を提出できる。次にサーバは、顧客により選択および提出されたリンク・タイプのような、第１のネットワーク・リンク・タイプに基づき、選択された音楽ファイルの第１のコピーを自動的に選択する。選択された音楽ファイルの第１のコピーは、第１のコーデックで圧縮される。次に第１のサーバは、第１のネットワーク・リンク上で、選択された音楽ファイルの第１のコピーを自動的にダウンロードするように動作する。コンピュータ可読命令は、追加の支払い認可なしで音楽ファイル選択の第２のコピーをダウンロードする電子的約束を記録する。どのような契約においても、１つの約束は１つの義務にすぎないので、音楽ファイルの第２のコピーを提供する義務を具体化するどのような電子的記録も、本発明のこの部分を満たす。電子的約束は、デジタル・チケットにおけるように、第１のコピーと共に顧客にダウンロードされ得る（および顧客の電子的記憶媒体上で具体化され得る）。あるいは、電子的約束は、パスワードまたは他のそのようなセキュリティ機能の提出時に顧客または協働する他のサーバによりアクセスされるために、サーバに関連付けられたデジタル記憶媒体に格納されてもよい。好ましくは、第２のサーバが、第２のネットワーク・リンク上での選択された音楽ファイルの第２のコピーの顧客による要求およびデジタル約束の受け取りに応答する。次に第２のサーバは、第２のネットワーク・リンク・タイプに基づいて、選択された音楽ファイルの第２のコピーを選択する。第２のコピーは、第２のコーデックで圧縮された選択された音楽ファイルである。第２のサーバは、顧客が２つの別個の機会に第１のプロバイダを訪問する時のように、第１のサーバと同じであってもよく、あるいは、第１および第２のサーバは、顧客が第１のコピーを１つのウェブサイトからダウンロードし、第２のコピーを、ダウンロードする互いの約束を受け付ける取り決めにより第１のサーバに関連付けられた別のウェブサイトからダウンロードする場合のように、異なるエンティティであってもよい。

本発明のこれらおよびその他の態様を、以下でより具体的に説明する。

詳細な説明

本発明は、以下の説明を、以下で特定される図面と共に考慮した場合に最もよく理解される。しかしながら、これらの図面は、もっぱら例示の目的を意図するものであって、本発明の限定の定義としてのものではないことが理解されるべきである。

特許請求される発明は、主にデジタル音楽ファイルに関連して以下で説明される一方で、当業者は、特許請求される発明の原理が、ビデオおよびオーディオ／ビデオ・メディア・ファイルのような他のタイプのメディア・ファイルに応用可能であることを理解するであろう。

図１に例示されるように、ＡＡＣ＋コーデックに従って圧縮されたファイルは、約６４ｋｂｐｓでの再生に最適化されており、ＡＡＣ ＬＣコーデックに従って圧縮されたファイルは、約９６ｋｂｐｓ以上での再生に最適化されている。ＡＡＣ＋で圧縮されたメディア・ファイルは、ＡＡＣ ＬＣで圧縮された同じファイルよりも小さいが、音質が劣る。図１は、音楽ファイルの音質をグラフ化しているが、原理はビデオ・ファイルのビデオ品質に当てはまる。

図２は、本発明品が動作し得るシステム２０または環境の概要を示している。インターネットのようなネットワーク２２は、http://www.apple.com/itunes/（２００４年２月１１日時点で有効）におけるような、ネットワーク・サーバまたはメディア・ファイル・プロバイダ２４、２６を含んでいる。プロバイダ２４、２６は、ネットワーク２２上での第三者へのダウンロードのためのデジタル・メディア・ファイルのデータベースを維持しており、メディア・ファイルは、１つ以上のコーデックを用いて符号化できる。異なるコーデックで符号化された各デジタル・メディア・ファイルは、デジタル・メディア・ファイルの異なるバージョンを構成する。特定の曲を表すデジタル・ファイルは、ＡＡＣ＋で符号化される場合には第１のバージョンと呼ばれ、ＡＡＣ ＬＴＰで符号化される場合には第２のバージョンと呼ばれるものと仮定する。１つのメディア・ファイル・プロバイダ２４または２６は、第１および第２のバージョン双方を、ネットワーク２２上で利用可能なデジタル・メディア・ファイル（特定の曲）にしてもよく、または、第１のプロバイダ２４が第１のバージョンを利用可能にし、第２のプロバイダ２６が第２のバージョンを利用可能にしてもよい。

パーソナル・コンピュータＰＣ２８が、同軸ケーブルおよびケーブル・モデムまたはデジタル加入者線のような高帯域リンク３０によりネットワーク２２に接続されている。移動局ＭＳ３２が、無線塔３６への移動体電話無線インタフェース・リンクのような低帯域リンク３４によりネットワーク２２に接続されている。無線塔３６は、好ましくはネットワーク２２中にハードウェア化されている。ＰＣ２８およびＭＳ３２の各々は、別個のタイプのリンクによりネットワークにアクセスする別個のハードウェア・プラットフォームである。ＰＣ／高帯域リンクおよびＭＳ／低帯域リンク双方により顧客またはユーザがネットワーク２２にアクセスできる場合には、本発明は、デジタル・メディア・ファイルの２つのバージョンに備える。

メディア・ファイルの２つのバージョンは、基本メディア・ファイルを圧縮するために使用された異なるコーデックにより特定可能である。個別の顧客が、本発明のより広い態様を逸脱することなく両方のバージョンを同じハードウェア・プラットフォームにダウンロードすることを選択できると同時に、別個のバージョンがはっきり異なるリンク３０、３４を介して別個のプラットフォーム２８、３２にダウンロードされる場合に本発明の利点は最もうまく実現される。例えば、プロバイダ２４、２６は、第１のトランザクションの間に移動体電話無線インタフェース・リンク３４を介して要求された場合に、ＡＡＣ＋コーデックで圧縮されたメディア・ファイルの第１のバージョンを顧客がダウンロードできるようにすることができる。それに続く第２のトランザクションの間に、プロバイダ２４、２６は次に、顧客が高帯域リンク３０を用いてＰＣ２８を介してファイルを要求する場合に、ＡＡＣ ＬＴＰコーデックで圧縮されたメディア・ファイルの第２のバージョンを顧客がダウンロードできるようにする。低帯域リンク３４の帯域幅制約のため、第１のバージョンは、ダウンロード時間を最小にするように選択される。第２のバージョンは、忠実度（音楽ファイルにおける音質）を最高にするように選択されるが、これは帯域幅限界が高帯域リンク３０にとっての主要な問題ではないからである。上記の根底には、メディア・ファイルの第２のバージョンはＰＣ上で再生されるか、ＰＣから携帯型デジタル音楽プレーヤにアップロードされることになるという仮定がある。代わりに、第２のバージョンは、（ひとたび無線携帯型デジタル音楽プレーヤが利用可能になると）無線ローカル・エリア・ネットワークＷＬＡＮを介して携帯型デジタル音楽プレーヤに直接ダウンロードされてもよい。

移動体電話網は、基盤となるネットワーク・アーキテクチャによって移動体電話網がデータを転送するレートにおいて制約を受ける（１つのネットワークは、複数のアーキテクチャをサポートし得る）。ＧＰＲＳネットワークは、１１５ｋｂｐｓの理論的最大ビット・レートを有するが、実際的な最大限度は８０ｋｂｐｓにより近く、ほとんどのケースで信頼性のあるストリーミングは約１８〜２２ｋｂｐｓに制限されるものと思われると報告されている。ＥＤＧＥおよびＵＭＴＳネットワークは、３８４ｋｂｐｓの理論的最大ビット・レートを有しており、信頼性のあるストリーミングは、伝えられるところでは、ほとんどのケースで最大約５０ｋｂｐｓに制限される。移動局３２も、データ転送レートを制限することがあり、すべてのコーデックがすべての移動局によりサポートされるわけではない。一般に、従来の移動体電話３２は約３４〜８０ｋｂｐｓに制限され、ＰｏｃｋｅｔＰＣ（登録銘柄）およびＲｅａｌＯｎｅ（登録銘柄）プレーヤは、約２００ｋｂｐｓのより高い最大値を課す。ＷＬＡＮ上でダウンロードする場合に、このより高いデータ・レートが実用的な価値を有する一方で、移動体電話リンク３４上でダウンロードする場合に、上記の概要は、データ・レートが一般に移動局３２によってではなく移動体電話網（約２０〜５０ｋｂｐｓまで）によって制約されることを示している。移動体電話リンク３４上でのダウンロードについては、ＡＡＣ＋は、そのリンク３４のために、図１において比較されるコーデックの間で最適化されている。

顧客が第１のバージョンのみをダウンロードする第１のトランザクションの間に、デジタル・メディア・ファイルの第１および第２のバージョン双方における権利を顧客が取得するというのが本発明の１つの側面である。第１のトランザクションの間に、顧客は、ネットワーク２２を介してメディア・ファイル・プロバイダ２４、２６にアクセスし、特定の曲（デジタル・メディア・ファイル）を要求し、メディア・ファイル・プロバイダ２４、２６への支払いを手配し、その曲（メディア・ファイルの１つのバージョン）をハードウェア・プラットフォーム２８、３２にダウンロードする。第１のトランザクション以降のある時点、かつ第１のトランザクションと関連したファイル・ダウンロードに続いてメディア・ファイル・プロバイダのサイト２４、２６から顧客が少なくとも離れた後に、顧客は第２のトランザクションを開始する。顧客は、メディア・ファイル・プロバイダ２４、２６に再度アクセスするが、今回は好ましくは異なるハードウェア・プラットフォーム２８、３２からアクセスする。顧客は、第１のトランザクションの場合と同じ曲を要求し、その曲（同じメディア・ファイルの異なるバージョン）を、第２のトランザクションの間に支払いを手配する必要なく、他のハードウェア・プラットフォーム２８、３２にダウンロードする。

２回のトランザクションが１回だけの支払いで済むようにすることにより、顧客は、少なくとも２つの理由により２つのバージョンをダウンロードすることを選択する気になる。第１に、顧客は、いつでもどこでも曲を購入することができ、移動体リンク３４の存在によってのみ制約を受ける。移動体リンク３４はどこでもほぼ普遍的である、ネットワーク２２からの音楽購入は意味のないことではない。これにより、新曲をコンサートまたはカー・ラジオで初めて聴いた場合のような、衝動買いを満たすための手段が顧客に与えられる。第２に、２つのファイルバージョンがリンクされていると、顧客は第１のトランザクションを実行する傾向が強い。なぜならば、顧客は単なる低品位音楽ファイルにすぐ不満を持つという問題がそのリンキングにより取り去られるからである。これは、第１のダウンロードがＭＳ３２へのものである場合の問題である。加えて、１回だけの支払いによって２つのバージョンをリンクすることにより、顧客がメディア・ファイル・プロバイダ２４、２６から曲を全く購入しない場合のように、完全に売り損なうこと、および、各ファイル・バージョンについて別個に支払い情報（氏名、住所、クレジット・カード番号等）をロードする際のトランザクション費用がより高いために顧客が曲の両方のバージョンではなく一方のバージョンを購入する場合のように、部分的に売り損なうことが軽減される。

好ましくは、一方または両方のトランザクションの間に顧客に提供されるメディア・ファイルの特定のバージョンは、顧客とプロバイダ２４、２６との間のリンク３０、３４のタイプに基づいて選択される。この選択は、様々なやり方で行うことができる。プロバイダ２４、２６は、顧客がリンクのタイプ（例えば、携帯電話、ダイヤルアップ／ＷＬＡＮ、ブロードバンド）のタイプを選択するプルダウン・メニュー、または、ファイル・バージョン間の直接選択（例えば、高速ダウンロード、高品質）を含み得る。代わりにプロバイダ２４、２６は、顧客により使用されたハードウェアのタイプを自動的に検出し、要求をしているハードウェア・プラットフォーム２８、３２により使用されたリンク３０、３４の最もありそうなタイプの仮定に基づいてファイルの特定のバージョンを選択することができる。例えば、すべてのモデムＭＳ３４は、その伝送の少なくともいくつかに埋め込まれた一意のデジタル符号を有する。この一意の識別子は、移動体電話網により信号および課金の目的で使用されるが、ウェブサイト・オペレータおよびメディア・ファイル・プロバイダによる使用のために、より広いインターネットに転送され得る。具体的には、要求しているハードウェア・プラットフォーム２８、３４を（ＰＣ２８、ＭＳ３４等におけるように、少なくともタイプにより）識別するデジタル符号は、曲についての顧客の要求に埋め込まれてもよい。プロバイダ２４、２６は、その埋め込まれたデジタル符号にアクセスし、要求しているハードウェア・プラットフォームが（例えば）ＭＳ３４であると決定し、ＭＳ３４へのダウンロードが移動体電話リンク３４上にあるという仮定に基づいてファイルのＡＡＣ＋バージョンを選択する。要求しているハードウェアをＭＳ３４として識別する符号を要求が含まない場合には、プロバイダは当然、高帯域リンク３０が利用可能であると仮定し、その仮定に基づいてファイル・バージョン（例えば、ＡＡＣ ＬＴＰ）を選択する。

第１のメディア・ファイル・プロバイダ２４がメディア・ファイルの第１のバージョンを顧客に提供する第１のトランザクションの間に、顧客は、第２のバージョンのコピーの認可も取得する。特定の第２のバージョン（例えば、ＡＡＣ ＬＰ、ＡＡＣ ＬＴＰ）は、第２のトランザクション用に使用されるリンク３０、３４のタイプに依存することがあるので、第１のトランザクションの時点でまだ決定できないことがある。それとは関係なく、顧客は、第１のトランザクションの間に、メディア・ファイルの何らかの第２のバージョンのコピーの認可を受ける。メディア・ファイル・プロバイダ２４、２６は、第１のトランザクションの間に提供されるデジタル・チケットまたはアクセス・コードもしくはパスワードのようなその認可の何らかの証拠を顧客に提供できる。好ましくは、その認可は、メディア・ファイルおよび第１のバージョンを識別する。これにより、要求された曲の題名を第２のトランザクションの間に顧客が再入力する必要がなくなり、説明された２回のトランザクションの間に顧客が２つの異なるメディア・ファイル（異なる基本曲であって、同じ実質的なメディア・ファイルまたは曲の単に別々に符号化されたバージョンではない）を取得することが防止される。

認可がアクセス・コードまたはパスワードである場合、顧客は、メディア・ファイルの第２のバージョンを要求する際にプロバイダのウェブページでそのアクセス・コードまたはパスワードを入力するだけでよい。そのようなパスワードまたはアクセス・コードが手動で入力される場合、顧客は、そのようなますます長くなるパスワードが過度に煩わしく感じることが予想される。従って、１つのハードウェア・プラットフォームから別のハードウェア・プラットフォームに電子的に転送可能なデジタル・チケットが好ましい。このデジタル・チケットは、ユーザＩＤ／パスワードのように働くが、顧客が桁ごとに手動入力するのではなく、自動的に入力される。例えば、メディア・ファイル・プロバイダ２４、２６は、第１のトランザクションの間に、デジタル・チケットをメディア・ファイルの第１のバージョンと共に顧客のＭＳ３２にダウンロードし得る。その顧客は後に、ＰＣ２８を使用してメディア・ファイルのプロバイダ２４、２６にアクセスする。Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）リンク、ハードウェア化された接続（例えば、クレードル）、またはＭＳ３２とＰＣ２８との間の（例えば、連絡リストとスケジューラとを同期させるために現在使用されているような）その他の連結を用いて、デジタル・チケットはＰＣ２８に転送される。第２のトランザクションの間に、デジタル・チケットはＰＣ２８からリンク３０を介してメディア・ファイルのプロバイダ２４、２６に送られ、それによって、メディア・ファイルの第２のバージョンについての認可を証明する。デジタル・チケットは、どの特定のバージョン（ＡＡＣ ＬＴＰ、ＡＡＣ ＬＣ等）が提供されるべきかを指定できないことがある。これは、その特定のバージョンが第２のトランザクションにおいて使用されるリンクに基づいて決定されることがあるからである。本明細書において用いられるように、デジタル・チケットは、１回のトランザクションにおいて顧客に自動的にダウンロードされる、本発明のトランザクションに関連付けられたどのようなセキュリティ・コードも含む。上述の通り、その同じデジタル・チケットは後に、認可証明または支払い証明として顧客によりアップロードされてもよい。

メディア・ファイルの第１および第２のバージョンがメディア・ファイルの共通プロバイダから発生しない場合に、さらに複雑になる。本発明は、メディア・ファイルの異なるバージョンを同じ顧客に提供する異なるメディア・ファイル・プロバイダ２４、２６を含んでいる。これは、顧客にとって有利である。理由は、その顧客が、移動体電話無線インタフェース３４上でのダウンロード用には１つのプロバイダ２４を好み、高帯域リンク３０上でのダウンロードには別のプロバイダ２６を好むことがあるからである。顧客の好みは、ダウンロード速度、ウェブサイト使用の容易さ等に基づくことがある。本発明のこの側面により、各デジタル・ファイルの複数バージョンを蓄積していないかもしれないより小規模なプロバイダ２４、２６が、本発明により容易にされた商業活動に参加することがさらに可能になる。上述のデジタル・チケットまたはパスワードは、認可を証明するために、第１のバージョンを提供した同じメディア・ファイル・プロバイダ２４、２６、または第２のプロバイダ２６に提示されてもよい。支払いは第１のトランザクションの間にのみ、従って第１のプロバイダ２４に対してのみ行われるので、第１のプロバイダ２４により顧客に提供された認可（例えば、デジタル・チケットまたはパスワード）を引き受けるための支払いを第２のプロバイダ２６が保証される何らかの法的な取り決めがなければならない。この保証は、第１のブロバイダ２４と第２のプロバイダ２６との間の契約関係、または相対市場占有率、顧客にダウンロードされた第１および／または第２のバージョンの相対数、または何らかの同様な市場分割機構に基づいて、関連する販売または徴収金の総額から参加者が返済を受ける何らかの一般に受け入れられるライセンス供与方式の形であり得る。そのようなライセンス供与方式は、伝統的な契約の形ではなく、むしろ、法的なライセンス供与方式または著作権で保護された作品でよくあるような広く適用可能な使用料率の形になることがある。ライセンスが含まれる場合には、そのライセンスは、基本作品のコピー（例えば、デジタル・メディア・ファイルの第２のバージョンは、基本曲のコピーである）に対するもの、または派生作品のコピー（例えば、第２のバージョンに変更された第１のバージョンのコピー）に対するものであることがある。

図３は、２つの異なるメディア・ファイル・プロバイダが１つの音楽ファイルの異なるバージョンを顧客に提供する際の本発明の方法の様々なステップを説明する流れ図である。ブロック３０１において、第１および第２の音楽ファイル・プロバイダは１つの取り決めに参加し、それにより、第２の音楽プロバイダは第１の音楽プロバイダにより発行されたデジタル・チケットを受け付け、第１の音楽プロバイダはデジタル・チケットが提示された際に支払いを第２の音楽プロバイダに送る。好ましくは、これらのプロバイダは互いのデジタル・チケットを受け付け、それらのプロバイダのサイトから音楽ファイルをダウンロードする顧客を拘束する契約の条件に同意する。この顧客との契約は、「クリック・ラップ（ｃｌｉｃｋ ｗｒａｐ）」契約またはライセンスと一般に呼ばれており、「同意する（Ｉ ａｇｒｅｅ）」または同様な文言が記されたアイコンをクリックすることによって顧客により実行される。音楽のダウンロードに関連するクリック・ラップ契約は、顧客の支払いの約束、音楽プロバイダの責任の制限、ダウンロードされた音楽の共有、コピー、および転送に関する一連の顧客制限事項、および法律の選択、裁判地、仲裁のような様々な法的手続を含むことができる。

顧客は後に、ブロック３０２においてインターネット機能を備える移動局を用いて第１の音楽プロバイダのウェブサイトにアクセスし、その顧客がダウンロードしようとするファイル（「曲ｘｙｚ」）を選択する。次に顧客は、自分がアクセスしているドロップ・ダウン・リストから、移動体電話を使用するウェブサイトを選択し、支払い情報および認可（クレジット・カード、ｐａｙｐａｌ（商標）等）を入力し、第１の音楽プロバイダとのクリック・ラップ契約に同意する。これに応答してブロック３０３において、移動体電話リンク上でのダウンロードを最適化するために、第１の音楽プロバイダはコーデックＡＡＣ＋をそのコーデックとして選択する。ＡＡＣ＋コーデックで符号化されるファイル「曲ｘｙｚ」は、そのファイルの第１のバージョンと呼ばれ、第１の音楽プロバイダは、その第１のバージョンを顧客がダウンロードできるようにする。第１の音楽プロバイダは、ファイルの第１のバージョンと共に顧客にダウンロードされるデジタル・チケットも提供する。

ブロック３０４において、顧客はファイル「曲ｘｙｚ」の第１のバージョンをダウンロードし、このダウンロードは、第１の音楽プロバイダのウェブサイトにおける「ダウンロード」または同様なアイコンを介して第１の音楽プロバイダまたは顧客により初期化され得る。デジタル・チケットはファイルの第１のバージョンと共にダウンロードされる。顧客は、ブロック３０５において第１の音楽プロバイダのウェブサイトを離れ、ブロック３０２〜３０４を含む第１のトランザクションの終了を知らせる。

顧客が在宅している翌日のように、しばらくして、ブロック３０６において、顧客は自分のデスクトップ・パーソナル・コンピュータを使用して第２の音楽プロバイダのウェブサイトにアクセスする。移動局とＰＣとの間のＢｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）接続を用いて、顧客は、ブロック３０４において受け取られたデジタル・チケットを第２の音楽プロバイダに提出し、自分がアクセスしているドロップ・ダウン・リストから、ブロードバンド・リンクを使用するウェブサイトを選択する。図３には例示されていないが、好ましくは、第２の音楽プロバイダは、第１の音楽プロバイダにより利用可能にされた未処理のデジタル・チケットのリストと比較することにより、または提出されたデジタル・チケットがまだ提示されていないことを確認することを第１の音楽プロバイダに要求することにより、提出されたデジタル・チケットが有効であることを確認する。（ブロック３０９を除く）以下のステップは、バリデーション・ステップが含まれている場合に有効であるデジタル・チケットを前提としている。ブロック３０７における応答において、第２の音楽プロバイダは、デジタル・チケットを読み取り、それから特定の曲ｘｙｚまたは基本マスタ・ファイルを識別する。第２の音楽プロバイダは、ブロードバンド・リンク上でのダウンロードを最適化するためのコーデックとしてコーデックＡＡＣ ＬＴＰを選択する。ＡＡＣ ＬＴＰコーデックで符号化されるファイル「曲ｘｙｚ」は、ファイルの第２のバージョンと呼ばれ、第２の音楽プロバイダは、顧客がその第２のバージョンをダウンロードできるようにする。ブロック３０１の取り決めが顧客クリック・ラップ契約の条件を含んでいた場合には、第２の音楽プロバイダは、別のクリック・ラップ契約に加入することを顧客に要求する必要がない。なぜならば、ブロック３０２のクリック・ラップ契約中に第２の音楽プロバイダの名称が明示的に挙げられていないとしても、ブロック３０２における第１のクリック・ラップ契約が好ましくは、第２の音楽プロバイダにより求められる保護を含んでいるからである。代わりに、第２の音楽プロバイダは、別のクリック・ラップ契約の実行を顧客に要求してもよい。

顧客は次に、ブロック３０８においてファイル「曲ｘｙｚ」の第２のバージョンをダウンロードし、このダウンロードは、上記のように第２の音楽プロバイダか顧客によって初期化され得る。図３には例示されていないが、好ましくは、第２の音楽プロバイダは、特定のデジタル・チケットが受け付けられたことを第１の音楽プロバイダに通知し、第１の音楽プロバイダは、その特定のデジタル・チケットを、未処理のデジタル・チケットのデータベースから削除するか、特定のチケットが提示および受け付けられたとしてリストに注釈をつける。顧客は、ブロック３０９において第２の音楽プロバイダのウェブサイトを離れ、ブロック３０６〜３０８を含む第２のトランザクションの終了を知らせる。

第２の音楽プロバイダは、ブロック３０１の取り決めに従って支払いのためにデジタル・チケットを第１の音楽プロバイダに提出する。この提示は、上記のデジタル・チケットのバリデーションと同時でも同時でなくてもよい。第２の音楽プロバイダは、顧客がファイルの第２のバージョンを得る顧客の第２のトランザクションの間に（ブロック３０６およびブロック３０８の間）、またはその後にデジタル・チケットを第１の音楽プロバイダに提示してもよい。

本発明は、一般に長さが約３分間であり正常な意図された速度で再生される場合に長さがほぼ常に２分間を超える曲のような、上記の説明におけるようなポピュラー音楽のデジタル化ファイルと共に実行される場合に非常に有利になる。本発明は、顧客が自分のＭＳ３２でプレビューし、自分のＰＣでより高解像度で見ることを望むことがあるビデオ・クリップにも使用できる。

ビデオオンリーあるいは音声とビデオとの組み合わせのいずれか一方のビデオ成分を有するデジタル・ファイルに適用される場合、ファイルの第１および第２のバージョンの一方の基本コンテンツは、他のファイル・バージョンの基本コンテンツの一部を表すだけのことがある。例えば、第１のバージョンは、近日公開の映画を宣伝するために劇場で一般に見られる映画の１０〜３０秒の『予告編』であってもよい。その第１のバージョンは、第１のコーデックで圧縮し、顧客の移動局にダウンロードできる。対応する第２のバージョンは、９０分超の映画全編であってもよく、顧客はこれを選択してＴｉＶｏ（登録商標）プレーヤにダウンロードしたり、ケーブル・テレビ・プロバイダのサーバおよび関連するストレージ・アレイからセットトップ・ボックスに直接ストリーミングさせたりする。そのような実施形態が図４に例示されており、顧客は両方のバージョンを単一のコンテンツ・プロバイダから取得する。図４は、図３に関連して例示および説明されたものと同様に、ファイル・バージョンの１つを各々が提供する２つのプロバイダ用に適応させ得る。

図４では、ブロック４０１において顧客が移動局からメディア・ファイル・プロバイダのウェブサイトにアクセスする。この例では、ちょうど図３において顧客が音楽ファイルの基本コンテンツを選択するように、顧客により選択された基本コンテンツは、「映画ａｂｃ」である。顧客は、この第１のトランザクションにおいてそれを通して自分がダウンロードしようとするリンクとして「移動体電話リンク」を選択する。追加の確認ステップが好ましい。なぜならば、図４の２つのファイル・バージョンは、実質だけでなく顧客が知覚する客観的品質も異なり、そのため顧客は、自分が１５〜３０秒のビデオ・クリップのような映画予告編のみを希望していることを確認する。支払いおよびクリック・ラップ契約が、図３に関連する上記のように入力される。

支払いおよび契約上の保護が保証されると、ブロック４０２において、メディア・ファイル・プロバイダは、選択された映画を表すファイルの第１のバージョンを選択し、この第１のバージョンは、基本の映画全編の一部のみを示すために、この例では「映画ａｂｃ予告編」と呼ばれる。この第１のバージョンは、移動体電話リンク上でのダウンロード用に最適化するために選択される第１のコーデックで圧縮される。メディア・ファイル・プロバイダは、デジタル・チケットをファイルの第１のバージョンと関連付ける。

顧客は、ブロック４０３においてファイルの第１のバージョンを、添付デジタル・チケットと共にダウンロードし、ブロック４０４においてメディア・ファイル・プロバイダのウェブサイトを離れ、第１のトランザクションを終了する。ブロック４０５において、顧客はその後、メディア・ファイル・プロバイダのウェブサイトにアクセスし、今回はウェブＴＶブラウザ、ＰＣ、または異なるタイプのリンクを介してネットワークに接続された何らかの他の手段から、第２のトランザクションを開始する。顧客は、自分のデジタル・チケットを入力し、リンクのタイプとして「ブロードバンド」または「ケーブル」を選択し、自分が映画全編を現在望んでいることを確認する。この第２のトランザクションにおいて提示されたデジタル・チケットが確認されると同時に、ブロック４０６において、メディア・ファイル・プロバイダは、そのデジタル・チケット内に含まれている情報から基本の映画を選択し、その映画の第２のバージョンを選択し、顧客がその第２のバージョンにアクセスできるようにする。この例では、第２のバージョンは、「映画ａｂｃ全編」と表題が付けられた９０分超の映画全編のデジタル化バージョンであり、好ましくは第１のコーデックよりも高い解像度を可能にする第２のコーデックで圧縮されている。

顧客は、ブロック４０７においてファイルの第２のバージョンをダウンロードし、その第２のバージョンを、例えば、ＰＣハード・ドライブ、ＰＣに装填された交換可能光ディスク、またはＴｉＶｏプレーヤに格納することができる。次に顧客は、ブロック４０８においてメディア・ファイル・プロバイダのウェブサイトを離れ、第２のトランザクションを終了する。

特定のケーブル・テレビ・プロバイダは現在、それらのネットワーク・サーバと関連付けられたストレージ・アレイに映画全編を格納している。メディア・ファイル・プロバイダは、ケーブル・テレビ・プロバイダとの取り決めを有していることがあり、その取り決めにより、顧客がメディア・ファイル・プロバイダのウェブサイトにアクセスし特定の入力（好ましくは、ケーブル・テレビ・プロバイダおよび第１のトランザクションの顧客を特定する手動および自動の入力の組み合わせ）を行う場合、顧客は、ケーブル・テレビ・プロバイダのウェブサイトに自動的にリダイレクトされる。顧客は、映画全編であることがあるファイルの第２のバージョンをダウンロードおよび格納する必要がなく、その代わりに、その第２のバージョンをケーブル・テレビ・プロバイダのストレージ・アレイおよびサーバから顧客にストリームさせることができる。顧客が第２のバージョンのコピーを『所有』しない一方で、ＤＲＭは、顧客が第２のバージョンのストリーミング上映に限定期間および／または限定回数アクセスできるようにする。音楽およびビデオ双方の著作権所有者は現在、著作権で保護された作品のダウンロードされたデジタル・コピーにおける所有権を小売購入者に取得させないことがある。その代わりに、それらの著作権所有者は、ダウンロードされたコピーの使用を有限の期間または繰り返し回数について許諾し、これらの期間または回数は、ライセンス期間終了後の自動的なファイル破壊または消去を規定する、含まれているＤＲＭコードにより自動的に実施される。ダウンロードされたコピーの所有権ではなくそのようなＤＲＭライセンス供与は、本発明の教示を弱めるものではない。

異なるコーデックで圧縮された同一の基本ファイルを図３の例が必然的に伴っていた場合、図４の実施形態は、実質的に区別できる基本ファイルを必然的に伴う。すなわち、図３における２つのファイル・バージョンは、好ましくは、異なるコーデックによる圧縮のために品質においてのみ異なるのに対して、図４の例の２つのファイル・バージョンは、品質だけでなく実質においても異なる。これは、どのバージョンを顧客が要望するかを確認する顧客のブロック４０１およびブロック４０５における追加された（好ましい）ステップを推進する。本明細書中で用いられているように、メディア・ファイルが意図される通りに再生される場合に、実質的に異なるファイル・バージョンは、適当な人により知覚される内容において異なる。意図される小売ユーザ用に意図される通りに再生された場合に、客観的に測定可能な品質差のみにその差が限定されるファイル・バージョンは、実質的な差ではない。なぜならば、たとえファイル・バージョン間のデジタル・コードのどの単一線も同一でないとしても、その用語が本出願において使用されるからである。本発明の１つの重要な側面は、意図されるユーザまたは顧客により知覚される（例えば、メディア・ファイルが再生され、聴覚的および／または視覚的に知覚される）場合、第１のバージョンおよび第２のバージョンは、少なくとも部分的に実質的に同一であるということである。好ましくは、一方のバージョンの実質は、他方のバージョンの実質のサブセットである。図３の実施形態は、完全に実質的に同一なファイル・バージョンを用いてもよい。図４の実施形態は、部分的にのみ実質的に同一なファイル・バージョンを用いる。

他の点では実質的に同一な基本ファイル部分の小さな変更は、２つのファイル・バージョンを実質的に切り離さない。例えば、映画予告編へのメディア・ファイル・プロバイダの透かし（ウォーターマーク）の付加は、その透かし付き映画予告編を、そのような透かしを含まない映画全編と実質的に同一でないものにはしない。映画予告編へのそのような小さな変更は、著作権法の範疇内の映画全編の派生作品を構成するが、派生作品は、そのような小さな変更よりも広範囲なことがある。

特許請求されている発明の好ましい実施形態であると現在みなされるものを例示および説明してきたが、多くの変更および修正を当業者が着想する可能性があることが理解される。特許請求されている発明の精神および範囲に入るすべてのそのような変更および修正をカバーすることが、添付の特許請求の範囲において意図されている。

先行技術において現在使用されている様々な圧縮コーデックについての圧縮レート対音質のグラフである。 本発明が実施され得る好ましい環境のブロック図である。 音楽ファイル用に使用される本発明の１つの実施形態に従う方法のステップを示す流れ図である。 ビデオ・ファイル用に使用される本発明の別の実施形態に従う方法のステップを示す流れ図である。

Claims (17)

1. 端末の要求の中から、通信網のタイプに関連する情報を検出し、該検出された情報から判断される通信網のタイプに基づいて、デジタル・メディア・ファイルの第１のバージョンを選択して前記端末へ送信しうるように構成されると共に、
   前記第１のバージョンとは異なる、前記デジタル・メディア・ファイルの第２のバージョンをダウンロードすることの認可情報を、前記第１のバージョンの送信と同じトランザクションにおいて前記端末へ送信するように構成される、サーバ。
2. 前記認可情報をデジタル・チケットとして送信する、請求項１に記載のサーバ。
3. 前記デジタル・チケットには、前記デジタル・メディア・ファイル及び前記第１のバージョンを識別する情報が格納される、請求項２に記載のサーバ。
4. 前記第１のバージョンは前記デジタル・メディア・ファイルの完全版の一部からなる短縮版であり、前記第２のバージョンは前記デジタル・メディア・ファイルの完全版である、請求項１から３のいずれかに記載のサーバ。
5. 前記第１のバージョンは、第１のコーデックを用いて前記デジタル・メディア・ファイルを符号化して作成されたものであり、前記第２のバージョンは、前記第１のコーデックよりも高い品質を提供する第２のコーデックを用いて前記デジタル・メディア・ファイルを符号化して作成されたものである、請求項１から３のいずれかに記載のサーバ。
6. 前記通信網は移動通信網である、請求項１から５のいずれかに記載のサーバ。
7. 第１の端末装置と協働しうる第２の端末装置であって、
   前記第１の端末装置は、請求項１から６のいずれかに記載のサーバと協働しうる端末装置であって、前記サーバへ前記要求を送信し、それに応じて前記デジタル・メディア・ファイルの前記第１のバージョン及び該デジタル・メディア・ファイルの前記第２のバージョンをダウンロードすることの認可情報を受信しうるように構成され、
   前記第２の端末装置は、前記第１の端末装置から前記認可情報を受信しうると共に、前記デジタル・メディア・ファイルの前記第２のバージョンをダウンロードするべく、サーバへ前記認可情報を送信しうるように構成される、第２の端末装置。
8. 請求項７に記載の第２の端末装置と協働しうるサーバであって、前記認可情報の受信に応じて前記デジタル・メディア・ファイルの前記第２のバージョンを該端末装置に送信するように構成される、サーバ。
9. 請求項１から６のいずれかに記載のサーバと、請求項７に記載の第２の端末装置と、請求項８に記載のサーバとから構成される、システム。
10. サーバの動作方法であって、
    端末の要求の中から、通信網のタイプに関連する情報を検出し、該検出された情報から判断される通信網のタイプに基づいて、デジタル・メディア・ファイルの第１のバージョンを選択して前記端末へ送信することと、
    前記第１のバージョンとは異なる、前記デジタル・メディア・ファイルの第２のバージョンをダウンロードすることの認可情報を、前記第１のバージョンの送信と同じトランザクションにおいて前記端末へ送信することと、
    を含む、方法。
11. 前記認可情報はデジタル・チケットである、請求項１０に記載の方法。
12. 前記デジタル・チケットには、前記デジタル・メディア・ファイル及び前記第１のバージョンを識別する情報が格納される、請求項１１に記載の方法。
13. 前記第１のバージョンは前記デジタル・メディア・ファイルの完全版の一部からなる短縮版であり、前記第２のバージョンは前記デジタル・メディア・ファイルの完全版である、請求項１０から１２のいずれかに記載の方法。
14. 前記第１のバージョンは、第１のコーデックを用いて前記デジタル・メディア・ファイルを符号化して作成されたものであり、前記第２のバージョンは、前記第１のコーデックよりも高い品質を提供する第２のコーデックを用いて前記デジタル・メディア・ファイルを符号化して作成されたものである、請求項１０から１２のいずれかに記載の方法。
15. 前記通信網は移動通信網である、請求項１０から１４のいずれかに記載の方法。
16. 第１の端末装置と協働しうる第２の端末装置の動作方法であって、
    前記第１の端末装置は、請求項１から６のいずれかに記載のサーバと協働しうる端末装置であって、前記サーバへ前記要求を送信し、それに応じて前記デジタル・メディア・ファイルの前記第１のバージョン及び該デジタル・メディア・ファイルの前記第２のバージョンをダウンロードすることの認可情報を受信しうるように構成され、
    前記方法は、前記第１の端末装置から前記認可情報を受信することと、前記デジタル・メディア・ファイルの前記第２のバージョンをダウンロードするべく、サーバへ前記認可情報を送信することとを含む、方法。
17. 請求項７に記載の第２の端末装置と協働しうるサーバの動作方法であって、前記認可情報の受信に応じて前記デジタル・メディア・ファイルの前記第２のバージョンを該端末装置に送信することを含む、方法。