JP5042041B2 - 心筋症及び心臓病を処置及び予防するための組成物及び方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、心臓病を処置及び予防するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188-P188)を含む組成物、並びに該組成物を用いて(例えば、筋ジストロフィを有する被験体における)心臓病を処置及び予防するため並びに虚血及び細胞死に起因する細胞及び組織の損傷を処置するため(例えば、ジストロフィン欠損細胞(例えば、筋細胞)を処置するため)の方法を提供する。なお、本願は、2005年2月25日に出願された米国特許仮出願番号第60/656,570号からの優先権を主張する。上記仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらに、本発明は、NIH助成金AG15434の補助を一部受けている。合衆国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
発明の背景
心不全は慢性的に進行する疾患である。米国においては、500万人の心不全患者が存在する。およそ550,000の新たな症例が診断され、毎年285,000人を超える人が心不全で死亡する。この事実は、心不全患者の数が増加していることを示す。
ジストロフィン欠損は、横紋筋が変質する遺伝的な進行性疾患であり、多くの場合はっきりした心筋症を伴う、ヒトにおけるデュシェンヌ型筋ジストロフィ(DMD)の原因である(例えば、Muntoni, Curr Opin Neurol 16, 577-83 (2003)(非特許文献1)を参照のこと)。心不全は、DMDによる死亡者のおよそ15%を占める(例えば、 Emery, A. E. H. in Duchenne Muscular Dystrophy (ed. Emery, A. E. H. ) (Oxford University Press, Oxford, 2003)(非特許文献2)を参照のこと)。DMDにおける疾患の分子的基礎の定義づけを目指す動きは、そのほとんどが骨格筋に関する研究からきており、それに比べて心筋にはほとんど注意が向けられていない。
骨格筋系疾患を有さないがジストロフィンレベルが不完全又は減少した患者において重篤な心臓病が存在するということから強調されるように、心筋細胞に関連する病態生理学的な機序は、骨格の筋線維とは大きく異なると考えられる(例えば、Finsterer and Stollberger, Cardiology 99, 1-19 (2003)(非特許文献3)を参照のこと)。従って、心筋におけるジストロフィン欠損の結果に関していくつかの基本的な疑問が未解決の状態である。とりわけ、ジストロフィン欠損が直接的に、単一筋細胞レベルの心筋における力の伝達性及び/又は膜の脆弱性の変質を引き起こすのか否かが未知である。
ジストロフィ細胞、組織、及び被験体に関連する心臓病だけでなく心臓病全般を処置するため、並びに(例えば、ジストロフィ被験体におけるものだけでなく全般的な)心臓病を有する被験体におけるその根本的病因を予防及び/又は修正するための新規の組成物及び新規の方法に対する必要性が存在する。
Muntoni, Curr Opin Neurol 16, 577-83 (2003) Emery, A. E. H. in Duchenne Muscular Dystrophy (ed. Emery, A. E. H. ) (Oxford University Press, Oxford, 2003) Finsterer and Stollberger, Cardiology 99, 1-19 (2003)
発明の要旨
本発明は、心臓病を処置及び予防するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188-P188)を含む組成物、並びに該組成物を用いて(例えば、筋ジストロフィを有する被験体における)心臓病を処置及び予防するため並びに虚血及び細胞死に起因する細胞及び組織の損傷を処置するため(例えば、ジストロフィン欠損細胞(例えば、筋細胞)を処置するため)の方法を提供する。
従って、いくつかの態様において、本発明は、拡張機能障害が被験体において改善するような条件下でポロキサマーを含む組成物を被験体に投与する段階を含む、拡張機能障害を有する被験体を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、ポロキサマーはP188である。いくつかの態様において、被験体はヒト被験体である。本発明は、本発明のポロキサマーを含む組成物を用いて処置される被験体の類型によって限定されない。事実、マウス、イヌ、ブタ、及びその他の非ヒト哺乳動物を含むがこれらに限定されない多種の被験体が処置され得る。いくつかの態様において、組成物は静脈内投与を通じて投与される。本発明は、本発明のポロキサマーを含む組成物の投与経路によって限定されない。事実、動脈内、皮下、心室内、経口(例えば、経口摂取を通じて)、又はその他の投与経路を含むがこれらに限定されない多種の経路が投与のために用いられ得る。いくつかの態様において、この処置は被験体における急性心不全を予防する。いくつかの態様において、拡張機能障害の改善は、被験体における左心室機能の改善を含む。いくつかの態様において、左心室機能の改善は、被験体における基準血行動態の改善を含む。いくつかの態様において、拡張機能障害の改善は、被験体における左心室拡張期容積の増加を含む。いくつかの態様において、被験体はジストロフィン欠損被験体である。いくつかの態様において、被験体はデュシェンヌ型筋ジストロフィを有する。いくつかの態様において、被験体は拡張期心不全又は急性心不全を有する。いくつかの態様において、この処置は被験体の心臓組織におけるカルシウム過負荷に対する感受性を減少させる。いくつかの態様において、被験体の心臓組織におけるカルシウム過負荷に対する感受性の減少は、被験体の心筋細胞における細胞内Ca2+レベルの低下を含む。いくつかの態様において、心筋細胞における細胞内Ca2+レベルの低下は被験体における心筋組織のリモデリングを予防するか又はリモデリングを逆行させる。いくつかの態様において、この処置は被験体の心臓組織における細胞拘縮及び/又は細胞死を減少させる。いくつかの態様において、ポロキサマーは精製された及び/又は分画されたポロキサマーである。いくつかの態様において、ポロキサマーを含む組成物は、利尿剤、ループ利尿剤、カリウム保持性剤、血管拡張剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII拮抗剤、陽性変力剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、β-アドレナリン受容体拮抗剤、カルシウムチャネル遮断剤、ニトラート、α遮断剤、中枢性α拮抗剤、スタチン、又はこれらの薬剤の組み合わせを含むがこれらに限定されない、心臓病処置のために使用される1つ又はそれ以上の薬剤と同時投与される。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法は、研究的応用及び/又は治療(例えば、臨床治療)的応用における用途が見出される。
本発明はまた、被験体にポロキサマーを含む組成物を投与する段階を含む、ジストロフィン欠損被験体における左心室拡張期容積を増加させる方法を提供する。いくつかの態様において、ポロキサマーは被験体のジストロフィン欠損心筋細胞における細胞内カルシウム濃度を減少させる。いくつかの態様において、ジストロフィン欠損筋細胞における細胞内カルシウム濃度の減少は、カルシウム過負荷に対する被験体の感受性を減少させる。いくつかの態様において、被験体における左心室拡張期容積の増加は、被験体における急性心不全を予防する。いくつかの態様において、左心室機能の改善は被験体における基準血行動態の改善を含む。いくつかの態様において、ジストロフィン欠損被験体はデュシェンヌ型筋ジストロフィを有するヒト被験体である。いくつかの態様において、ジストロフィン欠損心筋細胞における細胞内カルシウム濃度の低下は、被験体における心筋組織のリモデリングを予防及び/又はリモデリングを逆行させる。いくつかの態様において、ポロキサマーは精製されたポロキサマーである。いくつかの態様において、ポロキサマーは分画されたポロキサマーである。いくつかの態様において、ポロキサマーを含む組成物は、利尿剤、ループ利尿剤、カリウム保持性剤、血管拡張剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII拮抗剤、陽性変力剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、β-アドレナリン受容体拮抗剤、カルシウムチャネル遮断剤、ニトラート、α遮断剤、中枢性α拮抗剤、スタチン、又はこれらの薬剤の組み合わせを含むがこれらに限定されない、心臓病の処置のために使用される1つ又はそれ以上の薬剤と同時投与される。
本発明はまた、ポロキサマーを含む組成物を心筋細胞に投与する段階を含む、心筋細胞におけるカルシウム濃度を減少させる方法を提供する。いくつかの態様において、心筋細胞はジストロフィン欠損心筋細胞を含む。本発明は、そのカルシウム濃度を変更するために心筋細胞に投与されるポロキサマーの類型によって限定されない。いくつかの態様において、ポロキサマーはP188である。いくつかの態様において、ポロキサマーを含む組成物を心筋細胞に投与することは、心筋細胞の細胞拘縮を予防する。いくつかの態様において、ポロキサマーを含む組成物を心筋細胞に投与することは、心筋細胞の細胞死を予防する。
定義
本明細書中で使用する場合、「心臓病の徴候及び症状」という用語は、心臓病に関連する徴候及び症状(例えば、簡単な観察によって認識されるもの、並びに個体の年齢及び心臓病の家族歴と合わせた場合に正確かつ早期の心臓病診断がなされ得るもの)を意味する。心臓病の徴候及び症状の例としては、呼吸困難、胸痛、動悸、失神、浮腫、チアノーゼ、及び倦怠感があるがこれらに限定されない。このような症状の多くは定量分析に供される(例えば、動悸、チアノーゼ等)。他の症状としては、拡張機能障害、血行動態の低下、及び左心室拡張末期容積の減少がある。「該(前記)症状が減少する」という用語は、血行動態の向上及び左心室拡張末期容積の増加を含むがこれらに限定されない、検出可能な症状における定性的又は定量的な減少を意味する。
本明細書中で使用する場合、「心臓病の徴候及び症状が減少するような条件下」という句は、心臓病の徴候及び症状における任意の程度の定性的又は定量的な減少を意味する。
本明細書中で使用する場合、「心臓病のリスクがある」という用語は、被験体(例えば、世界人口の一部、又は研究動物)の心臓病に対するリスクが増加しており(すなわち、平均的な被験体(例えば、ヒト又は研究動物)を超えて)、任意の年齢でそれが発症し得ることを意味する。
本明細書中で使用する場合、「ポロキサマーを含む治療組成物」という用語は、心臓病の処置に使用されるポロキサマー(例えば、P188)を含有する組成物を意味する。ポロキサマーを含む治療組成物はまた、心臓病の処置に有用な薬剤(例えば、ACE阻害剤、スタチン、β遮断剤等)、その他の治療薬剤、生理学的に許容される液体、ゲル、坦体、希釈剤、賦形剤、サリチラート、免疫抑制剤、抗生物質、結合剤、増量剤、保存剤、安定化剤、乳化剤、及び緩衝剤を含むがこれらに限定されない1つ又はそれ以上のその他の化合物又は薬剤を含み得る。
本明細書中で使用する場合、「心臓病の処置に有用な薬剤」及び「心臓病の処置に有用な薬剤群」という用語は、心臓病の徴候及び症状の処置のために現在使用されている任意の1つ又はそれ以上の薬剤を意味する。これらの薬剤としては、利尿剤、ループ利尿剤、カリウム保持性剤、血管拡張剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII拮抗剤、陽性変力剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、β-アドレナリン受容体拮抗剤、カルシウムチャネル遮断剤、ニトラート、α遮断剤、中枢性α拮抗剤、スタチン、及びこれらの薬剤の2つ又はそれ以上の組み合わせがあるがこれらに限定されない。これらの薬剤の例は、本明細書中に提供されている。心臓病の徴候及び症状の処置における有効性について(例えば臨床試験において)臨床評価された薬剤もまた、これらの用語の意味に含まれる。
本明細書中で使用する場合、「受容者」、「被験体」、及び「患者」という用語は、ヒト及び非ヒト動物(例えば、齧歯類、節足動物、昆虫類(例えば、双翅目)、魚類(例えば、ゼブラフィッシュ)、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、トリ等)を含むがこれらに限定されない、研究、分析、試験、診断、又は処置の対象となる(例えば、本発明のポロキサマーを含む組成物を治療的又は予防的に投与される)任意の動物を意味する。「受容者」、「被験体」、及び「患者」という用語は、本明細書中にそうでないことが示されていない限り、互換的に使用される。
本明細書中で使用する場合、「治療有効量」及び「有効量」という用語は、本発明のポロキサマーを含む組成物に対して使用する場合、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量(例えば、用量レベル)(例えば、心臓病の徴候及び症状の処置又は予防に有効な量)を意味する。有効量は、1回又はそれ以上の投与、適用、又は投薬で投与され得、特定の処方又は投与経路に限定されることを意図しない。
本明細書中で使用する場合、「投与」及び「投与する」という用語は、被験体(例えば、被験体、又はインビボ、インビトロ、若しくはエクスビボの細胞、組織、及び器官)に薬物、プロドラッグ、若しくはその他の薬剤、又は治療的処置(例えば、本発明の組成物)を与える行動を意味する。
本明細書中で使用する場合、「同時投与」及び「同時投与する」という用語は、被験体への少なくとも2つの薬剤(例えば、ポロキサマーを含む組成物及び1つ又はそれ以上の他の薬剤(例えば、カルシウムチャネル遮断剤))又は療法の投与を意味する。いくつかの態様において、2つ又はそれ以上の薬剤又は療法の同時投与が同時に行われる。他の態様において、第一の薬剤/療法が第二の薬剤/療法の前に与えられる。当業者は、使用される多種の薬剤又は療法の処方及び/又は投与経路が変更され得ることを理解する。同時投与に適した用量は、当業者によって容易に決定され得る。いくつかの態様において、薬剤又は療法が同時投与される場合、それぞれの薬剤又は療法は、それらの単独投与に適した用量よりも少ない用量で与えられる。従って、同時投与は、その薬剤又は療法の同時投与が潜在的に有害な(例えば、毒性の)薬剤の必要用量を減少させる態様において、及び/又は2つもしくはそれ以上の薬剤の同時投与がそのうちの1つの薬剤のもつ有益な効果に対する被験者の感作をその他の薬剤の同時投与を通じてもたらす場合に特に望ましい。
本明細書中で使用する場合、「処置」という用語またはこれと文法上の同義語は、心臓病の症状の改善及び/又は逆行を包含する。従って、本発明のスクリーニング方法において使用した場合に疾患に関連する任意のパラメータを改善する薬剤は、治療化合物と同定され得る。「処置」という用語は、治療的処置及び予防的手段の両方を意味する。例えば、本発明の組成物及び方法による処置からの恩恵を享受し得る対象は、すでに疾患及び/又は機能障害(例えば、心臓病又は拡張機能障害)を有する対象だけでなく、疾患及び/又は機能障害が(例えば、本発明の予防的処置を用いて)予防されるべき対象を含む。
本明細書中で使用する場合、「疾患のリスクがある」という用語は、特定の疾患を経験する傾向がある被験体(例えば、ヒト)を意味する。この傾向は、遺伝的なもの(例えば遺伝性障害など、その疾患を経験する特定の遺伝的傾向)又は他の要因(例えば、環境条件、高血圧、代謝症候群(メタボリックシンドローム)等)に起因するものであり得る。従って、本発明は任意の特定のリスクに限定されることを意図しておらず、本発明が任意の特定の類型の心臓病に限定されることも意図していない。
本明細書中で使用する場合、「疾患に罹患している」という用語は、特定の疾患を経験している被験体(例えば、ヒト)を意味する。本発明は、任意の特定の徴候若しくは症状にも疾患にも限定されることを意図しない。従って、本発明は、特定の疾患に関連する指標(例えば、徴候及び症状)の少なくともいくつかを示す、任意の範囲の疾患(例えば、不顕性発現から末期的疾患まで)を経験している被験体を包含する。
本明細書中で使用する場合、「疾患」及び「病理学的状態」という用語は、正常な機能の発揮を妨害又は変更する、正常状態の生存動物又はその任意の器官若しくは組織の任意の欠陥に関連する状態、徴候、及び/又は症状を表現するために互換的に使用される。
「化合物」及び「薬剤」という用語は、身体機能の疾患、疾病、病気、又は障害を処置又は予防するのに使用され得る任意の化学的物体、医薬、薬物等を意味する。化合物は、公知の治療化合物及び潜在的な治療的化合物の両方を含む。「公知の治療化合物」とは、そのような処置に有効であることが(例えば、動物試験を通じて又はヒトへの以前の投与経験を通じて)示された治療的化合物を意味する。言い換えると、公知の治療化合物は、疾患(例えば、心臓病)の処置において有効な化合物に限定されない。
発明の詳細な説明
米国内には心臓病を有する患者が約500万人おり、この集団のおよそ200万人はNew York Heart AssociationクラスIII又はクラスIVの心不全を有し、中程度〜重篤な症状を有する集団が含まれる(例えば、American Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics-2006 Update, Dallas: AHA, 2006を参照のこと)。男性の心臓発作の犠牲者の約22%及び女性の心臓発作の犠牲者の約46%が、6年以内に心不全により障害を負うことになると思われる。この疾患は典型的には、3〜10年の間にクラスIIIからクラスIVに進行し、その場合患者は、β遮断剤、アンジオテンシンII受容体1型遮断剤、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、及び血管拡張剤を含む薬理学的療法により処置され得る。さらなる症状が生じた場合、患者は、例えば、埋め込み型ペースメーカー又は除細動器及び場合によっては左心補助装置(LVAD)等の医療デバイスを必要とし得る。LVADは例外かもしれないが、これらの療法により生命を維持できるものの、心臓機能の悪化が停止又は逆行することはない。この疾患の末期段階においては、患者は、危険域の低左心室駆出率のため頻繁に入院をし、心筋の収縮能を強化するための静脈内(IV)変力剤を及び流体負荷を減少させるために利尿剤を必要とする。
いくつかの心不全の危険因子が、代謝症候群(例えば、高血圧、異脂肪血症、肥満、及び糖尿病)という形で一般の集団の間に増加しているようである。米国においては、推定100万人の12〜19歳の若年者又は全体の4.2%が代謝症候群を有する。米国における4700万人の成人又は全体の23.7%が代謝症候群を有する。糖尿病の場合、左心室拡張機能障害が糖尿病性心筋症の初期段階を表し得る(例えば、Raev, (1994) Diabetes Care 17: 633-639を参照のこと)。
拡張機能障害は、心臓の力学的機能の異常が拡張期に現れる状態である。拡張機能障害は、駆出率の維持及び拡張機能の異常の存在下での心不全の徴候及び症状により特徴付けられる拡張期心不全の前兆であり得る(例えば、Zile and Brutsaert (2002) Circ. 105: 1387-1393を参照のこと)。これらの異常は、心室の弛緩の減少及び/又は心室の硬直の増加に起因する。拡張機能障害は極めて一般的である。Mayo Clinicによる研究によれば、ミネソタ州の一般の集団において、45歳以上の成人の21%が軽度の拡張機能障害を有していたとのことである(例えば、Redfield et al., 2003 JAMA 289: 194-202を参照のこと)。
死亡の主原因として、又は寄与要因としての心筋症による年間死亡者数は54,700人である(例えば、 American Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics-2006 Update, Dallas: AHA, 2006を参照のこと)。これらの症例の87%がうっ血性心筋症又は拡張型心筋症(DCM)である。DCM患者のうちの50%が最初の診断後5年間生存し、25%が10年後も生存する(Facts About Cardiomyopathy, NIH, NHLBI, 1995)。
男性のおよそ3500人に1人が、デュシェンヌ型筋ジストロフィ(DMD)に罹患し、一方、ベッカー型筋ジストロフィ(BMD)はそれより一般的でなく男性のおよそ30,000人に1人が罹患する。両疾患は、X染色体のXp21.1に位置しジストロフィンをコードする遺伝子における変異の結果である。DMDにおいてはジストロフィンが不存在であり、BMDにおいてはジストロフィンの大きさが縮小されているかまたは異常である。ジストロフィンは、筋細胞における細胞の組織化に関与する構造蛋白質であり、筋原線維及び筋細胞膜(筋細胞の膜)の両方の安定化を促進する(例えば、Kaprielian and Severs, 2000 Heart Failure Reviews 5: 221-238を参照のこと)。DMD及びBMDの両方において心臓病は、拡張型心筋症及び/又は心不整脈として顕れる。若年患者においては、6歳までに26%の発生率で顕れる。これらの患者は、典型的には20代前半〜中盤に死亡する。DMD患者の約20%及びBMD患者の約50%は、心不全で死亡する。女性のDMD又はBMDの保持者もまた、心筋症のリスクがある。発症年齢は不明確であるが、成人年齢であると考えられている。心病変(cardiac involvement)の範囲は、無症候から重篤な心不全にわたる。
異なる病因から生じる心不全がDMDに関連する心不全とどの程度関連しているのかというまさにその部分は不明確なままである。ヒト被験体由来及び動物モデル由来の両方の心筋細胞の膜におけるジストロフィン及びジストロフィン関連蛋白質の欠損については十分に記録されており、近年調査されてもいる(例えば、Kawada et al., (2005). Pharmacol. Therap. 107: 31-43を参照のこと)。これらの蛋白質は、筋細胞膜の過剰膨張に対する力学的耐性を提供する複合体を形成する。これらの蛋白質のうちの1つを欠くと、この複合体が崩壊し、膜が不安定化し、筋肉が変性し、そして最終的には心筋症を引き起こす。心不全においては、心筋細胞の筋細胞膜からジストロフィンが大量に消失していることが示されている。これは、カテコールアミン投与、急性心筋虚血を引き起こす冠動脈結紮、及び心筋梗塞後の慢性的な心不全を含む多様な一連のストレッサーに反応して起こる。このストレッサーは、心臓の構造的リモデリング対する長期的効果を有するか、又は膜安定性及び細胞内カルシウムレベルに対し即効性であるかのいずれかであり得る。カルシウム濃度が高レベルに増加すると、特にジストロフィンを切断するカルシウム活性化プロテアーゼ(カルパイン)が活性化される。この損失は最終的に、筋肉の変性、拡張型心筋症(DCM;肥大化した不適当に機能する心臓に関連する心筋の疾患)及び心不全を引き起こす。さらにこれは、最終的に重症心不全を引き起こす。
心不全の肉体的及び精神的な代償に加えて、経済的な費用も大きい。その年間費用はおよそ380億ドルであり、その60%が入院に関連する。年間では、これは入院日数650万日と計上される。1979年〜2003年の間に、心不全に関連する病院への債務は174%伸びている(例えば、American Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics - 2006 Update, Dallas: AHA, 2006を参照のこと)。心不全は、メディケア受給者が入院する最も一般的な理由である(CDC, Heart Failure Fact Sheet)。従って、50%の患者が3つ又はそれ以上の共存症を有し典型的な患者には平均6種の医薬が処方されるという心不全は、膨張を続ける医学的課題であるといえる。何らかの形態の心臓病を有する被験体の78%は、年間少なくとも2回の入院を経験していた(例えば、English and Mastream, (1995) Crit. Care Nurs. Q. 18:1-6を参照のこと)。
注目すべきは、心不全患者の約50%(およそ200万人の被験体)は、拡張機能障害を有することである。従って、満たされていない大部分の医学的要望とは、拡張機能障害に対処する療法についてのものである。
従って、本発明は、(例えば、(例えば、ジストロフィン欠損筋細胞及び動物における)拡張機能障害に関連する)心筋症及び心不全の病因に関する新たな知見、並びにそれらを処置及び予防するため並びに研究用途のための組成物及び方法を提供する。具体的には、本発明により、単離された無傷のジストロフィン欠損心筋細胞がコンプライアンスを低下させ、伸展に媒介されたカルシウム過負荷に対する感受性を上昇させ、その結果細胞拘縮及び細胞死が引き起こされることが確認された。さらに、いくつかの態様において、本発明は、人工脂質単層に挿入され、かつ電気穿孔した膜を密封することができる非イオン性コポリマーである膜シーラントポロキサマー(例えば、ポロキサマー188-P188)を用いてこのカルシウム過負荷を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、ポロキサマー(例えば、P188)による処置は、筋細胞レベル及び器官レベルで(例えば、ジストロフィ細胞、組織、及び被験体において;実施例3〜6を参照のこと)拡張不足を逆行させる。いくつかの態様において、ポロキサマー処置は、インビボで急性心不全を予防する。
動物実験において何らかの有効性を有することが実証された遺伝子ベース又は細胞ベースのアプローチは、ヒトへの移行が困難である。しかし、ポロキサマーは非毒性であり、ヒトにおける安全性が実証されている。従って、いくつかの態様において、本発明は、(例えば、(例えば、(例えば、DMD被験体及び膜の不安定化により特徴付けられる他の疾患における)伸展に媒介されたカルシウム過負荷に関連する)拡張機能障害により引き起こされる)心臓病に対して予防的及び治療的なすぐに使用可能な組成物を提供する。
特に、本発明は、単一心筋細胞から動物全体まで網羅する実験データセットにおいて、ジストロフィ心臓における主要な欠陥の同定、及び化合物ベースの膜修復ストラテジーによるその修正を提供する。第一に、正常マウス及びジストロフィン欠損(mdx)マウス由来の単一生存心筋細胞に対して生理学的に関連する筋節長の可動域の導入を可能にする特別な極細炭素繊維アッセイを用いた。本発明の開発中に得たデータは、mdx筋細胞が、細胞長の受動的拡張に反応して、細胞内カルシウム過負荷に対する感受性を上昇させ、筋細胞の過剰拘縮及び死を引き起こすことを実証し、このことは生理学的な負荷に対する膜の脆弱化を示す。本発明はまた、組成物(例えば、ポロキサマー(例えば、P188))が、mdx筋細胞のコンプライアンスを対照程度まで急速に回復させることができ、かつmdx筋細胞のカルシウム過負荷/細胞拘縮/細胞死に対する感受性の上昇を逆行させることを実証する(実施例3〜6を参照のこと)。従って、いくつかの態様において、本発明は、急性心不全(及びその後の死)から細胞及び被験体(例えば、ヒト、非ヒト哺乳動物等)を、被験体へのポロキサマー(例えば、P188)の投与を通じて保護する方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、ポロキサマー(例えば、P188)を含む組成物を被験体(例えば、ジストロフィ被験体)に投与(例えば、静脈内(IV)投与)することを含む、被験体における拡張機能障害に対する処置を提供する。本発明を実施する上でその機序の理解は必要なく、本発明はいかなる特定の作用機序にも限定されるものではないが、いくつかの態様においては、ポロキサマー(例えば、P188)を含む組成物の投与は、左心室拡張期容積を正常に戻すことによって左心室機能の改善(例えば、迅速な及び/又は持続的な改善)をもたらす。
本発明は、ジストロフィン欠損心臓において、伸展に誘導される[Ca2+iの異常な上昇が、細胞レベルでのコンプライアンスの低下を招き、インビボで拡張期容積を縮小することを実証する(例えば、実施例2〜4を参照のこと)。さらに、本発明は、カルシウムの流入が膜の完全性の欠如の結果として起こること、及びポロキサマー(例えば、P188)を含む組成物がこれらの異常を修正し得ることを実証する。
DMDに対する現在の治療パラダイムは、エクソンスキッピング又は短縮型ジストロフィンのウイルス導入を通じたジストロフィンの発現、又はジストロフィン欠損の結果を制限する他の遺伝子(例えば、ユートロフィン又はジスフェリン)の発現に着目している(例えば、Gregorevic, et al., Nat Med 10, 828-34 (2004); Squire et al., Hum Mol Genet 11, 3333-44 (2002); Torrente et al., J Clin Invest 114, 182-95 (2004); Goyenvalle et al., Science 306, 1796-9 (2004)を参照のこと)。これらのストラテジーには見込みがあるものの、体内の全ての横紋筋を標的化することが必要であるため困難を伴う。本発明は、ポロキサマーを含む組成物をDMD被験体に投与することを含む、DMDを処置するための比較的単純な化合物ベースの代替法を提供する。本発明を実施する上でその機序の理解は必要なく、本発明はいかなる特定の作用機序にも限定されるものではないが、いくつかの態様においては、ポロキサマーの投与は、膜の急速な安定化及び/又は修復をもたらす。
本明細書中で実証されているように(例えば、DMDのマウスモデル及びイヌモデルにおいて;実施例5及び6を参照のこと)、ポロキサマーの投与は、ジストロフィ被験体において、基準条件下及びストレス条件下の両方の条件下で即時かつ直接的に有益な血行動態的効果を提供する。現在、P188は、鎌状赤血球貧血患者における血管閉塞発作の処置について第III相臨床試験が行われており、最近、ヒトにおけるP188の安全性及び非毒性が実証された(例えば、Adams-Graves et al., Blood 90, 2041-6 (1997)を参照のこと)。しかし、鎌状赤血球貧血の突発的過程とは異なり、DMDは進行性の疾患であり、いくつかの態様においては、有効なポロキサマー療法は、長期にわたる血管内投与を利用する。従って、本発明は、膜密封性ポロキサマーを利用するが、これは、(例えば、DMD被験体における)拡張機能障害の心臓に対する被害の進行を予防又は抑制するため、及びジストロフィン糖蛋白質複合体における欠陥に関連する心筋症を処置するための新しい分類の治療薬剤であるといえる(例えば、Straub and Campbell, Curr Opin Neurol 10, 168-75 (1997)を参照のこと)。
本発明は、心不全の被験体における心筋細胞の膜を安定化させる(例えば、それによって細胞のコンプライアンスを向上し、心機能を改善する)ために使用する任意の特定のポロキサマーに限定されない。いくつかの好ましい態様において、P188が(例えば、本発明の組成物(例えば、薬学的組成物)において)使用される。本発明は、P188の使用に限定されない。事実、P138、P237、P288、P124、P338、及びP407を含むがこれらに限定されない、P188と同様の特徴及び特性(例えば、生物学的効果)を有する任意のポロキサマーに、本発明における用途が見出される。
P188は、1950年代にBASFによって初めて開発されたポロキサマー分子ファミリーの1種である。P188は、ポリ(エチレンオキシド)80-ポリ(プロピレンオキシド)30-ポリ(エチレンオキシド)80からできる非イオン性トリブロックコポリマーである(分子量約8.4Kda)。この分子は、PLURONIC F68、RheothRx、及びFLOCORを含むいくつかの名称を有する。
ポロキサマー(PLURONICブロックポリマーとも呼ばれ、BASF Corp.,Wyandotte,MIから販売されている)は一般的に、エチレンオキシド(EO)ブロック及びプロピレンオキシド(PO)ブロックを含み、これらが基本A-B-A構造:EO-PO-EOで配置されている。この配置の結果、親水性のEO(x)単位及び疎水性のPO(y)単位の数が変更され得る両親媒性コポリマーが生じる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Reeve, pgs. 231-249, Handbook of Biodegradable Polymers, Harwood Academic Pub., Eds. Domb et al., (1997)を参照のこと)。多種のポロキサマーの骨格構造は図8Aに示されている。BASF Corp.から販売されている選択されたPLURONICコポリマーのリストは、図8Bに示されている。様々なx値及びy値を有するコポリマーが、異なる親水性-親油性バランス(HLB)により特徴付けられている。ポロキサマーは、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ触媒の存在下でのPOモノマー及びEOモノマーの連続添加により合成され得る(例えば、Schmolka, J. Am. Oil Chem. Soc. 54 (1977) 110-116を参照のこと)。この反応はPOブロックの重合により開始され、続いてPOブロックの両端でEO鎖が伸長していく。通常、アニオン重合により比較的低い多分散指数(M/M)を有するポリマーが生成される。
いくつかの態様において、本発明のポロキサマーを含む組成物は、精製された及び/又は分画されたポロキサマー(例えば、ゲルろ過又はクロマトグラフィ分画を用いて精製された及び/又は分画されたポロキサマー)を含む(例えば、各々その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Emanuele et al., Expert Opin Investig Drugs. 1998; 7:1193-20、米国特許第6,977,045号及び同第6,761,824号を参照のこと)。いくつかの態様において、混和物(例えば、POホモポリマー及び/又はブロックコポリマーの混和物)が除去されたポロキサマーが使用される。いくつかの態様において、生物学的活性の改善のために最適化されたポロキサマー(例えば、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンコポリマー)が使用される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,747,064号を参照のこと)。いくつかの態様において、化学修飾された形態の1つ又はそれ以上のポロキサマーが、本発明の組成物及び方法において使用される。ポロキサマーの化学修飾としては、放射性標識、アセチル化、ビオチニル化、フルオロフォア付加、及びその他の化学的修飾があるがこれらに限定されない。
本発明においては、(例えば、図8bに記載の特徴に基づいて)P188と類似の特徴及び特性(例えば、生物学的効果)を有する多種のポロキサマーが(例えば、ポロキサマーを含む組成物において)使用され得る。これらのポロキサマーとしては、P138、P237、P288、P124、P338、及びP407があるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、分子量が5000〜9000ダルトンのポロキサマーが、(例えば、本発明の組成物(例えば、薬学的組成物)において)使用される。いくつかの態様において、分子量が9000〜12000ダルトンのポロキサマーが、(例えば、本発明の組成物(例えば、薬学的組成物)において)使用される。いくつかの態様において、分子量が12000〜15000ダルトンのポロキサマーが使用される。分子量が5000ダルトン未満又は15000ダルトン超のポロキサマーもまた、本発明において用途(例えば、本発明の組成物(例えば、薬学的組成物)における用途)が見出され得る。
いくつかの態様において、ポリオキシエチレン含有量が50%超のポロキサマーが、(例えば、本発明の組成物(例えば、薬学的組成物)において)使用される。いくつかの態様において、ポリオキシエチレン含有量が50〜60%のポロキサマーが使用される。いくつかの態様において、ポリオキシエチレン含有量が60〜70%のポロキサマーが使用される。ポリオキシエチレン含有量が50%未満又は70%超のポロキサマーもまた、本発明において用途(例えば、本発明の組成物(例えば、薬学的組成物)における用途)が見出され得る。
P188のいくつかの一般的な生物学的用途としては、いくつかの市販の緩下剤における便軟化剤として、化粧品の成分として、及び薬学的薬剤の乳化剤としての用途がある。P188は強力な界面活性剤である。P188は、脂質単層に挿入されることが示されている(例えば、Maskarinec et al., 2002 Biophys. J. 82: 1453-1459を参照のこと)。P188は、とりわけ、電気的損傷を受けた細胞膜の修復(例えば、Lee et al., (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4524-4528を参照のこと)、制御された薬物送達における効果、化学療法に対する腫瘍感作効果(例えば、Kabanov et al., Adv Drug Deliv Rev 2002, 54, 759-779を参照のこと)、及び遺伝子療法の送達に関する効果を含む、インビボで多くの生物学的効果を有する。さらに、P188は、血小板の接着性だけでなく血液の流れ及び粘度に対しても効果を有することが示されている(例えば、Grover et al., (1969) Circ. 39及び40: I249, (Suppl. I)を参照のこと)。P188は、Glaxo WelcomeによってRheothRxの名称で(例えば、Adams-Graves et al., (1997), Blood 90: 2041-2046を参照のこと)及びCytRxによってFLOCORの名称で、鎌状赤血球症における血管閉塞発作に対する治療薬剤として開発され、第III相臨床試験が行われている(例えば、Emanuele, (1998) Expert Opin. Investig. Drugs 7:1193-1200を参照のこと)。P188はまた、急性心筋梗塞(MI)(CORE)を有する患者における血栓溶解作用を評価する第III相臨床試験が行われたが、結果はさまざまであった(Schaer et al., (1996) Circ. 94: 298-307; Chareonthaitawe et al., (2000) Heart 84: 142-148)。P188は、急性MIに対する直接経皮経管冠動脈形成術のための補助剤として第II相試験が行われている(例えば、O'Keefe, et al., 1996 Am. J. Cardiol. 78: 747-750を参照のこと)。従って、本発明は、P188と類似の特徴及び生物学的効果(例えば、(例えば、拡張機能障害に起因する)心不全を処置及び/又は予防する効果)を有するポロキサマー(例えば、P138、P237、及びP288)の使用を意図する。
P188は、最大72時間の短期間に与えられた場合に安全であり(例えば、Adams-Graves et al., (1997), Blood 90: 2041-2046を参照のこと)、反復的な暴露に対しては子供においても大人においても十分許容され得る(例えば、Gibbs and Hagemann, 2004 Ann. Pharmacother. 38: 320-324を参照のこと)。RheothRxを用いた研究において最も重大な有害作用は腎機能障害であったが、これはより高度に精製された形態であるFLOCORでは見られなかった。最も頻繁に生じる有害作用は、疼痛、注射部位の異常、及び吐き気であった。P188は、齧歯類被験体においては7.5時間及びヒト被験体においては18時間の血漿中半減期を有する。薬物動態研究では、5%未満の精製ポロキサマーが代謝されることが示された。分子量がより大きく、クリアランスがより遅い代謝産物が1つ検出された(Gibbs and Hagemann, 2004 Ann. Pharmacother. 38: 320-324を参照のこと)。腎クリアランスが主要な排出経路である。
本発明は、ポロキサマー(例えば、P188)を含む組成物が、革新的な(first-in-class)心臓病療法として使用され得ることを提供する。いくつかの態様において、ポロキサマー(例えば、P188)を含む組成物は、現在心臓病に対して使用されている1つ又はそれ以上の組成物(例えば、医薬、薬物等)と共に投与された場合に、追加の又は相乗的な利益を提供する。
いくつかの態様において、本発明の組成物は、ジストロフィン欠損筋細胞(例えば、正常な心筋細胞と比較して、生理学的に拡張期に相当する筋節長まで伸展させた際により大きな張力を示す筋細胞)を処置するのに使用される。いくつかの態様において、本発明の(例えば、ポロキサマーを含む)組成物は、心筋細胞が不安定になるのを(例えば、線維攣縮、カルシウム過負荷、拘縮、及び/又は細胞死を示す心筋細胞を)処置又は予防するのに使用される。例えば、いくつかの態様において、本発明のポロキサマーを含む組成物は、不安定な心筋細胞における細胞のコンプライアンスを増大させ、細胞内Ca+2を対照レベルまで減少させるために使用され得る。本発明を実施する上でその機序の理解は必要なく、本発明はいかなる特定の作用機序にも限定されないが、いくつかの態様においては、本発明のポロキサマーを含む組成物で不安定な心筋細胞を処置する(例えば、ポロキサマーを含む組成物を筋細胞に投与する)ことで、筋細胞膜における小さな断裂を変化させる(例えば、害になる効果を中和する、及び/又は再形成(例えば、修復)する)。
心機能のインビボ研究は、拡張期の心臓に異常を有する被験体(例えば、mdxマウス)へのポロキサマーの静脈内注入が、左心室拡張末期容積の増加を含む基準血行動態を改善することを明らかにした(実施例3〜6を参照のこと)。従って、いくつかの態様において、本発明は、被験体(例えば、拡張機能障害に罹患した被験体)における左心室拡張末期容積を増加させる方法であって、ポロキサマー(例えば、P188、又はその等価物)を含む組成物を被験体に提供すること及び被験体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法は、心不全(例えば、(例えば、筋ジストロフィ又は一般的な心不全を有する被験体における)末期段階又は症候性の心不全)を有する被験体における左心室拡張末期容積を増加させるのに使用される。本発明を実施する上でその機序の理解は必要なく、本発明はいかなる特定の作用機序にも限定されないが、いくつかの態様においては、被験体へのポロキサマーの投与は、被験体の心筋細胞における細胞内Ca+2レベルを低下させ、それによって、心不全に起因する心筋組織のリモデリングを予防し及び/又は心臓組織のリモデリングを逆行させる。
本発明は処置される心不全の類型に限定されない。実際、拡張期の欠陥(例えば、左心室拡張末期容積の欠陥)を含む任意の心不全が、本発明の組成物及び方法を用いて処置され得る。いくつかの態様において、拡張期の欠陥は心筋症に起因する。心筋症は、心筋の機能障害により特徴付けられる疾患の多様な群のうちの任意の1つ又はそれ以上であり得る。心筋症は、血行動態的に、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、及び閉塞型心筋症に分類され、その病因は既知のもの又は突発的なものであり得る。中でも、拡張型心筋症の病因は、妊娠、薬物、及び毒物(例えば、アルコール、コカイン、及び化学療法剤(例えば、ドキソルビシン及びダウノルビシン、ダクチノマイシン、ダカルバジン、シクロホスファミド、マイトマイシン、並びにアントラサイクリン)、並びに感染及び自己免疫プロセスである。肥大型心筋症は、50%を上回る症例で遺伝性であり、通常は心室中隔の非対称的な肥厚化のパターン(非対称性中隔肥大とも呼ばれる)を有する、特有パターンの心筋肥大(筋肉の肥厚化)を伴う。拘束型心筋症は通常、心筋層の浸潤性疾患(例えば、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、又は糖原病)の産物であり、特定の糖尿病患者においても見られ得る。閉塞型心筋症は、心内膜心筋線維症及び好酸球増多症候群によって引き起こされ得る。全ての心筋症の共通の合併症は、進行性うっ血性心不全である。
うっ血性心不全は、多くの場合、心臓が通常の充満圧で末梢組織の代謝的要求を満たすのに十分な酸素含有血液の供給を行えなくなることと定義される。慢性うっ血性心不全は、冠動脈疾患、心筋症、心筋炎、大動脈狭窄、高血圧、突発性非対称性中隔肥大、大動脈縮窄、大動脈弁逆流、僧帽弁逆流、左右短絡、筋肥大、心膜タンポナーデ、収縮性心外膜炎、僧帽弁狭窄、左心房粘液腫、左心房血栓、三房心、及びその他の多くの状態の結果であり得る。うっ血性心不全は一般的に、不十分な酸素運搬の他の原因(例えば、出血又はその他の多量損失要因による循環の崩壊、流体過負荷に起因するうっ血、並びに甲状腺中毒、動静脈瘻、パジェット病、及び貧血等の状態において起こる末梢からの要求の増加に起因する高心拍出量性心不全)とは区別される。うっ血性心不全に対する治療法は、典型的には、流体過負荷及び心不全の根底にある病因及び症状の処置に着目している。可逆的病因の修正後も持続する慢性うっ血性心不全は、利尿剤(例えば、クロロチアジド及びヒドロクロロチアジド等のチアジドがあるがこれらに限定されない)、ループ利尿剤(例えば、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、及びブメタニドがあるがこれらに限定されない)、カリウム保持性剤(例えば、スピロノラクトン、トリアムテレン、及びアミロリドがあるがこれらに限定されない)並びにその他の薬剤(例えば、メトラゾン及びその他のキナゾリン-スルホンアミドがあるがこれらに限定されない)、血管拡張剤(例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ヒドララジン、ニトロプルシドナトリウム、プロスタサイクリン、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、キナプリル、及びロサルタン)、陽性変力剤(例えば、ジギタリス又はジゴキシン)、β遮断剤、又はこれらの薬剤の1つもしくはそれ以上の組み合わせによって処置され得る。
本発明の組成物及び方法は、慢性心不全(例えば、長期的なうっ血性心不全(例えば、2週間を超える、3週間を超える、若しくは1月を超える、又は2月を超える、3月を超える、またはそれ以上続くうっ血性心不全))、可逆的病因の修正後も持続する心不全、及び急性心筋梗塞又は急性的な感染プロセスに直接関連しない心不全を含むがこれらに限定されない複数の類型の心不全を処置するのに使用され得る。さらに、先天性心欠陥に起因する心臓病(例えば、うっ血性心不全又はチアノーゼ性心臓病(例えば、肺動脈弁閉鎖、全肺静脈還流異常、心室中隔欠損、左心室発育不全症候群、両大血管右室起始、右肺動脈狭窄、大動脈弓離断、エブスタイン奇形、ファロー四徴、房室管、大血管転位症、及び総動脈幹)を引き起こし得る心臓病)もまた、本発明の組成物及び方法を用いて処置され得る。
従って、本発明は、本発明の組成物を投与される被験体の類型により限定されない。実際、非常に多種の被験体が、本発明の組成物の投与からの恩恵を享受するものと考える。好ましい態様において、被験体はヒトである。いくつかの態様において、ヒト被験体は、(例えば、拡張機能障害(例えば、DMD被験体)に起因する)心臓病を有するか又はこれに罹患する可能性のある任意の年齢(例えば、成人、子供、乳児等)の被験体である。いくつかの態様において、被験体は、非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、若しくはその他の家畜;又はマウス、ラット、ウサギ、若しくは研究の場で一般的に用いられるその他の動物)である。
本発明はさらに、(例えば、本明細書に記載するポロキサマーを含む)薬学的組成物を提供する。本発明のポロキサマーを含む組成物は、治療目的(例えば、拡張機能障害を修正するために)又は予防目的(例えば、心臓病(例えば、拡張機能障害)の徴候又は症状を予防するために)で使用され得る。本発明のポロキサマーを含む組成物は、多くの異なる送達経路及び方法を通じて被験体に投与され得る。
好ましい態様において、本発明のポロキサマーを含む組成物は、静脈内(IV)投与を通じて投与される。いくつかの態様において、本発明の組成物は、1日1回又はそれ以上を数日間投与され得る。いくつかの態様において、本発明の組成物は、1日1回又はそれ以上を1週間を超えて投与され得る。いくつかの態様において、本発明の組成物は、1日1回又はそれ以上を2週間を超えて投与され得る。いくつかの態様において、本発明の組成物は、1日1回又はそれ以上を、1月以上、2月以上、4月以上、8月以上、又は1年を超えて投与され得る。好ましい態様において、本発明の組成物は、(例えば、細胞内カルシウムレベルを低下させ正常レベルで維持することによる)心機能の向上及び/又は疾患の進行の停止及び/又は心臓組織のリモデリングの逆行に十分な期間(例えば、週、月、又は年単位の期間を通じて)、医師の下で、例えば、1週間に1回、2回、3回、又はそれ以上(例えば、長期にわたる投与を通じて)投与される。本発明は、静脈内投与によっては限定されない。実際、本発明の組成物を脈管内に導入する任意の投与方法が、送達手段として有用であると考える。例えば、いくつかの態様において、本発明の組成物は非経口投与を通じて投与される。非経口投与の例としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋内への注射若しくは注入、クモ膜下腔内又は心室内への投与がある。
非経口、IV、又はその他の投与経路のための組成物及び製剤は無菌水溶液を含み得、これはまた、緩衝剤、希釈剤、及びその他の適切な添加剤(例えば、浸透促進剤、坦体化合物、及びその他の薬学的に許容できる坦体又は賦形剤等であるがこれらに限定されない)も含み得る。
本発明の組成物は、例えば、静脈内経路、又は本明細書に記載されるその他の経路といった任意の経路による投与のために処方され得る。いくつかの態様において、本発明の組成物は、無菌水溶性調製物を含み得る。許容できる溶剤及び溶媒としては、水、リンガー溶液、リン酸緩衝生理食塩水、及び等張性塩化ナトリウム溶液があるがこれらに限定されない。さらに、溶媒又は懸濁媒体として、無菌の固定油が従来から使用されている。この目的のために、合成性のモノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の銘柄の固定鉱物油又は固定非鉱物油が使用され得る。さらに、例えば、オレイン酸といった脂肪酸も、注射可能な調製物において用途が見出される。IV、非経口、粘膜、皮下、筋内、腹腔内、静脈内、経口(例えば、摂取を通じて)、又はその他の経路を通じた投与に適した坦体製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 19th edition, 1995の中に見出され得る。
さらなる好ましい態様において、本発明の組成物は、(例えば、細胞内カルシウムレベルを低下させ正常レベルで維持することによる)心機能の向上及び/又は疾患の進行の停止及び/又は心臓組織のリモデリングの逆行に十分な量(例えば、用量)で投与される。本発明は、いかなる特定の用量にも限定されない。実際、望ましい用量は、処置される被験体(例えば、年齢、健康状態、並びに処置される心臓病の類型及び/又は程度)に依存して変化し得る。
いくつかの態様において、各々の用量(例えば、(例えば、(例えば、拡張機能障害に起因する)心臓病を予防又は処置するために被験体に投与される)ポロキサマーを含む組成物の用量)は、処置される被験体の体重1kgあたり100〜200mgのポロキサマーを含む。いくつかの態様において、各用量は、処置される被験体の体重1kgあたり200〜400mgのポロキサマーを含むことが予想される。いくつかの態様において、各用量は、処置される被験体の体重1kgあたり400〜500mgのポロキサマーを含む。いくつかの態様において、各用量は、処置される被験体の体重1kgあたり500〜2000mgのポロキサマーを含む。いくつかの態様において、各用量は、処置される被験体の体重1kgあたり100mg未満のポロキサマーを含む。いくつかの態様において、各用量は、処置される被験体の体重1kgあたり2000mgを上回るポロキサマーを含む。特定の投与についての最適量は、被験体における拡張機能及びその他の生物学的応答(例えば、血中酸素飽和度)の観察を含む標準的な検査により確定され得る。
いくつかの態様において、各々の用量(例えば、被験体(例えば、ヒト被験体)に投与されるポロキサマーを含む組成物の用量)は、30重量%のポロキサマーであることが予想される。しかし、用量は、この量以上又は未満のポロキサマーを含み得る。例えば、いくつかの態様において、用量は、30〜40重量%のポロキサマーを含み得る。いくつかの態様において、用量は、40〜50% w/wのポロキサマーを含み得る。いくつかの態様において、用量は、50〜60% w/wのポロキサマーを含み得る。いくつかの態様において、用量は、60重量%を上回るポロキサマーを含み得る。
いくつかの態様において、ポロキサマーを含む薬学的調製物は、投与の容易さ及び投与量の均一性を考慮した剤形単位で処方される。本明細書で使用する場合、剤形単位とは、処置(例えば、本発明の組成物の投与)を受ける被験体に適した薬学的調製物の物理的に分離された単位をいう。各々の投薬には、所望の応答(例えば、拡張期圧の上昇)を生じるよう計算されたポロキサマーを含む量の組成物を含めるべきである。適切な投薬単位を決定する手順は、本明細書に記載されていることに加え、当業者に周知である。
投薬単位は、被験体の体重、年齢、及び健康状態を含むがこれらに限定されないいくつかの要因に基づき、これらに比例して加減され得る。さらに、投薬単位は、処置に対する被験体の反応(例えば、拡張期血圧の上昇又は低下)に基づき加減され得る。
本発明の特定の態様において、組成物はさらに、1つ又はそれ以上のアルコール、亜鉛含有化合物、軟化剤、保湿剤、増粘剤及び/もしくはゲル化剤、中和剤、並びに界面活性剤を含み得る。この製剤において使用される水は好ましくは、中性のpHを有する脱イオン水である。
加えて本発明の組成物は、従来から薬学的組成物において見出される他の補助的成分を含み得る。従って、例えば、組成物は、追加の、適合性の、薬学的に活性な物質(例えば、かゆみ止め、収れん剤、局部麻酔剤、又は消炎剤)を含み得るか、又は本発明の組成物の様々な剤形を物理的に構築するのに有用なさらなる物質(例えば、染料、保存剤、抗酸化物質、乳白剤、増粘剤、及び安定化剤)を含み得る。しかし、このような物質は、添加された場合に、本発明の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨害しないことが好ましい。この製剤は滅菌処理され得、そして所望の場合は、この製剤中のポロキサマーと有害な相互作用をしない補助的薬剤(例えば、潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、矯味剤、及び/又は芳香物質等)と混合され得る。
本発明はまた、ポロキサマーを含む組成物と1つ又はそれ以上のさらなる活性薬剤(例えば、心不全の処置又は予防のための当技術分野で公知の薬剤)との同時投与を含む方法を含む。実際、本発明の組成物を同時投与することにより、先行技術の処置方法及び/又は薬学的組成物を強化する方法を提供することが、本発明のさらなる局面である。同時投与の手法において、これらの薬剤は、同時に又は連続的に投与され得る。1つの態様において、本明細書中に記載される組成物は、他の活性薬剤よりも前に投与される。薬学的処方及び投与様式は、本明細書中に記載される任意のものである。さらに、2つ又はそれ以上の同時投与される薬剤は各々、異なる様式(例えば、経路)又は異なる処方を用いて投与され得る。同時投与されるさらなる薬剤は、現在臨床的に使用されているものを含むがこれらに限定されない当技術分野で周知の任意の薬剤であり得る。
ポロキサマーを含む組成物の投与は、心臓病の処置に関して公知の1つ又はそれ以上の治療薬剤との同時投与であり得ると考える。例えば、心臓病の処置に関して当技術分野で公知の薬剤としては、利尿剤(例えば、チアジド(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、及びメトラゾン))、ループ利尿剤(例えば、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、及びこれらの同族物質)、カリウム保持性剤(例えば、スピロノラクトン、カンレノン、トリアムテレン、及びアミロリド)及びその他の薬剤(例えば、メトラゾン及びその他のキナゾリン-スルホンアミド)、血管拡張剤(例えば、ニトロ系血管拡張剤(例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、及びニトロプルシドナトリウム)、ヒドララジン、プロスタサイクリン、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、キナプリル、及びラミプリル)、並びにアンジオテンシンII拮抗剤(例えば、ロサルタン)、陽性変力剤(例えば、強心配糖体(例えば、ジギタリス又はジゴキシン))、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、アムリノン及びミルリノン)、β-アドレナリン受容体拮抗剤(例えば、β遮断剤(例えば、プロパノロール、メトプロロール、アテノロール、ピンドロール、アセブトロール、ラベタロール、カルベジロール、及びセリプロロール))、又はこれらの手段の組み合わせがあるが、これらに限定されない(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Goodman and Gilman, Ch. 34, The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw Hill, N. Y. (1996)を参照のこと)。
拡張期心不全の処置についての現在の治療推奨は、病態生理学、心臓血管疾患の他の局面に関する知見の推測、小規模研究からのデータ、及び専門家の意見を含む、疾患志向の証拠に基づいている。American College of Cardiology/American Heart Association(ACC/AHA)及びInstitute for Clinical Systems Improvement(ICSI)の証拠に基づくガイドラインは、処置計画に関するいくつかの情報を提供する(例えば、Hunt et al., Circulation 2001; 104: 2996-3007; Institute for clinical systems improvements. Health care guidelines. Jan 2002: 1-71を参照のこと)。
例えば、生活様式の改善は、全ての類型の心臓血管疾患のリスクを低減するのに推奨される。その手段としては、減量、禁煙、食事の変更、及び運動がある。例えば、高血圧、糖尿病、及び高コレステロール血症といった合併症の発見及び処置は、その後の心不全のリスクを低減するのに重要である。
本発明のポロキサマーを含む組成物は、拡張期心不全を処置するのに使用される1つ又はそれ以上の薬学的薬剤と同時投与され得る。例えば、拡張期心不全の薬理学的処置は、血圧の正常化、左心室肥大の後退促進、頻拍の予防、うっ血症状の処置、及び心房収縮の維持に対してなされる(例えば、Hunt et al., Circulation 2001; 104: 2996-3007; Institute for clinical systems improvements. Health care guidelines. Jan 2002: 1-71; Zile and Brutsaert, Circulation 2002; 105: 1503-8を参照のこと)。多くの場合、利尿剤及び血管拡張剤による処置は、肺うっ血を減少させるのに重要である。ただし、前負荷及び一回拍出量を減少させる過度の利尿を避ける注意が必要である。拡張機能障害を有する被験体は、量的変化及び前負荷に過敏である。β遮断剤の潜在的な利益は、心拍数を減少させ、拡張期充満時間を増加させ、酸素消費を抑え、血圧を低下させ、そして左心室肥大を後退させるそれらの能力に起因する。あるグループは、拡張期心不全を有する老齢患者の処置におけるβ遮断剤ネビボロールの効果を評価している(例えば、Shibata et al., Int J Cardiol 2002; 86: 77-85を参照のこと)。従って、いくつかの態様において、ポロキサマー(P188)を含む組成物は、被験体における心臓病(例えば、拡張機能障害に起因する疾患)を処置又は予防するために、利尿剤及び/又は血管拡張剤及び/又はβ遮断剤と共に被験体に同時投与される。
本発明は、本発明のポロキサマー含有組成物と同時投与される利尿剤の類型によっては限定されない。実際、アミロリド(MIDAMOR)、ブメタニド(BUMEX)、クロロチアジド(DIURIL)、フロセミド(LASIX)、ヒドロクロロチアジド(ESIDRIX)、インダパミド(LOZOL)、及びスピロノラクトン(ALDACTONE)を含むがこれらに限定されない多種の利尿剤が同時投与され得る。
同様に、本発明は、本発明のポロキサマーを含む組成物と同時投与されるβ遮断剤の類型によっては限定されない。実際、アセブトロール(SECTRAL)、アテノール(TENORMIN)、ベタキソロール(KERLONE)、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(ZIAC)、ビソプロロール(ZEBETA)、カルテオロール(CARTROL)、メトプロロール(LOPRESSOR、TOPROL XL)、ナドロール(CORGRAD)、プロプラノロール(INDERAL)、ソトロール(BETAPACE)、及びチモロール(BLOCADREN)を含むがこれらに限定されない多種のβ遮断剤が同時投与され得る。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は心臓血管疾患の処置において多くの利益を有しているので、これらの薬剤は、(例えば、拡張機能障害に起因する)心臓病の処置に関して見込みのある治療薬剤である。ACE阻害剤は、左心室肥大を後退させ、血圧を低下させ、そして心臓のリモデリングを予防及び/又は修正する。従って、いくつかの態様において、ポロキサマー(例えば、P188)を含む組成物は、被験体における心臓病(例えば、拡張機能障害に起因する疾患)を処置又は予防するために、ACE阻害剤と共に被験体に同時投与される。
本発明の組成物及び方法において用途が見出されるACE阻害剤の例としては、欧州特許第80822号及び同第60668号に開示されるBeechamのBRL36,378、CA.102:72588v及びJap. J. Pharmacol. 40. 373 (1986)に開示される中外製薬のMC-838、英国特許第2103614号に開示されるCiba-Geigy社のCGS 14824(3-([1-エトキシカルボニル-3-フェニル-(1S)-プロピル]-アミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソ-1-(3S)-ベンゾアゼピン-1酢酸HCl)及び米国特許第4,473,575号に開示されるCGS 16,617(3(S)-[[(1S)-5-アミノ-1-カルボキシペンチル]アミノ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソ-1H-1-ベンゾアゼピン-1-エタン酸)、Eur. Therap. Res. 39: 671 (1986) ; 40: 543 (1986)に開示されるセタプリル(アラセプリル、大日本製薬)、欧州特許第79-022号及びCurr. Ther. Res. 40: 74 (1986)に開示されるラミプリル(Hoechst)、Arzneimittelforschung 35: 1254 (1985)に開示されるRu 44570(Hoechst)、J. Cardiovasc. Pharmacol. 9. 39 (1987)に開示されるシラザプリル(Hoffman-LaRoche)、FEBS Lett. 165: 201 (1984)に開示されるR.sub.O 31-2201(Hoffman-LaRoche)、Curr. Therap. Res. 37: 342 (1985)及び欧州特許出願第12-401号に開示されるリシノプリル(Merck)、米国特許第4,385,051号に開示されるインダラプリル(デラプリル)、Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 10: 131 (1983)に開示されるレンチアプリル(フェンチアプリル、参天製薬)、J. Cardiovasc. Pharmacol. 5: 643, 655 (1983)に開示されるインドラプリル(Schering)、Acta. Pharmacol. Toxicol. 59 (Supp.5) : 173 (1986)に開示されるスピラプリル(Schering)、Eur. J. Clin. Pharmacol. 31: 519 (1987)に開示されるペリンドプリル(Servier)、米国特許第4,344,949号に開示されるキナプリル(Warner-Lambert)、およびPharmacologist 26: 243, 266 (1984)に開示されるCI 925(Warner-Lambert)([3S-[2[R()R()]]3R()]-2-[2-[[1-(エトキシ-カルボニル)-3-フェニルプロピル]アミノ[-1-オキソプロピル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-6,7-ジメトキシ-3-イソキノリンカルボン酸HCl)、J. Med. Chem. 26: 394 (1983)に開示されるWY-44221(Wyeth)があるがこれらに限定されない(各文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)。
拡張期心不全はまた、カルシウムチャネル遮断剤(例えば、ベラパミル及びジルチアゼム)及びβ-アドレナリン受容体遮断剤によって処置され得る。肺うっ血又は虚血の場合、患者はまた、それぞれ、利尿剤又はニトラートも受容し得る。
カルシウムチャネル拮抗剤は、カルシウムの恒常性を弱めることによって直接的に、又は血圧を低下させ、心筋虚血を軽減又は予防し、左心室肥大の後退を促進し、(例えば、ベラパミル及び/又はジルチアゼムを用いて)心拍数を減らし、そして左心室の充満パラメーターを改善することによって間接的に、拡張機能を改善し得る。従って、いくつかの態様において、ポロキサマー(P188)を含む組成物は、被験体における心臓病(例えば、拡張機能障害に起因する疾患)を処置又は予防するために、カルシウムチャネル遮断剤(例えば、ベラパミル及びジルチアゼム)及び/又はβ-アドレナリン受容体遮断剤と同時投与される。
カルシウムチャネル遮断剤の例としては、アムロジピン(NORVASC)、ベプリジル(VASCOR)、ジルチアゼム(CARDIZEN、TIAZAC)、フェロジピン(PLENDIL)、ニフェジピン(ADALAT、PROCARDIA)、ニモジピン(NIMOTOP)、ニソルジピン(SULAR)、及びベラパミル(CALAN、ISOPTIN、VERELAN)があるがこれらに限定されない。
ベラパミルは、拡張機能を改善すること、症状を緩和すること、及び運動耐容能を向上することが客観的基準によって示されている。1990年にJ.F.Setaroらによって実施された5週間の二重盲検交差試験において、孤立性拡張機能障害を有する20人の老齢男性が、ベラパミル又はプラセボで処置された。この薬物を与えられた者は、症状が改善し、運動時間が33%増加し、ピーク左心室充満速度が30%増加し、心拍数が10%減少した(全てにおいてp<0.05)。
いくつかの態様において、ポロキサマー(P188)を含む組成物は、被験体において心臓病(例えば、拡張機能障害に起因する疾患)を処置又は予防するために、アンジオテンシン-2受容体拮抗剤及び/又はα遮断剤及び/又は中枢性α作動剤及び/又はスタチンと同時投与される。
本発明において用途が見出されるアンジオテンシン-2受容体拮抗剤の例としては、カンデサルタン(ATACAND)、エプロサルタン(TEVETEN)、イルベサルタン(AVAPRO)、ロサルタン(COZAAR)、テルミサルタン(MICARDIS)、及びバルサルタン(DIOVAN)があるがこれらに限定されない。本発明において用途が見出されるα遮断剤の例としては、ドキサゾシンメシラート(CARDURA)、塩酸プラゾシン(MINIPRESS)、プラゾシン及びポリチアジド(MINIZIDE)、並びに塩酸テラゾシン(HYTRIN)があるがこれらに限定されない。本発明において用途が見出される中枢性α作動剤の例としては、塩酸クロニジン(CATAPRES)、塩酸クロニジン及びクロルタリドン(CLORPRES、COMBIPRES)、酢酸グアナベンズ(WYTENSIN)、塩酸グアンファシン(TENEX)、メチルドパ(ALDOMET)、メチルドパ及びクロロチアジド(ALDOCLOR)、並びにメチルドパ及びヒドロクロロチアジド(ALDORIL)があるがこれらに限定されない。本発明において用途(例えば、(例えば、被験体における心臓病を処置及び/又は予防するための)被験体へのポロキサマーを含む組成物との同時投与)が見出されるスタチンの例としては、アトルバスタチン(LIPITOR)、フルバスタチン(LESCOL)、ロバスタチン(MEVACOR)、プラバスタチン(PRAVACHOL)、ロスバスタチンカルシウム(CRESTOR)、及びシンバスタチン(ZOCOR)があるがこれらに限定されない。
実験
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様及び局面を実証し、さらに詳説する目的で提供されるものであり、その範囲を限定するものと解釈されてはならない。
実施例1
材料及び方法
動物
対照(C57BL/10 SnJ)マウス及びmdx(C57BL/10 ScSn-mdx)マウスは、Jackson Laboratoriesから入手し、Michigan大学の防壁隔離施設で管理した。本研究において使用した手順は、Michigan大学の動物の使用及び管理に関する委員会による承認を受けた。
単一心筋細胞長、張力、及び細胞内[Ca2+]([Ca]i)の測定
成体マウスの心筋細胞を単離する方法は報告されている(例えば、Coutu et al., Circ Res 94, 1235-41 (2004)を参照のこと)。簡潔に言うと、素早く単離した単一筋細胞を、倒立顕微鏡(TE300、Nikon;40倍対物レンズ)の試料台に取り付けられた、シリコンコートガラスの底面を持ち側面に白金電極を備えた実験用チャンバーに移し、筋細胞を電気刺激した。このチャンバーは熱電素子で37℃に維持した。膜が無傷な心筋細胞の長さ/張力/[Ca2+i測定系は、一対の極細炭素繊維を用い、以前に報告された方法(例えば、Yasuda, S. I. et al., Am J Physiol Heart Circ Physiol 281, H1442-6 (2001)を参照のこと)を修正し構築した。繊維の一方を高感度力変換システム(200mV/mg、Aurora Scientific Inc.,Canada)に連結し、もう一方を圧電変換器(P-173、PI Polytec)と連結して、筋細胞長を制御した。本研究で用いる炭素繊維は硬く(直径40μm;コンプライアンス0.02m/N)、単一心筋細胞により生じる活動張力及び静止張力によって変化しないものであった。力変換器からの張力信号及び圧電変換器に加えられた長さ信号を、アナログ-デジタル記録システム(Accura 100、Nicolet)を用いてサンプリングレート1000Hzで記録した。心筋細胞の録画記録をデジタル化し、コンピュータ画面上の画像を通じて細胞の伸展長及び筋節長を測定した。[Ca2+iの測定については、筋細胞を、5μMのFura-2-アセトキシ-メチル(AM)エステル(Molecular Probes)及び0.02% Pluronic F127(Molecular Probes)と共に、37℃で4分間インキュベートした。顕微鏡ベースの蛍光分光計(Photon Technology International)を用いて100HzでFura-2の励起をサンプリングした。[Ca2+iは、バックグラウンドの蛍光強度を差し引いた後、以前に確立された方法(例えば、Grynkiewicz et al., J Biol Chem 260, 3440-50 (1985)を参照のこと)によって決定した。対照及びmdxの単一心筋細胞の、静止張力-伸展特性及び[Ca]iに対するP188(細胞外緩衝液中0.15mM)の効果(例えば、Lee et al., Ann N Y Acad Sci 888, 266-73 (1999)を参照のこと)及びニフェジピン(1μM)の効果を調査した。別の手順において、心筋細胞を、単収縮張力の上昇相の間に伸展刺激した(伸張性収縮)。SLを回復する際に、等尺性単収縮張力を、伸展刺激前後で比較した。
インビボ心臓血行動態
マウスの圧容積ループを、以前に概説された方法によって獲得した(例えば、Michele et al., Circ Res 91, 255-62 (2002)を参照のこと)。簡単に言うと、麻酔したマウスを、2%イソフルラン及び98%酸素で換気した。開胸及び心膜切開を行い、圧容積カテーテルを、先端の穿刺を通じてLVに挿入した。カテーテルの挿入前に、P188を含む10%ヒトアルブミン及びP188を含まない10%ヒトアルブミンを、約200μl/kg/分の速度で約150μl、マウスにI.V.注入した。基準血行動態データを収集した後、42μg/kg/分の用量でドブタミンを注入した。P188の用量460mg/kgは、感電死後の骨格筋の損傷を緩和するのに効果的であることが示されている(例えば、Lee et al., Proc Natl Acad Sci USA 89, 4524-8 (1992)を参照のこと)。急性心不全は、LVの収縮期血圧が60mmHg未満に低下した場合に起こると定義された。なぜならば、このレベル未満だと、急速な代償不全及び死が頻繁に起こったからである。30分のドブタミン負荷後又は急性心不全の発症後、容積測定値を、以前に記載されたようにして較正した(例えば、Michele et al., Circ Res 91, 255-62 (2002)を参照のこと)。
実施例2
極細炭素繊維ベースの機械装置
本発明は、生理学的に関連する力学的負荷下での、単離された膜の無傷な筋細胞の力値及び細胞内カルシウム濃度の同時評価を初めて可能にする、独特な極細炭素繊維技術(図4を参照のこと)を提供する。この技術を用いて、ジストロフィン欠損(mdx)マウス及び対照マウス由来の膜の無傷な単一の成体心筋細胞を、生理学的に関連する筋節長範囲(1.75〜2.2μm;例えば、Rodriguez, et al., Am J Physiol 263, H293-306 (1992)を参照のこと)を超えて受動的に伸展させ、静止張力及び[Ca2+iを記録した。図1Aは、伸展刺激プロトコル中の異なる段階における対照筋細胞及びmdx筋細胞の顕微鏡写真を示す。図1Bは、対照マウス及びmdxマウス由来の単一心筋細胞の長さ、張力、及びFura-2率の典型的な同時記録値を示す。図1Bにおいて、左側の記録は、1.75〜1.8μmの静止筋節長(SL)での電気刺激による等尺性収縮中の活動単収縮張力及びカルシウム濃度変化である。残りの記録は、1.75μmの静止SL(0%伸展)から2.0〜2.2μmの生理学的に関連する拡張期SL(20%伸展)への筋細胞の受動的伸展中の張力及びカルシウム記録値である。
この結果は、ピーク等尺性単収縮張力が対照筋細胞とmdx筋細胞との間で相違しない(それぞれ、3.6±0.7mN/mm2及び4.4±0.8mN/mm2)ことを示した。このことは、mdx筋細胞において、興奮収縮連関及び力の生成/伝達が正常であることを示している。しかし、ジストロフィン欠損は、筋細胞SLの長さで受動的生理学的伸展刺激に対して有意な影響を及ぼしていた(図1Bを参照のこと)。1.8μmの静止SLからより長いSLへの受動的運動の際に、mdx筋細胞は、対照筋細胞と比較して有意に大きな張力を示した(図2Aを参照のこと)。このことは、ジストロフィ筋が対照筋よりもコンプライアンスがあることが見出された骨格筋管に関する以前の研究とは対照的である(例えば、Pasternak et al., J Cell Biol 128, 355-61 (1995)を参照のこと)。SL>2.1μm及びそれ以上の伸展刺激は、mdx筋細胞を不安定にし、[Ca2+iの上昇、線維攣縮、その結果起こるカルシウム過負荷、並びにその後に拘縮及び筋細胞の死滅が見られた(図1を参照のこと)。1.8mMから0.2mMへと細胞外Ca2+を減少させると、張力-伸展曲線が右側にシフトし、mdx筋細胞及び対照筋細胞の両方において最大2.3μmの伸展が可能であった。このことは、mdx筋細胞のコンプライアンスの低下を仲介するという細胞外カルシウムの重要な役割を示している。
従って、本発明は、伸展による膜の不安定化及びカルシウム依存性の過剰拘縮に対する感受性の増加を伴う、単離された単一mdx筋細胞の細胞コンプライアンスにおける重要な欠陥を実証する。
実施例3
mdx筋細胞膜の安定化
次に、膜修復アプローチ(例えば、化合物ベースの膜修復アプローチ)が単離されたmdx筋細胞において有効か否かを決定した。人工脂質単層に挿入され生体膜の損傷を修復することが以前に示された非イオン性トリブロックコポリマーのポロキサマー188[P188;ポリ(エチレンオキシド)70-ポリ(プロピレンオキシド)35-ポリ(エチレンオキシド)70;MW約8400g/mol](例えば、Wu, G. et al., Phys Rev Lett 93, 028101 (2004); Lee et al., Proc Natl Acad Sci USA 89, 4524-8 (1992)を参照のこと)を、インビトロ生理学的負荷条件下でmdx筋細胞膜を安定化させる能力について評価した(図2Aを参照のこと)。生理学的に関連する1.8〜2.1μmのSL範囲内で、0.15mMのP188(例えば、Lee et al., Ann NY Acad Sci 888, 266-73 (1999)を参照のこと)はmdx筋細胞のコンプライアンス及び[Ca2+iを対照レベルまで完全に回復させた(図2Aを参照のこと)。P188はまた、伸張性収縮後の単収縮張力能力を有意に改善した。P188は、このSL範囲内で、C57BL/10筋細胞のコンプライアンスに対して効果がなかった(図2Aを参照のこと)。受動的な伸展刺激によりもたらされた[Ca2+iの上昇は、mdx筋細胞において有意に大きく、これはP188によって修正される。
カルシウム流入の機序についてさらに検討するために、筋細胞を、L型Ca2+チャネル遮断剤のニフェジピンで処理した。P188とは対照的に、SL伸展刺激に対して上昇した[Ca2+iは、ニフェジピンによってはブロックされなかった(図2Bを参照のこと)。このことは、上昇した[Ca2+iが、DHP非感受性チャネルから生じ得るか、又は、より可能性のある方としては、mdx筋細胞においてはP188によって防止される膜の小さな断裂から生じることを示唆している。
実施例4
mdxマウスにおける心機能障害の予防
mdx心筋細胞における伸展刺激により誘導される膜不安定化を予防するP188のこれらの細胞性効果が、インビボでのmdxマウスにおける心機能障害の予防に繋がるのか否かを決定した。基準左心室血行動態能は、左心室拡張末期容積(LVEDV)が減少する等、mdxマウスにおいて低下していた(図3、表1を参照のこと)。P188の静脈内注入による前処置により、LVEDVを対照心臓で見られるレベルまで増加した。mdx心臓における低下したLVEDVは、単離された単一筋細胞で観察された膜の欠陥の器官レベルでの顕在化であり、mdx心臓におけるLVEDVの急速な改善は、単一mdx心筋細胞における正常なコンプライアンスを回復させるP188の直接的効果である(図2を参照のこと)との仮説が立てられる。
急性心筋症及び心不全は、mdxマウスにおける心臓血管ストレッサーにより誘発され得る(例えば、Danialou, et al., Faseb J 15, 1655-7 (2001)を参照のこと)。従って、インビボでの急速なドブタミンストレス負荷が急性心不全を引き起こすか否か、及びこの表現型がP188によりブロックされるか否かを試験した。未処置のmdxマウスは、30分間のストレス試験措置の間にドブタミン注入に対する応答が大きく減衰し、急性心不全の発生率が有意であった(例えば、図3Cを参照のこと)。P188の静脈内注入によるmdx動物の前処置は、ドブタミン注入に対する血行動態的応答を直ちに改善し、インビボでドブタミン誘導性の急性心不全を防いだ(P=0.005、図3Cを参照のこと)。
(表1)基準血行動態データの要約
データは平均±SEMである。
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実施例5
ポロキサマーの投与は、イヌ心筋症モデルにおける受動的な力学的欠陥を回復する
正常イヌ及びジストロフィイヌ由来の膜の無傷な単一心筋細胞における静止張力-伸展連関に対するP188の効果を研究した。ジストロフィン欠損ゴールデンレトリーバーイヌモデル(GRMD、例えば、Howell et al., Hum Gene Ther. 1998; 9: 629-634を参照のこと)動物から単離された心室筋細胞における研究は、静止張力-伸展曲線が、対照イヌ筋細胞と比較して著しく左上側にシフトすることを示した(図6を参照のこと)。従って、本発明は、mdxマウスモデル由来の心筋細胞において見られる細胞コンプライアンスの欠陥が、GRMDイヌ由来のジストロフィ筋細胞においてはより顕在化していることを提供する。
次に、P188を用いたポロキサマー処置(例えば、ポロキサマーを含む組成物の投与)が筋細胞機能を改善し得るか否かを決定した。P188(150μM)は細胞のコンプライアンス及び機能を回復することが観察された。このことは、静止張力-伸展曲線の形状及び位置が、心筋症を顕在化させたこれらのより大きな影響を受けたイヌ筋細胞においてさえ対照/正常までほぼ完全に戻っていることから一目瞭然である。このデータは、ジストロフィ被験体へのポロキサマーの投与により生じる修正的効果(例えば、P188の効果)の程度が、マウスのジストロフィ筋細胞と比較して、イヌのジストロフィ筋細胞では比較的大きいことを実証する。従って、本発明は、GRMD動物由来の単一心筋細胞が、受動的力学的特性に関して大きな影響を受けること、及びこれらの受動的力学的欠陥が、P188の投与によって修正及び回復することを実証する。
実施例6
ポロキサマーの投与は、ジストロフィイヌ筋細胞における弛緩動作の遅延を修正する。
次に、P188が正常イヌ及びジストロフィイヌ由来の膜の無傷な単一心筋細胞の等尺性単収縮の収縮特性を変更するか否かを決定した。本発明の開発中に得られたデータは、ジストロフィン欠損が、生理学的負荷条件下で単一筋細胞における弛緩動作を緩慢にする強力な効果を有することを示している。さらに重要なことに、ポロキサマー(P188)の投与が、この弛緩的欠陥を急速に修正した(図7を参照のこと)。本発明を実施する上でその機序の理解は必要でなく、本発明はいかなる特定の作用機序にも限定されないが、いくつかの態様において、ポロキサマー(P188)の投与は、収縮により誘導される膜の不安定化及びその結果起こるCa2+の流入(例えば、カルシウム過負荷)といった欠陥を修正し、それによって、無傷のジストロフィ心臓(例えば、心筋細胞及び組織)の力学的特性の変化(例えば、拡張機能障害)を防止する。
上記説明の中で言及した全ての刊行物及び特許は、参照として本明細書に組み入れられる。ここに記載される本発明の方法の多種の改変及び変化が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかとなると考えられる。本発明は、特定の好ましい態様と結び付けて記載されているが、主張される発明はそのような特定の態様に過度に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際、関連分野の当業者に明らかな、本発明を実施するための記載された様式の多種の改変が、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
対照マウス(左パネル)及びmdxマウス(右パネル)由来の単一心筋細胞における活動張力及び静止張力、並びに[Ca2+iの典型的な記録を示す。(A)単回の受動的伸展刺激の前(a、e)、その最中(b、f)、その直後(c、g)、及び約40秒後(d、h)の単一筋細胞の顕微鏡写真。横棒は20μmである。(B)上段の記録は筋細胞長の変化であり、1.75〜1.80μmの静止SL(0%伸展;等尺性単収縮)から始めて2.1μm(20%伸展及びそれ以上)まで伸ばす。a〜hで記された記録は、A部に示された細胞伸展(a〜h)系列に対応する。中央の記録は、伸展刺激に応答した張力記録値である。下段の記録は伸展刺激中の[Ca2+i(Fura2率)である。最も左の記録は、能動的な等尺性単収縮である。受動的な記録値は、電気的刺激の非存在下でのものである。mdxにおいて、伸展刺激後(f)及び静止長に戻るまでの間(g)、筋細胞は不安定になり、[Ca2+iが大きく増加し、過剰拘縮を起こし、そして死滅した(h)。 対照単一心筋細胞及びmdx単一心筋細胞におけるSL伸展刺激中の静止張力及び[Ca2+iを示す。(A)静止張力-伸展連関に対するP188の効果。アスタリスク(*)は、mdxが対照よりも大きいことを示し(SL2.0及び2.1μm)、シャープ(#)は、mdx+P188が未処置のmdxよりも小さいことを示す(p<0.05)。(B)2.1μmへのSL伸展刺激時の筋細胞の[Ca2+iに対するP188及びニフェジピンの効果の要約。アスタリスク(*)は、mdxがBL/10よりも大きいことを示す(p<0.05)。 インビボの血行動態及びmdxの生存に対するP188の急速な効果を示す。(A)対照(1)及びP188の急速注入の存在下又は非存在下でのmdx(それぞれ2及び3)における典型的な圧容積ループ。(B)対照マウス及びmdxマウスにおけるP188の注入後の左心室拡張末期容積の要約。(C)42μg/kg/分のドブタミン注入時のカプラン-マイヤー生存解析。対照(1)、mdx(3)、mdx+P188(2)。収縮期血圧が60mmHg未満に低下した場合、そのマウスを本研究から除外した。 極細炭素繊維ベースの機械装置を示す。(A)設備概略図。一対の炭素繊維(CF)を各端に取り付けた筋細胞の明視野像(>590nm)を記録し、筋細胞の寸法及び筋節長を測定した。筋細胞長全体のプログラムされたコントロールは、圧電変換器(PT)により行った。張力の発生は、力変換器(FT)により検出した(200mV/mg)。蛍光励起の高速切り替え(340nm及び380nm)により生ずる発生蛍光(510nm)強度を、光電子増倍管(PMT)により検出した。(B)各端に炭素繊維を取り付けた単一心筋細胞の、受動的伸展刺激前(上)及び受動的伸展刺激後(下)の顕微鏡写真。横棒は20μmである。拡大図は、筋節長(1.8μm(上)、2.2μm(下))を示す。 mdx心筋細胞における単回の伸張性収縮後の単収縮力欠陥を防ぐP188の効果を示す。等尺性単収縮張力を獲得し、その後、単収縮中に単回の伸張性収縮を与えた。次いで伸展刺激後の等尺性単収縮張力を記録した。伸展刺激後の単収縮振幅/伸展刺激前の単収縮振幅(後/前)を、伸展に対する大きさの関数としてプロットした。 正常イヌ及びジストロフィイヌ由来の膜の無傷な単一心筋細胞における静止張力-伸展連関に対するP188の効果を示す。 対照イヌ及びジストロフィイヌ由来の単一筋細胞の等尺性単収縮特性を示す。 (A)ポロキサマーの骨格構造及び(B)本発明の組成物及び方法において有用な市販のポロキサマーの例を示す。

Claims (22)

  1. ポロキサマー188を含む組成物であって、拡張機能障害が被験体において改善するような条件下で該被験体に投与して拡張機能障害を有する該被験体を処置するための、組成物。
  2. 前記ポロキサマーが精製された又は分画されたポロキサマーである、請求項1記載の組成物。
  3. 前記被験体がヒト被験体である、請求項1記載の組成物。
  4. 静脈内投与を通じて投与される、請求項1記載の組成物。
  5. 前記処置が前記被験体における急性心不全を予防する、請求項1記載の組成物。
  6. 前記拡張機能障害の改善が前記被験体における左心室機能の改善を含む、請求項1記載の組成物。
  7. 前記左心室機能の改善が前記被験体における基準血行動態の改善を含む、請求項6記載の組成物。
  8. 前記拡張機能障害の改善が前記被験体における左心室拡張期容積の増加を含む、請求項1記載の組成物。
  9. 前記被験体がジストロフィン欠損被験体である、請求項1記載の組成物。
  10. 前記被験体がデュシェンヌ型筋ジストロフィを有する、請求項9記載の組成物。
  11. 前記ポロキサマー188を含む組成物が、利尿剤、ループ利尿剤、カリウム保持性剤、血管拡張剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII拮抗剤、陽性変力剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、β-アドレナリン受容体拮抗剤、カルシウムチャネル遮断剤、ニトラート、α遮断剤、中枢性α拮抗剤、スタチン、又はこれらの薬剤の組み合わせからなる群より選択される1つ又はそれ以上の薬剤と同時投与される、請求項1記載の組成物。
  12. ポロキサマー188を含む組成物であって、ジストロフィン欠損被験体に投与して該被験体における左心室拡張期容積を増加させるための組成物。
  13. 前記ポロキサマーの投与が前記被験体のジストロフィン欠損心筋細胞における細胞内カルシウム濃度を減少させる、請求項12記載の組成物。
  14. ジストロフィン欠損筋細胞における細胞内カルシウム濃度の減少が、前記被験体のカルシウム過負荷に対する感受性を減少させる、請求項13記載の組成物。
  15. 前記被験体における左心室拡張期容積の増加が、該被験体における急性心不全を予防する、請求項12記載の組成物。
  16. 静脈内投与を通じて投与される、請求項12記載の組成物。
  17. 前記被験体における左心室拡張期容積の増加前記被験体における基準血行動態改善する、請求項12記載の組成物。
  18. 前記ジストロフィン欠損被験体がデュシェンヌ型筋ジストロフィを有するヒト被験体である、請求項12記載の組成物。
  19. 前記ジストロフィン欠損心筋細胞における細胞内カルシウム濃度の低下が、前記被験体における心筋組織のリモデリングを予防するか又はリモデリングを逆行させる、請求項13記載の組成物。
  20. 前記ポロキサマーが精製されたポロキサマーである、請求項12記載の組成物。
  21. 前記ポロキサマーを含む組成物が、利尿剤、ループ利尿剤、カリウム保持性剤、血管拡張剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII拮抗剤、陽性変力剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、β-アドレナリン受容体拮抗剤、カルシウムチャネル遮断剤、ニトラート、α遮断剤、中枢性α拮抗剤、スタチン、又はこれらの薬剤の組み合わせからなる群より選択される1つ又はそれ以上の薬剤と同時投与される、請求項12記載の組成物。
  22. 前記ポロキサマーが分画されたポロキサマーである、請求項12記載の組成物。
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