JP5040068B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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このようなセラミック焼成体は、一般に、セラミックスラリーを篩に通して乾燥し、バインダーと水とを混練して練り土(坏土)を作製し、該練り土を成形してなる成形体を乾燥し焼成することにより作製することができる。
上記セラミックスラリーは、セラミック原料100重量部と、水49〜52重量部と、分子量1000〜100000の高分子界面活性剤からなる分散剤0.05〜0.4重量部とからなり、
上記セラミックスラリーの粘度は20ポアズ以下であり、
上記セラミックスラリーを篩に通し、乾燥して上記セラミック粉末を得た後、
該セラミック粉末100重量部と、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、グリセリン、酢酸セルロース、ポリビニールアルコール、又はポリビニールメチルエーテルから選ばれるバインダー2〜10重量部と、水17〜19重量部とを混練して粘度2000〜10000ポアズの練り土を作製し、
該練り土を押出成形してなる成形体を乾燥して焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法にある(請求項1)。
そのため、上記セラミックスラリーにおいては、上記セラミック原料100重量部に対して49〜52重量部という水分量で、上記セラミックスラリーの粘度を充分に低くすることができる。それ故、上記セラミックスラリーを例えば篩等に容易に通すことができると共に、上記セラミックスラリーの乾燥時には低いエネルギーで乾燥を行うことができる。
即ち、上記セラミックスラリー中の上記分散剤は、上記セラミックスラリーに対してはその粘度を低くする効果を有するが、練り土に対してはその粘度を高くする効果を有する。上記セラミックスラリーにおいては、上記のごとく、上記高分子界面活性剤からなる特定の上記分散剤を0.05〜0.4重量部という上記特定量含有するため、上記セラミックスラリーの粘度を充分に低減できると共に、上記練り土の粘度上昇を抑制することができる。そのため、上記練り土においては、その水分量を増やすことなく所望の形状に容易に成形することができる。それ故、上記練り土を成形してなる上記成形体の乾燥エネルギーを低減することができると共に、上記成形体の乾燥時及び焼成時における収縮を低減し、寸法精度の高いハニカム構造体を得ることができる。
上記セラミックスラリーは、ハニカム構造体を得るために用いられる。
上記ハニカム構造体としては、例えば多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成したものがある(後述の図3及び図4参照)。
即ち、まず、上記セラミックスラリーを篩に通し、乾燥する。次いで乾燥後のセラミック粉末とバインダーと水とを混合し練り土を作製する。次に、練り土を成形して成形体を作製する。次いで、成形体を乾燥し、焼成することにより上記ハニカム構造体を作製することができる。
上記バインダーとしては、例えばメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、グリセリン、酢酸セルロース、ポリビニールアルコール、及びポリビニールメチルエーテル等を用いることができる。上記バインダーは、上記乾燥後のセラミックスラリー100重量部に対して2〜10重量部加えることができる。
水分量が17重量部未満の場合には、粘度が高くなり、上記練り土を所望の形状に成形することが困難になるおそれがある。一方、19重量部以上の場合には、上記練り土を成形してなる上記成形体の乾燥時及び焼成時における収縮が大きくなり、寸法精度の高いハニカム構造体を得ることが困難になるおそれがある。また、上記練り土の粘度が低くなりすぎて、上記練り土を所望の形状に成形することが困難になるおそれがある。
上記セラミックスラリーの水分量は、上記セラミック原料100重量部に対して49〜
52重量部である。
水分量が49重量部未満の場合には、上記セラミックスラリーの粘度が高くなり、上記セラミックスラリーを例えば篩などに通すことができなくなるおそれがある。
一方、52重量部を越える場合には、上記セラミックスラリーの乾燥時の乾燥エネルギーが大きくなり、上記セラミックスラリーを用いて上記ハニカム構造体を作製する際の製造コストが増大するおそれがある。
上記分散剤の含有量が0.05重量部未満の場合には、上記セラミックスラリーの粘度を下げるために、上記セラミックスラリー中の水分量を増大させる必要が生じる。その結果この場合には、乾燥時におけるエネルギーが大きくなり、上記ハニカム構造体の製造コストが増大するおそれがある。一方、0.4重量部を越える場合には、上記セラミックスラリーを用いて作製する上記練り土の粘度が上昇し易くなる。その結果、上記練り土を所望の形状に成形することが困難になったり、また上記練り土の水分量を増やさなければならなくなるおそれがある。
上記高分子界面活性剤の分子量が1000未満の場合又は100000を越える場合には、上記セラミックスラリー中で上記分散剤が充分な分散性を発揮できなくなり、上記セラミック原料と上記分散剤と水とを混合してセラミックスラリーを作製する際に、スラリー状にすることが困難になるおそれがある。
具体的には、上記高分子界面活性剤としては、例えばカルボン酸アニモニウム塩、ポリナフタレンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、及びポリアルキレンポリアミン等から選ばれる1種以上を用いることができる。
一般に、コージェライトからなるセラミック原料と分散剤とを含有するセラミックスラリーを用いて作製する練り土においては、その粘度が増大するという上述の問題が生じやすい。そのためこの場合には、特定の上記分散剤を上記特定量加えることにより、上記練り土の粘度上昇を抑制できるという本発明の作用効果をより顕著に発揮することができる。またこの場合には、耐熱性に優れるというコージェライトの特性を利用して、上記セラミックスラリーを用いて耐熱性に優れたハニカム構造体を作製することができる。
したがって、上記セラミック原料は、コージェライト原料であることが好ましい(請求項2)。
上記セラミックスラリーの粘度が20ポアズを越える場合には、上記セラミックスラリーを例えば篩等に通すことが困難になるおそれがある。
上記練り土の粘度が2000ポアズ未満の場合又は10000ポアズを越える場合には、上記練り土を所望の形状に成形することが困難になるおそれがある。
次に、本発明の実施例につき図1〜図2を用いて説明する。
本例においては、セラミックス原料と分散剤と水とを含有する複数のセラミックスラリーを作製し、さらにこれらのセラミックスラリーを用いて複数の練り土を作製する。そして、これらのセラミックスラリー及び練り土の粘度を測定する。
次いで、セラミック原料と分散剤と水とをその混合比を変えて混合し、後述の表1に示すごとく27種類のセラミックスラリー(試料X1〜試料X27)を作製した。
上記練り土の作製には、試料X1〜試料X27のうち、試料X10〜X18の9種類の各試料を用いる。
具体的には、まず、各試料(試料X10〜試料X18)のセラミックスラリーを篩に通し、その後乾燥させた。
次いで、乾燥後の各試料と、バインダーとしてのメチルセルロースと水とを混合比を変えて混合し、後述の表2に示すごとく27種類の練り土(試料XX1〜試料XX27)を作製した。
成形に必要な練り土の粘度は、およそ2000〜10000ポアズであるが、分散剤の含有量が0.4重量部を越える試料X16〜X18を用いて作製した練り土(試料XX7〜XX9、及び試料XX17〜試料XX18)においては、粘度が10000を越えており、所望の形状に成形することが困難になるおそれがある。また、試料XX19〜XX27においては、水分量を多くしているため、乾燥させる際のエネルギーが多くなる。そのため、かかる試料XX18〜試料XX27を用いてハニカム構造体を作製する際には、製造コストが増大してしまうおそれがある。
本例は、セラミックスラリーを用いて、ハニカム構造体を作製する例である。
図3及び図4に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、エンジンから排出される排ガスを浄化する排ガス浄化フィルタの基材である。ハニカム構造体1においては、コージェライトからなる多孔質隔壁2を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセル10が形成されている。
また、ハニカム構造体1のセル10のうち排ガス9を導入する導入通路となるセル10の下流端と、多孔質隔壁2を通過した排ガス9を排出する排出通路12となるセル10の上流端には、栓材3を配してセル10を閉塞してある。
本例のハニカム構造体1は、例えばディーゼルエンジン車のパティキュレートフィルターに用いることができる。
本例のハニカム構造体の製造にあたっては、まず、セラミックスラリーを準備し、該セラミックスラリーを篩に通して乾燥させる。次いで、乾燥後のセラミックスラリー(セラミック粉末)とバインダーと水とを混合し練り土を作製する。さらにこの練り土を成形して成形体を作製し、該成形体を乾燥して焼成し、ハニカム構造体を作製する。
次いで、セラミック原料100重量部と分散剤0.3重量部と水50重量部とを混合し、セラミックスラリーを作製した。即ち、このセラミックスラリーは実施例1の試料X14と同じ組成からなる。
次いで、乾燥後のセラミックスラリー(セラミック粉末)100重量部と、バインダーとしてのメチルセルロース5重量部と、水18重量部とを混合し、練り土を作製した。この練り土は、実施例1の試料XX14と同じ組成からなる。
次いで、図4に示すごとく、ハニカム構造体のセル10のうち、排ガス9を導入する導入通路11となるセルの下流端と、排出通路12の上流端に栓材3を配設した。栓材3は、ハニカム構造体の作製に用いた練り土を用いてセル10の上流端又は下流端を塞ぎ、乾燥、焼成することにより形成した。このようにして図3及び図4に示すごとくハニカム構造体1を作製した。
そのため、セラミックスラリーを篩に容易に通すことができると共に、セラミックスラリーの乾燥時には低いエネルギーで乾燥を行うことができた。また、18重量部という比較的少ない水分量で、成形に適した粘度の練り土を作製することができた。その結果、成形体の乾燥時及び焼成時における収縮を低減することができ、寸法精度の高いハニカム構造体を作製することができた。
10 セル
2 多孔質隔壁
3 栓材
Claims (2)
- セラミックスラリーを乾燥させて得られるセラミック粉末とバインダーと水とを混練して練り土を作製し、該練り土をハニカム構造に成形してなる成形体を乾燥し焼成してなるハニカム構造体の製造方法において、
上記セラミックスラリーは、セラミック原料100重量部と、水49〜52重量部と、分子量1000〜100000の高分子界面活性剤からなる分散剤0.05〜0.4重量部とからなり、
上記セラミックスラリーの粘度は20ポアズ以下であり、
上記セラミックスラリーを篩に通し、乾燥して上記セラミック粉末を得た後、
該セラミック粉末100重量部と、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、グリセリン、酢酸セルロース、ポリビニールアルコール、又はポリビニールメチルエーテルから選ばれるバインダー2〜10重量部と、水17〜19重量部とを混練して粘度2000〜10000ポアズの練り土を作製し、
該練り土を押出成形してなる成形体を乾燥して焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。 - 請求項1において、上記セラミック原料は、コージェライト原料であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
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