[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に従う車両100の概略構成図である。図1を参照して、車両100は、バッテリB1と、接続部40と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン4と、動力分配機構3と、車輪2と、制御装置30とを含む。
動力分配機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分配機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。たとえば、モータジェネレータMG1の回転シャフトを中空にし、その中をエンジン4の動力シャフトを貫通させることでモータジェネレータMG2、動力分配機構3、モータジェネレータMG1、エンジン4を直線上に配置することができる。
なおモータジェネレータMG2の回転軸は図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪2に結合されている。また動力分配機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んでもよい。
モータジェネレータMG1は、エンジン4により駆動される発電機として用いられるとともに、エンジン4を始動することが可能な電動機としても用いられる。モータジェネレータMG1が発電することにより得られる電力は、たとえばモータジェネレータMG2の駆動に用いられる。モータジェネレータMG2は、主として車両100の駆動輪(車輪2)を駆動する電動機として用いられる。
接続部40は、バッテリB1の負極に接続されるシステムメインリレーSMRGと、バッテリB1の負極と接地ラインSLとの間に電気的に接続される抵抗R1と、バッテリB1の負極と接地ラインSLとの間に抵抗R1と直列に接続されるシステムメインリレーSMRPと、バッテリB1の正極に接続されるシステムメインリレーSMRBとを含む。システムメインリレーSMRG,SMRP,SMRBは、制御装置30から与えられる信号SEG,SEP,SEBにそれぞれ応じてオン/オフ状態が制御される。具体的にはシステムメインリレーSMRG,SMRP,SMRBは、それぞれ、H(論理ハイ)の信号SEG,SEP,SEBによってオン状態に設定され、L(論理ロー)の信号SEG,SEP,SEBによってオフ状態に設定される。
車両100は、さらに、サービスプラグSPと、フューズFと、電圧センサ10と、電流センサ11とを含む。
サービスプラグSPとフューズFとは、バッテリB1に直列に接続される。サービスカバー(図示せず)が開いた状態ではサービスプラグSPにより高電圧が遮断される。
電圧センサ10は、バッテリB1の端子間の電圧VBを検知する。電流センサ11は、バッテリB1に流れる電流IBを検知する。なおバッテリB1としてはたとえばニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池、あるいは燃料電池などを用いることができる。
車両100は、さらに、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間に接続される平滑コンデンサC1と、平滑コンデンサC1の両端子間の電圧VLを検知して、制御装置30に検知した電圧VLを出力する電圧センサ21と、平滑コンデンサC1の端子間電圧(言い換えればバッテリB1の正極および負極間の電圧)を昇圧する昇圧コンバータ12と、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する平滑コンデンサC2と、平滑コンデンサC2の端子間電圧(電圧VH)を検知して、制御装置30に検知した電圧VHを出力する電圧センサ13とを含む。
昇圧コンバータ12は、一方端が電源ラインPL1に接続されるリアクトルL1と、電源ラインPL2と接地ラインSL間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
インバータ14は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けてたとえばエンジン4を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン4から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。
U相アーム15は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム16は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。
インバータ22は車輪2を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
車両100は、さらに、インバータ26と、車輪27と、モータジェネレータMG3と、電流センサ28とを含む。
モータジェネレータMG3は車輪27を駆動する。なおモータジェネレータMG3の回転軸は図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪27に結合されている。インバータ26はモータジェネレータMG3に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ26は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG3において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。インバータ26の構成はインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。電流センサ28は、モータジェネレータMG3に流れる電流をモータ電流値MCRT3として検出し、モータ電流値MCRT3を制御装置30へ出力する。
ここで車輪2,27はそれぞれ車両100の前輪および後輪である。ただし車輪2,27はそれぞれ車両100の後輪および前輪であってもよい。なお図1が煩雑化するのを防ぐため、図1では2つの前輪を簡略化して1つの車輪(車輪2,27の一方)で示すとともに、2つの後輪を簡略化して1つの車輪(車輪2,27の他方)で示す。
車両100は、さらに、エアコン50と、DC/DCコンバータ52と、補機バッテリSBと、補機54とを含む。
エアコン50は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の直流電圧を受けて動作する。DC/DCコンバータ52は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の直流電圧を降圧する。補機バッテリSBは、DC/DCコンバータ52の出力電圧により充電される。補機54は、補機バッテリSBに充電された電力を受けることにより動作する。
制御装置30は、トルク指令値TR1〜TR3と、モータ回転数MRN1〜MRN3と、電圧VB,VL,VHの各値と、電流IBの値と、モータ電流値MCRT1〜MCRT3と、起動指示IGとを受ける。
制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU,降圧指示を行なう制御信号PWDおよび動作禁止を指示する信号SDWNを出力する。昇圧コンバータ12は、信号SDWNを受けるとその動作を停止する。
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して、昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ22に対して直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC2とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ26に対して直流電圧をモータジェネレータMG3を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI3と、モータジェネレータMG3で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC3とを出力する。
制御装置30は、エアコン50に対して動作指示および停止指示を出力する。さらに、制御装置30は、DC/DCコンバータ52に対して動作指示および停止指示を出力する。
上述したように、昇圧コンバータ12は、信号SDWNを受けるとその動作を停止する。図2は、図1に示した昇圧コンバータ12の停止制御回路の構成を示した図である。なお、図2に示した停止制御回路は昇圧コンバータとともにパワーモジュールに搭載される。
図2を参照して、停止制御回路は、電流センサ61,62と、過電流検知部63,64と、ラッチ回路65,66と、停止回路67,68A,68Bとを含む。
制御装置30は、信号線LN1を介してIGBT素子Q1,Q2に制御信号PWU,PWDを送信する。これによりIGBT素子Q1,Q2の各々がオン/オフする。
電流センサ61,62は、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ対応して設けられる。電流センサ61は、IGBT素子Q1に流れる電流を検出して、その検出した電流を示す信号を過電流検知部63に出力する。電流センサ62は、IGBT素子Q2に流れる電流を検出して、その検出した電流を示す信号を過電流検知部64に出力する。
過電流検知部63は、電流センサ61の出力信号が示す電流値が所定のしきい値を上回る場合にIGBT素子Q1に過電流が流れたことを検知する。そして過電流検知部63は、過電流を検知したことを示す信号を出力する。同様に、過電流検知部64は、電流センサ62の出力信号が示す電流値が所定のしきい値を上回る場合にIGBT素子Q2に過電流が流れたことを検知する。そして過電流検知部64は、過電流を検知したことを示す信号を出力する。
ラッチ回路65は、過電流検知部63からの信号を所定の期間(たとえば100ミリ秒)ラッチする。同様にラッチ回路66は、過電流検知部64からの信号を所定の期間(たとえば100ミリ秒)ラッチする。
停止回路67は、ラッチ回路65の出力およびラッチ回路66の出力を受ける。停止回路67は、これらの出力に基づいて、IGBT素子Q1,Q2のいずれか一方または両方に過電流が流れたか否かを判定して、その判定結果を示す信号FIVを信号線LN3を介して制御装置30に送信する。
制御装置30は信号FIVを受信することによりIGBT素子Q1,Q2のいずれか一方または両方に過電流が流れたことを検知する。この場合、制御装置30は、信号SDWNを送信する。信号SDWNは信号線LN2を介して停止回路67に伝達される。停止回路67は、信号SDWNに応じて信号線LN1の電位をLレベルに保持する。これにより、IGBT素子Q1,Q2は強制的にオフされる。
また、信号線LN2が断線した場合、信号線LN2の電位は、Lレベルに低下する。したがって、この場合にも停止回路67は、信号線LN1の電位をLレベルに設定する。
上述した過電流保護動作は、昇圧コンバータ12および停止制御回路が搭載されたモジュールと、制御装置30との通信により実現される。さらに、本実施の形態では、モジュール内部での過電流保護動作も実行される。これにより、モジュールと制御装置30とが互いに通信不能となった場合にも、IGBT素子Q1,Q2の過電流保護を実現できる。また、制御装置30の演算負荷が高い場合には、信号FIVを制御装置30が受信しても、制御装置30が信号SDWNを直ちに送信できないことも考えられる。このような場合に、モジュール内部での過電流保護動作が実行されることによって、IGBT素子Q1,Q2の過電流保護を実現できる。
停止回路68A,68BはIGBT素子Q1,Q2にそれぞれ対応して設けられる。停止回路68Aは、ラッチ回路65からの出力に応じて信号線LN1の電位をLレベルに設定する。同様に、ラッチ回路66からの出力に応じて信号線LN1の電位をLレベルに設定する。
なお、停止回路68A,68Bは、IGBT素子Q1,Q2の少なくとも一方の異常を検知した場合に、IGBT素子Q1,Q2を停止させる第1の停止回路を構成する。一方、停止回路67は、信号線LN2を介して信号SDWNを受信した場合、および、信号線LN2が断線した場合に、IGBT素子Q1,Q2を停止させる第2の停止回路に相当する。
図3は、図2に示した昇圧コンバータの停止制御回路の信号波形図である。なお、図3では、電流センサ61、過電流検知部63、ラッチ回路65、停止回路67および制御装置30によるIGBT素子Q1,Q2の停止制御を示す。ただし、電流センサ62、過電流検知部64、ラッチ回路65、停止回路67および制御装置30によるIGBT素子Q1,Q2の停止制御が行なわれる場合の信号波形は図3に示した波形と同様である。
図3および図2を参照して、過電流検知部63は、電流センサ61からの信号に基づいて、IGBT素子Q1に流れる電流値が、しきい値Ithを超えるか否かを判定する。時刻t1において、IGBT素子Q1に流れる電流値が、しきい値Ithを上回る。これにより過電流検知部63は、その出力信号のレベルをLレベルからHレベルに変化させる。
ラッチ回路65は、所定期間(たとえば100ミリ秒)、過電流検知部63の出力信号をラッチする。したがって、ラッチ回路の出力も時刻t1においてLレベルからHレベルに変化する。なお、ラッチ回路の出力がLレベルからHレベルに変化する時刻は、時刻t1より後の時刻でもよい。
停止回路67は、ラッチ回路の出力がLレベルからHレベルに変化した場合、信号FIVをLレベルからHレベルに変化させる(時刻t2)。
制御装置30は、信号FIVがLレベルからHレベルに変化すると、信号SDWNをLレベルからHレベルに変化させる(時刻t3)。信号SDWNがLレベルからHレベルに変化すると、停止回路67からはLレベルの信号が出力される。なお、時刻t3以前では、停止回路67からは信号が出力されない。
本実施の形態では、遮断指令線の断線検出時に、昇圧コンバータ12の上アーム(すなわちIGBT素子Q1)および下アーム(すなわちIGBT素子Q2)を制御することによって、その下アームを経由して流れる電流が生じるか否かを判定する。この電流に基づいて、制御装置30は、遮断指令線が断線しているか否かを判定する。
図4は、昇圧コンバータ12の遮断指令線の断線検出時における電流の経路を説明する図である。図4を参照して、インバータ14,22,26およびモータジェネレータMG1〜MG3は昇圧コンバータ12の出力電圧が供給されることにより動作する車両負荷70を構成する。IGBT素子Q1は、バッテリB1の正極とバッテリB1からの電力を車両負荷70に供給するための電源ラインPL2との間に電気的に結合される第1のアームに相当する。IGBT素子Q2は、バッテリB1の正極とバッテリB1の負極との間に電気的に結合される第2のアームに相当する。昇圧コンバータ12は、これら第1および第2のアームを含むスイッチング回路である。
昇圧コンバータ12の遮断指令線(図2に示す信号線LN2)の断線検出時には、車両負荷70、エアコン(図ではA/Cと示す)50、およびDC/DCコンバータ52は制御装置30により停止される。
制御装置30は、システムメインリレーSMRB,SMRPをオンする。さらに制御装置30は、IGBT素子Q1,Q2をそれぞれオフおよびオンするための信号を送信する。
IGBT素子Q1,Q2の各々は、図2に示した信号線LN2(遮断指令線)が断線した場合には停止回路67によってオフされている。しかし、信号線LN2が断線していなければ、制御装置30によって、IGBT素子Q1,Q2はそれぞれオフ状態およびオン状態に制御される。これにより、図中の破線の矢印で示されるように、バッテリB1の正極から電源ラインPL1、リアクトルL1、IGBT素子Q2、接地ラインSL、抵抗R1、システムメインリレーSMRPを順に経由して、バッテリB1の負極に流れる電流が生じる。この電流は、図1に示した電流センサ11により検知される。
本実施の形態では、制御装置30は、破線の矢印により示される経路に沿って流れる電流(電流センサ11が検知した電流IB)が所定のしきい値より大きい場合に遮断指令線が断線していないと判断する。一方、この電流が所定のしきい値より小さい場合には、制御装置30は遮断指令線が断線していると判断する。
平滑コンデンサC2は遮断指令線の断線検出に先立ってプリチャージされる。これにより、電源ラインPL2の電位は所定の電位に保たれる。この結果、遮断指令線の断線検出時において平滑コンデンサC2を充電するための充電電流が生じなくなる。したがってIGBT素子Q2がオンしていれば、破線の矢印により示される電流経路が形成される。つまり、平滑コンデンサC2をプリチャージすることにより、遮断指令線の断線検出を正確に行なうことができる。
なお、遮断指令線の断線検出時には、システムメインリレーSMRPに代えて、システムメインリレーSMRGがオンしてもよい。
図5は、制御装置30が実行する遮断指令線の断線検出処理を説明するフローチャートである。図5に示すフローチャートの処理に先立って、制御装置30はシステムメインリレーSMRB,SMRPをオンすることにより平滑コンデンサC2のプリチャージを行なう。また、図5に示すフローチャートの処理は、たとえば、所定の条件の成立時(たとえば平滑コンデンサC2のプリチャージが開始された時点から一定の時間が経過したとき)にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図5および図1を参照して、処理が開始されると、ステップS1において、制御装置30は、平滑コンデンサC2のプリチャージが完了したか否かを判定する。制御装置30は、電圧センサ13が検出した電圧VHが所定値Aよりも大きく、かつ、電流センサ11が検知した電流IBが所定値Bよりも小さい場合に、平滑コンデンサC2のプリチャージが完了したと判定する。この場合(ステップS1においてYES)、ステップS2の処理が実行される。一方、電圧VHが所定値Aよりも小さい場合、または電流IBが所定値Bよりも大きい場合(ステップS1においてNO)、全体の処理は終了する。この場合には、前回の処理の終了時点からある時間が経過した後に、メインルーチンから図5のフローチャートに示す処理が再度呼び出される。
ステップS2において、制御装置30は、負荷を停止する。この「負荷」とは、バッテリBに蓄積された電力を消費する装置を総称したものであり、具体的には図4に示す車両負荷70(インバータ14,22,26およびモータジェネレータMG1〜MG3)、エアコン50、DC/DCコンバータ52、および補機54を含む。
ステップS3において、制御装置30は、昇圧コンバータ12の下アーム(すなわちIGBT素子Q2)をオンするための信号を生成して出力する。たとえば、制御装置30は、制御信号PWUまたは制御信号PWDのいずれか一方のオンデューティを制御することにより、IGBT素子Q1,Q2をそれぞれオフおよびオンさせるための信号を生成する。制御装置30は、その生成した信号をIGBT素子Q1,Q2に送信する。
ステップS4において、制御装置30は、電流センサ11が検知した電流IBに基づいて、バッテリBの持ち出し電流(図4において、破線の矢印で示される経路に沿って流れる電流)があるか否かを判定する。制御装置30は、電流IBの絶対値が所定値Cより小さい場合には、持ち出し電流がないと判定する。この場合(ステップS4においてYES)、制御装置30は、遮断指令線(信号線LNN2)が断線していると判断する(ステップS5)。一方、制御装置30は、電流IBの絶対値が所定値Cより大きい場合(ステップS4においてNO)、遮断指令線が断線していないと判断する(ステップS6)。ステップS5またはステップS6の処理が終了すると、全体の処理は終了する。なお所定値Cには、たとえば予め実験などによって決定された値が用いられる。
遮断指令線が断線していなければ、ステップS3において、IGBT素子Q1,Q2は制御装置30からの信号に応じてそれぞれオフおよびオンする。この場合、バッテリBの持ち出し電流が所定値Cよりも大きくなる。よって、制御装置30は、バッテリBの持ち出し電流が所定値Cよりも大きい場合に遮断指令線が断線していないと判断する(ステップS6)。一方、遮断指令線が断線した場合には、ステップS3の処理が実行されたとしてもIGBT素子Q1,Q2はオフしたままである。したがってバッテリBの持ち出し電流は所定値Cより小さくなる。制御装置30は、バッテリBの持ち出し電流が所定値Cよりも小さい場合に遮断指令線が断線していると判断する(ステップS5)。
本実施の形態によれば、昇圧コンバータ12の上アーム、および下アームをそれぞれオフおよびオンさせ、かつ負荷を停止させることにより、遮断指令線が断線しているか否かを判別できる。これにより、昇圧コンバータが停止した場合に、その停止原因が、遮断指令線の断線によるものか、あるいは、他の理由によるものかを判別できる。
図6は、制御装置30による昇圧コンバータの停止原因の判別処理を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートの処理は、制御装置30が昇圧コンバータ12を動作させる制御を行なっている(制御信号PWU,PWDを出力する)にもかかわらず昇圧コンバータ12が停止した場合に行なわれる。
図6および図1を参照して、処理が開始されると、ステップS11において制御装置30は、昇圧コンバータ12が停止したか否かを判定する。たとえば、制御装置30は、電圧センサ21が検知した電圧VLおよび電圧センサ13が検知した電圧VHに基づいて昇圧コンバータ12が停止したか否かを判定する。
昇圧コンバータ12が停止していない場合(ステップS11においてNO)、全体の処理は終了する。一方、昇圧コンバータ12が停止している場合(ステップS12においてYES)、処理はステップS12に進む。
ステップS12において、制御装置30は、断線検出処理を実行する。この断線検出処理は、図5のフローチャートに示される処理である。なお、上述したように、図5のフローチャートの処理を実行するに先立って、平滑コンデンサC2のプリチャージが実行される。
ステップS13において、制御装置30は、ステップS12での断線検出処理の結果に基づいて、遮断指令線の断線があるか否かを判定する。遮断指令線が断線している場合(ステップS13においてYES)、制御装置30は、たとえば警告ランプ(図2に示さず)を点灯させることにより、遮断指令線が断線していることをユーザに報知する(ステップS14)。遮断指令線が断線していない場合(ステップS13においてNO)、制御装置30は、遮断指令線以外の部分(具体的には図2に示した停止回路68A,68B)に異常がないかどうかをチェックする(ステップS15)。詳細には、たとえば電流センサ24、25等が検知したモータ電流値が正常であるにもかかわらず、昇圧コンバータ12が停止した場合には、制御装置30は、停止回路68A,68Bの少なくとも一方が異常である(誤作動した)と判定する。これに対し、電流センサ24、25等が検知したモータ電流値が通常の値より大きい場合には、制御装置30は、停止回路68Aまたは停止回路68Bが正常に動作したと判定する。ステップS14またはステップS15の処理が終了すると全体の処理が終了する。
以上のように、本実施の形態によれば、制御装置30は、昇圧コンバータ12の上アーム、および下アームをそれぞれオフおよびオンさせる信号を出力し、かつ、バッテリB1に流れる電流IBを検知することによって遮断指令線(信号線LN2)が断線しているか否かを判別する。好ましくは、制御装置30は、その電流IBが所定値Cよりも小さい場合には、遮断指令線が断線していると判定し、電流IBが所定値Cより大きい場合には、停止回路68A,68Bにより昇圧コンバータ12が停止したものと判定する。これにより、遮断指令線が断線しているか否かを容易に判別できる。さらに、昇圧コンバータが停止した場合に、その停止原因が、遮断指令線の断線によるものか、あるいは、他の理由によるものかを容易に判別できる。
さらに、本実施の形態によれば、制御装置30は、遮断指令線が断線したか否かを判定するに先立って、車両負荷70を停止させる。これにより、図4に示した電流経路を形成することが可能になる。この電流経路に沿って電流が流れることで、遮断指令線が断線しているか否かの判定が可能になる。すなわち、遮断指令線が断線したか否かを判定する前に車両負荷70を停止させることで、正確な判定結果を得ることができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、昇圧コンバータの停止制御回路(図2参照)は、遮断指令線が断線した場合に、昇圧コンバータを停止させる。ただし、停止制御回路としては、制御装置から遮断指令線を介して停止信号を受けた場合にのみ昇圧コンバータを停止するものも考えられる。この停止制御回路は、遮断指令線が断線した場合には、制御装置から停止信号を受けることができないため昇圧コンバータを停止できない。実施の形態2によれば、このように停止制御回路が構成されている場合にも、遮断指令線の断線を検知できる。
実施の形態2に従う車両の概略構成は図1に示した構成と同様である。さらに、昇圧コンバータの停止制御回路の構成は図2に示した構成と同様である。したがって以下では、適宜、図1および図2等を参照しつつ実施の形態2について説明する。
実施の形態2における遮断指令線の断線検出方法は、実施の形態1における断線検出方法と同様である。つまり、昇圧コンバータの上アーム、および下アームをそれぞれオフおよびオンさせ、かつ負荷を停止させることにより、遮断指令線が断線しているか否かが判別される。この場合の電流の経路は図4に示した電流の経路と同じものとなる。
図7は、実施の形態2に従う遮断指令線の断線検出処理を説明するフローチャートである。図7および図5を参照して、実施の形態2に従うフローチャートでは、ステップS2の処理の後にステップS2Aの処理が追加される点、および、ステップS4の処理に代えてステップS4Aの処理が実行される点において、図5に示したフローチャートの処理と異なる。なお、図7のフローチャートの他のステップの処理は、図5に示したフローチャートの対応するステップの処理と同様であるので、上述した処理と同様のものについては、その処理の概略を説明する。
図7および図1を参照して、ステップS1において、制御装置30は、平滑コンデンサC2のプリチャージが完了したか否かを判定する。平滑コンデンサC2のプリチャージが完了した場合(ステップS1においてYES)、ステップS2の処理が実行される。一方、電圧VHが所定値Aよりも小さい場合、または電流IBが所定値Bよりも大きい場合(ステップS1においてNO)、全体の処理は終了する。
ステップS2において、制御装置30は、負荷を停止する。
ステップS2Aにおいて、制御装置30は、信号SDWNを停止回路67(図2参照)に送信する。
ステップS3において、制御装置30は、昇圧コンバータ12の下アーム(すなわちIGBT素子Q2)をオンし、かつ、IGBT素子Q1をオフするための信号を生成する。制御装置30は、その生成した信号をIGBT素子Q1,Q2に送信する。
ステップS4Aにおいて、制御装置30は、電流センサ11が検知した電流IBに基づいて、バッテリB1の持ち出し電流(図4において、破線の矢印で示される経路に沿って流れる電流)があるか否かを判定する。制御装置30は、電流IBが所定値Cより大きい場合には、持ち出し電流があると判定する。この場合(ステップS4AにおいてYES)、制御装置30は、遮断指令線(信号線LN2)が断線していると判断する(ステップS5)。一方、制御装置30は、電流IBが所定値Cより小さい場合(ステップS4AにおいてNO)、遮断指令線が断線していないと判断する(ステップS6)。ステップS5またはステップS6の処理が終了すると、全体の処理は終了する。
遮断指令線が断線している場合、ステップS2Aにおいて制御装置30が信号SDWNを送信してもIGBT素子Q1,Q2をオフできない。したがって、ステップS3において、IGBT素子Q1,Q2がそれぞれオフおよびオンする。よって、図4において破線の矢印により示される経路に沿って電流が流れる。制御装置30は、バッテリB1の持ち出し電流が所定値Cよりも大きい場合に遮断指令線が断線していると判断する(ステップS5)。
一方、遮断指令線が断線していなければ、ステップS2AにおいてIGBT素子Q1,Q2がオフするので、ステップS3において制御装置30からIGBT素子Q1,Q2をそれぞれオフおよびオンさせる信号が送信されてもIGBT素子Q1,Q2はオフしたままである。したがってバッテリB1の持ち出し電流は所定値Cより小さくなる。この場合、バッテリB1の持ち出し電流が所定値Cよりも小さくなるので、制御装置30は、遮断指令線が断線していないと判断する(ステップS6)。
このように、実施の形態2によれば、遮断指令線が断線しても動作可能に構成された昇圧コンバータに対しても遮断指令線の断線を検出することができる。
(本実施の形態の第1の変形例)
図2に示した停止制御回路と同様の構成を有する停止制御回路をインバータにも適用することができる。この変形例では、インバータの停止制御回路に設けられた遮断指令線の断線を検知できる。なお、この変形例では、実施の形態2と同様に、遮断指令線が断線しても、インバータは動作し続けることができるものとする。
図8は、図1に示したインバータの停止制御回路の構成を示した図である。なお、図8は、インバータ14のU相アーム15の停止制御回路の構成を示したものであるが、この停止制御回路は、U相アーム15だけでなくV相アーム16およびW相アーム17を停止させるものであってもよい。また、インバータ22,26の各々に対しても図8に示した構成と同様の構成を有する停止制御回路が設けられる。
図8を参照して、停止制御回路は、電流センサ61A,62Aと、過電流検知部63A,64Aと、ラッチ回路65A,66Aと、停止回路67Aとを含む。
制御装置30は、信号線L11を介してIGBT素子Q3,Q4に駆動指示PWMI1および回生指示PWMC1を送信する。これによりIGBT素子Q3,Q4の各々がオンおよびオフする。
電流センサ61A,62Aは、IGBT素子Q3,Q4にそれぞれ対応して設けられる。電流センサ61Aは、IGBT素子Q3に流れる電流を検出して、その検出した電流を示す信号を過電流検知部63Aに出力する。電流センサ62Aは、IGBT素子Q4に流れる電流を検出して、その検出した電流を示す信号を過電流検知部64Aに出力する。
過電流検知部63Aは、電流センサ61Aの出力信号が示す電流値が所定のしきい値を上回る場合にIGBT素子Q3に過電流が流れたことを検知する。そして過電流検知部63Aは、過電流を検知したことを示す信号を出力する。同様に、過電流検知部64Aは、電流センサ62Aの出力信号が示す電流値が所定のしきい値を上回る場合にIGBT素子Q4に過電流が流れたことを検知する。そして過電流検知部64Aは、過電流を検知したことを示す信号を出力する。
ラッチ回路65Aは、過電流検知部63Aからの信号を所定の期間(たとえば100ミリ秒)ラッチする。同様にラッチ回路66Aは、過電流検知部64からの信号を所定の期間(たとえば100ミリ秒)ラッチする。
停止回路67Aは、ラッチ回路65Aの出力およびラッチ回路66Aの出力を受ける。停止回路67Aは、これらの出力に基づいて、IGBT素子Q3、Q4のいずれか一方または両方に過電流が流れたか否かを判定して、その判定結果を示す信号FIV1を信号線L13を介して制御装置30に送信する。
制御装置30は信号FIV1を受信することによりIGBT素子Q3、Q4のいずれか一方または両方に過電流が流れたことを検知する。この場合、制御装置30は、信号SDWN1を送信する。信号SDWN1は信号線L12を介して停止回路67Aに伝達される。停止回路67Aは、信号SDWN1に応じて信号線L11の電位をLレベルに保持する。これにより、IGBT素子Q3,Q4は強制的にオフする。
なお、図2に示す停止回路68A,68Bの各々と同様の回路が、図8に示した停止制御回路に設けられていてもよい。
図9は、インバータ14の遮断指令線の断線検出時における電流の経路を説明する図である。図9を参照して、制御装置30は、システムメインリレーSMRB,SMRPをオンする。さらに制御装置30は、IGBT素子Q1,Q2の各々をオンおよびオフするための信号を送信する。さらに、制御装置30は、IGBT素子Q3,Q4をオンするための信号を送信する。
ここでIGBT素子Q1,Q2は、上述した第1および第2のアームにそれぞれ対応する。IGBT素子Q3,Q4は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列に接続される第3および第4のアームにそれぞれ対応する。
信号線L12(図8参照)が断線している場合、IGBT素子Q1,Q2がそれぞれオンおよびオフし、かつ、IGBT素子Q3,Q4がともにオンする。よって、図9において破線の矢印より示される経路に沿って電流が流れる。この電流が所定値よりも大きい場合に、制御装置は、信号線L12(遮断指令線)が断線していると判定する。
図10は、変形例に従う遮断指令線の断線検出処理を説明するフローチャートである。図10および図7を参照して、この変形例に従うフローチャートでは、ステップS2Aの処理に代えてステップS2Bの処理が実行される点、および、ステップS3の処理に代えてステップS3A,S3Bの処理が実行される点において、図7に示したフローチャートの処理と異なる。なお、図10のフローチャートの他のステップの処理は、図7に示したフローチャートの対応するステップの処理と同様であるため、上述した処理と同様のものについては、その処理の概略を説明する。
図10および図1を参照して、ステップS1において、制御装置30は、平滑コンデンサC2のプリチャージが完了したか否かを判定する。電圧VHが所定値Dよりも大きく、かつ、電流IBが所定値Bよりも小さい場合、平滑コンデンサC2のプリチャージが完了したと判定される。この場合(ステップS1においてYES)、ステップS2の処理が実行される。一方、電圧VHが所定値Dよりも小さい場合、または電流IBが所定値Bよりも大きい場合(ステップS1においてNO)、全体の処理は終了する。
ステップS2において、制御装置30は、負荷を停止する。
ステップS2Bにおいて、制御装置30は、信号SDWN1を停止回路67A(図8参照)に送信する。
ステップS3Aにおいて、制御装置30は、昇圧コンバータ12の上アーム(すなわちIGBT素子Q1)をオンし、かつ、下アーム(すなわちIGBT素子Q2)をオフするための信号を生成する。制御装置30は、その生成した信号をIGBT素子Q1,Q2に送信する。
ステップS3Bにおいて、制御装置30は、インバータ14の上アーム(すなわちIGBT素子Q3)および下アーム(すなわちIGBT素子Q4)をオンするための信号を生成する。制御装置30は、その生成した信号をIGBT素子Q3,Q4に送信する。
ステップS4Aにおいて、制御装置30は、電流センサ11が検知した電流IBに基づいて、バッテリB1の持ち出し電流(図9において、破線の矢印で示される経路に沿って流れる電流)があるか否かを判定する。制御装置30は、電流IBが所定値Cより大きい場合には、持ち出し電流があると判定する。この場合(ステップS4AにおいてYES)、制御装置30は、遮断指令線(信号線L12)が断線していると判断する(ステップS5)。一方、制御装置30は、電流IBが所定値Cより小さい場合(ステップS4AにおいてNO)、遮断指令線が断線していないと判断する(ステップS6)。ステップS5またはステップS6の処理が終了すると、全体の処理は終了する。
遮断指令線が断線している場合、ステップS2Bにおいて制御装置30が信号SDWN1を送信してもIGBT素子Q3,Q4をオフできない。したがって、ステップS3Bにおいて、IGBT素子Q3,Q4がオンする。よって、図9において破線の矢印により示される経路に沿って電流が流れる。制御装置30は、バッテリB1の持ち出し電流が所定値Cよりも大きい場合に遮断指令線が断線していると判断する(ステップS5)。
一方、遮断指令線が断線していなければ、ステップS2BにおいてIGBT素子Q3,Q4がオフするので、ステップS3Bにおいて制御装置30からIGBT素子Q1,Q2をオンさせる信号が送信されてもIGBT素子Q1,Q2はオフしたままである。したがってバッテリB1の持ち出し電流は所定値Cより小さくなる。この場合、バッテリB1の持ち出し電流が所定値Cよりも小さくなるので、制御装置30は、遮断指令線が断線していないと判断する(ステップS6)。
このように変形例1によれば、インバータの遮断指令線の断線も検知できる。
(第2の変形例)
図11は、本実施の形態に従う車両の変形例を示す図である。図11を参照して、車両100AはモータジェネレータMG3、インバータ26および電流センサ28を含まない点において図1に示した車両100と異なる。車両100Aの他の部分の構成は車両100の対応する部分の構成と同様である。車両100Aは、車両100と同様に昇圧コンバータ12およびインバータ14,22を備える。従って、車両100Aに対しても図5,6,7および図10に示される、遮断指令線の断線の検出処理を実行することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2,27 車輪、3 動力分配機構、4 エンジン、10 電圧センサ、11 電流センサ、12 昇圧コンバータ、13 電圧センサ、14,22,26 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、21 電圧センサ、24 電流センサ、28 電流センサ、30 制御装置、40 接続部、50 エアコン、52 コンバータ、54 補機、61,62 電流センサ、61A,62A 電流センサ、63,64 過電流検知部、63A,64A 過電流検知部、65,66 ラッチ回路、65A,66A ラッチ回路、67,67A,68A,68B 停止回路、70 車両負荷、100,100A 車両、B1 バッテリ、C1 平滑コンデンサ、C2 平滑コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、F フューズ、L1 リアクトル、LN1〜LN3,L11〜L13 信号線、L2 信号線、L3 信号線、MG1〜MG3 モータジェネレータ、PL1 電源ライン、PL2 電源ライン、Q1〜Q8 素子、R1 抵抗、SB 補機バッテリ、SL 接地ライン、SMRG,SMRP,SMRB システムメインリレー、SP サービスプラグ。