JP5037741B1 - 極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器 - Google Patents

極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器 Download PDF

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Abstract

【課題】単相2線式電源ラインによって電源が供給される電気機器に対して、安全、確実、簡便にアースをとる手段を提供し、使用者や近くにいる人を極低周波電磁波の影響による健康被害から守ることを可能にする電気機器を提供する。
【解決手段】単相2線式電源ラインから電力が供給される本体部と、電源プラグを有するコールドライン検出部とを有する電気機器において、本体部または該本体部に付随する付帯器具が内部にアース部材を有し、アース部材が本体部または付帯器具の一部設置されたUSBコネクタの外筐端子と導通し、コールドライン検出部が、アース部材にUSBコネクタの外筐端子を介して接続されるUSBプラグと、電源プラグの片側に接続された電位検出回路と該電位検出回路とUSBプラグとを接続する接続コードと、電源プラグの片側がホットラインと誤接続されていることを知らせる警報部を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホットカーペット、電気毛布、電気パネルヒータ等の一般家庭やオフィスなどで使用される電気機器から発生する極低周波電磁波(商用交流電源(通常、周波数が50Hzか60Hz)から発生する電磁波)を磁場のみならず電場の発生も抑制する機能を備えた電気機器に関する。
従来、家庭のホットカーペットなどの電気機器から放射される極低周波電磁波による心身への悪影響(頭痛・吐き気・いらいら等)が問題視されている。
電磁波による心身への影響に関しては非常に多くの論文が発表されている。電磁波については電場による影響と磁場による影響とを分けて考えていく必要があるが、WHOの国際発がん性評価委員会(IARC)は極低周波磁場をランク2B(発ガンの可能性あり)に指定している。近年、諸外国のみならず、我が国においても電磁波過敏症状を訴える患者が増加している。このような健康障害の訴えが急増している背景としては、パソコンや携帯電話などの電気機器の普及により、これらの電気機器から放射される電磁波が増大していることが一因と考えられる(例えば、非特許文献1、2参照)。
電気機器の中でも特にホットカーペットや電気毛布は、人体に直接接触して、しかも長時間に亘って使用されるため、電磁波が人体に及ぼす影響は甚大である。(例えば、非特許文献3)。さらに、最近では早稲田大学人間科学学術院の辻内琢也准教授の研究室において、「交流電場が与えるからだへの影響に関する研究」が始まり、電磁波によって自律神経系が影響を受けていることを示唆する実験データが公表されている(非特許文献4、5)。
一般に電磁波とは、電界と磁界が互いに垂直な方向に振動しながら空間や物質中を伝わっていく現象またはその振動電磁界のことであり、電界(電場)と磁界(磁場)の合成波(波動)という意味である。ここで、本発明において、電界と電場、磁界と磁場は、ほぼ同じ意味で使用しており、電界(電場)とは電気の影響が及ぶ範囲、磁界(磁場)とは磁気の影響が及ぶ範囲を意味している。
磁場は電気機器に電流が流れることにより生じる。したがって、電気機器の電源スイッチを切った状態では磁場は生じない。これに対し、電場は電圧がかかるだけで生じる。すなわち、電気機器の電源スイッチを切った状態であっても、コンセントにプラグが差し込まれているだけで、電場は生じる。
したがって、電場の発生を抑制し、電磁波の影響による前述したような心身への悪影響から逃れるためには、電気機器の電源プラグをコンセントから抜くか、電気機器を接地する(アースをとる)ことが考えられる。電気機器の使用中に電源プラグをコンセントから抜くことはできないので、電磁波の影響を抑制する最も現実的で効果的な方法は、電気機器を接地することである。
前述したような家庭の電気機器から発生する極低周波電磁波による心身への悪影響を減らすため、各国では電磁波に関するガイドラインを設けて、電気機器から発生する電磁波を抑制するように呼びかけている。特にスウェーデン労働組合協会が設けているガイドライン(TCO規制)は、世界で最も厳しい基準を定めており、スウェーデンの電磁波に対する関心の高さが伺える。一方、日本の業界団体が設けているガイドラインでは、磁場に関する基準は前述のスウェーデンのガイドラインと変わらないものの、電場に対する基準は、スウェーデンのガイドラインに比べて、100Vでは5倍、200Vでは25倍もの電場を許容しており、対応の遅れ、関心の低さを如実に物語っている(表1参照)。
日本の一般家庭やオフィスで主として使われている単相2線式の電源ラインでは、後述するように2本の電源ラインのうち、どちらか一方の電源ラインが接地(アース)された状態になっている。この接地されている電源ラインのことを一般にコールドラインと呼んでいる。したがって、電気機器の機器内部においてアースラインに繋がっている側を電源ラインのコールドラインと接続することによって、電気機器を接地させた状態、すなわち、アースをとったことと同一の状態とすることができる。
また、単相2線式の電源ラインにおいては、どちら側がコールドラインか分からないことも多いため、どちら側がコールドラインかを検出して、電気機器のアース端子と接続する電気機器の接地装置(以下、「電場除去器」という)も開発されている(例えば、特許文献1)。
さらに、最近では、「電磁波を出さない」というキャッチフレーズで売られているホットカーペットが存在しているが、それらは実際には、電磁波の「電場」と「磁場」のうち、「磁場」のみを除去する商品である(例えば、非特許文献3)。というのも、磁場は電流の流れる方向と大きさで決まるので、同じ大きさの電流を接近した2本の平行導線に逆方向に流すと、磁場は打ち消しあって、電流が流れているにもかかわらず、磁場は生じない。この原理を利用すれば、磁場の発生については簡単に抑制することができるため、磁場の発生を抑えた電気機器が開発されている(例えば、特許文献2)。
また、本発明者らは、アースをとることで「磁場」だけでなく「電場」もカットすることができるホットカーペットを開発し、高い評価を得ている(例えば、特許文献3、4、非特許文献3)。
登録実用新案第3016977号公報 特開平11−281075号公報 国際公開2006−132038号公報 特開2004−349511号公報
土田直樹著「オールアース時代がやってくる」、ホノカ社、2005年10月30日、p.29−30 土田直樹著「家庭内電磁波による健康障害を訴える患者への有効な対策とその評価」、臨床環境医学、日本臨床環境医学会、平成20年7月10日、第17巻、第1号、p.54−62 船瀬俊介著「ホットカーペットでガンになる」、五月書房、2009年12月18日、p.3−6 土田直樹著「アース革命」、ホノカ社、2011年8月30日、p.210−213 前田未加子「電磁場の生体影響−医療人類学的研究の試み−」、早稲田大学人類科学学術院医療人類学研究室ホームページ、[平成23年11月1日検索]、インターネット<URL:http://www.waseda.jp/sem-tsujiuchi/Master2009-3ElectroMF.pdf >
しかしながら、前記特許文献1に開示されたような従来の電場除去器は、アース端子を有する電気機器に適用する場合には特に問題はないが、ホットカーペットなどのアース端子を持たない電気機器に適用する場合には、電場除去器から出力されているアース線を接続する場所がなく、やむを得ず、鰐口クリップなどで電気機器のコネクタなどの金属部に連結してアースを取っているのが現状であった。
ところが、このような使用方法では、知らないうちに鰐口クリップが外れてしまい、全く電場除去器が機能していないことに使用者が気づかなかったり、鰐口クリップでコネクタの端子間を短絡させてしまい電気機器を破損させてしまったりという課題が生じていた。
また、従来の電場除去器は、セレクトスイッチを用いてアース接続コードとコールドライン、ホットラインとの接続の切り替えを行っていたため、装置が大型化し扱いにくいという課題があった。また、セレクトスイッチが機械的接点を有するため錆びや摩耗により劣化し、装置の寿命が短いという課題があった。
また、これまで、安価で手軽に取り付けられる電場除去器が市販されていなかったため、多くの事務所や家庭でホットカーペット等の電気機器にアースをとらずに使用することを余儀なくされていた。ホットカーペット等の電気機器を確実にアースするためには、200Vの電源ラインにおいて用いられているアース端子付きの3極の電源プラグを用いることが有効である。しかしながら、我が国の電源ラインは100Vが主流であり、100Vの電源ではアース端子の接地が水回りなどの特定の場所を除いて義務づけられていないため、ほとんど普及していない。前記特許文献3、4に開示されたような本発明者らが開発した「磁場」だけでなく「電場」もカットすることができるホットカーペットも3極の電源プラグを用いてアースをとることを前提としているため、アース端子付きのコンセントが設置されている場所でしか使用できず、電磁波による健康被害を解消するための有効な対策となっていないのが現状である。さらに、前述したように我が国においては電磁波に対する規制も厳しくないため、電気機器側の電磁波に対する対策も進んでいない。その一方で、ホットカーペット等の電気機器は急速に普及し、極低周波電磁波の影響による健康被害の報告が急増しており、極低周波電磁波に対する対策が焦眉の課題となっている。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、アース端子を有していない単相2線式の電源ラインによって、電源が供給されている環境で使用されるホットカーペットや電気毛布などの各種の電気機器に対して、安全、確実、しかも、簡便にアースをとる手段を提供することによって、「磁場」のみならず「電場」の放射を抑制し、もって、その電気機器の使用者や近くにいる人を極低周波電磁波の影響による健康被害から守ることを可能にする極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器を提供することである。
本発明者が前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電気機器本体の内部に電場の発生源となる電荷を逃がすアース部材を設置し、このアース部材を電気機器本体の一部に設置したUSBコネクタの外筐端子(接地端子)に導通させる。また、電気機器本体とは別に単相2線式ACコンセントに差し込むことにより、ACコンセントの2極端子のうち、どちら側がコールドラインであるかを検出するコールドライン検出部を設ける。そして、コールドライン検出部に導通しているUSBプラグを電気機器本体に設置したUSBコネクタに差し込むことにより、電気機器本体内部のアース部材と単相2線式電源ラインのコールドラインとが接続され、前記課題を解決するとともに後述するようなこれまでの電気機器にない格別な効果を奏するという知見を見出した。
さらに、コールドラインとホットラインの検出にタッチセンサーを用いた電位検出回路を採用したことによって、これまで電場除去器の故障の原因となっていたセレクトスイッチを用いずに回路を構成することに成功するとともに、電場除去器の大幅な小型化および部品点数の削減によるコストダウンを実現した。その結果、極低周波電磁波の発生を抑制する機能を備えた電気機器の実用化に道を開く本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
「単相2線式電源ラインから電力が供給される本体部と、前記単相2線式電源ラインに対応した電源プラグを有するコールドライン検出部とを有する極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器において、
前記本体部または該本体部に付随する付帯器具が、その内部に電場を遮蔽するアース部材を有し、前記アース部材が、前記本体部または付帯器具の一部設置されたUSBコネクタの外筐端子と導通し、
前記コールドライン検出部が、前記アース部材に前記USBコネクタの外筐端子を介して接続されるUSBプラグと、前記電源プラグの片側に接続された電位検出回路と、該電位検出回路と前記USBプラグとを接続する接続コードと、前記電源プラグの片側が単相2線式電源ラインのホットラインと誤接続されていることを光及び/又は音で知らせる警報手段とを有し、
前記電位検出回路が、前記電源プラグの片側の電位と人が触れているタッチセンサーの電位とを比較し、前記電源プラグの片側の電位が人が触れているタッチセンサーの電位より高電位であることを検出した時、前記警報手段を駆動するコンパレータ手段を有することを特徴とする極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器。」
という特徴を有するものである。
なお、本発明において、「本体部」とは、単相2線式電源ラインから電力が供給される電気機器本体であれば、特に限定されるものではないが、電磁波が人体に及ぼす影響は、その発生源に近いほど大きいので、ホットカーペットや電気毛布など人体に直接触れる電気機器の場合、本発明の効果が特に発揮される。また、本体部に付随する付帯器具とは、例えば、本体部がホットカーペットである場合、ホットカーペットの上に被せて使うカバーなどが相当する。本体部から発生される電磁波を遮蔽する必要があるため、付帯器具の構造としては、本体部全体を覆う形状であることが望ましい。また、「アース部材」とは、電場を遮蔽する導電部材であれば、その材質、形状等は特に限定されるものではない。
本発明の特徴について、以下に詳細に説明する。
単相2線式電源ラインは、電気設備技術基準で中性線は必ずアースをすることが義務づけられている。これは、一般にB種アースと呼ばれている。そして、単相2線式電源ラインのアースされている側の電源ラインは「コールドライン」、アースされていない側の電源ラインは「ホットライン」と呼ばれている。
本発明の第1の特徴は、外見からは分かりにくい単相2線式電源ラインに対応した電源コンセントのホットラインとコールドラインとを使用者が容易に判別できるようにしたことにある。これによって、これまで電源コンセントにアース端子がなかったために、すなわち、2極の電源コンセントが使用されていたために、電気機器のアースがとれなかった環境において、簡単にアースをとることが可能になり、極低周波電磁波の影響による健康被害を抑制することができる。しかも、ホットラインとコールドラインの判別は、本発明の電気機器の構成部材の1つであるコールドライン検出部の電源プラグを電源コンセントに差し込むだけで、もし、ホットライン側が本体部のアース部材と接続されるべきUSBプラグと接続された場合、光及び/又は音で電源プラグの差し込む向きが逆であることを知らせるというきわめて簡単な方法で行われる。
したがって、使用者は、1回コールドライン検出部の電源プラグをコンセントに差し込んで、光及び/又は音で向きが逆であることを知らされた場合、電源プラグの向きを逆にしてコンセントに差し込み直せば、コールドラインが正しく電気機器の本体内のアース部材に接続される。また、電気機器を移動して別のコンセントを使用するときなども、本発明の電気機器には、コールドライン検出部が附属しているので、その都度コールドラインの検出を行うことができ、きわめて便利である。
本発明の第2の特徴は、コンセントのコールドラインを利用して電気機器を接地する(アースをとる)ので、すべてのコンセントに対応できる。また、コンセントの形状を変える必要がないので、工事等も必要なく簡単に装着可能である。コンセントのコールドラインは、電気設備技術基準により必ず6600V:200V変圧器の二次側の中性線(接地側電線)に繋がっているため、このコールドラインと電気機器の本体内のアース部材を接続することで確実にアースをとることができる。
本発明の第3の特徴は、ここが、もっとも本発明の特徴的な構成であるが、電気機器の本体部とコールドライン検出部との接続にUSBプラグとUSBコネクタを使用していることである。したがって、パソコンはもちろんのこと、プリンタ、スキャナなどパソコンの周辺機器等、USBコネクタを有する電気機器に対しては、当該電気機器がそのまま、本発明における本体部となる。なんとなれば、USBコネクタを有する電気機器は、電気機器内部のアース部材がUSBコネクタの外筐端子に接続されているからである。したがって、USBコネクタを有する電気機器に対しては、コールドライン検出部と組み合わせるだけで、本発明を構成することができるとともに、コールドライン検出部には、わずかな接地電流が流れるだけであるので、電気機器の消費電力によらず共通して用いることができるので、本発明の電気機器の製造コストも著しく低減することができる。
本発明の第4の特徴は、本体部とコールドライン検出部との接続にUSBプラグとUSBコネクタを使用しているので、前述のように、電気機器のアース部材に確実にコールドラインを接続することができる。その結果、従来、鰐口クリップをコネクタ部に挟んでアースをとっていたときのような誤接続や短絡、知らないうちに鰐口クリップが外れるといったようなミスを確実に回避することができる。また、誤接続や短絡に起因する電気機器の内部回路の破損や故障などを確実に回避できる。
本発明の第5の特徴は、内部回路の主要部である電位検出回路部にタッチセンサーを採用したことにより、装置内部から機械的接点がなくなるとともに、部品点数を削減されたため、装置の故障、劣化が少なくなり、きわめて長寿命となるとともに、大幅な装置の小型化、コストダウンが実現できた。
前述のような特徴を備えた本発明は、特別な工事を施すことなく、ホットカーペット等の電気機器において極低周波電磁波の発生を抑制することを可能にした。また、本発明の電気機器は「アースをとる」ことに対する対応が遅れている我が国において、とても簡単に「アースをとる」手段を提供するものであり、その適用範囲はきわめて広い。
USBは、パソコンなどのデータ伝送に用いられる規格であり、これまでデータ伝送以外に使用されることはなかったが、発明者らが、鋭意研究を行ったところ、このUSBコネクタは、外筐端子(外側の矩形の金属端子)が電気機器のアース部材(アースライン)と接続されているためアースをとるのに最適であることに加え、たとえ、外筐端子とホットラインを接続した場合であっても、内部回路の電位が上昇することがないように設計されているため、電気機器を故障させたりすることがないという、きわめて理想的なアース手段であるという新規な知見を得て本発明を完成するに至った。
USBプラグをアースをとるための接続手段として使用するという発想は、これまでになく、しかも、前述したような効果を奏する点で、新規性のみならず進歩性を有するものである。さらに、タッチセンサーを用いた電位検出回路を内蔵し、簡単にコールドラインを判別できるため、すぐれた有用性も持っている。
本発明は、単相2線式電源ラインから電力が供給される本体部と、単相2線式電源ラインに対応した電源プラグを有するコールドライン検出部とを有する極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器において、本体部または該本体部に付随する付帯器具が、その内部にアース部材を有し、アース部材が、本体部または付帯器具の一部設置されたUSBコネクタの外筐端子と導通し、コールドライン検出部が、アース部材にUSBコネクタの外筐端子を介して接続されるUSBプラグと、電源プラグの片側に接続された電位検出回路と、電位検出回路とUSBプラグとを接続する接続コードと、電源プラグの片側が単相2線式電源ラインのホットラインと誤接続されていることを光及び/又は音で知らせる警報手段とを有し、電位検出回路が、電源プラグの片側の電位と人が触れているタッチセンサーの電位とを比較し、電源プラグの片側の電位が人が触れているタッチセンサーの電位より高電位であることを検出した時、警報手段を駆動するコンパレータ手段を有していることにより、アース端子のない2極のコンセントが使用されていたために、電気機器のアースがとれなかった環境においても、簡単、確実、安全にアースをとることが可能になるというすぐれた効果を発揮するものである。その結果、これまで対策の難しかった極低周波電磁波による健康被害を防止できるなど、その効果は絶大である。さらに、内部回路に機械的接点を有していないので、長寿命であるとともに、部品点数を削減したことにより、装置の小型化・コストダウンが実現でき、我が国における極低周波電磁波による健康被害の抑制にきわめて大きな技術的貢献をもたらすものである。
本発明の一実施例である極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器の外観を示す斜視図である。 本発明の一実施例である電気機器のコールドライン検出部を示す回路図である。 本発明の一実施例である電気機器のコールドライン検出部の内部構造を示す平面図である。 本発明の別の実施例である電気機器の本体部の付帯器具の一部断面斜視図である。
本発明は、単相2線式電源ラインから電力が供給される本体部と、単相2線式電源ラインに対応した電源プラグを有するコールドライン検出部とを有する極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器において、本体部または該本体部に付随する付帯器具が、その内部にアース部材を有し、アース部材が、本体部または付帯器具の一部設置されたUSBコネクタの外筐端子と導通し、コールドライン検出部が、アース部材にUSBコネクタの外筐端子を介して接続されるUSBプラグと、電源プラグの片側に接続された電位検出回路と、電位検出回路とUSBプラグとを接続する接続コードと、電源プラグの片側が単相2線式電源ラインのホットラインと誤接続されていることを光及び/又は音で知らせる警報部とを有し、電位検出回路が、電源プラグの片側の電位と人が触れているタッチセンサーの電位とを比較し、電源プラグの片側の電位が人が触れているタッチセンサーの電位より高電位であることを検出した時、警報部を駆動するコンパレータ手段を有していることにより、アース端子を有していない単相2線式の電源ラインによって、電源が供給されている環境で使用されるホットカーペットや電気毛布などの各種の電気機器に対して、安全、確実、しかも、簡便にアースをとる手段を提供し、その結果、電気機器から「磁場」のみならず「電場」の放射をも抑制し、もって、その電気機器の使用者や近くにいる人を極低周波電磁波の影響による健康被害から守ることを可能にする極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器を提供できるものであれば、電気機器の種類など、その具体的な構成は如何なるものであってもかまわない。
ここで、本発明の一実施例として、電気機器の本体部がホットカーペットである場合について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の電気機器の一実施例の外観を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の電気機器1は、単相2線式電源ラインから電源プラグ6を解して電力が供給される本体部2と、単相2線式電源ラインに対応した電源プラグ71を有するコールドライン検出部7とを有している。
そして、本体部2の内部には、電気機器の態様に応じたアース部材が敷設されている。本実施例におけるホットカーペットでは、本体内部に発熱源であるヒーター線4が所定の間隔で平行に敷設されている。このヒーター線4は、隣り合うヒーター線41、42に流れる電流の向きが逆になるように結線されている。したがって、通電したときにヒーター線4から放射される磁場は互いに打ち消し合い、外部には磁場はほとんど放射されない。
さらに、このヒーター線4を上下で包むように導電性織物3により覆われている。導電性織物3は、導電性繊維が織り込まれて形成されている。すなわち、導電性織物3は、経糸(縦糸)31及び緯糸(横糸)32の両方或いはどちらか一方に導電性繊維を織り込んで形成される。ここで、導電性繊維としては、銅繊維、黄銅繊維、アルミニウム繊維、ステンレス繊維、銀線、金線、ニッケル繊維、鉄繊維等の金属繊維、炭素繊維、金属を表面に蒸着被覆した炭素繊維等の種々のものを、1種又は2種以上を組み合わせて使用される。なお、図1においては、ヒーター線4を見せるために導電性織物3を構成する導電性繊維を間引いて描写している。
このように導電性繊維を織り込んで導電性織物3を形成することによって、導電性織物3が、ホットカーペットのアース部材として用いられた場合、柔らかい手触りであっても、電場の発生源であるヒーター線4を確実に遮蔽し、電気器具の本体部2(すなわち、本実施例の場合、ホットカーペット)のアースをとることができる。その結果、電気器具の本体部2から放射される電磁波、特に電場を確実に抑制することができる。この導電性織物3からなるアース部材は、本体部2の一部(ホットカーペットの場合は、コントローラー部など)に設置されたUSBコネクタ5の外筐端子と導通している。
また、本発明の電気機器1の本体部2は単相2線式電源ラインに対応した電源プラグ6を有しており、この電源プラグ6を介して単相2線式電源ラインから電気機器に電力が供給される。したがって、本発明の電気機器は、アース端子付きの3極のコンセントが設置されていない場所でも使用することができる。
アース端子がついていない2極のコンセントでありながら、適切にアースがとれる仕組みは、次に説明するコールドライン検出部7の働きによる。
コールドライン検出部7は、単相2線式電源ラインに対応した2極の電源プラグ71と、この電源プラグ71の片側に接続された電位検出回路と、この電位検出回路に一端が接続された接続コード72と、この接続コード72の他端に接続されたUSBプラグ73を有している。そして、USBプラグ73を本体部2に設置されたUSBコネクタ5に挿入することにより、本体部2内部のアース部材とUSBプラグ73とがUSBコネクタ5の外筐端子(外側の矩形の金属端子)を介して接続され、さらに、USBプラグ73が、接続コード72を通じて電源プラグ71のコールドライン側の端子と接続されることで、アース部材がコールドラインと接続され、電気機器の接地が実現する。
このときコールドライン検出部7は、電源プラグ71をコンセントに差し込んだ際に、電源プラグ71の片側の電位と人が触れているタッチセンサー74の電位とを比較する電位検出回路を有しており、この電位検出回路が、電源プラグ71の片側の電位が人が触れているタッチセンサー74の電位よりも高電位であることを検出したとき、LEDの光(赤色)及び/又はブザーの音で、電源プラグ71の片側が単相2線式電源ラインのホットラインと誤接続されていることを使用者に知らせる警報手段を駆動するコンパレータ手段を有している。この警報手段が駆動した場合には、使用者は、コールドライン検出部7の電源プラグ71をコンセントから1度抜いて差し込んでいた向きと逆向きにして再度コンセントに差し込むことにより、アース部材が正しくコンセントのコールドラインと接続される。
次に、本実施例の電気機器の主たる構成要素であるコールドライン検出部の動作原理について説明する。
本実施例の電気機器のコールドライン検出部の内部構成は、図3に示すように概略次のようになっている。(1)保護回路、(2)降圧回路、(3)タッチセンサー、(4)定電圧回路、(5)電位検出回路、(6)表示回路、(7)接続コード
ここで、前記(1)〜(7)の各内部構成について説明する。なお、以下の説明において、部品名に付した数字は、図3に付した符号に対応しており、括弧内に記載した符号は図2の回路図に付した符号に対応している。
(1)保護回路:安全装置として過電流保護の為の電流ヒューズ81(F1)を設けており、また、雷サージ等の保護としてバリスター82(RV1)を電源ラインに接続している。
(2)降圧回路:電源電圧AC100Vをコンデンサ83(C1)、抵抗(R2)等により、約AC10Vに降圧している。
(3)タッチセンサー:降圧された電圧を、タッチセンサー74を指で触れることによって、電位検出回路がホットラインもしくはコールドラインのどちらにつながっているかを判断することができる。
(4)定電圧回路:降圧された電圧をツェナーダイオード84(D4)、電解コンデンサ85(C2)等により、DC10V程度の定電圧を得ている。
(5)電位検出回路:タッチセンサー74の金属部分を指(人体)で触れることにより、内部のコンパレータ手段(U1)により、電源ラインの電位と人体(touch)電位とを比較する。その際、人が触れるタッチセンサー74は、感電のおそれがないようコンデンサ(C4)と抵抗(R8)により高インピーダンスにて保護されている。図2において、電源ラインのAC2がコールドラインに接続されているとき、コンパレータ手段(U1)の正入力(3)側にコールドラインの低電位が印加され、負入力(2)側には人体電位のさらに低電位が入力されるため、コンパレータ手段(U1)の出力(1)はプラス(高電位)となり、緑のLED(GREEN)が点灯する。この時、コンパレータ手段(U1)の正入力(5)側より負入力(6)側の方が高電位になるため、出力(7)には、電位が現れず、赤のLED(RED)は点灯せず、ブザー(BZ)もならない。一方、電源ラインのAC2がホットラインに接続されていると、コンパレータ手段(U1)の正入力(5)側が、負入力(6)側より高電位になるので、出力(7)が高電位になり、赤のLED(RED)が点灯し、ブザー(BZ)が鳴る。
(6)表示回路(警報手段):タッチセンサー74の電位が電源ラインのGND側(コールドライン)の場合は、セレクトランプが緑色に点灯し、逆の場合(ホットライン)は、セレクトランプが赤色に点灯するとともにブザーが鳴る。
(7)接続コード:接続コード72は、表示回路の緑色LEDが点灯している場合、保護部品(R14、PTC)を介して電源ライン(コンセント)のGND側(コールドライン)に接続している。
本実施例の電気機器を構成するコールドライン検出部は、従来の電場除去器と違い電源プラグの電位を検出する電位検出回路にセレクトスイッチではなく、前述のようにタッチセンサーを使用しているため装置の大きさを大幅に小型化することができる。その結果、従来の電場除去器では、複数のコンセントが一列に並んだOAタップで使用した場合、電場除去器を挿入したコンセントの両サイドのコンセントが塞がってしまい使用できないという無駄が生じていた。ところが、本実施例の電気機器を構成するコールドライン検出部では装置の大きさが大幅に小さくなったため、そのような無駄が生じない。
また、セレクトスイッチを用いる場合に比べタッチセンサーを用いた場合は、全体の部品点数を少なくすることができ、装置のコストダウンを図ることができる。
さらに、セレクトスイッチは、機械的な接点を有しているため、次第に接点が錆びたり摩耗したりして、装置の寿命が短い。一方、本実施例のコールドライン検出部は機械的接点を有していないので寿命がきわめて長い。
また、従来の電場除去器はセレクトスイッチを切り替えるときに、内部で線が触れてショートをおこすという問題が頻発していた。一方、本実施例の電気機器を構成するコールドライン検出部は装置内部に動く部分がないため、ショートを起こす心配がなく、きわめて安全である。
前述の説明で分かるように、本発明の電気機器は、ホットカーペットなどの電気機器本体から発生している電場は、本体部内部のアース部材により遮蔽され、電気機器に付属するコールドライン検出部の接続コードを通じてコンセントのGND(コールドライン)に接続されることにより、接地される(アースをとる)仕組みとなっている。ちなみに電源プラグを差込むコンセントがGNDと接続されていなければ、アースをとることが出来ず、発生している電場を軽減することは出来ない。しかしながら、2極のACコンセントは、法律の規制により必ず接地されている。したがって、本発明の電気機器は、コールドライン検出部により、ACコンセントの2極のうちどちらがコールドラインであるかを検出することにより、確実に電気機器のアースをとることができ、放射される電場を抑制することができる。
(本実施例の電気機器の特性評価)
次に本発明の電気機器の有用性を検証するため、前述した実施例の電気機器(ホットカーペット)について、次のような特性評価を行った。すなわち、電源コードがACコンセントに接続された対象物(CRT式オシロスコープ)に本実施例の電気機器を接続した。そして、タッチセンサーに触れたときにセレクトランプが緑色に点灯した場合、すなわち、USBプラグがコンセントのコールドラインに接続された状態の時と、セレクトランプが赤色に点灯した場合、すなわち、USBプラグがコンセントのコールドラインに接続されていない状態の時の双方について、かつ、対象物の電源がONの時とOFFの時の双方について、合計4つの場合(テスト1〜4)について対象物前面の電位を計測した。その結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、本実施例の電気機器のコールドライン検出部と本体部とが接続されて本体部内部のアース部材がコンセントのコールドラインに接続されているとき(セレクトランプが緑色に点灯)には、電場がきわめて低減していることがわかる。一方、アース部材がコンセントのホットラインに接続されているとき(セレクトランプが赤色に点灯)には、コールドライン検出部を接続しないのとほぼ同等のきわめて高い電場の値を示した。
前記の結果から、本発明の電気機器は、本体内部にアース部材を設けるとともにコールドライン検出部を設け、アース部材をACコンセントのコールドラインと正しく接続することにより、電気機器等から発生する電場の影響を効果的に除去することが確認できた。
つぎに、本発明の別の実施例として、電気機器の本体部がホットカーペットであり、付帯器具としてホットカーペットを包むカバーを使用する場合について、図面を用いて説明する。
本実施例における本体部であるホットカーペットは、アース部材が組み込まれていない従来用いられている通常のホットカーペットである。一方、本体部とともに使用する付帯器具であるカバー80は、図4に一部断面斜視図を示すように、ホットカーペットのヒーター面の全面を導電性織物83で覆っている。導電性繊維83の上面は、中綿82で覆われており、最表面は、綿100%の表パイル地81で覆われている。一方、導電性繊維83の下面は下生地84で覆われている。そして、導電性繊維83の対向する辺に一つずつ端子が設置されており、この端子が導線によってカバーの一部に設置されたUSBコネクタ85の外筐端子に接続されている。このUSBコネクタには、実施例1で説明したのと同じコールドライン検出部7のUSBプラグ73が接続されることによって、導電性繊維83をACコンセントのコールドラインに適切に接続することができる。
したがって、この実施態様であれば、ホットカーペット自体は、電磁波抑制機能を備えていない旧タイプの装置であっても、カバーを変えることによって、本発明を実現することができるものであって、きわめて経済的である。
前記実施例では、電気機器としてホットカーペットを例として取り上げたが、アースをとることなくACコンセントから電源をとって使用する電気機器においては、ほとんどものもから電磁波が放射されており、本発明は、それらの電気機器に適用できる。
しかも、前述のように、本発明の電気機器は、電気機器本体から発生する電場をきわめて効率よく、しかも確実に抑制することができるものであって、電気機器を使用する者や、電気機器に囲まれて生活する居住者を極低周波電磁波による健康被害から守ることができるものであって、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。
1 ・・・ 極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器
2 ・・・ 本体部
3 ・・・ 導電性織物
31 ・・・ 経糸
32 ・・・ 緯糸
4 ・・・ ヒーター線
5 ・・・ USBコネクタ
6 ・・・ 電源プラグ
7 ・・・ コールドライン検出部
71 ・・・ 電源プラグ
72 ・・・ 接続コード
73 ・・・ USBプラグ
74 ・・・ タッチセンサー
80 ・・・ (ホットカーペットの)カバー
81 ・・・ 表パイル地
82 ・・・ 中綿
83 ・・・ 導電性繊維
84 ・・・ 下生地
85 ・・・ USBコネクタ

Claims (1)

  1. 単相2線式電源ラインから電力が供給される本体部と、前記単相2線式電源ラインに対応した電源プラグを有するコールドライン検出部とを有する極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器において、
    前記本体部または該本体部に付随する付帯器具が、その内部にアース部材を有し、前記アース部材が、前記本体部または付帯器具の一部設置されたUSBコネクタの外筐端子と導通し、
    前記コールドライン検出部が、前記アース部材に前記USBコネクタの外筐端子を介して接続されるUSBプラグと、前記電源プラグの片側に接続された電位検出回路と、該電位検出回路と前記USBプラグとを接続する接続コードと、前記電源プラグの片側が単相2線式電源ラインのホットラインと誤接続されていることを光及び/又は音で知らせる警報部とを有し、
    前記電位検出回路が、前記電源プラグの片側の電位と人が触れているタッチセンサーの電位とを比較し、前記電源プラグの片側の電位が人が触れているタッチセンサーの電位より高電位であることを検出した時、前記警報部を駆動するコンパレータ手段を有することを特徴とする極低周波電磁波抑制機能を備えた電気機器。
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