JP5037444B2 - 流体膜厚測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、円周方向に変化する微小隙間をもつメカニカルシール等の端面シール部材について、静止時および回転時の流体膜厚を非接触で二次元的に測定する流体膜厚測定装置に関する。
メカニカルシールに代表される、円筒状軸端面と相手平面との接触により密封を行なういわゆる端面シールは、機械の潤滑油や各種作動流体などの漏洩防止を目的とした機械要素として広く使用されている。これら端面シールは、すべり接触をする回転環と固定環の両端面(密封面)同士をばね力などにより接触させることにより密封を行なう、いわゆる接触式シールである。この端面シールにおいて、良好な密封状態を長期間維持するためには、密封面間に密封流体による流体潤滑膜を形成し、密封面の摩耗、面荒れ等を防止する、すなわち密封と潤滑という相反する条件を両立させる必要がある。端面シールの密封機構は未だ完全な解明には至っていないが、回転環と固定環の接触により形成される微小隙間を満たす潤滑液膜の大小が密封性能に直接的に影響すると考えられており、シール性能の評価手法の確立による製品品質の向上ならびに端面シールの密封機構の解明に対し、この潤滑膜厚を測定することは最も有効な方策のひとつである。
シール部材の流体膜厚測定に関しては、下記特許文献1にて、主にオイルシールやOリングに代表される、ゴム等のエラストマー材で構成される密封装置に関して、蛍光法を用いた先行技術がある。ただしこの先行技術の場合、励起光であるレーザ光は点状に照射されるため、光学顕微鏡による観察面上のある一点の膜厚測定、あるいは点を一方向に走査した場合の複数点の膜厚測定のみに有効である。一般的にメカニカルシール等の端面シールは、密封端面の一方に微小振幅のうねりを持っており、摺動面円周方向に一定の隙間ではなく、隙間が変化する形状を持つ。そのためゴム材と異なり、その密封現象を正確に観察するためには、摺動面全周における液膜分布を測定する必要がある。この理由のため上記先行技術を端面シール部材にそのまま適用することはできない。一方、光源にレーザ光ではなくXeランプを用いた蛍光法は、二次元での液膜分布計測の先行技術があるが、測定対象である油膜厚さはミクロンオーダである。メカニカルシールの摺動面間の液膜厚さはサブミクロンオーダと類推され、このような薄い膜厚に対する測定には、よりエネルギー密度の高い光源と光源に最適な蛍光色素を用いる必要がある。
特開2001−264021号公報
本発明は、上記の問題の解決を目的としてなされたものである。すなわち本発明は、端面シール部材と相手部材との回転摺動面間に介在する潤滑・密封流体の膜厚に関して、摺動面全周に亙る二次元的な分布をサブミクロンオーダの精度で測定することのできる流体膜厚測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による流体膜厚測定装置は、端面シール部材の摺動面における流体膜厚を測定する装置であって、基盤に回転可能に連結されるとともに供試体である端面シール部材を保持するハウジングと、前記ハウジングに保持された状態の端面シール部材に対し接触可能に配置されるとともに光透過性を有する相手部材と、前記ハウジングに収容され、前記端面シール部材および相手部材の接触により密封された状態となる蛍光色素を含む流体と、励起光を照射する光源と、励起光の光軸調整機構と、光軸調整のための絞りと、光学フィルタホルダと、励起光の照射形状を点状からライン状へ拡散させるライン化機構と、前記光源からの励起光を被計測領域である前記端面シール部材および相手部材の接触部へ導き、前記接触部に存在する流体から発せられる蛍光像を対物レンズを通し拡大しビームスプリッタへ導く光学顕微鏡と、前記励起光の波長の光を除去する光学フィルタと、前記光学フィルタにより得られる蛍光像を撮像する撮像装置と、前記端面シール部材および相手部材の接触部の摺動状態を実現すべく前記相手部材を回転させる回転駆動源と、を有し、前記ライン状に拡散される励起光は、前記端面シール部材の摺動面の円周上1箇所であってかつ前記摺動面の半径方向に沿って延びるかたちで照射されることを特徴とする。
また、本発明の請求項2による流体膜厚測定装置は、上記した請求項1記載の流体膜厚測定装置において、ハウジングに保持された状態の端面シール部材における励起光被照射位置を円周上位置決めすべく前記ハウジングを一定ピッチで回転および停止させるハウジング回転制御手段が設けられていることを特徴とする。
上記構成を有する本発明の請求項1による流体膜厚測定装置は、基盤に回転可能に連結されたハウジングを有しているので、先ずこのハウジングに供試体である端面シール部材を装着する。装着した端面シール部材はその密封摺動面が相手部材に接触した状態とし、一方これと前後してハウジングに蛍光色素を含む流体を収容する。以上の前準備が完了したら光源から励起光を照射する。光源から照射される励起光は、絞りを通過し、光学フィルタホルダに設置されたフィルタ類を透過して任意の強度に減衰または波長選択された後、ライン化機構により点状からライン状へとその照射形状が拡散され、ビームスプリッタにて反射され、光透過性を有する相手部材を透過し、端面シール部材および相手部材間の隙間に存在する蛍光色素を含む流体に照射される。ライン状に拡散された励起光が照射されるのは、環状の端面シール部材における摺動面の円周上1箇所であって、かつそのラインは環状の摺動面の半径方向に沿って延びるものとされる。流体中に含まれる蛍光色素は、ライン状に拡散された励起光により励起され、励起光波長と異なる波長の蛍光を発光する。蛍光像は、対物レンズを有する光学顕微鏡により拡大され、ビームスプリッタを通過し、光学フィルタにより蛍光波長以外の波長の光が除去され、撮像装置へと導かれ、蛍光画像が撮影される。得られた蛍光画像より蛍光強度を数値化し、予め測定済みの蛍光強度から膜厚への換算曲線を元に、膜厚を定量化する。以上によりライン状に拡散された励起光によるライン1本分の測定(円周上1箇所の測定)が行われる。尚、この測定に際し、相手部材を回転させなければ摺動面静止状態での測定が行われ、モータ等の回転駆動源により相手部材を回転させれば摺動面回転状態での測定が行われる。
次いで、上記したようにハウジングは基盤に対し回転可能に連結されているので、ハウジングを所定の回転角度に亙って回転させる。上記光源や光学顕微鏡等の光学系要素は位置が一定であるので、常に一定の箇所へ向けて励起光を照射する。したがってハウジングを回転させれば、これが保持している端面シール部材も回転するので、上記1回目の測定とは円周上異なった位置での測定が行われ、これを必要回数(例えば100回)繰り返す。以上により端面シール部材の摺動面の全周、全面に亙る測定が行われる。
尚、以上のように測定は何度も繰り返されるので、ハウジングを所定の回転角度回転させる際に、回転角度を定量化できれば(一定角度ごとに回転させることができれば)作業上至って便利である。そこで本発明の請求項2では、ハウジングに保持された状態の端面シール部材における励起光被照射位置を円周上位置決めすべく前記ハウジングを一定ピッチで回転および停止させるハウジング回転制御手段を設けることにした。この制御手段の具体例としては、サーボモータの自動回転が考えられるが、ハウジング側に設けられる歯車の歯と、基盤側に設けられ前記歯に噛み合うラチェット機構との組み合わせとしても良く、これによれば全周360度/歯数による定量化が実現される。
励起光としては、レーザ光を使用するが、これに限定されるものではなく、例えば、LEDやその他の光源(蛍光顕微鏡の一般的な光源である超高圧水銀光源や、キセノン光源、メタルハライド光源、ハロゲン光源など)から発せられるものを使用することが考えられる。レーザ光は、指向性、集光性、単色性に優れている。これに対し、LEDは単色性に優れているが、指向性、集光性がレーザ光に比べ劣る。一般的な光源は指向性、集光性ともにレーザ光に劣るが、波長選択性を持つフィルタの使用により特定の波長を取り出すことができる。
以上説明したように本発明によれば、端面シール部材と相手部材との回転摺動面間に介在する潤滑・密封流体の膜厚について、摺動面全周に亙る二次元的な分布をサブミクロンオーダの精度で測定することが可能となる。また、ハウジング回転制御手段が設けられれば、ハウジング回転角度の定量化すなわち測定角度変位の定量化が実現される。
端面シール部材は例えばメカニカルシールの摺動環であって、メカニカルシールの摺動環はカーボン、炭化珪素、セラミック等の硬質材が平坦な摺動面を形成するので、薄い流体膜が広い面積に亙って形成される。これに対し本発明の測定装置は励起光をライン状に照射するので、このような測定対象に用いるのに特に適している。
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)上記特許文献1記載の発明でのオイルシール同様、粗さを持つ面においても精度良く測定が可能である蛍光法による液膜計測技術を応用して、メカニカルシールの液膜分布の2次元計測方法を発案した。
(2)レーザ光源、光学顕微鏡などの光学系の測定位置は固定されている。シールリングの固定されている部分は、自由に回転できる構造となっている。シールリングを少し回転させ、ライン状の液膜分布測定を行なう、という手順を繰り返し、摺動面一周分を連続測定する。測定後、すべてのライン状の液膜分布データを繋ぎ合わせることで、摺動面一周分の2次元的な液膜分布を測定することが可能となった。
(3)現在シールリングを微小に回転させる手法として、シールリング固定台の周囲に設置した歯数100の歯車の歯に柔らかいプラスチックの爪をかみ合わせており、一回転を歯車の歯数に分割して回転させることができる機構とした。この測定時の回転をモータにより自動化することも考えられる。
(4)メカニカルシール摺動面の2次元的な液膜分布を、光干渉法よりも高精度で動的に測定することが可能となった。
(5)上記特許文献1記載の発明を基礎とし、レーザをメカニカルシール摺動面の半径方向断面にライン状に照射し、さらに摺動面を微小に回転しながら一周スキャンし、測定データを繋ぎ合わせることにより、メカニカルシールの二次元的な液膜厚さ分布を測定する装置を構成することができた。
(6)この装置および2次元測定法を用いることにより、これまで測定することができなかったメカニカルシールの液膜厚さ分布を、定量的に測定し、評価することが可能となった。
(7)光干渉法よりも高精度である理由・・・・干渉法は、面粗さの大きい部分や、微小な孔や溝などの凹凸部分のように、面の反射率が低い部分の液膜は測定できない。これに対して、この2次元測定法は、蛍光法を用いているため、面の反射率に関係なく液膜を測定できる。
(8)動的測定できるという理由・・・・蛍光分子が励起光を吸収し、その電子が励起状態に遷移するのにわずか10-11s程度の短時間で達成する。さらにその後蛍光を発し、元の基底状態へ戻り蛍光を示さなくなるまでの時間は、蛍光分子の種類にもよるが、10-9sのオーダと言われている。このような方法をレーザ蛍光法またはLIF(Laser Induced Florescence)法と呼ばれるものであり、ミリ秒オーダの液膜変化の測定に十分に対応でき、動的追従性に優れることを特徴としている。
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の実施例に係る流体膜厚測定装置をその正面方向から見た構成説明図である。図2は図1のA部拡大図である。図3は同測定装置を斜め方向から見た構成説明図である。当該実施例に係る流体膜厚測定装置は、以下のように構成されている。
すなわち先ず、基盤1に回転可能に連結されるとともに供試体である端面シール部材3を保持するハウジング2が設けられており、またハウジング2に保持された状態の端面シール部材3に対して接触可能に配置されるとともに光透過性を有する相手部材4が設けられている。
ハウジング2は、上下方向に貫通する貫通孔2bを平面軸心部に設けた円盤状底面部2aの内周部に円筒状軸部2cを設けるとともに底面部2aの外周部に同じく円筒状の側面部2dを設けたものであって、軸部2cの外周に配置したベアリング5を介して基盤1に回転可能に連結されている。またハウジング2は、底面部2aの内周部であって貫通孔2bの上端開口部に供試体である端面シール部材3を気密的にかつ着脱可能に保持する。
端面シール部材3は、円筒端面部により密封を行なうシール部材であって、例えばメカニカルシールの回転側の摺動環(回転環)もしくは固定側の摺動環(固定環)、シールリップまたはオイルシール等であり、何れにしても密封を行なう端面部(以下、「摺動面」とも称する)3aを上方へ向けた状態でハウジング2に保持される。また必要に応じて、バネで上方へ弾性付勢された状態(相手部材4に押し付けられた状態)で保持される。
相手部材4は、円盤状を呈し、ハウジング2に保持された状態の端面シール部材3に対して接触可能となるよう端面シール部材3の上方に配置されている。したがって相手部材4はその下面(以下、「摺動面」とも称する)4aをもって端面シール部材3の摺動面3aと接触する。また相手部材4は、ハウジング2の貫通孔2bに挿通した回転軸6の上端部に固定されており、回転軸6はモータ等の回転駆動源7に連結されている。したがって相手部材4は回転駆動源7の駆動によって回転することが可能とされている。また相手部材4は、励起光(当該実施例では励起光としてレーザ光を使用するため、以下、「レーザ光」とも称する)10を透過させるため、光学ガラス基板(オプティカルフラット)等の光透過性を有する平面部材により構成されている。
ハウジング2に流体8が収容されており、すなわち端面シール部材3および相手部材4の接触により密封された状態となる蛍光色素を含む流体8が収容されている。流体8は、蛍光色素を溶解または混合させた液体または気体で構成され、特にその種類は限定されず、例えば、密封流体として、蛍光色素を溶解させたエチレングリコール水溶液や、潤滑油あるいは水などで構成される。図4に蛍光色素による励起光吸収波長と蛍光波長との関係を示す。このように特定の波長にピークを有する光に励起され(吸収波長)、これにより特定の波長にピークを持つ蛍光を発する(蛍光波長)特性を利用しているものである。流体8に溶解または混合させる蛍光色素は、レーザ光10により励起され十分な蛍光を発するものであれば特に制限されない。尚、流体8として気体を用いる場合には、ハウジング2に蓋(図示せず)を設ける等して密閉状のチャンバを設定する。この場合、ハウジング2の少なくとも一部にはレーザ光10を透過させるため、相手部材4と同様、光透過性を設定する。
上記した端面シール部材3および相手部材4の接触部は、流体膜厚測定の被計測領域とされ、この被計測領域へ向けてレーザ光10が照射される。このため当該測定装置には、レーザ光10を照射するための光源9と、レーザ光10の光軸調整機構11と、光軸調整のための絞り12,13と、光学フィルタホルダ14と、レーザ光照射形状を点光源(点状)からライン状へと拡散させるライン化機構15と、光源9からのレーザ光10を被計測領域である端面シール部材3および相手部材4の接触部へ導き、接触部に存在する流体8に含まれる蛍光物質から発せられる蛍光像17を対物レンズ18を通して拡大しビームスプリッタ19へと導く光学顕微鏡16とが設けられ、更に、レーザ光10の波長の光を除去する光学フィルタ20と、光学フィルタ20により得られる蛍光像17を撮像する撮像装置21とが設けられている。
光源9から出射されるレーザ光10は、蛍光色素を含む流体8を励起し十分な蛍光発光強度を得るために、エネルギー密度が大きく、流体8に含まれる蛍光色素の励起光波長範囲にある必要がある。
光軸調整機構11において、光源9の取付台は、鉛直方向、水平方向および鉛直方向あおり角の3方向について微動調節機構を備えており、光学顕微鏡16の入射口に設置した2つの絞り12,13を通過するように光軸を調整する。
光学フィルタホルダ14は、1枚または2枚の光学フィルタを設置する機構を備えており、例えばNDフィルタ(減衰フィルタ)を用いることにより任意の割合でレーザ光10の強度を減衰させる。またバンドパスフィルタやロングパスフィルタなど波長選択性を持つフィルタを設置することで、仮に波長範囲の広い光源9を用いた場合でも、目的にあった波長のみを選択して取り出す。
ライン化機構15は、点光源であるレーザ光10を一方向のみに拡張することで、照射光をライン状に拡張する。ライン化機構15として当該測定装置では市販のライン化レンズを用いているが、例えばガルバノミラー、ポリゴンミラーまたは音響光学素子などを用いても同様の効果を得ることができる。
撮像装置21は、光学顕微鏡16により拡大された蛍光像17を撮像するために、例えばCCDカメラなどにより構成されている。
ビームスプリッタ19は、励起光であるレーザ光10の波長を反射し、蛍光色素を含む流体8の発する蛍光波長を透過する波長選択を持つダイクロイックミラーを用いている。ライン化機構15によりライン状に拡張されたレーザ光10はビームスプリッタ19により反射され、光透過性を有する相手部材4を透過し、摺動面3a,4a間の隙間に存在する蛍光色素を含む流体8に照射される。その結果、流体8中の蛍光色素がレーザ光10に励起され、蛍光を発する。前述のとおりビームスプリッタ19は波長選択性を持つため、対物レンズ18を有する光学顕微鏡16により拡大された蛍光はビームスプリッタ19を透過し、光学フィルタ20を通過した後、撮像装置21へ導かれる。
蛍光像17は、ビームスプリッタ19透過直後には、ビームスプリッタ19により完全には除去できなかった励起光であるレーザ光10の波長成分を含んでいる。したがって光学フィルタ20において、蛍光像17を蛍光波長のみを通過させるバンドパスフィルタ(狭帯域干渉フィルタ)に通すことによって、更に精度良く蛍光波長のみを取り出すことができる。
以上により光路を説明すると、光源9より照射されるレーザ光10は、絞り12,13を通過し、フィルタホルダ14に設置されたフィルタ類を透過して任意の強度に減衰または波長選択された後、ライン化機構15により点光源(点状)からライン状へとその照射形状が拡散され、ビームスプリッタ19にて鉛直方向に反射され、光透過性を有する相手部材4を透過し、端面シール部材3と相手部材4間の隙間に存在する蛍光色素を含む流体8に照射される。図5に示すようにライン状に拡散されたレーザ光10が照射されるのは、環状の端面シール部材3における摺動面3aの円周上1箇所であり(被照射部位を符号22で示す)、かつその直線状のラインは環状の端面シール部材3の摺動面3aの半径方向に沿って延びるものとなる。ラインの長さは摺動面3aの径方向幅と同じかこれよりも大きく、ラインの一端は摺動面3aの外径部より更に外側に位置し、ラインの他端は摺動面3aの内径部より更に内側に位置するのが好ましい。流体8中に含まれる蛍光色素は、ライン状に拡散されたレーザ光10より励起され、励起光波長と異なる波長の蛍光を発光する。蛍光像17は、対物レンズ18を有する光学顕微鏡16により拡大され、ビームスプリッタ19を通過し、光学フィルタ20により蛍光波長以外の波長の光が除去され、撮像装置21へと導かれる。
また当該測定装置には、ハウジング2に保持された状態の端面シール部材3におけるレーザ光被照射位置22を円周上位置決めするため、ハウジングを一定ピッチで回転および停止させるハウジング回転制御手段23が設けられている。すなわち光学顕微鏡16等の光学系要素はその位置が固定されているため、レーザ光10は常に端面シール部材3の円周上1箇所に照射される。したがって端面シール部材3の摺動面3a全面に亙って蛍光を測定するには、ハウジング2を少しずつ回転させ測定位置をずらしながら摺動面3a一周分の測定を行なう。このためハウジング2は上記したように回転可能とされ、かつハウジング2を一定ピッチで回転させるべくハウジング回転制御手段23が設けられている。ハウジング回転制御手段23としては具体的には、サーボモータ24が使用されるが、ハウジング2の外周に歯車の歯を設け、基盤1側にラチェット機構を設け、この歯とラチェットとを噛み合わせることにしても良い(この場合、ハウジング2は手動で回転する)。
当該測定装置により撮影された蛍光画像の一例を示すと、図6に示すようになる。このとき、端面シール部材3としてはメカニカルシールの摺動環、相手部材4としては光学ガラス基板(BK-7)、流体8としては、蛍光色素を溶解させたエチレングリコール水溶液、光学フィルタ20としては、レーザ光源9から照射されるレーザ光10を8%まで減光させるND-8フィルタをそれぞれ適用した。図6のとおりライン状の蛍光画像が撮影されていることがわかる。尚、図6中のライン状の蛍光画像両端部に強い蛍光が見られるのは、メカニカルシール内外周側に付着した液だまりによるものである。図6の蛍光画像より蛍光強度を数値化し、予め測定しておいた蛍光強度から膜厚への換算曲線を元に膜厚を定量化した。結果を図7に示す。図7上図は、蛍光強度から膜厚へ変換したグラフであり、図7下図は、触針式形状測定器により予め測定しておいた摺動面の断面形状である。この図7に示されるように、当該装置によるメカニカルシール摺動面間の液膜測定は、摺動面の粗さ成分までも含んだ幅方向断面の膜厚分布測定が可能であり、サブミクロンオーダと類推されるメカニカルシールの膜厚においても、十分適用可能な垂直方向分解能を有することがわかる。
また、上記したようにレーザ光10の照射位置は固定されていて端面シール部材3の摺動面3a上の一定の位置に常に照射されるので、ハウジング2を回転させることにより、摺動面3a全周に亙る二次元的な膜厚分布を測定した。すなわち上記図6および図7で示したメカニカルシール幅方向断面の液膜分布測定を被測定面をずらしながら連続的に実施し、測定結果をつなぎ合わせることにより二次元的な膜厚分布測定を行なった。尚、当該測定試験では、ハウジング回転制御手段23として、上記ハウジング2の外周に設けた歯車の歯と基盤1側に設けたラチェット機構との組み合わせよりなるものを使用し、歯車としては歯数100の歯車を使用した。すなわち、この歯車とこれに噛み合わせたラチェット機構を利用して、歯車のひと歯毎にハウジング2およびハウジング2に固定された上記メカニカルシールを微小回転させ、ひと微小回転毎にメカニカルシール幅方向断面の液膜分布測定を行なった。測定は、端面シール部材3と相手部材4とが摺動を伴わない静的測定と、回転軸6を介して回転駆動源7と接続された相手部材4が静止した端面シール部材3に対して回転する、摺動を伴った動的測定について実施した。
この二次元測定結果を図8に示す。図8(a)は静止時の液膜分布測定結果である。被測定面は2波長分のうねりを有しており、相手面とは2点で接触していることがわかる。図8(b)は回転速度100rpmでの液膜分布を示している。静止時の液膜分布と比較し、回転に伴いうねり谷部の液膜が減少していることがわかる。この液膜の減少は、うねりの頂点後部の広がり隙間部における負圧発生に伴うキャビティー発生のためと考えられる。また液膜分布をより明瞭に表現するため、液膜厚さの2値化を行なった。図8(d)に、2値化のしきい値を0.27μmとした場合の100rpm時の結果を示す。被測定面に2箇所薄膜領域が存在すること、すなわち回転摺動に伴うキャビテーションの形状がより明確に識別できる。図8(c)に1000rpm時の測定結果を、図8(e)にしきい値0.57μmにおいて図8(c)を2値化した結果を示す。100rpmに比べて1000rpmでは摺動面全体的な液膜厚さの増加が見られる。これは回転速度の増加による液膜内の動圧作用が顕著になった結果と考えられる。また2値化画像より、100rpmと比較し薄膜領域、つまりキャビテーションが円周方向により長く伸びていることが観察できる。
本発明の実施例に係る流体膜厚測定装置を正面方向から見た構成説明図 図1のA部拡大図 同測定装置を斜め方向から見た構成説明図 励起光波長(吸収波長)スペクトルと蛍光波長スペクトルの関係を示すグラフ図 供試体であるメカニカルシール摺動環の一例を示す説明図 撮影された蛍光画像の一例を示す説明図 図6の蛍光画像から読み出される蛍光強度を膜厚に換算した液膜厚さを示す説明図、および触針式形状測定器によって予め測定されたレーザ光照射位置の形状を示す説明図 メカニカルシール摺動面間膜厚の二次元測定結果を示す説明図であって、(a)は静止時膜厚、(b)は100rpmにて回転時の膜厚分布、(c)は1000rpmにて回転時の膜厚分布、(d)は100rpmにて回転時の膜厚分布を2値化結果、(e)は1000rpmにて回転時の膜厚分布を2値化結果をそれぞれ示す説明図
符号の説明
1 基盤
2 ハウジング
3 端面シール部材
3a,4a 摺動面
4 相手部材
5 ベアリング
6 回転軸
7 回転駆動源
8 流体
9 レーザ光源
10 レーザ光(励起光)
11 光軸調整機構
12,13 絞り
14 光学フィルタホルダ
15 ライン化機構
16 光学顕微鏡
17 蛍光像
18 対物レンズ
19 ビームスプリッタ
20 光学フィルタ
21 撮像装置
22 被照射部位
23 ハウジング回転制御手段
24 サーボモータ

Claims (2)

  1. 端面シール部材の摺動面における流体膜厚を測定する装置であって、
    基盤に回転可能に連結されるとともに供試体である端面シール部材を保持するハウジングと、前記ハウジングに保持された状態の端面シール部材に対し接触可能に配置されるとともに光透過性を有する相手部材と、前記ハウジングに収容され、前記端面シール部材および相手部材の接触により密封された状態となる蛍光色素を含む流体と、励起光を照射する光源と、励起光の光軸調整機構と、光軸調整のための絞りと、光学フィルタホルダと、励起光の照射形状を点状からライン状へ拡散させるライン化機構と、前記光源からの励起光を被計測領域である前記端面シール部材および相手部材の接触部へ導き、前記接触部に存在する流体から発せられる蛍光像を対物レンズを通し拡大しビームスプリッタへ導く光学顕微鏡と、前記励起光の波長の光を除去する光学フィルタと、前記光学フィルタにより得られる蛍光像を撮像する撮像装置と、前記端面シール部材および相手部材の接触部の摺動状態を実現すべく前記相手部材を回転させる回転駆動源と、を有し、
    前記ライン状に拡散される励起光は、前記端面シール部材の摺動面の円周上1箇所であってかつ前記摺動面の半径方向に沿って延びるかたちで照射されることを特徴とする流体膜厚測定装置。
  2. 請求項1記載の流体膜厚測定装置において、
    ハウジングに保持された状態の端面シール部材における励起光被照射位置を円周上位置決めすべく前記ハウジングを一定ピッチで回転および停止させるハウジング回転制御手段が設けられていることを特徴とする流体膜厚測定装置。
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