JP5035223B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度の過去のデータが従う内燃機関の燃焼安定状態に対応した第1確率分布の未知パラメータ及び内燃機関の燃焼不安定状態に対応した第2確率分布の未知パラメータを、これらのデータに基づいて最尤推定法により推定し、推定した未知パラメータにより前記第1確率分布及び前記第2確率分布を特定する確率分布特定手段と、
特定後の前記第1確率分布及び前記第2確率分布に基づいて、前記過去のデータの各々が前記燃焼安定状態のデータであるか、或いは前記燃焼不安定状態のデータであるかの判定を行い、夫々燃焼安定クラスタ及び燃焼不安定クラスタに分類するデータ分類手段と、
前記燃焼安定状態と前記燃焼不安定状態との境界で成立する境界条件を、前記過去のデータに基づいて推定し、推定した未知パラメータにより前記境界条件を特定する境界条件特定手段と、
所定の時刻における排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度のデータと、前記所定の時刻よりも1ステップ先の時刻におけるクランク角速度のデータとの間に成立する関係の未知パラメータを、前記燃焼安定クラスタのデータに基づいて推定し、推定した未知パラメータにより前記関係を燃焼安定状態に対応した第1規則として特定する第1規則特定手段と、
所定の時刻における排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度のデータと、前記所定の時刻よりも1ステップ先の時刻におけるクランク角速度のデータとの間に成立する関係の未知パラメータを、前記燃焼安定クラスタのデータに基づいて推定し、推定した未知パラメータにより前記関係を燃焼不安定状態に対応した第2規則として特定する第2規則特定手段と、
特定した前記境界条件に排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度のデータの現在値を含むデータを適用して、前記現在値を含むデータが前記安定状態に区分されるか、或いは前記不安定状態に区分されるかを推定する区分推定手段と、
前記第1規則又は前記第2規則に前記現在値を含むデータを適用して将来のクランク角速度を推定するクランク角速度推定手段と、
前記区分推定手段による推定結果及び前記将来のクランク角速度に基づいて、内燃機関の将来の燃焼状態が安定状態であるか、或いは不安定状態であるかを判定する燃焼状態判定手段と、
特定後の前記第1確率分布及び前記第2確率分布に基づいて、前記現在値を含むデータが、前記燃焼安定状態のデータであるか、或いは前記燃焼不安定状態のデータであるかの判定を行い、前記燃焼状態判定手段による判定結果の妥当性を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする。
前記将来のクランク角速度の複数の値の所定時間当たりの変動量を推定変動量として演算する推定変動量演算手段と、
前記内燃機関の実際のクランク角速度の前記推定時間当たりの変動量と、前記推定変動量との偏差を演算する偏差演算手段と、を備え、
前記燃焼状態判定手段は、前記偏差が予め定めた第1判定値未満であるか否かにより内燃機関の将来の燃焼状態が安定状態であるか、或いは不安定状態であるかを判定することを特徴とする。
実施形態1の制御装置は、車両等に搭載されるECU(Electronic Control Unit)内部に構成されている。このため、先ず、図1を用いて、本実施形態に係る制御装置の説明をする。図1は、ECUが内燃機関の燃焼状態判定を行う制御装置として機能する場合の機能ブロック図である。
システム同定部10は、空燃比、EGR率からクランク角速度(回転挙動)までのエンジン特性を記述する同定式を、内燃機関の燃焼安定状態と燃焼不安定状態とで同定式が切り替わる区分的アフィン自己回帰(Piece-Wise affine Auto-Regressive eXogeneous;PWARX)モデルとして同定を行うように構成されている。システム同定部10は、過去の時系列データに基づいて、後述する式(3)及び(4)のパラメータθ1、θ2、a、bを決定し、PWARXモデルの同定を行うことを特徴とする。
x(k)=[ω(k-1) ・・・ ω(k-n) λ(k-1) ・・・ λ(k-m) e(k-1) ・・・ e(k-l))]T ・・・(5)
により与えられる。上式(5)において、kは、k=1,2,・・・,Nの離散時刻の値であり、Nはデータ数である。また、自然数n,m,lは、それぞれモデルを記述するために必要な過去の時系列データの個数を表す。
また、上式(3)、(4)において、θ1及びθ2は、未知のパラメータであり、次式(6)、(7)により与えられる。
aTx(k)+b=0 ・・・(8)
上式(8)において、a及びbは、分離超平面を規定する未知のパラメータであり、次式(9)で与えられるものとする。
システム同定部10内のデータクラスタリング部12は、過去の時系列データを、内燃機関の燃焼安定状態に対応する燃焼安定状態クラスタC1又は燃焼不安定状態に対応する燃焼不安定クラスタC2に分類するように構成されている。
システム同定部10内の分離超平面推定部14は、燃焼安定状態と燃焼不安定状態とを分割する回帰空間上の分離超平面のパラメータを推定するように構成されている。上式(8)により与えられる分離超平面のパラメータa,bは、ソフトマージンサポートベクターマシンを利用することにより推定できる。
システム同定部10内のシステムパラメータ推定部16は、データクラスタリング部12で分類した離散時刻に対応するデータを用いて、パラメータθ1及びθ2を推定するように構成されている。パラメータθ1,θ2は、次式(14)及び(15)により推定できる。
x(k+1)=[ω(k) ・・・ ω(k-n+1) λ(k) ・・・ λ(k-m+1) e(k) ・・・ e(k-l+1)]T ・・・(18)
により与えられることになる。
クランク角速度推定部18は、パラメータa,b及び上式(18)を用い、内燃機関の燃焼状態が安定であるか、或いは不安定であるかを推定し、その推定結果と、上式(16)又は(17)を用いてω^(k+1)を推定するように構成されている。
クランク角速度変動量演算部20は、推定したクランク角速度の変動量と、実測したクランク角速度の変動量との偏差を演算するように構成されている。クランク角速度の変動量の偏差としては、例えばクランク角速度の時間差分が挙げられる。また、クランク角速度の時間差分としては、クランク角速度の前回値と今回値との差に限られず、複数のクランク角速度の平均偏差等も適用できる。クランク角速度の前回値と今回値の差としては、例えば時刻k+1において推定したクランク角速度の推定値ω^(k+1)と、時刻k+2において推定したクランク角速度の推定値ω^(k)との差Δω^=ω^(k+1)-ω^(k+2)や、クランクポジションセンサにより検出した時刻k+1におけるクランク角速度ω(k+1)と、時刻k+2におけるクランク角速度ω(k+2)との差Δω=ω(k+1)-ω(k+2)が挙げられる。こうして求まるΔω^、ΔωからΔω^-Δωを演算する。演算したΔω^-Δωは、ECUにバッファリングされる。
帰属確率演算部22は、パラメータΦ、及び上式(11)又は(12)を用い、時刻kにおける観測データベクトルzkが、燃焼安定状態クラスタC1に帰属する帰属確率α1p1(zk;Φ)及び燃焼不安定状態クラスタC2に帰属する帰属確率α2p2(zk;Φ)を演算するように構成されている。上述の通り、データクラスタリング部12では、時刻k-1までの時系列データに基づいてパラメータΦが推定されている。
異常判定部24は、燃焼状態予測フラグi^(k+1)、クランク角速度の変動量との偏差Δω^-Δω、帰属確率α1p1(zk;Φ)とα2p2(zk;Φ)に基づいて内燃機関の燃焼状態の異常判定を行うように構成されている。異常判定は、(i)燃焼状態予測フラグi^(k+1)値の結果、(ii)クランク角速度の変動量との偏差Δω^-Δωと所定の偏差との比較結果及び(iii)α1p1(zk;Φ)とα2p2(zk;Φ)との比較結果を利用することにより行われる。
次に、図2を参照して本実施形態においてECUが実行する燃焼状態判定ルーチンを説明する。図2のルーチンは、燃焼状態判定を行うための判定時間の期間、例えばクランクポジションセンサからのクランク角速度取得タイミング毎に繰り返されるものとする。
12 データクラスタリング部
14 分離超平面推定部
16 システムパラメータ推定部
18 クランク角速度推定部
20 クランク角速度変動量演算部
22 帰属確率演算部
24 異常判定部
Claims (2)
- 排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度の過去のデータが従う内燃機関の燃焼安定状態に対応した第1確率分布の未知パラメータ及び内燃機関の燃焼不安定状態に対応した第2確率分布の未知パラメータを、これらのデータに基づいて最尤推定法により推定し、推定した未知パラメータにより前記第1確率分布及び前記第2確率分布を特定する確率分布特定手段と、
特定後の前記第1確率分布及び前記第2確率分布に基づいて、前記過去のデータの各々が前記燃焼安定状態のデータであるか、或いは前記燃焼不安定状態のデータであるかの判定を行い、夫々燃焼安定クラスタ及び燃焼不安定クラスタに分類するデータ分類手段と、
前記燃焼安定状態と前記燃焼不安定状態との境界で成立する境界条件を、前記過去のデータに基づいて推定し、推定した未知パラメータにより前記境界条件を特定する境界条件特定手段と、
所定の時刻における排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度のデータと、前記所定の時刻よりも1ステップ先の時刻におけるクランク角速度のデータとの間に成立する関係の未知パラメータを、前記燃焼安定クラスタのデータに基づいて推定し、推定した未知パラメータにより前記関係を燃焼安定状態に対応した第1規則として特定する第1規則特定手段と、
所定の時刻における排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度のデータと、前記所定の時刻よりも1ステップ先の時刻におけるクランク角速度のデータとの間に成立する関係の未知パラメータを、前記燃焼安定クラスタのデータに基づいて推定し、推定した未知パラメータにより前記関係を燃焼不安定状態に対応した第2規則として特定する第2規則特定手段と、
特定した前記境界条件に排気ガスの再循環率、空燃比及びクランク角速度のデータの現在値を含むデータを適用して、前記現在値を含むデータが前記安定状態に区分されるか、或いは前記不安定状態に区分されるかを推定する区分推定手段と、
前記第1規則又は前記第2規則に前記現在値を含むデータを適用して将来のクランク角速度を推定するクランク角速度推定手段と、
前記区分推定手段による推定結果及び前記将来のクランク角速度に基づいて、内燃機関の将来の燃焼状態が安定状態であるか、或いは不安定状態であるかを判定する燃焼状態判定手段と、
特定後の前記第1確率分布及び前記第2確率分布に基づいて、前記現在値を含むデータが、前記燃焼安定状態のデータであるか、或いは前記燃焼不安定状態のデータであるかの判定を行い、前記燃焼状態判定手段による判定結果の妥当性を評価する評価手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記将来のクランク角速度の複数の値の所定時間当たりの変動量を推定変動量として演算する推定変動量演算手段と、
前記内燃機関の実際のクランク角速度の前記推定時間当たりの変動量と、前記推定変動量との偏差を演算する偏差演算手段と、を備え、
前記燃焼状態判定手段は、前記偏差が予め定めた第1判定値未満であるか否かにより内燃機関の将来の燃焼状態が安定状態であるか、或いは不安定状態であるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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