JP4798069B2 - 時系列データの出力予測装置および空燃比制御装置 - Google Patents

時系列データの出力予測装置および空燃比制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、非線形性の強い時系列データを高精度で予測するための出力予測装置および該装置を利用した空燃比制御装置に関する。
非線形性の強い時系列データの予測を行うために、2次元2変数のシステムに限定してロトカーボルテラモデルを適用することにより、システムを同定し、入力データを教師用データとして使用して出力を予測する、時系列データの予測方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、ロトカーボルテラモデルが2次元2変数の、非常に限られたシステムのモデルしか記述することができず、しかも同定パラメータも少ない。そのため、動的状態が3次元以上である高次元システムに対してこの手法を適用することができない。さらに、内部にスイッチ要素を持つなど、動的挙動が複数の状態で切り替わるシステムに対して、この方法を適用してシステムを同定し出力データの予測を行っても、高精度の結果を得ることができない。
例えば、燃料噴射量および空燃比の過去および現在のデータからエンジンの動特性を同定し、同定したモデルを用いて空燃比の制御を行うシステムでは、その制御の精度および効率は、エンジンを如何に高精度にシステム同定できるかに依存している。空燃比制御を高精度で行うために、特許文献2、3に記載の装置では、エンジンをARXモデルで同定することにより、燃料噴射量から空燃比を予測し、予測された空燃比に対してスライディングモード制御を適用して空燃比のフィードバック制御を行い、最適燃料噴射量を得るようにしている。
ところが、エンジンの動特性は、触媒が未暖機の状態と暖機状態で変化することが知られており、定常運転時かあるいは過渡運転時かでも動特性が変化する。また、例えば、触媒未暖機状態と触媒暖機状態の2個の状態を想定していても、実際のエンジンでは両状態間ではっきりした境界が存在するとは限らず、その間に遷移状態を想定した方が良いモデルを構成できる場合もある。さらに、触媒未暖機状態を複数の状態で区分し、触媒暖機状態を複数の状態で区分した方が良いモデルを構成できる場合もある。
このように、エンジンを単純な1個の線形モデルで記述することはふさわしくない。従って特許文献2、3に記載の装置のように、エンジンを線形モデルである単一のARXモデルで同定しても、高精度のシステム同定を行うことができず、その結果として、精度の高い空燃比の予測を行うことができない。実際、特許文献2、3に記載の装置では、ARXモデルに基づいて算出された空燃比の予測値に対してさらにスライディングモード制御を行って、システム同定で発生した誤差を取り除くようにしている。
特開平11−296501 特開2003−35183 特開2003−90252
上述したように、従来の時系列データの出力予測装置は、3次元以上の高次元システムの挙動や、内部にスイッチ要素を持つなどの動的挙動が切り替わるシステムに対して、適切に対応することができないと言う欠点を有していた。従って、本発明の課題は、任意の次数のシステムや、スイッチ要素などにより動的挙動が複雑に切り替わるシステムなどを、高精度で同定し、高い精度で出力データを予測することが可能な、時系列データの出力予測装置およびこの装置を利用した空燃比制御装置を得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために、燃料噴射量検出手段と、空燃比検出手段と、前記燃料噴射量検出手段および前記空燃比検出手段からの時系列データを、複数のモードに区分してエンジンの動特性を区分的ARXモデルで同定するエンジンモデル同定手段と、空燃比予測用の燃料噴射量を入力するための入力手段と、前記入力手段から入力された燃料噴射量を前記同定された区分的ARXモデルに入力して予測空燃比を算出する予測空燃比算出手段と、前記算出された予測空燃比を予め設定した目標空燃比と比較する比較手段と、前記比較手段における比較結果に基づいて、前記入力手段における燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段と、を備え、前記エンジンモデル同定手段は最適モード数の探索および設定手段を備え、設定された最適モード数に基づいて前記時系列データを区分する、空燃比制御装置を提供する。
なお、上記空燃比制御装置において、前記燃料噴射量制御手段における制御は、前記予測空燃比と前記目標空燃比が一致するように前記入力手段における燃料噴射量を制御するようにしてもよい。
区分的ARXモデルは、高次元のシステムを記述することができるため、複雑なシステムであっても高い精度で同定することができる。従って、区分的ARXモデルで同定されたシステムモデルを用いて、時系列入力データから出力予測を行う場合、高い精度で出力予測が可能となる。また、区分的ARXモデルは、非線形モデルの状態空間を複数の空間で区切り、区分されたそれぞれの空間において線形モデルであるARXモデルを対応させた構造を有している。これらの個別のARXモデルが全体としてマージすることによって、区分的ARXモデルが同定される。従って、内部にスイッチ要素を持つなど、動的挙動が切り替わるシステムを区分的ARXモデルによって同定し、入力データから出力予測を行うことによって、高精度で出力予測が可能となる。
本発明では、このようにしてシステムを区分的ARXモデルで記述するにあたって、システムを最適な個数のモードに区分するために、最適モード数の探索および設定手段を備えている。そのため、システムの状態を外部より推測して予めモード数を決定し、このモード数に基づいてシステムのモデル同定を行う場合に比べて、遥かに高い精度でシステムを同定することができる。これによって、出力データの予測精度も大幅に向上する。
したがって、例えば、燃料噴射量から空燃比までのエンジンの特性を、触媒未暖機状態と触媒暖機状態を想定し、各状態間でモデルが切り替わるシステムと考える場合であっても、予めモード数を限定して区分的ARXモデルを作成する必要が無く、装置によって自動的に最適なモード数を選択し、選択したモード数によって精度の高い区分的ARXを同定することができる。そのため、触媒未暖機状態と触媒暖機状態間に遷移状態が存在する場合や、触媒未暖機状態、触媒暖機状態でそれぞれ複数の区分可能な状態が存在する場合などでも、実際のエンジンの特性を高精度でシミュレートすることが可能となる。その結果、出力データの予測精度が向上すると共に、高い精度での空燃比予測が可能となる。
以下に、本発明の種々の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の参考事例の一実施形態にかかる時系列データの出力予測装置の概略構成を示すブロック図である。図示するように、本実施形態にかかる時系列データの出力予測装置は、出力挙動を予測する対象のシステムを時系列データに基づいて区分的ARXモデル(以下、PWARXモデル、PieceWise・Auto−Regressive・eXogenous・Model)で同定するための、PWARXモデル同定装置1と、同定されたモデルに従って入力時系列データを処理し、出力データの予測値を算出するための、出力データ予測装置2とから構成されている。
本発明では、入力時系列データからの出力挙動の予測を実施するために、PWARXモデルを用いて、システムモデルを同定する。PWARXモデルは、非線形モデルの状態空間が複数の空間に区切られており、区分されたそれぞれの空間において線形モデルであるARXモデルが対応する構造を有している。これらの個別のARXモデルを全体としてマージさせることによって、システムを高い精度でシミュレートすることが可能となる。
なお、PWARXモデル同定に関しては、H.Nakada,K.Takaba and T.Katayama:“Identification of Piecewise Affine System based on statistical clustering technique,”Automatica,vol.41,pp.905−913(2005)の記載を参照することができる。
PWARXモデルでは、非線形モデルの状態空間を複数の部分空間に区切るために、モード数の設定を要する。モード数の設定によって、PWARXモデルに含まれるARXモデルの個数が指定される。モード数は、同定しようとするシステムモデルの同定に当たって、予め設定した値を指定することも可能である。例えば、本発明者による他出願(特願2007−125449号)では、出力データの予測を行う対象のシステムについて、その特性を分析することによって、予めモード数を決定し、決定されたモード数に基づいてPWARXモデルを同定している。具体例を示すと、車両エンジンの空燃比制御を行う場合に、触媒未暖機状態と触媒暖機状態でエンジンの動作特性が異なると想定して、モード数を2に設定する。
しかしながら、システムの特性を分析して予めモード数を設定しても、そのモード数が常に最適モード数であるとは限らない。例えば、上記の空燃比制御の場合などでも、実際は触媒未暖機状態と触媒暖機状態間でエンジンの特性が急激に変化するものではなく、両状態間に過渡状態を考えた方が、より厳密にシステムモデルを同定できる場合もある。あるいは、触媒未暖機状態、触媒暖機状態をさらに複数の状態に区分した方が、システムモデルの精度が高くなることも考えられる。
このように、PWARXモデルでシステムを同定する場合、より厳密にシステムを道程するためには、最適モード数の選択が重要となる。したがって、最適モード数をシステムが自動的に選択できれば、モデルの同定精度の向上に大きな効果があると考えられる。本発明では、この点を考慮し、モード数の最適値を自動的に設定することが可能な装置を提案している。
図2は、本実施形態にかかるPWARXモデル同定装置1の詳細を示すブロック図であり、図3は、図2に示す装置の動作手順を示すフローチャートである。以下に、図2および図3を参照して、本実施形態にかかるPWARXモデル同定装置1の構造および動作を説明する。
図2に示すように、本実施形態にかかるPWARXモデル同定装置1は、時系列データの入力手段11、次元の設定手段12、最適モード数の設定装置13、各モードのシステムパラメータ設定手段14およびモード間境界情報生成手段15を有している。
次元の設定手段12は、ARXモデルの記述に用いるパラメータの個数を指定する。図3のフローチャートでは、次元の設定手段12の動作はステップS1で示される。なお、空燃比制御では次元は空燃比の1個が指定される。最適モード数の設定装置13は、同定対象のシステムにおける状態空間の最適数、即ちPWARXモデル中に含まれるARXモデルの最適な個数を算出する。
図2に示すように、最適モード数の設定装置13は、モード数の探索範囲設定手段131、ARXモデル設定手段132、時系列データの統計的クラスタリング手段133、情報量基準の算出手段134、演算結果の格納装置135および最適モード数の決定手段136を含んでいる。最適モード数の設定装置13の動作は、図3のフローチャートにおいて、一点鎖線で示す範囲13内のステップで示されている。
まず、モード数の探索範囲設定手段131は、図3のステップS2に示すように、モード数の探索範囲[A:B]を設定する。AおよびBとして、例えば2および8を設定することによって、最低モード数を2とし、最大モード数を8とする範囲において、最適モード数の探索が実行される。最適モード数の探索範囲は、同定対象のシステムの特性分析に基づいて、ユーザが任意に設定することができる。モード数の探索範囲設定手段131によって、探索範囲が設定されると、図3のステップS3では、モード数nを最低モード数Aに初期設定する。これによって、ARXモデル設定手段132は、PWARXモデル中にA個のARXモデルが存在するものとして、各ARXモデルの構築を開始する(図3のステップS4)。
同定対象のシステムからの時系列データは、時系列データの入力手段11を介してARXモデル設定手段132に導入される。ARXモデル設定手段132では、入力された時系列データから回帰ベクトルを形成し、この回帰ベクトルと未知パラメータとを含んだARXモデルをモード数分、即ちA個、設定する(図3のステップS4)。
時系列データの統計的クラスタリング手段133は、時系列データを、モード数の探索範囲設定手段131において初期設定された個数のモード、即ちA個に分割する(図3のステップS5)。この分割は、時系列データから回帰ベクトルを生成し、生成された回帰ベクトルをデータクラスタリングすることにより行われる。データクラスタリングの手法としては、K−平均法、混合分布モデルに基づくクラスタリング、ファジイクラスタリングなど、種々のものが利用可能である。
データクラスタリングによって、入力された時系列データのそれぞれがどのモードに属するかが決定される。統計的クラスタリング手段133におけるクラスタリングの結果は、格納装置135にデータベースとして保存される。
情報量基準の算出手段134は、統計的クラスタリング手段133においてなされたデータクラスタリングの情報量基準I(n)を、尤度関数に基づいて実行する(ステップS6)。算出された情報量基準I(n)は、格納装置135にデータベースとして保存される。情報量基準は、統計的モデルの良さを評価するための指標であり、その値が最小値をとるモデルを選択することによって、良いモデルの選択が行われる。
以上のようにして、モード数がAの場合の情報量基準I(A)が算出されると、次に、図3のステップS7に示すように終了条件n=Bを判断し、nが探索範囲として設定された最大値であるか否かが判断される。n=Bでない場合、nを1だけインクレメントし(ステップS8)、ステップS4からステップS7を再度実行する。この過程をnがbとなるまで繰り返すことにより、ステップS7でn=Bとなった時点では、格納装置135には、状態空間をA個に分割した場合のデータクラスタリング情報および情報量基準I(A)、状態空間を(A+1)個に分割した場合のデータクラスタリング情報および情報量基準I(A+1)、・・・、状態空間をB個に分割した場合のデータクラスタリング情報および情報量基準I(B)が、データベースとして保存されていることになる。
したがって、ステップS7でYESとなれば、ステップS9において、最適モード数の決定手段136が、データベースに保存された情報量基準I(n)の値を参照し、最適モード数を決定する。この決定は、情報量基準I(n)が最小値を与えるモード数を選択することによって行われる。
以上のようにして、最適モード数が決定されると、このモデルにおける各モードのシステムパラメータを決定する。この決定は、図2の各モードのシステムパラメータ設定手段14において行われる。具体的には、格納装置135に格納されている、決定されたモード数に対応する、回帰ベクトルおよびクラスタリング結果に基づいて、ARXモデル設定手段132で各モードの未知パラメータを算出することにより、各ARXモデルを同定する(図3のステップS10)。PWARXモデル記述では、各モードをARXモデルで記述できると仮定しているので、最尤推定法などを用いて各ARXモデルのパラメータを決定すればよい。
図3のステップS11では、モード間境界情報生成手段15によって、各モード間の境界情報を算出する。この算出は、格納装置135に格納されたクラスタリング情報を用いて、回帰空間上での各モードの分離超平面を推定することにより、行われる。分離超平面の具体的な計算手法としては、2次計画問題に帰着できる。
以上のようにしてPWARXモデル同定装置1で、最適モード数を有するシステムのPWARXモデルが同定される。具体的には、PWARXモデル中の各ARXモデルのシステムパラメータ情報、およびモード間境界情報が獲得される。これらの情報は、図1に示す出力データ予測装置2に入力され、入力時系列データに対する出力の予測に利用される。なお、図2から明らかなように、図3のフローチャートにおいて、分離超平面の推定ステップ(ステップS11)と未知パラメータの算出ステップ(ステップS10)とは、順序が反対であってもよい。
図4は出力データ予測装置2の構成を示すブロックであり、図5は出力データ予測装置2の動作手順を示すフローチャートである。図4に示すように、出力データ予測装置2は、データの入力手段21と、入力データのモード決定手段22および出力データの演算手段23とで構成されている。入力データのモード決定手段22は、データ入力手段21を介して入力されたデータがどのモードに属するデータであるかを、PWARXモデル同定装置1で生成されたモード間境界情報に基づいて決定する(図5のステップS20)。
具体的には、出力予測用の入力時系列データから回帰ベクトルを構成し、その予測値をモード間境界情報に基づいてクラス分類することにより、入力時系列データがどのモードに属するデータであるかを決定する。図4の出力データ演算手段23は、モード決定手段22で決定されたモードのARXモデルに、入力時系列データを適用し、出力データを演算する(図5のステップS21)。なお、PWARXモデル同定装置1では、モデルの同定に必要なデータが収集された時点で、あるいは一定時間毎に繰り返してモデルを同定することにより、常に、新しい時系列データを反映した精度の高いシステムモデルの同定が可能となる。
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる空燃比制御装置の概略構成を示す図であり、図7乃至9は、図6に示す装置の動作手順を示すフローチャートである。以下に、これらの図を参照して、本発明の第2の実施形態に係る空燃比制御装置の構成およびその動作について説明する。
背景技術の説明の項で述べたように、燃料噴射量および空燃比の過去のデータからエンジンの特性を同定し、そのモデルを最適燃料噴射量の決定に用いるシステムでは、エンジンの動特性が、触媒が未暖機状態かあるいは暖機状態かで変化する。しかしながら、触媒未暖機状態、触媒暖機状態中にも、複数の区分可能な状態が存在する可能性がある。従って、本実施形態にかかるPWARXモデルの同定装置は、エンジンのシステムモデルをより高精度に同定するために、最適モード数を探索する手段を含む。
図6の空燃比制御装置6において、61はエンジンのPWARXモデル同定手段であり、燃料噴射量検出手段62、空燃比検出手段63によってそれぞれ検出された燃料噴射量、実空燃比の時系列データから、エンジンのPWARXモデルを同定する。このとき、本実施形態では、エンジンのPWARXモデルにおける最適モード数を探索し、探索したモード数に基づいてPWARXモデルを構築する。なお、次数は、空燃比の1である。64は予測空燃比算出手段であり、燃料噴射量の入力手段65から入力されたデータを、PWARXモデルの同定手段61で同定されたエンジンモデルに適用して空燃比の予測値を算出する。
図6において、66は、予測空燃比算出手段64で算出された空燃比を、予め設定された目標空燃比と比較するための比較手段であり、67は、比較手段66の比較結果に基づいて燃料噴射量の入力手段65で生成される入力データの値を制御するための、燃料噴射量制御手段である。燃料噴射量制御手段67での制御は、予測空燃比算出手段64で出力される空燃比を目標空燃比と一致させるための制御である。比較手段66において、予測空燃比算出手段64で算出された空燃比と目標空燃比との一致が検出されると、燃料噴射量制御手段67は、そのときの燃料噴射量入力を最適燃料噴射量として出力する。
このように、目標空燃比を達成するための燃料噴射量を、燃料噴射量の入力手段65、予測空燃比算出手段64、目標空燃比との比較手段66および燃料噴射量制御手段67からなるフィードバック制御系において制御し、これによってエンジンを駆動するための最適燃料噴射量を求めることにより、エンジンを最適状態で駆動することができるようになる。なお、このとき、PWARXモデル同定手段61では、エンジンの動作特性に対応して適切な数のARXモデルを含むPWARXモデルで同定しているので、予測空燃比算出手段64において、実空燃比との間の誤差が少ない空燃比予測出力が得られる。そのため、フィードバック制御系での誤差修正の作業が、従来の装置に比べて簡略化される。
次に、図7乃至9を参照して、エンジンのPWARXモデル同定手段61および予測空燃比算出手段64の構成およびその動作について説明する。
図7のステップS71でPWARXモデルの次元を設定し、ステップS72で、モード数の探索範囲[A:B]を設定する。本実施形態では、出力が空燃比のみであるため、次元を1に設定する。次元の設定により、ARXモデルの記述に用いるパラメータの個数が1として決定される。なお、ステップS71とステップS72は順序が逆であってもよい。
次に、ステップS73においてnの初期設定を行う。この場合、n=Aに設定し、最適モード数の探索処理をモード数がAの場合から開始する。一例として、Aを2とした場合の処理について説明する。まず、ステップS74および75に示すように、回帰ベクトルを用いてn個のARXモデルを設定する。ここで、今、nは2と仮定しているので、2個のモードにおけるエンジンの動特性がARXモデルで記述される。具体的には以下の手順を取る。時刻kにおける実燃料噴射量をu(k)、出力である実空燃比をy(k)とする。過去の両者の時系列データu(k−1)、u(k−2)、・・・および、y(k−1)、y(k−2)、・・・から、エンジンの動作特性の同定を行う。エンジンの動作特性が以下の式(1)および式(2)で表されると仮定する。ここで、式(1)はモード1におけるエンジンの動特性を記述し、式(2)は、モード2におけるエンジンの動特性を記述する。
Figure 0004798069
上記の式(1)、(2)において、x(k)は回帰ベクトルを示し、過去の実燃料噴射量u(k−1)、u(k−2)、・・・u(k−n)および、過去の実空燃比y(k−1)、y(k−2)、・・・y(k−n)を用いて、以下の式(3)により与えられる。
Figure 0004798069
なお、上記の式(1)、(2)において、e(k)は式誤差である。また、ベクトルθ、θは、同定する未知パラメータである。モード1とモード2とは、回帰ベクトル空間上で超平面によって分割され、それぞれ半空間χ1、χ2に対応する。データ数はNであり、離散時刻はk=1、2、・・・Nの値をとる。
次に、図7のステップS76に示すように、観測データのクラスタリングを行って、モード1、モード2に対応する離散時刻をクラスタ分類する。まず、観測データベクトルzk=(x(k)、y(k))を定義する。観測データが混合正規分布、
Figure 0004798069
に従うと仮定する。ただし、Φ、α、α、p(z;μ、Σ)、p(z;μ、Σ)は、以下のように定義される。
Figure 0004798069
このとき、混合正規分布のパラメータΦを、最尤推定法を用いて求める。尤度関数L(Φ)は以下の式で示される。
Figure 0004798069
尤度関数L(Φ)を最大化するΦを求める問題は、非凸最適化問題であるが、EMアルゴリズムを用いて反復的に計算できる。
最適なパラメータΦの値が決定されると、この値を用いて観測データのクラスタリングを行うが、各データは、帰属確率のより高い方の部分分布に対応するクラスタに分類する。このようにして、モード1およびモード2に対応する離散時刻k=1、2、・・・、Nを、クラスタCおよびCに分類する。
以上のようにして観測データのクラスタリングが行われると、次のステップS77において、尤度関数に基づく情報量基準の算出を行う。算出された情報量基準I(n)およびステップS76で得られたクラスタリング情報は、データベースとして格納装置に格納される(ステップS78)。ステップS79では、nの値が探索範囲の最大値Bに達しているか否かが判定される。ステップS79でNOの場合、ステップS80でnを1だけインクレメントし、ステップS74からステップS78を繰り返す。
したがって、ステップS78でYESとなった時点で、データベースには、モード数がAからBまでの複数のPWARXモデルについて、それぞれのモデルに対応した情報量基準の値と、データのクラスタリング情報とが格納されている。したがって、ステップS81において、データベース中の情報量基準の値のうち、最低値を示したモード数を検出することにより、最適モード数が決定される。周知のように、情報量基準の値が低いほどそのモデルの信頼性が高い。
図8は、以上のようにして最適モード数が決定された後、この数のモードを有するPWARXモデルにおいて、そのシステムパラメータを同定するためのフローチャートを示す。ステップS82において、データベースを参照して、決定されたモード数に対応するクラスタリングのデータから、各ARXモデルにおける未知パラメータθ、θ、・・・θを算出する。最適モード数が2である場合を例にして、この算出方法を説明する。具体的には、最適モード数が2の場合、クラスタC、Cに含まれるデータから、最小2乗法により、式(1)、(2)における未知パラメータθ、θを算出する。未知パラメータθ、θは、以下の式によって算出される。
Figure 0004798069
なお、上記の式において、N、Nはそれぞれ、クラスタC、Cに含まれる要素の個数を表す。
ステップS82で未知パラメータθ1、θ2が算出されると、その値を式(1)、(2)のARXモデルに導入することによって、モード1、モード2に対するエンジンのARXモデルが同定される(ステップS83)。
ステップS83においてエンジンの動作モデルが同定されると、次のステップS84において、クラスタC、C間、即ち各モード間の分離超平面を推定する作業を行う。このために、モード1とモード2を分割する回帰空間上の分離超平面を2次計画問題に帰着して計算する。具体的には、分離超平面がax(k)+b=0により与えられるとして、未知パラメータa、bを求めるため、次式の2次最適化問題を解けばよい。
Figure 0004798069
なお、クラスタC1、C2間の分離超平面を求めるステップS84は、エンジンのARXモデルを同定するステップS82の前でもよい。また、ステップS71からステップS84を一定時間毎に繰り返して行うことにより、システムモデルを定期的に更新するようにしてもよい。
図7および8のフローチャートに従ってシステムのPWARXモデルが同定されると、予測空燃比算出手段64(図6参照)において、燃料噴射量の入力データから予測空燃比を算出する作業を行う。以下に、図9の予測空燃比の算出手順を示すフローチャートに沿って、空燃比の予測手順を説明する。
図9のフローチャートにおいて、まず、ステップS91において、同定されたシステムモデルを取得する。次のステップS92において、出力予測用の入力データを取得する。入力データは、燃料噴射量のデータである。次のステップS93で、入力データを用いて回帰ベクトルの予測値を算出する。この算出は、入力データを、回帰ベクトルを算出するための式(3)に導入することによって行われる。
ステップS94で、入力データに基づいた回帰ベクトルの予測値
Figure 0004798069
から、入力データがモード1かモード2の何れのクラスタに属するかを判定する。今、図8のステップS84で決定したクラスタ間の分離超平面を規定する関数
x(k)+b=0に、回帰ベクトルの予測値
Figure 0004798069
を代入し、その結果にしたがって以下の通りに判定する。
Figure 0004798069
入力データがモード1のデータであると判定されれば(ステップS95)、ステップS96で、同定されたモード1のARX式(1)を用いて予測空燃比を算出する。入力データがモード2のデータであると判定されると(ステップS97)、ステップS98において、同定されたモード2のARX式(2)を用いて予測空燃比を算出する。これによって、精度の高い出力予測を実行することが可能となる。
以上に説明した実施形態では、エンジンを、触媒未暖機状態と触媒暖機状態とでモデルが切り替わるシステムとみなして、PWARXモデルを構築することにより、高精度で空燃比の出力データを予測することができるようにしたものである。一方、エンジンの動特性は、エンジンが過渡運転状態か定常運転状態かでも異なることが知られている。この場合は、エンジンを、過渡運転状態と定常運転状態とでモデルが切り替わるシステムとみなして、上記各実施形態と同様にPWARXモデルを同定することにより、高精度で空燃比の出力データを予測することが可能となる。そのためには、図6に示す空燃比制御装置において、エンジンのPWARXモデル構築手段61を、過渡運転状態に対応した複数のARXモデルと、定常運転状態に対応した複数のARXモデルを同定する構造とすることによって、対処することができる。
なお、特開2000−213395号公報に開示されている「空燃比制御装置」では、燃料輸送系のモデルの蒸発時定数またはそれに依存する物理量をシステム同定理論により演算し、その結果から燃料性状を判定している。過渡運転時から推定した燃料蒸発時定数を用いて定常運転時の燃料噴射量を決定したとき、最悪の場合、空燃比の意味で最適な燃料噴射量からかけ離れた噴射量を算出してしまい、結果として空燃比が所望の値に制御できない可能性がある。しかしながら、PWARXモデルとして、定常運転時と過渡運転時の間の変化を適切な数の段階の中間モデルで切り替わるシステムであるとみなすことにより、それぞれの状態の筒内吸入燃料量の推定精度が向上する。
本発明の一実施形態にかかる、時系列データの出力予測装置の概略構成を示すブロック図。 図1の装置における、システムのPWARXモデル同定装置の構成を示すブロック図。 図2に示す、システムのPWARXモデル同定装置の動作手順を示すフローチャート。 図1の装置における、出力データ予測装置の構成を示すブロック図。 図4に示す装置の動作手順を示すフローチャート。 本発明の一実施形態にかかる、空燃比制御装置の概略構成を示すブロック図。 図6の空燃比制御装置における、PWARXモデル同定手段の前半の動作手順を示すフローチャート。 図6の空燃比制御装置における、PWARXモデル同定手段の後半の動作手順を示すフローチャート。 図6の空燃比制御装置における、予測空燃比算出手段の動作手順を示すフローチャート。
符号の説明
1 PWARXモデル同定装置
2 出力データ予測装置
11 時系列データの入力手段
12 次元の設定手段
13 最適モード数の設定手段
14 各モードのシステムパラメータ設定手段
15 モード間境界情報生成手段
21 データ入力手段
22 入力データのモード決定手段
23 出力データ演算手段
131 モード数の探索範囲設定手段
132 ARXモデル設定手段
133 時系列データの統計的クラスタリング手段
134 情報量基準の算出手段
135 格納装置
136 最適モード数の決定手段

Claims (3)

  1. 燃料噴射量検出手段と、
    空燃比検出手段と、
    前記燃料噴射量検出手段および前記空燃比検出手段からの時系列データを、複数のモードに区分してエンジンの動特性を区分的ARXモデルで同定するエンジンモデル同定手段と、
    空燃比予測用の燃料噴射量を入力するための入力手段と、
    前記入力手段から入力された燃料噴射量を前記同定された区分的ARXモデルに入力して予測空燃比を算出する予測空燃比算出手段と、
    前記算出された予測空燃比を予め設定した目標空燃比と比較する比較手段と、
    前記比較手段における比較結果に基づいて、前記入力手段における燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段と、を備え
    前記エンジンモデル同定手段は最適モード数の探索および設定手段を備え、設定された最適モード数に基づいて前記時系列データを区分することを特徴とする、空燃比制御装置。
  2. 請求項に記載の空燃比制御装置において、前記燃料噴射量制御手段における制御は、前記予測空燃比と前記目標空燃比が一致するように前記入力手段における燃料噴射量を制御するものである、空燃比制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の空燃比制御装置において、前記最適モード数は、時系列データのクラスタリングにおける尤度関数に基づいて算出した情報量基準の値を最小とするモード数が選択されることを特徴とする、空燃比制御装置。
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