JP5033403B2 - 導電性成形体、電子部品および電気装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載のものは、ポリアニリンやポリピロールなどの負の温度抵抗特性の導電性ポリマを任意選択的に結合剤とともに含む負の温度抵抗係数の成分と、金属やカーボン、酸化物などの導電性粒子および非導電性結合剤を含む正の温度特性係数の成分とを有する抵抗体組成物で、2つの成分に起因する温度特性係数を平衡化し、最終的に実質的に中性となる抵抗体複合組成物である。
しかしながら、この特許文献1に記載のものでは、2つの成分の温度特性係数を平衡化して最終的に所定の抵抗体組成物を構築するので、例えば2つの成分の分布状態の制御など、所望とする所定の抵抗特性に形成することが煩雑であり、組成物間での特性のばらつきを生じるおそれもある。さらには、例えば圧力や温度などの外部因子により2つの成分が流動して偏るなど、長期的に安定した特性が得られなくなるおそれもある。
しかしながら、この特許文献2に記載のものでは、共役系有機半導体高分子と、無機粒子を架橋させた樹脂成分との分布状態の制御など、所望とする所定の抵抗特性に形成することが煩雑であり、素子間での特性のばらつきを生じるおそれもある。さらには、例えば圧力や温度などの外部因子により各成分が流動して偏るなど、長期的に安定した特性が得られなくなるおそれもある。
しかしながら、この特許文献3に記載のものでは、導電性充填材材料と複合材料との分布状態の制御など、所望とする所定の抵抗特性に形成することが煩雑であり、製品間での特性のばらつきを生じるおそれもある。さらには、複合材料のガスの発生による部分的に電極との物理的分離を生じさせる状態を製品間で同様の特性とすることが困難である。
しかしながら、この特許文献4に記載のものでは、表面処理の状態や導電性粒子をポリアニリンで被覆した粒子と結晶性高分子の結合剤との分布状態の制御など、所望とする所定の抵抗特性に形成することが煩雑であり、製品間での特性のばらつきを生じるおそれもある。さらには、例えば圧力や温度などの外部因子により各成分が流動して偏るなど、長期的に安定した特性が得られなくなるおそれもある。
この発明では、正の温度抵抗特性を示す有機導電性高分子成形体に対をなして無機導電性部材の電極を設けている。
このことにより、例えば有機導電性高分子成形体を形成する材料や厚さなどの形状や、電極との接触状態を適宜設定するなど、塗膜成形などの従来から確立した製法を利用して容易に所望とする温度抵抗特性に製造でき、電極間での組成の偏りなどを生じず、安定した特性が容易に得られる。
この発明では、電極との接触抵抗が負の温度抵抗特性を示す有機導電性高分子成形体を用いる。
このことにより、電極との接触状態により温度抵抗特性が異なるので、電極との接触状態を適宜設定、例えば積層状態や接触面積など、従来から確立した製法を利用して容易に所望とする温度抵抗特性に製造でき、安定した特性が容易に得られる。
さらに、本発明では、有機導電性高分子成形体を、厚さ寸法が100μm以下の薄膜としている。
このことにより、良好な負の温度抵抗特性が得られるとともに、薄膜として積層形成も容易で屈曲による損傷も抑制でき、各種用途に容易に利用でき、汎用性が向上する。さらには、透明性も得られ、各種用途への利用可能が拡大する。
ここで、厚さ寸法が100μmより厚くなると、電極間での良好な負の温度抵抗特性が得られなくなるおそれがあるとともに、例えば薄膜による特性が損なわれるおそれがある。このことにより、有機導電性高分子成形体の厚さ寸法を100μm以下に設定する。
この発明では、有機導電性高分子成形体として、有機溶剤または水に可溶なものを用いる。
このことにより、例えば塗膜形成など、成形体として薄膜なども容易にでき、製造性が向上する。
この発明では、電極と有機導電性高分子成形体との接触面積を、有機導電性高分子成形体1立方ミリメートル当たり0.1平方ミリメートル以上としている。
このことにより、電極と有機導電性高分子成形体との良好な接触抵抗が得られ、安定した温度抵抗特性が得られる。
ここで、接触面積が、有機導電性高分子成形体1立方ミリメートル当たり0.1平方ミリメートルより小さいと、電極間における温度抵抗特性に応じた良好な通電状態が得られなくなるおそれがある。したがって、接触面積を有機導電性高分子成形体1立方ミリメートル当たり0.1平方ミリメートル以上に設定する。
この発明では、有機導電性高分子成形体として、プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体、および、フェノール性水酸基を有する化合物を含む導電性ポリアニリン組成物を用いて形成している。
このことにより、良好な正の温度抵抗特性を示すポリアニリン系の組成物を用いるので、電極との積層により良好な負の温度抵抗特性を示し、例えば電極との接触面積を適宜設定するなどにより、所望とする負の温度抵抗特性を容易に設計でき、安定した特性が容易に得られる。さらには、例えば薄膜形成など各種成形方法が容易に適用でき、製造性が向上する。
そして、本発明では、前記フェノール性水酸基を有する化合物は、プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体に対して、0.01質量%以上1000質量%以下で添加された構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記フェノール性水酸基を有する化合物のモル数濃度は、前記プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体全体として、0.01mol/L
以上5mol/L以下であることが好ましい。
さらに、本発明では、前記プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体は、プロトネーションされる置換または未置換ポリアニリンの組成比が、この置換または未置換ポリアニリンをプロトネーションする有機プロトン酸またはその塩に対して、0.1以上2以下であることが好ましい。
また、本発明では、前記プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体は、置換または未置換ポリアニリンをプロトネーションする有機プロトン酸またはその塩が、前記置換または未置換ポリアニリンに対して0.05以上1以下のモル比率で混合されてプロトネーションされたことが好ましい。
この発明では、有機導電性高分子成形体と電極とを積層形成している。
このことにより、所定の温度抵抗特性を示す素子構成として、各種用途に容易に利用することができる。特に、薄膜積層形成させることで、小型化や各種回路基板への実装なども容易に図れ、さらには透明性が得られ、保護膜などとしての機能も付与させることができ、電極との良好な積層状態が得られ、汎用性が向上する。
この発明では、有機導電性高分子成形体と電極とを、交互に積層形成している。
このことにより、例えば回路構成として構築され、各種用途への利用が容易となるとともに、積層状態の設定により各種温度抵抗特性が発現され、汎用性が向上する。
この発明では、絶縁性基板の少なくとも一面上に、本発明の導電性成形体を積層形成している。
このことにより、電気機器などに所望の負の温度抵抗特性として利用することが容易となる。
この発明では、本発明の導電性成形体、または、本発明の電子部品を設けている。
このことにより、所望の負の温度抵抗特性に基づく所望の電気的特性が得られる。
図1は、電子部品の概略構成を示す断面図である。
図1において、100は電子部品で、この電子部品100は、いわゆるサーミスタなどのような負の温度抵抗特性を示す素子である。
この電子部品100は、絶縁性基板110と、一対の電極である電極層120と、有機導電性高分子成形体である有機導電性高分子層130と、を備えている。
電極層120は、無機導電性部材にて薄膜状に形成されている。この電極層120としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銀、白金、金などの金属、あるいは、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium zinc Oxide:商標)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンなどの無機酸化物などにて形成される。なお、組成としては、これらに限られるものではなく、各種無機導電性部材を利用できる。そして、電極層120は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法など、各種方法で形成することができる。なお、形成方法としては、これらに限られるものではない。そして、この電極層120は、図示しない端子に接続される引き出し線が設けられる。
この電極層120は、例えば1nm以上10μm以下、好ましくは10nm以上1μm以下に形成される。この範囲で形成することにより、無機導電層として高い導電性や高い透明性などが得られ、例えば透明電極として形成でき、利用分野の拡大が得られる。
有機導電性高分子としては、例えば固有伝導度として、0.1S/cm以上、特に好ましくは0.1S/cm以上500S/cm以下のものが好ましい。ここで、固有伝導度が0.1S/cmより小さくなると、電子部品100全体の抵抗値が上がるという不都合が生じるおそれがある。このため、固有伝導度が0.1S/cm以上、特に好ましくは0.1S/cm以上500S/cm以下の有機導電性高分子層130を用いる。
そして、有機導電性高分子として、例えば溶剤や水などの溶媒に可溶なポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテンまたはポリエチレンジオキシチオフェンの誘導体などが利用できる。特に、化1の化学式で示される溶剤可溶性ポリピロール、化2の化学式で示されるポリピロール、化3の化学式で示されるポリアニリン、化4の化学式で示されるポリチオフェン、化5の化学式で示されるポリイソチアナフテン、化6の化学式で示されるポリエチレンジオキシチオフェンが利用できる。特に好ましくは、以下に示す導電性ポリアニリンが利用できる。
導電性ポリアニリンとしては、プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体(以下、ポリアニリン複合体と称す)、および、フェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール類化合物と称す)を含む有機溶剤に可能な導電性ポリアニリン組成物が好ましい。
プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体であるポリアニリン複合体は、有機プロトン酸またはその塩の存在下で、置換または未置換アニリンを化学酸化重合させて得られる。
置換または未置換ポリアニリンの重量平均分子量は、10000g/mol以上の高分子量体であることが好ましい。このことにより、導電性ポリアニリン組成物から得られる有機導電性高分子層130の強度や延伸性を向上できる。重量平均分子量の上限値は特に限られるものではなく、重量平均分子量が数百万g/mol程度のポリアニリンも製造できる。なお、溶解性の観点からは、重量平均分子量が1千万g/mol程度以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミェションクロマトグラフィ(GPC)により測定したものである。
M(XARn)m …(I)
M:水素原子または有機若しくは無機遊離基
X:酸性基
A:置換基を含んでもよい炭化水素基
R:それぞれ独立して、−R1、−OR1、−COR1、−COOR1、−CO(COR1)、−CO(COOR1)
(R1は、炭素数が4以上の置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、または−(R2O)x−R3基、−(OSiR32)x−OR3基である(R2はアルキレン基、R3はそれぞれ同一でも異なってもよい炭化水素基、xは1以上の整数)
n:2以上の整数
m:Mの価数
Xは、酸性基で、例えば、−SO3 -基、−PO3 2-基、−PO4(OH)-基、−OPO3 2-基、−OPO2(OH)-基、−COO-基などが挙げられる。これらの内、酸性度が高く、ドープし易い点で、−SO3 -基が好ましい。
Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基で、例えばRnで置換されている、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキルやアルケニル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、メンチルなどの置換基を含んでいてもよいシクロアルキル基;ビシクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの縮合していてもよいジシクロアルキル基もしくはポリシクロアルキル基;フェニル、トシル、チオフェニル、ピローリニル、ピリジニル、フラニルなどの置換基を含んでいてもよい芳香環を含むアリール基;ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インダニル、キノリニル、インドニルなどの縮合していてもよいジアリール基もしくはポリアリール基;アルキルアリール基などが挙げられる。
Rは、それぞれ独立して、−R1、−OR1、−COR1、−COOR1、−CO(COR1)、−CO(COOR1)である。ここで、R1は、炭素数が4以上の置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、または−(R2O)x−R3基、−(OSiR32)x−OR3基(R2はアルキレン基、R3はそれぞれ同一でも異なってもよい炭化水素基、xは1以上の整数)である。R1が炭化水素基である場合、例えば、直鎖もしくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基などが挙げられる。
nは2以上の整数であり、mはMの価数である。
M(XCR4(CR5COOR6)COOR7)p …(II)
Mは、上記化学式(I)と同様に、水素原子または有機もしくは無機遊離基である。
Xは、上記化学式(I)と同様に、酸性基である。
R4およびR5は、それぞれ独立した水素原子、炭化水素基またはR83Si-−基(R8は、炭化水素基で、3つのR8は同一または異なっていてもよい)である。そして、R4およびR5が炭化水素基である場合、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基などが挙げられる。これらの内、有機溶剤に溶解し易いポリアニリン複合体を得るという観点からは、炭素数が4以上のものが好ましい。なお、R8は、R4およびR5の場合と同様である。
R6およびR7は、それぞれ独立して炭化水素基または−(R9O)q−R10基(R9は炭化水素基またはシリレン基、R10は水素原子、炭化水素基またはR113Si-−基(R11は炭化水素基で、3つのR11は同一または異なっていてもよい)、qは1以上の整数)である。そして、R6およびR7が炭化水素基である場合、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4以上の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基などが挙げられ、例えば直鎖または分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
R6およびR7におけるR9が炭化水素基である場合、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基などが挙げられる。また、R6およびR7におけるR10およびR11が炭化水素基である場合、R4およびR5の場合と同様であり、qは1〜10が好ましい。
pは、上記Mの価数である。
M(O3SCH(CH2COOR12)COOR13)m …(III)
Mおよびmは、上記化学式(I)と同様である。
R12およびR13は、それぞれ独立して炭化水素基または−(R14O)r−R15基(R14は炭化水素基またはシリレン基、R15は水素原子、炭化水素基またはR163Si-−基(R16は炭化水素基で、3つのR16は同一または異なっていてもよい)、rは1以上の整数)である。そして、R12およびR13が炭化水素基である場合、R6およびR7と同様である。
R12およびR13におけるR14が炭化水素基である場合、上記R9と同様である。また、R12およびR13におけるR15およびR16が炭化水素基である場合、上記R4およひR5と同様である。
R12およびR13が−(R14O)r−R15基である場合、具体例としては、R6およびR7における−(R9O)q−R10基と同様である。
なお、rは、1〜10であることが好ましい。
なお、有機プロトン酸(I)またはその塩は、導電性ポリアニリン組成物中では、陰イオンとして存在しているものと考えられる。
ここで、モル比で0.1より有機プロトン酸(I)またはその塩の割合が少なくなると、電気伝導率が高くならなくなるおそれがある。一方、モル比で2より有機プロトン酸(I)またはその塩の割合が多くなると、成形品の電気特性を支配するポリアニリンの割合が少なくなり、電気伝導率が低下するおそれがある。このことから、(ポリアニリンのモノマーユニット)/(有機プロトン酸(I)またはその塩)のモル比を、通常0.1以上2以下、好ましくは0.1以上0.7以下に設定する。
また、有機プロトン酸(I)の分子量により重量組成比は変化するが、ポリアニリン複合体中に、置換または未置換ポリアニリンが20質量%以上70質量%以下に調製することが好ましい。このことにより、良好な電気伝導性が得られる。
また、市販品として、例えば、エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム;和光純薬工業社製)、リパール87OP(ライオン株式会社製)などを用いてもよい。なお、市販品を用いる場合、純度に応じて適宜選択して利用すればよい。
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの炭化水素系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの含ハロゲン系溶剤;酢酸エチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。これらの内、溶解性に優れる点でトルエン、キシレン、クロロホルム、トリクロロエタン、酢酸エチルなどが好ましい。
化学酸化重合法に用いる溶媒としては、一般に、酸性水溶液や、親水性有機溶剤と酸性水溶液との混合溶媒が用いられる。そして、ポリアニリン複合体の調製においては、実質的に水と混和しない上述した有機溶剤、または水不混和性有機溶剤と酸性水溶液との混合溶媒系を利用することもできる。このような混合溶媒系を用いることで、後述するように、ポリアニリン複合体の回収が容易であることから好ましい。
水不混和性有機溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの炭化水素系溶剤;塩化メチレンクロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの含ハロゲン系溶剤;酢酸エチルなどのエステル系溶剤などが挙げられ、ポリアニリンの溶解性に優れたトルエン、キシレンが好ましい。
なお、水不混和性有機溶剤と酸性水溶液との混合溶媒を使用し、有機プロトン酸(I)またはその塩の存在下でポリアニリン複合体を製造する場合、有機プロトン酸(I)またはその塩は界面活性剤としても機能する。
そして、(有機プロトン酸(I)またはその塩)/(重合されるアニリンまたは置換アニリン)の仕込みモル比率は、通常0.05以上1以下、好ましくは0.1以上0.5以下の範囲である。ここで、有機プロトン酸(I)またはその塩のモル比率が0.05より小さくなると、重合の進行が遅くなり、電気伝導率の高い有機導電性高分子層130が得られなくなるおそれがある。一方、有機プロトン酸(I)またはその塩のモル比率が1より大きくなると、重合後に水相との分離が困難により、電気伝導率の高い有機導電性高分子層130が得られなくなるおそれがある。このことにより、(有機プロトン酸(I)またはその塩)/(重合されるアニリンまたは置換アニリン)の仕込みモル比率を、通常0.05以上1以下、好ましくは0.1以上0.5以下に設定する。
また、水不混和性有機溶剤と酸性水溶液との混合溶媒を使用した場合には、未反応の開始剤が水不混和性有機溶剤の相に混入するのを防止するため、水溶性の開始剤を使用することが好ましい。
好ましい開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどが挙げられ、特に過硫酸アンモニウムが好ましい。
ここで、30℃を超える温度下で重合させると、副反応が進行するおそれがある。このことにより、−20℃以上30℃以下の範囲、好ましくは5℃以下の温度下で重合させる。
この酸性水溶液中で化学酸化重合させる方法では、ポリアニリンまたはポリアニリン複合体は水溶液から析出する状態で得られる。このことにより、未反応のアニリンモノマやオリゴマ、その他の重合開始剤などの不純物を多く含むことになる。したがって、析出したポリアニリンまたはポリアニリン複合体を、アンモニアやヒドラジンなどの塩基で還元し、エメラルディン塩基状態として精製する必要がある。
さらに、化学酸化重合以外の方法では、一般的な電解重合法なども利用できる。
このフェノール性水酸基を有する化合物は、溶媒ではなく、ドーパントとして存在し、高い電気伝導率を発現させる。
この導電性ポリアニリン組成物におけるフェノール性水酸基を有する化合物の添加量は、プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリンに対して、通常0.01質量%以上1000質量%以下、好ましくは0.5質量%以上500質量%以下の範囲である。ここで、添加量が0.01質量%未満では、固有伝導度が十分に上がらないという不都合が生じるおそれがある。一方、1000質量%より多くなると、製膜時に過剰分のフェノール性化合物を除去するのに、多大なエネルギーが必要となるという不都合が生じる。このことから、特に優れた導電性が得られる0.01質量%以上1000質量%以下、好ましくは0.5質量%以上500質量%以下の範囲で、フェノール性水酸基を有する化合物が添加される。
また、導電性ポリアニリン組成物全体としては、フェノール性水酸基を有する化合物のモル数濃度が、0.01mol/L以上5mol/L以下の範囲が好ましい。ここで、0.01mol/Lより少なくなると、電気伝導率の改善効果が得られなくなるおそれがある。一方、5mol/Lより多くなると、導電性ポリアニリン組成物の均一性が損なわれたり、揮発成分を除去する際に多大な熱や時間などの労力を必要とし、透明性や電気特性が損なわれるなどの不都合を生じるおそれがある。このことにより、フェノール性水酸基を有する化合物を0.01mol/L以上5mol/L以下のモル数濃度に設定することが好ましい。
なお、ポリアニリン複合体を水不混和性有機溶剤中で化学酸化重合によって調製した場合、得られたポリアニリン複合体羽根重合に用いた水不混和性有機溶剤に溶解したままの状態で、フェノール類化合物を添加してもよいし、水不混和性有機溶剤に溶解しているポリアニリン複合体から水不混和性有機溶剤を除去して固体状のポリアニリン複合体とした後、再び水不混和性有機溶剤に溶解してフェノール類化合物を添加しても良い。この場合、重合に用いる水不混和性有機溶剤と、再度溶解するために用いる水不混和性有機溶剤は同一または異なっていてもよい。
ここで、ポリアニリン複合体の含有量が900g/Lより多くなると、溶液状態が保持できなくなり、有機導電性高分子層130を形成させる際の取り扱いが困難となり、有機導電性高分子層130の均一性が損なわれ、電気特性や機械的強度、透明性が低下するなどの不都合を生じるおそれがある。一方、ポリアニリン複合体の含有量が0.01g/Lより少なくなると、後述する方法により成膜した際、非常に薄い膜しか得られず、均一な有機導電性高分子層130が得られなくなるおそれがある。このため、ポリアニリン複合体の含有量を900g/L以下、好ましくは0.01g/L以上300g/L以下に設定する。
他の樹脂材料としては、例えば、バインダ基材や可塑剤、マトリックス基材などの目的で添加され、バインダ樹脂と硬化性樹脂モノマとのうちの少なくともいずれか一方が例示できる。
バインダ樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
硬化性樹脂モノマとしては、例えば、アクリル酸およびアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシルなどのアクリル酸エステル類、エポキシ類、フェノール類、イミド類などが挙げられる。この硬化性樹脂モノマは、熱、紫外線、電子線など、各種方法により硬化されることができる。
そして、導電性ポリアニリン組成物が他の樹脂材料を含む場合、導電性ポリアニリン組成物は導電性複合材料となる。
無機材料としては、例えば、強度、表面硬度、寸法安定性その他の機械的物性の向上などの目的で添加される。例えば、二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
硬化剤としては、例えば、強度、表面硬度、寸法安定性その他の機械的物性の向上などの目的で添加される。例えば、フェノール樹脂などの熱硬化剤、アクリレート系モノマと光重合性開始剤による光硬化剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、引張強度や曲げ強度などの機械的特性の向上などの目的で添加される。例えば、フタル酸エステル類やリン酸エステル類などが挙げられる。
有機溶剤の除去では、加熱して有機溶剤を揮発すればよい。この揮発させる方法としては、例えば、空気気流下で250℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下の温度で加熱、必要に応じて減圧下で、加熱すればよい。なお、加熱温度や加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜設定すればよい。
なお、上記有機導電性高分子組成物を含む溶液や上記液状の組成物を塗布する方法としては、キャスト法、スプレー法、ディップコート法、ドクターブレード法、バーコード法、スピンコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法など、各種方法を利用することができる。
ここで、有機導電性高分子層130の1立方ミリメートル当たりで、接触面積が0.1平方ミリメートルより小さいと、電極層120間における温度抵抗特性に応じた良好な通電状態が得られなくなるおそれがある。このため、有機導電性高分子層130の1立方ミリメートル当たりで、接触面積を0.1平方ミリメートル以上に設定する。
〔電気特性認識装置の構成〕
図2は、本発明に係る電気特性認識装置の概略構成を示す回路図である。
そして、電気特性認識装置10は、第一電流検出手段20と、第二電流検出手段30と、を備えている。第一電流検出手段20は、一対の電極層120に接続され、電極層120間に所定の電圧値の電圧を印加する第一電源部E1と、電子部品100に流れる電流i1を検出する図示しない第一電流計と、を備えている。すなわち、第一電流検出手段20の第一電流計は、有機導電性高分子層130と電極層120との接触抵抗R1、R2と、電極層120間の有機導電性高分子層130自体の抵抗Rp1、Rp2、Rp3との直列回路に流れる電流i1を読み取る。
第二電流検出手段30は、電子部品100における電極層120間に位置して一対設けられた中間電極125に接続され、中間電極125間に所定の電圧値E2の電圧を印加する図示しない第二電源部と、中間電極125間の有機導電性高分子層130に流れる電流i2を検出する第二電流計31および第二電流計31に大電流が流れて損傷することを防止する抵抗値が既知の極めて大きい保護抵抗Reの直列回路と、を備えている。すなわち、第二電流検出手段30の第二電流計31は、有機導電性高分子層130と電極層120との接触抵抗R3、R4と、中間電極125間の有機導電性高分子層130自体の抵抗Rp2と、保護抵抗Reとの直列回路に流れる電流i2を読み取る。なお、中間電極125としては、あらかじめ電子部品100に設けられたものを用いてもよく、また電気特性の検出のために圧着や塗布などにより電子部品100に適宜設けてもよい。
抵抗値検出処理では、演算部は、電子部品100に関する電気特性である抵抗値を検出する。具体的には、演算部は、第一電流検出手段20および第二電流検出手段30でそれぞれ印加した電圧の電圧値および検出した電流値に基づいて電子部品100の抵抗値となる電極層120間の抵抗値および中間電極125間の抵抗値をそれぞれ算出し、有機導電性高分子層130自体の抵抗値を演算する。すなわち、演算部は、第一電流検出手段20の電圧値および電流値に基づいて、E=I×Rの演算式により、接触抵抗R1、R2および抵抗Rp1、Rp2、Rp3の直列回路の総抵抗値である電子部品100の抵抗値を演算する。また、保護抵抗Reの抵抗値が極めて大きいことから、電極層120間に電圧を印加した場合、電流は接触抵抗R3、R4と保護抵抗Reおよび第二電流計31の直列回路との直列回路にはほとんど流れず、抵抗Rp2に流れる。一方、中間電極125間に電圧を印加した場合、電流は保護抵抗Reおよび第二電流計31の直列回路にはほとんど流れず、接触抵抗R3、R4および抵抗Rp2の直列回路に流れる。このことにより、演算部は、電圧値および電流値に基づいて、同様に、有機導電性高分子層130自体の抵抗となる抵抗Rp1、Rp2、Rp3の総抵抗値を演算する。
次に、上記電子部品100の作用について、各種実験の実施により確認した電子部品100の特性を、図面を参照して説明する。
まず、電子部品100の有機導電性高分子層130を構成する導電性ポリアニリン複合体を、以下の方法で調製した。
和光純薬工業社製エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム、純度75%以上)144gをトルエン4Lに攪拌溶解し、得られた溶液を窒素気流下においた30Lのガラス反応器(機械式攪拌器、ジャケット、温度計、滴下ロート付)に入れ、さらに原料アニリン150gを加え、攪拌溶解した。
そして、冷媒によりガラス反応器内の溶液を攪拌冷却し、1N塩酸12Lを添加した。
次に、溶液温度が−3℃に冷却された状態で、214gの過硫酸アンモニウムを1N塩酸4Lに溶解した溶液を滴下ロートで滴下し、3時間10分で完了した。滴下開始から18時間30分の間、溶液温度を0℃±1℃に保持して攪拌した。この後、トルエン8Lを加え、溶液温度を19℃に上昇させ、静置した。
この静置により、二相に分離した水相(下相)をガラス反応器の下部から抜き出し、粗ポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
この得られた粗ポリアニリン複合体トルエン溶液に、イオン交換水4Lを加えて攪拌した後に静置し、水相を分離し、洗浄した。この操作を再度実施した後、1N塩酸水溶液4Lで同様に洗浄し、静置後、酸性水溶液を分離して、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。
このポリアニリン複合体のトルエン溶液に含まれる若干の不溶物を、#5Cの濾紙により除去し、エバポレータに移して60℃の湯浴で加温し、減圧して揮発分を蒸発留去し、208gのポリアニリン複合体を得た。この得られたポリアニリン複合体は、元素分析により、炭素61質量%、水素8.20質量%、窒素3.90質量%、硫黄5.50質量%、塩素0.12質量%であった。また、アニリン原料に基づく窒素質量%とスルホコハク酸エステルに基づく硫黄質量%の比率から、得られたポリアニリン複合体中のアニリンモノマーユニット/スルホコハク酸エステルのモル分率は、0.62であった。
さらに、得られたポリアニリン複合体1gを18mlのトルエンに再度溶解し、均一な導電性ポリアニリン複合体溶液を調製し、さらにm−クレゾール2mlを添加し、導電性ポリアニリン組成物を得た。
そして、このように調製した導電性ポリアニリン組成物の溶液を、4つの端子を有する櫛形電極(基板:FR4、厚さ寸法550μm、電解銅箔、厚さ寸法36μm)上に塗布し、80℃で1時間乾燥して導電性ポリアニリン層を形成し、電子部品の実験用試料を作製した。
次に、実験用試料の温度抵抗特性を測定した。
温度抵抗特性の測定としては、上記作製した実験用試料の4つの端子のうち、相対する2つの端子間に、北斗電工株式会社製ポテンシオ/ガルバノスタット計(HA−50/G)を用いて、1.5Vの電圧を印加し、電流値を読み取ることで抵抗値を測定した。この後、実験用試料をホットプレート上で25℃に保持し、初期抵抗を測定した。さらに、ホットプレートを所定の温度に上昇させ、所定の温度での抵抗を測定した。また、一連の温度上昇の後、再び同様の操作を繰り返して、サイクル特性を確認した。その結果を表1、図3ないし図5に示す。
また、良好な繰り返し性を有することが認められた。
さらに、製品間でのばらつきはほとんど認められなかった。
次に、上述したように作製した実験用試料において、2端子法および4端子法により、導電性ポリアニリン層の温度抵抗特性を確認した。すなわち、上記電気特性認識装置10を用いて電気特性である温度抵抗特性を確認した。
この4端子法における測定状況の回路構成である電気特性認識装置10は、図2に示す。
そして、この抵抗値の測定として、10μAの低電流にて電圧値を測定し、室温とホットプレート上での80℃の加熱状態を繰り返して、温度と抵抗値との関係を測定した。
この結果を図6および図7に示す。
一方、図7に示す4端子法で測定した温度係数に関する結果では、正の温度係数であることが認められた。
すなわち、素子構成での抵抗値となる2端子法での測定では、導電性ポリアニリン層自体の抵抗Rp1〜Rp3より端子との接触抵抗となるR1,R2が極めて大きいため、接触抵抗のR1,R2におけるNTC特性が観測され、4端子法では電流計の抵抗値が極めて大きい保護抵抗Reにより、保護抵抗Reには極めて微量な電流i2しか流れないので、この微量な電流i2を測定することで、導電性ポリアニリン層自体の抵抗Rp1〜Rp3の温度抵抗特性を測定できる。したがって、図7に示す結果から、導電性ポリアニリン層自体は、正の温度抵抗特性(PTC特性:Positive Temperature Coefficient)であることが分かる。
なお、図6および図7に置いて、室温(rt)では抵抗値が変化しているが、これは実験用試料が次第に冷却することによるものと考えられる。
次に、上述したように作製した実験用試料において、4端子法で定電圧源として1.5Vの条件で電流値を測定し、室温放置と、ホットプレート上での加熱とを繰り返した際の温度と抵抗値との関係を測定した。その結果を図8ないし図10に示す。
なお、図8は、上述したように作製した実験用試料を用いて実験した結果である。図9は、図8で用いた実験用試料にて2回目の実験をした結果である。図10は、導電性ポリアニリン層をスピンコート法にて形成して実験用試料を作製し、室温放置と、ホットプレート上で135℃の加熱とを繰り返し、4端子法で10μAの定電流にて電圧値を測定した結果である。
そして、上述した素子構成の温度抵抗特性の実験では、良好な繰り返し性を示したが、1回目の実験の図8および2回目の実験の図9に示す結果から、加熱処理の繰り返し回数が多くなるに従って抵抗値が増大することが認められた。また、図10に示すように、別の実験用試料でも、同様に加熱処理の繰り返し回数が多くなるに従って抵抗値が増大することが認められた。
これは、接触界面の状態が温度履歴により変化したためと考えられる。
このように、加熱処理により抵抗値が増大することから、抵抗値を測定することで、加熱処理された頻度を認識することができることがわかる。すなわち、電子部品100は、メモリとして機能させることができることがわかる。
上述したように、上記実施の形態では、正の温度抵抗特性を示す有機導電性高分子層130に対をなして無機導電性部材の電極層120を設けている。
このため、例えば有機導電性高分子層130を形成する材料や厚さなどの形状や、電極層120との接触状態を適宜設定するなど、塗膜成形などの従来から確立した製法を利用して容易に所望とする温度抵抗特性に製造でき、電極層120間での組成の偏りなどを生じず、安定した特性が容易に得られるとともに、電子部品100間での特性のばらつきも生じず、安定した信頼性の高い素子を提供できる。
特に、電極との接触状態により温度抵抗特性が異なるので、電極との接触状態を適宜設定、例えば積層状態や接触面積などを従来の製法により設定すればよく、安定した特性が容易に得られる。
このため、例えば塗膜形成など、薄膜の有機導電性高分子層130も容易に形成でき、製造性を向上できるとともに、利用分野や用途を容易に拡大できる。
このため、電極層120と有機導電性高分子層130との良好な接触抵抗が得られ、安定した温度抵抗特性が得られる。
このため、電極層120との積層により良好な負の温度抵抗特性を示し、例えば電極層120との接触面積を適宜設定するなどにより、所望とする負の温度抵抗特性を容易に設計でき、安定した特性が容易に得られる。さらには、例えば薄膜形成など各種成形方法も容易に適用でき、製造が容易で、安定した特性で容易に形成できる。
このため、所定の温度抵抗特性を示す素子構成として、各種用途に容易に利用することができる。特に、薄膜積層形成させることで、小型化や各種回路基板への実装なども容易に図れ、さらには透明性が得られ、保護膜などとしての機能も付与させることができ、電極層120との良好な積層状態が得られ、汎用性を向上できる。
特に、有機導電性高分子層130の厚さ寸法を100μm以下とする。このことにより、良好な負の温度抵抗特性が得られるとともに、薄膜として積層形成も容易で屈曲による損傷も抑制でき、各種用途に容易に利用でき、さらには、透明性も得られ、各種用途への利用を容易に拡大できる。
そして、積層構造として、例えば図11および図12に示すように、有機導電性高分子層130自体を基板として電極層120を適宜設けることで、別途積層構造を設けるための基板が必要なく、より薄膜小型化ができる。
このため、電子部品100自体の抵抗値とともに、電極層120および中間電極125と有機導電性高分子層130との間で生じる接触抵抗R1〜R4の影響を相殺して、有機導電性高分子層130自体の抵抗値が認識できる。したがって、例えば電極層120と有機導電性高分子層130との接触面積を適宜設定するなど、所定の電気特性の電子部品100を容易に設計でき、各種電気特性の電子部品100を容易に製造できる。
このため、電子部品100の温度抵抗特性を適切に認識できる。したがって、所定の温度抵抗特性の電子部品100を容易に設計できる。
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
また、直列状のみならず、並列状に接続(積層)させる構成、さらには直列回路および並列回路の双方が存在する接続(積層)構造としてもよい。
そして、図16および図17に示すように、接触面積が所望の電気特性となるように異ならしめてもよい。
これらのように、複数の素子構成とすることで、例えばトランジスタなどの他の構成などと一体の薄膜回路構成を構築することが容易にでき、集積回路などの回路構成のさらなる小型化も容易に図れる。
そして、薄膜積層させる際、有機導電性高分子層130を電極層120上に例えば所定のパターンで形成し、酸などにて電極層120をエッチングしてパターン化させるなど、レジスト材のように利用することもできる。
さらに、絶縁性基板110を備えた素子構成を例示したが、上述したように、絶縁性基板110を用いず、有機導電性高分子層130自体を基板としても機能させて素子構成を構築してもよい。
また、電気特性認識装置10は、抵抗値検出処理と整流特性検出処理との双方を実施する構成で説明したが、例えばいずれか一方のみ実施する構成としてもよい。
そして、第一電流検出手段20として、第一電源部E1と、第一電流計とを備えた構成を例示したが、第一電源部E1を備えず、別体の電圧印加部を用いてもよい。
同様に、第二電流検出手段30についても、第二電源部を別体構成とすることができる。
20……第一電流検出手段
30……第二電流検出手段
100……導電性成形体である電子部品
110……絶縁性基板
120……電極である電極層
130……有機導電性高分子成形体である有機導電性高分子層
Claims (9)
- 対をなして設けられた無機導電性部材の電極と、
これら電極間に渡って前記電極に積層形成された正の温度抵抗特性を示す有機導電性高分子成形体と、を具備し、
前記有機導電性高分子成形体は、プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体、および、フェノール性水酸基を有する化合物を含む導電性ポリアニリン組成物にて、厚さ寸法が100μm以下の薄膜に形成されることで、前記電極との接触抵抗が負の温度抵抗特性を示すものである
ことを特徴とした導電性成形体。 - 請求項1に記載の導電性成形体であって、
前記電極および前記有機導電性高分子成形体の接触面積は、前記有機導電性高分子成形体1立方ミリメートル当たり0.1平方ミリメートル以上である
ことを特徴とした導電性成形体。 - 請求項1または請求項2に記載の導電性成形体であって、
前記フェノール性水酸基を有する化合物は、プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体に対して、0.01質量%以上1000質量%以下で添加された
ことを特徴とした導電性成形体。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性成形体であって、
前記フェノール性水酸基を有する化合物のモル数濃度は、前記プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体全体として、0.01mol/L以上5mol/L以下である
ことを特徴とした導電性成形体。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電性成形体であって、
前記プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体は、プロトネーションされる置換または未置換ポリアニリンの組成比が、この置換または未置換ポリアニリンをプロトネーションする有機プロトン酸またはその塩に対して、0.1以上2以下である
ことを特徴とした導電性成形体。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の導電性成形体であって、
前記プロトネーションされた置換または未置換ポリアニリン複合体は、置換または未置換ポリアニリンをプロトネーションする有機プロトン酸またはその塩が、前記置換または未置換ポリアニリンに対して0.05以上1以下のモル比率で混合されてプロトネーションされた
ことを特徴とした導電性成形体。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導電性成形体であって、
前記有機導電性高分子成形体および前記電極は、交互に積層形成された
ことを特徴とした導電性成形体。 - 絶縁性基板と、
この絶縁性基板の少なくとも一面上に積層形成された請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電性成形体と、
を具備したことを特徴とした電子部品。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電性成形体、または、請求項8に記載の電子部品を備えた
ことを特徴とした電気装置。
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