JP5033361B2 - ドライエッチング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ドライエッチング方法に関し、特に、半導体や電子部品等の製造工程に用いられるドライエッチング方法に関する。
従来から、半導体や電子部品等の製造工程において、異方性エッチングが利用されている。しかるに、例えば、エッチングガスとしてフッ素原子含有ガスを用い、横方向への広がりを抑えて、できるだけ垂直な側面をもって深さ方向へ深く延びる孔や溝をシリコン基板等に形成する場合、基板を極めて低温まで(例えば、−140℃程度まで)冷却しなければ、異方性エッチング形状が得られないことが知られている。しかし、冷却手段を設けなければならないため、装置のコストが高くなるという問題がある。
そのため、フッ素原子含有ガスを用いてシリコン基板をエッチングする場合、冷却手段を設けて低温まで冷却することなく、異方性エッチング形状を得るために、孔等の側壁にエッチング保護膜を形成して、等方性エッチングを抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、エッチングガスとしてのSFガス及びパッシベートガスとしてのCHFやC等からなる混合ガスを処理チャンバーへ導入し、このガスを電磁放射で励起させると同時に、基板に高いバイアス電圧を印加して異方性エッチングを行う工程と、この電磁放射での混合ガスの励起によりプラズマ中に不飽和モノマーを生成させると同時に、基板に低バイアス電圧を印加してエッチングすべき表面の露出した側壁上に保護ポリマー膜を形成する重合工程とを交互に繰り返すことで等方性エッチングを抑制している。
この特許文献1に記載されたような技術では、基板に印加されるバイアス電圧をエッチング工程と保護ポリマー膜形成のための重合工程とで変えることが必要であり、制御系が複雑になる上、装置のコストが高くなるという問題がある。また、重合工程において、パーティクルが発生するという問題もある。さらに、重合工程では、高エネルギーが必要であり、エネルギーコストも高くなるという問題もある。
特許文献1におけるようにパッシベートガスを使用する場合、成膜の際に消費されなかったガスは真空チャンバー内から排気される。このガスは、環境を汚染するため、排気されたガスを回収及び無害化処理することが必要となる。この処理にも莫大なコストと時間がかかり、プロセスコストの上昇につながる。
また、異方性エッチング形状を得る方法として、HBrガスを用いる方法も知られているが、この方法では対マスク選択比が低く、アスペクト比の高い孔等を形成するのには適さない。
さらに、化合物材料膜の微細エッチングを、エッチングガスとしてハロゲン系ガス、特に塩素系ガスを用いて行う場合があるが、化合物膜の対レジスト選択比を向上させることは技術的に困難である。そのため、このエッチングガスにSiClガスを添加して気相中にシリコンを導入し、化合物膜の対レジスト選択比を向上させようとすることが考えられるけれども、SiClガス自体が塩素生成源になることから、雰囲気中に塩素量が増大し、特にArFレジストや電子線レジスト等の脆弱レジストをマスクとして用いて行う微細エッチングにおいては、レジストダメージの側面から問題がある。
ドライエッチングを実施するために使用されている従来技術の一つである磁気中性線放電エッチング装置の概略の構成を図1に模式的に示す(例えば、特許文献2参照)。このエッチング装置は、真空チャンバー1を有し、その上部は誘電体円筒状壁により形成されたプラズマ発生部2であり、下部は基板電極部3である。プラズマ発生部2の壁(誘電体側壁)の外側に設けられた三つの磁場コイル4、5及び6によって、プラズマ発生部2内に環状磁気中性線7が形成される。磁場コイル4、5及び6と誘電体側壁の外側との間には、プラズマ発生用高周波アンテナコイル8が配置され、この高周波アンテナコイル8は、高周波電源9に接続され、磁場コイルによって形成された磁気中性線7に沿って交番電場を加えてこの磁気中性線に放電プラズマを発生するように構成されている。
磁気中性線7の作る面と平行して下部の基板電極部3内には基板電極10が絶縁体部材11を介して設けられている。この基板電極10は、ブロッキングコンデンサー12を介して高周波バイアス電力を印加する高周波電源13に接続され、ブロッキングコンデンサー12によって電位的に浮遊電極になっており、負のバイアス電位となる。また、プラズマ発生部2の天板14は誘電体側壁の上部フランジに密封固着され、対向電極を形成している。天板14にはプラズマ発生部2側の面に、真空チャンバー1内ヘエツチングガスを導入するガス導入口を有するシャワープレートが設けられ、このガス導入口は、図示していないが、ガス供給路及びエッチングガスの流量を制御するガス流量制御装置を介してエッチングガス供給源に接続されている。基板電極部3には排気口15が設けられている。
図1に示すエッチング装置を用いて、ハロゲン系エッチングガスで微細な構造を持つレジストパターンのエッチングを行うと、長時間のエッチングにより天板部分壁面に付着した膜の剥離が起こり、ダストが発生するという不都合が生じると共に、対レジスト選択比が劣り、レジストダメージが生じる。この場合、通常のエッチングでは、プラズマ中にエッチングに必要な励起活性種(イオンやラジカル等)の量以上の過剰量の励起活性種が生成されてしまうことに問題があるものと考えられる。
特開2000−323454号公報(特許請求の範囲等) 特開平7−263192号公報(特許請求の範囲等)
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、化合物膜の対レジスト選択比を向上せしめると共に、レジストダメージを低減させることができるドライエッチング方法を提供することにある。
本発明のドライエッチング方法は、真空チャンバー内に被処理基板を配置し、この真空チャンバー内にエッチングガスを導入してプラズマを発生させ、この被処理基板上のレジストマスクで覆われた化合物膜をエッチングして又は溝を形成するドライエッチング方法において、前記エッチングガスとして、Cl 、BCl 、HCl、HCl 及びHBrから選択された少なくとも1種のハロゲンガス又はハロゲン化物ガスと希釈ガスとの混合ガスを用い、この希釈ガスの流量割合をエッチングガス全流量基準で40〜90%の範囲内とし、被処理基板に対向配置される対向電極の被処理基板との対向面側に設けられシリコンプレートに、又は被処理基板に対向配置された対向電極であるシリコンプレートに静電容量値が25pF〜50pFに設定された可変コンデンサーを介して高周波電源から電圧を印加し、プラズマ中の活性種の一部を前記シリコンプレート表面のシリコン原子と反応させて消費させながらエッチングを行うことを特徴とする。
このように、シリコンプレート表面におけるSiと励起活性種との反応により、プラズマ中に過剰に生成した励起活性種の一部を消費することができるので、化合物膜エッチングレートのレジストエッチングレートに対する選択比を適正化することができ、化合物膜内に所望の孔や溝を形成することができるエッチング方法を提供できる。
本発明において、誘電体材料で構成された真空チャンバー側壁の外側に配置されたプラズマ発生用高周波アンテナコイルと前記高周波電源とを接続する給電路が分岐され、この分岐路が前記シリコンプレートに接続され、この分岐路に前記可変コンデンサーが介設され、前記高周波電源からプラズマ発生用高周波アンテナコイルに電圧を印加すると共に、前記可変コンデンサーを介して前記シリコンプレートに電圧を印加することによりプラズマを発生させることが好ましい
本発明のエッチング方法は、真空チャンバー内に被処理基板を配置し、この真空チャンバー内にエッチングガスを導入してプラズマを発生させこの被処理基板上のレジストマスクで覆われた化合物膜をエッチングして又は溝を形成するドライエッチング方法において、前記エッチングガスとして、Cl 、BCl 、HCl、HCl 及びHBrから選択された少なくとも1種のハロゲンガス又はハロゲン化物ガスと希釈ガスとの混合ガスを用い、この希釈ガスの流量割合をエッチングガス全流量基準で40〜90%の範囲内とし、被処理基板に対向配置される対向電極の被処理基板との対向面側に設けられシリコンプレートに、又は被処理基板に対向配置された対向電極であるシリコンプレートに静電容量値が25pF〜50pFに設定された可変コンデンサーを介して高周波電源から電圧を印加すると共に、プラズマ発生用高周波アンテナコイルに電圧を印加することによりプラズマを発生させ、プラズマ中活性種の一部を前記シリコンプレート表面のシリコン原子と反応させて消費させながらエッチングを行うことを特徴とする。
前記希釈ガスは、Ar、Kr及びXeからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記化合物膜は、GaN、InP、GaAs、GaP、InP、CdTe、ZnSe又はSiCで構成されることが好ましい。
本発明のドライエッチング方法を使用して、レジストマスクで覆われた化合物膜をエッチングすれば、化合物膜の対レジスト選択比を向上せしめると共に、レジストダメージを低減させて所望の孔や溝を形成することができるという効果を奏する。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下の実施の形態では、NLDエッチング装置及びその装置を用いるエッチング方法について説明するが、勿論、磁場コイルを設けない通常のエッチング装置を用いて本発明のエッチング方法を実施することもできる。
本発明のエッチング装置を図2に示し、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付する。図2に示すエッチング装置は、図1の場合と同様に、真空チャンバー1を有し、その上部は誘電体円筒状壁により形成されたプラズマ発生部2であり、下部は基板電極部3である。プラズマ発生部2の側壁(誘電体側壁)の外側に設けられた磁場コイル(図中には磁場コイル4、5及び6が示されている)によって、プラズマ発生部2内に環状磁気中性線7が形成される。磁場コイル4、5及び6と誘電体側壁の外側との間には、プラズマ発生用高周波アンテナコイル8が配置され、この高周波アンテナコイル8は、第一の高周波電源9に接続され、磁場コイルによって形成された磁気中性線7に沿って交番電場を加えてこの磁気中性線に放電プラズマを発生するように構成されている。
磁気中性線7の作る面と平行して下部の基板電極部3内には基板電極10が絶縁体部材11を介して設けられている。この基板電極10は、ブロッキングコンデンサー12を介して高周波バイアス電力を印加する第二の高周波電源13に接続され、ブロッキングコンデンサー12によって電位的に浮遊電極になっており、負のバイアス電位となる。また、プラズマ発生部2の天板14は、誘電体側壁の上部フランジに密封固着され、対向電極を形成しており、この天板のプラズマ発生部2側にシリコンプレート16が設置されている。天板14自体がシリコンプレートから構成されていても良い。シリコンプレート16には、真空チャンバー1内ヘエツチング用混合ガスを導入する図示していないガス導入口が設けられ、このガス導入口は、図示していないが、ガス供給路及びエッチング用混合ガスの各成分ガスの流量を制御する各ガス流量制御装置を介して各成分ガス供給源に接続されている。基板電極部3には排気口15が設けられている。
図2に示すエッチング装置は、2周波放電方式である。このエッチング装置では、上記したようにして、基板電極10と対向する位置に設けた接地電極を誘電体により電位的に浮遊状態とした対向電極として構成し、この対向電極(天板14)に対して弱い高周波バイアス電力が印加できるように構成されている。プラズマ発生用高周波電源9から誘導放電を発生させる高周波アンテナコイル8へ至る給電路の途中の任意の位置に分岐路を設け、この分岐路に設けた可変コンデンサー17を介して誘導放電用高周波電力の一部を対向電極に分岐印加し、対向電極に自己バイアスを発生させるように構成されている。
本発明のエッチング装置では、この可変コンデンサー17を用い、対向電極14ひいてはシリコンプレート16に印加させる電圧を所定の範囲内に設定できるように、駆動装置により可変コンデンサーの容量を可変、設定する機構が設けられている。
本発明によれば、上記したように、対向電極として機能する天板14に対して、容量値制御装置を組み込んだ可変コンデンサー17を介して高周波電力を分岐印加するように構成されている。すなわち、高周波電源9から分岐路を経て天板(対向電極)14に印加される電圧を変化させ得るように機能する可変コンデンサー17が設けられている。また、誘導放電用高周波アンテナコイル8への印加電圧値が所定の値(例えば、1800V)になるようにする機構が設けられていてもよい。
上記のようにして構成されたエッチング装置は、簡単な構造を有し、かつ、安価であり、印加する高周波電場が互いに干渉するという問題もなく、高効率のプラズマを形成することができる。また、対向電極である天板に所望の高周波電圧を印加することができるので、天板に設置したシリコンプレート16表面でSiとプラズマ中の所定量の特定の励起活性種(イオンやラジカル等)とを反応させてシリコン化合物を生成させ、過剰量の励起活性種を消費することができる。例えば、エッチングガスとしてClガスを用いる場合、SiとClイオンやClラジカル等とが優先的に反応して、SiClが生成するので、レジストを攻撃してエッチングしてしまうClイオンやラジカルの量が減少し、レジストのエッチングをコントロールすることができる。そのために、本発明によれば、マスクの耐性を向上させ、目的とするエッチングを抑制することなく、良好なエッチ速度を達成し、レジストダメージを減少せしめることができる。
アンテナコイル8に接続された高周波電源9の給電路を分岐して、高周波電力を分岐し、可変コンデンサー17を通して、アンテナコイルの内側に設置されたファラディシールド(又は静電場シールド)様浮遊電極に、高周波電力の一部を分岐印加する方式の場合も、上記したように天板を浮遊電極とする方式の場合と同様に構成することができ、同様なエッチングを実行することができる。このファラディシールド様浮遊電極等は、高周波アンテナコイルの内側に設置することができる。
上記ファラディシールドは、既知のファラディシールドであり、例えば、複数のスリットが平行に設けられ、このスリットの長手方向の中間にスリットと直交してアンテナコイルが設けられた金属板である。スリットの長手方向の両端には、短冊状金属板の電位を同じにする金属縁が設けられている。アンテナコイルの静電場は金属板によりシールドされるが、誘導磁場はシールドされない。この誘導磁場がプラズマ中に入り誘導電場を形成する。スリットの幅は、目的に応じて適宜設計でき、0.5〜10mm程度のものが用いられるが、通常は、1〜2mmのスリットで十分である。スリットの幅が広すぎると静電場の浸みこみが起こり、好ましくない。スリットの厚みは、〜2mm程度である。
本発明のドライエッチング方法で用いるエッチング用ガスは、エッチングガス単独であっても、エッチングガスと希釈ガスとの混合ガスからなっていても良い。上記したように、このエッチングガスとしては、例えば、Cl、BCl、HCl、HCl、HBr及びHI等のハロゲンガス又はハロゲン系ガスを挙げることができ、このうちの少なくとも1種のガスを用いることができる。また、希釈ガスとしては、例えばAr、Kr及びXe等の不活性ガスを挙げることができ、このうちの少なくとも1種のガスを用いることができる。
上記したように、シリコンプレートを設けたエッチング装置を使用し、この装置内へ上記エッチング用ガスを導入し、レジストマスクで覆われた化合物膜をエッチングして、孔や溝の微細加工をすれば、レジストダメージもなく、化合物膜の高い対レジスト選択比をもって、所望の孔や溝を形成することができる。この場合、シリコンプレートに所定の値の高周波電圧を印加しながらエッチングすれば、プラズマ中に存在し、レジストにダメージを与える過剰な励起活性種(例えば、ハロゲンイオンやハロゲンラジカル等)の一部がシリコンプレート表面におけるSiとの反応で消費されて、目的とするエッチングに使用される励起活性種量が適正になるものと考えられる。その結果、以下の実施例から明らかなように、レジストダメージもなく、化合物膜の高い対レジスト選択比をもって、所望の孔や溝を形成することができるのである。このためには、シリコンプレートに印加する高周波電圧を上記したようにして最適化する必要がある。このシリコンプレートへの高周波電圧の印加の最適化は、分岐コンデンサー(可変コンデンサー)の静電容量の調整及び/又は誘導放電アンテナコイルへの印加電圧値の調整により可能である。
シリコンプレート表面でSiと反応する上記励起活性種であるイオンやラジカル等としては、使用するエッチングガスの種類によるが、例えば、Cl、Br及びI等のイオンやラジカルを挙げることができる。通常のプラズマエッチングにおいてハロゲン系ガスを使用する場合、プラズマ中には、こられのハロゲンラジカル等が過剰に生成しており、成膜時にその量をコントロールすることはできない。しかるに、本発明のようにSiとハロゲンイオンやハロゲンラジカルとを反応させることにより、生成した過剰のハロゲンイオンやハロゲンラジカル量を減少せしめることができるので、レジストエッチングをコントロールし、化合物膜の対レジスト選択比を向上せしめることができる。
本発明によれば、基板上にレジストマスクで覆われた化合物膜を設けた被処理基板をエッチング対象とするのであるが、この化合物膜としては、例えばGaN、InP、GaAs、GaP、InP、CdTe、ZnSe又はSiC等からなる膜を挙げることができる。レジストマスクとしては、例えばZEP−520レジスト(日本ゼオン株式会社製)等からなるマスクを挙げることができ、また、基板としては、例えばGaN基板を挙げることができる。
なお、前記化合物膜は、前述のものに限られず、複数の元素を材料として成膜された化合物半導体膜であればよい。
図2に示すような天板内壁材としてシリコンプレートを備えたNLDエッチング装置を用いて、以下の工程からなるエッチングプロセスを行った。基板としては、GaN基板を用いた。
プラズマ発生用高周波電源9(13.56MHz)の電力を1200W(アンテナパワー)、基板バイアス高周波電源13(12.56MHz)の電力を400W(バイアスパワー)、可変コンデンサー(分枝コンデンサー)17の静電容量(Cs)=50pFの条件下で、エッチングガス(Cl)と希釈ガス(Ar)との混合ガスとして、Ar量が総流量基準で0〜75%の範囲(例えば、Cl/Ar=12.5sccm/37.5sccm(Arを75%添加))の混合ガスを導入し、0.4Paの圧力下、基板設定温度0℃で180秒間放電し、ZEP−520レジストをマスクとして化合物膜(GaN膜)の形成された基板をエッチングし、エッチングレート(μm/分)及び選択性(GaN/レジスト)を検討した。
かくして得られた結果を図3に示す。図3から明らかなように、Ar添加なしでも対レジス選択比は1以上あるが、Arの添加量を増やすにつれて、大幅な化合物膜の対レジスト選択比の向上が認められた。エッチング用混合ガスの場合は、その全流量基準で、図3から推測すれば、希釈ガスを40〜90%、好ましくは50〜80%、さらに好ましくは50〜75%の割合で添加した場合に所期の目的を達成できる。希釈ガスの割合が40%未満であると、化合物膜エッチングレートのレジストエッチングレートに対する比率(選択性又は選択比)が低く、また、90%を超えると、化合物膜エッチングレート及びレジストエッチングレートが低くなりすぎ、実用的でない。
また、上記したようにAr添加なしの場合、及びArを添加した場合に得られたエッチング形状は、SEM写真によれば、異方性形状のエッチング形状が得られており、レジストダメージもなかった。
(比較例1)
実施例1記載のエッチングプロセスを繰り返した。但し、シリコンプレートに高周波電力を印加せずに、Arを総流量基準で0〜75%の範囲で添加してエッチングを実施した。
かくして得られた結果を図4に示す。図4から明らかなように、シリコンプレートに高周波電力を印加しないときには、Arを添加してもしなくても、また、Ar添加量を増やしても、化合物膜の対レジスト選択比はそれほど変化しないことが分かる。また、SEM写真によれば、得られたエッチング形状は、異方性形状ではなかった。
実施例1記載のエッチングプロセスを繰り返した。但し、エッチング用ガスとして、Cl/Ar=12.5sccm/37.5sccmを用い、シリコンプレートを水冷してその温度が15〜200℃になるようにしてエッチングを行った。
化合物膜とレジストとのエッチングレートを比較した結果を図5に示す。図5から明らかなように、化合物膜のエッチングレートは、シリコンプレートの温度が低い場合でも、高い場合でも変化せずほぼ一定であったが、レジストのエッチングレートは、シリコンプレートの温度が高くなるに従って低くなっており、その結果、化合物膜の対レジスト選択比は、シリコンプレートの温度が高くなるに従って高くなっていた。このことから、ClイオンやラジカルとSiとの反応性が高く、かつ温度依存性のあることを考えれば、成膜時に過剰に生成したClイオンやラジカルの一部は、温度が高くなるに従ってシリコンプレート表面でのSiとの反応により消費され、レジストのエッチングに使用される量が少なくなり、レジストのエッチングレートが低くなったものと考えられる。温度50℃以下でも、Siとの反応により充分消費されていた。
上記実施例1、比較例1及び実施例2の結果から、シリコンプレートを設置し、これに高周波電力を印加してエッチングすることにより、過剰に生成したハロゲンイオンやラジカルの一部が消費され、例えばClイオンやラジカルの一部はシリコンプレートのSiと反応してSiClを生成するようにして消費され、エッチングに用いられるハロゲンイオンやラジカルが適正な量となる。その結果、化合物膜の対レジスト選択比が改良され、レジストダメージが改良され、異方性形状のエッチング形状が得られるものと考えられる。
実施例1記載のArを添加した場合のエッチングプロセスを繰り返した。但し、分枝コンデンサー17の静電容量を0〜100pFの範囲で変化させて、シリコンプレートに高周波電力を印加せしめてエッチングを実施した。
かくして得られた結果を図6に示す。図6から明らかなように、天板電極へ印加される分枝コンデンサーの静電容量を0pFから100pFまで増加していくにつれて、25pF付近で化合物膜の対レジスト選択比が急激に上昇しだし、50pF付近で化合物膜の対レジスト選択比がピークとなり、それ以後は、化合物膜の対レジスト選択比が一定であることが分かる。かくして、25pF以上、好ましくは50pF以上で化合物膜の対レジスト選択比が良好で、レジストダメージがない微細エッチングが可能であることが分かる。コンデンサー容量の上限は、化合物膜(GaN膜)及びレジストのエッチングレートに鑑みれば、90pF程度であるが、50pFを超えれば、これらのエッチングレートにはほとんど変化はなかった。
従って、化合物膜の対レジスト選択比及び化合物膜のエッチングレートの点からは、可変コンデンサーの静電容量値は、25〜90pF、好ましくは25〜50pFであればよい。
また、上記したように25〜100pFの間で得られたエッチング形状は、SEM写真によれば、異方性形状のエッチング形状が得られており、レジストダメージもなかった。
エッチングガスとして、Clガスの代わりに、BCl、HCl、HBr、又はHIのガスを用い、希釈ガスとしてArガスを用いて、実施例1及び2記載のエッチングプロセスを繰り返してエッチングを実施した。エッチング結果は、実施例1及び2の場合と同様であった。
本発明のエッチング装置及びエッチング方法を用いれば、エッチング時に、化合物膜の対レジスト選択比を向上せしめると共に、レジストダメージを低減させることができる。従って、本発明は、例えば、高周波プラズマにより材料表面の加工、修飾を行う材料加工分野、電子デバイス加工分野で利用可能な技術である。
従来のエッチング装置の概略の構成を模式的に示す構成図。 本発明のエッチング装置の概略の構成を模式的に示す構成図。 実施例1で行われたエッチングにおける化合物膜の対レジスト選択比を示すグラフ。 比較例1で行われたエッチングにおける化合物膜の対レジスト選択比を示すグラフ。 実施例2で行われたエッチングの結果を示すグラフ。 実施例3で行われたエッチングにおいて、分岐コンデンサーの印加静電容量が化合物膜の対レジスト選択比に及ぼす影響を示すグラフ。
符号の説明
1 真空チャンバー 2 プラズマ発生部
3 基板電極部 4、5及び6 磁場コイル
7 磁気中性線 8 高周波アンテナコイル
9 高周波電源 10 基板電極
11 絶縁体部材 12 ブロッキングコンデンサー
13 高周波電源 14 天板(対向電極、浮遊電極)
15 排気口 16 シリコンプレート
17 可変コンデンサー(分岐コンデンサー)

Claims (5)

  1. 真空チャンバー内に被処理基板を配置し、この真空チャンバー内にエッチングガスを導入してプラズマを発生させ、この被処理基板上のレジストマスクで覆われた化合物膜をエッチングして又は溝を形成するドライエッチング方法において、
    前記エッチングガスとして、Cl 、BCl 、HCl、HCl 及びHBrから選択された少なくとも1種のハロゲンガス又はハロゲン化物ガスと希釈ガスとの混合ガスを用い、この希釈ガスの流量割合をエッチングガス全流量基準で40〜90%の範囲内とし、
    被処理基板に対向配置される対向電極の被処理基板との対向面側に設けられシリコンプレートに、又は被処理基板に対向配置された対向電極であるシリコンプレートに静電容量値が25pF〜50pFに設定された可変コンデンサーを介して高周波電源から電圧を印加し、プラズマ中の活性種の一部を前記シリコンプレート表面のシリコン原子と反応させて消費させながらエッチングを行うことを特徴とするドライエッチング方法。
  2. 誘電体材料で構成された真空チャンバー側壁の外側に配置されたプラズマ発生用高周波アンテナコイルと前記高周波電源とを接続する給電路が分岐され、この分岐路が前記シリコンプレートに接続され、この分岐路に前記可変コンデンサーが介設され、前記高周波電源からプラズマ発生用高周波アンテナコイルに電圧を印加すると共に、前記可変コンデンサーを介して前記シリコンプレートに電圧を印加することによりプラズマを発生させることを特徴とする請求項記載のドライエッチング方法。
  3. 真空チャンバー内に被処理基板を配置し、この真空チャンバー内にエッチングガスを導入してプラズマを発生させこの被処理基板上のレジストマスクで覆われた化合物膜をエッチングして又は溝を形成するドライエッチング方法において、
    前記エッチングガスとして、Cl 、BCl 、HCl、HCl 及びHBrから選択された少なくとも1種のハロゲンガス又はハロゲン化物ガスと希釈ガスとの混合ガスを用い、この希釈ガスの流量割合をエッチングガス全流量基準で40〜90%の範囲内とし、被処理基板に対向配置される対向電極の被処理基板との対向面側に設けられシリコンプレートに、又は被処理基板に対向配置された対向電極であるシリコンプレートに静電容量値が25pF〜50pFに設定された可変コンデンサーを介して高周波電源から電圧を印加すると共に、プラズマ発生用高周波アンテナコイルに電圧を印加することによりプラズマを発生させ、プラズマ中活性種の一部を前記シリコンプレート表面のシリコン原子と反応させて消費させながらエッチングを行うことを特徴とするドライエッチング方法。
  4. 前記希釈ガスが、Ar、Kr及びXeからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
  5. 前記化合物膜が、GaN、InP、GaAs、GaP、InP、CdTe、ZnSe又はSiCで構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
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