JP5032604B2 - タイヤ内圧低下検出方法及び装置、並びにタイヤ内圧低下検出プログラム - Google Patents
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DEL={(F1+F4)/2−(F2+F3)/2}/{(F1+F2+F3+F4)/4}×100(%)・・・・・・(1)
ここで、F1〜F4は、それぞれ左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪のタイヤの回転角速度である。
したがって、タイヤ内圧低下警報装置の閾値である前記判定基準を一定値(固定値)とした場合、装着タイヤのサイズによっては正確に警報を発することができない場合がある。
前記車両の各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、
検出した車輪回転情報から車輪速度を算出する工程と、
算出された車輪速度の相対比較により減圧判定値を求める工程と、
得られた減圧判定値の大きさが所定の閾値を超えた場合にタイヤの内圧低下を判定する工程と
を含んでおり、
前記所定の閾値が、予め求めておいた前記車両に装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度と減圧感度の関係と、初期化時に旋回走行することで得られる荷重感度とから求められる減圧感度に基づいて設定される閾値設定工程をさらに含んでおり、
前記荷重感度が、前記車両に搭載されたヨーレートセンサ及び横加速度センサから得られるヨーレート及び横加速度と車両の左右輪の車輪速度とから算出される、旋回時の荷重移動による動荷重半径変化の動荷重半径に対する比と、横加速度との関係式から求められることを特徴としている。
タイヤの動荷重半径をDLR、タイヤの動荷重半径変化をΔDLR、荷重感度をb、車両の重心高をH、車両のトレッド幅をW、車両質量をm、車両の横加速度をay、全軸に対する従動輪軸にかかる荷重移動分担率をαとすると、前記関係式は、
ΔDLR/DLR=b×α×(H/W)×m×ay
であり、前記荷重感度は、b×α×(H/W)×mで表される荷重感度代表特性値であるものとすることができる。
前記荷重感度と減圧感度の関係は、この代表特性値と減圧感度との一次関数で表されるものとすることができる。
前記車両の各タイヤの車輪回転情報を検出する車輪回転情報検出手段と、
この車輪回転情報検出手段により検出された車輪回転情報から車輪速度を算出する車輪速度算出手段と、
この車輪速度算出手段により算出された車輪速度の相対比較により減圧判定値を求める判定値算出手段と、
得られた減圧判定値の大きさが所定の閾値を超えた場合にタイヤの内圧低下を判定する判定手段と
を含んでおり、
前記所定の閾値を、予め求めておいた前記車両に装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度と減圧感度の関係と、初期化時に旋回走行することで得られる荷重感度とから求められる減圧感度に基づいて設定する閾値設定手段をさらに含んでおり、
前記荷重感度は、前記車両に搭載されたヨーレートセンサ及び横加速度センサから得られるヨーレート及び横加速度と車両の左右輪の車輪速度とから算出される、旋回時の荷重移動による動荷重半径変化の動荷重半径に対する比と、横加速度との関係式から求められることを特徴としている。
タイヤの動荷重半径をDLR、タイヤの動荷重半径変化をΔDLR、荷重感度をb、車両の重心高をH、車両のトレッド幅をW、車両質量をm、車両の横加速度をay、全軸に対する従動輪軸にかかる荷重移動分担率をαとすると、前記関係式は、
ΔDLR/DLR=b×α×(H/W)×m×ay
であり、前記荷重感度は、b×α×(H/W)×mで表される荷重感度代表特性値であるものとすることができる。
前記荷重感度と減圧感度の関係は、この代表特性値と減圧感度との一次関数で表されるものとすることができる。
車両の各タイヤの車輪回転情報から車輪速度を算出する車輪速度算出手段、
この車輪速度算出手段により算出された車輪速度の相対比較により減圧判定値を求める判定値算出手段、
得られた減圧判定値の大きさが所定の閾値を超えた場合にタイヤの内圧低下を判定する判定手段、及び
前記所定の閾値を、予め求めておいた前記車両に装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度と減圧感度の関係と、初期化時に旋回走行することで得られる荷重感度とから求められる減圧感度に基づいて設定する閾値設定手段
として機能させ、
前記荷重感度は、前記車両に搭載されたヨーレートセンサ及び横加速度センサから得られるヨーレート及び横加速度と車両の左右輪の車輪速度とから算出される、旋回時の荷重移動による動荷重半径変化の動荷重半径に対する比と、横加速度との関係式から求められることを特徴としている。
図1に示されるように、本発明の一実施の形態に係る検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤFL(左前輪)、FR(右前輪)、RL(左後輪)及びRR(右後輪)の車輪回転情報を検出するため、各タイヤに関連して設けられた通常の車輪速度検出手段(車輪回転情報検出手段)1を備えている。
すなわち、タイヤ空気圧が1%減圧したときのDELの変化量DEL´を減圧感度とすると、この減圧感度は1%減圧時の動荷重半径の変化率β(=ΔDLR/DLR)に比例する。
例えば、RR輪が1%減圧したとき、当該RR輪の動荷重半径が正常圧時の動荷重半径に対してβだけ小さくなった場合、RR輪の車輪速は約βだけ増加する。このときDEL´は、
DEL´=2×{(V+V+βV)−(V+V)}/(V+V+V+V+βV)
となる。ここで、Vは正常内圧時における4輪の車輪速である。
内圧変化による動荷重半径の変化率はタイヤによりほぼ一定であり、且つタイヤサイズによってほぼ決まることが知られている。したがって、予め減圧感度に関する情報を実験などにより把握しておけば、タイヤ毎の閾値を決定することができる。
タイヤの動荷重半径は、主にタイヤブレーカーの周長により決定されるが、当該タイヤに作用する荷重又はタイヤ内圧の低下によってタイヤブレーカーが撓むことで変化する。この撓み量は、タイヤの接地面積と比例し、接地面積が大きいときの撓み量は大きい。ここで、接地面積Sは、
接地面積S∝荷重/内圧
の関係にある。つまり、
動荷重半径の変化=撓み量の変化∝接地面積S∝荷重/内圧・・・・・(2)
の関係にある。
以下、本発明の検出方法について説明する。
(1)まず、車輪速度検出手段1の出力信号(パルス信号)に基づいて、次の式(3)により各タイヤの回転角速度(ω)を算出する。
回転角速度(ω)=2π×Freq(Hz)/N(個)・・・・・(3)
ここに、Nは車輪速度検出手段1の車軸1回転あたりの歯数であり、Freq(Hz)は、その車輪速度検出手段1の歯が1秒あたりにカウントされた数値である。
閾値を設定するには、まず第1段階として実車実験(キャリブレーション)を行うことで荷重感度と減圧感度の関係式を求め、荷重感度から減圧感度を求めるときの定数を決定し、この定数を記憶手段に記憶させておく。ついで第2段階として、実走行の初期化時において旋回走行したときに荷重感度を推定し、推定した荷重感度に前記記憶させておいた比例定数を掛けることにより、初期化段階で自動的に減圧閾値を設定する。
以下、閾値の設定方法について詳細に説明する。
第1段階では、減圧感度と荷重感度との関係を事前に実車実験(キャリブレーション)を行うことで求める。事前実験では各種サイズのタイヤにて旋回走行を実施し(各実験において4輪は同種のタイヤ)、荷重感度を算出しておく。さらに減圧警報を発する内圧まで減圧し(例えば25%減圧。この値は変更可能である)、そのときの動荷重半径変化比率(動荷重半径変化量/動荷重半径)を算出しておく。そしてこの動荷重半径変化比率に比例する減圧感度と荷重感度間の比例定数を求め、その値を予め記憶手段に記憶させておく。
次に、前輪駆動車が旋回走行しているときの従動輪左右輪の動荷重半径の変化と荷重移動量との関係について説明する。
車両にはヨーレート(θ´)を検出するためのヨーレートセンサ及び横加速度(ay)を検出するための横加速度センサが搭載されており、制御ユニット2に各検出信号が送信される。
このとき各センサ値と旋回半径Rとの関係は、θ´=V/R及びay=V2/Rより、以下の式(4)で表すことができる。
(R+W/2)×θ´=VR
(R−W/2)×θ´=VL
であるので、ヨーレート(θ´)は、以下の式(5)で表される。また、車両速度(V)は、以下の式(6)で表される。
VL=(DLR+ΔDLR)×ωL
VR=(DLR−ΔDLR)×ωR
と表される。
ここで、対地速度VL及びVRの和(VR+VL)は、
VR+VL=(DLR+ΔDLR)×ωL+(DLR−ΔDLR)×ωR
=DLR(ωR+ωL)−ΔDLR(ωR−ωL)
となるが、ΔDLR(ωR−ωL)≒0であるので、
VR+VL≒DLR(ωR+ωL)とすることができる。
タイヤを新しいものと交換して所定の内圧に調整した後などに初期化ボタン4を操作することで検出装置の初期化が行われるが、この初期化時に旋回走行した際に前記キャリブレーションと同様にして荷重感度を推定する。そして、推定された荷重感度に予め記憶手段に記憶させておいた減圧感度との比例定数を掛けることにより、初期化段階で自動的に減圧閾値を設定し、同じく記憶手段に記憶させておく。
つぎに本発明の検出方法の実施例を説明するが、本発明はもとよりかかる実施例のみに限定されるものではない。
車両に装着された各タイヤの回転角速度を得るために、ABS制御に利用する回転速度情報を用いて回転角速度に換算した。また、車両の横加速度及びヨーレートを得るためにセンサを車両の所定箇所に取り付けた。これらはシリアルデータとして直接PCに出力され、50msec毎にデジタルデータとして同期してPCに取り込めるようにした。
FF車に表1に示される3種類のタイヤを順次装着して住友ゴム工業株式会社の岡山テストコースにおいてキャリブレーションを行い、荷重感度及び減圧感度を算出した。
荷重感度は式(9)に従い、図5(式(8)で導かれるΔDLR/DLRを縦軸とし、横加速度ayを横軸としている)に示されるようにして近似直線の傾き(係数=b×α×(H/W)×m)を求めた。傾きの算出に際しては逐次最小二乗法などを用いることによりオンラインで算出することができる。前記係数は、荷重感度bによってのみ変化するので、これを荷重感度代表特性値とした。なお、本明細書において「荷重感度」とは、単なる荷重感度だけでなく、前記荷重感度代表特性値のように荷重感度によってのみ変化する値(荷重感度と、車両において一意的に定まる値とからなるパラメータのこと)も含むことがある。
一方、減圧感度については、実際に所定量だけ減圧し(例えば25%)、そのときのΔDELを減圧%で除した値、すなわち減圧感度を算出した。結果を表1に示す。
或るタイヤTを前記FF車に装着し、初期化時に旋回走行をしたときに前記と同様にしてΔDLR/DLRを算出し、これと横加速度センサから得られる横加速度との関係を示す近似直線の傾きを求めた(図7参照)。
ここで得られた係数(0.000908)に事前にキャリブレーションで求めておいた減圧感度との比例定数(0.1433)を掛けて減圧感度とし、これに減圧警報したい減圧量(例えば25%)を掛けると、以下のようにして減圧閾値を算出することができる。
減圧閾値=0.000908×(0.1433)×25=0.0033
すなわちこのタイヤTの場合、初期化終了後に自動的に0.0033に閾値が設定された。
2 制御ユニット
2a インターフェース
2b CPU
2c ROM
2d RAM
3 表示器
4 初期化ボタン
5 警報器
Claims (7)
- 車両の各輪に装着されたタイヤの車輪速度を相対比較することにより当該タイヤの内圧低下を検出する方法であって、
前記車両の各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、
検出した車輪回転情報から車輪速度を算出する工程と、
算出された車輪速度の相対比較により減圧判定値を求める工程と、
得られた減圧判定値の大きさが所定の閾値を超えた場合にタイヤの内圧低下を判定する工程と
を含んでおり、
前記所定の閾値が、予め求めておいた前記車両に装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度と減圧感度の関係と、初期化時に旋回走行することで得られる荷重感度とから求められる減圧感度に基づいて設定される閾値設定工程をさらに含んでおり、
前記荷重感度が、前記車両に搭載されたヨーレートセンサ及び横加速度センサから得られるヨーレート及び横加速度と車両の左右輪の車輪速度とから算出される、旋回時の荷重移動による動荷重半径変化の動荷重半径に対する比と、横加速度との関係式から求められることを特徴とするタイヤ内圧低下検出方法。 - 前記車両が前輪駆動車又は後輪駆動車であり、
タイヤの動荷重半径をDLR、タイヤの動荷重半径変化をΔDLR、荷重感度をb、車両の重心高をH、車両のトレッド幅をW、車両質量をm、車両の横加速度をay、全軸に対する従動輪軸にかかる荷重移動分担率をαとすると、前記関係式は、
ΔDLR/DLR=b×α×(H/W)×m×ay
であり、前記荷重感度は、b×α×(H/W)×mで表される荷重感度代表特性値である請求項1に記載のタイヤ内圧低下検出方法。 - 前記装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度が、前記荷重感度代表特性値であり、
前記荷重感度と減圧感度の関係は、この代表特性値と減圧感度との一次関数で表される請求項2に記載のタイヤ内圧低下検出方法。 - 車両の各輪に装着されたタイヤの車輪速度を相対比較することにより当該タイヤの内圧低下を検出する装置であって、
前記車両の各タイヤの車輪回転情報を検出する車輪回転情報検出手段と、
この車輪回転情報検出手段により検出された車輪回転情報から車輪速度を算出する車輪速度算出手段と、
この車輪速度算出手段により算出された車輪速度の相対比較により減圧判定値を求める判定値算出手段と、
得られた減圧判定値の大きさが所定の閾値を超えた場合にタイヤの内圧低下を判定する判定手段と
を含んでおり、
前記所定の閾値を、予め求めておいた前記車両に装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度と減圧感度の関係と、初期化時に旋回走行することで得られる荷重感度とから求められる減圧感度に基づいて設定する閾値設定手段をさらに含んでおり、
前記荷重感度は、前記車両に搭載されたヨーレートセンサ及び横加速度センサから得られるヨーレート及び横加速度と車両の左右輪の車輪速度とから算出される、旋回時の荷重移動による動荷重半径変化の動荷重半径に対する比と、横加速度との関係式から求められることを特徴とするタイヤ内圧低下検出装置。 - 前記車両が前輪駆動車又は後輪駆動車であり、
タイヤの動荷重半径をDLR、タイヤの動荷重半径変化をΔDLR、荷重感度をb、車両の重心高をH、車両のトレッド幅をW、車両質量をm、車両の横加速度をay、全軸に対する従動輪軸にかかる荷重移動分担率をαとすると、前記関係式は、
ΔDLR/DLR=b×α×(H/W)×m×ay
であり、前記荷重感度は、b×α×(H/W)×mで表される荷重感度代表特性値である請求項4に記載のタイヤ内圧低下検出装置。 - 前記装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度が、前記荷重感度代表特性値であり、
前記荷重感度と減圧感度の関係は、この代表特性値と減圧感度との一次関数で表される請求項5に記載のタイヤ内圧低下検出装置。 - 車両の各輪に装着されたタイヤの車輪速度を相対比較することにより当該タイヤの内圧低下を検出するためにコンピュータを、
車両の各タイヤの車輪回転情報から車輪速度を算出する車輪速度算出手段、
この車輪速度算出手段により算出された車輪速度の相対比較により減圧判定値を求める判定値算出手段、
得られた減圧判定値の大きさが所定の閾値を超えた場合にタイヤの内圧低下を判定する判定手段、及び
前記所定の閾値を、予め求めておいた前記車両に装着予定のタイヤに係る車両旋回時の荷重感度と減圧感度の関係と、初期化時に旋回走行することで得られる荷重感度とから求められる減圧感度に基づいて設定する閾値設定手段
として機能させ、
前記荷重感度は、前記車両に搭載されたヨーレートセンサ及び横加速度センサから得られるヨーレート及び横加速度と車両の左右輪の車輪速度とから算出される、旋回時の荷重移動による動荷重半径変化の動荷重半径に対する比と、横加速度との関係式から求められることを特徴とするタイヤ内圧低下検出プログラム。
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