JP5031818B2 - ボルトジョイント - Google Patents

Description

本発明は、例えば航空機の複数の負荷伝達構造部分を連結するためのボルトジョイントに関する。

このようなボルトジョイントは一般的に２面剪断構造をなし、ボルトアイを有する第１構造部分がフォークを有する第２構造部分にボルトを介して連結されている。この場合、ボルトは円錐形状をなし、且つ、円錐状の内面及び円筒状の外面を備えたスロット付きのスリーブにより囲繞されているとともに、細径端に螺子付きのジャーナル及び太径端にスパナ用突起をそれぞれ有する。螺子付きのジャーナルはナットと相互作用し、ナットが締付けられたとき、ボルトアイにはスリーブにより径方向の力が加えられる。設計的な理由により、第１構造部分が互いに一体的に連結された２つのボルトアイを有し、そして、第２構造部分が互いに一体的に連結された２つのフォークを有するような場合、２つのボルトジョイントを互いに直接的に隣接して配置する必要が屡々ある。最適な負荷伝達をなすため、高品位のボルトジョイントにはボルトとボルトアイとの間に可能な限り密接した嵌合が常時必要となる。

複数のボルトを有するボルトジョイントにおいて、２つの構造部分に関してボルトを受け入れる孔の離間間隔が一致していないと、孔のオフセットが生じる。これを避けるため、連結されるべき構造部分には組付け中、一緒にして孔が開けられる。この手段の効果は、各孔がオフセット無く加工されると同時に、正確な嵌合となる仕上げ寸法が得られることにある。しかしながら、これは、組立中、複数の構造部分への一緒の孔開けが構造部分のサイズ、又は、処理手順上の理由から不能であるなら、実用的ではない。

それ故、本発明の目的は、組立に先立ち、個々のボルトジョイントを達成する孔を仕上げ寸法とし、組立中に孔がオフセットする可能性があっても、このオフセットを補償可能とした複数のボルトを有するボルトジョイントを提供することにある。

上記目的は請求項１に従い、複数のボルトを有するボルトジョイントにおいて、ボルト受け入れのためのボルトアイの仕上げ寸法の孔にそれぞれスロット付きの偏心ブッシュが挿入され、そして、これら偏心ブッシュが内孔の軸線を一致させるように回転により調整可能であって、これにより、ジョイントを達成するボルトの挿入が可能であるという事実によって達成される。

発明の好適な実施例は従属項に規定されている。

発明の結果、組付け中の最適な作業の流れが達成される。

図１及び図２は構造部分１及び構造部分２を示し、これら構造部分１，２は２つのボルト３，４により２面剪断構造にて互いに連結されている。ここで、構造部分１は２つのボルトアイ１ａ，１ｂにより下側に隣接している。構造部分２は２つのフォークを有し、これらフォークはそれぞれ２つずつのフォークアイ２ａ，２ｂ及び２ｃ，２ｄにより形成されている。これらフォークアイ２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ内には補強ブッシュ１２，１３，１４，１５がそれぞれ圧入されている。図示の実施例の場合、構造部分１は、繊維強化プラスチックからなっているので、補強のために、対応するナット１８，１９を備えた所謂、螺子ブッシュ１６，１７がボルトアイ１ａ，１ｂに挿入されている。ボルト３，４のそれぞれは円錐形状をなし、円錐状の内面を備えたスロット付きの円筒状のスリーブ５，６によって囲繞されている。スリーブ５，６の各々はリム５ａ，６ａを有し、これらリム５ａ，６ａは２つの平坦部５ｂ，５ｃ，６ｂ，６ｃを備えている。スロット７，８の位置は図１に示されている。ボルト３，４の各々はその細径端に引張りを付与するための螺子ジャーナル８，２０を備えているともに、その太径端にスパナ用突起１１，２３を備えている。組付け状態において、ボルト３，４の各々はナット１０，２２の下側にワッシャ９，２１を配置した後、ナット１０，２２により締結される。構造部分１，２は別々に製造され、それらの孔は既に仕上げ寸法となっている。この加工手順のために、両構造部分１，２のボルト３，４を受け入れる孔の間隔は、製造技術上の不正確さにより互いに正確に一致せず、これにより、構造部分１の孔は構造部分２の孔に対してオフセットを有する。しかしながら、要求された正確さや負荷支持能力を備えるボルトジョイントを得るため、偏心ブッシュ２４，２５，２６，２７，２８，２９が備えられている。これら偏心ブッシュはスリーブ５，６と同様にスリットを備え、それらの内面にてスリーブ５，６の外面を押し付けている。そして、偏心ブッシュ２４−２９はそれらの外面にて構造部分１のボルトアイ１ａ，１ｂや、構造部分２のフォークアイ２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄの補強ブッシュを押し付けている。完成したボルトジョイントにて測定したボルト３，４の離間距離ａは固定値ではなく、構造部分１，２の製造公差や、個々の偏心ブッシュ２４，２５，２６及び２７，２８，２９のセッティングによりもたらされる。それ故、離間距離ａは、最大値ａ_ｍａｘと最小値ａ_ｍｉｎとの間の範囲となる。組付け中、スリーブ５，６の捻りを不能にするために抗捻り保護部材３０が役立つ。この目的のため、スリーブ５，６のリム５ａ，６ａのそれぞれには、直径方向に離間し且つ互いに平行な平坦部５ｂ，５ｃ及び６ｂ，６ｃを備えている。これに対応して、抗捻り保護部材３０は４つの支持縁３１，３２，３３，３４を有し、これら支持縁はスリーブ５，６の平坦部５ｂ，５ｃ及び６ｂ，６ｃを支え、スリーブ５，６の捻りを阻止する。

図３は抗捻り保護部材３０を示す。この抗捻り保護部材３０は対称軸線ｓを有し、本質的に２つのリング３５，３６を備えている。これらリング３５，３６はそれらの形状が合同であって、ウエブ３７を介して互いに連結されている。ここで、リング３５，３６の各々はほぼ円形の内周面３８，３９を有し、対称軸線ｓに直交する直径Ｄのみがスリーブ５，６の外径に相当する。

対称軸線ｓに平行な内周面３８，３９の直径は寸法Ｄに付加量ｘを加えた値、即ち、Ｄ＋ｘであり、これにより、内周面３８，３９の各々は長い孔口を形成する。この効果は、ボルトの離間間隔のための実際上取り得る全ての製造公差の枠内にて、抗捻り保護部材３０の取付けが可能になることである。
図４は、抗捻り保護部材３０のリング３６を支持縁３３，３４にて破断した図３中IV-IV線に沿う断面を示す。

図５は、構造部分１、構造部分２、螺子ジャーナル２０を備えたボルト４、ワッシャ２１及びナット２２を図１中V-V線にて破断した断面を示す。フォークアイ２ｃ，２ｄにより、構造部分２のフォーク形状が明らかになっている。図５は、リム６ａ及び平坦部６ｂ，６ｃを備えた円錐状のスリーブ６の内部を付加的に示している。更に、図５は、リング３６及び支持縁３３，３４を備えた抗捻り保護部材３０を示している。図５の断面は、支持縁３３，３４にて破断していることで、これら支持縁３３，３４とスリーブ６の平坦部６ｂ，６ｃとが明確に相互作用し、よって、スリーブ６の捻りが防止されていることを示している。

ボルトジョイントは以下のようにして組付けられる。先ず、予備的な組付けにて、全ての補強ブッシュ１２，１３，１６，１４，１５，１７が対応するボルトアイ１ａ，１ｂ及びフォークアイ２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄに圧入又はねじ込まれ、そして、これら補強ブッシュの内径が仕上げ寸法にされる。そして、構造部分１，２が最終的に組付けられる。ここでは、始めに個々の偏心ブッシュ２４，２５，２６，２７，２８，２９が構造部分１，２の対応するアイに挿入される。そして、構造部分１，２及び抗捻り保護部材３０が所定位置にもたらされる。ボルトの挿入、例えば最初にボルト３を挿入するため、偏心ブッシュ２５，２６，２４がこれら偏心ブッシュの内面の軸線が一致するように、この順序にて最初回転される。この偏心ブッシュのセッティングにおいて、ジョイントを達成するボルト３がスリーブ５とともにアイ２ｂ，１ａ，２ａに挿入可能となる。ここで、抗捻り保護部材３０の支持縁３１，３２によってスリーブ５の平坦部５ｂ，５ｃの挟み付けが確実になされていることに留意すべきである。この後、ボルト３がワッシャ９及びナット１０を介して、その所定位置に固定される。次に、偏心ブッシュ２８，２９，２７が回転され、ここでもまた、これら偏心ブッシュにおける内面の軸線が一致される。従って、スリーブ６とともにボルト４が対応する各アイに挿入可能となる。また、この場合にも、抗捻り保護部材３０とのスリーブ６の係合が確実になされていることに留意すべきである。この後、ボルト４はワッシャ２１及びナット２２により固定される。最終の作業工程として、ボルト３，４の均一な引張りと、コッタピン１０ａによるナット１０，２２の固定とがなされる。ボルト３，４の引張りは、スロット付きの偏心ブッシュ２４，２５，２６，２７，２８，２９が対応する各自のアイの内面にしっかりと押し付けられたとき、スリーブ５，６によって径方向の力が発生されるという効果をもたらす。これは、各ボルト３，４のための遊びの無い非積極的な(non-positive)な連結を作り出す。

補強ブッシュの使用は絶対に必要なものではない。むしろ、補強ブッシュは目下の負荷条件や、使用された材料の公知の強度特性から必要となる。
偏心ボルトの特徴をなす前述の解法は２つのボルトを備える場合に限定されない。２つのボルト以上を備えたボルトジョイントもまた考えられる。更に、隣接するボルトの軸線が異なる方向を有することも考えられる。また、付加的に、偏心ブッシュの発明原理は１面剪断又は多面剪断のボルトジョイントへの適用も考えられる。偏心ブッシュの捻りを防止するために、引張り後、キーや螺子等の固定要素を更に組込むことも可能である。

ボルトジョイントを示した図である。 図１中、II-II線に沿う断面図である。 抗捻り保護部材を示す図である。 図３中、IV-IV線に沿う断面図である。 図１中、V-V線に沿う断面図である。

符号の説明

１．２ 構造部分
１ａ，１ｂ ボルトアイ
２ａ，２ｂ フォークアイ
２ｃ，２ｄ フォークアイ
３．４ ボルト
５，６ スリーブ
５ａ，６ａ リム
５ｂ，５ｃ 平坦部
６ｂ，６ｃ 平坦部
７．８ スロット
８，２０ ジャーナル
９，２１ ワッシャ
１０，２２ ナット
１２，１３ 補強ブッシュ
１４，１５ 補強ブッシュ
１６，１７ 螺子ブッシュ
２４，２５，２６ 偏心ブッシュ
２７，２８，２９ 偏心ブッシュ
３０ 抗捻り保護部材
３１，３２ 支持縁
３３，３４ 支持縁
３５，３６ リング
３８，３９ 内周面

Claims (6)

1. 複数の負荷伝達構造部分を連結するボルトジョイントであって、このボルトジョイントが少なくとも２つのボルトを含み、これらボルトが円錐形状をなし且つ円錐状の内面及び円筒状の外面を備えたスロット付きのスリーブにより囲繞されているともに、細径端に螺子付きのジャーナル及び太径端にスパナ用突起をそれぞれ有し、各螺子付きジャーナルがナットと相互作用し、このナットが締付けられたとき、スリーブによってボルトアイに径方向の力が加えられる、ボルトジョイントにおいて、
   １つのボルト（３，４）を受け入れるための前記ボルトアイ（１ａ，１ｂ，２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ）の仕上げ寸法の孔内にスロット付きの偏心ブッシュ（２４，２５，２６，２７，２８，２９）が挿入され、これら偏心ブッシュは内孔の軸線が一致するように回転により調整可能であって、これにより、ボルトジョイントを達成するボルトの挿入が可能となり、
   前記スリーブ（５，６）が抗捻り保護部材（３０）により捻りに対して固定され、
   前記抗捻り保護部材（３０）がウエブ（３７）を介して互いに連結された２つのリング（３５，３６）を備え、これらリング（３５，３６）が前記スリーブ（５，６）側に配置された平坦部（５ｂ，５ｃ，６ｂ，６ｃ）に実際的に相互作用する支持縁（３１，３２，３３，３４）を有することを特徴とするボルトジョイント。
2. 隣接するボルトの軸線が異なる方向を有することを特徴とする請求項１に記載のボルトジョイント。
3. 偏心ブッシュ（２４，２５，２６，２７，２８，２９）の捻りを防止するための固定要素を更に備えたことを特徴とする請求項１又は２に記載のボルトジョイント。
4. １面剪断構造をなすことを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載のボルトジョイント。
5. ２面剪断構造をなすこと特徴とする請求項１〜４の何れかに記載のボルトジョイント。
6. 多面剪断構造をなすことを特徴とする請求項１〜５の何れかに記載のボルトジョイント。

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