JP5031623B2 - 地中位置検知システム - Google Patents

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Description

本発明は、HDD(Horizontal Directional Drilling)工法に用いるリンク先端の地中位置検知システムに関するものである。
既に、本発明者らによって、パイプを回転させずに掘進する推進工法用の地中位置測定システムが提案されている(下記特許文献1参照)。
図8は従来の水平ボーリング(HDD)工法を示す模式図である。
この図において、101は地上、102は地中、103は推進工法用専用機、104は回転しながら掘進する配管(パイプ)、105は配管103の先端部に配置されるドリルである。
ここで、推進工法用専用機103の駆動により、配管104は回転しながらドリル105により掘進する。
水平ボーリング(HDD)工法は、配管を回転させながら掘り進む工法であり、この工法の性質上、配管(パイプ)の先端を検知するには種々の問題が発生する。
(1)計測器を搭載しても、その計測器が配管(パイプ)とともに回転する。
(2)計測処理の許容時間が極端に短い。
(3)先端まで計測用コード等を引き通す場合に、配管(パイプ)の回転によりコード等が絡まる。
このような問題に対処する必要がある。
反面、精度については0.5%程度の誤差が許容され、推進工法に比較して一桁大きな誤差が許される(下記特許文献2参照)。
これまでの先行技術としては、(A)配管の先端に電波発振器を取り付けて地上で誘導する方法や、(B)掘削後に三次元ジャイロを走行させて計測する方法等があった(下記特許文献3参照)。
しかし上記(A)の方法では、地上に作業員を配置する必要があるため、従業員の立ち入れない鉄道、高速道路、河川などの下では施工が不可能であった。
また、上記(B)の方法は、掘削方向の誘導制御が不可能である。
特開2006−162358号公報 特開平11−023271号公報 特開2002−48543号公報
上記したように、従来の水平ボーリング(HDD)工法では、(1)計測器を搭載しても、この計測器が配管(パイプ)とともに回転する。(2)計測処理の許容時間が極端に短い。(3)地中位置計測情報を伝送するためにケーブルを用いようとすると、配管(パイプ)の回転によりケーブルが絡まる等の問題に対処する必要がある。反面、精度については1%程度の誤差が許容され、推進工法に比較して一桁大きな誤差が許される。
本発明は、上記状況に鑑みて、配管(パイプ)の回転にもかかわらず、配管の先端部位を外部からの誘導なしに的確に検知することができる地中位置検知システムを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕水平ボーリング工法に用いる地中位置検知システムにおいて、回転しながら掘進する配管内に長手回りの回転を拘束して接続した同じ長さの2本のリンクを配設し、前記2本のリンク中の掘削原点側の第1リンクに取り付けた3個の加速度センサによって求めた重力ベクトルの方向から前記第1リンクの姿勢と、前記第1リンクと第2リンクの接続点の位置を求め、前記第1リンクと該第1リンクに接続される掘削原点とは反対側の前記第2リンクのなす角を測定して、これらの観測量から前記第2リンクの姿勢を求め、リンク1本分掘り進んだときに2本のリンクが同一経路を通過していれば前ステップの前記第2リンクの姿勢及び位置と前記第1リンクの姿勢及び位置が等しくなることを利用して前記配管内のリンク先端の座標を逐次求めることを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の地中位置検知システムにおいて、前記第2リンクの先端に配置される掘削装置と光学測量器をクローラドリルなどの共通架台上に設置し、前記光学測量器の視準により位置検知装置の掘削開始時の姿勢を自動的に算出することを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の地中位置検知システムにおいて、前記配管の外部を絶縁し、この配管を信号路に、大地を帰線とした、ケーブルを用いない地中位置計測情報を伝送することを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の地中位置検知システムにおいて、前記配管の内部に絶縁層と導通層を設け、この導通層を信号路に、前記配管を帰線とする、ケーブルを用いない地中位置計測情報を伝送することを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕記載の地中位置検知システムにおいて、位置検知装置(地下)側に発音体を配設し、この発音体からの変調された音波信号を地上側の受音体で受けて、位置検知情報を伝送することを特徴とする。
〔6〕地中位置検知システムであって、上記〔3〕、〔4〕又は〔5〕記載の地中位置計測情報の伝送方式を組み合わせて用いることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)配管(パイプ)の回転にもかかわらず、配管の先端部位を的確に検知することができる。
(2)水平ボーリング(HDD)における掘削方向制御を、ジャイロコンパスを用いずに簡便に構築することができる。
(3)地上誘導が不要になる。
本発明の水平ボーリング工法に用いる地中位置検知システムは、回転しながら掘進する配管内に長手方向の回転を拘束して接続した同じ長さの2本のリンクを配設し、前記2本のリンク中の掘削原点側の第1リンクに取り付けた3個の加速度センサによって求めた重力ベクトルの方向から前記第1リンクの姿勢と、前記第1リンクと第2リンクの接続点の位置を求め、前記第1リンクと該第1リンクに接続される掘削原点とは反対側の前記第2リンクのなす角を測定して、これらの観測量から前記第2リンクの姿勢を求め、リンク1本分掘り進んだときに2本のリンクが同一経路を通過していれば前ステップの前記第2リンクの姿勢及び位置と前記第1リンクの姿勢及び位置が等しくなることを利用して前記配管内のリンク先端の座標を逐次求める。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、システム設計の前提となるシステム設計にあたって以下の仮定を置く。
(1)装置はクローラドリルなどの準固定的な台(共通架台)の上に架設され、掘削機と到達目標の位置関係は測定できるものとする。
(2)推進距離に対して0.5%以下の誤差を目標とする。
(3)測定器は配管(パイプ)と一緒に回転するものとする。
(4)配管(パイプ)は弾性により曲がるものとする。
次に、測定原理について説明する。
まず、装置構成と座標系の定義について説明する。
図1は本発明の地中位置検知システム(配管は図示なし)の模式図、図2は本発明の地中位置検知システムの座標系の説明図である。
図1に示すように、配管の管壁(図示なし)に対して支持されるジョイントを持つ2本のリンクL1 ,L2 で構成する。ジョイントJ1 は、配管の管壁に対しピッチ、ヨーの自由度を持ち、ロール回転を許さない。ジョイントJ2 はリンクL1 に対してリンクL2 をロールに対して剛に、かつ配管に対して長手方向に自由に保持する。ジョイントJ3 は配管の管壁に対してリンクL2 を回転可能に、かつ配管に対して長手方向に自由に支持する。
リンクL1 とリンクL2 の相対角はエンコーダ1,2で測定する。リンクL1 の座標軸(xA ,yA ,zA )の方向に向けて加速度センサ3を配置し、水平面に対するリンクL1 の姿勢を測定する。
図2に示すように、リンクL1 に固定された座標系をA座標系、リンクL2 に固定された座標系をB座標系、掘削原点Oから到達点に向かうベクトルの水平面への投影をx軸(xC )、重力加速度ベクトルをz軸(zC )、zC ×xC をy軸(yC )とする座標系をC座標系(グローバル座標系)とする。
図3は本発明の配管を有する地中位置検知システムの模式図である。
この図において、P1 は掘削原点側の第1の配管、P2 は掘削原点から離れている側の第2の配管、L1 掘削原点側の第1のリンク、L2 掘削原点から離れている側の第2のリンク、11は掘削機、12は共通架台、13は光学測量器である。
そこで、初期姿勢・リンク先端位置の計測について説明する。
(1)掘削機11と同一共通架台12上にセットされたセオドライトで目標を視準し、測定した角度を用いて掘削開始点Oから目標に向かう方向の単位ベクトルU0を求める。掘削機11の方向調整は鉛直軸回りになされるものとする。
(2)座標系の定義より、
C =G …(1)
C =(G×U)/|G×U| …(2)
C =yC ×zC …(3)
(3)掘削開始時点におけるリンクL1 の主軸方向単位ベクトルV1 は掘削機の主軸方向単位ベクトルV0 に一致しているものとする。
1 =V0 …(4)
また、掘削機が鉛直軸回りに回転することから、C座標上でψのヨー角を持つ掘削機のy軸方向上の単位ベクトルはz軸回り回転変換をRzとして次式(5)で表される。
Figure 0005031623
…(5)
(4)A座標軸上で表した重力加速度方向の単位ベクトルgA は3個の加速度センサ3の出力から次式(6)で構成される。
Figure 0005031623
…(6)
ax:x軸方向加速度、ay:y軸方向加速度、az:z軸方向加速度、g:重力加速度(9.8m/s2
また、A座標系で表したV1
Figure 0005031623
…(7)
0 はGおよびV0 と直交しているからA座標上で表したJ0
0A=(gA ×V1A)/|gA ×V1A| …(8)
(5)A座標系からC座標系への変換行列RACをC座標からA座標への変換行列をRCAとすると、上記式(1),(4)〜(8)により、次式(9)、(10)が得られる。
[V0 G J0 ]=RAC[V1AA 0A
AC[V1AA 0A][V0 G J0 -1 …(9)
CA=RAC -1 …(10)
(6)リンクL1 の先端座標P1 は上記式(9)より、リンク長をl、出発座標をP0 として、式(11)となる。
Figure 0005031623
…(11)
(7)リンクL1 からみたリンクL2 のピッチ角をθ、ヨー角をψとし、y軸回りの回転変換行列をRy 、z軸回りの回転変換行列をRz とする。RACの各列はそれぞれA座標x,y,z軸上の単位ベクトルの成分を示すから、この単位ベクトルをピッチ、ヨー回転変換とするとリンクL2 の姿勢が求まる。これをRBCとする。この主軸方向上の単位ベクトルをV2 とする。
BC=Rz y AC …(12)
CB=RBC -1 …(13)
Figure 0005031623
…(14)
このときB座標上で見た重力ベクトルの方向は
Figure 0005031623
…(15)

次に、第2ステップ以降の姿勢・位置計測について説明する。
(1)nステップのL1 リンク姿勢
1リンクの長さ分、掘削するとリンクL1 の元端は前回のリンクL1 先端座標P1 n-1 点に来ている。リンクL1 がリンクL2 の軌跡をトレースしていれば、このときリンクL1 の主軸方向単位ベクトルV1nは前回のリンクL2 の主軸方向単位ベクトルV2n-1と同じになる。
1n=V2n-1 …(16)
直前に求めたB座標上の重力加速度方向ベクトルgBn-1を、加速度センサ3の測定から求めた重力加速度方向単位ベクトルをgAnとすると、nステップの座標系An はn−1ステップの座標系Bn-1 に対してロール角だけが異なるから、Bn-1 の主軸回りに座標系を回転してgBn-1とgAnが最も近づく角度を探せばよい。よって、次式(17)のθを求める。
θ=argmin〔gAn・(rot(V1n,θ)gBn-1)〕 …(17)
このとき、リンクL1 の姿勢は、前ステップのリンクL2 の姿勢をV1n回りにθだけ回転したものであるから、前ステップのリンクL2 の姿勢を用いてC座標上で示すと、次式(18)となる。
ACn =rot(V1n,θ)RBCn-1 …(18)
なお、ここで、rot(V,θ)は、ベクトルVを中心としてθだけ回転する回転変換行列である。
(2)リンクL1 の先端座標P1nは次式(19)の逐次式で示される。
Figure 0005031623
…(19)
(3)リンクL2 の姿勢計算
上記式(12)〜(15)を用いて、nステップの姿勢RBCn 、主軸方向ベクトルV2n、重力加速度ベクトルgBnを求める。
(4)以上を繰り返し、逐次の座標と姿勢を求めていく。
次に、情報伝送路の構築について説明する。
水平ボーリング(HDD)工法では配管が回転するため、情報伝送するためにケーブルを用いると、ねじれて絡んでしまう。すなわち、一般的なケーブルでは安定して地上へ計測器からの情報を伝送するのが難しいと考えられる。
電源供給については1回の作業時間が短いことから、バッテリーを搭載することでケーブルを使用しないことが可能であるが、情報伝送は、何らかの伝送経路がないとシステムが成立しない。
したがって、以下のような方策を採用する。
(1)図4は本発明の地中位置検知システムの第1の情報伝送方式の模式図である。
この図において、21は配管、22はその配管21の外周面に形成される絶縁層、23は配管21のねじ部である。例えば、ねじ部23を除く配管21の外周部をエポキシ樹脂等で絶縁する。
そこで、配管21を信号経路として用い、帰線は大地を使う。
(2)図5及び図6は本発明の地中位置検知システムの第2の情報伝送方式の模式図であり、図5はその配管の断面図、図6はその配管の接続継手の模式図である。
この図において、31は配管、32は配管31の内周面に形成される絶縁層、33はその絶縁層32上に形成される導通層、34は接続継手であり、図6に示すように、配管の継手部分においては、各配管が接続継手34によって電気的接続が行われている。
このように、配管31内面に絶縁層32と導通層33が形成される。配管31の継手部分は絶縁しておき、端部にキャップをはめて、配管31をねじ込んだときに導通層33同士が接続されるようにする。帰線は大地を用いる。
なお、上記した地中位置検知システムの第1の情報伝送方式と地中位置検知システムの第2の情報伝送方式とは組み合わせて用いるようにしてもよい。
図7は本発明の地中位置検知システムの第3の情報伝送方式の模式図である。 この図において、41は配管、42は位置検知装置、43は変調音波発生器、44は配管41の位置検知装置42(地下A)側に配置される発音体としてのスピーカー、45は配管41の地上B側に配置される受音体としてのマイク、46は変調音波である。なお、変調音波発生器43はスピーカー44から発音される変調音波を生成する。つまり、伝送信号により変調音波発生器43で可聴帯域に近い超音波が変調され、その変調音波46が配管41内を地下側から地上側へと伝搬される。
このように、伝送信号により可聴帯域に近い超音波が変調音波発生器43で変調されて搬送波となり、位置検知装置42からの位置検知情報を搬送波としての変調音波46に重畳し、この変調音波を発音体であるスピーカー44で発音して、配管41内を音波の形で伝送することにより、位置検知装置42からの位置検知情報をマイク44で受信することができる。
変調方式としては伝送情報の「1」,「0」に対して振幅レベルを変えるASK方式(Amplitude Shift Keying)や、周波数を変えるFSK方式(Frequency Shift Keying)等を用いる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の地中位置検知システムは、ジャイロコンパスレスで、構造が簡便な水平ボーリング工法に利用可能である。
本発明の地中位置検知システム(配管は図示なし)の模式図である。 本発明の地中位置検知システムの座標系の説明図である。 本発明の配管を有する地中位置検知システムの模式図である。 本発明の地中位置検知システムの第1の情報伝送方式の模式図である。 本発明の地中位置検知システムの第2の情報伝送方式の配管の断面図である。 本発明の地中位置検知システムの第2の情報伝送方式の配管の接続継手の模式図である。 本発明の地中位置検知システムの第3の情報伝送方式の模式図である。 従来の水平ボーリング(HDD)工法を示す模式図である。
符号の説明
1 掘削原点側の第1のリンク
2 掘削原点から離れた側の第2のリンク
1 ピッチエンコーダ
2 ヨーエンコーダ
3 加速度センサ
1 掘削原点側の第1の配管
2 掘削原点から離れている側の第2の配管
11 掘削機
12 共通架台
13 光学測量器
21,31 配管
22 配管の外周面に形成される絶縁層
23 配管のねじ部
32 配管の内周面に形成される絶縁層
33 絶縁層上に形成される導通層
34 接続継手
41 配管
42 位置検知装置
43 変調音波発生器
44 発音体としてのスピーカー
45 マイク
46 変調音波

Claims (6)

  1. 水平ボーリング工法に用いる地中位置検知システムにおいて、回転しながら掘進する配管内に長手回りの回転を拘束して接続した同じ長さの2本のリンクを配設し、前記2本のリンク中の掘削原点側の第1リンクに取り付けた3個の加速度センサによって求めた重力ベクトルの方向から前記第1リンクの姿勢と、前記第1リンクと第2リンクの接続点の位置を求め、前記第1リンクと該第1リンクに接続される掘削原点とは反対側の前記第2リンクのなす角を測定して、これらの観測量から前記第2リンクの姿勢を求め、リンク1本分掘り進んだときに2本のリンクが同一経路を通過していれば前ステップの前記第2リンクの姿勢及び位置と前記第1リンクの姿勢及び位置が等しくなることを利用して前記配管内のリンク先端の座標を逐次求めることを特徴とする地中位置検知システム。
  2. 請求項1記載の地中位置検知システムにおいて、前記第2リンクの先端に配置される掘削装置と光学測量器をクローラドリルなどの共通架台上に設置し、前記光学測量器の視準により位置検知装置の掘削開始時の姿勢を自動的に算出することを特徴とする地中位置検知システム。
  3. 請求項1記載の地中位置検知システムにおいて、前記配管の外部を絶縁し、該配管を信号路に、大地を帰線とした、ケーブルを用いない地中位置計測情報を伝送することを特徴とする地中位置検知システム。
  4. 請求項1記載の地中位置検知システムにおいて、前記配管の内部に絶縁層と導通層を設け、該導通層を信号路に、前記配管を帰線とする、ケーブルを用いない地中位置計測情報を伝送することを特徴とする地中位置検知システム。
  5. 請求項1記載の地中位置検知システムにおいて、位置検知装置(地下)側に発音体を配設し、該発音体からの変調された音波信号を地上側の受音体で受けて、位置検知情報を伝送することを特徴とする地中位置検知システム。
  6. 請求項3、4又は5記載の地中位置計測情報の伝送方式を組み合わせて用いることを特徴とする地中位置検知システム。
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