JP2014041117A - 地中掘削位置を計測する方法、地中掘削位置計測装置及び非開削工法用掘削システム - Google Patents

地中掘削位置を計測する方法、地中掘削位置計測装置及び非開削工法用掘削システム Download PDF

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JP2014041117A JP2013156174A JP2013156174A JP2014041117A JP 2014041117 A JP2014041117 A JP 2014041117A JP 2013156174 A JP2013156174 A JP 2013156174A JP 2013156174 A JP2013156174 A JP 2013156174A JP 2014041117 A JP2014041117 A JP 2014041117A
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秀樹 水永
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Abstract

【課題】オープンカットせずに地中を掘削する非開削工法において、建造物等の障害物がある箇所であっても、簡易な構成の位置計測手段を用いてボーリング先端位置を正確に計測する方法を提供する。
【解決手段】掘削先端にある掘削ビット20に一体的に備えられた姿勢検知センサ22により地中掘削の各時点において測定して得られた姿勢角と、予め地表において姿勢検知センサ22での測定により得られた基準方向となる鉛直線に対する重力の方向の偏倚角とからその時点での姿勢検知センサ22の姿勢角を求め、逐次ロッド10を継ぎ足すごとに姿勢検知センサ22の姿勢角に応じた掘削方向と各ロッド10の長さとから各ロッド10の継ぎ足しに応じた掘削先端の進行変位量を求め、各ロッド10の継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、地中掘削位置を計測する方法、地中掘削位置計測装置及び非開削工法用掘削システムに関する。
非開削工法は地面をオープンカットすることなく水道管、ガス管等を埋設することができる省エネタイプの掘削工法であり、地震による液状化対策として既設建造物直下の地盤改良工事にこの非開削工法の活用が期待されてもいる。
一方で、非開削工法において、地面を開削することなく設定した進路にボーリングを行うためにはボーリング先端のビットの位置を常に地上から把握する必要がある。従来非開削工法用のボーリング先端のビットの位置計測は地中におけるボーングツール先端に取り付けたセンサから発する電磁信号を真上の地表で受信しビットの位置を推定するという計測方法が用いられている。しかしながら、この計測方法では、計測位置の真上に建造物や河川等の傷害物がある状況ではビットの位置を計測できないものである。
従来において、地中の位置計測装置として、例えば特許文献1に開示されるものがある。これは、水中、地中等の入り組んだ空間などでの走行体に加速度計とジャイロとを備え、ジャイロにより計測した角速度と、加速度計により計測した加速度とを用いた演算により位置を求めるものである。特許文献2においては、装置本体内に円錐形状の被測定面を有する被測定体を円錐頂点方向の支点で自由傾斜可能に保持し、円錐形状の被測定面に向けてレーザを照射する発光部及び受光部による変位計測計を備え、相対距離の変位を解析して被計測面の傾斜方向を求める方位傾斜計測の方法、装置について開示されている。また、特許文献3には、多重管の外側から2番目に取り付けられたジャイロスコープのローリング角を検出し、ローリング角が所定角度以上になった時にクラッチを断切してローリング角を除去する掘削位置検出について記載されている。
特開平3−285111号公報 特開2005−3641号公報 特開2002−220986号公報
今後地震による液状化対策のために既存建造物の地下を地盤改良して地盤沈下対策を行う工事の必要性が高まると考えられるが、このような工事のためには建造物直下の目的地までピンポイントでボーリングをする必要がある。そのような状況において、建造物等の障害物がある箇所でもボーリング先端位置を正確に特定しボーリングできるようにすること、オープンカットせずにコストのより少ない非開削による工法が強く求められているが、現状において傷害物直下を精度よく位置計測できる安価な計測装置を有する掘削システムは実現していない。
特許文献1のように加速度計、ジャイロを備えた位置計測装置を用いることにより障害物直下における位置を計測可能になるが、ジャイロを用いる際に、ジャイロを回転状態で使用する必要があり、実際の非開削工法において利用する上での精度上の問題点は解消されない。特許文献2に開示のものは、測定手段として回転走査を行う部分を含み、被測定体の支持形態として大きな傾斜角度をとることはできず、地中の掘削位置を計測するという課題に適用されているものでもない。また、特許文献3によるものは、掘削位置を検出するものであるが、ジャイロを用いるものであることから、実際の非開削工法において利用する上での精度上の難点を有する。本発明は、このような状況において、建造物等の障害物がある箇所でもボーリング先端位置を正確に特定してボーリングできるようにし、オープンカットせずにコストのより少ない非開削工法とするための地中掘削位置を計測する方法、地中掘削位置計測装置及び非開削工法用掘削システムを提供することを目的とする。
本発明は前述した課題を解決すべくなしたものであり、請求項1に係る発明による非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法は、ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムによる地中掘削時の掘削位置を計測する際に、掘削先端にある掘削ビットに一体的に備えられた姿勢検知センサを用いて地中の掘削位置を計測する方法であって、
地表において特定の姿勢にある姿勢検知センサでの測定により基準方向となる地表で設定された水平面への鉛直線に対する重力の方向の偏倚角を求めることと、前記求められた重力の方向の偏倚角と地中掘削の各時点において姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角とからその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めることと、地中掘削に際し逐次ロッドを継ぎ足すごとに前記求められた姿勢検知センサの姿勢角に応じた掘削方向と各ロッドの長さとから各ロッドの継ぎ足しに応じた掘削先端の進行変位量を求めることと、 各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求めることと、からなるものである。
請求項2に係る発明による非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法は、ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムによる地中掘削時の掘削位置を計測する際に、重力の方向が地表で設定された水平面への鉛直線の方向に一致し掘削時にビットが地中における特定の平面内で進行する条件において、掘削先端にある掘削ビットに一体的に備えられた姿勢検知センサを用いて地中の掘削位置を計測する方法であって、地中掘削の各時点において姿勢検知センサでの測定によりその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めることと、 ロッドの継ぎ足しにより掘削ビットが進行した時に姿勢検知センサにより求められた姿勢検知センサの姿勢角を求めることと、により掘削ビットの進行方向変化の角度を求め、各ロッドの継ぎ足しごとにこの手順を反復して掘削ビットの回転角を順次補正し、各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求めるようにしたものである。
請求項3に係る発明による非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法は、請求項1または2のいずれかに係る発明において、地中掘削時において姿勢検知センサでの測定によりその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めるに際し、地表で設定された水平面とそれに対する鉛直線とによる固定座標系に対し該固定座標系の鉛直線を中心として掘削ビットの方向とともに回転する座標系における姿勢検知センサの姿勢角を求めるものである。
請求項4に係る発明による非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法は、請求項1ないし3のいずれかに係る発明において、前記姿勢検知センサが重力加速度を測定する加速度センサであるようにしたものである。
請求項5に係る発明による非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法は、請求項1ないし3のいずれかに係る発明において、前記姿勢検知センサが傾斜センサであるようにしたものである。
請求項6に係る発明による非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置は、
ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムにおける地中掘削時の掘削位置計測装置であって、姿勢検知センサと、前記姿勢検知センサにより測定された姿勢角のデータを演算処理して掘削時における前記姿勢検知センサの姿勢角を求める演算処理装置とを掘削先端にある掘削ビット内に一体的に備えてなり、前記演算処理装置は、地表において特定の姿勢にある前記姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角から基準方向となる地表で設定された水平面への鉛直線に対する重力の方向の偏倚角を求め、前記求められた重力の方向の偏倚角と地中掘削の各時点において前記姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角とからその時点での前記姿勢検知センサの姿勢角を求め、地中掘削に際し逐次ロッドを継ぎ足すごとに求められた前記姿勢検知センサの姿勢角に応じた掘削方向と各ロッドの長さとから各ロッドの継ぎ足しに応じた掘削先端の進行変位量を求め、各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求める演算を行うものである。
請求項7に係る発明による非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置は、ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムにおける地中掘削時の掘削位置計測装置であって、姿勢検知センサと、前記姿勢検知センサにより測定された姿勢角のデータを演算処理して掘削時における前記姿勢検知センサの姿勢角を求める演算処理装置とを掘削先端にある掘削ビット内に一体的に備えてなり、前記演算処理装置は、重力の方向が地表で設定された水平面への鉛直線の方向に一致し掘削時にビットが地中における特定の平面内で進行する条件において、地中掘削の各時点において前記姿勢検知センサでの測定により求められた姿勢角からその時点での前記姿勢検知センサの姿勢角を求め、ロッドの継ぎ足しにより掘削ビットが進行した時に前記姿勢検知センサにより求められた前記姿勢検知センサの姿勢角を求めることにより掘削ビットの進行方向変化の角度を求め、各ロッドの継ぎ足しごとにこの手順を反復して掘削ビットの回転角を順次補正し、各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削過程での新たな位置を求める演算を行うものである。
請求項8に係る発明による非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置は、
請求項6または7のいずれかに係る発明において、前記演算処理装置は、地中掘削時において前記姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角からその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めるに際し、地表で設定された水平面とそれに対する鉛直線とによる固定座標系に対し該固定座標系の鉛直線を中心として掘削ビットの方向とともに回転する座標系における姿勢検知センサの姿勢角を求めるものである。
請求項9に係る発明による非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置は、
請求項6ないし8のいずれかに係る発明において、前記姿勢検知センサが重力加速度を測定する加速度センサであるようにしたものである。
請求項10に係る発明による非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置は、請求項6ないし8のいずれかに係る発明において、前記姿勢検知センサが傾斜センサであるようにしたものである。
請求項11に係る発明による非開削工法用掘削システムは、請求項6ないし10のいずれかに係る発明による地中掘削位置計測装置を備えているものである。
本発明では、掘削先端にある掘削ビット内に姿勢検知センサを一体的に備え、地中掘削時において姿勢検知センサでの測定によりその時点での基準方向からの姿勢角を求め、掘削ごとに逐次求められた進行位置変位量を積算して掘削位置を計算し求めるようにしており、センサとしては静的な測定手段である姿勢検知センサのみを用い、ジャイロのような回転状態で測定するセンサを要することなく、非開削工法において、簡易な形態・構成により正確に掘削位置を計測できるものである。
図1は、非開削工法用掘削システムの概略構成を示す図である。 図2は、掘削ビットの構成を示す図である。 図3は、加速度センサで測定される重力加速度が座標系に対して偏倚する状態を示す図である。 図4(a)は、加速度センサをx軸中心にωだけ回転させた時の加速度センサの3方向成分の方向ベクトルの方向を示す図である。図4(b)は、(a)の状態から加速度センサをy軸中心にθだけ傾けた時の加速度センサの3方向成分の方向ベクトルの方向を示す図である。 図5は、グローバル座標系とローカル座標系との関係を示す図である。 図6は、円弧近似による掘削位置の計算について説明する図である。 図7は、折れ線近似による掘削位置の計算について説明する図である。 図8は、掘削位置の計算の工程を示すフロー図である。 図9は、重力の方向が鉛直方向に対し偏倚していない場合に掘削位置を求めるに際しグローバル座標系とローカル座標系との関係を示す図である。 図10は、重力の方向が鉛直方向に対し偏倚していない場合における掘削位置の計算の工程を示すフロー図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の非開削工法用掘削システムにおける位置計測装置は、建造物等の障害物がある箇所でもオープンカットせずに、ボーリング先端位置を正確に特定してボーリングできるように位置計測を行うものである。
〔非開削工法用掘削システム〕
本発明による位置計測装置を備えた非開削工法用掘削システムは図1に示されるような概略構成を有する。非開削工法用掘削システム1は、掘削用のロッド10、ロッド10の先端に装備された掘削ビット20を備えており、ロッドを継ぎ足しつつ掘削ビットにより地中を掘削し推進させていく。30は制御モニター部である。掘削ビット20内には本発明による位置計測装置が一体的に備えられ、ロッド10を介して位置計測データが制御モニター部に伝送される。
位置計測装置は掘削ビット内に一体的に備えられた、地中での掘削ビットの基準方向からの角度(姿勢)を検知する姿勢検知センサにより検知された姿勢をもとに地中での掘削位置を計算していくものであり、ここでは、姿勢検知センサとして重力加速度を計測する加速度センサを用いた場合について説明する。
図2は掘削ビット20の構成を概略的に示している。21は掘削工具部であり、その内部に一体的に加速度センサ22、電源部23、信号処理・送信部24が一体的に収納され、位置計測データはロッド10を介して伝送される。掘削ビット内における加速度センサ22、電源部23、信号処理・送信部24は防振機構を介して装備される。
〔位置計測手法〕
本発明においては、3軸方向の加速度を計測する加速度センサを用いて掘削先端位置を求めるのであり、加速度センサを用いた地中の掘削位置計測について説明する。
本発明による地中の掘削位置計測において加速度センサが位置計測対象となる掘削ビットに一体的に備えられ、地中掘削時における掘削ビットの姿勢を加速度センサにより計測し、それを用いて掘削ビットの位置を求めるものである。
(a)加速度センサを用いた計測
用いる加速度センサは3軸方向の加速度を検出するものであり、加速度センサが静止している状態では加速度センサは重力の加速度のみを検出する。z軸を鉛直方向とし、それに垂直な平面内でx軸を南北方向に、y軸を東西方向にとると、重力の方向がz軸と一致すれば、重力加速度はz軸方向の成分のみであり、x軸,y軸方向の成分はないことになる。しかし、実際に地中掘削を行う際に地上で設定された水平面に対して、重力の方向は通常その水平面への垂線の方向とは一致しない。また、重力の方向は、地球の形状が真円でないことによって、地表の各地点に応じて異なった方向になる。
このようなことから、一般的に地表で設定された水平面内に加速度センサのx軸,y軸を合わせた場合に、加速度センサのz軸は重力の方向と正確には一致しない。すなわち、重力の方向は加速度センサのz軸から偏倚しており、x軸,y軸方向は0でない成分を有することになる。図3はこの状況を示すものであり、ある地点において規定されたxyz座標系のもとで、加速度センサで測定される重力加速度ベクトルgの向きが鉛直方向のz軸から角度αだけ偏倚しており、この偏倚の方向はz軸に垂直なxy平面内ではx軸(N)の向きから角度βをなしている。このように重力加速度ベクトルgがz軸から偏倚していることから、重力加速度の絶対値をgとすると、xyz座標系での重力加速度の成分をg,g,gとして、重力加速度ベクトルgは、
=(g,g,g
=(gsinαcosβ,gsinαsinβ,gcosα)……(1)
となる。
次に、3軸方向の加速度を検出する加速度センサがxyz座標系においてある角度姿勢をとる時の重力加速度ベクトルについて考える。加速度センサにおける3方向成分の方向ベクトルをそれぞれi,j,k(ベクトル量)とし、最初に加速度センサのi方向をx軸の+方向に、加速度センサのj方向をy軸の+方向に、センサのk方向をz軸の−方向に合わせた後に、加速度センサをx軸中心に左回りに角度ωだけ回転させると、i,j,kは図4(a)に示すような位置になる。図4(a)の左半はzx面を示し、右半はyz面を示している。さらに図4(b)に示すように加速度センサをy軸中心に水平面(xy面)から角度θだけ傾ける。図4(b)の左半はzx面を示し右半はyz面を示している。この時、センサの3方向成分の方向ベクトルはそれぞれ、
=(cosθ,0,sinθ) ……(2)
=(sinωsinθ,cosω,−sinωcosθ) ……(3)
=(cosωsinθ,−sinω,−cosωcosθ) ……(4)
となる。
図4(b)に示される角度姿勢にある加速度センサで得られる、図3のように偏倚した重力加速度ベクトルgをxyz座標系で見たものの成分gxs,gys,gzsは、それぞれ重力加速度ベクトルgとセンサの成分方向ベクトルi,j,kとの内積として求められる。すなわち、(1)〜(4)から、
xs=g・i=g(sinαcosβcosθ+cosαsinθ) ……(5)
ys=g・j=g(sinαcosβsinωsinθ+sinαsinβcosω
−cosαsinωcosθ) ……(6)
zs=g・k=g(sinαcosβcosωsinθ−sinαsinβsinω
−cosαcosωcosθ) ……(7)
となる。このように、xyz座標軸に対して角度ω,θで表される角度姿勢にあるセンサにより、xyz座標軸に対しα,βだけ偏倚した重力加速度のi,j,k方向の各成分gxs,gys,gzsがそれぞれ(5),(6),(7)のように得られる。
すなわち、重力加速度の3方向成分は4つのパラメータα,β,ω,θを用いて(5),(6),(7)のように表されるという関係にある。このことから、設定されたxyz座標系のz軸方向に対して加速度センサが示す重力加速度ベクトルgの偏倚角の大きさα,βを求めた上で、ある時点での加速度センサがとる角度姿勢において計測された重力加速度の各成分gxs,gys,gzsから、加速度センサの角度姿勢を表すω,θが求められることになる。
(b)偏倚パラメータの計算
z軸方向からの重力の偏倚を表すパラメータα,βを規格化した重力データから求める。重力の理論値の各成分は、
xs=g(sinαcosβcosθ+cosαsinθ) ……(5)
ys=g(sinαcosβsinωsinθ+sinαsinβcosω
−cosαsinωcosθ) ……(6)
zs=g(sinαcosβcosωsinθ−sinαsinβsinω
−cosαcosωcosθ) ……(7)
であるが、これらをg=(gxs 2+gys 2+gzs 21/2で規格化した重力値の各成分は、
xs′=sinαcosβcosθ+cosαsinθ ……(8)
ys′=sinαcosβsinωsinθ+sinαsinβcosω−cosαsinωcosθ……(9)
zs′=sinαcosβcosωsinθ−sinαsinβsinω−cosαcosωcosθ……(10)
となる。
以下では、規格化した上記の式を使って計算を行う。加速度センサの角度姿勢を表すθとωがわかれば、式(8)〜(10)からαとβを求めることができる。
まず、gxs′の式(8)をcosβについて解くと、
cosβ=(gxs′−cosαsinθ)/(sinαcosθ) ……(11)
となり、この式を(9)、(10)にそれぞれ代入すると、
ys′=(gxs′−cosαsinθ)tanθsinω+sinαsinβcosω
−cosαsinωcosθ ……(12)
zs′=(gxs′−cosαsinθ)tanθcosω−sinαsinβsinω
−cosαcosωcosθ ……(13)
(12)、(13)をcosαについて解き、整理すると
cosα=gxs′sinθ−gys′sinωcosθ−gzs′cosωcosθ ……(14)
となり、sinβについて解き、整理すると、
sinβ=(gys′cosω−gzs′sinω)/sinα ……(15)
となる。
(14)により、gxs′,gys′,gzs′、傾き角ω、回転角θからcosαが求められ、逆余弦によりαが求められる。さらに、(15)から逆正弦によりβが求められる。
実際の測定から重力の偏倚角α,βを求めるには、地表で設定された水平面によるx,y,z座標系において加速度センサが予め選定した傾き角θ、回転角ωにある時に重力値(gxs,gys,gzs)を測定し、その重力値から(14),(15)を用いてαとβを計算すればよい。このとき、(14),(15)においてθ=θ、ω=ωとしてα,βを求めることになる。
式(11),(15)において、αが0の場合にはβが定まらないことになる。このようになる確率は非常に低いものであるが、αが0になる場合に、地表において設定平面を若干傾斜させαが0にならないようにする。なお、αが0の場合、すなわち重力の方向が設定された座標系(xyz)のz方向に対し偏倚していない場合については、掘削方向との関係から後述する。
(c)グローバル座標系、ローカル座標系
加速度センサは掘削ビット内に一体的に取り付けられ、掘削ビットとともに地中を進行する。地中にある加速度センサにより掘削位置を求めるために、地中で掘削ビットとともに変化するローカル座標系をもとにして考える。地表で設定されたxyz座標系をグローバル座標系とし、地中でのx′y′z′座標系としては、z′軸をz軸と共通にとる。それによりx′y′面はxy面と平行になる。z軸(z′軸)を中心として掘削ビットの進行方向を地表面(xy面)に投影した方向をx′軸にとり、これに垂直方向をy′軸としたx′y′z′座標系をローカル座標系とする。すなわち、ローカル座標系はz′軸(z軸)を中心に掘削ビットとともに回転する座標系である。
図5はグローバル座標系とローカル座標系との関係を示している。グローバル座標系のxy面は地表で設定される水平面であり、地中を掘削する掘削ビットの方向BDのxy面への射影の方向をx′軸とし、これに垂直な方向をy′軸とする。x′軸、y′軸はz軸を中心とする掘削ビットの回転角Δβだけそれぞれx軸、y軸から回転している。図3の場合と同様にxyz座標系でのz軸方向に対する重力ベクトルgの偏倚角をαとし、xy面における成分gがx軸となす角をβとし、gがx′軸となす角をβとすると、β=β−Δβである。
地中での位置計測に関してはこのようなローカル座標系をもとにして考える。グローバル座標系とローカル座標系との違いはz軸を中心とした回転だけであり、前述した式(1)〜(15)はグローバル座標系とローカル座標系とにおいてともに成立する。
(d)加速度センサの姿勢角の計算
x軸中心に左回りに角度ωだけ回転しy軸中心にxy面から角度θだけ傾いた姿勢にある加速度センサの3方向成分の方向ベクトルi,j,kをグローバル座標系で見たものは前述したように
=(cosθ,0,sinθ) ……(2)
=(sinωsinθ,cosω,−sinωcosθ) ……(3)
=(cosωsinθ,−sinω,−cosωcosθ) ……(4)
で表される。方向ベクトルの成分標記はローカル座標系においても同様に考えられる。加速度センサの3方向成分の方向ベクトルをローカル座標系(x′y′z′)で表したものをi′,j ,k′とし、それらがそれぞれ式(2)、(3)、(4)の右辺の形で表されているとした場合、すなわち加速度センサがx′軸中心に左回りに角度ωだけ回転しy′軸中心にx′y′面から角度θだけ傾いた姿勢にある場合
′=(cosθ,0,sinθ) ……(2)′
′=(sinωsinθ,cosω,−sinωcosθ) ……(3)′
′=(cosωsinθ,−sinω,−cosωcosθ) ……(4)′
となる。
この方向ベクトルi′,j ,k′をグローバル座標系(xyz)で見たものをi,j,kとすると、図5のようにx軸、y軸がそれぞれx′軸、y′軸に対してz軸(z′軸)を中心に左回りにΔβだけ回転したものになっていることから、i′,j′,k′に対しz軸(z′軸)を中心に右回りにΔβだけ回転させる操作(R)を施したものになる。すなわち、
=R・i′,j=R・j′,k=R・k
となり、ローカル座標系(x′y′z′)で式(2)、(3)、(4)の形にあるi′,j′,k′をグローバル座標系(xyz)で見た場合のi,j,kの成分は次のようになる。
=(cosθcosΔβ, cosθsinΔβ, sinθ) ……(16)
=(sinωsinθcosΔβ−cosωsinΔβ, sinωsinθsinΔβ
+cosωcosΔβ, −sinωcosθ) ……(17)
=(cosωsinθcosΔβ+sinωsinΔβ, cosωsinθsinΔβ
−sinωcosΔβ, −cosωcosθ) ……(18)
加速度センサから得られた重力加速度データからΔβ,θ,ωを求めることについて説明する。重力の絶対値gで規格化した重力加速度の各成分は次の式(8)〜(10)で表される。
xs′=sinαcosβcosθ+cosαsinθ ……(8)
ys′=sinαcosβsinωsinθ+sinαsinβcosω−cosαsinωcosθ ……(9)
zs′=sinαcosβcosωsinθ−sinαsinβsinω−cosαcosωcosθ ……(10)
式(8)〜(10)が地中において加速度センサで測定される重力加速度に関するものであるとして、α,β,ω,θを含むこれらの式はローカル座標系によるものである。α,βについては、地上で設定された水平面によるグローバル座標系において予め選定した傾き角θ、回転角ωにある時に測定された重力加速度から求められ、ローカル座標系でのz′軸はグローバル座標系でのz軸と共通することによりαは不変であるが、βは掘削とともにローカル座標系でのx′軸、y′軸が回転していくことに伴って初期値から変化する。このことから、式(8)〜(10)における未知のパラメータはβ,ω,θの3つである。
y成分の式(9)とz成分の式(10)とをsinω、cosωについて解いて、sin2ω+cos2ω=1の関係を用いてωの項を消去すると、以下の式が得られる。
{(sinαcosβsinθ−cosαcosθ)gys′−sinαsinβgzs′}2
+{sinαsinβgys′+(sinαcosβsinθ−cosαcosθ)gzs′}2
={(sinαcosβsinθ−cosαcosθ)2+(sinαsinβ)22 ……(19)
式(19)における未知パラメータはβ,θの2つであり、x成分についての式(8)と式(19)とからβ,θを求めることもできるが、これらの式は三角関数を含むために非線形性が強く、解が安定しない。そこで、掘削の際に逐次ロッドを継ぎ足していき測定する過程で、ある時点の掘削の方向、すなわち加速度センサの各方向がその直前の掘削の方向から急激に大きく変化しないことを考慮し、一つ前の測定で得られた過去の値(β、θ)を用い、変化量β′=β+Δβ、θ′=θ+Δθとしてβ′、θ′を次の式から求める。
{(sinαcosβ′sinθ′−cosαcosθ′)gysNEW′−sinαsinβ′gzsNEW′}2
+{sinαsinβ′gysNEW′+(sinαcosβ′sinθ′−cosαcosθ′)gzsNEW′}2
={(sinαcosβ′sinθ′−cosαcosθ′)2+(sinαsinβ′)22 ……(20)
xsNEW′=sinαcosβ′cosθ′+cosαsinθ′ ……(21)
式(20)、(21)からβ′、θ′を求め、それによりΔβ、Δθを求め、逐次βとθを更新していくことにより、掘削の全過程におけるβ、θを求めることができる。求められたβ、θからビットの回転角ωは次の式を用いて求められる。
Figure 2014041117
Figure 2014041117
(e)掘削先端位置の推定
掘削による地中への掘削ビットの進行に応じた掘削先端位置を求めるに際し、ロッドの継ぎ足し時に掘削ビットと一体的に設けられた3軸加速度センサで重力加速度をその都度測定して掘削先端位置を求める。
図6は円弧による掘削先端位置の近似を示す図である。一つ前の掘削地点をQ、現在の掘削地点をQn+1とする。各地点における掘削方向は前述したように加速度センサで測定された重力加速度データから求められたβ,θ,ωをグローバル座標系(xyz)で表したものとして与えられ、地点Q、Qn+1における掘削方向を示す単位ベクトルをそれぞれe、en+1とする。e、en+1は近似的に同一平面内にあるとする。図6において、CはQ、Qn+1における接線方向がそれぞれe、en+1になるような円弧Qn+1の中心であり、Oは基準点(原点)であり、R、Rn+1はそれぞれ円弧Qn+1の中心Cから地点Q、Qn+1までの位置ベクトルであり、Pは基準点Oからの位置ベクトルである。Lは掘削長(ロッド1本分の長さ)であり、φは円弧の中心角である。
ロッド1本分の掘削では、掘削方向は大きく変化しないので、円弧の中心角φは次式で表される。
φ=cos-1(en・en+1) ……(24)
また、円弧Qn+1の半径|R|=|Rn+1|=rでありこのr
=L/φ ……(25)
となる。
円弧Qn+1の中心角φと円弧Qn+1の半径rを用いると、位置Qの位置ベクトルRは次の式で求められる。
=(r/tanφ)e−(r/sinφ)en+1 ……(26)
n+1でのCからの位置ベクトルRn+1はRをCを中心にしてφだけ回転させたベクトルであり、次のようになる。
n+1=(e・R)e+{R−(e・R)e}cosφ
−R×esinφ ……(27)
よって、Qn+1での基準点Oからの位置ベクトルPn+1は次式で求められる。
n+1=P−R+Rn+1 ……(28)
また、ロッドの湾曲が小さい場合に、図7に示す場合のように、折れ線による近似とすることができ、その場合に基準点Oからの位置ベクトルPn+1は次式で近似できる。
Figure 2014041117
ここで、Lは区間毎のロッドの長さ、Pは掘削開始位置の位置ベクトルである。
加速度センサを用いた掘削位置の計算の工程をフロー図で示すと、図8のようになる。
(f)重力方向の偏倚がない場合
設定されたグローバル座標系(xyz)のz軸方向に対し重力の方向が偏倚していない場合、すなわちα=0の場合に、前述の式(11)、(15)からβが求められないことになるが、このような場合に、掘削方向を拘束することで進行方向を求めることができるのであり、それについて説明する。図9は、重力の方向がz軸方向から偏倚しない場合におけるグローバル座標とローカル座標との関係を示している。グローバル座標系はxy平面を水平面、z軸を垂直方向としたものであり、重力の方向はz軸と一致している。
加速度センサにおける3方向成分の方向ベクトルをそれぞれi,j,k(ベクトル量)とし、初期位置では加速度センサのi方向がx軸の+方向に、加速度センサのj方向がy軸の+方向に、加速度センサのk方向がz軸の−方向に合致しており、掘削ビットとともに移動した加速度センサがPの位置にある時に、加速度センサがx軸中心に左回りに角度ωだけ回転し、y軸中心に水平面(xy面)から角度θだけ傾いた状態にある。加速度センサの進行方向である方向ベクトルiを水平面(xy面)に投影した方向の単位ベクトルisHはローカル座標系(x′,y′,z′)のx′軸の方向になり、加速度センサがPの位置にある時にx′軸がx軸に対し角度γだけ回転し、y′軸も同様にy軸に対し角度γだけ回転しており、z′軸はz軸と共通である。
加速度センサの3方向成分の方向ベクトルをグローバル座標系で表したものは、次の式(2)〜(4)のようになり、
=(cosθ,0,sinθ) ……(2)
=(sinωsinθ,cosω,−sinωcosθ) ……(3)
=(cosωsinθ,−sinω,−cosωcosθ) ……(4)
また、ローカル座標系で表した3方向成分の方向ベクトルi′,j′,k′のについても同様に
′=(cosθ,0,sinθ) ……(2)′
′=(sinωsinθ,cosω,−sinωcosθ) ……(3)′
′=(cosωsinθ,−sinω,−cosωcosθ) ……(4)′
となる。
規格化した重力ベクトルはg(0,0,1)で表されるので、加速度センサの3方向成分の方向ベクトルが(2)〜(4)で表される時に、加速度センサで得られる重力加速度ベクトル(gxs,gys,gzs)はgとi,j,kとの内積として、
xs=g・i=sinθ ………… (30)
ys=g・j=−cosθsinω ………… (31)
zs=g・k=−cosθcosω ………… (32)
となる。加速度センサで重力の3方向成分が測定できれば、(30)式からθが、(31)式、(32)式からωが次式のように求めることができる。
θ=sin−1(gxs) ………… (33)
ω=tan−1(gys/gzs) ………… (34)
次に、掘削が進行し加速度センサが移動するに際し、加速度センサの進行方向がi−j面内に拘束されると仮定する。Pの位置にあり移動方向がiである加速度センサが小距離だけ進行してその方向がis1になっているとする。方向の関係を見るために、図9ではiとis1との始点を共通にしている。iからis1へはkを中心として角度δだけの回転になるので、進行方向is1は、is1は=icosδ+jsinδから、次式で表される成分をもつベクトルとなる。
s1=(cosθcosδ+sinθsinωsinδ,cosωsinδ,sinθcosδ−cosθsinωsinδ)
………… (35)
加速度センサ移動後の重力のx成分g′は次式で表される。
′=is1・g=sinθcosδ−cosθsinωsinδ ………… (36)
新たな地点での加速度センサのx成分g′が測定されれば、(36)式からδを次式のように求めることができる。
Figure 2014041117
(36)式の変形は、右辺でsinθをA、−cosθsinωをBとし、右辺をCsin(δ+φ)の形に変形することから導かれる。(37)式で求められるδを用いて、方向ベクトルis1の各成分が(35)式から決定できる。
方向ベクトルis1を水平面に投影したベクトルをis1Hとすると、isHとis1Hとの角度εはローカル座標系でのx′軸とis1Hとの角度に等しいので、(35)式のx,y成分から次式で求められる。
Figure 2014041117
よって、グローバル座標系とローカル座標系との角度γがわかれば、γ+εが新たな掘削地点におけるグローバル座標系での回転角になる。このγ+εを用いてローカル座標系での単位ベクトルis1を次式のようにグローバル座標系での単位ベクトルis1Gに変換できる。
Figure 2014041117
これらの一連の手順を繰り返すことで、グローバル座標系での回転角を順次補正しながら、新たな地点での座標を計算することができる。
ただし、上述において、θ=90°の時、すなわち水平面内にセンサのx方向がある場合には、(31)式、(32)式からもわかるように、gys成分、gzs成分がともに0になるために、この方法は適用できない。重力の方向が鉛直方向に対し偏倚していない場合における掘削位置の計算の工程をフロー図で示すと、図10のようになる。
(g)加速度センサのオフセット補正
加速度センサを用いて掘削位置を求めるに際し、最初に地表で設定されたグローバル座標系xyzのz軸に対する重力の偏倚角α、xy面内での偏倚角βを求めることになるが、
z軸方向からの重力の偏倚角αは微小な量であり、重力の偏倚がなく、掘削時にロッドが地中における特定の平面内で進行する条件においても、逐次掘削ビットの進行方向の変化量を精度よく測定する必要がある。また、一方で加速度センサにおいてはセンサ固有のオフセットがある。重力加速度センサでこのような重力変化を正確に測定するにはこのようなセンサ固有のオフセット量を補正する必要があり、ここでは加速度センサで測定した重力値を用いたオフセット補正法について説明する。
真の重力値の成分をg,g,g、各成分のオフセット値をe,e,eとすると、加速度センサの各成分で観測されるオフセットを含んだ重力値の成分をgxa,gya,gzaは、それぞれ
xa=g+e ……(40)
ya=g+e ……(41)
za=g+e ……(42)
となる。
(40),(41),(42)の両辺をそれぞれ二乗して足し合わせ整理すると、
xa 2+gya 2+gza 2
=g 2+g 2+g 2+e 2+e 2+e 2+2(g+g+g
となる。e,e,eは各方向のセンサ固有のずれ(オフセット)であるので、それぞれ一定値であってe 2+e 2+e 2も一定であり、また、g 2+g 2+g 2は重力の絶対値の二乗g 2に等しく、一定値であることから、g 2+g 2+g 2+e 2+e 2+e 2は常に一定値となるので、上式は
xa 2+gya 2+gza 2 =2(g+g+g)+C
……(43)
と書ける。ここで、Cは一定値である。
2組の重力値(gxa1,gya1,gza1)、(gxa2,gya2,gza2)がある場合に、それらのノルム(成分の二乗の和の平方根)の二乗の差をとると、
(gxa1 2+gya1 2+gza1 2)−(gxa2 2+gya2 2+gza2 2
=2e(gx1−gx2)+2e(gy1−gy2)+2e(gz1−gz2
=2e(gxa1−gxa2)+2e(gya1−gya2
+2e(gza1−gza2) ……(44)
となる。オフセットについての未知パラメータは3つであるので、4組の重力データを用いた式(44)に類する3組の式からオフセットの成分値(e,e,e)を求めることができる。実際には、観測値に加速度センサのオフセット以外の観測誤差も含まれるので、より多くの加速データを使って最小二乗法を用いて求めるのが望ましい。
〔位置計測装置〕
位置計測装置は、2に概略構成を示したように、非開削工法用掘削システムの掘削用のロッドの先端に装備される掘削ビット10内に姿勢検知センサとしての加速度を計測する加速度センサ22、電源部23、信号処理・送信部24が防振機構を介して一体的に配設されて構成されている。加速度センサ22は3軸方向の重力加速度を測定するものであり、機械式、光学式、静電容量型、半導体ピエゾ型等のいずれかのものが用いられる。
信号処理・送信部24は加速度センサ22で測定された3軸方向の重力加速度成分gxs,gys,gzsの値の信号をAD変換した上で偏倚角α,β、姿勢角ω,θを求め、さらに掘削位置を求める演算処理を行う。演算処理の結果のデータは送信信号に変換され、ロッド10を介して制御モニター部30に送信される。制御モニター部30では送信されたデータに基づき、地中掘削の操作、制御を行う。データの伝送系としては、信号処理・送信部24において変調し、ロッドに併設させたケーブルを介して制御モニター部30に伝送する形態、あるいは、信号処理・送信部30において超磁歪素子を用いて発振させ、ロッドに振動を伝え、制御モニター部30において超磁歪素子またはマイクロフォンにより受信するという形態等を用いることができる。
〔姿勢検知センサについて〕
上述した説明では、掘削ビット内に姿勢検知センサとしての加速度センサを一体的に備えて基準方向からの掘削ビットの角度(姿勢)を検知し、それに基づいて地中での掘削位置を計算する場合について例示したが、本発明による地中掘削位置の計測では、掘削ビット内に一体的に備えられたセンサにより基準方向からの角度を検知できる他の姿勢検知センサ、例えば傾斜センサを用いることによっても、同様に地中での掘削位置を計測することができる。
加速度センサ以外の姿勢検知センサとしての傾斜センサとしては、液体を用い液面や気泡の偏りを検知するもの、錘を用いその偏りを計測し傾斜角を求めるもの等がある。これらのいずれかの傾斜センサを掘削ビット内に一体的に備え、基準方向からの掘削ビットの角度(姿勢)を求めることにより地中での掘削位置を計測することができるのは、前述した加速度センサを用いた場合と同様である。近年における傾斜センサとしては、水平に近い小さな角度を高精度に測定できるものが得られており、水平に近い小さな角度の計測が重要になる場合においては、傾斜センサを用いた場合の方がより精度よい掘削位置計測がなされることも考えられる。
本発明は、センサとして静的な測定手段である姿勢検知センサのみを用いた簡易で安価な構成により地中掘削位置計測を行うことができるものとして、地表に建造物や障害物のある箇所においてボーリングによる工事、調査の実施の際に適用し、非開削工法として精度よく地中の掘削位置を計測することに利用することができる。
1 非開削工法用掘削システム
10 掘削用ロッド
20 掘削ビット
21 掘削工具部
22 加速度センサ
23 電源部
24 信号処理・送信部
30 制御モニター部

Claims (11)

  1. ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムによる地中掘削時の掘削位置を計測する際に、掘削先端にある掘削ビットに一体的に備えられた姿勢検知センサを用いて地中の掘削位置を計測する方法であって、
    地表において特定の姿勢にある姿勢検知センサでの測定により基準方向となる地表で設定された水平面への鉛直線に対する重力の方向の偏倚角を求めることと、
    前記求められた重力の方向の偏倚角と地中掘削の各時点において姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角とからその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めることと、地中掘削に際し逐次ロッドを継ぎ足すごとに前記求められた姿勢検知センサの姿勢角に応じた掘削方向と各ロッドの長さとから各ロッドの継ぎ足しに応じた掘削先端の進行変位量を求めることと、
    各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求めることと、
    からなることを特徴とする非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法。
  2. ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムによる地中掘削時の掘削位置を計測する際に、重力の方向が地表で設定された水平面への鉛直線の方向に一致し掘削時にビットが地中における特定の平面内で進行する条件において、掘削先端にある掘削ビットに一体的に備えられた姿勢検知センサを用いて地中の掘削位置を計測する方法であって、
    地中掘削の各時点において姿勢検知センサでの測定によりその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めることと、
    ロッドの継ぎ足しにより掘削ビットが進行した時に姿勢検知センサにより求められた姿勢検知センサの姿勢角を求めることと、
    により掘削ビットの進行方向変化の角度を求め、各ロッドの継ぎ足しごとにこの手順を反復して掘削ビットの回転角を順次補正し、各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求めるようにしたことを特徴とする非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法。
  3. 地中掘削時において姿勢検知センサでの測定によりその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めるに際し、地表で設定された水平面とそれに対する鉛直線とによる固定座標系に対し該固定座標系の鉛直線を中心として掘削ビットの方向とともに回転する座標系における姿勢検知センサの姿勢角を求めるものであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法。
  4. 前記姿勢検知センサが重力加速度を測定する加速度センサであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法。
  5. 前記姿勢検知センサが傾斜センサであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の非開削工法用掘削システムによる掘削時の地中掘削位置を計測する方法。
  6. ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムにおける地中掘削時の掘削位置計測装置であって、
    姿勢検知センサと、前記姿勢検知センサにより測定された姿勢角のデータを演算処理して掘削時における前記姿勢検知センサの姿勢角を求める演算処理装置とを掘削先端にある掘削ビット内に一体的に備えてなり、
    前記演算処理装置は、地表において特定の姿勢にある前記姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角から基準方向となる地表で設定された水平面への鉛直線に対する重力の方向の偏倚角を求め、前記求められた重力の方向の偏倚角と地中掘削の各時点において前記姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角とからその時点での前記姿勢検知センサの姿勢角を求め、地中掘削に際し逐次ロッドを継ぎ足すごとに求められた前記姿勢検知センサの姿勢角に応じた掘削方向と各ロッドの長さとから各ロッドの継ぎ足しに応じた掘削先端の進行変位量を求め、各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削位置を求める演算を行うものであることを特徴とする非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置。
  7. ロッドの先端に掘削ビットを備えロッドを逐次継ぎ足して地中への掘削を進める非開削工法用掘削システムにおける地中掘削時の掘削位置計測装置であって、
    姿勢検知センサと、前記姿勢検知センサにより測定された姿勢角のデータを演算処理して掘削時における前記姿勢検知センサの姿勢角を求める演算処理装置とを掘削先端にある掘削ビット内に一体的に備えてなり、
    前記演算処理装置は、重力の方向が地表で設定された水平面への鉛直線の方向に一致し掘削時にビットが地中における特定の平面内で進行する条件において、地中掘削の各時点において前記姿勢検知センサでの測定により求められた姿勢角からその時点での前記姿勢検知センサの姿勢角を求め、ロッドの継ぎ足しにより掘削ビットが進行した時に前記姿勢検知センサにより求められた前記姿勢検知センサの姿勢角を求めることにより掘削ビットの進行方向変化の角度を求め、各ロッドの継ぎ足しごとにこの手順を反復して掘削ビットの回転角を順次補正し、各ロッドの継ぎ足しによる掘削先端の進行変位量を積算して地表からの掘削過程での新たな位置を求める演算を行うものであることを特徴とする非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置。
  8. 前記演算処理装置は、地中掘削時において前記姿勢検知センサでの測定により得られた姿勢角からその時点での姿勢検知センサの姿勢角を求めるに際し、地表で設定された水平面とそれに対する鉛直線とによる固定座標系に対し該固定座標系の鉛直線を中心として掘削ビットの方向とともに回転する座標系における姿勢検知センサの姿勢角を求めるものであることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置。
  9. 前記姿勢検知センサが重力加速度を測定する加速度センサであることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置。
  10. 前記姿勢検知センサが傾斜センサであることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の非開削工法用掘削システムにおける地中掘削位置計測装置。
  11. 請求項6ないし10のいずれかに記載の地中掘削位置計測装置を備えていることを特徴とする非開削工法用掘削システム。
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