JP5031194B2 - カルボジイミド系化合物及びその用途 - Google Patents
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Description
(1)顔料表面に存在する官能基と共有結合を利用する方法として、カルボジイミド基を有する化合物を用いる方法(例えば、特許文献1参照)。
(2)顔料表面との吸着力を利用する方法としては、カルボジイミド化合物を出発物質として、酸−塩基の親和力を利用する方法(例えば、特許文献2参照)。
(3)分子構造の類似性に起因する親和力を利用する方法(例えば、特許文献3参照)。
本願出願人が提案するこのような顔料分散剤は、顔料の高濃度化にも対応して、高顔料濃度時においても分散安定性、流動性等が非常に良好となる、優れた効果が得られるものである。
本出願人は、今回、機能性鎖の導入により、分散媒体として絶縁性炭化水素溶媒を使用する系における顔料の分散性、顔料分散安定性のさらなる改善をするという着想のもとに検討を行った。
すなわち、本発明は、(1)カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリブタジエン化合物の当該官能基を、カルボジイミド当量が100〜50000であるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基に反応させることにより、ポリブタジエン鎖を導入してなり、更に、分子内に塩基性窒素含有鎖を含むカルボジイミド系化合物に関する。
また、本発明は、(2)上記(1)記載のカルボジイミド系化合物を用いて、顔料を分散させてなる顔料分散組成物に関する。
また、本発明は、(3)上記(2)項に記載の顔料分散組成物を含有する液体現像剤に関する。
また、本発明は、(4)上記(2)項に記載の顔料分散組成物を含有する油性インクジェット用インキ組成物に関する。
本発明のカルボジイミド系化合物は、カルボジイミド当量が100〜50000である化合物のカルボジイミド基に、反応性の官能基を利用してポリブタジエン鎖を側鎖として導入するものであり、そして、根本的な性能として顔料分散安定性が求められる各種用途で適用され、さらにポリブタジエン鎖を側鎖として導入することにより、分散媒体として絶縁性炭化水素系溶媒を使用する系における顔料の分散性、顔料分散安定性、帯電特性及び絶縁性を改良でき、液体現像剤や油性インクジェット用インキ組成物等の用途にも好適に用いることができるようになる。
なお、ここで「側鎖」とは、カルボジイミド化合物のカルボジイミド基に、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物を反応させて形成される、カルボジイミド化合物に由来する部分から枝分れの状態にある鎖をいう。以下、本発明においては、鎖の構造の大きさにかかわらず、カルボジイミド化合物に由来する部分を「主鎖」といい、主鎖から枝分れの状態にある鎖をすべて「側鎖」という。
本発明のカルボジイミド系化合物は、全てのカルボジイミド基が他の官能基と反応したものであってもよいし、未反応のカルボジイミド基を有するものであってもよい。
まず、本発明のカルボジイミド系化合物の必須の構成材料として、出発物質であるカルボジイミド化合物と、ポリブタジエン側鎖を導入するための化合物とについて説明する。
1−1)カルボジイミド化合物
本発明のカルボジイミド系化合物を得るために、出発物質として用いられるカルボジイミド化合物は、分子内にカルボジイミド基、即ち、−N=C=N−で表される基を少なくとも1つ有する化合物であり、ここでは下記(a)〜(d)の好ましい形態の例示でもって、より具体的に説明する。形態に応じて、適宜選択して使用される。
カルボジイミド化合物は、通常、有機溶媒中で、カルボジイミド化触媒の存在下、イソシアネート化合物を脱炭酸反応によりカルボジイミド化して製造することができ、さらにその材料がジイソシアネート化合物である場合、分子の両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物が得られることになる。
上記製造方法において、脱炭酸反応させるジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族、芳香族又は芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
上記カルボジイミド化触媒としては、ホスホレン類やホスホレンオキサイド類等を用いることが好ましく、例えば、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレンオキサイド等が挙げられる。
OCN−(A−N=C=N)K−1−A−NCO (1)
上記一般式(1)中、Aは、イソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基を表す。
上記一般式(1)で表されるイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の市販品としては、例えば、テトラメチルキシリレンジイソシアネートを原料としたカルボジイミドとして、カルボジライトV−03、V−05(いずれも商品名、日清紡社製)等が挙げられる。
上記(a)のカルボジイミド化合物を、イソシアネート基と反応可能な鎖伸長剤を用いて高分子量化したものであり、分子内にカルボジイミド基をより多く含有する化合物とすることができる。このときに利用できる鎖伸長剤としては、カルボジイミド基と反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物であることが好ましく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンジオール等のジオール化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジアミン化合物;ヒドラジン等が挙げられる。
上記(a)および(b)のカルボジイミド化合物は、分子の両末端にイソシアネート基を有する化合物であり、そのイソシアネート基を利用してさらにいろいろな分子鎖を付加できるという利点がある代わりに、カルボジイミド基と反応させる材料がイソシアネート基とも反応する場合、側鎖として導入し難いという問題がある。それに対して、分子の両末端がモノイソシアネート化合物で反応停止したカルボジイミド化合物では、分子の末端にイソシアネート基を有さないので、上記の問題は起こらないといえる。この様な分子の両末端がモノイソシアネート化合物で反応停止したカルボジイミド化合物は下記の一般式(2)で示すことができる。
B−N=C=N−(A−N=C=N)k−B (2)
上記一般式(2)中、Bは、イソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の合成に用いたモノイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基を表す。
ここで、利用可能なジイソシアネート化合物としては、上記(a)の合成材料と同じものを挙げる事ができ、また、モノイソシアネート化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等の脂肪族、脂環族、芳香族又は芳香脂肪族モノイソシアネート化合物等を挙げることができる。
分子の両末端にイソシアネート基を有するものと、有さないものとの中間的な化合物として、片末端のみモノイソシアネート化合物で反応停止させて、他方の片末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物も得ることができる。この様な分子の片末端がモノイソシアネート化合物で反応停止したカルボジイミド化合物は下記の一般式(3)で示すことができる。
OCN−(A−N=C−N)k−B (3)
上記一般式(3)中、Bは、イソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の合成に用いたモノイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基を表す。
ここで、利用できるジイソシアネート化合物は上記(a)の合成材料と同じものを挙げる事ができ、また、モノイソシアネート化合物としては、上記(c)の合成材料と同じものを挙げる事ができる。
そして、上記のカルボジイミド化合物においては、カルボジイミド当量が100〜50000のものを利用する。ここで、カルボジイミド当量とは、(カルボジイミド化合物の分子量)/(カルボジイミド化合物1分子中のカルボジイミド基の数)で表される数を意味するものである。化合物のカルボジイミド当量が高すぎると、得られるカルボジイミド系化合物の分子全体に対するポリブタジエン側鎖の重量的な比率が少なくなり、顔料の分散安定性等が低下する。一方、カルボジイミド当量が低い化合物は、カルボジイミド系化合物の分子全体に対するポリブタジエン側鎖や後記する各機能性を有する側鎖の重量的な比率を高くすることが可能であるという点で有利であるが、カルボジイミド化合物自体の合成と、また側鎖を導入するための反応の制御が困難となる。そこで、より好ましいカルボジイミド当量としては、200以上、また、10000以下である。
次に、上記カルボジイミド化合物にポリブタジエン側鎖を導入するために利用する化合物について説明する。
本発明のカルボジイミド系化合物は、カルボジイミド基と、それと反応する官能基との反応によって側鎖を導入する方法が利用される。したがって、側鎖として導入される化合物としては、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリブタジエン化合物が利用可能である。
さらに、カルボジイミド基と反応する官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、アミノ基等が挙げられ、その中でもカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基であることが好ましい。
(1)ポリブタジエンポリオールに酸無水物を反応させた化合物
具体例としては、ポリブタジエンポリオールに無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水安息香酸、スチレン−無水マレイン酸樹脂等の酸無水物を反応させた化合物等。
(2)マレイン化ポリブタジエン
具体例としては、ポリブタジエンに使用比率を調製してマレイン酸又は無水マレイン酸を付加重合させた化合物等。
なお、上記のポリブタジエンポリオールに酸無水物を反応させる方法、ポリブタジエンにマレイン酸又は無水マレイン酸を付加重合させる方法等としては、常法が利用できる。
本発明に用いるポリブタジエン化合物は、数平均分子量が200〜10000のものが好ましい。
更に、要求される性能に応じて、下記の(ア)〜(エ)といった各種機能性を有する分子鎖や官能基の1種又は2種以上を、本発明のカルボジイミド系化合物の分子内に導入することにより、複数の機能を有する化合物を得ることもできる。そして、これら複数の機能を有するカルボジイミド系化合物は、利用できる分野がより広くなる可能性があるという点で、本発明において好ましい形態である。
(ア)カルボジイミド基
(イ)塩基性窒素含有鎖
(ウ)顔料誘導体鎖、顔料中間体鎖、色素誘導体鎖及び/又は色素中間体鎖
(エ)ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖及びポリアクリル鎖からなる群より選択される少なくとも1種の鎖
ここで、(ア)のカルボジイミド基を導入するには、カルボジイミド系化合物の製造において、上記ポリブタジエン側鎖を導入する際に、上記カルボジイミド化合物の分子内の少なくとも一つのカルボジイミド基を、そのまま未反応で残して利用し、(イ)で記載された機能性鎖の導入については、例えば、国際公開WO04/000950号パンフレットに記載された材料、(ウ)で記載された機能性鎖の導入については、例えば、国際公開WO04/003085号パンフレットに記載された材料、(エ)で記載された機能性鎖の導入については、例えば、国際公開WO03/076527号パンフレットに記載された材料を利用することができる。
本発明のカルボジイミド系化合物は、上記の材料を利用して得られるものであり、そのために、出発化合物であるカルボジイミド化合物に、上記のポリブタジエン側鎖として導入する材料を、カルボジイミド基との反応を介して導入する方法が利用できる。
このようなカルボジイミド系化合物としては、例えば、出発化合物であるカルボジイミド化合物に上記の式(1)の構造を有する化合物を利用した場合、以下の一般式(4)のように模式的に表現できる。
OCN−X(L)−(N=C=N)(N−L)−OCN (4)
〔ここで、Xは、それぞれ独立して、カルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応による連結基を介して結合したポリブタジエン側鎖を含む構成単位、また、Lは分子内のXの構成単位の個数を表し、1以上の整数である。Nは、出発物質であるカルボジイミド化合物中のカルボジイミド基の個数を表し、1以上の整数である。そして、(N−L)は、0以上の整数を表す。〕
また、任意に利用される、その他の機能を有する鎖(イ)〜(エ)を導入する材料については、カルボジイミド基またはイソシアネート基の、どちらかとの反応を介して導入する方法が利用できる。このようなカルボジイミド系化合物としては、例えば、出発化合物であるカルボジイミド化合物に上記の式(1)の構造を有する化合物を利用した場合、以下の一般式(5)のように模式的に表現できる。
Y−X(L)−Z(M)−(N=C=N)(N−L−M)−Y (5)
〔ここで、X、N及びLは上記と同じ定義であり、Yは、それぞれ独立して、未反応のイソシアネート基、あるいはイソシアネート基と、それと反応可能な官能基との反応による連結基を介して結合した上記(イ)〜(エ)の機能性鎖を含む構成単位であり、Zは、それぞれ独立して、カルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応による連結基を介して結合した(イ)〜(エ)の機能性鎖を含む構成単位である。また、Mは分子内のZの構成単位の個数を表し、0以上の整数を表す。また、(N−L−M)についても、0以上の整数を表す。〕
さらには、上記式(5)のYの部位は、(イ)〜(エ)以外であって、イソシアネート基と反応可能な化合物が、同様の反応による連結基を介して結合した構成単位であっても良い。その様なイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物としては、カルボジイミド基と反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物が好ましく、
例えば、メタノール、エタノール、ポリブタジエンジオール等の水酸基含有化合物;ジエチルアミン、ジブチルアミン等の二級アミン化合物を挙げる事ができる。
また、本発明のカルボジイミド系化合物は、出発物質として用いられるカルボジイミド化合物が分子内にイソシアネ−ト基を有する場合、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するポリブタジエンジオール等の化合物と反応させたものであってもよい。
例えば、カルボジイミド基とカルボキシル基との反応から形成される連結基は、下記一般式(6)、(7)で表され、カルボジイミド基と水酸基との反応から形成される連結基は、下記一般式(8)、(9)で表され、カルボジイミド基とアミノ基との反応から形成される連結基は、下記一般式(10)され、カルボジイミド基とスルホン酸基との反応から形成される連結基は、下記一般式(11)で表され、カルボジイミド基とリン酸基との反応から形成される連結基は、下記一般式(12)で表される。
また、イソシアネート基に、反応可能な官能基を反応させて形成される連結基としては、通常、イソシアネート基と、水酸基、一級及び二級アミノ基等との反応により形成されるものであり、以下のような構造となる。
例えば、イソシアネート基と水酸基との反応から形成される連結基としては、下記一般式(13)で表され、イソシアネート基とアミノ基との反応から形成される連結基は、下記一般式(14)で表される。
以上のように、本発明のカルボジイミド系化合物は、出発物質として例えば一般式(1)のカルボジイミド化合物のカルボジイミド基であった部位に、一般式(6)から一般式(12)のいずれか一つの連結基を介して、ポリブタジエン側鎖が少なくとも1つ導入されることにより、一般式(4)のXの構成単位を有するものである。さらには、同様にして他の機能性側鎖が導入された一般式(5)のZの構成単位を有する化合物、分子の両末端あるいは片末端に一般式(13)、(14)のどちらか一つの連結基を介して機能性鎖等が導入された化合物、分子内にカルボジイミド基が残存する化合物であることが好ましい。
本発明のカルボジイミド化合物は、ポリブタジエン側鎖を有することにより、化合物としての絶縁性炭化水素系溶媒に対する親和性が向上し、分散媒体中でドメインを形成して立体障害等の作用をすることから、分散媒体として絶縁性炭化水素系溶媒を使用する用途で、帯電特性、絶縁性等の他の特性を低下させずに、顔料分散性、分散安定性を向上させることができる。また、ポリブタジエン側鎖を導入することにより、ポリプロピレン樹脂成型品やポリプロピレン等のプラスチックに対する接着性も良好にさせることができる。
上記の材料を用いて本発明のカルボジイミド系化合物を製造する場合において、全ての反応、すなわち、ポリブタジエン鎖や他の機能性鎖を導入するための反応として、カルボジイミド基とカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、アミノ基等との反応、また、イソシアネート基と水酸基、アミノ基等との反応などには、常法が利用できる。さらに、各種機能性鎖を導入する順序は、特に限定されるものではなく、例えば、カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物を2種以上使用する場合は、別々あるいは同時に加えて反応させることができ、イソシアネート基と反応する官能基を有する化合物を2種以上使用する場合にも、別々あるいは同時に加えて反応させることもできる。また、カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物、および、イソシアネート基と反応する官能基を有する化合物を利用する場合、最終的に同じ化合物が得られれば、先にカルボジイミド基と反応させても、イソシアネート基と反応させてもどちらでもよい。
なお、分子内に導入するポリブタジエン側鎖、各機能性鎖の種類およびその比率、さらには残存するカルボジイミド基の量等は、例えば、顔料分散剤として利用する際の顔料や分散媒体等の種類、また、その他の利用分野で要求される性能に応じて適宜設定して、最終的に良好な性能バランスを有する化合物となるように各材料を配合することが好ましい。
以上の材料と製造方法から得られる本発明のカルボジイミド系化合物の数平均分子量としては、1000以上、また、100000以下であることが好ましい。数平均分子量が高くなりすぎると、分散媒体中に顔料を分散させた際や、顔料分散組成物とした際に、適切な粘度のものが得られにくくなり、特に高濃度の顔料分散組成物が必要なときは好ましくない。一方、数平均分子量が低くなりすぎると、分散媒体中での顔料の分散安定性が低下して好ましくない。より好ましくは、1000以上、また、50000以下である。
次に、上記カルボジイミド系化合物を用いて、顔料を分散させてなる顔料分散組成物について説明する。
本発明の顔料分散組成物に用いられるカルボジイミド系化合物としては、顔料表面の官能基や吸着点の有無、分散媒体の種類、得られた顔料分散組成物の用途等に応じて、好適には上述した(ア)〜(エ)の官能基や機能鎖を有するカルボジイミド系化合物を適宜選択して用いることができる。
また、本発明の顔料分散組成物において、顔料としては、カルボジイミド系化合物と、少なくとも、共有結合、酸−塩基の親和力による吸着又は分子構造の類似性に起因する親和力による吸着するものであることが好ましく、例えば、液体現像剤、油性インクジェット用インキ組成物、印刷インキ、塗料、カラーフィルター用レジスト組成物等に一般的に用いられる有機顔料や無機顔料を使用することができる。
上記有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系等が、無機顔料としては、カーボンブラック(好ましくは、pH7以下でカルボキシル基を有するもの)、酸化チタン、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、顔料表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有さない場合は、表面処理により官能基を導入することができ、例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第1刷、技術情報協会(出版)、2001年12月25日、p.76〜85に記載のプラズマ処理や酸素/紫外線処理、特開昭58−217559号公報に記載の低温プラズマ法によって、上記カルボジイミド基と反応可能な官能基が導入できる。また、顔料を絶縁性化合物(シリカ、シラン化合物、チタン化合物等)で被覆し、カルボジイミド基と反応する官能基が導入できる。
上記塩基性窒素含有基との吸着部としては、代表的には酸基であって、好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の塩基性窒素含有基と吸着可能な官能基である。
これら塩基性窒素含有基との吸着部を有する有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系等が、無機顔料としては、カーボンブラック(好ましくは、pH7以下でカルボキシル基を有するもの)等挙げられる。
次に、分子内に顔料誘導体鎖、顔料中間体鎖、色素誘導体鎖及び/又は色素中間体鎖を有するカルボジイミド系化合物に対して、分子構造の類似性に起因する親和力による吸着部を有する顔料としては、顔料誘導体鎖、顔料中間体鎖、色素誘導体鎖及び/又は色素中間体鎖と同一又は類似の構造である有機顔料や無機顔料;顔料誘導体鎖、顔料中間体鎖、色素誘導体鎖及び/又は色素中間体鎖と同一又は類似の構造でなくても顔料誘導体鎖、顔料中間体鎖、色素誘導体鎖及び/又は色素中間体鎖と充分な吸着力を有する有機顔料や無機顔料であることが好ましい。
このような分子構造の類似性に起因する親和力による吸着は、例えば、カルボジイミド基及び/又はイソシアネート基と反応可能な官能基を有さない顔料(共有結合が利用できない場合);カルボジイミド基と反応可能な官能基を有する顔料であっても、該顔料が有するカルボジイミド基と反応可能な官能基が、例えば、アミノ基、水酸基等で、カルボジイミド基と反応する温度が100℃以上である顔料(共有結合の利用が条件的に困難な場合)に、より有効である。
本発明でいう「処理」とは、顔料の分散粒子表面の全面又は一部を、カルボジイミド系化合物で処理することを意味する。具体的には、上記顔料、上記カルボジイミド系化合物、及び、必要に応じて分散媒体、その他の添加剤等の混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散装置等を用いて混練し、分散・処理する方法が挙げられる。
一方、上記(II)の顔料分散組成物を得る方法では、比較的低温でも処理が可能であるが、分子内にカルボジイミド基を有するカルボジイミド系化合物で、カルボジイミド基と反応可能な官能基を有する顔料を処理する場合、更に上記反応を促進する温度まで加温することがより好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、ノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素等が挙げられる。上記脂環式炭化水素としては、シクロパラフィン系炭化水素等が挙げられる。
なお、これらの分散媒体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、水性媒体としては、水のみであってもよく、水混和性の有機系分散媒体との併用であってもよい。
上記顔料分散組成物におけるカルボジイミド系化合物の質量割合としては、顔料(使用顔料の合計)100質量部に対して、好ましくは、2質量部以上、また、100質量部以下であるが、好ましくは、最終的組成物としての用途、顔料表面に存在するカルボジイミド系化合物と反応、吸着する官能基の多少や、分散性能、流動性、要求性能等によって調整することが好ましい。
<油性インクジェット用インキ組成物>
本発明の油性インクジェット用インキ組成物は、上記顔料分散組成物を含有するものである。油性インクジェット用インキ組成物は、顔料、カルボジイミド系化合物、炭化水素系有機溶媒を少なくとも含有し、必要に応じてバインダー樹脂、極性溶媒等の添加剤が適宜含有されているものである。
油性インクジェット用インキ組成物に使用するカルボジイミド系化合物としては、顔料表面の官能基や吸着点の有無、分散媒体の種類等に応じて、好適には上述した(ア)〜(ウ)の官能基や機能鎖を有するカルボジイミド系化合物を適宜選択して用いる。尚、カルボジイミド系化合物を得るために、出発物質として用いられるカルボジイミド化合物が、分子内にイソシアネ−ト基を有する場合は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するポリブタジエンジオール等の化合物と反応させたものを利用することが好ましい。
これらの色相を得るために、更に上記の顔料の中でも耐候性の良好なものが好適であり、とりわけ、イエローとしては、C.I.ピグメントイエロー138、154、180、185、マゼンタとしては、C.I.ピグメントレッド122、202、C.I.ピグメントバイオレット19、シアンとしては、C.I.ピグメントブルー15、ブラックとしては、C.I.ピグメントブラック7の酸性若しくは中性顔料、オレンジとしては、C.I.ピグメントオレンジ43、61、63、71、グリーンとしては、C.I.ピグメントグリーン7、36がより好適である。
飽和炭化水素系有機溶媒としては、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のノルマルパラフィン系炭化水素;イソオクタン、イソデカン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素;シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等のシクロパラフィン系炭化水素;更に、市販製品として、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD130、エクソールD140(以上、いずれもエクソン化学社製)、シェルゾール(シェルオイル社製)、ソルトロール(フィリップス石油社製)、ベガゾール(モービル石油社製)、IPソルベンド2835(出光石油化学社製)、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55(以上、いずれも松村石油研究所社製)、流動パラフィンNo.40−S、流動パラフィンNo.55−S(以上、いずれも中央化成社製)等を挙げることができる市販の飽和炭化水素系有機溶媒の中には少量の不飽和炭化水素を含有するものもあるが、本発明では支障なく利用できる。なお、市販製品については、すべて商品名を表す。
上記飽和炭化水素系有機溶媒としては、これらの中でも、イソパラフィン、イソパラフィンとシクロパラフィンとの混合物及び流動パラフィンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(15)で表される炭化水素系有機溶媒の具体例としては、1−フェニル−キシリルエタン、フェニルキシリルメタン等が挙げられる。
これらの飽和炭化水素系有機溶媒及び/又は一般式(15)で表される炭化水素系有機溶媒は、単独又は混合して利用できる。
上記植物油としては、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ナタネ油、カラシ油、ゴマ油等の半乾性油;オリーブ油、落花生油、ツバキ油等の不乾性油;亜麻仁油、サフラワー油等の乾性油を挙げることができ、これらの植物油は単独又は混合して使用できる。特に性状の点からは、酸化による重合性の低い半乾性油や不乾性油であって、その中でも、より低粘度なナタネ油、オリーブ油、また、安価な大豆油が好ましい。
本発明の油性インクジェット用インキ組成物で、必要に応じて使用するバインダー樹脂としては、被印刷体への固着性等の改善のため使用するもので、特に再溶解性に効果がある石油樹脂やロジン変性マレイン酸樹脂等が好適である。なお、顔料分散剤として、カルボジイミド基を有するカルボジイミド系化合物を使用する場合は、バインダー樹脂としては、カルボジイミド基と反応する官能基を有していないものを使用することが好ましい。
また、低温における保存安定性等を良好にするという観点から、油性インクジェット用インキ組成物の凝固点は−10℃が好適である。更に、油性インクジェット用インキ組成物の粘度としては、使用時の環境温度において、1.0〜30.0mPa・sが好ましく、特に5.0〜20.0mPa・sが好適である。粘度がこの範囲にあると、高速印刷において吐出追随性や吐出安定性も良好となる。
本発明の油性インクジェット用インキ組成物の用途としては、ピエゾ振動素子を利用して油性インクジェット用インクを吐出する、オンデマンド・インクジェット記録方式に適しており、現在市販されている油性インクジェット用インクを用いる印刷装置において、良好な吐出安定性を得ることができる。なお、上記一般式(15)で表される炭化水素系有機溶媒が溶剤の主要成分である場合は、ピエゾ振動素子を利用して油性インクジェット用インクを吐出する、オンデマンド・インクジェット記録方式において7kHzを越える印刷周波数での吐出性も良好となる。
本発明の油性インクジェット用インキ組成物を印刷する被印刷体としては、インクジェット記録方式で一般に使用されているものがいずれも使用でき、例えば、普通紙、インク受理層を設けた専用紙、プラスチックフィルム、インク受理層を設けたプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明の液体現像剤は、顔料分散組成物を含有するものである。液体現像剤は、顔料、カルボジイミド系化合物、熱可塑性樹脂、絶縁性有機溶媒を少なくとも含有し、必要に応じて荷電制御剤等の添加剤が適宜含有されているものである。
液体現像剤に使用するカルボジイミド系化合物としては、顔料表面の官能基や吸着点の有無、分散媒体の種類、得られた顔料分散組成物の用途等に応じて、好適には上述した(ア)〜(ウ)の官能基や機能鎖を有するカルボジイミド系化合物を適宜選択して用いる。尚、カルボジイミド系化合物を得るために、出発物質として用いられるカルボジイミド化合物が、分子内にイソシアネ−ト基を有する場合は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するポリブタジエンジオール等の化合物と反応させたものを利用することが好ましい。
本発明の液体現像剤において、上記カルボジイミド系化合物の使用比率は、好ましくは後述の顔料(使用顔料の合計)100質量部に対して2〜100質量部である。
液体現像剤を構成する顔料としては、通常使用されている顔料を使用できる。顔料としては、無機顔料、有機顔料が使用でき、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ベンガラ、黄鉛、群青等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料等が挙げられる。
本発明の液体現像剤における顔料の含有量は、特に限定されないが、画像濃度の点から、液体現像剤100重量部中に1〜10重量部が好ましい。
荷電制御剤としては、大別して2つのタイプがある。
1つはトナー粒子の表面をイオン化、或いは、イオンの吸着を行い得る物質でトナー粒子の表面を被覆する方法である。このタイプとして、アマニ油、大豆油等の油脂;アルキッド樹脂、ハロゲン化重合体、芳香族ポリカルボン酸、酸性基含有水溶性染料、芳香族ポリアミンの酸化縮合物等が例示できる。
1.油性インクジェット用インキ組成物
<顔料分散剤>
実施例1 顔料分散剤1(グラフト鎖の分子量1500、グラフト率50%)の合成
窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、分子量1500のポリブタジエンジオール200部、無水フタル酸19.7部を仕込み、約120℃で保持して水酸基と酸無水物を反応させた末端カルボン酸型のポリブタジエン樹脂1を得た。
次いで、窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量312のポリカルボジイミド化合物50.0部、メチルジエタノールアミン13.8部を仕込み、約100℃で2時間保持してイソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いでアイソパーM(イソパラフィンの混合物、沸点範囲208〜254℃/101kPa、エクソン化学社製)を293.8部、上記ポリブタジエン樹脂1を132.0部仕込み、約80℃で2時間保持してカルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させ、カルボジイミド当量2448の顔料分散剤1(ポリブタジエン側鎖を有するカルボジイミド化合物、固形分40%)を得た。
窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、分子量3000のポリブタジエンジオール200部、無水フタル酸9.9部を仕込み、約120℃で保持して水酸基と酸無水物を反応さた末端カルボン酸型のポリブタジエン樹脂2を得た。
窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量312のポリカルボジイミド化合物50.0部、メチルジエタノールアミン13.8部を仕込み、約100℃で2時間保持してイソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いでアイソパーM(イソパラフィンの混合物、沸点範囲208〜254℃/101kPa、エクソン化学社製)474.0部、上記ポリブタジエン樹脂2を252.2部仕込み、約80℃で2時間保持してカルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させ、カルボジイミド当量3950の顔料分散剤2(ポリブタジエン側鎖を有するカルボジイミド化合物、固形分40%カルボジイミド化合物)を得た。
還流冷却管、窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量315のポリカルボジイミド化合物57.0部、メチルジエタノールアミン16.0部を仕込み、約100℃で2時間保持してイソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いでアイソパーM(イソパラフィンの混合物、沸点範囲208〜254℃/101kPa、エクソン化学社製)245.3部を仕込んだ後、末端にカルボキシル基を有する分子量1000の12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物90.5部を仕込み、約90℃で、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させ、数平均分子量約2400、カルボジイミド当量1807の比較顔料分散剤1(ポリエステル側鎖を有するカルボジイミド化合物、固形分40%)を得た。
実施例3 顔料分散組成物1の調製
分散剤として実施例1の顔料分散剤1の5部(固形分)を、溶剤としてアイソパーM(イソパラフィンの混合物、沸点範囲208〜254℃/101kPa、エクソン化学社製)の70部に溶解し、これに顔料としてカーボンブラックMA−8(三菱化学社製)の25部を攪拌混合した後、ビーズミルを用いて練肉し、3μppのプリーツフィルタで濾過して粗大粒子を除去して、顔料分散組成物1を得た。
分散剤として実施例2の顔料分散剤2の5部(固形分)を、溶剤としてアイソパーM(エクソン化学社製)の70部に溶解し、これに顔料としてカーボンブラックMA−8(三菱化学社製)の25部を攪拌混合した後、ビーズミルを用いて練肉し、3μppのプリーツフィルタで濾過して粗大粒子を除去して、顔料分散組成物2を得た。
分散剤として比較例1の比較顔料分散剤1の5部(固形分)を、溶剤としてアイソパーM(エクソン化学社製)の70部に溶解し、これに顔料としてカーボンブラックMA−8(三菱化学社製)の25部を攪拌混合した後、ビーズミルを用いて練肉し、3μppのプリーツフィルタで濾過して粗大粒子を除去して、比較顔料分散組成物1を得た。
分散剤として比較顔料分散剤2の5部(固形分)を、溶剤としてアイソパーM(エクソン化学社製)の70部に溶解し、これに顔料としてカーボンブラックMA−8(三菱化学社製)の25部を攪拌混合した後、ビーズミルを用いて練肉し、3μppのプリーツフィルタで濾過して粗大粒子を除去して、比較顔料分散組成物2を得た。
実施例5、6及び比較例4、5
表1の配合に従い、上記の顔料分散組成物1、2、比較顔料分散組成物1、2とその他の材料とを攪拌混合して油性インクジェット用インキ組成物を得、下記の性能評価を行った。
実施例3、4の油性インクジェット用インキ組成物、比較例2、3の油性インクジェット用インキ組成物に関し、下記の評価試験を行った。結果を表1に示す。
(保存安定性)
実施例3、4、比較例2、3の各顔料分散組成物、及び、実施例5、6、比較例4、5の各油性インクジェット用インキ組成物をガラス瓶にとり密栓して、60℃で10日間保存したときの沈降物の有無を観察し、次の基準に基づいて保存安定性を評価した。
A:沈降物は全く生じない
B:沈降物は生じるが、軽く振ればなくなる
C:激しく振っても沈降物がなくならない
一般的な室内環境と考えられる20℃の温度下で、市販の油性インクジェット用インク対応の印字装置(IP−4000、ピエゾタイプ、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、実施例5、6、比較例4、5の各油性インクジェット用組成物インクを印字し、得られた印字物の細線の連続性から吐出安定性を評価した。
用紙:Xerox LのA4用紙
印字図柄:長さ180mm、太さ約0.2mmの細線を用紙1枚に対して30本印字
評価
A:100枚印字してもかすれがみられない
B:印字枚数が50枚以上、100枚未満でかすれた部分が見受けられる
C:印字枚数が50枚未満でかすれた部分が見受けられる
<顔料分散剤>
実施例7 顔料分散剤3(グラフト鎖の分子量3000、グラフト率50%)の合成
窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、分子量3000のポリブタジエンジオール200部、無水フタル酸9.9部を仕込み、約120℃で保持して水酸基と酸無水物を反応さた末端カルボン酸型のポリブタジエン樹脂3を得た。
窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量312のポリカルボジイミド化合物50.0部、メチルジエタノールアミン13.8部を仕込み、約100℃で2時間保持してイソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いでアイソパーL(エクソン化学社製)474.0部、上記ポリブタジエン樹脂2を252.2部仕込み、約80℃で2時間保持してカルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させ、固形分40%、カルボジイミド当量3950の顔料分散剤3(ポリブタジエン側鎖を有するカルボジイミド化合物、固形分40%)を得た。
実施例8 液体現像剤の調製
カーボンブラックMA−8(三菱化学社製)20部、実施例7の顔料分散剤3の4部(固形分)、及びアイソパーLの76部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで混練した。この混練物の30部をアイソパーLの70部で希釈し、これにデュミランC−2270(エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分けん化物、武田薬品工業社製)2部をテトラヒドロフラン100部に溶解した溶液を加えた。次いでテトラヒドロフランを60〜80℃で留去し、室温まで放冷した後、電荷制御剤としてモレスコアンバーSB−50N(商品名、スルホン酸バリウム塩、松村石油研究所社製)の2.5部を添加して、液体現像剤を得た。
実施例8における実施例7の顔料分散剤3の替わりに、比較顔料分散剤2、比較顔料分散剤3をそれぞれ用いたほかは実施例8と同様にして、比較例6、7の液体現像剤を得た。
実施例8の液体現像剤、比較例6、7の液体現像剤に関し、下記の評価試験を行った。結果を表2に示す。
各液体現像剤の電気抵抗値を、アドバンス社製R8340を用いて測定し、電気抵抗値が≧1011のものをA、電気抵抗値が<1011のものをBとして評価した。
実施例8、比較例6、7の各液体現像剤の調製時と25℃で1ヶ月放置後の粘度及び平均粒径の比較を行い、調製時と較べて変化の少ないものをA、劣化の認められるものをBとして評価した。
Claims (4)
- カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリブタジエン化合物の当該官能基を、カルボジイミド当量が100〜50000であるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基に反応させることにより、ポリブタジエン鎖を導入してなり、
更に、分子内に塩基性窒素含有鎖を含むカルボジイミド系化合物。 - 請求項1記載のカルボジイミド系化合物を用いて、顔料を分散させてなる顔料分散組成物。
- 請求項2に記載の顔料分散組成物を含有する液体現像剤。
- 請求項2に記載の顔料分散組成物を含有する油性インクジェット用インキ組成物。
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