以下、本発明に基づいた一実施形態におけるアンテナ装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施形態1に係るアンテナ装置の正面側の外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るアンテナ装置の背面側の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置100においては、図示しないアンテナ部が筐体110内に収容されている。筐体110は、正面側ケース111と背面側ケース112とが組合されて構成されている。本実施形態において、正面側ケース111および背面側ケース112の各々は、絶縁性の樹脂材料などを原料として金型を用いた射出成形によって作製されている。筐体110は、略直方体状の外形を有している。
図2に示すように、筐体110の背面には、アンテナ部に接続された出力端子130が配設されている。出力端子130には、外部の電気機器に接続された同軸ケーブルを含む伝送線が接続される。出力端子130に伝送線が接続されて、アンテナ装置100と外部の受信機器とが電気的に接続されることにより、アンテナ装置100の受信信号がその受信機器に伝送可能となる。言い換えると、出力端子130は、アンテナ部で受信した信号を伝送線に出力している。なお、出力端子130と伝送線との接続形式は、同軸ケーブルの先端に取付けられた接栓と出力端子130とが接続される形式、および、同軸ケーブルの先端に設けられたプラグと出力端子130とが接続される形式などを採用できる。接栓と出力端子130とが接続されるとは、接栓と出力端子130とが互いに挿入されて嵌合している状態をいう。プラグと出力端子130とが接続されるとは、プラグが出力端子130に差込まれている状態をいう。
図3は、本実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置100において電波を受信するアンテナ部120は、放射器121と反射器122とを備えている。アンテナ部120は、導波器を含んでもよい。アンテナ部120は、地上デジタル放送を受信可能である。放射器121は、略長方形状の主面を有している。反射器122は略長方形状の主面を有している。放射器121と反射器122とは、それぞれの長手方向を一致させて対向し、互いに間隔を置いて配置されている。
放射器121の一部に給電部が設けられている。給電部には、図示しないコンデンサおよびバランを介して図示しない同軸ケーブルが接続されている。放射器121の主面の短手方向の長さは約λ/2であり、長手方向の長さは約λである。ただし、λは、アンテナ装置100が受信すべき信号の周波数帯域における中心周波数に対応する波長であり、たとえば、620MHzの信号の波長である。
一般的に、良好な特性を得るために、放射器121の主面と反射器122の主面との間の距離を約λ/4にする必要があるが、アンテナ装置100においては、放射器121の主面と反射器122の主面との間の距離をλ/10にしても良好な特性を得ることができる。それは、アンテナ装置100においては、放射器121の長手方向における長さを長くすることができるため、放射器121の主面と反射器122の主面との間の距離を短くしても、広帯域性を実現できるためである。そのため、アンテナ装置100の筐体110は、幅の薄い略直方体状の外形を有している。
図4は、本実施形態に係るアンテナ装置において水平偏波の電波を受信する際のアンテナ部の向きを示す正面図である。図5は、本実施形態に係るアンテナ装置において垂直偏波の電波を受信する際のアンテナ部の向きを示す正面図である。図4,5においては、鉛直方向を矢印Zで示し、水平方向を矢印Xで示している。
図4に示すように、水平偏波の電波の受信に適した水平偏波受信姿勢においては、アンテナ装置100のアンテナ部の長手方向が鉛直方向と一致している。図5に示すように、垂直偏波の電波の受信に適した垂直偏波受信姿勢においては、アンテナ装置100のアンテナ部の長手方向が水平方向と一致している。水平偏波受信姿勢と垂直偏波受信姿勢とは、互いに直交する関係にある。アンテナ装置100は、受信すべき電波の偏波に対応して、水平偏波受信姿勢または垂直偏波受信姿勢に固定されて使用される。
図6は、本実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す背面図である。図7は、本実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す底面図である。図6においては、水平偏波受信姿勢におけるアンテナ装置100を示している。図6には、筐体110の背面の長手方向に平行な筐体110の背面の中心線10と、出力端子130の伝送線接続方向20を示している。
図6に示すように、筐体110の背面は、略長方形状の外縁を有している。筐体110の背面の長手方向が、水平偏波受信姿勢においては鉛直方向と一致している。一方、後述する図18に示すように、垂直偏波受信姿勢においては、筐体110の背面の長手方向が水平方向と一致している。
図2,6に示すように、筐体110の背面に、具体的には背面側ケース112の外表面に、アンテナ装置100を垂直偏波受信姿勢または水平偏波受信姿勢に固定するための被固定部180が設けられている。
被固定部180は、後述するアンテナ支持装置が接続される場所であり、略矩形状の平面領域に、複数の取付孔181が配置されることにより構成されている。本実施形態においては、後述するアンテナ支持装置の形状に対応して、4つの取付孔181が被固定部180の四隅に配置されているが、取付孔181の数および配置はこれに限られない。
出力端子130は、本実施形態においては図6に示すように、水平偏波受信姿勢において、筐体110の背面の下側かつ左側に偏って配置されている。また、出力端子130は、伝送線の接続方向20と中心線10とのなす角θが鋭角となるように固定されている。
筐体110の背面に、筐体110の内側に空間が形成されるように部分的に張り出した突出部150が設けられている。突出部150は、背面側ケース112が成形されたときに一体的に形成される。突出部150は、先端が細くなるように傾斜した側面を含む円筒形状を有し、側面の一部に開口が形成されている。
突出部150の開口は、出力端子130の位置に対応して形成されている。言い換えると、出力端子130は、突出部150の開口位置に配置されている。本実施形態においては、突出部150の開口は、水平偏波受信姿勢において鉛直方向に対して斜め右下側の側面に形成されている。
本実施形態においては、アンテナ部120に接続されたモニタ端子140が出力端子130に隣接して配置されている。モニタ端子140は、アンテナ部120の指向方向によって変わる受信信号のレベルを検出するための端子である。モニタ端子140は、モニタ端子140へのレベル検出器の接続方向と中心線10とのなす角が鋭角となるように固定されている。好ましくは、出力端子130とモニタ端子140とが平行に配置されている。
アンテナ装置100の配置方向調整は、出力端子130に接続された受信機器であるたとえばテレビ受信機などに表示される受信信号レベルを確認しながら行なわれる場合がある。この場合、アンテナ装置100の設置位置とテレビ受信機の設置位置とが離れているときに、1人の作業者が受信信号レベルの確認をしつつアンテナ装置100の配置方向調整を行なうことができないため、調整作業が煩雑になっていた。
そこで、モニタ端子140にレベルチェッカなどを接続することにより、このアンテナ装置の近くで1人でレベルチェッカに表示された受信信号レベルを確認しつつアンテナ装置100の配置方向調整を行なうことができる。よって、モニタ端子140を設けることにより、アンテナ装置100の配置方向調整が容易になる。
図2,6に示すように、筐体110の背面に、部分的に張り出した突条部160,170が配置されている。突条部160,170は、背面側ケース112が成形されたときに一体的に形成される。突条部160と突条部170とは、被固定部180を挟むように被固定部180の両側に、水平偏波受信姿勢において鉛直方向に1対で延在している。
本実施形態においては、1対の突条部160,170は、筐体110の背面の外縁の近傍に各々配置されている。また、突条部160および突条部170は、水平偏波受信姿勢において筐体110の上端近傍から突出部150より上方の位置まで形成されている。水平偏波受信姿勢において、突条部160および突条部170の下部は、上部に比べて幅広に形成されているが、突条部160,170の形状はこれに限られない。
1対の突条部160,170の各々は、互いに対向する面の少なくとも一部を窪ませた把持部161,171を有する。本実施形態においては、把持部161,171は、筐体110の背面を平面的に見て、複数の窪みが波状に連続するように形成されている。
図2,6に示すように、筐体110の背面に、被固定部180に隣接して面状に張り出した突面部190が配置されている。突面部190は、背面側ケース112が成形されたときに一体的に形成される。本実施形態においては、突面部190は、水平偏波受信姿勢において、被固定部180の下方に配置されている。また、突面部190は、略矩形状の平面領域を有し、水平偏波受信姿勢において、突面部190の下端の一部と、突条部160および突条部170の下部の一部とが繋がっている。
図6,7に示すように、水平偏波受信姿勢において下方に位置する筐体110の底面部には、凹部が形成されており、水平偏波受信姿勢において水平方向に延在する突片部113,114が凹部内に配置されている。突片部113と突片部114とは、互いに間隔を置いて並列に配置されている。突片部113,114は、正面側ケース111の一部から突出するように設けられている。
以下、アンテナ装置100の支持構造について説明する。
図8は、本実施形態に係るアンテナ装置にアンテナ支持装置が接続された状態を示す背面図である。図9は、本実施形態に係るアンテナ装置にアンテナ支持装置が接続された状態を示す上面図である。図10は、アンテナ支持装置の一部分を構成するアンテナ支持部材の外観を示す斜視図である。図11は、アンテナ支持装置の一部分を構成する固定部材の外観を示す斜視図である。図12は、アンテナ装置をアンテナ支持装置により水平偏波受信姿勢で壁部に固定した状態を示す斜視図である。
図8,9に示すように、アンテナ支持装置200は、被固定部180に接続される。図8〜12に示すように、アンテナ支持装置200は、被固定部180に直接接続されるアンテナ支持部材210と、壁部などの固定対象に取付けられる固定部材230と、アンテナ支持部材210と固定部材230とを連結する板状の連結部材220、第1軸部211および第2軸部231とから主に構成されている。
図10に示すように、アンテナ支持部材210は、複数の孔が形成された平面部213と、平面部213の両端から平面部213に直交するように立設された一対の軸受部215とを有している。平面部213には、被固定部180の取付孔181に対応した位置に貫通孔214が形成されている。1対の軸受部215の各々には、第1軸部211に対応した貫通孔216が形成されている。貫通孔216には、1対の軸受部215同士の対向面側から軸受部材217がバーリング加工で形成されている。平面部213には、一対の貫通孔216の中心同士を結ぶ線と略平行に延在する凹部212が形成されている。アンテナ支持部材210はたとえば金属板を加工することにより構成される。
図11に示すように、固定部材230は、複数の孔が形成された平面部233と、平面部233の両端から平面部233に直交するように立設された一対の軸受部235とを有している。平面部233には、固定対象に取付ける際のねじ止め用の貫通孔234が形成されている。1対の軸受部235の各々には、第2軸部231に対応した貫通孔236が形成されている。貫通孔236には、1対の軸受部235同士の対向面側から図示しない軸受部材がバーリング加工で形成されている。平面部233には、一対の貫通孔236の中心同士を結ぶ線と略平行に延在する凹部232が形成されている。アンテナ支持部材210および固定部材230が同じ形状とされてもよい。固定部材230はたとえば金属板を加工することにより構成される。
連結部材220は、平面的に見て、長円形状の外形を有し、長手方向の一方の端部近傍に、第1軸部211に対応した第1貫通孔が形成され、他方の端部近傍に第2軸部231に対応した第2貫通孔が形成されている。連結部材220はたとえば金属板を加工することにより構成される。
第1軸部211および第2軸部231は、頭付ボルトとそれに対応したナットで構成されている。
アンテナ支持部材210は、貫通孔214と被固定部180の取付孔181とを貫くようにねじなどが挿入されて締結されることにより、アンテナ装置100に接続されている。アンテナ支持部材210の凹部212がアンテナ装置100と向かい合うように配置される。
アンテナ支持部材210には、連結部材220が回動可能に取付けられている。具体的には、1対の軸受部215同士の間に連結部材220が配置された状態で、一対の貫通孔216に配置された軸受部材217と連結部材220の第1貫通孔とを貫くように第1軸部211が挿入されて固定される。第1軸部211が第1回動軸となる。
本実施形態においては、固定部材230は、固定対象である壁部300の第1壁面301に取付けられている。固定部材230の凹部232が第1壁面301と向かい合っている。壁部300は、第1壁面301に直交する第2壁面302を有している。固定部材230は、貫通孔234を貫くようにねじなどが挿入されて締結されることにより、第1壁面301に取付けられている。
固定部材230には、連結部材220が回動可能に取付けられている。具体的には、1対の軸受部235同士の間に連結部材220が配置された状態で、1対の貫通孔236に配置された軸受部材と連結部材220の第2貫通孔とを貫くように第2軸部231が挿入されて固定される。第2軸部231が第2回動軸となる。
図12に示すように、第1壁面301側にアンテナ支持装置200を取付け、連結部材220を固定部材230に対して回動させることで、第2壁面302と平行な位置にアンテナ装置100を位置決めすることができる。なお、図12で示す位置から連結部材220を90°回動させることで、アンテナ装置100を、第1壁面301と平行な位置に位置決めすることが可能となる。
図12においては、水平偏波受信姿勢でアンテナ装置100を壁部300に固定する状態を示したが、被固定部180に対してアンテナ支持部材210の相対的位置関係を90°変えて接続することにより、垂直偏波受信姿勢でアンテナ装置100を壁部300に固定することができる。
また、アンテナ装置100を屋内に水平偏波受信姿勢で設置して使用する場合には、アンテナ装置100を支持するスタンドを使用することもできる。
図13は、スタンドの構成を示す斜視図である。図14は、図13のスタンドを矢印XIVから見た図である。図15は、アンテナ装置をスタンドで支持している状態を示す正面図である。
図13,14に示すように、スタンド400においては、平面的に見て、楕円状の平面部404の中央部に、平面部404に直交する方向に膨出された膨出部401が形成されている。膨出部401の上端には、アンテナ装置100の突片部113に対応した位置に受入部403が形成されている。また、膨出部401の上端には、アンテナ装置100の突片部114に対応した位置に受入部402が形成されている。
突片部113を受入部403に、突片部114を受入部402にそれぞれ挿入することにより、図15に示すように、アンテナ装置100をスタンド400で水平偏波受信姿勢に支持することができる。
図16は、本実施形態に係るアンテナ装置の水平偏波受信姿勢において、出力端子130に伝送線を接続する状態を示す背面図である。図17は、水平偏波受信姿勢において、出力端子130と伝送線との接続部を拡大して示す図である。図18は、本実施形態に係るアンテナ装置の垂直偏波受信姿勢において、出力端子130に伝送線を接続する状態を示す背面図である。図19は、垂直偏波受信姿勢において、出力端子130と伝送線との接続部を拡大して示す図である。
図16,17に示すように、出力端子130には、外部の受信機器に接続された同軸ケーブル620と、同軸ケーブル620の先端に取付けられた接栓610とを含む伝送線600が接続される。出力端子130と接栓610との接続部を覆うように防水キャップ630が取付けられている。出力端子130は、水平偏波受信姿勢において矢印601で示すように斜め下方から伝送線が接続されるように鉛直方向に対して傾斜して固定されている。
図18,19に示すように、出力端子130は、垂直偏波受信姿勢において矢印602で示すように斜め下方から伝送線が接続されるように鉛直方向に対して傾斜して固定されている。よって、出力端子130は、垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれにおいても斜め下方から伝送線が接続されるように鉛直方向に対して傾斜して固定されている。
このように出力端子130を固定することにより、出力端子130の伝送線接続部は、垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれにおいても鉛直方向に対して斜め下側に向いている。このため、雨などの水が出力端子130の伝送線接続部内に溜まることを抑制することができる。その結果、出力端子130およびアンテナ部120などが腐食することによるアンテナ装置100の性能の低下を抑制することができる。
本実施形態においては、伝送線の接続方向20と中心線10とのなす角θは略45°である。言い換えると、出力端子130は、垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれにおいても鉛直方向に対して伝送線の接続方向が略45°で交差するように固定されている。
このようにした場合、垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれにおいても、出力端子130の伝送線接続方向が約45°以下に水平方向に近くなることを避けることができる。このため、雨などの水が出力端子130の伝送線接続部内に溜まることを抑制することができる。その結果、アンテナ装置100を垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれで使用した場合にも、出力端子130およびアンテナ部120などが腐食することによるアンテナ装置100の性能の低下を抑制することができる。
図17に示すように、防水キャップ630には、接栓610の外径に適合した大径部と、同軸ケーブル620の外径に適合した小径部とを繋ぐテーパ部631が形成されている。仮に、水平偏波受信姿勢において防水キャップ630内に水が浸入した場合、その水が防水キャップ630の同軸ケーブル620側の端部から排出されるためには、図17に示すように、二点鎖線で示す水平方向500に対して、テーパ部631において最も下側に位置している部分の傾斜510との傾斜角αが0°より大きい必要がある。
傾斜角αが0°の場合、防水キャップ630内に浸入した水が防水キャップ630内で長期間残留するため、接栓610または同軸ケーブル620を劣化させる可能性があり好ましくない。また、傾斜角αが0°より小さい場合、防水キャップ630内に浸入した水が防水キャップ630の接栓610側の端部から排出されて、伝送線接続部に溜まる恐れがあり好ましくない。
よって、水平偏波受信姿勢で出力端子130に伝送線600が接続された状態において、傾斜角αが0°より大きくなる伝送線600の接続方向を有するように出力端子130が固定されていることが好ましい。
仮に、垂直偏波受信姿勢において防水キャップ630内に水が浸入した場合、その水が防水キャップ630の同軸ケーブル620側の端部から排出されるためには、図19に示すように、二点鎖線で示す水平方向500に対して、テーパ部631において最も下側に位置している部分の傾斜520との傾斜角βが0°より大きい必要がある。
傾斜角βが0°の場合、防水キャップ630内に浸入した水が防水キャップ630内で長期間残留するため、接栓610または同軸ケーブル620を劣化させる可能性があり好ましくない。また、傾斜角βが0°より小さいの場合、防水キャップ630内に浸入した水が防水キャップ630の接栓610側の端部から排出されて、伝送線接続部に溜まる恐れがあり好ましくない。
よって、垂直偏波受信姿勢で出力端子130に伝送線600が接続された状態において、傾斜角βが0°より大きくなる伝送線600の接続方向を有するように出力端子130が固定されていることが好ましい。
出力端子130は、突出部150の開口位置に形成されている。図16に示すように、突出部150の開口は、水平偏波受信姿勢において鉛直方向に対して斜め右下側の側面に形成されている。図18に示すように、突出部150の開口は、垂直偏波受信姿勢において鉛直方向に対して斜め左下側の側面に形成されている。
よって、出力端子130は、垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれにおいても鉛直方向の上方を突出部150に覆われている。その結果、垂直偏波受信姿勢および水平偏波受信姿勢のいずれにおいても雨などの水が突出部150に遮られて、出力端子130と接栓610との接続部の位置に直接降りかかることを抑制することができる。そのため、伝送線接続部内に雨などの水が浸入することを低減して、アンテナ装置100の性能の低下を抑制することができる。
また、突出部150は、その内側に空間が形成されている。本実施形態においては、突出部150の空間に、アンテナ部120および出力端子130に接続された図示されていない電子機器として増幅器が配置されている。このような構成にすることにより、アンテナ部120と増幅器と出力端子130とを1つの筐体内に収納して設置することができるため、アンテナ装置100の組立性を向上することができる。なお、増幅器への動作電源は、受信機側に設けられた電源供給器より伝送線を介して供給される。本実施形態においては、電子機器として増幅器を配置したが、電子機器はこれに限られず、たとえば、混合器、分波器または分配器を配置してもよい。
本実施形態においては、図16に示すように、出力端子130が水平偏波受信姿勢において、筐体110の下側かつ左側に偏って配置されているため、出力端子130に接続された伝送線600を筐体110の下側かつ右側の位置に引き回すことができる。このように伝送線600を引き回すことにより、アンテナ装置100の正面側からは、伝送線600を視認できなくすることができる。その結果、アンテナ装置100の設置後の外観を美しくすることができる。
また、出力端子130を上記の配置にすることにより、出力端子130が筐体110の底面部の近傍に位置し、かつ、伝送線600の接続方向が筐体110の底面部に向いている。その結果、アンテナ装置100の背面側の空間スペースが狭い状態で接栓610を出力端子130に接続する際に、作業者の手が出力端子130に届き易く、かつ、接栓610を容易に接続することができるため、アンテナ装置100の取付作業性が向上する。
なお、出力端子130は、水平偏波受信姿勢において、筐体110の下側かつ右側に偏って配置されていてもよい。この場合、出力端子130の伝送線600は、左下側に向いている。このように出力端子130を配置した場合にも、上記の同様の効果を得ることができる。
その場合には、突出部150は、水平偏波受信姿勢において、筐体110の背面の下側かつ右側に偏って配置されている。突出部150には、鉛直方向に対して斜め左下側の側面に開口が形成されている。その開口位置に出力端子130を配置した場合にも、上記の同様の効果を得ることができる。
図20は、本実施形態に係るアンテナ装置の出力端子を側方から見た図である。図20に示すように、伝送線の接続方向である出力端子の中心軸540と、筐体の背面に対する平行線530とは角度γで交差している。γは、0°<γ<90°である。好ましくは、γ=15°である。言い換えると、出力端子130における伝送線の接続方向は、筐体110の背面に対して斜め外方に傾斜している。
このように出力端子130を配置することにより、出力端子130に伝送線を接続する際の伝送線の移動経路と筐体110の背面との間に距離を確保できる。その結果、作業者の手が筐体110の背面に規制されることを低減できるため、伝送線の接続が容易になる。
ただし、γが90°に近づくにつれて、出力端子130に伝送線を接続する際の伝送線の移動経路が筐体110の背面から離れすぎて、筐体110の背面のスペースに限りがある場合には、逆に伝送線の接続作業性が悪くなる。そのため、伝送線の接続作業性、および、伝送線の接続に必要な背面側スペースの低減の両方の観点から、γ=15°であることが好ましい。なお、モニタ端子140についても出力端子130と同様である。
図21は、本実施形態に係る背面側ケースの内側を示す平面図である。図21においては、水平偏波受信姿勢における背面側ケースを示している。図21に示すように、筐体110の背面を構成する背面側ケース112には、背面側に部分的に張り出した1対の突条部160,170が設けられている。突条部160と突条部170は、被固定部180を互いの間に挟むように、水平偏波受信姿勢において鉛直方向に延在している。
本実施形態においては、アンテナ支持装置と接続される被固定部180は、背面側ケース112の上部に位置しているため、アンテナ装置100を固定するために作用するモーメントが大きくなる傾向にある。モーメントは、被固定部180周辺に集中して作用する。
背面側ケース112には、被固定部180の両側に、背面側ケース112の上方から中央部付近まで延びる突条部160,170が設けられているため、被固定部180周辺および背面側ケース112の中央部付近の強度が増加されている。その結果、アンテナ装置100の耐久性が向上されている。
また、背面側ケース112には、被固定部180に隣接して背面側に面状に張り出した突面部190が設けられている。突面部190の内側に、格子状の補強構造部191が設けられている。補強構造部191は、背面側ケース112が成形された際に、一体的に形成されている。
突面部190を設けてその内側に空間を確保し、その空間に補強構造部191を設けることにより、被固定部180に隣接した背面側ケース112の中央部付近の強度を増加させることができる。その結果、アンテナ装置100の耐久性が向上される。
1対の突条部160,170の各々には、互いの対向する面の少なくとも一部を窪ませた把持部161,171が形成されている。突条部160は、筐体110の背面の一方の外縁の近傍に配置されている。突条部170は、筐体110の背面の他方の外縁の近傍に配置されている。
アンテナ装置100を作業者が運ぶ際に、把持部161または把持部171と筐体110の側面とに手をかけて運ぶことにより、突条部160,170に形成された窪みが滑り止めの役割を果たす。その結果、アンテナ装置100の持ち運び性が向上する。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。