JP5029801B2 - セルロース系繊維構造物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカ・アルミナ多孔体を繊維内部に担持したセルロース系繊維構造物の製造方法に関する。
従来、ゼオライトやアルミノシリカゲル等の無機化合物を、紙等のセルロース基材をはじめとする親水性高分子基材に担持させて機能性を付与することが多数試みられている。例えば、塗工、製紙工程でゼオライト、アルミノシリカゲル等の無機化合物を内添する等の技術が知られているが、担持率が自ずと制限される問題があるほか、無機化合物の機能性発現を著しく阻害する場合も多々ある。
このような問題を解決する技術として、例えば、ゼオライトの構成成分であるケイ素化合物又はアルミニウム化合物のどちらか一方の水溶液を親水性高分子基材に含浸させ、塩基性物質と他方の水溶液を混合し、これを更に含浸させて、セルロース繊維の内部にゼオライトを担持させた無機多孔結晶−親水性高分子複合体が提案されている(特許文献1:特開平10−120923号公報、特許文献2:特開平11−315492号公報)。
しかし、上記技術は、溶液の組成範囲が広く、パルプセルロースの加工には適しているものの、セルロース系繊維の不織布や織物及びニット生地に適用した場合、無機原料の均一な含浸が極めて困難である。結果として、ゼオライトの生成むらが発生し、これに起因する各種性能の不均一性や外観不良を引き起こすだけでなく、抗菌性や脱臭性等の性能発現を十分に発揮させることが困難となる場合もあった。
特開平10−120923号公報 特開平11−315492号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、織編物や不織布等を構成するセルロース系繊維内部にシリカ・アルミナ多孔体を担持したセルロース系繊維構造物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液、並びにアルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液をそれぞれ繊維構造物に含浸させた後、湿熱加熱してセルロース系繊維内部でケイ素化合物とアルミニウム化合物とを反応させてシリカ・アルミナ多孔体を生成させること、この場合、上記各水溶液の塩基性物質濃度を15〜20質量%の範囲に調製することで、セルロース系繊維内部にケイ素化合物及びアルミニウム化合物を効果的に浸透させることができ、セルロース系繊維内部で効率よくシリカ・アルミナ多孔体を生成できることを見出した。そして、セルロース系繊維内部にシリカ・アルミナ多孔体を3.5質量%以上(織布の場合)あるいは4.2質量%以上(不織布の場合)の担持率で担持してなるセルロース系繊維構造物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記のセルロース系繊維構造物の製造方法を提供する。
<1>ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液と、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液とをそれぞれ繊維構造物に含浸させた後、これら水溶液を含浸させた繊維構造物を密閉空間へ投入して室温下で養生し、湿熱加熱してセルロース系繊維内部でケイ素化合物とアルミニウム化合物とを反応させてシリカ・アルミナ多孔体を生成させるセルロース系繊維構造物の製造方法であって、上記各水溶液の塩基性物質濃度が15〜20質量%であることを特徴とするセルロース系繊維構造物の製造方法。
<2>上記各水溶液の塩基性物質濃度が16〜19質量%である<1>記載の製造方法。
<3>繊維構造物にケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させた後、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させるようにした<1>又は<2>記載の製造方法。
<4>繊維構造物にアルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させた後、ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させるようにした<1>又は<2>記載の製造方法。
<5>上記塩基性物質が水酸化ナトリウムである<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6>繊維構造物が、織布、不織布又は編物である<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
本発明のセルロース系繊維構造物は、繊維内部に一定量のシリカ・アルミナ多孔体を担持しているため、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、イソ吉草酸等に対する高い消臭性を有する。また、カドミウム、鉛等の有害な重金属イオンの除去にも効果的である。更に、銅イオンや銀イオン等の金属イオンをシリカ・アルミナ多孔体中に導入することにより、抗菌性、防かび性を付与することができる。
また、セルロース系繊維内部に結晶を担持しているため、外観にも優れる上に、洗濯耐久性等の耐久性にも優れている。しかも、繊維内部にシリカ・アルミナ多孔体が均一に担持されているため、繊維構造物全体としての性能にむらがない。
本発明の製造方法によれば、繊維内部に効率的かつ均一に無機原料を浸透させることができるため、加工時間及び工程の短縮、更には原料使用量の削減を達成でき、均一なシリカ・アルミナ多孔体の生成が可能である。
本発明のセルロース系繊維構造物の製造方法は、ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液と、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液とをそれぞれ繊維構造物に含浸させた後、湿熱加熱してセルロース系繊維内部でケイ素化合物とアルミニウム化合物とを反応させてシリカ・アルミナ多孔体を生成させるものである。
ここで、セルロース系繊維としては、綿、麻等の天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)、テンセル、ポリノジック、リョセル等の再生セルロース繊維、アセテート等の半合成繊維が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を混用したものであっても構わない。この場合、セルロース系繊維は綿繊維が通常35%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは綿100%のものが、優れた吸湿性、吸水性、風合の点から望ましい。なお、これら天然、再生セルロース繊維又は半合成繊維にナイロン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維等、他の繊維を本発明の目的を損なわない範囲で混合して用いても差し支えない。
かかるセルロース系繊維からなる構造物としては、織布、不織布、編物を挙げることができ、具体的には、上記セルロース系繊維を通常の紡績方法により撚りを与えて糸とし、該糸を製織又は製編してなる、平織、綾織、朱子織等の織物や、天竺、鹿の子等のシングルジャージ、フライス、スムス等のダブルジャージ等の編物等のあらゆる織物又は編物、あるいは不織布等が挙げられ、これらは必要に応じて、毛焼、糊抜、精練、漂白、シルケット加工等の処理を施すことができる。
また、ケイ素化合物としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水ガラス、シリカゾル等を使用することができる。一方、アルミニウム化合物としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。
例えば、セルロース系繊維内部でゼオライトを生成する場合は、ケイ素化合物としてはメタケイ酸ナトリウムを、アルミニウム化合物としてはアルミン酸ナトリウムを好適に使用できる。
また、塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を使用することができるが、水酸化ナトリウムが水に対する溶解度が高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点から好適である。
ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液は、ケイ素化合物の濃度が1〜35質量%、特に2〜25質量%であることが好ましい。ケイ素化合物の濃度が低すぎるとゼオライトの生成に長時間を要する場合があり、高すぎると塗工及び生地に対する含浸に支障をきたす場合がある。また、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液は、アルミニウム化合物の濃度が1〜40質量%、特に2〜25質量%であることが好ましい。アルミニウム化合物の濃度が低すぎるとゼオライトの生成に長時間を要する場合があり、高すぎると塗工及び生地に対する含浸に支障をきたす場合がある。
上記各水溶液中の塩基性物質の含有量は、いずれも15〜20質量%、特に16〜19質量%であることが好ましい。含有量が低すぎるとシリカ・アルミニウム多孔結晶の生成率乃至担持率が低く、含有量が高すぎるとセルロース繊維が黄変すると共に、シリカ・アルミニウム多孔結晶の生成率乃至担持率が低下する。
セルロース系繊維構造物に上記水溶液を含浸させる方法は特に制限されず、パディング法、コーティング法、スプレー法、浴中法等いずれの方法でも構わないが、特にパディング法が加工性(生産性)に優れることから好ましく採用することができる。
セルロース系繊維構造物に上記水溶液を含浸させる際は、各水溶液を別々に繊維構造物に含浸させればよく、溶液を使用する順番は特に制限されない。最初にケイ素化合物含有水溶液を含浸させ、次にアルミニウム化合物含有水溶液を含浸させてもよいし、先にアルミニウム化合物含有水溶液を含浸させ、次いでケイ素化合物含有水溶液を含浸させてもよい。また、複数回、繰り返し含浸させるようにしてもよい。
2種類の水溶液を含浸させた後、好ましくは4〜20時間、室温下で養生し、次いで湿熱加熱させる。湿熱加熱の条件は、60〜100℃、特に70〜90℃で、0.5〜20時間、特に1〜3時間が好ましい。湿熱加熱は、例えば、上記水溶液を含浸させたセルロース系繊維構造物を密閉空間へ投入し、これを上記温度に加熱する方法等により行うことができる。これにより、ケイ素化合物とアルミニウム化合物とを効率よく反応させ、結晶成長を促すことができる。
反応終了後は、30〜90℃の温水で洗い、繊維表面に生成した結晶を洗い流し、続いて乾燥させることが好ましい。
なお、上記セルロース繊維内部にシリカ・アルミナ多孔体を形成、担持させる場合、更にシリカ・アルミナ多孔体中に銅イオン、銀イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の金属イオンを導入(イオン変換)することができるが、このように銅イオン、銀イオン、亜鉛イオン等の金属イオンをシリカ・アルミナ多孔体中に導入(イオン交換)する場合、これらの金属の金属塩、例えば銅イオン等を含有する水溶液を濃度0.1〜1.0質量%、特に0.2〜0.6質量%に調製し、この水溶液をシリカ・アルミニウム多孔結晶を担持したセルロース系繊維構造物に付与する方法を採用することができる。この場合、上記金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記水溶液を繊維構造物に付与する方法は特に制限されず、浸漬法、コーティング法、パディング法、スプレー法等が挙げられ、浸漬法、パディング法を好ましく用いることができる。
繊維構造物に上記金属イオンの水溶液を付与した後、50〜65℃の湯にて洗い乾燥して、金属イオンを導入したセルロース系繊維構造物を得ることができる。
本発明の製造方法によれば、シリカ化合物及びアルミニウム化合物を均一にセルロース系繊維内部に浸透させることができ、均一にかつ多量にシリカ・アルミニウム多孔結晶を生成させることができ、特に織布の場合、3.4質量%以上、特に3.6質量%以上の担持率とすることができる。この場合、その上限は特に制限されないが、通常5.5質量%以下、特に5.0質量%以下である。また、不織布の場合、4.2質量%以上、特に4.5質量%以上の担持率とすることができ、その上限も特に制限されないが、通常11.0質量%以下、特に10.5質量%以下である。
ここで、本発明のセルロース系繊維構造物は、セルロース系繊維内部にシリカ・アルミナ多孔体を担持してなるものであるが、本発明において、セルロース系繊維内部とは、セルロース繊維を構成する表皮や細胞壁の表面、細胞壁内の細孔及びルーメン(内腔)を除いた部分をいう。
また、本発明におけるシリカ・アルミナ多孔体とは、ゼオライト、アルミノシリカゲル等が挙げられるが、これらの中でも特に合成ゼオライト(4A型)、X型、Y型が吸着特性及び金属イオン交換性の点から好ましい。
なお、本発明のセルロース系繊維構造物は、上記製造法(処理法)において、セルロース繊維が黄変せず、実質的に処理前の色度を有していることが好ましい。
本発明のセルロース系繊維構造物は、それ自体で高消臭(脱臭)性、陽イオン交換能、吸放湿性能等に優れ、高い機能性を有するものであるが、上述したように、更にシリカ・アルミナ多孔体中に、銅イオン、銀イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の金属イオンの1種又は2種以上を導入(置換)することで、抗菌性、防カビ性、ウィルス不活化性等の各種機能を付与することができる。
この場合、金属イオンの導入量、例えば、銅イオンの導入量はゼオライト結晶の質量に対して0.5〜14質量%が好ましく、より好ましくは7〜12質量%である。金属イオンの量が少なすぎると、イオン効果がない場合がある。
本発明のセルロース系繊維構造物は、消臭性、抗菌性等に非常に優れるため、衣料品(食品・衛生関連作業衣等)、家庭用品(インテリア関連用品等)、衛生材料関連用品、環境浄化システム、農業資材(水耕栽培)、土壌温床、自動車関連用品、ペット関連用品等の産業資材等、様々な用途に利用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、%は質量%を示す。
[実施例1](水酸化ナトリウム濃度16%)
ケイ酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ87.27g及び水195.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ80.97g及び水195.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は織物3.4%、不織布4.5%であった。
[実施例2](水酸化ナトリウム濃度17%)
ケイ酸ソーダ(東曹産業工業(株)製、1号ケイ酸ソーダ)50.00g、48%苛性ソーダ(東亜合成(株)製、48wt%水溶液)92.50g及び水185.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ(朝日化学工業(株)製、NA−170)50.00g、48%苛性ソーダ88.75g及び水190.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は、織物3.6%、不織布5.6%であった。
[実施例3](水酸化ナトリウム濃度18%)
ケイ酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ100.41g及び水180.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ96.70g及び水185.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は、織物4.8%、不織布9.9%であった。
[実施例4](水酸化ナトリウム濃度19%)
ケイ酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ105.26g及び水170.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ101.59g及び水175.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は、織物4.6%、不織布9.2%であった。
[実施例5](水酸化ナトリウム濃度20%)
ケイ酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ113.31g及び水165.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ109.68g及び水170.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は、織物4.2%、不織布9.2%であった。若干の黄変が見られた。
[比較例1](水酸化ナトリウム濃度13%)
ケイ酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ66.22g及び水215.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ62.32g及び水220.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は、織物3.3%、不織布2.2%であった。
[比較例2](水酸化ナトリウム濃度22%)
ケイ酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ125.87g及び水150.00gの混合溶液を実験用小型マングルを用いて織物及び不織布(いずれも綿100%)に含浸せしめた後、アルミン酸ソーダ50.00g、48%苛性ソーダ122.35g及び水155.00gの混合水溶液を含浸させ、ビニール袋に入れ、密封した。12時間養生した後、ビニール袋に入れたまま85℃恒温乾燥機中で2時間加熱処理した。ビニール袋から取り出し、60℃温水で湯洗いを繰り返した後、吊り干し乾燥させた。この処理布のゼオライト担持率は、織物2.6%、不織布8.7%であったが、顕著な黄変が確認された。
なお、得られたゼオライト組成は、Na12Si12Al1248・27H2Oであり、またゼオライト担持率は以下の方法で求めた。
10cm×10cmのゼオライトを生成させた生地(織物)を、100gの2%クエン酸水溶液に3時間浸漬した。その後、生地を水溶液から取り出し乾燥させた後、生地の質量を測定した。生地の浸漬前の質量と浸漬後の質量の差から、ゼオライトの担持量を測定して担持率を出した。

Claims (6)

  1. ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液と、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液とをそれぞれ繊維構造物に含浸させた後、これら水溶液を含浸させた繊維構造物を密閉空間へ投入して室温下で養生し、湿熱加熱してセルロース系繊維内部でケイ素化合物とアルミニウム化合物とを反応させてシリカ・アルミナ多孔体を生成させるセルロース系繊維構造物の製造方法であって、上記各水溶液の塩基性物質濃度が15〜20質量%であることを特徴とするセルロース系繊維構造物の製造方法。
  2. 上記各水溶液の塩基性物質濃度が16〜19質量%である請求項1記載の製造方法。
  3. 繊維構造物にケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させた後、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させるようにした請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 繊維構造物にアルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させた後、ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液を含浸させるようにした請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 上記塩基性物質が水酸化ナトリウムである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 繊維構造物が、織布、不織布又は編物である請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
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