JP5028237B2 - 木板材及び木板材の加工方法 - Google Patents
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Description
そのため、従来においては、例えば、以下のような処理を行なっている。
(1)埋木
板材の表面を一部くり貫いて補修する方法であり、木板材の一方面及び他方面の何れかの面において節の部分に嵌入孔を形成し、この嵌入孔に木板材と同樹種の板材をくり貫いて形成した円柱状の埋木を接着剤を介して圧入し、その後、表面を削るなどの処理をして、節部分の抜けがないようにして品質向上を図っている(例えば、実公平2−13129号公報,特開2001−62805号公報等参照)。
(2)貫通埋木
板材の節部分を完全にくり抜いて、穴を明け、埋木を施す。
(3)パテ
パテ(木工用ボンド)の塗布による修理を行なう。
また、パテを用いる(3)の補修では、死節が抜け落ちない段階では有効であるが、抜け落ちた場合、若しくは、一部欠落した場合は、結局、(1)(2)の補修をしなければならない。
即ち、従来型の節の補修方法は、基本的には大同小異であり、節の大小或いは雑多な形状などでコストも高く、更に、木の本質と素朴な自然の美しさが満たされなかった。
本発明はこのような問題点に鑑みて為されたもので、既存の節を生かし、この節が抜け落ちないようにし、しかも、加工をきわめて容易にして、加工効率の向上を図り、コストダウンを図った木板材及び木板材の加工方法を提供することを目的とする。
また、節と一般部との境界に穴加工をして接着剤を充填するだけなので、従来に比較して、加工が容易であり、加工効率や作業効率が向上させられ、大幅なコストダウンを図ることができる。
また、節と一般部との境界に穴加工をして接着剤を充填するだけなので、従来に比較して、加工が容易であり、加工効率や作業効率を向上させることができ、大幅なコストダウンを図ることができる。
その結果、本発明によれば、抜け節の解消に役立つとともに、木材内装材等の需要拡大を図ることができるのである。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る木板材Wは、一方面Waから他方面Wbに貫通する節Fを有している。木板材Wの材質は、アカマツ,カラマツ,トドマツやエゾマツ等の松材をはじめヒノキ,スギなども含めた針葉樹全般、あるいは、広葉樹全般について適用できる。節Fとしては、上述したように、主に「生節Fa」と「死節Fb」とがある。
図2(1)及び図4(a)に示すように、周知の製材機などにより、例えば原木である丸太から矩形状の木板材Wを挽く、この挽き出されて製材された木板材Wは、一般に、生材(有節材)といわれ、節Fにおいては、「生節Fa」は一般部Sと一体化しており、「死節Fb」においても、一般部Sに密着している。
図2(2)に示すように、挽き出されて製材された木板材Wを、例えば、天然乾燥、あるいは、人工乾燥により、乾燥する。乾燥が進むと、木板材Wの水分が減って、節Fは収縮し、特に、「死節Fb」にあっては、一般部Sとの間に隙間が生じようとするが、摩擦抵抗があることから、一般には衝撃を付与しない限り、容易に脱落することはない。しかし、節Fが脱落しないように、搬送時などには注意することが望ましい。
図2(3)及び図4(b)に示すように、乾燥した木板材Wの一方面Wa及び他方面Wbの何れかの面において、実施の形態では一方面Waにおいて、節F及び節F以外の一般部Sの境界Bに、節F及び一般部Sに跨る穴1を穿設する。穴1の穿設は、例えば手操作する電動ドリル10で行なう。電動ドリル10においては、穴の深さを規定するストッパ11が設けられている。この穿設工程において、木板材Wの節Fのうち、少なくとも死節Fbに対して穴1を穿設する。「生節Fa」は、乾燥後も一般部Sと一体化しているので、特に、穴1を設けなくても良い。「生節Fa」に対して穴加工を行なっても良い。
また、この穿設工程において、図4(b)に示すように、穴1の深さDと板厚Tとの関係を、D<Tとし、穴1を非貫通にする。例えば、T=12mmの木板材Wでは、例えば直径4mmで、深さD=8mmの穴1を穿設する。穴1は所要の間隔で、複数形成することが望ましい。節Fの状態により、穴1が1個になっても差支えない。
図3(4)及び図4(c)に示すように、穿設された穴1に接着剤2を充填する。接着剤2としては、例えば、木工用酢酸ビニール系接着剤等、適宜の接着剤が用いられる。実施の形態では、シンコーボンドTV−2RL(株式会社オーシカ製)を用いた。これにより、節Fと一般部Sとの境界Bに形成された穴1に接着剤2が充填されるので、節Fと一般部Sとが接着剤2を介して結合される。そのため、乾燥により節Fと一般部Sとの間に隙間が生じて節Fが抜け落ちようとしても、節Fが脱落する事態が防止される。
図1及び図3(5)に示すように、接着剤充填工程において充填した接着剤2の硬化後に、木板材Wの少なくとも表面を削って仕上げる。周知の自動鉋盤等により行なう。接着剤2の硬化後に表面を仕上げるので、表面仕上げ時に、節Fが脱落してしまう事態が防止され、確実に、表面仕上げを行なうことができるようになる。また、鉋盤に抜け落ちた節Fが引っ掛かって故障を生じさせる事態も防止される。二次加工としては、例えば、木板材Wの一側縁に、凸条3を加工し、他側縁に凸条3が嵌合する凹条4を加工して、順次連設可能な、内装材に仕上げる場合もあるが、このような二次加工も、接着剤2の硬化後に行なうことが望ましい。節Fが脱落してしまう事態が防止され、確実に、二次加工を行なうことができるようになる。
特に、抜けが生じやすい死節Fbに対して加工を行なうので、死節Fbが脱落する事態が確実に防止され、抜けのない節Fのある木板材Wとして品質が向上させられる。生節Faに対しても加工を行なってよいことは勿論である。
Wa 一方面
Wb 他方面
F 節
Fa 生節
Fb 死節
S 一般部
B 境界
1 穴
D 深さ
T 板厚
2 接着剤
3 凸条
4 凹条
(1)製材工程
(2)乾燥工程
(3)穿設工程
(4)接着剤充填工程
(5)二次加工工程
Claims (7)
- 一方面から他方面に貫通する節を有した木板材において、
一方面及び他方面の何れかの面において、節及び該節以外の一般部の境界に該節及び一般部に跨る穴を穿設し、該穴に接着剤を充填したことを特徴とする木板材。 - 上記節のうち、少なくとも死節に対して上記の穴を穿設し、該穴に接着剤を充填したことを特徴とする請求項1記載の木板材。
- 上記穴の深さDと板厚Tとの関係を、D<Tとし、該穴を非貫通にしたことを特徴とする請求項1または2記載の木板材。
- 一方面から他方面に貫通する節を有した木板材の加工方法において、
原木から必要な寸法の木板材に挽く製材工程と、上記挽き出された木板材を乾燥する乾燥工程と、上記乾燥した木板材の一方面及び他方面の何れかの面において節及び該節以外の一般部の境界に該節及び一般部に跨る穴を穿設する穿設工程と、上記穿設された穴に接着剤を充填する接着剤充填工程とを備えたことを特徴とする木板材の加工方法。 - 上記接着剤充填工程において充填した接着剤の硬化後に、木板材の少なくとも表面を削って仕上げる二次加工工程を行なうことを特徴とする請求項4記載の木板材の加工方法。
- 上記穿設工程において、上記木板材の節のうち、少なくとも死節に対して上記の穴を穿設することを特徴とする請求項4または5記載の木板材の加工方法。
- 上記穿設工程において、上記穴の深さDと板厚Tとの関係を、D<Tとし、該穴を非貫通にしたことを特徴とする請求項4乃至6何れかに記載の木板材の加工方法。
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