JP5027963B2 - 工作機械の熱変位測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マシニングセンタや旋盤等の工作機械の直進運動に伴う熱変位を測定する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の工作機械の熱変形に対する関心の高まりを背景に、工作機械の国際的な取引におけるトラブルの解消を目的として、国際標準化機構では工作機械の熱変位に関する規格が制定されつつある(国際規格ISO230「工作機械試験通則 第3部:熱的影響の決定」(Test code for machine tools Part 3: Determination of thermal effects:以下ISO230-3と呼ぶ。)参照)。
【0003】
ISO230-3では、工作機械の熱変位に関して、環境温度変動変化、主軸回転、直進軸の運動の3つの状態の影響を評価する方法が規定されている。これらの測定方法のうち、直進軸の運動の影響を評価する方法は、レーザ干渉計を利用して直進運動の両端における位置決め精度の熱的影響を測定するプロセスを含むものである。すなわち、レーザ干渉計を工作機械の主軸端に、レーザ反射鏡を工作機械のテーブル端に固定し、その状態でテーブル又は主軸頭を案内面に沿って直進運動させ、その送り運動の両端における位置決め偏差の熱変位による変化を検出する。なお、熱変位の検出装置としては、レーザ干渉計以外にもダイヤルゲージが用いられることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
工作機械の送り運動に関する熱源は、送りねじとナットの間の摩擦、送りねじの軸受、駆動モータ、摺動面での摩擦等が考えられる。セミクローズドループ方式によって位置決め制御された機械では、これらからの発熱により、送りねじが膨張することで位置決め精度が低下する。そこで、熱変位による位置決め偏差への影響を測定評価する必要性は非常にある。しかしながら、昨今の送り駆動系の高速化と、直進運動要素の位置を直接検出するいわゆるクローズドループ方式の採用の増加を考慮すると、位置決め偏差以外の方向の熱変位成分も無視しえなくなり、主軸の回転による熱変位測定と同様に測定評価する必要があると考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、工作機械の直進運動要素の運動により生じる熱変位について、位置決め偏差以外の成分も含めた多自由度同時測定法及びそれに使用する装置を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
本発明の測定方法は、工作機械の可動部(SH,54)を所定の軸方向に関して繰り返し直進運動させ、その直進運動に伴って発生する前記可動部とその可動部と対をなす静止部(TB,52)との間の前記直進運動の方向に関する熱変位を前記直進運動と関連付けられた所定のタイミングで測定するとともに、その測定と同時に、前記直進運動の方向とは異なる少なくとも一つの方向に関して前記可動部と前記静止部との間に発生する熱変位を測定する工作機械の熱変位測定方法であって、前記可動部及び前記静止部のいずれか一方には、前記直進運動の方向に配置された検出対象(21)までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサ(S1,S2)と、前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向にそれぞれ配置された検出対象(22,23)までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサ(S3〜S7)とを装着し、前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向のうち一方の軸方向の検出対象(22)に関しては、前記第2のセンサ(S3,S4)を、前記直進運動の方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記二つの軸方向のうち他方の軸方向の検出対象(23)に関しては、前記第2のセンサ(S5〜S7)を、前記直進運動の方向及び前記一方の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、前記可動部及び前記静止部のいずれか他方には、前記第1及び第2のセンサの検出対象としての被測定面(21,22,23)を、前記可動部が前記静止部に対して所定の測定位置に達したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように設け、前記可動部が前記測定位置に達したときの各センサからの出力信号に基づいて、前記直進運動の方向の熱変位と、前記二つの軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記直進運動が行われる軸及び当該軸に直交する二つの軸を含む三軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定するものである。
【0008】
この方法によれば、直進運動の方向に関する位置決め偏差の測定と同時に、その直進運動とは異なる方向の熱変位の並進偏差成分及び三軸回りの角度偏差成分が測定されるので、工作機械の熱変位に伴う挙動が多面的に解析でき、熱変位の状態をより正確に把握することが可能となる。例えば、工作機械のX軸方向の直進運動に伴う熱変位を測定する場合、これまではX軸方向に関する位置決め偏差のみが測定対象とされていたのに対して、本発明によれば、X軸方向とは異なる方向に関する熱変位、例えばY軸方向及びZ軸方向に関する並進偏差、X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれの回りの角度偏差を検出することができ、X軸方向以外にもどのような熱変位が生じているかを具体的に把握できるようになる。
【0009】
本発明の測定方法において、可動部は例えば主軸頭、テーブル、サドル、旋盤の往復刃物台等、工具とワークとの間に所定の加工運動を生成するために駆動される工作機械の部分を意味し、静止部はその可動部に対して相対的に静止した状態に保たれる部分を意味する。静止部は必ずしも常時固定されるべき部分である必要はない。測定のタイミングは、直進運動に伴う熱変形の推移が十分に把握できる程度の間隔で設定することが望ましい。熱変位の測定には非接触式又は接触式の各種のセンサを使用してよい。
【0011】
前記直進運動の方向に関して、前記測定位置が前記可動部の運動範囲の両端に設定されてもよい。例えば可動部がX軸方向に直進運動を行う場合、測定位置はX軸方向に関して可動部の運動範囲の両端と一致させるとよい。このように直進運動の両端にて熱変位を測定すれば、直進運動の方向とは異なる他の方向に関する熱変位の発生状態をより詳しく知ることができる。なお、測定位置は直進運動以外の方向に関して可動部の運動範囲の両端と一致していてもよいし、しなくてもよい。一致していない場合、つまり直進運動の方向以外に関して測定位置が運動範囲からずれているときは、そのずれが設けられている方向へ可動部を移動させてセンサを測定位置まで導くことになる。
【0012】
前記測定位置を結ぶ直線上の所定の位置に中間測定位置が設定され、前記可動部又は前記静止部のいずれか他方には、前記可動部が前記中間測定位置に達したとき、前記第2のセンサと対向して当該センサによる検出対象として機能する被測定面(ターゲット2C上の22,23)が設けられてもよい。このように、直進運動の両端と中間位置のそれぞれで測定を行うようにすれば、運動の真直度に対する熱変位の影響を検出することができる。
【0015】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが前記可動部に設けられてもよい。可動部に設けた場合には、例えば送り方向に離れた複数箇所で同一のセンサを利用して測定を行うことができ、センサの使用数が減る。
【0016】
本発明の他の測定方法は、工作機械の主軸頭(SH)とテーブル(TB)とを所定の軸方向に関して繰り返し相対的に直進運動させ、その直進運動に伴って前記主軸頭とテーブルとの間に発生する前記直進運動の方向の熱変位を前記直進運動と関連付けられた所定のタイミングで測定するとともに、その測定と同時に、前記直進運動の方向とは異なる少なくとも一つの方向に関して前記主軸と前記テーブルとの間に発生する熱変位を測定する工作機械の熱変位測定方法であって、前記主軸頭には、前記直進運動の方向に配置された検出対象(21)までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサ(S1,S2)と、前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向にそれぞれ配置された検出対象(22,23)までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサ(S3〜S7)とを装着し、前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向のうち一方の軸方向の検出対象(22)に関しては、前記第2のセンサ(S3,S4)を、前記直進運動の方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記二つの軸方向のうち他方の軸方向の検出対象(23)に関しては、前記第2のセンサ(S5〜S7)を、前記直進運動の方向及び前記一方の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、前記テーブル上には、前記第1及び第2のセンサの検出対象としての被測定面(21,22,23)を有するターゲット(2L,2R,2C)を、前記主軸頭が前記テーブルに対して所定の測定位置まで相対的に移動したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように設け、前記主軸頭が前記テーブルに対して所定の測定位置まで相対的に移動したときの各センサからの出力信号に基づいて、前記直進運動の方向の熱変位と、前記二つの軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記直進運動が行われる軸及び該軸に直交する二つの軸を含む三軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定するものである。
【0017】
この測定方法によれば、工作機械の主軸とテーブルとの間に発生する熱変位が直進運動の方向のみならず、他の方向からも測定されるので、主軸とテーブルとの間に生じる熱変位の影響を多面的に解析でき、熱変位の状態をより正確に把握することが可能となる。
【0019】
本発明のさらなる形態の測定方法は、工作機械のX軸方向又はY軸方向のいずれか一方の第1の軸方向に測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象(21)の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサ(S1,S2)と、X軸方向又はY軸方向のいずれか他方の第2の軸方向、及び前記工作機械のZ軸方向に相当する第3の軸方向のそれぞれに測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象(22,23)の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサ(S3〜S7)とを備えたセンサ支持治具(1)を主軸頭(SH)に装着し、前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか一方の軸方向の検出対象(22)に関しては、前記第2のセンサ(S3,S4)を、前記第1の軸方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか他方の軸方向の検出対象(23)に関しては、前記第2のセンサ(S5〜S7)を、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、前記工作機械のテーブル(TB)上には、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検出対象としてそれぞれ機能する被測定面(21,22,23)を備えたターゲット(2L,2R,2C)を、前記テーブルに対して前記主軸頭が所定の測定位置まで相対的に移動したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように配置し、前記主軸頭と前記テーブルとを前記第1の軸方向に繰り返し相対的に直進運動させ、その直進運動に関連付けられた所定のタイミングで前記主軸頭を前記テーブルに対して前記測定位置まで相対的に移動させ、そのときの前記第1のセンサ及び第2のセンサの出力信号に基づいて前記主軸と前記テーブルとの間に発生する、前記第1の軸方向の熱変位と、前記第2の軸方向及び前記第3の軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記工作機械のX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定するものである。
【0020】
この測定方法によれば、工作機械の主軸とテーブルとの間に発生する熱変位が直進運動の方向のみならず、他の方向からも測定されるので、主軸とテーブルとの間に生じる熱変位の影響を多面的に解析でき、熱変位の状態をより正確に把握することが可能となる。主軸頭にはセンサ支持治具を、テーブルにはターゲットを取り付けるだけでよく、セットアップを簡単に行える。なお、センサ支持治具は望ましくは主軸に装着する。これによりセンサ支持治具とターゲットとの関係を加工時の工具とワークとの関係に近似させて熱変位を測定できるので都合がよい。
【0021】
前記センサ支持治具には、一対の第1のセンサ(S1,S2)が、互いの測定方向を前記第1の軸方向に関して前記主軸の中心軸線を挟んで互いに外側に向けた状態で設けられ、前記テーブル上には、一対のターゲット(2L,2R)が、それぞれの前記第1のセンサに対応する被測定面(21,21)を前記直進運動の方向に向かい合わせるようにして当該直進運動の方向に並べて配置され、前記一対のターゲットのうち一方のターゲット(2L)に設けられた前記直進運動の正方向を向く被測定面が、当該直進運動の負方向に測定方向を向けた第1のセンサ(S1)にて検出され、前記一対のターゲットのうち他方のターゲット(2R)に設けられた前記直進運動の負方向を向く被測定面が当該直進運動の正方向に測定方向を向けた第1のセンサ(S2)にて検出されるように前記測定位置が設定されてもよい。この場合には、直進運動の両端における位置決め偏差が一対の第1のセンサによって検出される。
【0022】
前記テーブル上には、前記一対のターゲットの間に設定された中間測定位置まで前記主軸頭が前記テーブルに対して相対的に移動したときに前記第2のセンサ(S3,S4)と対向して当該センサによる検出対象として機能する被測定面(22)を備えた中間位置用ターゲット(2C)が設けられてもよい。
【0023】
前記第2の軸方向の測定方向に関しては、複数の第2のセンサ(S3,S4)がそれぞれの測定方向を前記第2の軸方向の同一の側に向け、かつ前記第1の軸方向に関して互いに距離を空けて設けられてもよい。この場合には、X軸又はY軸方向のいずれか一方の第1の軸方向における位置決め偏差とともに、第2の軸方向における熱変位と、Z軸のまわりの角度偏差が検出される。X軸方向又はY軸方向のいずれか一方の軸方向に関して互いに距離を空けて設けられた複数のセンサの検出値を平均して熱変位をより正確に求めることもできる。この場合に、第1の軸方向に並べられた複数の第2のセンサは、それらの並び方向に関して主軸中心から対称に配置されることが望ましい。
【0024】
前記第3の軸方向の測定方向に関しては、複数の第2のセンサ(S5〜S7)が、前記主軸の中心軸線と直交する面内の互いに異なる複数の位置にて、それぞれの測定方向をZ軸方向でかつ前記テーブルに近付く側に向けて設けられてもよい。この場合にはZ軸方向に関する熱変位が合わせて検出される。
【0026】
前記Z軸方向に向けられた第2のセンサ(S5S7)は、前記第1及び前記第2の軸方向のそれぞれにおいて、前記主軸の中心軸線と直交する面内でかつ前記主軸の中心軸線を挟んで対称な複数の位置に設けられてもよい。この場合には各センサの検出値の平均値を求めることにより主軸の軸線上におけるZ軸方向の熱変位を正確に検出できる。また、第2のセンサの検出値の差分をとることにより、直進運動軸回りの角度偏差を検出できる。
【0028】
本発明のさらに他の形態の測定方法は、旋盤(50)の主軸の軸線方向に相当する第1の軸方向に測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサ(S1,S2)と、前記主軸の軸線方向と直交する二つの軸方向にそれぞれ相当する第2の軸方向及び第3の軸方向に測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサ(S3〜S7)とを備えたセンサ支持治具(1)を旋盤の往復台(54)に装着し、前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか一方の軸方向の検出対象(22)に関しては、前記第2のセンサ(S3,S4)を、前記第1の軸方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか他方の軸方向の検出対象(23)に関しては、前記第2のセンサ(S5〜S7)を、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、前記旋盤の主軸と心押し台(53)との間には、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検出対象としてそれぞれ機能する被測定面(21,22,23)を備えたターゲット(2L,2R,2C)を、前記往復台が所定の測定位置まで移動したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように配置し、前記往復台を前記主軸の軸線方向に繰り返し直進運動させ、その直進運動に関連付けられた所定のタイミングで前記往復台を前記測定位置まで移動させ、そのときの前記第1のセンサ及び第2のセンサの出力信号に基づいて前記主軸と前記往復台との間に発生する、前記第1の軸方向の熱変位と、前記第2の軸方向及び前記第3の軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記主軸の軸線及び該軸線と直交する二つの軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定するものである。
【0029】
この方法によれば、旋盤の主軸の軸線方向に関する位置決め偏差のみならず、他の軸方向(例えば工具の切り込み方向)に関する熱変位も検出できるようになる。
【0030】
本発明において、工作機械のZ軸方向は主軸の軸線方向を意味し、X軸及びY軸方向はそのZ軸方向と直交する二軸方向を意味する。本発明において、直進運動の方向とは異なる方向に関する熱変位には、直進運動の方向と直交する二軸方向のそれぞれに関する並進偏差と、直進運動が行われる軸を含む互いに直交する三軸の回りの角度偏差とを含めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施形態に係る6自由度熱変位測定装置の概要を示す。同図は、工作機械の直進運動する可動部が主軸頭SH又はテーブルTBである場合におけるセットアップを示している。本測定装置は、7つの非接触式変位センサS1…S7(図2参照)が取り付けられたセンサ支持治具1と、3つのターゲット2L,2R,2Cとを備えている。なお、本明細書においてセンサS1〜S7を区別する必要がないときは参照符号Sで代表し、ターゲット2L,2R,2Cを区別する必要がないときは参照符号2で代表する。また、ターゲット2L,2R,2CをそれぞれターゲットL,R,Cと簡略して表記することもある(例えば図8参照)。
【0032】
センサ支持治具1は主軸端にツールホルダ(不図示)などを介して取り付けられ、各ターゲット2はテーブルTB上に取り付けられる。各ターゲット2は送り方向と平行な一つの直線上に配置される。試験では、主軸頭SHとテーブルTBとを相対的に、ターゲット2L,2R,2Cの間を直線往復運動させる。熱変位の測定は、ターゲット2上でセンサ支持治具1を停止させ、ターゲット2とセンサSとの間の隙間の変化を検出することで行う。
【0033】
ISO230-3では、往復する送り運動の両端の位置のみでの位置決め偏差の変化を測定する方法が規定されている。これは、一般に、位置決め偏差の変化の主要な原因は送りねじの熱膨張であり、最も位置決め偏差が変化する位置が送り運動の両端の位置のいずれかにあるからである。ところが、本実施形態の方法では、送り方向に直交する方向の並進偏差成分と、各軸回りの角度偏差成分も測定する。複数の地点での並進偏差測定結果から、運動の直線からのずれである、いわゆる真直度を評価することができる。真直度は直進運動精度の基本的な評価項目であり、加工精度を予測する上で非常に重要である。そこで、本実施形態では、送り運動の中央付近にターゲット2Cを設け、往復運動の両端で得られる並進偏差成分と併せて、熱変形による真直度への影響を評価することとした。
【0034】
センサ支持治具1を図2に示す。なお、図2(a)は平面図、同(b)は正面図、同(c)は右側面図である。センサ支持治具1は、センサS1〜S7を固定する炭素鋼製の板材10と主軸端と結合するための棒材11とを備えている。治具1自身の熱変形の影響を最小にするために、支持治具1の形状は棒材11の中心軸線に関して対称形状としている。また、環境の温度変化の影響を受け難くするために板材10の板厚は厚めに設計されている。棒材11は、様々な機械や主軸端形式に対応するために単純な丸棒形状とし、エンドミル用のツールホルダなどを介して主軸と結合する。
【0035】
センサ支持治具1上には7つの非接触式変位センサS1…S7が放射状に配置されている。これらのセンサSは、図1に示したターゲット2の表面との間の隙間量に対応した信号を出力する。センサSは測定対象までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力できるものであればよく、静電容量型又は高周波誘導式の近接スイッチ、超音波センサ等の非接触式のセンサを使用してもよいし、プランジャ等の測定子を測定対象に接触させて変位を検出する接触式のセンサを使用してもよい。但し、非接触式のセンサを使用した方が測定対象に対する接触状態の影響を受けない点で精度的に有利である。
【0036】
センサS1及びS2はそれぞれ棒材11の中心軸線を通る直線上に互いに外向きに取り付けられている。センサS3、S4は板材10の同一側面に外向きに取り付けられており、棒材11の中心から各センサS3、S4までのX軸方向の距離は互いに等しい。センサS5、S6及びS7はそれぞれ板材10の底面から突出させて取り付けられている。センサS5及びS6は板材10の一方の対角線上に配置され、センサS7は板材10の他方の対角線上に配置されている。棒材11の中心軸線から各センサS5〜S7までの距離は互いに等しい。
【0037】
なお、トリガ信号検出用のセンサ12、例えば光ファイバセンサなどを取り付け、ターゲット2に付けたトリガマークを検出することで、測定シーケンスを容易に設計することができる。
【0038】
ターゲット2Lを図3(a)〜(d)に、ターゲット2Cを図3(e)にそれぞれ示す。なお、図3(a)はターゲット2Lの平面図、同(b)はターゲット2Lの正面図、同(c)はターゲット2Lの右側面図、同(d)は図3(a)のIIId部の拡大図、同(e)はターゲット2Cの平面図である。ターゲット2Rはターゲット2Lと左右対称形状であり、詳細な図示は省略した。
【0039】
これらの図に示すように、各ターゲット2はブロック20の上に脱着可能に取り付けられている。ブロック20を交換することにより、ターゲット2の高さの変更が可能である。図3(a)〜(c)に示したように、ターゲット2Lは、上から見て互いに直交する2つの側面21、22と、各側面21、22に直交する底面23とを有している。これらの側面21、22や底面23とセンサSとの隙間(一例としてセンサS4と側面22との隙間g4を図3(d)に示す。)の変化を検出することにより、熱変位が測定される。
【0040】
一方、図3(e)に示したように、送り運動の行程の中央に配置されるターゲット2Cには、一方向に伸びる側面21とこれに直交する底面23とが設けられる。しかし、ターゲット2Cにおいて、位置決め偏差検出のための側面22は省略されている。
【0041】
ターゲット2Lを利用した熱変位検出方法は次の通りである。ターゲット2Lの側面21とセンサS1の隙間の変化から位置決め偏差の変化を、側面22とセンサS3及びS4との隙間変化の平均値からY軸方向の熱変位を、また、これらのセンサS3、S4の検出値の差分からZ軸回りの角度偏差Cをそれぞれ検出する。さらに、ターゲット2の底面23との隙間の変化は3つのセンサS5〜S7により検出する。センサS5、S6の検出値の平均からZ軸方向の熱変位を検出する。残りのX軸回りの角度偏差AはセンサS5、S7の検出値の差分から求め、Y軸回りの角度偏差BはセンサS6、S7の検出値の差分から求める。なお、ターゲット2Lに対してセンサ支持治具1はX軸の一方向からアプローチする。従って、センサS2に対するターゲットは設定されておらず、センサS2はターゲット2Lとの関係では使用されない。ターゲット2Rはターゲット2Lと対称の形状をしているため、ターゲット2Rを使用した熱変位の検出方法は、位置決め偏差の変化の検出にセンサS1に代えてS2を用いること以外はターゲット2Lの場合と同一である。
【0042】
以上の熱変位検出方法を以下にまとめる。なお、センサSの出力はターゲット2の表面との隙間が大きくなる方向を正方向とし、センサSi(但しi=1〜7)に対応する隙間変化を△giとする。また、センサSi、Sj(但しj=1〜7)同士の距離をLijとする。
【0043】
【数1】
Figure 0005027963
【数2】
Figure 0005027963
【数3】
Figure 0005027963
【数4】
Figure 0005027963
【数5】
Figure 0005027963
【数6】
Figure 0005027963
図3(e)に図示したターゲット2Cは、ターゲット2Lとは異なり、位置決め偏差検出用の側面(X軸方向と直交する壁面)が無い。すなわち、ターゲット2C上においては、位置決め偏差を除いた5方向の熱変位成分のみが検出される。前述のように、熱変形が位置決め偏差におよぼす影響は、運動の両端点で顕著でありこの位置で評価すれば、中央で評価する必要性はあまりないと考えられるからである。
【0044】
但し、必要であれば、ターゲット2Cもターゲット2L、2Rと同様な構造(X軸方向と直交する側面を有する構造)に構成し、ターゲット2C上にて位置決め偏差を検出することも可能である。その場合には、測定のために、評価対象の直進運動とは異なる方向の送り運動を行う必要がある。例えば、X軸を評価対象とした場合に、ターゲット2Cとの干渉を避けるため、センサ支持治具1を予めZ軸正方向にシフトした位置でX軸方向の往復運動を行い、熱変位を検出するときのみターゲット2Cの上でZ軸方向の移動を行い、センサ支持治具1をターゲット2Cの底面23に接近させるなどの方法が考えられる。このような評価対象以外の軸の運動を伴うことは、測定への影響が懸念される。しかしながら、評価対象の直進運動に比べて運動の距離が小さく、また、頻度が十分に少なければほとんど無視できる。
【0045】
ターゲット2(ブロック20を含む)の材料は試験の目的などに応じて決定すればよいが、ISO230-3の測定法と同様な考え方に則り、本実施形態では炭素鋼を用いた。ISO230-3に規定されている熱変位測定用の治具やターゲットは炭素鋼が推奨されている。ISO230-3が規定される以前においては、一般に、熱変位の測定において、装置の熱膨張成分が測定値に含まれないように、低熱膨張材量を使用したり、同時に行った温度測定結果から熱変形補正などを行うことがなされていた。しかしながら、工作機械での加工精度のことを考慮すると、工作物自身もテーブルや環境温度に倣って温度変化し熱膨張し、これにより加工精度に直接影響する工具工作物間の相対変位が生じる。そこで、この影響を含めて評価する方が妥当であるとの考え方がISO230-3において導入された。ISO230-3においては、工作物として鉄系の材料が多いことを考慮し、工作物に相当する測定装置のターゲットやセンサ固定具、工具に相当するテストバーなどの材料として炭素鋼を使用することが推奨されている。
【0046】
熱変位測定試験におけるターゲット2に対するセンサ支持治具1の運動経路を図4に示す。本実施形態における試験の基本は、試験対象とする軸の直進往復運動を連続して行い、一定時間毎にセンサ支持治具1を3つのターゲット2L,2R,2C上で順次停止させて熱変位を測定するものである。しかしながら、ISO230-3の方法と比べてターゲット2の数が一つ多く、かつ検出する変位の成分も6倍多いのでデータ数が多い。また、測定時に行う一時停止回数が多くなると、停止している間の冷却効果が大きくなり、本来評価したい熱変位測定値に影響を及ぼす。そこで、往復運動経路の途中の全てのターゲット上で停止測定するのではなく、ある一定時間測定を行わないで往復運動させ、その後、センサ支持治具1を各ターゲット2上に一旦停止させて測定することを繰り返す。なお、センサ支持治具1に代えてテーブルTBを駆動してターゲット2を移動させてもよいが、以下では便宜的にセンサ支持治具1を移動させて試験を行うものとする。
【0047】
図4の経路PT1は熱変位を生じさせるための経路を示し、経路PT2〜PT5は測定のための経路を示している。同図では、往復運動経路PT1と測定経路PT3,PT4とが互いに平行でかつ異なった二つの直線上にそれぞれ設定されている。これは、トリガセンサ12を用いた場合の経路を図示している。以下、図4に示した測定方法を、図5に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0048】
本実施形態では、まず、工作機械の動作制御部30によりX軸送りモータ31の動作を制御してセンサ支持治具1を往復運動経路PT1に沿って繰り返し往復運動させる(ステップSP1)。往復運動の回数が所定回に達した後、動作制御部30によりY軸送りモータ32の動作を制御してセンサ支持治具1を経路PT2に沿ってY軸方向に測定経路PT3まで移動させる(ステップSP2→SP3)。このとき、トリガセンサ12がターゲット2Cの底面23に付けられたトリガマーク24を検出したか否か判断し(ステップSP4)、検出したならばセンサ支持治具1を停止させてセンサS2〜S7を用いた隙間量g2〜g7の測定処理を行う(ステップSP5)。なお、トリガリング(トリガセンサ12の検出)からセンサ支持治具1が停止するまでの時間は、必要最小限にすることが望ましい。
【0049】
その後、センサ支持治具1を経路PT3に沿ってX軸方向に移動させ(ステップSP6)、次のターゲット2Cのトリガマーク24が検出されると、センサS3〜S7を用いた隙間量g3〜g7の測定処理を行う(ステップSP7→SP8)。さらに、センサ支持治具1を経路PT4に沿ってX軸方向に移動させ(ステップSP9)、次のターゲット2Lのトリガマーク24が検出されると、センサS1、S3〜S7を用いた隙間量g1,g3〜g7の測定処理を行う(ステップSP10→SP11)。その後、経路PT5に沿ってセンサ支持治具1を往復運動経路PT1に復帰させ(ステップSP12)、再び経路PT1に沿ってセンサ支持治具1を繰り返し往復運動させる(ステップSP11→SP12)。
【0050】
以上に示した測定では、センサS1〜S7の出力信号は所定の変位演算部33に導かれ、そこでセンサS1〜S7と測定対象の側面21,22又は底面23との間の隙間量が演算される。変位演算部33としては、公知の近接センサ等で使用される測定処理装置を使用することができる。一方、トリガセンサ12の出力信号は動作制御部30に導かれる。動作制御部30にはX軸送りモータ31及びY軸送りモータ32の動作を制御してセンサ支持治具1を上述したように移動させるためのプログラムがインストールされる。そのプログラムを動作制御部30のCPUが実行することにより、本発明の測定方法が実現される。
【0051】
以上のような方法及び装置を用いることで、比較的簡単な構成でかつデータ数も肥大化させずに熱変位測定試験を実現することができる。厳密にはY軸方向の移動に伴う運動誤差や熱変位の影響を考慮しなければならない。前者は、Y軸方向の運動による運動偏差の繰返し性を予め測定しておくことで、この影響を見積もることができる。後者は、Y軸移動の距離dをトリガリングに必要な最小限の数mm程度に設定し、なおかつ、経路PT1の往復運動に比べて測定経路PT3〜PT4を運動させる回数を十分少なくすればほとんど無視できると考えられる。もし、これらの問題を無視し得ないと判断するのであれば、例えば、往復運動経路PT1と測定経路PT3,PT4とを同一直線上に設定し、トリガリングの回数をカウントすることにより、ドウエル(一時停止)のタイミングと測定とを一致させるなどの方法を採用することで解決できる。
【0052】
本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施できる。例えばターゲット2L,2R,2Cは一体に構成されてもよい。本発明が対象とする直進運動はマシニングセンタのX軸方向の運動に限定されず、Y軸又はZ軸についても同様に適用できる。Z軸方向に関する熱変位を測定する場合には、テーブル上にターゲット2L又は2Rのみを主軸の延長上に位置するように設置し、主軸が下端まで移動したときにセンサS1、S3〜S7にて熱変位を繰り返し測定すればよい。一つのターゲット2L又は2Rに側面21を一対設け、センサS1,S2により同時的にX軸方向の変位を検出できるようにしてもよい。
【0053】
本発明が対象とする工作機械はマシニングセンタに限定されず、直進運動を行う各種の工作機械を対象としてよい。
【0054】
図6は旋盤において本発明の測定方法を適用した実施形態を示している。この実施形態において、旋盤50はベッド51の上面に主軸台52及び心押し台53が配置され、それらの間に往復台(刃物台)54が左右に移動可能に配置される。3つのターゲット2L、2R、2Cは相互に接続されるか、又は一体に形成され、左側のターゲット2Lにはシャンク部25が設けられる。このシャンク部25をチャック55にて把持するとともに、右側のターゲット2Rをセンタ56で押し付けてターゲット2L、2R、2Cを往復台54の直線往復運動の方向に一列に配置する一方、センサ支持治具1は往復台54の刃物が装着される部分に装着する。なお、測定試験中に主軸が廻らないように適当な固定手段で主軸の回転を拘束する。
【0055】
このようにして試験装置を装着した後、往復台54に主軸の軸線方向の往復運動を与え、そのときに生じる各方向の熱変位をセンサ支持治具1に取り付けたセンサS1〜S7にて検出すればよい。
【0056】
以上の実施形態では、センサSを可動部としての主軸頭や往復台に設けたが、本発明はこれに限定されることなく、センサをテーブル等の静止部に設け、可動部に被測定面を備えた治具を装着してもよい
【0057】
【実施例】
上記で提案した6自由度熱変位測定装置を試作し、工作機械実機を対象にして熱変位測定実験を行った。実験対象は門形マシニングセンタのX軸運動とした。図7に実験装置を示す。実験対象のマシニングセンタにおいては、クロスレールCRに沿って上下2本のリニアモーションガイドLMが取り付けられ、そのリニアモーションガイドLMの可動部分にサドルSD(同図では主軸頭SHと同一視)が支持され、そのサドルSDが左側のコラムCLの上部に取り付けられたモータMにて駆動されるボールねじBSによりX軸方向(図の左右方向)に駆動される。X軸の運動による熱変位は、主にボールねじBSのねじ軸とナットとの摩擦によるねじ軸の膨張や、リニアモーションガイドLMにおけるレールと可動部(キャリッジ)との間の摩擦による主軸頭SHやクロスレールCRの熱変形によるものが予想される。そこで、温度測定点を、同図のように、クロスレールCRの上面の中央付近、リニアモーションガイドLMの可動部の取り付け位置の近傍(LT,LB,RT,RB)、機内空間、センサ支持治具1、ターゲット2、テーブルTB、ベッドBDにそれぞれ設定し、熱変位の測定と同時に温度の測定を行い、熱変位の生成原因などについて考察を行った。実験条件は次の通りである。
【0058】
X軸運動距離 …500mm
送り速度 …1700mm/分
往復回数 …10.5
ドウエル …2秒
実験時間 …56分
図8に温度測定結果を示す。グラフは実験開始時からの温度変化を示している。同図(a)は熱源であるX軸駆動系より離れた位置の温度変化を示しており、(b)は熱源に近い位置の温度変化を示している。なお、図においてはターゲット2L,2R,2CをそれぞれL,R,Cで代表している。“Ambient”は図7の機内温度測定点、“Sensor Fixture”は図7のセンサ支持治具1の温度測定点の温度である。
【0059】
図8(a)より、ほとんど停止しているテーブルとベッドの温度変化は微小であり、テーブルに固定されたターゲットの温度も変化していないことがわかる。これに対し、環境温度(Ambient)は若干低下傾向にあり、主軸端に取付けたセンサ支持治具は環境温度に倣っておよそ0.5℃下降している。ところで、センサ支持治具の形状から、その熱膨張に最も影響される成分はX軸方向成分とY軸方向成分である。しかしながら温度測定結果より見積もられるX、Y方向の熱膨張量は0.3μm程度であり、影響は小さい。また、センサ支持治具が対称形状であることから、角度偏差の測定には全く影響を及ぼさないものと考えられる。
【0060】
図8(b)より、クロスレールやキャリッジ付近の主軸頭の温度は上昇傾向にあることがわかる。キャリッジ付近の温度を比較すると、2本のクロスレールのうち下側(B)のキャリッジ付近の方が上側(T)より温度が上昇している。また、主軸頭の右側(R)の方が左側(L)より温度が上昇している傾向にある。
【0061】
図9に位置決め偏差の熱変位による変化を示す。同図よりターゲットR、Lの位置において共に典型的なボールねじの熱膨張の影響が見られる。特にRの増加傾向は著しく、およそ1時間後には200μmもの熱変位が生じていたことがわかる。これに対してLの熱変位は小さい。図7に示したように、実験対象のマシニングセンタのX軸は、左側すなわちターゲットL側に駆動モータMが配置されている。ボールねじBSを支持する両端のベアリングに作用するスラスト方向の拘束力は、モータ側のベアリングの方がもう一方の側よりも大きくなっており、そのためにターゲットR側でより大きな熱変位が生じたものと考えられる。これはごく一般的なセミクローズド制御方式のボールねじ駆動軸の傾向である。本実施例の結果は、現在規格化されようとしているISO230-3に規定されている方法に則した試験によって得られる結果と一致すると考えられる。
【0062】
図10に水平方向の並進偏差Yを示す。同図より、ターゲットL、C、Rの3地点の結果は共に単調減少の傾向を示している。これは、主軸端が作業者側すなわち図7における紙面手前側に移動していることを表している。この原因としては、主軸頭がY軸方向に熱膨張を起こしているか、主軸頭がX軸方向の位置に依存せずに、X軸回りの角度変位を生じているか、もしくは、コラムCLが手前に倒れるような変形を生じているかのいずれかが原因であると考えられる。しかしながら、Y軸方向の熱変位の結果のみでは原因を特定することは不可能である。後述するように、角度偏差の結果と比較することで熱変形の状態が推測できる。
【0063】
ところで、3地点の最大熱変位は5μm前後であり、位置決め偏差の結果に比べてかなり小さいが、高精度な加工を行う場合には無視することはできない。3地点の値を比較すると、両端のターゲットLとターゲットRにおける測定値はほぼ一致しているが、ターゲットCではこれらより大きな熱変位が測定されている。この結果は、クロスレールCRの前面が手前方向にたわみ変形を生じている可能性があることを示している。原因としては、リニアモーションガイドのレールとキャリッジの摩擦熱による変形が考えられる。図8(b)に示したクロスレールの温度上昇はこのようなクロスレールの変形を裏付けるものである。
【0064】
図11に鉛直方向の並進偏差Zを示す。偏差Zは、3地点ともにほとんど一致しており、単調増加傾向が見られた。最大でおよそ8μmであり、Y軸方向熱変位と同様に位置決め偏差の変化と比べて小さいが、加工精度上無視できない値である。ところで、実際の加工においては主軸を回転させるので、主軸系の発熱によるZ軸方向熱変位が生じる。この値は、熱変位補正機能を有していない汎用のマシニングセンタにおいては、数十μmのオーダになることが知られており、このような機械においては本実験結果の程度であれば問題が無いかもしれない。しかしながら、超精密を謳っている工作機械では致命的な問題となる。さらに、近年の主軸系に対する熱変位対策や熱変位補正機能の進歩は目覚しく、近い将来、汎用機でさえ主軸回転による熱変位が10μm以下となることが予想される。従って、本発明の測定方法による直進運動に伴うZ方向熱変位の評価は、今後非常に重要な評価項目となる。
【0065】
図12に角度偏差Aの実験結果を示す。3つの測定点においてすべて同じ挙動を示し、開始直後から4分までわずかに上昇し、その後単調に減少していることがわかる。この傾向は、主軸頭が測定点によらず、作業者から見て奥側に時間と共に倒れていることを示している。既に示した図8(b)の温度測定結果において、主軸頭下部の方が上部より温度が上昇する傾向がみられた。従って、この温度差にみられるような構造内部の温度勾配がこのような熱変形の原因となっていると考えられる。熱変位の方向の定義からすると、X軸回りの角度偏差であるAは主軸端におけるY軸方向の変位を生じさせる原因の一つである。よって、図10に示したY軸方向熱変位が単調減少する傾向には、角度偏差Aの減少による成分が含まれているものと考えられる。
【0066】
図13にY軸回りの角度偏差Bの実験結果を示す。偏差Bの変化はターゲットCにおいてはほとんど一定であるが、ターゲットR、Lにおいては若干減少傾向が見られた。
【0067】
図14にZ軸回りの角度偏差Cの実験結果を示す。3つのターゲットL,C,R上の全てにおいて偏差Cが増加傾向にあるのは、主軸頭内部での温度勾配による熱変形が原因であると考えられる。最大熱変位はターゲットL、C、Rの順に大きい。これは、クロスレールのたわみ変形が原因であると考えられる。すでに示したように、図10のY軸方向変位の結果よりクロスレール中央部で作業者側に膨らんでいることが予想でき、この考察を裏付ける結果となっている。
【0068】
本実施例が対象とした工作機械にはZ軸の熱変位機能が備わっている。別途行った主軸回転による熱変位試験結果より、主軸回転数20000/minにおけるZ軸方向の最大熱変位は、熱変位補正機能を有効にした場合にはおよそ−20μm、無効にした場合ではおよそ−60μmという結果を得ている。ところで、このような高速回転を必要とする加工は必然的に高速送りも求められる。よって、実加工時には主軸回転に伴う熱変位と直進軸の運動に伴う熱変位を重ね合た結果になると予想される。すなわち、実験対象とした機械を実際に加工に使用する場合には、送り軸の運動のために、主軸に対する熱変位補正機能を有効にしても、予想とは大きく異なった熱変位となってしまう。本実施例においては、直進運動によるZ軸方向熱変位はプラスの値を得ており、結果的には主軸を回転させた方が熱変位は小さくなる。このことは、副次的な利点にすぎない。この効果を予測しなければ、例えば、主軸熱変位試験の結果からのみ加工中の熱変位を予測して、この効果を打ち消すようにNCプログラムを修正しても、送り運動が速ければ、思うように加工精度を向上させることはできない。また、工作機械メーカとしては、主軸回転による熱変位の補正のみでは、加工精度の向上がはかられない。
【0069】
このように、Z軸方向の熱変位だけに着目しても、本発明で提案する熱変位測定評価法の有効性が明らかである。さらに加工精度を予測するためには、角度偏差の成分を測定することは重要である。例えば、偏差を検出する主軸端における並進偏差の成分が小さい場合でも、角度偏差が大きければ、Z軸方向に長い工具を用いた場合にはその先端での並進偏差は増大することになる。また、前述の実験結果における考察の通り、並進変位と角度変位は相互に関係があり、これらの個々の方向成分の試験結果だけでは、工作機械の熱変形の挙動やその生成原因を明らかにすることは不可能である。
【0070】
以上のように、直進運動による熱変位に対してその発生部位や原因、因果関係などを解明するためには、現在ISOに規定されているような位置決め偏差のみならず、本測定法による熱変位評価が必要である。
【0071】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、工作機械の直進運動の方向に関する位置決め偏差の測定と同時に、その直進運動の方向と直交する二つの軸方向に関する熱変位の並進偏差成分、及び三軸のそれぞれの回りの角度偏差成分が測定されるので、工作機械の熱変位に伴う挙動が多面的に解析でき、熱変位の状態をより正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る測定装置の概略を示す斜視図。
【図2】本発明の測定方法で使用されるセンサ支持治具を示す図。
【図3】本発明の測定方法で使用されるターゲットを示す図。
【図4】本発明の測定方法におけるセンサ支持治具とターゲットとの相対的な移動経路を示す図。
【図5】図4に示した経路に沿って測定を行うための手順を示すフローチャート。
【図6】本発明を旋盤に使用した場合の一実施形態を示す図。
【図7】本発明の実施例で使用した門型マシニングセンタと温度測定点との関係を示す図。
【図8】図7の装置にて温度を測定した結果を示す図。
【図9】図7の装置により測定されたX軸方向の熱変位を示す図。
【図10】図7の装置により測定されたY軸方向の熱変位を示す図。
【図11】図7の装置により測定されたZ軸方向の熱変位を示す図。
【図12】図7の装置により測定されたX軸回りの角度偏差Aを示す図。
【図13】図7の装置により測定されたY軸回りの角度偏差Bを示す図。
【図14】図7の装置により測定されたZ軸回りの角度偏差Cを示す図。
【符号の説明】
1 センサ支持治具
2L,2R,2C ターゲット
10 板材
11 棒材
12 トリガセンサ
20 ブロック
21,22 側面
22 側面
23 底面
24 トリガマーク
25 シャンク部
30 動作制御部
33 変位演算部
50 旋盤
51 ベッド
52 主軸台
53 心押し台
54 往復台
55 チャック
56 センタ
BD ベッド
BS ボールねじ
CL コラム
CR クロスレール
LM リニアモーションガイド
PT1 往復運動経路
PT3,PT4 測定経路
S1〜S7 センサ
SD サドル
SH 主軸頭
TB テーブル

Claims (12)

  1. 工作機械の可動部を所定の軸方向に関して繰り返し直進運動させ、
    その直進運動に伴って発生する前記可動部とその可動部と対をなす静止部との間の前記直進運動の方向に関する熱変位を前記直進運動と関連付けられた所定のタイミングで測定するとともに、その測定と同時に、前記直進運動の方向とは異なる少なくとも一つの方向に関して前記可動部と前記静止部との間に発生する熱変位を測定する工作機械の熱変位測定方法であって、
    前記可動部及び前記静止部のいずれか一方には、前記直進運動の方向に配置された検出対象までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサと、前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向にそれぞれ配置された検出対象までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサとを装着し、
    前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向のうち一方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記直進運動の方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記二つの軸方向のうち他方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記直進運動の方向及び前記一方の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、
    前記可動部及び前記静止部のいずれか他方には、前記第1及び第2のセンサの検出対象としての被測定面を、前記可動部が前記静止部に対して所定の測定位置に達したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように設け、
    前記可動部が前記測定位置に達したときの各センサからの出力信号に基づいて、前記直進運動の方向の熱変位と、前記二つの軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記直進運動が行われる軸及び当該軸に直交する二つの軸を含む三軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定することを特徴とする工作機械の熱変位測定方法。
  2. 前記直進運動の方向に関して、前記測定位置が前記可動部の運動範囲の両端に設定されていることを特徴とする請求項に記載の熱変位測定方法。
  3. 前記測定位置を結ぶ直線上の所定の位置に中間測定位置が設定され、前記可動部又は前記静止部のいずれか他方には、前記可動部が前記中間測定位置に達したとき、前記第2のセンサと対向して当該センサによる検出対象として機能する被測定面が設けられていることを特徴とする請求項に記載の熱変位測定方法。
  4. 前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが前記可動部に設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の熱変位測定方法。
  5. 工作機械の主軸頭とテーブルとを所定の軸方向に関して繰り返し相対的に直進運動させ、
    その直進運動に伴って前記主軸頭とテーブルとの間に発生する前記直進運動方向の熱変位を前記直進運動と関連付けられた所定のタイミングで測定するとともに、その測定と同時に、前記直進運動の方向とは異なる少なくとも一つの方向に関して前記主軸と前記テーブルとの間に発生する熱変位を測定する工作機械の熱変位測定方法であって、
    前記主軸頭には、前記直進運動の方向に配置された検出対象までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサと、前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向にそれぞれ配置された検出対象までの距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサとを装着し、
    前記直進運動の方向と直交する二つの軸方向のうち一方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記直進運動の方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記二つの軸方向のうち他方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記直進運動の方向及び前記一方の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、
    前記テーブル上には、前記第1及び第2のセンサの検出対象としての被測定面を有するターゲットを、前記主軸頭が前記テーブルに対して所定の測定位置まで相対的に移動したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように設け、
    前記主軸頭が前記テーブルに対して所定の測定位置まで相対的に移動したときの各センサからの出力信号に基づいて、前記直進運動の方向の熱変位と、前記二つの軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記直進運動が行われる軸及び該軸に直交する二つの軸を含む三軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定することを特徴とする工作機械の熱変位測定方法。
  6. 工作機械のX軸方向又はY軸方向のいずれか一方の第1の軸方向に測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサと、前記X軸方向又はY軸方向のいずれか他方の第2の軸方向、及び前記工作機械のZ軸方向に相当する第3の軸方向のそれぞれに測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサとを備えたセンサ支持治具を主軸頭に装着し、
    前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか一方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記第1の軸方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか他方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、
    前記工作機械のテーブル上には、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検出対象としてそれぞれ機能する被測定面を備えたターゲットを、前記テーブルに対して前記主軸頭が所定の測定位置まで相対的に移動したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように配置し、
    前記主軸頭と前記テーブルとを前記第1の軸方向に繰り返し相対的に直進運動させ、
    その直進運動に関連付けられた所定のタイミングで前記主軸頭を前記テーブルに対して前記測定位置まで相対的に移動させ、そのときの前記第1のセンサ及び第2のセンサの出力信号に基づいて前記主軸と前記テーブルとの間に発生する、前記第1の軸方向の熱変位と、前記第2の軸方向及び前記第3の軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記工作機械のX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定することを特徴とする工作機械の熱変位測定方法。
  7. 前記センサ支持治具には、一対の第1のセンサが、互いの測定方向を前記第1の軸方向に関して前記主軸の中心軸線を挟んで互いに外側に向けた状態で設けられ、
    前記テーブル上には、一対のターゲットが、それぞれの前記第1のセンサに対応する被測定面を前記直進運動の方向に向かい合わせるようにして当該直進運動の方向に並べて配置され、
    前記一対のターゲットのうち一方のターゲットに設けられた前記直進運動の正方向を向く被測定面が、当該直進運動の負方向に測定方向を向けた第1のセンサにて検出され、前記一対のターゲットのうち他方のターゲットに設けられた前記直進運動の負方向を向く被測定面が当該直進運動の正方向に測定方向を向けた第1のセンサにて検出されるように前記測定位置が設定されていることを特徴とする請求項に記載の熱変位測定方法。
  8. 前記テーブル上には、前記一対のターゲットの間に設定された中間測定位置まで前記主軸頭が前記テーブルに対して相対的に移動したときに前記第2のセンサと対向して当該センサによる検出対象として機能する被測定面を備えた中間位置用ターゲットが設けられていることを特徴とする請求項に記載の熱変位測定方法。
  9. 前記第2の軸方向の測定方向に関しては、複数の第2のセンサがそれぞれの測定方向を前記第2の軸方向の同一の側に向け、かつ前記第1の軸方向に関して互いに距離を空けて設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の熱変位測定方法。
  10. 前記第3の軸方向の測定方向に関しては、複数の第2のセンサが、前記主軸の中心軸線と直交する面内の互いに異なる複数の位置にて、それぞれの測定方向をZ軸方向でかつ前記テーブルに近付く側に向けて設けられていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の熱変位測定方法。
  11. 前記Z軸方向に向けられた第2のセンサは、前記第1及び前記第2の軸方向のそれぞれにおいて、前記主軸の中心軸線と直交する面内でかつ前記主軸の中心軸線を挟んで対称な複数の位置に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の熱変位測定方法。
  12. 旋盤の主軸の軸線方向に相当する第1の軸方向に測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第1のセンサと、前記主軸の軸線方向と直交する二つの軸方向にそれぞれ相当する第2の軸方向及び第3の軸方向に測定方向を向けて配置され、当該測定方向に関する検出対象の距離又はその距離の変化に相関した信号を出力する第2のセンサとを備えたセンサ支持治具を旋盤の往復台に装着し、
    前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか一方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記第1の軸方向に互いに距離を空けて複数設けるとともに、前記第2の軸方向、又は前記第3の軸方向のいずれか他方の軸方向の検出対象に関しては、前記第2のセンサを、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向のそれぞれに互いに距離を空けて複数設け、
    前記旋盤の主軸と心押し台との間には、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検出対象としてそれぞれ機能する被測定面を備えたターゲットを、前記往復台が所定の測定位置まで移動したときに各センサが対応する被測定面を検出できるように配置し、
    前記往復台を前記主軸の軸線方向に繰り返し直進運動させ、
    その直進運動に関連付けられた所定のタイミングで前記往復台を前記測定位置まで移動させ、そのときの前記第1のセンサ及び第2のセンサの出力信号に基づいて前記主軸と前記往復台との間に発生する、前記第1の軸方向の熱変位と、前記第2の軸方向及び前記第3の軸方向のそれぞれに関する熱変位の並進偏差成分と、前記主軸の軸線及び該軸線と直交する二つの軸のそれぞれの回りの熱変位の角度偏差成分とを測定することを特徴とする工作機械の熱変位測定方法。
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